JP2005084170A - 位相シフトマスクの設計方法/製造方法/設計装置 - Google Patents

位相シフトマスクの設計方法/製造方法/設計装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの設計に費やす作業負担を軽減し、作業時間を短縮する。
【解決手段】 露光条件を設定し(S1)、レイアウトパターンを設計し(S2)、転写パターン上の許容最大誤差Dmaxを決定する(S3)。ステップS10の異方性エッチングを実施した場合の溝底部の曲率半径rの予想値を決定する(S4)。曲率半径rに応じた溝を有し、アンダーカット量の異なるJ通りの溝の三次元構造を決定し(S5)、光透過シミュレーションを行い、寸法差を求める(S6)。許容最大誤差Dmaxに相当する寸法差が生じるアンダーカット量を最小値Ucminと決定し(S7)、最適値Ucbestを決定する(S8)。遮光層を有する基板に対して、異方性エッチングおよび等方性エッチングを行い、マスクを製造する(S9〜S11)。
【選択図】 図16

Description

本発明は、位相シフトマスクの設計方法/製造方法/設計装置に関し、特に、半導体装置の製造に用いられる基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの掘込み溝を設計し、これをエッチングにより形成する技術に関する。
半導体装置の高密度化は年々進んでおり、半導体ウエハ上に形成する集積回路パターンは益々微細化してきている。半導体ウエハ上に集積回路パターンを形成する際には、通常、フォトマスクを用いた露光が行われることになるので、露光対象となるパターンの微細化に伴い、フォトマスク上のパターンも微細化せざるを得ない。特に、1990年代の後半からは、露光装置の光源波長よりも短いサイズの微細図形を半導体ウエハ上に形成するための技術開発が盛んに行われている。
一般に、露光装置の光源波長近傍もしくはそれ以下のサイズをもった微細パターンを半導体ウエハ上に形成する場合、光の回折現象が無視できなくなる。具体的には、フォトマスクのパターンとして、互いに隣接する一対の開口窓が形成されていた場合、これら一対の開口窓を透過した光が回折して互いに干渉し合い、本来遮光されるべき部分まで露光してしまう現象が生じる。このため、微細パターンが形成されたフォトマスクには、光の回折現象を考慮した工夫が必要になる。このような工夫を施したフォトマスクとして、位相シフトマスクが知られている。この位相シフトマスクの基本原理は、隣接配置された一対の開口窓を透過する光の位相が逆位相となるような構造を採ることにより、光の干渉を打ち消すことにある。一方の開口窓を透過した光の位相を、他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトさせるためには、フォトマスクを構成する基板に掘込み溝を掘込む方法が提案されている。たとえば、下記の特許文献1には、このような位相シフトマスクの典型例として、基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクが開示されている。また、下記の特許文献2〜4には、コンピュータを用いた三次元シミュレーションと二次元シミュレーションを組み合わせることにより、効率的な位相シフトマスクの設計を行うための技術が開示されている。
特開2002−40624号公報 特願2001−376743号明細書 特願2002−359331号明細書 PCT/JP02/12932号明細書
上述したように、位相シフトマスクでは、光の回折現象を考慮した上で、微細パターンの形状を決定する必要があるため、その設計作業が繁雑になるという問題がある。特に、基板に掘込み溝を形成する基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクなどでは、掘込み溝の形成部が三次元構造をとるため、二次元的な解析では足らず、三次元的な解析を行う必要が生じる。特に、その位相シフトマスクを利用して露光を行った場合の転写パターンの寸法誤差を許容範囲内に抑えつつ、遮光層の剥離などが生じないように、各部の寸法を決定するための効率的な手法が確立していないため、従来は、1枚の位相シフトマスクを設計する上で、多大な労力と時間を費やしていた。
そこで本発明は、作業負担を軽減し、作業時間を短縮することが可能な位相シフトマスクの設計方法/製造方法/設計装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、透光性をもった基板と、この基板上に形成された遮光性をもった遮光層と、を有し、遮光層には複数の開口窓が形成されており、遮光層が形成されている領域からなる遮光部と開口窓が形成されている領域からなる透光部とによって二次元レイアウトパターンが形成されており、かつ、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に開口窓の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝が形成されている位相シフトマスクを設計する設計方法に係るものである。
特に、本発明は、このような位相シフトマスクを、異方性エッチングを行うことにより、基板上に深さd1をもった予備溝を形成する第1のエッチング段階と、この予備溝に対して、等方性エッチングを行うことにより、予備溝の内面を更に深さd2だけ掘り下げ、深さdの掘込み溝(但し、d=d1+d2)を形成する第2のエッチング段階と、を含む工程により製造する場合に、効率的な設計が可能になる位相シフトマスクの設計方法を提供する。
この発明に係る位相シフトマスクの設計方法は、次の各段階よりなる。
設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光光源波長λを含む露光条件Eを設定する露光条件設定段階。
所定寸法をもった複数の開口窓を二次元平面上に配置してなる二次元レイアウトパターンを定義し、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かを定める二次元レイアウパターン設計段階。
二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxを決定する許容誤差決定段階。
第1のエッチング段階によって形成される予備溝の側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値を決定する曲率半径決定段階。
掘込み溝の輪郭位置と開口窓の輪郭位置との距離を示す複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、波長λおよび屈折率nに基づいて深さdを決定し、深さd2をアンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値に設定し、深さd1を、d1=d−d2なる演算により求め、二次元レイアウトパターン上の遮光部をマスクとして用い、第1のエッチング段階により曲率半径rをもった深さd1の予備溝を形成した後、第2のエッチング段階により深さdの掘込み溝を形成することにより得られる合計J通りの三次元構造を決定する三次元構造決定段階。
二次元レイアウトパターンおよびJ通りの三次元構造によって画定されるJ通りの三次元構造体を用いて、位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に露光条件Eで光を透過させた場合に、この一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D1〜DJをシミュレーションにより求める三次元シミュレーション段階。
シミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに対応するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する最小アンダーカット量決定段階。
この最小許容値Ucmin以上となる最適値を最適アンダーカット量Ucbestと決定する最適アンダーカット量決定段階。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る位相シフトマスクの設計方法において、
露光光源波長λおよび基板の屈折率nに基づいて、d=λ/2(n−1)なる式により、掘り込み溝の深さdを決定するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る位相シフトマスクの設計方法において、
転写パターンの寸法差を、一方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値から、他方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値を減じた差として定義するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る位相シフトマスクの設計方法により設計された位相シフトマスクを実際に製造する方法に係るものであり、上述した設計方法を構成する各段階に加えて、更に、
基板上に、二次元レイアウトパターン設計段階で定義されたパターンに応じた複数の開口窓を有する遮光層を形成する段階と、
各開口窓のうちの位相シフトを行う開口窓について、第1のエッチング段階を実行することにより、深さd1(但し、d1=d−Ucbest)をもった予備溝を形成する段階と、
この予備溝について第2のエッチング段階を実行することにより、予備溝の内面を更に深さUcbestだけ掘り下げ、深さdをもった掘込み溝を形成する段階と、
を行うようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る位相シフトマスクの製造方法において、
第1のエッチング段階をドライエッチング工程により行い、第2のエッチング段階をウエットエッチング工程により行うようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、透光性をもった基板と、この基板上に形成された遮光性をもった遮光層と、を有し、遮光層には複数の開口窓が形成されており、遮光層が形成されている領域からなる遮光部と開口窓が形成されている領域からなる透光部とによって二次元レイアウトパターンが形成されており、かつ、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に開口窓の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝が形成されている位相シフトマスクを設計する設計装置に係るものである。
特に、本発明は、このような位相シフトマスクを、異方性エッチングを行うことにより、基板上に深さd1をもった予備溝を形成する第1のエッチング段階と、この予備溝に対して、等方性エッチングを行うことにより、予備溝の内面を更に深さd2だけ掘り下げ、深さdの掘込み溝(但し、d=d1+d2)を形成する第2のエッチング段階と、を含む工程により製造する場合に、効率的な設計が可能になる位相シフトマスクの設計装置を提供する。
この発明に係る位相シフトマスクの設計装置は、
オペレータからの指示に基づいて、所定寸法をもった複数の開口窓を二次元平面上に配置してなる二次元レイアウトパターンを定義し、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かを定める二次元レイアウパターン設計装置と、
オペレータからの指示に基づいて、設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光光源波長λを含む露光条件Eを設定する露光条件設定装置と、
オペレータからの指示に基づいて、第1のエッチング段階によって形成される予備溝の側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値を設定する曲率半径設定装置と、
