(実施の形態1)
図1から図9を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるパターン形成方法について説明する。本実施の形態においては、半導体装置の製造方法を例に採りあげて説明する。本実施の形態においては、位相シフトマスクのうちレベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとを用いる。それぞれの位相シフトマスクを用いて、複数回の露光を行なう。
図1に、本実施の形態における被処理物の表面に配置されたパターンの概略平面図を示す。本実施の形態においては、被処理物としての基板9の表面にレジストパターン10が形成されている。本実施の形態における基板9は、シリコンウェハの表面にポリシリコン膜などの導電膜を配置している。さらに、ポリシリコン膜の表面に有機反射防止膜を膜厚80nmで成膜している。本実施の形態においては、この有機反射防止膜上に配置されるレジストのパターニングを行なう。レジストパターン10は、基板9の表面に形成されたフォトレジストである。本実施の形態においては、ポジ型レジストを用いている。
レジストパターン10は、第1パターン部10aと第2パターン部10bとを含む。第1パターン部10aは、たとえば電界効果トランジスタのゲート電極の部分である。第2パターン部10bは、たとえばゲート電極を接続するための配線部の部分である。第1パターン部10aは、微細線や寸法精度が要求される部分のパターンである。第2パターン部10bは、第1パターン部10aよりも寸法が大きかったり、第1パターン部10aよりも寸法精度が緩かったりするパターンである。
本発明において、最小寸法とは、目的とするパターンの寸法のうち最小となる径(橋渡し)の寸法である。第1パターン部10aは、第1最小寸法Dmin1を有する。本実施の形態における第1最小寸法は、第1パターン部10aの延びる方向に垂直な幅である。第2パターン部10bは、第2最小寸法Dmin2を有する。本実施の形態における第2最小寸法は、第1パターン部10aから延在する部分の幅である。本実施の形態においては、第1最小寸法が第2最小寸法よりも小さくなるように形成されている。
このような形状を有するフォトレジストを形成するために、フォトリソグラフィ工程が行なわれる。フォトリソグラフィ工程においては、たとえば、感光性樹脂のレジスト膜を基板上の被加工膜としての導電膜の表面に均一に配置して、露光を行なった後に現像することにより、所望の形状の部分にレジストを残すことができる。さらに、残ったレジストをマスクとして、被加工膜をエッチングすることにより被加工膜を所望の形状にパターニングすることができる。
本実施の形態においては、第1パターン部10aを形成するための露光をレベンソン型マスクで行なう。第2パターン部10bを形成するための露光をハーフトーン型マスクで行なう。
図2に、本実施の形態におけるレベンソン型マスクの概略平面図を示す。図3に、図2におけるIII−III線に関する矢視断面図を示す。
レベンソン型マスクは、たとえば、石英ガラスなどで形成された透光板19を備える。透光板19の表面には、光を遮るための遮光膜1が配置されている。遮光膜1は、たとえば、Cr膜で形成されている。
遮光膜1は、光を通すための透光領域として開口部を有する。本実施の形態においては、開口部は、同位相開口部1aおよび反転位相開口部1bを有する。同位相開口部1aおよび反転位相開口部1bは、第1パターン部10a(図1参照)に対応する部分の両側に配置されている。
同位相開口部1aにおいて、透光板19の表面は平面状に形成されている。レベンソン型マスクの透光領域のうち同位相領域は、透光板19の主表面で構成されている。反転位相開口部1bにおいては、透光板19の表面に凹部24が形成されている。レベンソン型マスクの透光領域のうち反転位相領域は、透光板19の表面に形成された凹部24で構成されている。凹部24は、反転位相開口部1bを通る光の位相が反転するように形成されている。たとえば、凹部24は、反転位相開口部1bを通る光が、同位相開口部1aを通る光と比較して、位相が180°ずれるように形成されている。
本実施の形態における凹部24は、寸法精度を向上させるために形成されたアンダーカット部24aを有する。アンダーカット部24aは、遮光膜1の反転位相開口部1bにおける端部において、端部の内側まで延びるように形成されている。すなわち、遮光膜1は、反転位相開口部1bにおいて庇となる部分を有する。
本実施の形態におけるレベンソン型マスクは、光の位相を反転させるために、透光板に凹部が形成されているが、特にこの形態に限られず、たとえば、反転位相開口部の透光板の表面に位相を反転させるためのシフタなどが配置されていても構わない。
図4に、本実施の形態におけるハーフトーン型マスクの概略平面図を示す。ハーフトーン型マスクは、透光板19の表面に遮光部5aが形成されている。遮光部5aは、光を完全に遮るように形成されている。遮光部5aは、たとえば、Cr膜で形成されている。遮光部5aは、レベンソン型マスクにおいて露光される部分に露光が行なわれないように形成されている。遮光部5aは、レベンソン型マスクの開口部に対応して形成されている。透光板19の表面には、レジストパターン10の第2パターン部10b(図1参照)を形成するためのハーフトーン部5bが配置されている。ハーフトーン部5bは、レジストパターンの第2パターン部10bの形状に対応して形成されている。
本実施の形態におけるハーフトーン部5bは、露光される光の一部を透過するように形成されている。ハーフトーン部5bは、透過する光の位相が反転するように形成されている。本実施の形態におけるハーフトーン部5bは、透光板19の表面に配置された位相シフタを含む。ハーフトーン部としては、位相シフタの配置に限られず、露光される光の一部分を透過して、さらに位相が反転するように形成されていれば構わない。
図1を参照して、本実施の形態においては、第1パターン部10aの第1最小寸法Dmin1が第2パターン部10bの第2最小寸法Dmin2よりも小さくなるように露光を行なう。本実施の形態においては、第2最小寸法Dmin2が、第1最小寸法Dmin1の1.3倍以上になるように、レジストパターン10を形成する。第1パターン部10aの第1最小寸法Dmin1が70nmのレジストパターン10を形成する。
はじめに、有機反射防止膜の表面に感光性樹脂としてのアクリル系ポジレジストを膜厚180nmで塗布する。このレジスト膜に対して露光前加熱処理を行なう。
