JP2011115954A - 接着性積層体の製造方法、接着性積層体、並びに機能性合わせガラス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体と、その上に、液晶組成物を硬化させて形成された機能層とを有する第1の積層体を準備する第1の工程、溶融樹脂組成物を支持部材の表面に流延して製膜し、第1の接着性膜を得る第2の工程、及び第1の積層体の機能層の表面に、加熱下で、第1の接着性膜を積層して、機能層と第1の接着性膜とを熱接着するとともに、第1の積層体から支持体を剥離して、機能層と第1の接着性膜とを少なくとも有する第2の積層体を得る第3の工程を少なくとも含む接着性積層体の製造方法である。
【選択図】図1
Description
また、本発明は該方法によって製造された接着性積層体、並びに該接着性積層体を利用した機能性合わせガラス及びその製造方法にも関する。
金属微粒子を含有する層を有する熱線反射性透明基材が提案されている。金属微粒子を含有する膜は、可視光の透過性能に優れるものの、遮熱に大きく関与する波長700〜1200nmの範囲の光に対する反射率が低く、遮熱性能を高くできないという問題がある。
また、赤外線吸収色素を含む層を有する熱線遮断シートも開示されている。赤外線吸収色素を利用すると、日射透過率を下げることができるものの、日射の吸収による膜面温度上昇と、その熱の再放出によって遮熱性能が低下するという問題がある。
ところで、合わせガラスに上記機能性を持たせるためには、機能層を合わせガラス内に組み込む必要がある。従来、自己支持性のある、例えば、熱線反射フィルム等の機能性フィルムを、合わせガラスの内部に組み込む方法については、種々提案されている。しかし、液晶性組成物の硬化膜等は、自己支持性がない膜であり、機能性に優れるものの、かかる自己支持性のない硬化膜を、従来の方法で合わせガラス内部に組み込むのは困難であり、実用化の弊害となっている。
また、本発明は当該方法によって製造された、機能性合わせガラス内に効率的に機能層を組み込むのに有用な接着性積層体、並びに該接着性積層体を利用した機能性合わせガラス及び機能性合わせガラスの製造方法を提供することを課題とする。
[1] 支持体と、その上に、液晶組成物を硬化させて形成された機能層とを有する第1の積層体を準備する第1の工程、
溶融樹脂組成物を支持部材の表面に流延して製膜し、第1の接着性膜を得る第2の工程、及び
第1の積層体の機能層の表面に、加熱下で、第1の接着性膜を積層して、機能層と第1の接着性膜とを熱接着するとともに、第1の積層体から支持体を剥離して、機能層と第1の接着性膜とを少なくとも有する第2の積層体を得る第3の工程、
を少なくとも含む接着性積層体の製造方法。
[2] 第3の工程において、第1の接着性膜の機能層との接着面の温度が50〜130℃で、熱接着することを特徴とする[1]の方法。
[3] 第3の工程において、第1の接着性膜と機能層とを、加圧条件2kg/cm2未満で熱接着することを特徴とする[1]又は[2]の方法。
[4] 第2の工程において用いる溶融樹脂組成物が、ポリビニルブチラールを主成分として含む溶融樹脂組成物であり、温度150〜250℃で流延ダイから押し出すことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 第1の積層体を支持しつつ搬送する第1の支持部材と、第1の接着性膜を支持しつつ搬送する第2の支持部材との間で、機能層の表面と第1の接着性膜の表面とを連続的に熱接着させることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 第1の接着性膜を支持する第2の支持部材が、溶融樹脂組成物を流延した支持部材であり、第2の工程及び第3の工程を連続的に実施することを特徴とする[5]の方法。
[7] 第2の工程において、溶融樹脂組成物を流涎する支持部材が、ロール、ベルト、又は剥離フィルムのいずれかであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 第2の工程において、溶融樹脂組成物を流涎する支持部材の表面がエンボス加工され、該エンボス加工が、第1の接着性膜の表面に転写されることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 支持体を剥離した機能層の面に、第2の接着性膜を貼合する第4の工程をさらに含むことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの方法。
[10] 第2の工程に用いる溶融樹脂組成物が、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物の溶融物であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの方法。
[11] 機能層が、コレステリック液晶相を固定した層を2層以上含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかの方法。
[12] [1]〜[11]のいずれかの方法によって製造された接着性積層体であって、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなる接着性膜、及びコレステリック液晶相を固定した層を2層以上含む機能層を少なくとも有することを特徴とする接着性積層体。
