JP2011118349A - 導光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導光板の製造過程で出る端材等の導光板廃材を再利用して高品質の導光板を製造する方法を提供する。
【解決手段】この発明に係る導光板1の製造方法は、透明樹脂製の導光板の廃材を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄された導光板廃材を粉砕して廃材粉砕物を得る粉砕工程と、バージンの透明樹脂と前記廃材粉砕物とを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を板状に成形して導光板1を得る成形工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、導光板の製造過程で出る端材等を再利用して高品質の導光板を製造する方法に関する。
液晶表示装置や照明装置等のバックライトとしては、例えば導光板の側方に冷陰極ランプを配置し、該冷陰極ランプからの光を導光板背面に形成されたドットパターンやプリズム部等により反射させて導光板前面から光を均一に出射できるように構成したものが公知である。このようなバックライト用の導光板としては、アクリル系樹脂等を用いて成形した導光板が公知である(特許文献1参照)。
上記導光板を構成する樹脂としては、導光板の側方から入射する光を効率良く面内に拡げる必要があることから、透明性に優れていることが求められており、このために導光板を構成する樹脂としては未使用のバージン樹脂が用いられている。
特開2001−76522号公報
ところで、導光板を製造する過程において端材が発生するが、このような端材は不純物等の付着により純度が低下していることから、透明性に優れることが求められている導光板を製造する際に前記端材をそのままバージン樹脂に混合して再利用することはできず、従って従来は導光板の製造過程で出た端材はそのまま廃棄物として処理されていた。
しかしながら、上記端材を再利用することなく処分するのは、不経済であるし、また近年社会的要請の強い資源の有効利用という観点からも好ましいものではなかった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、導光板の製造過程で出る端材等の導光板廃材を再利用して高品質の導光板を製造する方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]透明樹脂製の導光板の廃材を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄された導光板廃材を粉砕して廃材粉砕物を得る粉砕工程と、
バージンの透明樹脂と前記廃材粉砕物とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を板状に成形して導光板を得る成形工程とを含むことを特徴とする導光板の製造方法。
[2]前記導光板廃材として、前記洗浄前において300mmの光路長で測定されたYIが5.0以下の導光板廃材を用いる前項1に記載の導光板の製造方法。
[3]前記混合物における廃材粉砕物の含有比率が3〜40質量%である前項1または2に記載の導光板の製造方法。
[4]前記導光板廃材の洗浄を純水または脱イオン水で行う前項1〜3のいずれか1項に記載の導光板の製造方法。
[5]前記導光板廃材として、導光板の製造過程で発生した端材を用いることを特徴とする前項1〜4のいずれか1項に記載の導光板の製造方法。
[1]の発明では、導光板の製造過程で出る端材等の廃材を洗浄する洗浄工程を備えていて、端材等の廃材に付着している不純物等を十分に除去することができるので、黄色度YIが小さい上に高い透過率を備えた導光板を製造できる。このように導光板の製造過程で出る端材等の導光板廃材を再利用して新たな導光板を製造することができるので、導光板の製造に準備した原料を無駄なく使用することができ、経済的であると共に、資源の有効利用という社会的要請にも応えることができる。
[2]の発明では、導光板廃材として、洗浄前において300mmの光路長で測定されたYIが5.0以下である導光板廃材を用いるから、光の吸収がより少ない導光板、即ちより透明性の高い導光板を製造できる。
[3]の発明では、混合物における廃材粉砕物の含有比率が3〜40質量%であるから、より一層透明性の高い導光板を製造できる。
[4]の発明では、導光板廃材の洗浄を純水または脱イオン水で行うから、成形に用いる混合物としてより高純度のものを供給できて、さらに透明性の高い導光板を製造することができる。
[5]の発明では、導光板廃材として、導光板の製造過程で発生した端材を用いるから、さらに透明性の高い導光板を製造できる。