オペレータからの指示に基づいて、二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxを設定する許容誤差設定装置と、
掘込み溝の輪郭位置と開口窓の輪郭位置との距離を示す複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、波長λおよび基板の屈折率nに基づいて深さdを決定し、深さd2をアンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値に設定し、深さd1を、d1=d−d2なる演算により求め、二次元レイアウトパターン上の遮光部をマスクとして用い、第1のエッチング段階により曲率半径rをもった深さd1の予備溝を形成した後、第2のエッチング段階により深さdの掘込み溝を形成することにより得られる合計J通りの三次元構造を決定する三次元構造決定装置と、
二次元レイアウトパターンおよびJ通りの三次元構造によって画定されるJ通りの三次元構造体を用いて、位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に露光条件Eで光を透過させた場合に、一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D1〜DJをシミュレーションにより求める三次元シミュレーション装置と、
シミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに対応するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する最小アンダーカット量決定装置と、
によって構成されるものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る位相シフトマスクの設計装置において、
露光光源波長λおよび基板の屈折率nに基づいて、d=λ/2(n−1)なる式により、掘り込み溝の深さdを決定するようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第6または第7の態様に係る位相シフトマスクの設計装置において、
転写パターンの寸法差を、一方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値から、他方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値を減じた差として定義するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第6〜第8の態様に係る位相シフトマスクの設計装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを用意し、このプログラムコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
本発明に係る位相シフトマスクの設計方法/製造方法/設計装置によれば、位相シフトマスクの設計に費やす作業負担を軽減し、作業時間を短縮することが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.位相シフトマスクの基本構造 >>>
半導体ウエハ上に集積回路パターンを形成するために用いられるフォトマスクは、基本的には、遮光部と透光部とによって構成される二次元レイアウトパターンである。図1は、このような二次元レイアウトパターンをもったフォトマスクの一例を示す平面図である。このフォトマスクの上面には、遮光層100が形成されており、この遮光層100は、透光部110と遮光部120との2つの領域を有している。この例の場合、透光部110は、図示のとおり正方形状の開口窓によって構成されており、このフォトマスクには、一般に、ホールパターンと呼ばれる二次元レイアウトパターンが形成されていることになる。この他、個々の開口窓を細長い矩形状にしたラインアンドスペースパターンと呼ばれる二次元レイアウトパターンも広く利用されている。遮光部120は、これら矩形状の開口窓を囲うようなフレームによって構成されている。なお、図のハッチング部分は、遮光部120の領域を示すためのものであり、断面を示すものではない。
図2は、図1に示すフォトマスクを、切断線2−2に沿って切った切断面を示す側断面図である。図示のとおり、このフォトマスクは、透光性をもった基板200と、この基板200上に形成された遮光性をもった遮光層100とによって構成されている。基板200は、たとえば、石英ガラスなどの材質から構成され、遮光層100は、たとえば、クロムの金属膜などの材質から構成されている。透光部110は、遮光層100に形成された開口窓の部分である。このフォトマスクに対して露光装置からの光を所定の露光条件で照射すると、遮光部120の部分は光が遮蔽され、透光部110の部分のみ光が透過することになる。
図3は、このフォトマスクを用いた露光作業の様子を示す側断面図である。図示のとおり、通常、フォトマスクは、基板200が上側、遮光層100が下側になるような向きに配置され、上方から所定の照明系を介して露光装置からの光Lが照射される。また、フォトマスクの下方には所定の光学系300(図ではブロック図で示す)が配置され、フォトマスクを透過した光は、この光学系300を介して、半導体ウエハの露光面400に照射されることになる。結局、露光面400上には、図1に示すような二次元レイアウトパターンが露光転写されることになる。
なお、ここでは便宜上、図1に示すとおり、図の横方向にX軸、縦方向にY軸をとり、基板200の表面上にXY平面を定義し、遮光層100によって形成される二次元レイアウトパターンが、このXY平面上に定義されたパターンとなる場合について、以下の説明を行うことにする。したがって、図2に示すように、基板200の主面に対して垂直方向にZ軸が定義され、露光装置からの光LはZ軸方向に照射されることになる。
図1に示す二次元レイアウトパターンは、典型的なホールパターンと呼ばれるパターンであり、複数の同一サイズの開口窓をX軸およびY軸に沿って所定ピッチ配置したものである。本発明は、このように、同一サイズの矩形状の開口窓を所定軸に沿って複数配置した二次元レイアウトパターンを含んだフォトマスクを設計することを前提としたものである。なお、ここでは、ホールパターンを用いた例を示すが、本発明は、ラインアンドスペースパターンについても同様に利用できる技術である。
もっとも、実際の半導体集積回路用の二次元レイアウトパターンは、必ずしも、このような同一サイズの矩形状の開口窓を複数配置したパターンのみから構成されるわけではなく、必要に応じて、L字状の開口窓、U字状の開口窓、その他不規則形状の開口窓などが混在する形態になることが少なくない。しかしながら、同一サイズの矩形状の開口窓を複数配置したホールパターンやラインアンドスペースパターンは、実用上、一般的な半導体集積回路用の二次元レイアウトパターンとして最も頻繁に利用されるパターンであり、大部分の領域が、このような同一サイズの矩形状の開口窓を複数配置したパターンで占められると言っても過言ではない。本発明に係る設計方法は、このような典型的なパターンの部分を設計する上で広く利用可能な技術であり、一般的な半導体集積回路用のフォトマスクを設計するにあたって、非常に利用価値の高い技術である。
なお、図1に示す例は、説明の便宜上、3行5列に正方形状の開口窓が形成された比較的単純な例を示すが、実際には、より多数の開口窓が所定ピッチでX軸およびY軸に沿って配置されたレイアウトパターンが用いられるのが一般的である。
さて、図1に示すようなフォトマスクを、図面に実際に描かれているとおりの実寸で作成した場合、図3において、露光装置から照射される光Lは、粒子としてのふるまいを見せ、遮光層100の開口窓を透過した光はそのまま直進し、露光面400を露光する。したがって、露光面400上には、図1に示す二次元レイアウトパターンと同等の露光パターンが転写されることになる。しかしながら、図1に示すようなフォトマスクのパターン各部が、露光装置の光源波長近傍もしくはそれ以下のサイズで作成されていたとすると事情は変わってくる。開口窓のサイズが、光の波長程度になってくると、露光装置から照射される光Lには、波としての挙動が現れ、開口窓を透過する際に生じる回折現象が無視できなくなる。
図4は、フォトマスクの開口窓を透過した光の挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段はフォトマスクの部分拡大側断面図、中段はフォトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はフォトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。
図の上段に示すように、露光装置からの照射光L1,L2,L3は、それぞれ開口窓111,112,113を透過して、フォトマスクの下方の露光面へと向かうが、このとき、光の回折現象が生じるため、透過光の一部は遮光部121,122,123,124の部分へも回り込むことになる。その結果、光の振幅強度(ここでは、符号をも考慮した振幅強度を示す)は、図の中段のグラフに示すようになる。このグラフの横軸は、フォトマスクのX軸方向の空間的位置に対応しており、各開口窓111,112,113の中心位置にピークをもった振幅強度が得られることが示されている。
こうしてフォトマスクを透過した光は、いずれも同位相の光であるため、図の中段に示すグラフの重なり部分は互いに強め合い、結局、透過光の光強度分布は、各グラフの振幅強度値を加算することにより、図の下段のグラフに示すようなものになる。すなわち、半導体ウエハの露光面における各開口窓111,112,113に対応する領域の光強度は相対的に高くなるものの、遮光部121,122,123,124に対応する領域の光強度もある程度の大きさをもつようになる。したがって、たとえば、露光面に形成されたレジスト膜を感光させるのに必要な光強度のしきい値Thが図の下段のグラフに示すような値であったとすると、図示の例の場合、露光面のすべての領域が感光してしまい、本来のパターンの像を形成することができなくなる。
このような弊害に対処するための一手法として、位相シフトマスクが用いられている。図5は、所定の条件下において、位相シフトマスクの開口窓を透過した光の挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段は位相シフトマスクの部分拡大側断面図、中段はこの位相シフトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はこの位相シフトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。図4の上段に示す通常のフォトマスクと、図5の上段に示す位相シフトマスクとの相違は、後者では、基板200の一部に深さdをもった掘込み溝210が形成されている点である。図示の例では、掘込み溝210は、開口窓112の形成領域に掘られており、開口窓111,113の形成領域には掘込み溝は掘られていない。
ここで、掘込み溝210は、開口窓112を透過する光L2の位相を180°シフトさせる働きをする。別言すれば、掘込み溝210の深さdは、露光装置の光源波長の光の位相を180°だけシフトさせるために必要な長さに設定されている。このような位相シフトマスクに対して、露光装置からの照射光L1,L2,L3を照射すると、これらの光は、それぞれ開口窓111,112,113を透過して、フォトマスクの下方の露光面へと向かうが、開口窓112を透過した光L2だけは、位相が180°だけシフトされることになる。ここでは、開口窓111,113を透過した光L1,L3の位相φを基準の0°とし、開口窓112を透過した光L2の位相φを180°として示す。このように、位相シフトマスクを透過した光には、部分的に位相シフトが生じるので、透過光の符号をも考慮した振幅強度は、図の中段のグラフに示すようになる。すなわち、光L2の位相は、光L1,L3の位相に対して逆転しているため、振幅の符号も逆転することになる。
