JP2011115565A - ネイルチップ宝飾具の製造方法とネイルチップ宝飾具 - Google Patents

ネイルチップ宝飾具の製造方法とネイルチップ宝飾具 Download PDF

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Abstract

【課題】不用意に自爪から剥離するおそれがなく高いフィット感が得られるとともに、美的価値を有する素材から製作されたネイルチップに、宝石又は人工宝石を固着させ、宝石等が本来有する輝きと素材が有する美観とが融合した更なる美的価値を発揮させること。
【解決手段】ユーザの自爪を含む指先部から型取ったユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で測定する工程と、この測定データを変換した加工データでのチップ素材の少なくとも自爪の取付面である裏面側を自動加工する工程と、加工したチップ素材を研磨する工程を経てネイルチップを製造し、ネイルチップの表面に自然宝石又は人工宝石等の装飾部材を固着して製造するネイルチップ宝飾具である。
【選択図】図1

Description

本発明は、白蝶貝等の天然素材から切削加工工程等を経て製造された自爪に密着固定するネイルチップ宝飾具の製造方法とその方法を用いたネイルチップ宝飾具に関する。
従来から、爪の形を整え、ネイルエナメルを塗布して爪を装飾するネイルカラーが行われているが、最近では、爪にデザインした模様を描いたり、ラインストーンやラメ、合成樹脂材等で形成した立体物等を貼付して装飾したりするネイルアートが行われるようになっている。また、結婚式や各種パーティにおいて女性をより華やかに演出するため、ラインストーンよりも輝きに優れるダイヤ等の宝石を使用したネイルアートに対する需要も高まってきている。
しかしながら、爪に美しくネイルアートを施すためには専門のネイルサロンで専門家の施術を受ける必要があり、費用と時間がかかるため、ファッションやTPOに合わせて簡単に変更することができないという問題がある。また、ネイルアートを施した爪が美しく見えるためには、元々の爪の形状もある程度美しいことが必要になる。一般的には、縦長で丸みを帯びた表面形状を有する爪が美しい爪であると言われている。一方、日本人には平らな形状の爪を有する者が多いと言われており、これは生まれつきの身体的特性に係るものであるため、そのままでは解決が困難な問題である。
身体的特性により爪を長く伸ばすことが困難な人や、家事や仕事等のために普段は派手なネイルアートを楽しむことができない人が、TPOに合わせて爪のお洒落を楽しむ方法として付爪がある。付爪とは自爪に貼り付ける人工の爪のことであり、付爪の種類には、スカルプチュア、ジェルネイル及びネイルチップと呼ばれるものがある。
スカルプチュアとは、混合すると重合反応が起こり硬化するアクリルパウダーとアクリルリキッドを用いて自爪の上に人工爪を成形する方法である。ジェルネイルとは、紫外線で硬化するジェル状のアクリル樹脂を用いて自爪の上に人工爪を成形する方法である。どちらも、自爪に合わせて一つ一つ作っていくため、爪の大小や形状に関係なく自然な仕上がりにできるとともに、非常に剥がれにくいという長所がある反面、ネイルサロンで自爪上に一つ一つ作ってもらうために高価であるとともに、製作にも時間がかかるという短所がある。
一方、ネイルチップとは、両面テープや接着剤で自爪に貼り付けて使用する付爪であり、通常、付爪といえばこのネイルチップのことを指す。ネイルチップの材質は合成樹脂が一般的であり、人間の手指の爪の表面形状に沿うように湾曲した板状を成し、この表面に様々な装飾を施した既製品が市販されている。このような既製のネイルチップは、使用に際してマニキュアのように乾燥を待つ必要がなく、また、あらかじめ気に入ったデザインのネイルチップをストックしておくことができるため、気分やTPOに対応して手早く装着して使用できるというスカルプチュア、ジェルネイルにはない長所がある。
しかしながら、人間の手指の爪の形状及び大きさは千差万別であるのに対し、既製品として販売されているネイルチップのサイズは十数種類しかないため、既製のネイルチップがユーザの自爪に完全に適合することはほとんどなく、ユーザは既製のネイルチップの中からできるだけ自分の爪に適合する物を選択している。したがって、既製のネイルチップを使用した際には、ネイルチップの一部が浮いているような違和感が生じ、満足できるフィット感を得ることができないことが多く、また、接着剤等の接着力が弱い場合には、使用中に剥離・脱落するおそれがあるという問題もある。