この発明に係る製造方法で製造された導光板の一実施形態を示す斜視図である。 光路長300mmでのYI(黄色度)の測定法の説明図である。
この発明に係る導光板1の製造方法について説明する。本製造方法は、洗浄工程、粉砕工程、混合工程、成形工程を少なくとも備える。以下、各工程毎に順に説明する。
[洗浄工程]
この洗浄工程において、透明樹脂製の導光板の廃材を洗浄する。廃材となる透明樹脂製の導光板のサイズは、通常150mm×200mm以上、例えば1500mm×2000mm以下である。かかる導光板の表面は、平坦面であってもよいし、例えばプリズム形状、エンボス形状、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズなどの凹凸形状が設けられていてもよい。導光板は、両面が平坦面であってもよいし、一方の面が平坦面で他方の面に凹凸形状が設けられていてもよいし、両面に凹凸形状が設けられていてもよい。両面に凹凸形状が設けられている場合、両面に同じ凹凸形状が設けられていてもよいし、それぞれ異なる凹凸形状が設けられていてもよい。このような導光板の廃材を洗浄することによって、廃材に付着している不純物等を十分に除去することができるので、得られる導光板における不純物等による散乱損失を小さくできる、即ち透明性の高い導光板を製造できる。
前記導光板廃材としては、特に限定されるものではないが、例えば導光板の製造過程で発生した端材(耳材)、製造ラインの起動時に発生する端材、使用を終えて廃棄される導光板等が挙げられる。廃材が、製造過程で発生した端材や起動時に発生する端材である場合、この廃材のサイズは通常50mm×200mm以上である。
前記導光板廃材としては、300mmの光路長で測定されたYI(黄色度)が5.0以下である導光板廃材を用いるのが好ましい。この場合には、光の吸収がより少ない導光板、即ちより透明性の高い導光板1を製造できる。中でも、前記導光板廃材としては、300mmの光路長で測定されたYI(黄色度)が4.0以下である導光板廃材を用いるのがより好ましい。
前記洗浄は、純水または脱イオン水(イオン交換水)で行うのが好ましい。このように純水または脱イオン水で行う場合には、成形に用いる材料としてより高純度のものを供給できるので、より透明性の高い導光板1を製造することができる。
前記洗浄の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば浸漬法、スプレー法等が挙げられる。また、前記洗浄は、例えば、バッチ式で行っても良いし、連続式で行っても良い。
前記導光板廃材となる導光板としては、微粒子が添加されていない(微粒子無添加)透明樹脂からなる樹脂板の他、透明樹脂中に光拡散粒子が分散されてなる樹脂組成物の板状体等を例示できる。なお、前記導光板廃材にプロテクトフィルム(保護フィルム)が貼着されている場合には、該プロテクトフィルムを洗浄工程の直前に剥がすのが好ましい。このように洗浄工程の直前に剥がすことでゴミ、粉塵等の付着を防止できる。
前記透明樹脂としては、例えばメタクリル樹脂(PMMA等)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィンなどが挙げられる。
前記光拡散粒子としては、前記透明樹脂と屈折率が相違する微粒子であって透過光を拡散し得るものであれば特に限定されずどのようなものでも使用できる。例えば、ガラスビーズ、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子や、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の樹脂粒子などが挙げられる。
[乾燥工程]
前記洗浄された導光板の廃材を必要に応じて加熱して乾燥させる。前記乾燥手法としては、特に限定されるものではないが、エアーナイフ法(空気を強風で吹き付ける手法)等が挙げられる。前記エアーナイフ法では、フィルターで粉塵等を除去した空気を吹き付けるのが好ましい。加熱温度は40〜70℃に設定するのが好ましい。この加熱による乾燥工程は設けなくても良い。
[粉砕工程]
前記導光板廃材を粉砕して廃材粉砕物を得る。この粉砕の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、超硬回転刃を回転させることで粉砕する回転粉砕法、シュレッダー式粉砕法、ハンマー式粉砕法、ダブルロール式粉砕法、超高速回転インペラーを用いたサイクロン式粉砕法等が挙げられる。
前記粉砕により平均粒子径0.5〜10mmの廃材粉砕物を得るのが好ましい。このような大きさであれば、一般的なバージン樹脂ペレットの大きさに近いので、バージン樹脂ペレットとこの廃材粉砕物とを均一に混合できる。中でも、前記粉砕により平均粒子径1〜6mmの廃材粉砕物を得るのがより好ましい。