次に、第1パターン部10aを形成するための第1露光工程を行なう。第1露光工程は、レベンソン型マスクを用いて露光を行なう。第1露光工程においては、同位相開口部1aと反転位相開口部1bとを有するレベンソン型マスク(図2参照)を用いて行なう。
本実施の形態における第1露光工程では、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いてレジスト膜に露光を行なう。本実施の形態におけるレベンソン型マスクの遮光膜1の同位相開口部1aの幅および反転位相開口部1b(図2参照)の幅は、それぞれ140nmである。同位相開口部1aと反転位相開口部1bとの距離は、140nmである。このレベンソン型マスクを、NA(Numerical Aperture)が0.82、Conv.(σ=0.40)の条件で露光を行なう。ここで、NAは開口率である。Conv.は通常照明の円形開口絞りである。また、σは基板(ウェハ)の側から見たときの照明光学NAと投影レンズ系NAの比である。
次に、第2パターン部10bを形成するための第2露光工程を行なう。第2露光工程は、ハーフトーン型マスクを用いて露光を行なう。第2露光工程においては、遮光部5aとハーフトーン部5bとを有するハーフトーン型マスク(図4参照)を用いて行なう。
第2露光工程においては、図4における遮光部5aの部分が遮光される。すなわち、第2露光工程は、第1露光工程で露光が行なわれた範囲に、再度露光が行なわれないように行なう。図4に示すハーフトーン部5bにおいては、光の一部が透過するとともに、光の位相が反転する。
本実施の形態においては、透過率が6%のハーフトーン部を有するマスクを用いる。第2露光工程においては、NAが0.80、Conv.(σ=0.85)の条件で露光を行なった。第2露光工程におけるレジストへの露光量が第1露光工程におけるレジストへの露光量よりも小さくなるように行なっている。すなわち、ハーフトーン型マスクを用いてレジストなどの被照射物に対して行なわれる露光量は、レベンソン型マスクを用いて行なう露光量以下になるように露光工程を行なっている。
第1露光工程および第2露光工程の後に、レジスト膜の現像を行なって、図1に示すパターンを形成した。本実施の形態においては、第1露光工程の後に第2露光工程を行なっているが、第2露光工程を先に行なっても構わない。すなわち、ハーフトーン型マスクによる露光を先に行なっても構わない。
第1露光工程において、同位相開口部1aを通った光は、位相が変わらずに露光が行なわれる。反転位相開口部1bを通った光は位相が反転する。第1パターン部10aの部分では光の干渉が生じる。このため、第1パターン部10aの部分が露光されることを抑制でき、第1パターン部10aにおける寸法精度を向上させることができる。または、微細な第1パターン部10aを形成することができる。
本実施の形態においては、レジストパターン10のうち、第1パターン部10aをレベンソン型マスクによって露光を行ない、第2パターン部10bをハーフトーン型マスクによって露光を行なう多重露光法を採用している。多重露光法においては、はじめに露光を行なった部分の潜像は、後に露光を行なったときの光の被りによって影響を受ける場合がある。
たとえば、本実施の形態においては、図1を参照して、レジストパターン10の第1パターン部10aの潜像は、後にハーフトーン型マスクを用いて露光を行なうときに影響を受ける。たとえば、ハーフトーン型マスクを用いて露光を行なう第2露光工程の露光量が多すぎると、第1パターン部10aの寸法精度が悪化する場合がある。
図5に、本実施の形態における露光試験の結果のグラフを示す。図5は、本実施の形態におけるレジストパターンの第1パターン部10a(図1参照)における合成光学像のグラフである。横軸は、第1パターン部10aの幅方向の中心から、幅方向の外側に向かった距離を示している。0の位置は、第1パターン部の幅方向の中心である。縦軸は、レベンソン型マスクおよびハーフトーン型マスクによる光強度を示している。
露光試験においては、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量の比率を、それぞれ変化させて露光を行なった。また、レベンソン型マスクのみを用いて露光を行なった場合についても試験を行なった。
図5を参照すると、レベンソン型マスクの露光量の比率が小さいほど、合成光学像の傾きが小さくなって潜像が劣化することがわかる。すなわち、レベンソン型マスクの露光量の比率が低いほど、ハーフトーン型マスクの露光の影響を受けやすくなり、寸法精度が悪化する。
たとえば、第1パターン部の中心からの距離が略0.03μmよりも大きい範囲において(レジストパターンの第1パターン部の線幅が0.06μmよりも大きい領域において)、レベンソン型マスクのみを用いた場合とほぼ同じの傾きの合成光学像を得るためには、ハーフトーン型マスクの露光量に対して、レベンソン型マスクの露光量を少なくとも0.8倍以上にする必要がある。さらに、レベンソン型マスクの露光量を、ハーフトーン型マスクの露光量の1.0倍以上にすることによって、レベンソン型マスクのみを用いた場合と同程度以上の寸法精度を有する潜像を、より確実に得ることができる。
次に、露光量比率を定める基準として、ILS(Image Log Slope)値を採用する。ILS値は、像強度の対数の勾配を示し、ILS値=(1/Is)×(ΔI/Δx)で定義される。ここで、Isはスライス値であり、(ΔI/Δx)は、光強度線のスライス値となる点における光強度の勾配を示す。
本実施の形態においては、スライス値を算出する線幅の代表値として、0.08μmを用いる。デザインルール(設計基準)が65nmの装置において、電極や配線などの線幅はおおよそ60nm以上70nm以下である。このときのレジスト膜の線幅がおおよそ80nmであることにより、スライス値を算出する線幅の代表値を定めた。すなわち、この線幅は、デザインルールが65nmの半導体装置における汎用的な線幅である。この線幅においては、線幅の中心から−0.04μm以上+0.04μm以下の位置の範囲がスライス値として採用される。