このため、既製のネイルチップを使用する際には、装着する自爪の形状に合わせるようにネイルチップを無理やり自爪に押し付け、強力な接着剤を用いて貼付することも行われているが、接着剤の接着力が強力であるためにネイルチップを剥がす際には当該ネイルチップが破壊されてしまい、再使用ができないという問題もある。
自爪に適合しないという既製のネイルチップの問題点を解決するため、ユーザの自爪の形状に適合したネイルチップを製作する方法について検討されており、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。また、指先をより華やかに演出するため、ネイルチップ等に宝石を取り付けるための化粧品や方法についても検討されており、例えば、特許文献3や特許文献4に開示されたものがある。
特許文献1に記載のネイルチップの製造方法は、ユーザの指先の形状を印象材で採取した精密印象に石膏泥を注入して指先石膏模型を形成し、当該指先石膏模型を加工した後に爪部に爪チップ厚に相当する厚さのワックスを載せて爪チップワックスの原型を成形した後、この爪チップワックスの原型を基にして加熱重合型レジン製のネイルチップを製作するものである。
特許文献2に記載のネイルチップの製造方法は、ユーザの指先の形状をシリコーン印象材等で取得して精密な型を作成し、当該型に常温硬化型樹脂又は加熱溶融型樹脂を注入して樹脂製の指型を作成し、当該指型の爪部上にジェル状の光硬化性の樹脂を直接盛り、形を作ってから紫外線を照射して硬化させることによりネイルチップを製作するものである。
特許文献3に記載の爪化粧品は、宝石を含有する被膜形成剤を含む透明溶剤であり、前記宝石を前記透明溶剤とともに自爪やネイルチップに塗布することにより自爪等に固定するものである。
特許文献4に記載のネイルチップへの宝石の取付方法は、ネイルチップに宝石を収容する凹部を設け、当該凹部に宝石を収容して接着剤で固定するものである。
特許第3081598号公報 特開2009−101128号公報 特許第3871056号公報 特許第4217754号公報
特許文献1に記載のネイルチップの製造方法は、ユーザの指の形状を採取した精密印象に石膏を流し込んで指先石膏模型を形成した後、当該指型を加工してネイルチップを一つずつ作成しているが、この作業に長時間を要する。更に、製作に使用した指先石膏模型は使用後に破損や亀裂が生じる可能性が高いので、模型を保存しておいて再注文に応じることは困難である。
特許文献2に記載のネイルチップの製造方法は、ユーザの指の形状をシリコーン印象材等で取得して型を作成した後、当該型に常温硬化型樹脂又は加熱溶融型樹脂を注入して樹脂製の指型を作成し、当該指型の爪部上にジェル状の光硬化性の樹脂を直接盛り付け、形成した後に紫外線を照射して硬化させることによりネイルチップを製作する。この方法では、指型の再使用は可能であるが、ネイルチップを一つずつ手作業で製作するため、やはり製作には長時間を要することになる。
特許文献3に記載の爪化粧品は、透明溶剤で宝石を爪等の表面に固定するものであり、使用できる宝石は微小なもの(0.0033カラット以上、0.01カラット以下とされている。)に限られる。また、宝石が前記透明溶剤の塗膜に覆われて自爪等の上に固定されるため、光が外部から宝石に入射する過程とその後内部で反射されて外部に戻る過程においてコーティングされた塗膜を通過することになるので、その度に塗膜の影響を受け、宝石が本来有する輝きは著しく損なわれるとともに、透明溶剤により塗布される微小な宝石を所望の位置に固定することは困難である。
特許文献4に記載の宝石の取付方法は、ネイルチップに宝石の下部と略同形状の逆円錐状の凹部を形成し、当該凹部に宝石を嵌め込み接着固定する取付方法である、したがって、宝石のサイズが大きくなるに従って宝石の下部を収容するためにネイルチップの厚みが増してしまい、使用時に不自然な外観となるおそれがある。
また、特許文献1、特許文献2及び特許文献4に記載のネイルチップは合成樹脂を主材としており、素材自体が有する美観を発揮させ、美的価値の高いネイルチップを製造することについては何ら考慮されていない。