[混合工程]
バージンの透明樹脂と前記廃材粉砕物とを混合して混合物を得る。バージンの透明樹脂としては、前記廃材粉砕物を構成する透明樹脂と同種の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、廃材粉砕物を構成する透明樹脂がPMMAである場合には、前記バージンの透明樹脂としてPMMAを用いるのが良い。
前記バージンの透明樹脂としては、例えばメタクリル樹脂(PMMA等)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィンなどが挙げられる。
前記バージンの透明樹脂の平均粒子径は0.5〜10mmであるのが好ましい。このような大きさであれば、バージン樹脂ペレットと廃材粉砕物とを均一に混合できる。
前記混合物における廃材粉砕物の含有比率は3〜40質量%に設定するのが好ましい。3質量%以上であることで廃材粉砕物の使用比率を増大できて導光板廃材の再使用効率を向上させることができると共に、40質量%以下であることでより透明性の高い導光板を製造できる。中でも、前記混合物における廃材粉砕物の含有比率は5〜30質量%に設定するのがより好ましい。
前記混合物には、光拡散粒子等の微粒子を添加しないものとしても良いし、光拡散粒子等の微粒子を添加しても良い。前記微粒子を前記混合物に添加する場合において、前記導光板廃材が光拡散粒子等の微粒子が添加されたものである場合には、前記混合物に添加する微粒子としては、前記導光板廃材に添加されていた微粒子と同種のものを用いるのが好ましい。
また、前記混合物に、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤等の各種添加剤を添加含有せしめても良い。
[成形工程]
前記混合物を板状に成形して導光板1を得る(図1参照)。前記成形方法としては、樹脂板の成形方法として公知の成形法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば溶融押出法、熱プレス法、射出成形法等が挙げられる。前記導光板1の厚さは、特に限定されないが、通常は0.05〜15mmに設定し、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは0.5〜5mmである。成形工程で得られる導光板1のサイズは、通常150mm×200mm以上、1500mm×2000mm以下である。導光板1の表面は、平坦面であってもよいし、例えばプリズム形状、エンボス形状、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズなどの凹凸形状が設けられていてもよい。導光板1は、両面が平坦面であってもよいし、一方の面が平坦面で他方の面に凹凸形状が設けられていてもよいし、両面に凹凸形状が設けられていてもよい。導光板1の両面に凹凸形状が設けられている場合、両面に同じ凹凸形状が設けられていてもよいし、それぞれ異なる凹凸形状が設けられていてもよい。
この発明に係る導光板1の製造方法は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
PMMA(ポリメチルメタアクリレート)(住友化学株式会社製「スミペックスEXN」、屈折率:1.49)をスクリュー径40mmの1軸押出機で溶融混練して樹脂温度255℃でTダイから押出すことによって、厚さ4mm、幅250mm、長さ800mmで両面が平坦面の導光板を製造した。この導光板を200mm×300mmの大きさに裁断する際に発生した端材(廃材)を回収した。前記端材の300mmの光路長で測定したYIは1.8であり、可視光の平均光線透過率は88.3%であった(測定方法は後述する)。
次に、前記端材を純水に浸漬することによって洗浄を行った(洗浄工程)。前記洗浄された端材を回転粉砕法で粉砕して平均粒子径3.7mmの端材粉砕物を得た(粉砕工程)。
次いで、前記端材粉砕物30質量部及びPMMAペレット(住友化学株式会社製「スミペックスEXN」、屈折率:1.49)(バージン樹脂)70質量部をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得た(混合工程)。なお、前記PMMAペレットは、概ね楕円柱形状であり、楕円形状の平均短軸径が2.5mm、楕円形状の平均長軸径が3.3mm、楕円柱の平均高さが2.8mmであった。
前記混合物をスクリュー径40mmの1軸押出機で溶融混練して樹脂温度255℃でTダイから押出すことによって、厚さ4mm、幅200mm、長さ800mmで両面が平坦面の導光板を製造した(成形工程)。
<実施例2>
