JP2011119428A - 余寿命推定方法及び余寿命推定システム - Google Patents

余寿命推定方法及び余寿命推定システム Download PDF

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Abstract

【課題】様々な周囲温度変動要因を反映させて、コンデンサ及びこのコンデンサを備えた電気・電子機器の余寿命を高精度に推定可能とする。
【解決手段】コンピュータシステムにより、アレニウスの法則に基づく寿命推定演算を行ってコンデンサの寿命を推定し、かつ、その推定寿命を用いて現時点から寿命終期までのコンデンサの余寿命を推定する余寿命推定方法において、寿命推定演算に用いるコンデンサの周囲温度推定値として、コンデンサが内蔵された電気・電子機器の吸気温度相当値と、電気・電子機器の負荷率に応じたコンデンサの周囲温度上昇推定値と、を加算した値を用い、かつ、寿命推定演算により得た推定寿命を電気・電子機器の稼動係数により補正した推定寿命補正値と、電気・電子機器の使用開始時点と、現時点と、を用いて、コンデンサの余寿命を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電解コンデンサ等のコンデンサの余寿命、及び、このコンデンサを備えた電力変換器等の電気・電子機器の余寿命を推定する方法、並びに、この方法を実施するための余寿命推定システムに関するものである。
インバータ等の電力変換器には、その主回路や制御回路に電解コンデンサが使用されている。この電解コンデンサは熱に弱く、電力変換器の構成部品の中では通常、寿命が最も短いため、電解コンデンサについて推定した寿命を電力変換器の寿命とみなすことが行われている。
すなわち、コンデンサの推定寿命は、コンデンサの電気的特性の経時的変化と周囲温度との関係を示すアレニウスの法則により、数式1によって表される。
[数1]
L=L×2(Tmax−T)/10
(L:コンデンサの推定寿命〔時間〕,L:コンデンサの基準寿命〔時間〕,Tmax:コンデンサの最高使用温度〔℃〕,T:コンデンサの周囲温度〔℃〕)
なお、基準寿命L及び最高使用温度Tmaxは、コンデンサメーカーによって与えられる数値である。
上記のように、アレニウスの法則に基づくコンデンサの寿命(余寿命)推定方法は、例えば特許文献1に記載されている。
この従来技術は、アレニウスの法則に基づいて、まず初期時点の所定温度tにおける電解コンデンサの総余寿命を計算し、次に、経過時間とその間の平均温度tとを考慮して、前記所定温度tにおけるある時点の余寿命に逐次、換算する。その後、この換算した余寿命と、前記総余寿命と、初期時点からの経過時間とに基いて、ある時点における実使用時(電解コンデンサを備えた電子機器の実使用時)の余寿命を計算するものである。
なお、電力変換器や電源装置には、一般的に電解コンデンサや半導体スイッチング素子を冷却するための冷却ファンが設けられており、例えば特許文献2には、冷却ファンの周囲温度と、任意温度における寿命データと、寿命時間の変化率データとからその寿命を推定し、冷却ファンの交換時期を検出するようにした冷却ファン寿命検出装置が記載されている。
特許第3850311号公報(段落[0057]〜[0084]、図7,図9等) 特許第2830252号公報(第2頁右欄第1行〜第27行、第1図等)
特許文献1に係る従来技術では、初期時点における電解コンデンサの総余寿命が時間経過と共に直線的に減少する特性を前提としており、温度や負荷等の使用条件が変化した場合には、スイッチや外部信号によって上記特性をリセットし、その傾きを変更するようになっている。
しかしながら、上記従来技術には、負荷率や機器の稼働率等をコンデンサの周囲温度に反映させて余寿命を推定するような着想が開示されておらず、余寿命推定をより高精度に行うためには、負荷率や稼働率等の周囲温度変動要因を考慮した推定手段の提供が望まれていた。