本発明は、上述の従来の問題点に鑑み、開発に至ったものであり、その目的とするところは、自爪への密着性を有することにより、不用意に自爪から剥離するおそれがなく、しかも高いフィット感が得られるとともに、美的価値を有する素材から製作されたネイルチップに、更に宝石又は人工宝石をそれらが本来有する輝きを損なうことなく固着させる処理をすることにより、宝石等が本来有する輝きと素材が有する美観とが融合して更なる美的価値を発揮し、もってネイルチップの使用価値の向上を図ったネイルチップ宝飾具の製造方法とネイルチップ宝飾具を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ユーザの自爪を含む指先部を型取りする工程と、型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で測定する工程と、この測定データを変換した加工データでのチップ素材の少なくとも自爪の取付面である裏面側を自動加工する工程と、加工したチップ素材を研磨する工程を経てネイルチップを製造するようにしたことを特徴とするネイルチップ宝飾具の製造方法である。
請求項2に係る発明は、白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材を用いたネイルチップ宝飾具の製造方法である。
請求項3に係る発明は、三次元レーザースキャン装置を用いたネイルチップ宝飾具の製造方法である。
請求項4に係る発明は、加工工程に、ユーザの選択データであるチップ素材の外周形状データ等を入力する工程を付加したネイルチップ宝飾具の製造方法である。
請求項5に係る発明は、白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材で形成したチップ素材の少なくとも自爪に取付ける取付面である裏面側を自爪形態の三次元測定データで加工成形した密着取付面に形成すると共に、少なくともチップ素材の表面側を研磨手段を介して自然素材の光沢面に形成して宝飾価値と自爪への密着性を有するネイルチップを得たことを特徴とするネイルチップ宝飾具である。
請求項6に係る発明は、ネイルチップの表面に、自然宝石又は人工宝石等の装飾部材を固着したネイルチップ宝飾具である。
請求項1に係る発明によると、型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で立体的に測定し、当該測定データを変換した加工データによりユーザの自爪への取付面となるネイルチップの裏面側を高精度に自動加工した後、チップ素材を研磨する工程を経てネイルチップが製造されるので、自爪との密着性に優れ、装着時に不用意に剥離することもなく、自爪との一体感を有するとともに、素材自体が本来有する美観を呈するネイルチップを提供でき、ネイルチップを宝飾具としての商品価値に高めることが可能となる。
請求項2に係る発明によると、白蝶貝、黒蝶貝等を研磨することにより独特の美観を呈する天然貝素材から高いフィット感が得られるネイルチップを製造することができる。このような天然貝素材を、切削加工や研磨加工工程を経るのみで、通常の人工物と異なり、自然物独特の素材つやと自然色を醸し出すことができ、人工物では得られない商品価値を発揮したネイルチップを提供できる。
請求項3に係る発明によると、三次元レーザースキャン装置により、型取られたユーザの自爪の表面形態を短時間で高精度に立体測定することができるとともに、当該測定データを変換した加工データにより素材を自動切削加工できるので、自爪への高い密着性を有するネイルチップを即座に製造することができる。このように測定、加工の工程が自動化され、短時間にネイルチップを製造できることが、従来の製造方法に比較して著しい効果を発揮する。
また、一度ユーザの自爪の三次元データを取得すれば、当該データはコンピュータ内の記憶装置に保存できるため、型取った指型を保存する場所、設備も不要であり、ユーザの再注文に応じて何度でも繰り返しそのユーザに適応したネイルチップを製作することができるので、非常に効率的で、ユーザはリピータとして再利用する可能性が高く、ビジネス上も有効である。また、自動切削機には切削データのみをインターネット等の通信手段を介して送信すれば良いから、ユーザの指先部を型取り、三次元レーザースキャン装置により型取られたユーザの自爪の表面形態を測定する場所と、ネイルチップを切削加工する場所を離して設置することもでき、極めて使用価値が高い。