前記混合工程において前記端材粉砕物20質量部及びPMMAペレット(バージン樹脂)80質量部をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得た以外は、実施例1と同様にして導光板を製造した。
<実施例3>
前記混合工程において前記端材粉砕物10質量部及びPMMAペレット(バージン樹脂)90質量部をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得た以外は、実施例1と同様にして導光板を製造した。
<比較例1>
端材の純水による洗浄を省略した(行わなかった)以外は、実施例1と同様にして導光板を製造した。
<比較例2>
端材の純水による洗浄を省略した(行わなかった)以外は、実施例2と同様にして導光板を製造した。
<参照例>
PMMAペレット(住友化学株式会社製「スミペックスEXN」、屈折率:1.49)(バージン樹脂)をスクリュー径40mmの1軸押出機で溶融混練して樹脂温度255℃でTダイから押出すことによって、厚さ4mm、幅200mm、長さ800mmで両面が平坦面の導光板を製造した。即ち、成形材料としてバージン樹脂のみを用いて導光板を製造した。
上記のようにして得られた各導光板について下記評価法に従い評価を行った。その結果を表1に示す。
<光路長300mmでの可視光の平均光線透過率の測定法>
図2に示すように、得られた導光板を幅50mm×長さ300mmの大きさに切断した後、4つの側面51を研磨機(朝日メガロ社製「プラビューティー1000」)で研磨して測定試験片50を作製した。この測定試験片を日立製作所製プラスチック特性測定システム(U−3410型分光光度計及び大型試料室積分球付属装置で構成される)で300mmの光路長で波長380〜780nmの範囲で5nm刻みで各波長毎の光線透過率を測定し、このようにして得られた光線透過率の算術平均値を「可視光の平均光線透過率」とした。なお、端材の光路長300mmでの可視光の平均光線透過率の測定もこれと同様にして行った。
<光路長300mmでのYI(イエローインデックス)の測定法>
図2に示すように、得られた導光板を幅50mm×長さ300mmの大きさに切断した後、4つの側面51を研磨機(朝日メガロ社製「プラビューティー1000」)で研磨して測定試験片50を作製した。この測定試験片を日立製作所製プラスチック特性測定システム(U−3410型分光光度計及び大型試料室積分球付属装置で構成される)で300mmの光路長で波長380〜780nmの範囲で5nm刻みで各波長毎の光線透過率を測定し、これより、C光源、2度視野でのYI(イエローインデックス)を算出した。なお、端材の光路長300mmでのYIの測定もこれと同様にして行った。
Figure 2011118349
表1から明らかなように、この発明の製造方法で製造された実施例1〜3の導光板は、導光板の製造過程で発生した端材を併用して製造したものであるが、YIが十分に低いので白色度の高い光を出射できると共に、300mmの光路長で測定された可視光の平均光線透過率が十分に高い値であるから十分な輝度を確保できる。
これに対し、端材の洗浄を行うことなく製造された比較例1、2の導光板は、YIが大きい上に、300mmの光路長で測定された可視光の平均光線透過率は低い値であった。
この発明に係る製造方法で製造された導光板は、液晶表示装置のバックライト用の導光板として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
1…導光板

Claims (5)

  1. 透明樹脂製の導光板の廃材を洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄された導光板廃材を粉砕して廃材粉砕物を得る粉砕工程と、
    バージンの透明樹脂と前記廃材粉砕物とを混合して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を板状に成形して導光板を得る成形工程とを含むことを特徴とする導光板の製造方法。
  2. 前記導光板廃材として、前記洗浄前において300mmの光路長で測定されたYIが5.0以下の導光板廃材を用いる請求項1に記載の導光板の製造方法。
  3. 前記混合物における廃材粉砕物の含有比率が3〜40質量%である請求項1または2に記載の導光板の製造方法。
  4. 前記導光板廃材の洗浄を純水または脱イオン水で行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の導光板の製造方法。
  5. 前記導光板廃材として、導光板の製造過程で発生した端材を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導光板の製造方法。
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