そこで、本発明の解決課題は、様々な周囲温度変動要因を反映させて、コンデンサ及びこのコンデンサを備えた電気・電子機器の余寿命を高精度に推定可能とした余寿命推定方法及び余寿命推定システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る余寿命推定方法は、コンピュータシステムにより、アレニウスの法則に基づく寿命推定演算を行ってコンデンサの寿命を推定し、かつ、その推定寿命を用いて現時点から寿命終期までのコンデンサの余寿命を推定する余寿命推定方法において、
前記寿命推定演算に用いるコンデンサの周囲温度推定値として、
前記コンデンサが内蔵された電気・電子機器の吸気温度相当値と、前記電気・電子機器の負荷率に応じた前記コンデンサの周囲温度上昇推定値と、を加算した値を用い、
かつ、前記寿命推定演算により得た推定寿命を前記電気・電子機器の稼動係数により補正した推定寿命補正値と、前記電気・電子機器の使用開始時点と、現時点と、を用いて、前記コンデンサの余寿命を推定するものである。
請求項2に係る余寿命推定方法は、コンピュータシステムにより、請求項1に記載した余寿命推定方法により推定したコンデンサの余寿命を、前記電気・電子機器の余寿命として同定するものである。
また、請求項3に係る余寿命推定方法は、コンピュータシステムにより、請求項1に記載した余寿命推定方法により推定したコンデンサの余寿命と、前記電気・電子機器に設けられた冷却ファンの周囲温度から推定した冷却ファンの余寿命と、を用いて、前記電気・電子機器の余寿命を推定するものである。
請求項4に係る余寿命推定システムは、コンピュータシステムにより、アレニウスの法則に基づく寿命推定演算を行ってコンデンサの寿命を推定し、かつ、その推定寿命を用いて現時点から寿命終期までのコンデンサの余寿命を推定する余寿命推定システムにおいて、
前記コンピュータシステムは、
前記コンデンサが内蔵された電気・電子機器における前記コンデンサの最高使用温度及び周囲温度上昇係数を含む前記電気・電子機器の仕様データ、前記電気・電子機器の吸気温度を推定するための温度データが少なくとも記憶されているデータベースと、
アレニウスの法則に基づいて前記コンデンサの寿命を推定する第1の演算式と、第1の演算式により得た推定寿命を補正する第2の演算式と、第2の演算式により得た推定寿命補正値に基づいて前記コンデンサの余寿命を求める第3の演算式と、が少なくとも記憶された記憶手段と、
第1の演算式による寿命推定演算を行うための前記コンデンサの周囲温度推定値として、前記電気・電子機器の吸気温度の測定値または前記温度データと、前記電気・電子機器の負荷率及び前記電気・電子機器の仕様データから算出した前記コンデンサの周囲温度上昇推定値と、を加算した値を用い、かつ、
第2の演算式により、前記寿命推定演算によって得た推定寿命を前記電気・電子機器の稼動係数により補正して推定寿命補正値を求めると共に、
第3の演算式により、前記推定寿命補正値と、前記電気・電子機器の使用開始時点と、現時点と、を用いて、前記コンデンサの余寿命を推定する余寿命演算手段と、
推定した前記コンデンサの余寿命を出力する出力手段と、を備えたものである。
請求項5に係る余寿命推定システムは、請求項4に記載した余寿命演算手段が、前記余寿命推定システムにより推定したコンデンサの余寿命を、前記電気・電子機器の余寿命として同定するものである。
また、請求項6に係る余寿命推定システムは、請求項4に記載した余寿命演算手段が、前記余寿命推定システムにより推定したコンデンサの余寿命と、前記電気・電子機器に設けられた冷却ファンの周囲温度から推定した冷却ファンの余寿命と、を用いて、前記電気・電子機器の余寿命を推定するものである。
本発明によれば、負荷率や機器の稼働率等の様々な周囲温度変動要因を反映させてコンデンサの周囲温度推定値を求め、この周囲温度推定値を使用してアレニウスの法則に基づきコンデンサの寿命を推定すると共に、この推定寿命から余寿命を演算するようにしたため、例えば電解コンデンサの余寿命や、この電解コンデンサを内蔵したインバータ等の電気・電子機器の余寿命を高精度に推定することができる。