請求項4に係る発明によると、単にユーザの自爪への高い密着性を有するネイルチップに止まらず、ユーザの選択により表面立体形状を一般的に美しいとされる爪の形状に近づけて形成したり、平面形状をユーザが選択した形状に形成したりしてネイルチップを製造することができるため、ユーザの好みに応じた形状のネイルチップを容易に得ることができ、ユーザに高い満足度を与えることができる。
請求項5に係る発明によると、天然貝素材で形成したチップ素材の密着取付面を自爪の表面形態を三次元で計測したデータで加工しているので、取付面は自爪の表面に適宜の接着手段でクリアランスのない確実に密着した状態で固着できるため、使用中に不用意に外れることもなく、一体感を有するネイルチップを得ることができ、しかも自然素材の光沢面を形成して人工物にはない宝飾価値を高めることができ、もって、商品価値を著しく高めることができる。
請求項6に係る発明によると、そのままでも美的価値が高いネイルチップに宝石、人工宝石等の装飾部材を備えることにより、素材が有する美感と宝石等が本来有する輝きに伴う美感との相乗効果により、更に美的価値を高めたネイルチップ宝飾具を提供することができる。
本発明によるネイルチップ宝飾具の製造工程を示すフローチャートである。 本発明によるネイルチップ宝飾具の製造方法におけるユーザの自爪を含む指先部の表面形態を型取る方法の概念説明図である。 本発明によるネイルチップ宝飾具の製造方法における型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元レーザースキャン装置により測定する状況の概念説明図である。 本発明によるネイルチップ宝飾具の表面立体形状の補正効果を示す概念断面図である。 (a)、(b)は、ネイルアートで用いられる爪の形の各例を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明によるネイルチップ宝飾具の製造方法におけるワーク切削加工要領の一例を示した概念図である。 本発明によるネイルチップ宝飾具の製造方法においてワークからネイルチップを二個取りする場合を示す概念図である。 (a)、(b)は、本発明によるネイルチップ宝飾具の製造方法においてワーク切削加工時に使用する支持具の一例を示した概念図である。 本発明におけるネイルチップ宝飾具の一例を示した斜視図である。 (a)は本発明によるネイルチップ宝飾具の自爪への密着状況を示した概念断面図であり、(b)は密着しないネイルチップの装着状況を示す概念断面図である。 本発明によるネイルチップ宝飾具に装飾部材を取付けた状態を示す一部切欠き拡大断面図である。
以下に、本発明におけるネイルチップ宝飾具の製造方法とネイルチップ宝飾具の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
チップ素材は白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材の適当な部分より、既知の適宜な方法により切り出して作成する。切り出す際の大きさ、形状は任意であるが、本実施例においては、切り出しが容易な円形に前記貝素材をくり貫いて略円柱状に切り出した。その後、ネイルチップの製造に適するように円柱の上面と下面が平行、かつ両面とも円柱の側面に直角となるように前記上面と下面の切削加工を行い、最終的には直径約30mm、厚さ約5mm程度の円柱状に仕上げた。
チップ素材は単一の天然貝素材から切り出すだけではなく、例えば白蝶貝と黒蝶貝から切り出した素材を適宜な方法により接着して積層したものでも良い。このように色の異なる素材を積層したチップ素材から製造したネイルチップは、単一の素材から製造したものとは異なる色調からなる独特の美感を呈し、更に商品価値を高めることができる。
本発明のネイルチップ宝飾具の製造方法は、型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で測定する工程と、この測定データを変換した加工データでのチップ素材の少なくとも自爪の取付面である裏面側を自動加工する工程と、加工したチップ素材を研磨する工程を経てネイルチップを製造するようにしたことを特徴としている。
本発明のネイルチップ宝飾具の具体的な製造方法を図1〜図5を使用して説明する。図1は本発明のネイルチップ宝飾具の具体的な製造工程を示したフローチャートであり、製造工程を更に具体的に示している。