[13] [1]〜[12]のいずれかの方法によって製造された接着性積層体であって、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなる2つの接着性膜、及び2つの接着性膜の間に、コレステリック液晶相を固定した層を2層以上含む機能層を少なくとも有することを特徴とする接着性積層体。
[14] [13]の接着性積層体を、一対の透明基板間に含む機能性合わせガラス。
[15] 一対の透明基板の間に、[13]に記載の接着性積層体を配置して、前記一対の透明基板を該積層体を介して接着することを含む機能性合わせガラスの製造方法。
また、本発明によれば、当該方法によって製造された、機能性合わせガラス内に効率的に機能層を組み込むのに有用な接着性積層体、並びに該接着性積層体を利用した機能性合わせガラス及び機能性合わせガラスの製造方法を提供することができる。
本発明は、
支持体と、その上に、液晶組成物を硬化させて形成された機能層とを有する第1の積層体を準備する第1の工程、
溶融樹脂組成物を支持部材の表面に流延して製膜し、第1の接着性膜を得る第2の工程、及び
第1の積層体の機能層の表面に、加熱下で、第1の接着性膜を積層して、機能層と第1の接着性膜とを熱接着するとともに、第1の積層体から支持体を剥離して、機能層と第1の接着性膜とを少なくとも有する第2の積層体を得る第3の工程、
を少なくとも含む接着性積層体の製造方法に関する。
また、製膜と同時に接着する方法(例えば、溶融樹脂組成物を機能層表面上で流延したり、溶融樹脂組成物をロールと機能層とのニップ部に押し出す方法等)では、高温の溶融樹脂組成物により、機能層が化学的又は物理的ダメージを受け、その機能が失われるという問題がある。ダメージを避けるために溶融樹脂組成物の温度を低下させると、接着性膜の膜厚のムラが顕著になり、種々の用途における有用性を損なうことになる。本発明の方法では、接着性膜を一旦製膜してから機能層と熱接着しているので、上記問題は生じず、安定的に種々の用途において有用な接着性積層体を提供することができる。
(1)第1の工程
まず、第1の工程では、支持体12と、その上に、液晶組成物を硬化させて形成された機能層14とを有する第1の積層体10を準備する。第1の積層体10が有する機能層14は、合わせガラス中に組み込まれ、合わせガラスに、紫外線防止機能、熱線遮蔽機能、防音機能等の機能性を付与する層である。支持体12は、最終的には除去されるので、その材料等については特に制限はない。PETフィルム等の汎用性の高いポリマーフィルムが用いられるであろう。また、機能層14と支持体12との間には、易接着層、配向層等が配置されていてもよい。
なお、図1では、機能層14を単層として表現しているが、機能層14は複数の層からなっていてもよく、特に、後述する熱遮蔽機能性を付与するためには、コレステリック液晶相を固定した層を2層以上有するのが好ましい。
まず、液晶化合物及び所望により配向制御剤等の添加剤を含む液晶組成物を塗布液として調製し、該塗布液を支持体12の表面に塗布し、所望により加熱下で塗膜中から溶媒を除去して、塗膜を乾燥する。乾燥により、液晶分子を配向させて、所定の配向状態とし、硬化反応により当該配向状態を固定し、機能層14を形成する。但し、この方法に制限されるものではなく、その他、転写法等を利用して形成することもできる。また、市販品の機能性フィルムをそのままもしくは加工して第1の積層体として利用することもできる。機能層14の厚みについては特に制限はないが、一般的には、2〜50μm程度である。機能層14の厚みが薄すぎると脆くなり、搬送しつつ連続的に本発明を実施する場合に、欠陥などが生じる場合がある。この観点では、機能層14の全体的な厚みは5μm以上であるのが好ましく、5〜50μmであるのがより好ましい。
機能層14の形成に用いられる材料の例については、本発明の積層中間膜シートの欄で詳細に説明する。
第2の工程では、溶融樹脂組成物を流延法により製膜して、第1の接着性膜20を得る。図1に示す通り、溶融樹脂組成物20’を流延ダイ22から、流延ロール24の表面に流延し、製膜することができる。溶融樹脂組成物は、接着性膜となる樹脂を主成分として含有する。例えば、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物である。
第3の工程では、第1の積層体10の機能層14の表面に、加熱下で、第1の接着性膜20を積層して、機能層14と第1の接着性膜20とを熱接着するとともに、第1の積層体10から支持体12を剥離して、機能層14と第1の接着性膜20とを少なくとも有する第2の積層体30を得る。即ち、この工程では、機能層14は、第1の接着性膜20上に転写される。この工程は、図1に示す通り、支持部材によってそれぞれ搬送しつつ連続的に行うのが好ましい。具体的には、第1の積層体10を第1の搬送ロール16で、及び第1の接着性膜20を第2の搬送ロール24で、それぞれ連続的に搬送しつつ、そのニップ部で、第1の積層体10の機能層14の表面と、第1の接着性膜20の表面とを熱接着させるのが好ましい。特に、図1に示す通り、第2の搬送ロール24が、溶融樹脂組成物20’を流延する支持部材も兼ねていると、第2の工程と第3の工程を連続的に行うことができるので好ましい。