図6に、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率を変化させたときのILS値を説明するグラフを示す。横軸が露光量比率を示し、縦軸がILS値を示す。レベンソン型マスクの露光量比率を増加させることによって、ILS値が増加する。前述の通り、図5のグラフから、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率が1:1であれば、優れた合成潜像を得ることができる。図6において、露光量比率が1:1になるILS値は、レベンソン型マスクのみのILS値の約0.8倍であり、略34である。すなわち、ILS値が略34以上であれば、合成光学像の露光量の十分な傾きを確保することができ、寸法精度の優れた第1パターン部を形成することができる。または、微細な第1パターン部を形成することができる。
以上のように、レベンソン型マスクの露光量は、ハーフトーン型マスクの露光量の1.0倍以上が好ましい。しかし、ハーフトーン型マスクの露光量比率を下げていくと、ハーフトーン型マスクの遮光部の寸法が小さくなる。この結果、遮光部がマスク製造限界以下の大きさになる場合があり、マスク製造限界以下の大きさになるとマスクを製造できなくなる。マスクの製造を考慮すると、レベンソン型マスクの露光量は、ハーフトーン型マスクの露光量の1.0倍以上1.2倍以下がより好ましい。
レベンソン型マスクによる露光量をハーフトーン型マスクによる露光量以上にすることは、ハーフトーン型マスクで形成する第2パターン部の最小寸法が、レベンソン型マスクで形成する第1パターン部の最小寸法の1.3倍以上になる場合に有用である。露光工程においては、露光装置のフォーカス裕度が問題になる場合がある。すなわち、露光装置のピント合せを変動させたときの寸法変動が、許容範囲に収まらなくなる問題が生じる場合がある。このフォーカス裕度の問題は、第2最小寸法が第1最小寸法の1.3倍未満の場合に顕著になる。第2最小寸法が第1最小寸法の1.3倍以上の場合は、レベンソン型マスクの露光量をハーフトーン型マスクの露光量以上にすることによって、寸法精度の優れた第1パターン部を形成することができる。または、微細な第1パターン部を形成することができる。さらに、65nm以下のデザインルールの半導体装置の製造方法においては、線幅が微細になるために特に有用になる。
本実施の形態においては、レベンソン型マスクの露光量をハーフトーン型マスクの露光量以上となるように露光を行なうことにより、レベンソン型マスクの部分における潜像のコントラストを向上させることができ、微細な半導体装置を提供することができる。または、寸法精度が向上した半導体装置を提供することができる。
ハーフトーン型マスクの露光量を小さくするためには、光源の光の強度を弱くすることや露光時間を短くする方法の他に、光学近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)を採用する方法がある。
図7に、露光量を小さくするために、光学近接効果補正を採用したハーフトーン型マスクの概略平面図を示す。透光板19の表面に形成するハーフトーン部において、ハーフトーン部5bを小さくして、ハーフトーン部5cを形成する。このように、ハーフトーン部を小さくするバイアスを設定することにより、被照射物に対する露光量を小さくすることができる。ハーフトーン部のマスクバイアス量の目安としては、たとえば、基準パターンとしてハーフトーン部同士の間隔が2000nm以上で、最小幅寸法が70nmとなる孤立パターンにおいては、マスクバイアスを片側5nm以上10nm以下に設定する。
露光工程においては使用されるレジストの種類によっても光学潜像に影響を受ける。次に、使用するレジストの種類について説明する。
図8に、レジストの光学近接効果(OPE:Optical Proximity Effect)の依存性を説明する基準パターンの概略斜視図を示す。基準パターンにおいては、ハーフトーン型マスク26を介して、レジスト27に露光を行なう。ハーフトーン型マスク26は、ハーフトーン部26aを有する。
ハーフトーン部26aは、直線状に形成されている。ハーフトーン部26aは、互いに延びる方向が平行になるように形成されている。レジスト27の露光領域27aは、それぞれ線状になる。このような基準パターンにおいて、ハーフトーン部26a同士の距離をスペースサイズSとする。また、ハーフトーン部26aの幅をWとする。露光領域27aの幅をCD(Critical Dimension)値とする。本実施の形態においては、スキャナタイプの露光装置を用いており、CD値がハーフトーン部26aの幅Wのほぼ1/4になる。
図9に、2種類のレジストにおけるCD値の特性を説明するグラフを示す。本実施の形態においては、レジスト膜としてアクリル系ポジレジストを用いている。横軸はスペースサイズSであり、縦軸はCD値である。スペースサイズSが小さくなる部分においては、それぞれのCD値が急激に上昇している。
レジストAにおける(CD値の最大値−CD値の最小値)は、レジストBにおける(CD値の最大値−CD値の最小値)よりも大きい。すなわち、レジストAは、光学近接効果がレジストBよりも大きい。このように、レジストの種類によっても、OPE特性が異なる。このため、OPE特性の優れたレジストを選択することが好ましい。たとえば、(CD値の最大値−CD値の最小値)の値が大きいレジストの場合には、ピッチが小さなパターンを形成すると期待値から大きく外れる可能性がある。そのため、光学近接補正を行なった場合には、ピッチが小さなパターンでは、マスク製造限界以下のサイズになる可能性がある。図9においては、レジストAよりもレジストBを用いることが好ましい。
レジストとしてOPE特性の優れたレジストを選択することによって、露光量比率の選択幅を大きくすることができ、製造されるパターンの期待値を変更することなく露光量比率を変更することができる。
(実施の形態2)
図10から図15を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるパターン形成方法について説明する。本実施の形態において、レベンソン型マスクを用いて露光を行なう第1露光工程と、ハーフトーン型マスクを用いて露光を行なう第2露光工程とを含むことは実施の形態1と同様である。また、第2パターンの第2最小寸法が第1パターンの第1最小寸法の1.3倍以上になるときに、第2露光工程の露光量が第1露光工程の露光量以下なるように行なうことも実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、第2露光工程において、ハーフトーン部の透過率を下げたハーフトーン型マスクを用いることにより露光を行なう。本実施の形態においては、実施の形態1と同様の試験方法により試験を行なった。