結局、図の中段に示すグラフの重なり部分は互いに弱め合い、合成した振幅は隣接するグラフの振幅強度値を符号を考慮して加算したものになる。したがって、透過光の光強度分布は、振幅の2乗をとったものになるため、図の下段のグラフに示すようなものになる。すなわち、半導体ウエハの露光面における各開口窓111,112,113に対応する領域の光強度は相対的に高くなり、遮光部121,122,123,124に対応する領域の光強度は相対的に低くなる。このように、開口窓に対応する領域と遮光部に対応する領域との間に十分な光強度の差が得られれば、露光面に本来のパターンの像を形成することが可能になる。
このように、位相シフトマスクの基本原理は、隣接配置された一対の開口窓を透過する光の位相が逆位相となるような構造を採ることにより、遮光部における光の干渉を打ち消すことにある。そして、基板掘込み型の位相シフトマスクでは、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に所定の深さdの掘込み溝を形成するという手法が採られる。
図5は、X軸方向に関して隣接配置された開口窓を透過した光の相互干渉の様子を示すものであるが、同様の相互干渉は、Y軸方向に関して隣接配置された開口窓を透過した光についても生じる。したがって、図1に示すような二次元レイアウトパターンの場合であれば、X軸方向に関して配置された各開口窓について、透過光の位相φが0°,180°,0°,180°,…と交互に繰り返されるようにするとともに、Y軸方向に関して配置された各開口窓についても、透過光の位相φが0°,180°,0°,180°,…と交互に繰り返されるようにすればよい。
結局、図6に示す二次元レイアウトパターンにおいて、Aと記された開口窓を通った透過光の位相φを0°としたときに、Bと記された開口窓を通った透過光の位相φが180°となるようにすれば、X軸方向に関しても、Y軸方向に関しても、図5に示す原理に基づく光の干渉の打ち消し現象を生じさせることができる。具体的には、Aと記された開口窓については、図5に示す開口窓111や113と同様に、基板200に溝を形成する必要はないが、Bと記された開口窓については、図5に示す開口窓112と同様に、基板200に深さdの掘込み溝210を形成することになる。
図6に示すフォトマスクを、切断線2−2に沿って切った側断面図は、図2(拡大側断面図は図5の上段図)のようになるが、この図2の側断面図に示されている各開口窓110を透過した光の強度は、上述の原理によれば、図7(a) に示すようになる。ここで、グラフ上のA,Bは、それぞれ図6にA,Bと記した開口部を透過した光の強度分布を示しており、位相は異なるものの、いずれも同じ光強度分布が得られている。
ところが、実際には、図5の上段に示すような掘込み溝210を形成した場合、図5の下段に示すような理想的な光強度分布は得られないことが知られている。具体的には、図6に示すフォトマスクの場合、図7(a) のような理想的な光強度分布ではなく、実際には、図7(b) に示すような光強度分布が得られることになる。すなわち、透過光の位相φを180°に設定したBと記された開口窓(掘込み溝210を形成した開口窓)についての透過光の強度が、透過光の位相φを0°に設定したAと記された開口窓(掘込み溝210を形成しない開口窓)についての透過光の強度に比べて小さくなる現象が生じる。
図8は、位相シフトマスクの開口窓を透過した光の現実的な挙動を示す図である。図8の中段の振幅強度分布において破線で示すグラフは、図5に示す理想的な振幅強度分布を示しているが、実際には、図に実線で示すように、振幅強度はこれよりも小さくなる。同様に、図8の下段の光強度分布において破線で示すグラフは、図5に示す理想的な光強度分布を示しているが、実際には、図に実線で示すように、光強度はこれよりも小さくなる。
このように、掘込み溝210を透過した光の振幅強度が低下する原因は、図8の上段に示すように、掘込み溝210の側面から下方へと進行する光L4(側面における散乱光も含む)が存在するためである。すなわち、図の上方から下方へと掘込み溝210内を垂直方向に進行する光L2に対して、掘込み溝210の側面から漏れ出てくる光L4は、異なる位相をもった光になるため、両者は打ち消し合うことになる。その結果、開口窓112を透過した光L2の振幅強度は減少することになる。一方、掘込み溝が形成されていない開口窓111,113を透過した光L1,L2については、このような打ち消し合いの現象は生じないため、振幅強度が減少することはない。
結果的に、位相φ=0°の設定が行われた開口窓(掘込み溝が形成されていない開口窓)を透過した光の強度に比べて、位相φ=180°の設定が行われた開口窓(掘込み溝が形成されている開口窓)を透過した光の強度が低下する、という現象が生じてしまう。そうなると、同一サイズの開口窓を有するフォトマスクを用いて露光を行ったのにもかかわらず、露光面に形成される開口窓のパターンにサイズの差が生じる結果になる。
このような問題を解決するために、基板掘込み型のレベンソン型(Levenson type もしくはAlternating Aperture type) 位相シフトマスクでは、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に所定の深さdの掘込み溝を形成するとともに、この掘込み溝の輪郭を、開口窓の輪郭よりも大きく設定する、という手法を採る。
図9は、所定の条件下において、基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの開口窓を透過した光の現実的な挙動を示す図である。図9の中段の振幅強度分布および下段の光強度分布を示すグラフは、図5に示す理想的なグラフと同じものになっている。これは、図9の上段の側断面図に示すように、掘込み溝220の輪郭(XY平面上での輪郭)が、開口窓112の輪郭(XY平面上での輪郭)よりも大きく設定されているからである。このような構造にすれば、掘込み溝220の側面は、開口窓112の輪郭部分よりも後退するため、掘込み溝220の側面から漏れ出てくる光L4が、開口窓112を透過した光L2に干渉することを防ぐことができる。
なお、本願図面では、説明の便宜上、位相シフトマスクを透過した光に関する具体的なグラフを示すが、これらのグラフの形態は種々の条件設定によって異なるものである。一般に、位相シフトマスクを透過した光の挙動は、設計条件(開口窓や遮光部などの二次元的な寸法)、露光条件(露光波長、開口数、コヒーレントファクターなどの値)、そして後述するアンダーカット量や掘込み溝の深さなどの三次元構造によって左右される。本願図面に示すグラフは、これら諸条件を特定の条件に設定した場合に得られる結果を示すものである。
<<< §2.アンダーカット量に関する問題 >>>
さて、既に§1で述べたとおり、図9の上段に示すような三次元構造をもった基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクを用いれば、隣接配置された一対の開口窓(図示の例の場合、一対の開口窓111,112もしくは一対の開口窓112,113)についての透過光の位相を逆転させることができ、しかも掘込み溝の側面から漏れ出る光L4の干渉の影響を抑えることが可能になる。しかしながら、実際には、光L4の干渉の影響を完全に抑えるためには、掘込み溝220の輪郭位置と開口窓の輪郭位置との距離を所定値以上確保する必要がある。
図10は、図9の上段に示す位相シフトマスクの一部分を更に拡大した側断面図(上段)およびこの位相シフトマスクを透過した光の強度を示すグラフ(下段)である。上段の図に示されているとおり、基板200には所定の深さdをもった掘込み溝220が形成されており、この掘込み溝220の輪郭は、開口窓112の輪郭よりも大きく設定されている。すなわち、掘込み溝220の左側の輪郭(左側面)の位置C1は、開口窓112の左側の輪郭位置C2(遮光部122の右端位置)よりも若干だけ左方に後退しており、掘込み溝220の右側の輪郭(右側面)の位置C4は、開口窓112の右側の輪郭位置C3(遮光部123の左端位置)よりも若干だけ右方に後退している。
ここでは、掘込み溝220の輪郭位置と開口窓112の輪郭位置との距離を、図示のとおりアンダーカット量Ucと呼ぶことにする。いわば、このアンダーカット量Ucは、掘込み溝220の開口部分に形成された遮光部122,123による庇の部分の幅に相当する。掘込み溝220の側面から漏れ出る光の干渉の影響を抑える上では、このアンダーカット量Ucは大きければ大きいほど好ましい。実際、アンダーカット量Ucを所定値以上に設定すれば、図9に示す例のように、掘込み溝220の側面から漏れ出る光L4の干渉の影響を完全に抑えることができ、3つの開口窓111,112,113を透過した光L1,L2,L3の強度は等しくなる。
しかしながら、基板200上に形成される二次元レイアウトパターンが微細化すればするほど、十分なアンダーカット量Ucを確保することが困難になってくる。なぜなら、レイアウトパターンが微細化すると、図10の上段に示す開口窓111,112のX軸方向の幅Wxや、遮光部121,122,123のX軸方向の幅Wsも小さくなってくるため、遮光部121,122,123と基板200との間の接触面積も小さくならざるを得ない。前述したように、通常、基板200は石英ガラスのような透光性をもった材料層からなるのに対して、遮光層100はクロムのような遮光性をもった金属材料層から構成される。このため、両材料層の接触面積が小さくなればなるほど、遮光層100が基板200から剥離しやすくなる。
結局、実際の半導体ウエハに対する露光プロセスに耐え得る十分な堅牢性をもった位相シフトマスクを製造する上では、両材料層の接触面積をある程度以上確保せざるを得ない。別言すれば、図10の上段の図において、遮光層122と基板200との間の接触寸法(Ws−Uc)をある程度以上確保しておかないと、遮光層122が基板200から剥離するおそれがある。したがって、レイアウトパターンが微細化すればするほど(遮光層122の幅Wsが小さくなればなるほど)、実際に確保できるアンダーカット量Ucも小さくならざるを得ない。
しかしながら、遮光層100の剥離を防ぐために、アンダーカット量Ucを小さくすると、当然、掘込み溝220の側面から漏れ出る光の干渉の影響が無視できなくなり、掘込み溝220を透過した光の強度が低下することになる。図10の下段に示すグラフは、このような干渉の影響により、開口窓111を透過した光(位相φ=0°の光)の強度に比べて、開口窓112を透過した光(位相φ=180°の光)の強度が低下した例を示すものである。図10の上段に示されているとおり、遮光層100上に形成されている開口窓111,112は、いずれも幅Wxをもった同一サイズの矩形状開口窓であるにもかかわらず、所定条件下で各開口窓を透過した光の強度は、図10の下段に示されているグラフのように異なってしまう。これは、アンダーカット量Ucの寸法が不十分であることを示している。
このように隣接配置された一対の開口窓111,112を透過した光の強度に偏差が生じていると、この位相シフトマスクを用いて露光を行った際に、半導体ウエハの露光面400上に形成されるパターン上に寸法差が発生することになる。すなわち、図6に示す二次元レイアウトパターンの場合、Aと記された開口窓を通った位相φ=0°の光の強度に比べて、Bと記された開口窓を通った位相φ=180°の光の強度の方が低下するため、Aと記された開口窓に対応する転写パターンの一辺の寸法よりも、Bと記された開口窓に対応する転写パターンの一辺の寸法の方が小さくなってしまう。