第2の接着性膜は、例えば、第2の積層体30の支持体が剥離された面に、貼合することができる。貼合の方法については特に制限はなく、熱接着等、種々の方法が利用できる。ラミネートロールを利用してもよい。また、予め、第2の積層体30及び/又は第2の接着性膜を加熱しておき、その後、圧着して貼合してもよい。さらに、第2の接着性膜と第2の積層体30との貼合を、搬送ロールを利用して、第3の工程から連続して行うこともできる。
図2の接着性積層体50は、第1の接着性膜20、第2の接着性膜40、及びその間に機能層14を有する。第1及び第2の接着性膜20、40は、ポリビニルブチラールを含む組成物からなるシートであって、ガラス基板やプラスチック基板等の透明基板に熱接着可能である。一対の透明基板の間に接着性積層体50を配置して、熱接着することで、機能層14を内部に有する機能性合わせガラスを容易に製造することができる。また、エンボス加工された支持体表面に流延することで製膜された場合には、第1の接着性膜20のガラス板等との接着面はエンボス加工されていて(図2中、エンボス加工については不図示)、ガラス板等の透明基板と加熱接着する際に、エンボス加工面の凹凸によって脱気が容易となり、安定的に熱接着を実行できる。
図3に示す機能性合わせガラスは、一対の透明基板52、52’を、接着性積層体50を介して加熱接着して製造される合わせガラスである。合わせガラス60は、その内部に有する機能層14によって、例えば、紫外線防止機能、熱線遮蔽機能、及び防音機能等が付与されている。透明基板52、52’は、ガラス板のみならず、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等のプラスチック基板であってもよい。また双方が同一の材料からなる基板である必要もなく、一方がガラス基板で、他方がプラスチック基板であってもよい。また、透明基板52、52’は、少なくとも完全に光を遮断しない限りは、着色していてもよい。ガラス板等の厚みについては特に制限はなく、用途に応じて好ましい範囲が変動する。例えば、輸送車両のフロントガラス(ウインドウシールド)の用途では、一般的には、2.0〜2.3mmの厚みのガラス板を用いるのが好ましい。また、家屋やビル等の建物用遮熱性窓材のガラス板等の光透過性支持体の厚みは、一般的には、40〜300μm程度である。但し、この範囲に限定されるものではない。
本発明の一態様は、機能層として、700nm以上の波長域の光を反射する特性を示す光反射層を少なくとも1層有する態様である。700nm以上の波長域の光は、温度上昇の主な原因となる光なので、本態様の機能層は、前記波長域の光を反射することで、熱線を遮蔽する機能を有する。該光反射層は、コレステリック液晶相を固定して形成された層である。前記光反射層の形成には、硬化性の液晶組成物を用いるのが好ましい。前記液晶組成物の一例は、棒状液晶化合物、光学活性化合物(キラル剤)、及び重合開始剤を少なくとも含有する。各成分を2種以上含んでいてもよい。例えば、重合性の液晶化合物と非重合性の液晶化合物との併用が可能である。また、低分子液晶化合物と高分子液晶化合物との併用も可能である。更に、配向の均一性や塗布適性、膜強度を向上させるために、水平配向剤、ムラ防止剤、ハジキ防止剤、及び重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、前記液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
本発明に使用可能な棒状液晶化合物の例は、棒状ネマチック液晶化合物である。前記棒状ネマチック液晶化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性棒状液晶化合物は、重合性基を棒状液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、及びアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、棒状液晶化合物の分子中に導入できる。重合性棒状液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
前記液晶組成物は、コレステリック液晶相を示すものであり、そのためには、光学活性化合物を含有しているのが好ましい。但し、上記棒状液晶化合物が不斉炭素原子を有する分子である場合には、光学活性化合物を添加しなくても、コレステリック液晶相を安定的に形成可能である場合もある。前記光学活性化合物は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)から選択することができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。光学活性化合物(キラル剤)は、重合性基を有していてもよい。光学活性化合物が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性光学活性化合物と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、光学活性化合物から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性光学活性化合物が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、光学活性化合物の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、光学活性化合物は、液晶化合物であってもよい。