本発明の実施形態に係る電解コンデンサの余寿命推定手順を示すフローチャートである。 インバータユニットの概略的な構成図である。 インバータユニットの仕様データの説明図である。 電解コンデンサの機械的寿命を考慮した場合の余寿命推定手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る余寿命推定システムの構成を示すブロック図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、この実施形態に係る電解コンデンサの余寿命推定手順を示すフローチャートである。ここで、本実施形態は、図2に示すようなインバータユニット10の主回路部11や電源・制御部12に内蔵された電解コンデンサの余寿命を推定し、更に、必要に応じてインバータユニット10の余寿命を推定するためのものである。なお、図2において、インバータユニット10には冷却ファン(図示せず)が内蔵されており、この冷却ファンの運転によって吸気口13→インバータユニット10の内部→排気口14という冷却空気の流路が形成されるようになっている。
図1に戻って、25は前述したアレニウスの法則により電解コンデンサの推定寿命Lを求めるための演算ステップであり、この演算ステップでは下記の数式2(便宜上、第1の演算式という)により推定寿命Lを計算する。
[数2]
L=L×2(Tmax−T4)/10
(L:電解コンデンサの推定寿命〔時間〕,L:電解コンデンサの基準寿命〔時間〕,Tmax:電解コンデンサの最高使用温度〔℃〕,T:電解コンデンサの周囲温度推定値〔℃〕)
前述したごとく、基準寿命L及び最高使用温度Tmaxは、コンデンサメーカーによって与えられる。なお、推定寿命L及び基準寿命Lは、インバータユニット10の設置時点(インバータユニット10すなわち電解コンデンサの使用開始時点)から使用できなくなるまでの期間であり、後述するように本実施形態で推定する余寿命Rは、推定を行う現時点から使用できなくなる時点(寿命終期)までの期間をいうものとする。
ここで、本実施形態では、以下に述べるように、数式2における周囲温度推定値Tの求め方に特徴がある。
まず、図1において、Tはインバータユニット10の吸気口13の測定温度(吸気口温度)であり、この温度Tは第1の論理和手段21の一方の入力となっている。第1の論理和手段21の他方の入力は、第2の論理和手段22から出力される推定温度T10であり、第1の論理和手段21は、前記TまたはT10の何れかをインバータユニット10の吸気温度相当値T11として出力するようになっている。
温度Tは、吸気口13に温度センサを取り付けることによって測定可能であり、スペース上の制約等によって吸気口13の温度測定が不可能な場合を除き、温度Tが優先的に論理和手段21の出力T11となるものである。
第2の論理和手段22は、温度Tが測定不可能な場合に、インバータユニット10の設置環境の空調の有無に応じて推定温度T10を決定するためのものである。この論理和手段22の一方の入力は「空調設備あり」の場合の(T+ΔD)、他方の入力は「空調設備なし」の場合の(T+ΔD+ΔT)であり、Tは空調設備の設定温度、ΔDはインバータユニット10が設置される電装ボックス内の温度が設定温度よりも高いと見込んで設定されるボックス内温度上昇値、Tはインバータユニット10の設置地域の年間平均気温、ΔTはインバータユニット10が設置された電装ボックスの設置場所(屋内または屋外)に応じて設定される環境温度調整値である。
このように、空調設備の有無に応じて第2の論理和手段22から出力された推定温度T10は、第1の論理和手段21を介し、吸気温度相当値T11として出力される。
すなわち、第1,第2の論理和手段21,22は、インバータユニット10の吸気口温度及び空調の有無等に応じて吸気温度相当値T11を求める手段として機能している。
次に、図1において、23は、コンデンサ周囲温度上昇推定値Tにインバータユニット10の汚れ具合を示す状態係数kを乗算することにより補正を行い、補正後のコンデンサ周囲温度上昇推定値Tを求める乗算手段である。
ここで、状態係数kは、例えばインバータユニット10の吸気口13に取り付けられたフィルタの汚れ具合を1.0〜1.5等の範囲で数値化した係数であり、汚れ具合が顕著なほど放熱効果が低下することを考慮して設けられている。