実際に、どの程度の寸法差が生じるかは、半導体ウエハの露光面400に形成されたレジスト層の感光度、露光強度、露光時間などによって異なるが、通常、図10の下段に示すように、光強度に所定のしきい値Thを定め、二次元座標上で、このしきい値Thに相当する水準線(図に一点鎖線で示す線)を引き、各グラフとの交点をそれぞれQ1,Q2,Q3,Q4として、2点Q1,Q2間の距離Waと、2点Q3,Q4間の距離Wbとを、それぞれ各開口窓を透過した光の強度を示すパラメータとして求め、D=Wa−Wbなる差を、転写パターン上で生じる寸法差と定義する方法が用いられている。この場合、しきい値Thの設定の仕方によって、寸法差Dの値は変動することになるので、しきい値Thを、2点Q2,Q3間の距離が、遮光部122の幅Wsに等しくなるような値に設定する、と定めておくようにする。
別言すれば、図10の下段に示すようなグラフが得られた場合、X軸に平行で、かつ、2点Q2,Q3間の距離が、遮光部122の幅Wsに等しくなるような水準線を定め、この水準線に基づいて、距離Wa,Wbを求め、D=Wa−Wbなる差で定義される値を、標準的な寸法差Dとする。このような方法で、寸法差Dを決定すれば、図10の下段に示すようなグラフに対して一義的に寸法差Dが求まる。
もちろん、このような寸法差Dの定義方法は、あくまでもひとつの例であり、本発明を実施する上で、寸法差Dは、位相φ=0°の開口窓の転写パターンと位相φ=180°の開口窓の転写パターンとの寸法差を定量的に示すことができれば、どのような方法で定義してもかまわない。しかしながら、D=Wa−Wbなる差により定義された寸法差Dは、一般に「Walking Distance」と呼ばれており、実用上、広く利用されているパラメータである。したがって、本実施例では、このD=Wa−Wbなる式で定義された値を寸法差Dを示すパラメータとして用いることにする。
結局、図10の上段に示す構造において、アンダーカット量Ucを小さく設定すればするほど、半導体ウエハの露光面400上に形成されるパターン上に生じる寸法差Dが大きくなるという弊害が生じることになり、逆に、アンダーカット量Ucを大きく設定すればするほど、遮光層122と基板200との接触面積が低下し、剥離の可能性が高くなるという弊害が生じることになる。このため、図示の構造をもった位相シフトマスクを設計する上で、最適アンダーカット量Ucbestを決定することは極めて重要である。本発明は、この最適アンダーカット量Ucbestを決定するための新規な手法を提案するものである。
<<< §3.溝形成のためのエッチングプロセス >>>
上述したように、基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクは、図10の上段に示すように、基板200内に掘込み溝220が形成される点が特徴であるが、基板上に形成された多数の開口窓部分に、このような掘込み溝220を形成するのに最も適した方法は、エッチングプロセスである。もちろん、機械的な加工プロセスによっても、このような掘込み溝220を形成することは原理的には可能であるが、量産性や製造コストを考慮すると、実用上は、基板200に対して、遮光層100やレジスト層などをマスクとしたエッチングプロセスを施すのが現実的である。
一般に、エッチングプロセスは、そのエッチングの方向性に着目すると、異方性エッチングと等方性エッチングとに大別できる。異方性エッチングは、基板に対して主として特定方向に向かって侵食が進行する性質をもったエッチング方法であり、通常は、ドライエッチングの工程により実施される。これに対して、等方性エッチングは、基板に対して方向の選択性をもたずに、すべての方向に向かって侵食が進行する性質をもったエッチング方法であり、通常は、ウエットエッチングの工程により実施される。
ところが、図10の上段に示すような理想的な構造をもった掘込み溝220は、異方性エッチングの単独プロセスや、等方性エッチングの単独プロセスでは、構成することができない。
たとえば、図11は、基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して異方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さdの掘込み溝220Aを形成した状態を示す側断面図である(遮光層100側を上にして示してある)。図示していないが、実際には、このエッチングプロセスを実施する際には、開口部111の上面を塞ぐようなレジスト層を形成し、開口部112に対してのみエッチングが施されるようにする。
上述したように、異方性エッチングは、主として、基板200の深さ方向にのみ侵食が進行する性質をもったエッチングなので、図示のとおり、ほぼ開口部112と同じ幅Wxをもった掘込み溝220Aが形成されることになる。ここで、溝の側面はほぼ垂直に切り立った面となり、溝の底面はほぼ水平な面になるが、両者は、その連結部分では直交せず、所定の曲率半径rをもった曲面を描いて連なる構造が得られる。このように、専ら基板200の深さ方向に侵食が進行する異方性エッチングでは、図10の上段に示すようなアンダーカット量Ucを有する掘込み溝220を形成することはできない。
一方、図12は、基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して等方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さdの掘込み溝220Bを形成した状態を示す側断面図である(やはり、遮光層100側を上にして示してある)。図示していないが、実際には、このエッチングプロセスを実施する際には、開口部111の上面を塞ぐようなレジスト層を形成し、開口部112に対してのみエッチングが施されるようにする。
上述したように、等方性エッチングは、基板200のすべての方向に侵食が進行する性質をもったエッチングなので、図示のとおり、開口部112の幅Wxよりも広い幅をもった掘込み溝220Bが形成されることになる。したがって、所定のアンダーカット量Ucをもった構造が得られる。しかしながら、溝の側面から底面にかけては、なだらかな曲面を描いて連続する構造となる。この掘込み溝220Bの構造は、開口窓112の近傍に関しては、図10の上段に示す掘込み溝220に近い構造になるが、溝の底部にゆくにしたがって、アンダーカット量Ucがなだらかに低減してゆくため、掘込み溝220Bの底部に近い側面から漏れ出る光の干渉の影響を十分に抑えることができなくなる。
結局、図10の上段に示すような理想的な掘込み溝220をエッチングプロセスにより形成するためには、異方性エッチングと等方性エッチングとを組み合わせたプロセスを行わざるを得ない。そこで、本発明では、次のようなプロセスで、掘込み溝220を形成することを前提としている。
まず、図13に示すように、基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して異方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さd1の予備溝220Cを形成する(図示していないが、実際には、開口部111の上面を塞ぐようなレジスト層を形成する。)。その結果、ほぼ開口部112と同じ幅Wxをもった予備溝220Cが形成される。このとき、溝の側面と底面の連結部分は、所定の曲率半径rをもった曲面をなす。
続いて、遮光層100をマスクとして用いて、予備溝220Cに対して、等方性エッチングを行うことにより、予備溝220Cの内面を更に深さd2だけ掘り下げ、深さdの掘込み溝(但し、d=d1+d2)を形成する。図14は、こうして形成された掘込み溝220Dを示す側断面図である。図の破線は、図13に示す予備溝220Cの位置を示している。等方性エッチングの特性により、予備溝220Cは、基板の深さ方向だけでなく、水平方向にも侵食されており、アンダーカット量Ucが確保されている。上述したとおり、予備溝220Cの幅は、開口部112の幅Wxとほぼ等しくなるため、アンダーカット量Ucは、専ら等方性エッチングプロセスによって確保されることになる。したがって、実質的に、アンダーカット量Ucは、等方性エッチングプロセスによって掘られた深さd2に等しくなる。
この図14に示す掘込み溝220Dは、ほぼ、図10の上段に示す理想的な掘込み溝220と同等の構造を有しており、溝の側面から漏れ出る光の干渉の影響を抑える機能を果たすことができる。ただ、この掘込み溝220Dでは、側面と底面とは、その連結部分において直交していないため、図10の上段に示す理想的な掘込み溝220と完全には同一の機能を果たすことはできない。すなわち、掘込み溝220Dの側面から底面へと連なる部分が若干の曲面を形成しているため、この曲面の曲率半径が大きくなればなるほど、図12に示す掘込み溝220Bと同様に、溝の側面から漏れ出る光の干渉の影響を十分に抑えることができなくなってくる。
もっとも、図14に示す掘込み溝220Dの側面から底面へと連なる部分の曲率半径は、専ら、図13に示す予備溝220Cの曲率半径rによって決められてしまうものであり、異方性エッチングが完了した段階で、既に決められてしまうものである。
図15は、図13に示す異方性エッチングプロセスと、図14に示す等方性エッチングプロセスとを経て作成した複数通りの位相シフトマスクについて得られる寸法差を、コンピュータを用いた三次元シミュレーションにより計算した結果を示すグラフである。ここで、横軸はアンダーカット量Ucを示し、縦軸は当該位相シフトマスクを用いた露光を行った場合に、半導体ウエハの露光面に形成される転写パターンの寸法差Dを示している。寸法差Dは、図10に示すように、隣接配置された一対の開口窓(溝が形成されている開口窓112と形成されていない開口窓111)についての転写パターン上での寸法差であり、前述したとおり、D=Wa−Wbとして定義される「Walking Distance」の値である。
図示のとおり、アンダーカット量Ucが小さくなればなるほど、寸法差Dは大きくなる。これは前述したとおり、アンダーカット量Ucが小さくなれば、溝の側面から漏れ出る光の干渉の影響を十分に抑えることができなくなるためである。逆に、アンダーカット量Ucが大きくなればなるほど、溝の側面から漏れ出る光の干渉の影響を十分に抑えることができるようになり、寸法差Dを小さくすることができる。しかしながら、アンダーカット量Ucを大きくすると、遮光層の剥離の可能性が高くなるという別な問題が生じることは、既に述べたとおりである。
結局、個々の位相シフトマスクを設計する際には、寸法差Dの許容値がどの程度であるかを考慮し、最適アンダーカット量Ucを決定すればよいことになる。本発明の特徴は、この最適アンダーカット量Ucを決定する際に、異方性エッチングプロセスにおいて予備溝の底部に形成される曲面の曲率半径rを考慮するようにした点にある。
図15には、4本のグラフが示されているが、これは、それぞれ曲率半径r=0,30,50,70nmに設定した場合のシミュレーション結果を示している。たとえば、寸法差Dの許容値が10nmであったとすると、予備溝の曲率半径r=50nmとなる条件で作成された位相シフトマスクの場合、最小アンダーカット量Ucminは、図の実線のグラフから、Ucmin=150nmとなる。しかし、予備溝の曲率半径r=70nmとなる条件で作成された位相シフトマスクの場合、Ucminはより大きくなり、逆に、予備溝の曲率半径r=30nmとなる条件で作成された位相シフトマスクの場合、Ucminはより小さくなる。
もちろん、この図15に示すグラフは、特定の二次元レイアウトパターンをもった特定の位相シフトマスクに固有の結果の一例を示すものであり、実際には、個々の位相シフトマスクごとに異なるグラフが得られることになる。たとえば、図1に示すようなホールパターンであっても、各開口窓110のX軸方向の幅Wx、Y軸方向の幅Wy、各遮光部120の幅Wsなどの寸法が異なれば、異なるグラフが得られることになる。
一般に、位相シフトマスクを透過した光の挙動は、設計条件(開口窓や遮光部などの二次元寸法条件)、露光条件(露光波長、開口数、コヒーレントファクターなどの値)、そしてアンダーカット量や掘込み溝の深さなどの三次元構造によって左右される。しかしながら、これら諸条件を定めれば、透過光の挙動を三次元シミュレーションすることができ、設計対象となる個々の位相シフトマスクごとに、図15に示すようなグラフを求めることは可能である。