図10に、本実施の形態における第1試験の結果を説明する第1のグラフを示す。図11に、本実施の形態における第1試験の結果を説明する第2のグラフを示す。第1試験においては、レベンソン型マスクを用いて行なう第1露光工程の露光量と、ハーフトーン型マスクを用いて行なう第2露光工程の露光量とを1:1の比率で設定した。ハーフトーン型マスクのハーフトーン部の透過率を6%から0%まで変化させたときのそれぞれの位置における露光量を求めた。
図10に、レベンソン型マスクにより形成されるレジストパターンの第1パターン(図1参照)の合成光学像のグラフを示す。横軸はレベンソン型マスクによって形成される直線状の部分の幅方向の中心からの距離を示し、縦軸は光強度を示す。ハーフトーン型マスクの透過率を下げることによって、位置0μmにおける光強度が0に近づく。
図11に、第1試験におけるILS値のグラフを示す。横軸はハーフトーン型マスクのハーフトーン部の透過率を示し、縦軸はILS値を示す。ハーフトーン型マスクのハーフトーン部の透過率が0%であるマスクはハーフトーン部を有さない遮光した通常のマスクになる。
図11に示すように、ハーフトーン部の透過率を下げることにより、ILS値は大きくなる傾向にある。ハーフトーン部の透過率を下げることにより、第1パターン部の寸法精度が向上することが分かる。図11を参照して、レベンソン型マスクの露光量とハーフトーン型マスクの露光量との比が1:1の場合においては、ハーフトーン型マスクの透過率を6%以下にすることによって、ILS値を略34以上にすることができる。
図12に、本実施の形態における第2試験の結果を説明する第1のグラフを示す。図13に、本実施の形態における第2試験の結果を説明する第2のグラフを示す。第2試験においては、第1試験よりもレベンソン型マスクの露光量を相対的に少なくする。第2試験においては、レベンソン型マスクの露光量とハーフトーン型マスクの露光量との比を0.8:1にして試験を行なった。
図12に、レベンソン型マスクにより形成されるレジストパターンの第1パターンの部分の合成光学像を示す。図13に、第2試験におけるILS値のグラフを示す。図12を参照して、ハーフトーン型マスクの透過率を下げることによって、位置0μmにおける光強度が0に近づく。図13を参照して、レベンソン型マスクの露光量とハーフトーン型マスクの露光量との比を0.8:1の場合においては、ハーフトーン型マスクの透過率を4%以下にすることによって、ILS値を略34以上にすることができる。
図14に、本実施の形態における第3試験の結果を説明する第1のグラフを示す。図15に、本実施の形態における第3試験の結果を説明する第2のグラフを示す。第3試験においては、第2試験よりもレベンソン型マスクの露光量をさらに相対的に少なくする。第3試験においては、レベンソン型マスクの露光量とハーフトーン型マスクの露光量との比を0.6:1にして試験を行なった。
図14に、レベンソン型マスクにより形成されるレジストパターンの第1パターンの部分の合成光学像のグラフを示す。図15に、第3試験におけるILS値のグラフを示す。図14を参照して、ハーフトーン型マスクのハーフトーン部の透過率を下げることによって、位置0μmにおける光強度が0に近づく。また、図15を参照して、レベンソン型マスクの露光量とハーフトーン型マスクの露光量との比を0.6:1の場合においては、ハーフトーン型マスクの透過率を4%以下にすることによって、ILS値を34以上にすることができる。
このように、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率を変化させても、ハーフトーン型マスクのハーフトーン部の透過率を対応させて調整することにより、レベンソン型マスクで形成するパターンの寸法精度を向上させることができる。
その他の構成、作用、効果および方法については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
(実施の形態3)
図16から図20を参照して、本発明に基づく実施の形態3におけるパターン形成方法について説明する。本実施の形態におけるパターン形成方法において、レベンソン型マスクを用いて露光を行なう第1露光工程と、ハーフトーン型マスクを用いて露光を行なう第2露光工程とを含むことは実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、第2パターンの第2最小寸法が第1パターンの第1最小寸法の1.0倍以上1.1倍以下の場合に、第2露光工程の露光量が第1露光工程の露光量よりも大きくなるように行なう。
図16は、本実施の形態におけるレジストパターンの概略平面図である。基板9の表面に、レジストパターン11〜13を形成する。レジストパターン13は、レジストパターン11とレジストパターン12とに挟まれる位置に配置されている。レジストパターン13は、ハーフトーン型マスクによって形成される。
レジストパターン11は、第1パターン部11aと第2パターン部11bとを含む。レジストパターン12は、第1パターン部12aと第2パターン部12bとを含む。第1パターン部11a,12aは、レベンソン型マスクによって形成される部分である。第2パターン部11b,12bは、ハーフトーン型マスクによって形成される部分である。
第1パターン部11a,12aは、たとえば、電界効果トランジスタのゲート電極となる部分である。活性領域50は、たとえば、基板9の表面に不純物が打ち込まれ、電界効果トランジスタのソース領域またはドレイン領域になる領域である。レジストパターン13の部分は、たとえば配線が形成される。
本実施の形態においては、レベンソン型マスクによって形成されるレジストパターンに挟まれるレジストパターン13に着目する。レジストパターン13によって形成される基板9の表面の配線パターンは、たとえば、直線状の部分の幅(図16のレジストパターン13の幅L1に対応する部分の幅)が70nmである。
図17に、本実施の形態におけるレベンソン型マスクの概略平面図を示す。レベンソン型マスクは、遮光膜2を含む。遮光膜2は、同位相開口部2a,2cおよび反転位相開口部2b,2dを有する。同位相開口部2aと反転位相開口部2bとが対になることにより、同位相開口部2aと反転位相開口部2bとの間に線パターンであるレジストパターン11の第1パターン部11aが形成される。同じように、同位相開口部2cと反転位相開口部2dとが対になることにより、レジストパターン12の第1パターン部12aが形成される(図16参照)。