具体的な製造工程は、ユーザの自爪を含む指先部の表面形態を型取りする第1の工程と、前記型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で計測する第2の工程と、ユーザの選択データであるチップ素材の外周形状データ等を入力する第3の工程と、第2の工程で測定したデータと第3の工程で入力したデータから切削データを作成する第4の工程と、第4の工程で作成した切削データに基づいて素材を自動加工する第5の工程と、第5の工程で自動加工されたネイルチップの表面全体を研磨する第6の工程と、第6の工程で表面全体を研磨したネイルチップに取付金具を介して宝石等を固着させる第7の工程より成っている。
第1の工程は、ユーザの自爪を含む指先部の表面形態を型取りする工程である。型取りは、図2に示すように、ユーザの自爪を含む指先部を型取り用の粘土の表面に強く押し当てることにより行う。このとき使用する粘土の種類は任意であるが、きめが細かく、指に付着しにくいものが好ましい。この方法による型取りは、極めて短時間に行うことができるため、ユーザに負担をかけない。なお、指先部を粘土から外す際等に、粘土を変形させてしまうことにより、型取った部分も変形させることを防止するため、粘土を金属板等の剛性の高い板材に盛った状態か、丈夫なカップ状の容器に入れた状態で型取りを行うことが好ましい。
また、上記の方法より時間を要するが、ユーザの指先部の表面形態を型取り材で取得し、その複製を作成するする方法でも良い。この型取り材には、ユーザに与える負担を最小化するため、極短時間で複雑な形状を精密に型取りすることが可能であることともに、ユーザの指の皮膚に無害であることが要求される。このような条件を満たす型取り材としては、従来からアルギン酸塩印象材等の歯科用印象材が知られている。これらの印象材とは別に、コンニャクの成分であるマンナンを主成分とする型取り材も前記の条件を満足する。また、これらの型取り材は硬化後にはゴムのように弾力性を有するので、硬化後には指を容易に引き抜くことができ、引き抜き時に取得した型を傷つける可能性も小さい。これらの型取り材で取得した型に注ぎ込んで指先部の複製を作成する注型材としては、石膏及びパラフィンが適しているが、作成後の取り扱いの容易さを考慮すると石膏の使用が好ましい。
第2の工程はユーザの指先部の形状を写し取った型からユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で測定する工程である。三次元測定には種々手段が存在するが、本実施例では三次元レーザースキャン装置を使用した。三次元レーザースキャン装置を使用したことにより、取得したデータをコンピュータで処理することができるとともに、コンピュータ内の記憶装置に保存することができる。
図3は、三次元レーザースキャン装置によりユーザの指先部の形状を写し取った型からユーザの自爪表面形態1を計測する状況を示す概念図である。レーザー2を用いて測定するために測定精度は高く、また、型一個当りに要する測定時間も極めて短時間で済む。
第3の工程は、ユーザの選択データであるチップ素材の外周形状データ等を入力する工程である。ユーザが希望するネイルチップの表面形状及び平面形状に関するデータを入力し、コンピュータ内の記憶装置に保存する。
図4の(a)に示すように、ユーザの自爪3の形態が扁平であった場合に、裏面形態がユーザの自爪の表面形態と一致し、かつ厚みが均一であるネイルチップ4を製作すると、ネイルチップの表面形態も扁平なものとなる。この場合でも、ネイルチップはユーザの自爪にしっかりと密着し、十分なフィット感を得ることができる。しかしながら、一般的に美しい爪とは縦長で丸みを帯びた形状の爪であるとされているので、指先の美観という面からはユーザに不満が残ることとなる。
そこで、本発明においては、より美しい指先を実現したいというユーザの希望に応えるため、ユーザが希望するネイルチップの表面形状を三次元CADソフトにより作成し、作成したデータをコンピュータに入力して保存する本工程を設けた。これにより、ユーザが丸みを帯びた表面形状のネイルチップを希望する場合には、図4の(b)に示すように丸みを帯びた形状のネイルチップ5を形成することができる。
また、ネイルアートを楽しむ場合の爪の形6には、図5の(a)に示す「スクエアオフ(四角型)」や、(b)に示す「オーバル(普通型)」のような基本形が数種存在し、個人により爪形の好みが異なる。そこで、本工程においては、ネイルチップの表面形状だけでなく、ユーザの好みの平面形状のネイルチップを形成できるようにするため、三次元CADソフトを使用してネイルチップの平面形状に関するデータを作成し、当該データをコンピュータに保存する。