また、コンデンサ周囲温度上昇推定値Tは、インバータユニット10の内部における電解コンデンサ周囲温度の温度上昇を反映させたパラメータであり、図3に示すような部品仕様、実験、シミュレーションにより求められるインバータユニット10ごとの仕様データにおける温度上昇係数Cと負荷率とを用いて、数式3により演算されるものである。
[数3]
=C×(負荷率)1.6
図3に示すインバータユニット10の仕様データは、型式、定格容量、定格電圧、温度上昇係数C及び最高使用温度Tmaxからなっている。前記の通り、最高使用温度Tmaxはコンデンサメーカーから与えられるものであるが、型式、定格容量、定格電圧、温度上昇係数Cは、インバータユニット10の製造メーカーが設計仕様、実験、シミュレーションにより決定するものである。ここで、温度上昇係数Cは、例えば吸気温度が40〔℃〕で負荷率が100〔%〕の時のコンデンサの周囲上昇温度(測定値またはシミュレーションによる推定値)である。また、コンデンサ周囲温度上昇推定値Tの算出に負荷率を用いることで、インバータユニットの使用状況がコンデンサの周囲温度に及ぼす影響を考慮している。
乗算手段23を介して補正されたコンデンサ周囲温度上昇推定値Tは、加算手段24において前記吸気温度相当値T11と加算され、電解コンデンサの周囲温度推定値Tとして演算ステップ25に入力される。
演算ステップ25では、周囲温度推定値Tと他のパラメータとを用いて前述した数式2を演算し、電解コンデンサの推定寿命Lを出力する。
次に、推定寿命Lは演算ステップ26に入力され、数式4(便宜上、第2の演算式という)により推定寿命補正値Mが演算される。
[数4]
M=L/S
ここで、Sは稼動係数〔%〕であり、余寿命の推定対象となる電解コンデンサが主回路部11内のコンデンサである場合には装置稼働率(インバータユニット10の稼働率)Sを用い、電解コンデンサが電源・制御部12内のコンデンサである場合には制御電源投入率Sを用いる。
すなわち、推定寿命補正値Mは、装置稼働率や電源投入率に依存する電解コンデンサの劣化度合いを考慮して推定寿命Lを補正した値という意味を持つものである。
次いで、推定寿命補正値Mは演算ステップ27に入力され、数式5(便宜上、第3の演算式という)により余寿命Rが算出される。
[数5]
R=(P+M)−P
ここで、Pはインバータユニット10の設置時点(使用開始時点)、Pは電解コンデンサの余寿命を推定する現時点を示し、(P+M)>P、つまりR>0であれば将来にわたって余寿命(通常の余寿命)Rがあり、(P+M)<P、つまりR<0であれば既に寿命を経過していることになる。
この時点で余寿命Rを推定結果として出力しても良いが、以下に説明するように、必要に応じて電解コンデンサの機械的余寿命Rを考慮することができる。
上記の機械的余寿命Rとは、電解コンデンサの端子の樹脂封止部分が機械的振動その他の原因によって劣化することによる余寿命であり、周囲温度に基いて推定した余寿命よりも機械的余寿命Rの方が早く到来する場合もあるため、図4に示すフローチャートによって余寿命Rを求めることもできる。
すなわち、図1の手順により余寿命Rを推定した後に、図4に示すように機械的余寿命Rを考慮するか否かを判断し(ステップ28)、考慮する場合にはR≧Rであるか否かを判断する(ステップ29)。そして、R≧Rの場合には機械的余寿命Rによる寿命終期の方が早く到来するため、余寿命出力ステップ30において、機械的余寿命Rを余寿命Rとして終了する(ステップ31)。また、ステップ28,29の判断結果が否である場合には、余寿命Rをそのまま出力して終了する(ステップ32)。
以上のようにして、主回路部11や電源・制御部12内の電解コンデンサの余寿命Rを推定することができる。従って、この余寿命Rをもってインバータユニット10の余寿命とみなすことも可能である。
これに加えて、以下に述べるようにインバータユニット10に設けられた冷却ファンの余寿命Fを推定し、この余寿命Fと電解コンデンサの余寿命Rとの双方を考慮してインバータユニット10の余寿命を推定しても良く、例えば、余寿命Rと余寿命Fとを比較して何れか短い方をインバータユニット10の余寿命とすることができる。