<<< §4.本発明に係る製造方法の基本手順 >>>
続いて、図16の流れ図を参照しながら、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の基本手順を説明する。この流れ図におけるステップS1〜S8までが、設計方法の基本手順であり、ステップS9〜S11までが、具体的な製造プロセスの基本手順である。なお、ここに示す各ステップの順番は、必ずしもこの順序で行う必要はない。特にステップS1〜S4は任意の順序で行うことが可能である。
この製造方法によって製造される位相シフトマスクは、図2に示すとおり、透光性をもった基板200と、この基板200上に形成された遮光性をもった遮光層100と、を有しており、遮光層100には複数の開口窓110が形成されている。そして、図1に示すように、遮光層が形成されている領域からなる遮光部120と開口窓が形成されている領域からなる透光部110とによって二次元レイアウトパターンが形成されている。しかも、図10の上段に示したように、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓112を透過した光の位相が他方の開口窓111を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓112が形成された基板200の部分に開口窓112の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝220が形成されている。
また、この製造方法は、図13に示すように、遮光層100をマスクとして用いた異方性エッチングを行うことにより、基板200上に深さd1をもった予備溝220Cを形成する第1のエッチング段階と、図14に示すように、この予備溝220Cに対して、遮光層100をマスクとして用いた等方性エッチングを行うことにより、予備溝220Cの内面を更に深さd2だけ掘り下げ、深さdの掘込み溝220D(但し、d=d1+d2)を形成する第2のエッチング段階と、を含むことが前提となる。
まず、ステップS1において、設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光条件Eの設定が行われる。この露光条件Eとは、本発明に係る方法で設計および製造された位相シフトマスクを用いて、半導体ウエハ上に二次元レイアウトパターンを転写する際の露光条件であり、具体的には、露光光源波長λ、用いる光学系の開口数NA,縮小倍率Mag,コヒーレントファクターσといったパラメータである。ここで、特に露光光源波長λは、位相シフトを行う開口窓に形成される掘込み溝の深さdを決定するためのパラメータとして利用されることになる。前述したとおり、掘込み溝の深さdは、透過光の位相を180°シフトさせるために必要な寸法に設定する必要があり、透過光の波長λおよび基板200の屈折率nに基づいて一義的に定められる値になる。
続いて、ステップS2において、二次元レイアウパターンの設計が行われる。すなわち、所定寸法をもった複数の開口窓を二次元平面上に配置してなる二次元レイアウトパターンが定義され、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かが定められる。たとえば、図1に示すようなホ−ルパターンをもった位相シフトマスクを設計する場合、各開口窓110のX軸方向の幅Wx、Y軸方向の幅Wy、各遮光部120の幅Wsなどの寸法が決定される。また、図6に示すように、各開口窓110のそれぞれについて、位相シフトを行うか(開口窓B)、行わないか(開口窓A)が決定される。
次に、ステップS3において、二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxが決定される。一般に、位相シフトマスクを用いて露光を行った場合の転写パターンの寸法誤差は、当該転写パターンの用途や、パターンのサイズによって定められる。実用上は、顧客から指定される仕様として、許容最大誤差Dmaxが定められる場合が多い。
続くステップS4では、後のステップS10において実施される第1のエッチング段階によって形成される予備溝の側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値を決定する。図11に示す異方性エッチングプロセスでは、前述したように、予備溝220Aの底部周辺に、所定の曲率半径rをもった曲面が形成されることになる。この曲率半径rの値は、専ら、実施する異方性エッチングの方法や条件に左右される。したがって、ステップS10で実施される異方性エッチングの方法や条件を予め定めておけば、当該エッチングプロセスの結果、どの程度の曲率半径rをもった予備溝が形成されるかを予測することが可能である。ステップS4では、こうして、曲率半径rを予測値として決定する処理が行われる。なお、曲率半径rの予測値がある程度の幅をもつ場合には、予測される最大値を曲率半径rと定めるようにすれば安全である。
こうして曲率半径rが定まれば、図15に示すグラフが1本だけ特定されることになるので、許容最大誤差Dmaxに応じて、アンダーカット量の最小許容値Ucminを決定することが可能になる。たとえば、ステップS3において、許容最大誤差Dmax=10nmとの決定がなされ、ステップS4において、曲率半径r=50nmとの決定がなされたとすれば、図15の実線のグラフが1本だけ特定されることになり、このグラフから、最小アンダーカット量Ucmin=150nmが求まる。別言すれば、このグラフから、アンダーカット量Uc=150nmに設定したときに、寸法差D=10nmとなることがわかるので、寸法差Dを10nm以下に抑えたい場合には、アンダーカット量Ucを150nm以上に設定しなければならないことがわかる。
図16のステップS5〜S7は、このような原理に基づいて、最小アンダーカット量Ucminを求めるためのシミュレーションのプロセスを示すものである。
まず、ステップS5では、複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJが定義される。図15に示すグラフは、アンダーカット量Ucと寸法差Dとの関係を示す連続関数として示されているが、実際には、このような連続関数を理論的に直接求めることはできず、アンダーカット量Ucと寸法差Dとの関係は、具体的な三次元構造体に基づく三次元シミュレーションを実行することによって求める必要がある。したがって、この図15に示すようなグラフは、離散的にプロットされた座標点を滑らかに結ぶ線として定義されることになる。
たとえば、アンダーカット量Ucを0〜250nmまで、10nm刻みで離散的に定義したとすると、0,10,20,…,240,250nmと、合計26通りのアンダーカット量が定義される(J=26)。その結果、図14に示すような三次元構造を、アンダーカット量Ucの値を26通りに変えることにより、合計26通り定義することができる。
なお、このとき、この三次元構造を構成する掘込み溝220Dの深さdは、ステップS1で設定した露光条件E内の露光光源波長λと基板200の屈折率nとに基づいて決定することができる。すなわち、深さdは、空気中(掘込み溝220D内)を通過する光と、基板200内を通過する光との間に、波長λの半波長分の位相差を生じさせるのに適した寸法に設定する必要があるので、具体的には、d=λ/2(n−1)なる式により一義的に決定されることになる。
また、前述したとおり、深さd2は、d2=アンダーカット量Ucとなるので、深さd1は、d1=d−d2なる式で定められることになる。したがって、たとえば、アンダーカット量Uc=0nmの場合、d2=0nm、d1=dとなり、アンダーカット量Uc=10nmの場合、d2=10nm、d1=d−10nmとなる。しかも、ステップS4において、図13に示す予備溝220Cについての曲率半径rの値も決定されているので、d1,d2の値がそれぞれ異なる26通りの掘込み溝220D(図14参照)の三次元構造を定義することが可能になる。
要するに、ステップS5では、複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、波長λに基づいて図14に示す掘込み溝220Dの深さdを決定し、深さd2をJ通りのアンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値にそれぞれ設定し、図13に示す予備溝220Cの深さd1を、d1=d−d2なる演算により求める処理が行われる。そして、二次元レイアウトパターン上の遮光部をマスクとして用い、図13に示すような第1のエッチング段階により、曲率半径rをもった深さd1の予備溝220Cを形成した後、図14に示すような第2のエッチング段階により、深さdの掘込み溝220Dを形成した場合に得られる合計J通りの三次元構造が決定されることになる。
次に、ステップS6では、ステップS2で設計された二次元レイアウトパターンおよびステップS5で決定されたJ通りの三次元構造によって画定されるJ通りの三次元構造体が定義される。この三次元構造体は、要するに、図1および図2に示すような具体的な三次元構造をもった位相シフトマスクそのものである。ここで、このJ通りの三次元構造体は、いずれも同一の二次元レイアウトパターンを有しており、しかも同一の深さdをもった掘込み溝220Dが形成されている構造体であるが、それぞれ異なるアンダーカット量Ucをもった構造体ということになる。
そして、このJ通りの各三次元構造体をそれぞれ用いて、透過光の挙動を求める三次元シミュレーションが実行され、位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に、ステップS1で設定した露光条件Eで光を透過させた場合に、この一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D(前述したように、D=Wa−Wbとして定義される「Walking Distance」の値)が求められる。ここでは、このJ通りの三次元構造体を用いて得られた寸法差を、寸法差D1〜DJと呼ぶことにする。すなわち、寸法差D1〜DJは、それぞれアンダーカット量Uc1〜UcJに対応する寸法差ということになる。
こうして、アンダーカット量Ucとそれに対応する寸法差Dとの対がJ組求められれば、横軸にアンダーカット量Uc、縦軸に寸法差Dをとった座標系において、J個の座標点をプロットすることができ、これらの点を滑らかに結ぶことにより、図15に示すようなグラフが1本得られることになる。ステップS6は、結局、このようなグラフを求める処理になる。
ステップS7では、ステップS6で実施されたシミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、ステップS3で決定された許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに相当するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する処理が行われる。なお、Dmaxに相当する寸法差Djは、必ずしもJ通りの寸法差D1〜DJのいずれかである必要はなく、補間により求めた中間的な値であってもかまわない。したがって、最小アンダーカット量Ucminも、必ずしもJ通りのアンダーカット量Uc1〜UcJのいずれかである必要はなく、補間により求めた中間的な値であってもかまわない。
結局、ステップS7は、図15に示すようなグラフ上において、許容最大誤差Dmaxに相当する縦座標値をもつ点についての横座標値を求め、これを最小アンダーカット量Ucminとする処理ということができる。たとえば、ステップS6の処理により、図15の実線に示すようなグラフが得られ、ステップS3において、許容最大誤差Dmax=10nmなる決定がなされていた場合には、前述したとおり、最小アンダーカット量Ucmin=150nmなる決定がなされることになる。