前記光反射層の形成に用いる液晶組成物は、重合性液晶組成物であるのが好ましく、そのためには、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合性液晶組成物の一例は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤を含有する、紫外線硬化性液晶組成物である。前記光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
本発明では、前記液晶組成物中に、安定的に又は迅速にコレステリック液晶相となるのに寄与する配向制御剤を添加するのが好ましい。配向制御剤の例には、含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、及び下記一般式(X1)〜(X3)で表される化合物が含まれる。これらから選択される2種以上を含有していてもよい。これらの化合物は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなり、また赤外領域での反射率が増大する。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、コレステリック液晶相の螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性を示すため好ましくない。
配向制御剤として利用可能な前記含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの例は、特開2007−272185号公報の[0018]〜[0043]等に記載がある。
なお、本発明では、配向制御剤として、前記一般式(X1)〜(X3)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
(1a) 支持体の表面に、硬化性の液晶組成物を塗布して、コレステリック液晶相の状態にすること、
(1b) 前記硬化性の液晶組成物に紫外線を照射して硬化反応を進行させ、コレステリック液晶相を固定して光反射層を形成すること、
を少なくとも含む製造方法である。
(1a)及び(1b)の工程を、支持体の一方の表面上で2回以上繰り返すことで、前記光反射層を2層以上有する遮熱部材を作製することができる。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定されるであろう。
なお、本発明においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に層中の液晶組成物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
支持体としてとして、富士フイルム(株)製PETフィルムを準備した。
下記表に示す組成の塗布液(A)及び(B)をそれぞれ調製した。
(1) 調製した塗布液(A)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の乾膜の厚みが6μmになるように富士フイルム(株)製PETフィルム(基板1)上に、室温にて塗布した。
(2) 室温にて30秒間乾燥させてコレステリック液晶相とした後、125℃の雰囲気で2分間加熱し、その後95℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて、出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、膜(光反射層)を作製した。
(3) 室温まで冷却した後、塗布液(A)を塗布液(B)に代えて、上記工程(1)及び(2)を繰り返した。
この様にして、PETフィルム上に、コレステリック液晶相を固定した光反射層を2層有する第1の積層体シートを作製した。この第1の積層体シートは、1000nmに光反射の極大ピークを示す熱線遮熱機能性部材であって。
この作製した第1の積層体シートを、以下の実施例及び比較例でそれぞれ使用した。
PVBの溶融物を流涎ダイから、下記表に示す温度で、下記表に示す支持部材上にそれぞれ流延することで製膜し、第1の接着性膜を得た。下記表中、支持部材として用いた剥離フィルムはポリエチレンフィルムである。なお、いずれの支持部材についても、支持部材上で製膜しつつ、該膜を搬送した。
別途、上記で作製した第1の積層体シートを、搬送ロールで搬送しつつ、搬送された(流延ロール又は金属ベルト上で製膜された例)又は静置した(剥離フィルム上で製膜された例)第1の接着膜と、下記表に示す条件で、機能層を第1の接着無に熱接着するとともに、PETフィルムを剥離した。
・接着性
○:機能層とPVBが剥れない
×:機能層とPVBが剥れる
・機能層の割れ
○:機能層がPVBシート上でシワの発生無く、割れが生じない
△:機能層がPVBシート上でシワが発生する
×:機能層がPVBシート上で割れる
・機能層の反射特性
○:機能層の反射特性が積層体作成前と後で変化が無い
×:機能層の反射特性が積層体作成前より後が反射率が低下する
・第1の接着性膜の厚みムラ
○:接着性膜の厚みムラが視認できない
△:接着性膜の厚みムラが視認できないが、合わせガラス化時に接着ムラが生じる
×:接着性膜の厚みムラが視認でき、合わせガラス化時に接着ムラが生じる