図18に、本実施の形態におけるハーフトーン型マスクの概略平面図を示す。ハーフトーン型マスクは、透光板19を含む。透光板19の表面には、遮光部6a,6cが形成されている。遮光部6a,6cは、光をわずかに通すように形成されている。透光板19の表面には、ハーフトーン部6b,6d,6eが形成されている。遮光部6a,6cは、レベンソン型マスクの開口部に対応するように形成されている。ハーフトーン部6b,6dは、レジストパターン11,12の第2パターン部11b,12bにそれぞれ対応するように形成されている。ハーフトーン部6eは、レジストパターン13に対応するように形成されている(図16参照)。このように、ハーフトーン型マスクで露光を行なうレジストパターン13の直線状の部分は、レベンソン型マスクで露光を行なうレジストパターン11,12の第1パターン部11a,12aに挟まれている。
これらのレベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとを用いて、露光量の比率を1:1にして露光を行なう場合には、たとえば、レジストパターン13の幅方向の長さL1に対応するレベンソン型マスクの開口部間に配置され、ハーフトーン型マスクで形成される配線パターンの遮光部幅は90nmになる(図16参照)。
図19に、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率が、1:1のときの合成光学像のグラフを示す。横軸は、図16におけるA−A線で切断したときの断面における位置である。縦軸は、合計光学像の光強度を示す。図19において、Aの部分が、図16におけるレジストパターン13の部分である。光強度の最小値Iminは、0.123である。
次に、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率が0.6:1のときの露光の場合を説明する。すなわち、レベンソン型マスクの露光量を相対的に下げる。この場合には、レジストパターン13の幅方向の長さL1に対応するレベンソン型マスクの開口部間に配置され、ハーフトーン型マスクで形成される配線パターンの遮光部幅は110nmになる(図16参照)。
図20に、レベンソン型マスクとハーフトーン型マスクとの露光量比率を0.6:1にしたときの合成光学像のグラフを示す。Aの部分が、図16におけるレジストパターン13の部分である。光強度の最小値Iminは、0.063になり、小さな値を確保することができる。
図19および図20を参照して、ハーフトーン型マスクの露光量に対して、レベンソン型マスクの露光量の比率を上げていくと、ハーフトーン型マスクによって形成されるパターンの光強度の最小値Iminを十分に低くできないことが生じる。レベンソン型マスクを用いて第1露光工程を行なうと、ハーフトーン型マスクで形成すべき潜像に対して影響を与え、ハーフトーン型マスクで形成すべき線パターンの光強度の最小値Iminが大きくなる。
この結果、たとえば、ハーフトーン型マスクで形成する部分で断線のような不良を引き起こす場合がある。すなわち、第1露光工程における露光処理時に、最適条件として露光量とフォーカスとを設定するが、このフォーカス(ピント合わせ)が、装置の起因などによる何らかの影響で変動する場合があり、変動した状態で露光が行なわれる場合があり得る。このときに、位相シフト型マスクによって形成される潜像がハーフトーン型マスクによって形成される潜像に影響を与え、ハーフトーン型マスクによって形成されるパターンに不良が生じる場合がある。
この不良は、第1最小寸法を有する第1パターンと、第2最小寸法を有する第2パターンとを形成する工程を含み、第2最小寸法が第1最小寸法の1.1倍以下になる場合に顕著に生じる。この場合には、ハーフトーン型マスクによる第2露光工程の露光量が、レベンソン型マスクによる第1露光工程の露光量よりも大きくなるように行なう。この方法により、ハーフトーン型マスクにより形成される第2パターンのうち、レベンソン型マスクにより形成される第1パターンに隣接するパターンの不良を抑制することができる。特に、第1パターンに挟まれる第2パターンの不良を抑制することができる。
たとえば、図16においては、レジストパターン11,12の第1パターン部11a,12aに挟まれるレジストパターン13の直線状の部分の断線を抑制することができる。
本実施の形態においては、ハーフトーン型マスクで形成する潜像のコントラストを向上させることができ、ハーフトーン型マスクで形成されるパターンの不良を抑制することができる。または、ハーフトーン型マスクを用いる第2露光工程において、露光を行なう際のフォーカス裕度を向上させることができる。
次に、本実施の形態に記載のパターン形成方法と実施の形態1および2に記載のパターン形成方法との使用形態について説明する。
電界効果トランジスタのゲート長のうち最小のゲート長が70nmで設計された半導体装置Aおよび半導体装置Bを形成する。電界効果トランジスタのゲート電極はレベンソン型マスクで形成して、配線部はハーフトーン型マスクで形成する。
ここで、半導体装置Aについては、配線部の最小寸法が100nmで設定されている。半導体装置Aの配線部は、露光における潜像形成のプロセス余裕が大きくなるように配置されている。半導体装置Aのゲート長の要求される寸法精度は、厳しい条件になっている。一方で、半導体装置Bについては、配線部の最小寸法はゲート長の最小寸法と同じ70nmで設定されている。半導体装置Bの配線部は、露光における潜像形成のプロセス余裕が小さい。但し、上記寸法は、製造プロセスのばらつきにより、仕上がりの状態で±10%程度ばらつくことがある。
このような場合に、半導体装置Aについては、実施の形態1に示したように、ハーフトーン型マスクによる露光量をレベンソン型マスクによる露光量以下にすることによって、配線部の潜像形成のプロセス余裕の範囲内で、高い寸法精度を有するゲート電極を形成することができる。
半導体装置Bについては、本実施の形態で示したように、ハーフトーン型マスクによる露光量をレベンソン型マスクによる露光量よりも大きくすることにより、配線部を形成するときの潜像形成のプロセス余裕を確保することができる。
その他の構成、作用、効果および方法については、実施の形態1および2と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
(実施の形態4)