次のステップS8では、この最小アンダーカット量Ucminを考慮して、最適アンダーカット量Ucbestが決定される。すなわち、最小アンダーカット量Ucminは、実際に生じる寸法差を、許容最大誤差Dmax以下に抑えるために必要なアンダーカット量の最小許容値を示す値であるので、ステップS8では、この最小許容値Ucmin以上となる最適値を最適アンダーカット量Ucbestと決定する処理が行われる。
実際には、アンダーカット量Ucには、上述した最小許容値Ucminとともに、最大許容値Ucmaxを定義することができる。前述したとおり、アンダーカット量Ucを大きくとると、遮光層と基板との接着面の面積が低下し、遮光層が剥離するおそれが生じる。したがって、具体的には、この最大許容値Ucmaxは、遮光層の剥離が生じない限界値として定義することができる。結局、ステップS8では、最小許容値Ucmin以上、最大許容値Ucmax以下の範囲内の所定値として、設計者の総合判断により、最適アンダーカット量Ucbestの決定がなされることになる。
以上、ステップS1〜S8までの設計段階が完了すると、続いて、ステップS9〜S11の製造段階へと移行する。
まず、ステップS9において、基板200上に、ステップS2の二次元レイアウトパターン設計の段階で定義されたパターンに応じた複数の開口窓を有する遮光層100を形成する処理が行われる。実際には、石英ガラス基板などの上面全面に、クロム金属層などの遮光層を形成したマスクブランクスを用意し、その上に、図1に示すような二次元レイアウトパターンをもったレジスト層を形成し、遮光層の露出部分をエッチングにより除去する処理を行えばよい。その結果、たとえば、図2の側断面図に示されているような構造体が得られることになる。
続くステップS10,S11において、一部の開口窓(位相シフトを行う開口窓)に対して掘込み溝をエッチングにより形成するプロセスが実施される。たとえば、図6に示すパターンの場合、Bと記された開口窓に対してのみ掘込み溝の形成が行われるので、Aと記された開口窓は、レジストなどで予め塞いでおく必要がある。この掘込み溝を形成するエッチングは、既に述べたとおり、2段階のプロセスによって行われる。
まず、ステップS10の第1のエッチング段階では、図13に示すような異方性エッチングが実施される。この異方性エッチングは、ドライエッチングの手法を利用して行われ、深さd1をもった予備溝220Cが形成された段階で中止される。ここで、深さd1は、d1=d−Ucbestなる式で与えられる値である。dは前述したとおり、最終的に得られる掘込み溝の深さであり、露光光源波長λに基づいて一義的に定められる。また、Ucbestは、ステップS8で決定された最適アンダーカット量である。なお、このとき得られる予備溝220Cの底部周囲部分の曲面の曲率半径rは、ステップS4で決定した予測値に近いものになるはずである。
続いて、ステップS11の第2のエッチング段階において、図14に示すような等方性エッチングが実施される。この等方性エッチングは、ウエットエッチングの手法を利用して行われ、予備溝220Cの内面を更に深さUcbestだけ掘り下げ、最終的に深さdをもった掘込み溝220Dが形成された段階で中止される。かくして、図6に示すパターンの場合、Bと記された開口窓の部分に、図14に側断面を示すような掘込み溝220Dが形成されることになり、目的の位相シフトマスクが完成する。
このように、本発明に係る位相シフトマスクの設計方法および製造方法によれば、ステップS7の段階において、ステップS10のエッチング工程で形成されるであろう予備溝の曲率半径rを考慮して、ステップS3で決定した許容最大誤差Dmaxを満足しうる最小アンダーカット量Ucminを求めることができるので、ステップS8では、この最小アンダーカット量Ucminを考慮して、最適アンダーカット量Ucbestの決定を行うことができるようになる。このような方法をとることにより、全体の作業負担を軽減し、作業時間を短縮することが可能になる。
<<< §5.本発明に係る設計装置 >>>
ここでは、本発明に係る位相シフトマスクの設計装置の基本構成を、図17のブロック図を参照しながら説明する。この設計装置による設計対象となる位相シフトマスクは、図2に示すとおり、透光性をもった基板200と、この基板上に形成された遮光性をもった遮光層100と、を有している。そして、図1に示すように、遮光層100には複数の開口窓110が形成されており、遮光層が形成されている領域からなる遮光部と開口窓が形成されている領域からなる透光部とによって二次元レイアウトパターンが形成されている。しかも、図10の上段に示すとおり、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓112を透過した光の位相が他方の開口窓111を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓112が形成された基板部分に開口窓112の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝が形成されている。
このような構造をもった位相シフトマスクは、基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクと呼ばれており、本発明に係る位相シフトマスクの設計装置は、このような構造をもった位相シフトマスクの設計に適した装置である。
この設計装置は、図16の流れ図に示したステップS1〜S7までの設計プロセスを実施する機能をもった装置であり、最小アンダーカット量Ucminを決定する機能を有している。図示のとおり、この設計装置は、二次元レイアウトパターン設計装置10、露光条件設定装置20、曲率半径設定装置30、許容誤差設定装置40、三次元構造決定装置50、三次元シミュレーション装置60、最小アンダーカット量決定装置70によって構成されている。もっとも、これらの各構成要素は、実際には、コンピュータのハードウエアおよびソフトウエアによって実現される構成要素であり、この設計装置全体も、コンピュータを利用して構築されることになる。
二次元レイアウトパターン設計装置10は、図16のステップS2を実行するための装置である。すなわち、オペレータは、この二次元レイアウトパターン設計装置10に対して種々の指示を与えることにより、XY平面上に所定寸法をもった複数の開口窓を配置してなる二次元レイアウトパターンを設計し、かつ、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かを定めることができる。このような装置自体は既に公知のものであり、ここでは二次元レイアウトパターン設計装置10の内部構成についての詳細な説明は省略する。
ここでは、説明の便宜上、この二次元レイアウトパターン設計装置10によって、図示のとおり、二次元レイアウトパターンPが設計されたものとしよう。このパターンPは、図1に示すホールパターンであり、図6に示すように、位相シフトを行わない開口窓Aと位相シフトを行う開口窓Bとが交互に定義されている。
露光条件設定装置20は、図16のステップS1を実行するための装置であり、設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光光源波長λ、用いる光学系の開口数NA,縮小倍率Mag,コヒーレントファクターσといったパラメータからなる露光条件Eの入力がオペレータの操作によって行われる。これらのパラメータは、三次元構造決定装置50における演算および三次元シミュレーション装置60におけるシミュレーションで利用される。
曲率半径設定装置30は、図16のステップS4を実行するための装置であり、ステップS10における異方性エッチングによって形成される予備溝220Cの側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値が、オペレータの操作によって入力される。オペレータは、設計対象となる位相シフトマスクの製造時に行われる異方性エッチングの種類や条件を考慮し、曲率半径rの予測値を入力することになる。この予測値は、必要に応じて、実際に異方性エッチングを実施して、実際に形成される予備溝220Cについての形状測定を行うことにより得ることができる。
許容誤差設定装置40は、図16のステップS3を実行するための装置であり、設計対象となる位相シフトマスク上の二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxを入力するための装置である。前述したとおり、転写パターン上の寸法誤差は、当該転写パターンのサイズや用途によって異なり、通常は、設計対象となる位相シフトマスクの仕様として指定される。オペレータは、この指定された許容最大誤差Dmaxを、許容誤差設定装置40に対して入力することになる。
三次元構造決定装置50は、図16のステップS5を実行するための装置であり、複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、露光条件E内のパラメータとして与えられた露光光源波長λおよび基板の屈折率nに基づいて、d=λ/2(n−1)なる式により、掘り込み溝の深さdを決定し、J通りの深さd2をそれぞれアンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値に設定し、J通りの深さd1を、d1=d−d2なる演算により求める。そして、二次元レイアウトパターン設計装置10において設計された二次元レイアウトパターンP上の遮光部をマスクとして用い、第1のエッチング段階により曲率半径r(曲率半径設定装置30で設定された値)をもった深さd1の予備溝を形成した後、第2のエッチング段階により深さdの掘込み溝を形成した場合に得られる三次元構造を、J通りの寸法値のそれぞれについて求める処理を実行する。
もちろん、この三次元構造の決定処理は、実際にエッチングを行って三次元構造を形成して実測することによって行われるわけではなく、図13および図14に示すようなエッチングプロセスが行われることを前提とした演算によって行われることになる。
前述した例のように、アンダーカット量Ucを0〜250nmまで、10nm刻みで離散的に定義したとすると、0,10,20,…,240,250nmと、合計26通りのアンダーカット量が定義される(J=26)。したがって、この場合、d2=0,10,20,…,240,250nmなる26通りの深さd2が定義され、d1=d−d2なる演算により、26通りの深さd1も定義される。この26通りの深さd1,d2の寸法にしたがって、図13および図14に示すようなエッチングプロセスを実行したと仮定すれば、合計26通りの三次元構造を決定することができる。
三次元シミュレーション装置60は、図16のステップS6を実行するための装置であり、二次元レイアウトパターン設計装置10で設計された二次元レイアウトパターンP内の位相シフトを行う開口窓の部分に、三次元構造決定装置50で決定されたJ通りの三次元構造をもった掘込み溝を形成することにより得られるJ通りの三次元構造体(位相シフトマスク)について、三次元シミュレーションを行う機能を有している。ここで行われるシミュレーションは、この三次元構造体の位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に露光条件Eで光を透過させた場合に、この一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D1〜DJを求めるシミュレーションである。転写パターンの寸法差としては、前述したとおり、D=Wa−Wbとして定義される「Walking Distance」の値が用いられる。
こうして、アンダーカット量Ucとそれに対応する寸法差Dとの対がJ組求められれば、横軸にアンダーカット量Uc、縦軸に寸法差Dをとった座標系において、J個の座標点をプロットすることができ、これらの点を滑らかに結ぶことにより、図15に示すようなグラフが1本得られることになる。三次元シミュレーション装置60は、結局、このようなグラフを求める処理を行う構成要素ということになる。