冷却ファンの余寿命Fについては、例えば下記の数式6によって推定可能である。
[数6]
F=P+L/S−P
ここで、Lは冷却ファンの推定寿命であり、前記同様にSは装置稼働率(インバータユニット10の稼働率)、Pはインバータユニット10の設置時点(使用開始時点)、Pは現時点である。また、冷却ファンの推定寿命Lは、所定の故障率(例えば10〔%〕)のもとで、冷却ファンの周囲温度(軸受の周囲温度)の関数として周知の近似式により求めることができる。
この場合、冷却ファンの周囲温度は、電解コンデンサと同様に、インバータユニット10の吸気温度、または、「空調設備あり」の場合の空調設備設定温度と電装ボックス内温度上昇値、「空調設備なし」の場合の電装ボックスの設置地域の年間平均気温、設置場所(屋内または屋外)等に応じて設定すればよい。
次に、図5は、この実施形態に係る余寿命推定システムの構成を示すブロック図である。
この余寿命推定システムは、データベース101、統括制御手段102、余寿命演算手段104、記憶手段105、入出力インタフェース106、入力手段107及び出力手段108を備え、パソコン等のコンピュータシステムのハードウェア及びソフトウェアにより構成されている。
データベース101は、ハードディスク装置や各種のメモリデバイス等の外部記憶装置からなり、図3に示したインバータユニット10の仕様データのほか、冷却ファンやインバータユニット10の設置年月日(使用開始時点)、設置場所(屋内または屋外)、空調設備の有無、前述した種々の温度データT,ΔD,T,ΔT、更には、本実施形態により得た余寿命の推定結果等が記憶されている。
統括制御手段102及び余寿命演算手段104は、主としてCPU等の演算処理装置からなっている。ここで、統括制御手段102は、データベース101を含むシステム全体を統括的に制御する。
余寿命演算手段104は、データベース101から読み出して記憶手段105に一時的に記憶した空調設備の有無に関する情報と、温度データT,ΔD,T,ΔT及びCと、入力手段107から入力された測定温度T、状態係数k、負荷率及び稼動係数Sと、記憶手段105に記憶されている前述の数式2〜数式6等の演算式と、を用いて、図1に示した手順を実行し、電解コンデンサの余寿命Rを推定する。
以上のようにして、余寿命演算手段104では、主回路部11や電源・制御部12内のコンデンサの余寿命Rを推定する。従って、余寿命演算手段104は、推定された余寿命Rをもって、インバータユニット10の余寿命とすることができる。
なお、測定温度T、状態係数k、負荷率及び稼動係数Sについては、それぞれ温度センサ、汚れセンサ、負荷率センサ、装置稼働率センサまたは制御電源投入率センサを用いて自動的に検出し、オンラインにて余寿命演算手段104に取り込んでも良い。
また、機械的余寿命Rを考慮する場合には、余寿命演算手段104が図4の手順を追加的に実行して電解コンデンサの余寿命Rを推定すれば良い。
更に、余寿命演算手段104は、必要に応じて冷却ファンの余寿命Fを数式6により演算すると共に、これらの電解コンデンサの余寿命R及び冷却ファンの余寿命Fに基づいてインバータユニット10の余寿命を推定する。
そして、余寿命演算手段104は、推定した各種の余寿命を出力手段108としてのディスプレイに表示するべく、所定の表示データを作成する。
入力手段107は、システムに対する起動、停止、演算、出力等の指令や、前述した各種データを操作員が入力するためのもので、キーボードやタッチパネル等の入力装置からなり、出力手段108は、余寿命を表示するためのディスプレイ、プリンタ、データ伝送装置等から構成されるものである。
なお、図5に示した構成はあくまで一例であり、本発明の余寿命推定システムは図示例に何ら限定されるものではない。
本発明は、電解コンデンサばかりでなく他種のコンデンサの余寿命推定にも適用可能であると共に、この種のコンデンサを備えたインバータ、コンバータ、チョッパ等の電力変換器、電源機器、通信機器等、各種の電気・電子機器の余寿命推定に利用することができる。