図21から図26を参照して、本発明に基づく実施の形態4におけるレベンソン型マスクの製造方法について説明する。
図21に、本実施の形態において形成するレジストパターンの概略平面図を示す。本実施の形態においては、レベンソン型マスクおよびハーフトーン型マスクを用いる。基板9の表面には、ポリシリコンなどの導電膜(図示せず)を介してレジストパターン11〜13が形成されている。レジストパターン11は、第1パターン部11aと第2パターン部11bを含む。レジストパターン12は、第1パターン部12aと第2パターン部12bとを含む。
第1パターン部11a,12aは、レベンソン型マスクを用いて形成される。さらに第1パターン部11a,12aをマスクとして導電膜をパターニングすることにより、たとえば、電界効果トランジスタのゲート電極となる。活性領域50は、たとえば、電界効果トランジスタのソース領域やドレイン領域になる。第2パターン部11b,12bは、ハーフトーン型マスクを用いて形成される。レジストパターン13は、ハーフトーン型マスクを用いて形成される。レジストパターン13は、たとえば、配線になる。
本実施の形態においては、第1パターン部11aと、レジストパターン13の直線状の部分との距離L2に対応する距離は、160nmである。たとえば、電界効果トランジスタのゲート電極と配線との距離は、160nmである。また、本実施の形態においては、第1パターン部12aとレジストパターン13の直線状の部分との距離は、第1パターン部11aとレジストパターン13の直線状の部分との距離と同じである。
本実施の形態においては、第1パターン部11a,12aの幅L3に対応して形成される線の幅は、60nmである。また、レジストパターン13の直線状の部分の幅に対応して形成される線の幅は、幅L3に対応する幅と同じである。たとえば、電界効果トランジスタのゲート電極の幅は、60nmである。
図22に、本実施の形態におけるレベンソン型マスクの概略平面図を示す。図23に、図22におけるXXIII−XXIII線に関する矢視断面図を示す。
本実施の形態におけるレベンソン型マスクは、透光板21の表面に遮光膜3を備える。遮光膜3は、光を遮断するように形成されている。遮光膜3は、同位相開口部3a,3cと反転位相開口部3b,3dとを有する。本実施の形態においては、同位相開口部3a,3c同士が隣り合うように形成されている。
図23を参照して、透光板21の表面には遮光膜3が形成されている。同位相開口部3a,3cにおいては、透光板21の主表面が配置されている。反転位相開口部3b,3dにおける透光板21の表面には、それぞれ凹部22が形成されている。凹部22は、反転位相開口部3b,3dを通る光の位相が半波長ずれるように形成されている。すなわち、波長が反転するように形成されている。凹部22は、アンダーカット部22aを有する。
レベンソン型マスクにおいては、形成する線パターンなどのパターンの両側に、同位相開口部および反転位相開口部を配置する必要がある。すなわち、同位相開口部と反転位相開口部とで形成するパターンを挟み込む必要がある。
レベンソン型マスクの製造工程は、形成するパターンに対して、開口部を設定する必要がある。レベンソン型マスクの製造方法においては、同位相開口部および反転位相開口部を設定する開口部設定工程を含む。1つの同位相開口部と1つの反転位相開口部とが対で設定されることによって、後の露光で1つのパターンが形成される。設定された反転位相開口部に対応する基板の表面には凹部が形成される。本実施の形態においては、同位相開口部および反転位相開口部の対のうち、対同士の距離が近い順に、対同士が対向する開口部の少なくとも一方に、同位相開口部を設定する工程を含む。
図22を参照して、レジストパターン11およびレジストパターン12のそれぞれに対応する部分の両側には、開口部が形成されている。ここで、対同士が対向する開口部同士の距離L4を参酌した場合に、他の部分よりも対同士の距離が最も近かったとする。この場合に、少なくとも一方に同位相開口部を設定する。本実施の形態においては、対同士が対向する開口部の両方に、同位相開口部3a,3cを形成している。
本実施の形態におけるハーフトーン型マスクの構成は、実施の形態3におけるハーフトーン型マスクと同様である(図18参照)。
図24に、本実施の形態における比較例としてのレベンソン型マスクの概略平面図を示す。図25に、図24におけるXXV−XXV線に関する矢視断面図を示す。
図24を参照して、比較例としてのレベンソン型マスクは、開口部において、同位相開口部および反転位相開口部の設定方法が異なる。同位相開口部3aと反転位相開口部3bとが対になっている。また、同位相開口部3cと反転位相開口部3dとが対になっている。比較例のレベンソン型マスクにおいては、2つの対同士が対向する開口部が、反転位相開口部3b,3dに設定されている。レジストパターン13の両側に対応する開口部が、反転位相開口部3b,3dに設定されている。
図25を参照して、同位相開口部3a,3cには、透光板21の主表面が構成されている。反転位相開口部3b,3dには、透光板21の主表面に凹部23が形成されている。凹部23は、アンダーカット部23aを有する。
レベンソン型マスクの製造工程においては、たとえば透光板の表面に開口部を有する遮光膜を形成する。次にドライエッチングを行なうことによって、透光板の主表面から凹んだ部分を形成する。さらに、ウエットエッチングを行なうことによって、遮光膜の開口部の下側に、アンダーカット部を形成する。
たとえば、比較例においては、反転位相開口部3b,3dの縁から奥側に100nmのアンダーカット部23aが形成されている。反転位相開口部3bと反転位相開口部3dとの距離は400nmである。この場合には、遮光膜3と透光板21との接触幅L5は、200nmになってしまう。この様に、接触幅L5と反転位相開口部3bおよび反転位相開口部3dの距離との比率が1/2以下になった場合、アンダーカット部が互いに対向すると遮光膜3と透光板21との接触面積が小さくなってしまい、部分的に遮光膜の剥がれが生じる場合がある。特に、線パターンなどの微細化が進んで、開口部同士の距離が小さくなってくると、遮光膜が部分的に剥がれる不具合が顕著に生じる。