最小アンダーカット量決定装置70は、図16のステップS7を実行するための装置であり、シミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、許容誤差設定装置40によって設定された許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに相当するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する処理を実行する。前述したとおり、Dmaxに相当する寸法差Djは、必ずしもJ通りの寸法差D1〜DJのいずれかである必要はなく、補間により求めた中間的な値であってもかまわない。したがって、最小アンダーカット量Ucminも、必ずしもJ通りのアンダーカット量Uc1〜UcJのいずれかである必要はなく、補間により求めた中間的な値であってもかまわない。
具体的には、三次元シミュレーション装置60によるシミュレーションの結果として、図15の実線に示すようなグラフが得られ、許容誤差設定装置40に、許容最大誤差Dmax=10nmなる設定がなされていた場合には、図15に示すとおり、最小アンダーカット量Ucmin=150nmなる決定がなされることになる。
この図17に示す設計装置は、結局、図16のステップS1〜S7までを実行し、オペレータに対して、最小アンダーカット量Ucminの値を提示する機能しかもたない。別言すれば、図16のステップS8における最適アンダーカット量Ucbestを決定するのは、あくまでもオペレータの裁量によることになる。しかしながら、この設計装置により、最小アンダーカット量Ucminの値が提示されれば、オペレータが最適アンダーカット量Ucbestを決定する作業負担が大幅に軽減されることになる。すなわち、最適アンダーカット量Ucbestが、常に最小アンダーカット量Ucmin以上の値となるようにすれば、少なくとも、許容最大誤差Dmaxを満たす位相シフトマスクの設計が可能になることが認識できるので、オペレータに対して大きな目安が与えられることになる。
<<< §6.具体的な実施例 >>>
最後に、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の具体的な実施例を述べておく。以下の実施例は、本願発明者が、実際に図16の流れ図にしたがって、具体的な位相シフトマスクを設計し、これを製造した実施結果を示すものである。
具体的には、KrFエキシマレーザ用の位相シフトマスクを製造するために、図16のステップS1において、露光光源波長λとして、λ=248nmなる設定を行った。また、用いる光学系の開口数NA=0.68、縮小倍率Mag=1、コヒーレントファクターσ=0.3なる条件設定を行った。この露光条件では、掘込み溝の深さd=245nmなる値が一義的に決定される。
また、ステップS2で設計する二次元レイアウトパターンとしては、図1に示すような正方形状のホールパターン(正方形の一辺0.6μm、配置ピッチ1.2μm)を用いることとした。ステップS3では、許容最大誤差Dmax=10nmなる設定を行い、ステップS4では、CFガスをエッチャントとするドライエッチングを想定し、予想される最大の曲率半径としてr=50nmなる設定を行った。
その結果、ステップS7において、最小アンダーカット量として、Ucmin=150nmなる値が得られた。一方、遮光層の剥離が生じるおそれのある臨界値として、実験的に、最大アンダーカット量Ucmax=250nmなる値が得られたので、ステップS8では、150nm〜250nmの範囲内の値を、最適アンダーカット量Ucbestとして決定する必要がある。そこで、最適アンダーカット量Ucbest=170nmなる決定を行った。前述したとおり、掘込み溝の深さd=245nmなる値が定まっているので、結局、d2=Ucbest=170nm、d1=75nm(d1=d−d2)なる寸法値が定まることになる。
続いて、ステップS9〜S11の製造プロセスを実施した。まず、ステップS9においては、石英ガラス基板上に、クロム膜を110nmの厚みで形成し、更に、その上に酸化クロム膜を数nmの厚みで形成し、この2層膜を遮光膜として用いるマスクブランクスを用意した。そして、この遮光膜の上に、レジストを塗布し、EB描画装置により、二次元レイアウトパターンの描画を行った後、無機アルカリ現像液で現像した。続いて、レジストの開口部から露出している酸化クロム膜およびクロム膜に対して、塩素を主成分とするガスによるドライエッチングを施し、最後にレジストを剥離除去した後、洗浄を行った。その結果、図2の側断面図に示されているような構造を得た。
次に、ステップS10の第1のエッチング段階を行った。すなわち、開口部のうち、位相シフトを行わない部分をレジスト膜で覆った後、異方性エッチングを行った。レジストに対するパターニングは、全面に塗布したレジスト層に対して、レーザ描画装置によるパターン描画を行い、無機アルカリ現像液で現像することにより行った。異方性エッチングは、CFガスを用いたドライエッチングの手法により、深さd1=75nmの予備溝が得られるまで行った。なお、深さの測定は、より精度を高めるため、位相差測定装置を利用して行った。具体的には、透明基板内で54°(深さ75nmに対応)の位相差が生じるまで、ドライエッチングを継続した。エッチングが完了したら、レジストを剥離除去し、洗浄を行った。
続いて、ステップS11の第2のエッチング段階を行った。すなわち、開口部のうち、位相シフトを行わない部分を再びレジスト膜で覆った後、等方性エッチングを行った。レジストに対するパターニングは、前回と同様に、全面に塗布したレジスト層に対して、レーザ描画装置によるパターン描画を行い、無機アルカリ現像液で現像することにより行った。等方性エッチングは、フッ酸を用いたウエットエッチングの手法により、予備溝の内面が、更に、深さd2=170nmだけ掘込まれるまで行った。やはり、深さの測定は、精度を高めるため、位相差測定装置を利用して行った。エッチングが完了したら、レジストを剥離除去し、洗浄を行った。
かくして、目的どおりの構造をもった位相シフトマスクを得ることができた。アンダーカット量は、設定どおり170nmとなった。こうして製造された位相シフトマスクを用いて、KrFエキシマレーザを露光光源とする露光を行った結果、半導体ウエハ側に得られた転写パターンの寸法差(隣接する2つのホールパターンの寸法差)は、設定どおり10nmとなった。また、当該位相シフトマスクは、洗浄を行っても、遮光層の剥離が生じることはなく、十分な耐久性を有するものとなった。
この他、ArFエキシマレーザ用の位相シフトマスク(露光光源波長λ=193nm)やFエキシマレーザ用の位相シフトマスク(露光光源波長λ=157nm)についても、同様の方法で製造する実験を行ったが、いずれの場合も、転写パターンの寸法誤差が、許容最大誤差Dmax=10nm以下となる良好な結果を得ることができた。
本発明は、半導体ウエハ上に所定の二次元パターンを露光転写するために用いる位相シフトマスクの設計/製造に利用することができる。
一般的な二次元レイアウトパターンをもったフォトマスクの一例を示す平面図である(ハッチングは遮光部を示すためのものであり、断面を示すものではない)。 図1に示すフォトマスクを、切断線2−2に沿って切った切断面を示す側断面図である。 図1に示すフォトマスクを用いた露光作業の様子を示す側断面図(光学系300についてはブロックで示す)である。 フォトマスクの開口窓を透過した光の挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段はフォトマスクの部分拡大側断面図、中段はフォトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はフォトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。 位相シフトマスクの開口窓を透過した光の理想的な挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段は位相シフトマスクの部分拡大側断面図、中段はこの位相シフトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はこの位相シフトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。 図1に示す二次元レイアウトパターンについて、透過光の位相φを0°とする開口窓Aと、透過光の位相φを180°とする開口窓Bと、を定義した例を示す平面図である。 図6に示すフォトマスクの切断線2−2上の各開口窓を透過した光の強度分布を示すグラフである。 位相シフトマスクの開口窓を透過した光の現実的な挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段は位相シフトマスクの部分拡大側断面図、中段はこの位相シフトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はこの位相シフトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。 基板掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの開口窓を透過した光の現実的な挙動を、回折現象が生じることを考慮した上で示す図であり、上段は位相シフトマスクの部分拡大側断面図、中段はこの位相シフトマスクを透過した光の振幅強度分布を示すグラフ、下段はこの位相シフトマスクを透過した光強度分布を示すグラフである。 図9の上段に示す位相シフトマスクの一部分を更に拡大した側断面図(上段)およびこの位相シフトマスクを透過した光の強度を示すグラフ(下段)である。 基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して異方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さdの掘込み溝220Aを形成した状態を示す側断面図である。 基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して等方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さdの掘込み溝220Bを形成した状態を示す側断面図である。 基板200上に形成された遮光層100をマスクとして用いて、開口部112に対して異方性エッチングを施すことにより、基板200に対して深さd1の予備溝220Cを形成した状態を示す側断面図である。 図13に示す予備溝220Cの内面に対して更に等方性エッチングを施すことにより、掘込み溝220Dを形成した状態を示す側断面図である。 図13に示す異方性エッチングプロセスと、図14に示す等方性エッチングプロセスとを経て作成した複数通りの位相シフトマスクについて得られる寸法差を、コンピュータを用いた三次元シミュレーションにより計算した結果を示すグラフである。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の基本手順を示す流れ図である。 本発明に係る位相シフトマスクの設計装置の基本構成を示すブロック図である。
符号の説明
2…切断線
10…二次元レイアウトパターン設計装置
20…露光条件設定装置
30…曲率半径設定装置
40…許容誤差設定装置
50…三次元構造決定装置
60…三次元シミュレーション装置
70…最小アンダーカット量決定装置
100…遮光層(クロムの金属膜)
110…透光部(開口窓)
111〜113…透光部(開口窓)
120…遮光部(開口窓を囲うフレーム)
121〜124…遮光部(開口窓を囲うフレーム)
200…透光性をもった基板(石英ガラス基板)
210…位相シフトマスクに形成された掘込み溝(開口窓と同一の輪郭を有する)