比較例1及び2では、上記で作製した第1の積層体シートの機能層表面に、直接、PVBの溶融物を流涎ダイから、下記表に示す温度で流延して、PVB膜を製膜すると同時に機能層と接着した。
比較例3及び4では、上記で作製した第1の積層体シートの搬送ロールと流延ロールとのニップ部であって、機能層と流延ロールとの間にPVBの溶融物を下記表に示す温度で流涎ダイから押出し、PVB膜を製膜すると同時に機能層と接着した。
比較例についても上記と同様に評価した。結果を下記表に示す。
一方、比較例1〜4では、PVB溶融物を製膜する前に、機能層と接触させているため、溶融物の温度が高い例(比較例2及び4)では、機能層にダメージがあり光反射性能が失われ、一方、PVB溶融物の温度を、機能層にダメージがない程度まで低下させた例(比較例1及び3)では、PVB膜の厚みムラが顕著となり、合わせガラス用中間膜シート等として用いるには満足いくレベルではなかった。
12 支持体
14 機能層
16 搬送ロール
20 第1の接着性膜
20’ 溶融樹脂組成物
22 流延ダイ
24 流延ロール及び搬送ロール
30 第2の積層体
40 第2の接着性膜
50 積層中間膜シート
52、52’ 透明基板
60 機能性合わせガラス
Claims (15)
- 支持体と、その上に、液晶組成物を硬化させて形成された機能層とを有する第1の積層体を準備する第1の工程、
溶融樹脂組成物を支持部材の表面に流延して製膜し、第1の接着性膜を得る第2の工程、及び
第1の積層体の機能層の表面に、加熱下で、第1の接着性膜を積層して、機能層と第1の接着性膜とを熱接着するとともに、第1の積層体から支持体を剥離して、機能層と第1の接着性膜とを少なくとも有する第2の積層体を得る第3の工程、
を少なくとも含む接着性積層体の製造方法。 - 第3の工程において、第1の接着性膜の機能層との接着面の温度が50〜130℃で、熱接着することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 第3の工程において、第1の接着性膜と機能層とを、加圧条件2kg/cm2未満で熱接着することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 第2の工程において用いる溶融樹脂組成物が、ポリビニルブチラールを主成分として含む溶融樹脂組成物であり、温度150〜250℃で流延ダイから押し出すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 第1の積層体を支持しつつ搬送する第1の支持部材と、第1の接着性膜を支持しつつ搬送する第2の支持部材との間で、機能層の表面と第1の接着性膜の表面とを連続的に熱接着させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 第1の接着性膜を支持する第2の支持部材が、溶融樹脂組成物を流延した支持部材であり、第2の工程及び第3の工程を連続的に実施することを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 第2の工程において、溶融樹脂組成物を流涎する支持部材が、ロール、ベルト、又は剥離フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 第2の工程において、溶融樹脂組成物を流涎する支持部材の表面がエンボス加工され、該エンボス加工が、第1の接着性膜の表面に転写されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 支持体を剥離した機能層の面に、第2の接着性膜を貼合する第4の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 第2の工程に用いる溶融樹脂組成物が、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物の溶融物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 機能層が、コレステリック液晶相を固定した層を2層以上含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって製造された接着性積層体であって、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなる接着性膜、及びコレステリック液晶相を固定した層を2層以上含む機能層を少なくとも有することを特徴とする接着性積層体。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法によって製造された接着性積層体であって、ポリビニルブチラールを含む組成物又はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなる2つの接着性膜、及び2つの接着性膜の間に、コレステリック液晶相を固定した層を2層以上含む機能層を少なくとも有することを特徴とする接着性積層体。
- 請求項13に記載の接着性積層体を、一対の透明基板間に含む機能性合わせガラス。
- 一対の透明基板の間に、請求項13に記載の接着性積層体を配置して、前記一対の透明基板を該積層体を介して接着することを含む機能性合わせガラスの製造方法。
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