開口部を設定する開口部設定工程において、同位相開口部と反転位相開口部との対同士の距離が近い順に対同士が対向する開口部の少なくとも一方に、同位相開口部を設定することにより、対同士が対向する部分において遮光膜が剥がれることを抑制できる。本実施の形態においては、対同士が対向する両側の開口部に同位相開口部を設定している。図23および図24を参照して、互いに対向する同位相開口部3aと同位相開口部3cが設定されている。したがって、同位相開口部3aと同位相開口部3cとに挟まれる遮光膜3の部分と透光板21との接触面積を大きくすることができ、遮光膜3の剥がれを抑制することができる。
レベンソン型マスクの開口部の領域に対して、同位相開口部および反転位相開口部を設定する方法においては、たとえば、シフタ配置DA(Design Automation)システムを採用することができる。シフタ配置DAに本願の開口部の設定方法を適用することにより、レベンソン型マスクの開口部の種類を設定することができる。
図26に、本実施の形態における開口部の設定方法の例を示す。予め形成するレジストパターンに対して光が透過する開口部の領域を設定しておき、それぞれの開口部の領域について、同位相開口部または反転位相開口部を設定していく。
初めに、同位相開口部と反転位相開口部とを対として見たときに、対同士の距離が最も近い部分を選定する。この部分において、対向する2個の対に含まれる4個の開口部の領域のうち、互いに対向する2個の開口部の領域に同位相開口部を設定する。次に、設定した同位相開口部に対応する対の反転位相開口部を設定する。
次に、設定した反転位相開口部と他の反転位相開口部との距離が近く、遮光膜の剥がれが生じる恐れがあるか否かを判別する。遮光膜の剥がれが生じる恐れがある場合には、設定した2個の同位相開口部のうち、一方を反転位相開口部に変更して対となる開口部を同位相開口部に変更する。すなわち、設定した反転位相開口部と他の反転位相開口部との距離が非常に近くなる場合には、上記の変更を元に戻して次の工程に進む。
次に、同位相開口部および反転位相開口部が設定されていない開口部の領域に対して、同様の操作を繰返す。このように、すべての開口部の領域に対して、同位相開口部および反転位相開口部を設定する。
図26に示す例においては、対同士の距離が近い順に同位相開口部を設定したが、この形態に限られず、対同士の距離が所定の値以下のものを選別して、そのうち、対同士の間にハーフトーン型マスクで形成されるパターンが存在する部分について、優先的に同位相開口部を設定しても構わない。
また、反転位相開口部には、透光板の表面に凹部が形成される他に、透光板の主表面にシフタが配置されることがある。このため、凹部の形成やシフタの配置において、製造誤差が生じる場合がある。すなわち、レベンソン型マスクの製造誤差に起因する位相差のずれが生じる場合がある。このため、反転位相開口部同士に挟まれた部分に形成されるパターンにおいては、位相差のずれによる影響を受け、寸法精度が悪くなる場合がある。
しかしながら、本実施の形態のように、対同士の距離が近い部分から順に、ハーフトーン型マスクで形成されるパターンの少なくとも一方を同位相開口部にすることにより、これらのマスク製造時における製造誤差に起因する位相のずれた露光を抑制することができ、寸法精度を向上させることができる。
その他の構成、作用、効果および方法については、実施の形態1から3と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
(実施の形態5)
図27から図31を参照して、本発明に基づく実施の形態5におけるパターン形成方法およびレベンソン型マスクの製造方法について説明する。
図27は、本実施の形態におけるレベンソン型マスクで形成するレジストパターンの概略平面図である。基板9の表面には、レジストパターン11〜13が形成されている。レジストパターン11とレジストパターン12との間には、レジストパターン13が形成されている。レジストパターン11の第1パターン部11aおよびレジストパターン12の第1パターン部12aは、レベンソン型マスクで形成される部分である。
レジストパターン13は、第1パターン部13aおよび第2パターン部13bを含む。本実施の形態においては、第1パターン部13aをレベンソン型マスクで形成する。第2パターン部13bをハーフトーン型マスクで形成する。
本実施の形態においては、ポリシリコンなどの導電膜(図示せず)上に形成された、レジストパターン11,12の第1パターン部11a,12aを用いて、電界効果トランジスタのゲート電極が形成され、レジストパターン13を用いて配線が形成される。第1パターン部11a,12aの両側は、電界効果トランジスタのソース領域などが形成される活性領域50である。レジストパターン11,12は、素子が形成される素子領域51に形成されている。素子分離領域52は、電界効果トランジスタなどの素子が形成されていない領域である。レジストパターン13は、素子分離領域52に形成されている。
図28に、本実施の形態におけるレベンソン型マスクの概略平面図を示す。本実施の形態におけるレベンソン型マスクは、遮光膜4に、レジストパターン11の第1パターン部11aを形成するための同位相開口部4aおよび反転位相開口部4bが形成されている。また、レジストパターン12を形成するための同位相開口部4cと反転位相開口部4dが形成されている。
本実施の形態においては、レジストパターン13のうち、直線状の第1パターン部13aについてもレベンソン型マスクで形成する。ここで、レジストパターン11とレジストパターン12に挟まれるレジストパターン13においては、本来はハーフトーン型マスクによって形成される部分である。本実施の形態においては、レジストパターン13を挟む位置に配置された反転位相開口部4bと同位相開口部4cとの大きさが拡張されている。反転位相開口部4bを通る光および同位相開口部4cを通る光により、レジストパターン13の第1パターン部13aが形成される(図27参照)。
図29に、本実施の形態におけるハーフトーン型マスクの概略平面図を示す。透光板19の表面に遮光部7aが形成されている。遮光部7aは、レジストパターン11の第1パターン部11a、レジストパターン12の第1パターン部12aおよびレジストパターン13の第1パターン部13a(図27参照)を覆うように形成されている。遮光部7aは、レベンソン型マスクの開口部4a〜4dに対応するように形成されている(図28参照)。
ハーフトーン部7b,7cは、レジストパターン11,12の第2パターン部11b,12bに対応するように形成されている。ハーフトーン部7dは、レジストパターン13の第2パターン部13bに対応するように形成されている(図27参照)。