220…位相シフトマスクに形成された掘込み溝(開口窓よりも大きな輪郭を有する)
220A…位相シフトマスクに形成された掘込み溝(異方性エッチングにより形成)
220B…位相シフトマスクに形成された掘込み溝(等方性エッチングにより形成)
220C…位相シフトマスクに形成された予備溝(異方性エッチングにより形成)
220D…位相シフトマスクに形成された掘込み溝(異方性エッチングと等方性エッチングとの組み合わせにより形成)
300…光学系
400…半導体ウエハの露光面
A…位相シフトを行わない開口窓
B…位相シフトを行う開口窓
C1〜C4…輪郭位置
d…位相シフトマスクに形成された掘込み溝の深さ
d1…予備溝の深さ(異方性エッチングによる侵食量)
d2…等方性エッチングによる侵食量
D…寸法差(=Wa−Wb)
Dmax…許容最大誤差
E…露光条件
L,L1〜L3…露光装置からの照射光
L4…掘込み溝の側面から漏れ出てくる光
P…二次元レイアウトパターン
Q1〜Q4…グラフ上の点
r…予備溝の底部周囲部分の曲面の曲率半径
S1〜S11…流れ図の各ステップ
Th…光強度について設定されたしきい値
Uc…アンダーカット量
Ucbest…最適アンダーカット量
Ucmax…最大アンダーカット量
Ucmin…最小アンダーカット量
Wa,Wb…グラフの所定水準位置における幅
Ws…遮光部の幅(X軸方向の幅)
Wx…開口窓のX軸方向の幅
Wy…開口窓のY軸方向の幅
X,Y,Z…座標軸
φ…透過光の位相

Claims (9)

  1. 透光性をもった基板と、この基板上に形成された遮光性をもった遮光層と、を有し、前記遮光層には複数の開口窓が形成されており、前記遮光層が形成されている領域からなる遮光部と前記開口窓が形成されている領域からなる透光部とによって二次元レイアウトパターンが形成されており、かつ、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に開口窓の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝が形成されている位相シフトマスクを、
    異方性エッチングを行うことにより、基板上に深さd1をもった予備溝を形成する第1のエッチング段階と、前記予備溝に対して、等方性エッチングを行うことにより、前記予備溝の内面を更に深さd2だけ掘り下げ、前記深さdの掘込み溝(但し、d=d1+d2)を形成する第2のエッチング段階と、を含む工程により製造する場合に、前記位相シフトマスクの設計を行う方法であって、
    設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光光源波長λを含む露光条件Eを設定する露光条件設定段階と、
    所定寸法をもった複数の開口窓を二次元平面上に配置してなる二次元レイアウトパターンを定義し、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かを定める二次元レイアウパターン設計段階と、
    前記二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxを決定する許容誤差決定段階と、
    前記第1のエッチング段階によって形成される前記予備溝の側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値を決定する曲率半径決定段階と、
    前記掘込み溝の輪郭位置と前記開口窓の輪郭位置との距離を示す複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、前記波長λおよび前記基板の屈折率nに基づいて前記深さdを決定し、前記深さd2を前記アンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値に設定し、前記深さd1を、d1=d−d2なる演算により求め、前記二次元レイアウトパターン上の遮光部をマスクとして用い、前記第1のエッチング段階により前記曲率半径rをもった前記深さd1の予備溝を形成した後、前記第2のエッチング段階により前記深さdの掘込み溝を形成することにより得られる合計J通りの三次元構造を決定する三次元構造決定段階と、
    前記二次元レイアウトパターンおよび前記J通りの三次元構造によって画定されるJ通りの三次元構造体を用いて、位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に前記露光条件Eで光を透過させた場合に、前記一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D1〜DJをシミュレーションにより求める三次元シミュレーション段階と、
    前記シミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、前記許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに対応するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する最小アンダーカット量決定段階と、
    前記最小許容値Ucmin以上となる最適値を最適アンダーカット量Ucbestと決定する最適アンダーカット量決定段階と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの設計方法。
  2. 請求項1に記載の設計方法において、
    露光光源波長λおよび基板の屈折率nに基づいて、d=λ/2(n−1)なる式により、掘り込み溝の深さdを決定することを特徴とする位相シフトマスクの設計方法。
  3. 請求項1または2に記載の設計方法において、
    転写パターンの寸法差を、一方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値から、他方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値を減じた差として定義することを特徴とする位相シフトマスクの設計方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の設計方法を構成する各段階を有し、更に、
    基板上に、二次元レイアウトパターン設計段階で定義されたパターンに応じた複数の開口窓を有する遮光層を形成する段階と、
    前記開口窓のうちの位相シフトを行う開口窓について、第1のエッチング段階を実行することにより、深さd1(但し、d1=d−Ucbest)をもった予備溝を形成する段階と、
    前記予備溝について第2のエッチング段階を実行することにより、前記予備溝の内面を更に深さUcbestだけ掘り下げ、深さdをもった掘込み溝を形成する段階と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法において、
    第1のエッチング段階をドライエッチング工程により行い、第2のエッチング段階をウエットエッチング工程により行うことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  6. 透光性をもった基板と、この基板上に形成された遮光性をもった遮光層と、を有し、前記遮光層には複数の開口窓が形成されており、前記遮光層が形成されている領域からなる遮光部と前記開口窓が形成されている領域からなる透光部とによって二次元レイアウトパターンが形成されており、かつ、隣接配置された一対の開口窓について、一方の開口窓を透過した光の位相が他方の開口窓を透過した光の位相に対して180°シフトするように、一方の開口窓が形成された基板部分に開口窓の輪郭より大きな輪郭をもった深さdの掘込み溝が形成されている位相シフトマスクを、
    異方性エッチングを行うことにより、基板上に深さd1をもった予備溝を形成する第1のエッチング段階と、前記予備溝に対して、等方性エッチングを行うことにより、前記予備溝の内面を更に深さd2だけ掘り下げ、前記深さdの掘込み溝(但し、d=d1+d2)を形成する第2のエッチング段階と、を含む工程により製造する場合に、前記位相シフトマスクの設計を行う装置であって、
    オペレータからの指示に基づいて、所定寸法をもった複数の開口窓を二次元平面上に配置してなる二次元レイアウトパターンを定義し、各開口窓のそれぞれについて位相シフトを行うか否かを定める二次元レイアウパターン設計装置と、
    オペレータからの指示に基づいて、設計対象となる位相シフトマスクの利用時における露光光源波長λを含む露光条件Eを設定する露光条件設定装置と、
    オペレータからの指示に基づいて、前記第1のエッチング段階によって形成される前記予備溝の側面から底面へと連なる部分の曲率半径rの予測値を設定する曲率半径設定装置と、
    オペレータからの指示に基づいて、前記二次元レイアウトパターンを露光転写して得られる転写パターン上での寸法に関する許容最大誤差Dmaxを設定する許容誤差設定装置と、
    前記掘込み溝の輪郭位置と前記開口窓の輪郭位置との距離を示す複数J通りのアンダーカット量Uc1〜UcJを定義し、前記波長λおよび前記基板の屈折率nに基づいて前記深さdを決定し、前記深さd2を前記アンダーカット量Uc1〜UcJと等しい値に設定し、前記深さd1を、d1=d−d2なる演算により求め、前記二次元レイアウトパターン上の遮光部をマスクとして用い、前記第1のエッチング段階により前記曲率半径rをもった前記深さd1の予備溝を形成した後、前記第2のエッチング段階により前記深さdの掘込み溝を形成することにより得られる合計J通りの三次元構造を決定する三次元構造決定装置と、
    前記二次元レイアウトパターンおよび前記J通りの三次元構造によって画定されるJ通りの三次元構造体を用いて、位相が互いに180°シフトするように設計された一対の隣接開口窓に前記露光条件Eで光を透過させた場合に、前記一対の隣接開口窓について得られる転写パターンの寸法差D1〜DJをシミュレーションにより求める三次元シミュレーション装置と、
    前記シミュレーションの結果として得られるJ通りの寸法差D1〜DJと、前記許容最大誤差Dmaxとを比較し、Dmaxに相当する寸法差Djを求め、当該寸法差Djに対応するアンダーカット量Ucjをアンダーカット量の最小許容値Ucminと決定する最小アンダーカット量決定装置と、
    を備えることを特徴とする位相シフトマスクの設計装置。
  7. 請求項6に記載の設計方法において、
    露光光源波長λおよび基板の屈折率nに基づいて、d=λ/2(n−1)なる式により、掘り込み溝の深さdを決定することを特徴とする位相シフトマスクの設計装置。
  8. 請求項6または7に記載の設計方法において、
    転写パターンの寸法差を、一方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値から、他方の開口窓を透過する光の強度を示すパラメータ値を減じた差として定義することを特徴とする位相シフトマスクの設計装置。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の設計装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたはこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007102230A (ja) * 2005-10-03 2007-04-19 Interuniv Micro Electronica Centrum Vzw 交互位相シフトマスク
JP2007219128A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Hoya Corp 位相シフトマスクの製造方法
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