10:インバータユニット
11:主回路部
12:電源・制御部
13:吸気口
14:排気口
21,22:論理和手段
23:乗算手段
24:加算手段
25〜32:ステップ
101:データベース
102:統括制御手段
104:余寿命演算手段
105:記憶手段
106:入出力インタフェース
107:入力手段
108:出力手段

Claims (6)

  1. コンピュータシステムにより、アレニウスの法則に基づく寿命推定演算を行ってコンデンサの寿命を推定し、かつ、その推定寿命を用いて現時点から寿命終期までのコンデンサの余寿命を推定する余寿命推定方法において、
    前記寿命推定演算に用いるコンデンサの周囲温度推定値として、
    前記コンデンサが内蔵された電気・電子機器の吸気温度相当値と、前記電気・電子機器の負荷率に応じた前記コンデンサの周囲温度上昇推定値と、を加算した値を用い、
    かつ、前記寿命推定演算により得た推定寿命を前記電気・電子機器の稼動係数により補正した推定寿命補正値と、前記電気・電子機器の使用開始時点と、現時点と、を用いて、前記コンデンサの余寿命を推定することを特徴とする余寿命推定方法。
  2. コンピュータシステムにより、請求項1に記載した余寿命推定方法により推定したコンデンサの余寿命を、前記電気・電子機器の余寿命として同定することを特徴とする余寿命推定方法。
  3. コンピュータシステムにより、請求項1に記載した余寿命推定方法により推定したコンデンサの余寿命と、前記電気・電子機器に設けられた冷却ファンの周囲温度から推定した冷却ファンの余寿命と、を用いて、前記電気・電子機器の余寿命を推定することを特徴とする余寿命推定方法。
  4. コンピュータシステムにより、アレニウスの法則に基づく寿命推定演算を行ってコンデンサの寿命を推定し、かつ、その推定寿命を用いて現時点から寿命終期までのコンデンサの余寿命を推定する余寿命推定システムにおいて、
    前記コンピュータシステムは、
    前記コンデンサが内蔵された電気・電子機器における前記コンデンサの最高使用温度及び周囲温度上昇係数を含む前記電気・電子機器の仕様データ、前記電気・電子機器の吸気温度を推定するための温度データが少なくとも記憶されているデータベースと、
    アレニウスの法則に基づいて前記コンデンサの寿命を推定する第1の演算式と、第1の演算式により得た推定寿命を補正する第2の演算式と、第2の演算式により得た推定寿命補正値に基づいて前記コンデンサの余寿命を求める第3の演算式と、が少なくとも記憶された記憶手段と、
    第1の演算式による寿命推定演算を行うための前記コンデンサの周囲温度推定値として、前記電気・電子機器の吸気温度の測定値または前記温度データと、前記電気・電子機器の負荷率及び前記電気・電子機器の仕様データから算出した前記コンデンサの周囲温度上昇推定値と、を加算した値を用い、
    第2の演算式により、前記寿命推定演算によって得た推定寿命を前記電気・電子機器の稼動係数により補正して推定寿命補正値を求め、
    第3の演算式により、前記推定寿命補正値と、前記電気・電子機器の使用開始時点と、現時点と、を用いて、前記コンデンサの余寿命を推定する余寿命演算手段と、
    推定した前記コンデンサの余寿命を出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする余寿命推定システム。
  5. 請求項4に記載した余寿命演算手段が、前記余寿命推定システムにより推定したコンデンサの余寿命を、前記電気・電子機器の余寿命として同定することを特徴とする余寿命推定システム。
  6. 請求項4に記載した余寿命演算手段が、前記余寿命推定システムにより推定したコンデンサの余寿命と、前記電気・電子機器に設けられた冷却ファンの周囲温度から推定した冷却ファンの余寿命と、を用いて、前記電気・電子機器の余寿命を推定することを特徴とする余寿命推定システム。
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