図27を参照して、素子分離領域52に形成されるレジストパターン13と、レベンソン型マスクの露光領域とが所定の距離以内であるときに、レジストパターン13の全てをハーフトーン型マスクによる露光で形成すると、レジストパターン13の第1パターン部13aに対して、反転位相開口部4bおよび同位相開口部4cを通って照射される露光の影響が大きくなってしまう。この結果、レジストパターン13の第1パターン部13aの寸法が大きく変動してしまう場合がある。
上記の所定の距離内にある場合には、ハーフトーン型マスクで形成されるべき配線パターンの外側に配置される同位相開口部および反転位相開口部の大きさを拡張して、レベンソン型マスクによって配線パターンを形成する。
本実施の形態における半導体装置の製造方法は、素子分離領域に形成されるパターンのうち、ハーフトーン型マスクで形成されるべき第2パターンとレベンソン型マスクの開口部を通じて露光される領域との距離が、実質的に第2パターンの寸法変動に影響を与える距離である場合に、第2パターンの部分をレベンソン型マスクによって形成する工程を含む。
すなわち、本実施の形態においては、レベンソン型マスクで形成するべき微細なパターンや寸法精度が要求されるパターン以外のパターンにおいても、レベンソン型マスクで形成されるパターンとの距離が所定の距離以内であればレベンソン型マスクで露光を行なってこのパターンを形成する。
図30および図31に、本実施の形態におけるレベンソン型マスクの製造方法のうち、開口部を設定する開口部設定工程を説明する概略平面図を示す。本実施の形態においては、形成するレジストパターンに対応するレベンソン型マスクの開口部を計算機によって設定する。計算機は、レベンソン型マスクの開口部を設定するためのプログラムを含む。
図30は、計算機における対応部の説明図である。マスク対応部31に対して、レジストパターン対応部41〜43を設定する。ここで、レジストパターン対応部41,42は、図27におけるレジストパターン11,12に対応する部分である。レジストパターン対応部43は、図27におけるレジストパターン13に対応する部分である。
次に、レジストパターン対応部41,42の周りに、それぞれ活性領域対応部44を設定する。活性領域対応部44は、図27における活性領域50に対応する部分である。
次に、レジストパターン対応部41の両側に、同位相開口部31aと反転位相開口部31bとを設定する。また、レジストパターン対応部42の両側に、同位相開口部31cと反転位相開口部31dとを設定する。
レジストパターン対応部43は、反転位相開口部31bと同位相開口部31cとに挟まれる。ここで、レジストパターン対応部43と反転位相開口部31bとの距離L6およびレジストパターン対応部43と同位相開口部31cとの距離L7のうち、少なくとも一方が、所定の距離以内であった場合を想定する。すなわち、開口部を通して露光される部分とレジストパターンとの距離の設計値が所定の距離以内であった場合を想定する。本実施の形態における所定の距離は、0.3×λ/NAを用いている。λは露光を行なうときの光源の波長であり、NAは開口数である。本実施の形態における所定の距離は、解像限界程度の寸法である。
本来ハーフトーン型マスクで形成するべきレジストパターンの両側に対応する部分に配置される開口部とレジストパターン対応部との距離が上記の所定の距離以内であった場合において、レジストパターンの両側の開口部が共に同位相開口部である場合には、一方を反転位相開口部に変更してもよい。
図31は、計算機における対応部にダミー活性領域を設定する工程の説明図である。本実施の形態においては、レベンソン型マスクの開口部の領域に対して同位相開口部および反転位相開口部を設定するために、シフタ配置DA(Design Automation)システムを採用する。
レジストパターン対応部41,42に対応する活性領域対応部44がそれぞれ設定される。レジストパターン対応部43は、第1パターン対応部43a、第2パターン対応部43b,43cを含む。
上記の距離L6および距離L7のうち少なくとも一方が、上記の所定の距離内にある場合には、レジストパターン対応部43を形成する領域に、ダミー活性領域45を設定する。レジストパターン対応部43の第1パターン対応部43aの真下の層に、仮想的に活性領域を形成するように設定する。たとえば、ダミー活性領域45を設定して、第1パターン対応部43aが、あたかもゲート電極であるかのように設定を行なう。
ダミー活性領域45を設定することにより、第1パターン対応部43aは、たとえば、ゲート電極が形成されるものと判断され、第1パターン対応部43aがレベンソン型マスクで形成されるべきパターンと識別される。レベンソン型マスクにおいて、第1パターン対応部43aの両側に同位相開口部および反転位相開口部が設定されるべきであると判断される。図30に示す反転位相開口部31bおよび同位相開口部31cを透過する露光によって第1パターン部13aが形成されるように、反転位相開口部31bおよび同位相開口部31cが拡張される。同位相開口部および反転位相開口部のデータに基づいて、図28に示すレベンソン型マスクが製造される。
本実施の形態においては、レベンソン型マスクの開口部の種類および大きさを設定する計算機プログラムを用いている。素子分離領域に形成されるパターンのうち、レベンソン型マスクによって形成されるパターン同士に挟まれる部分があり、上記の所定の距離内にある場合には、ダミー活性領域を設定して開口部を拡張する。ダミー活性領域を設定することにより、容易に拡張した同位相開口部または反転位相開口部を形成することができる。
本実施の形態においては、計算機のプログラムにより、同位相開口部および反転位相開口部を大きくすべきと判断されて、同位相開口部および反転位相開口部が拡張されている。これらの開口部を拡張する方法としてはこの形態に限られず、まず、第1パターン対応部の両側に同位相開口部および反転位相開口部が設定されて、互いに接触する開口部同士が結合されることによって、同位相開口部および反転位相開口部が拡張されていても構わない。
本実施の形態においては、素子分離領域に形成される配線パターンをレベンソン型マスクで形成することにより、上記配線パターンの寸法精度を向上させることができる。また、フォーカス裕度を向上させることができ、高歩留まりの回路パターンを形成することができる。
上述のそれぞれの実施の形態の図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。