第4の工程は、第2の工程で取得した三次元測定データと、第3の工程で作成したネイルチップの表面形状及び平面形状に関する三次元データとから、三次元CADソフトを使用して形成すべきネイルチップの三次元データを作成するとともに、当該三次元データを切削用データに変換してコンピュータ内の記憶装置に保存する工程である。三次元データの切削用データへの変換は、変換ソフトを使用して行った。
本工程において、第2の工程及び第3の工程で別々に保存されたデータが一つに統合され、ユーザが選択した表面形状、平面形状を有するとともに、ユーザの自爪に密着するネイルチップを素材から切削加工するために必要な切削用データが作成、保存される。
第5の工程は、第4の工程において作成した切削用データに基づき、チップ素材を自動加工する工程である。本実施例においては、第4の工程で作成したデータを有効に活用するため、コンピュータ制御の自動切削機(図示せず)を用いてチップ素材を切削加工し、ネイルチップを形成した。
本実施例で使用した自動切削機はコンピュータ制御されているので、当該コンピュータに切削データを入力すれば所要のネイルチップを製造することができる。したがって、ユーザの指先部を型取るとともに、三次元レーザースキャン装置を設置して型取られたユーザの自爪の表面形態を計測する等してネイルチップの切削データを作成するショップと、自動切削機を設置してネイルチップを製造する工場が異なる場所にあったとしても、ショップのコンピュータから切削データをインターネット等の通信手段を介して工場の自動切削機を制御するコンピュータに送信すれば、前記工場でネイルチップを製造することができるため、ビジネス上の効果は大きい。
図6を用いて本実施例における切削加工工程をやや詳細に説明する。図6の(a)は、白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材から切り出したチップ素材(以下、ワークという。)を示している。図示したワーク7は円柱形であり、本実施例では上面と下面の直径が約30mm、高さが約5mmのものを使用したが、ワークの形状及び寸法は本実施例のものに限られるものではない。
ネイルチップの切削加工にあっては、先ずネイルチップの裏面形態8をワーク7に切削加工する。図6の(b)は、この状態を示している。本図は、ワーク7に1個のネイルチップを切削加工する状況を示しているが、ワーク7の大きさに比較して切削加工すべきネイルチップが小さい場合には、図7に示すようにネイルチップを二個取りして切削加工することもできる。
ワークにネイルチップの裏面形態8を切削加工した後、ワーク7を裏返し、ネイルチップの表面形態9を切削加工する。図6の(c)は、この状態を示している。
ネイルチップの表面形態の切削加工が完了した後、ワーク7からネイルチップを取り出すと、図6の(d)に示すように切削加工されたままの表面状態のネイルチップ10が得られる。
上記の第5工程の説明において、ワーク7の切削加工を一個ずつ行うが如く記述したが、実際の加工においては、図8に示すように複数の素材支持部11を有する支持具12に複数のワーク7を取り付け、それら複数のワーク7の切削加工を一度に行った。このような加工要領を採用することにより、複数のワーク7を短時間に切削加工することができ、コンピュータ制御された自動切削機の利点を生かすことができる。
前記支持具12に設ける前記素材支持部11の数は任意であるが、ユーザの両手の指に装着するネイルチップを一度に加工できることと、生産管理上の利便性を考慮すると、前記素材支持部の数は10個であることが好ましい。
また、前記素材支持部11を両面から加工可能な構造としたので、一の面側の加工が終了した後に前記支持具12を180度回転させることにより、図8の(b)に示すようにワーク7を素材支持部11から取り外して再取付けすることなく、他の一の面側から切削加工を行うことができるので、更に効率的に作業を行うことができる。
第6の工程は、切削加工が完了したネイルチップ10全体を研磨する工程である。切削加工が完了した段階では、ネイルチップの表面には微かにツールマークが残り、ザラついて艶消しの状態であるため、本工程において光沢面13を形成するまで研磨する。
研磨の結果、ネイルチップ10の表面全体は滑らかになり、裏面はユーザの自爪との密着取付面14を形成するとともに、表面は深みのある光沢、滑らかで上品な質感を呈し、そのままでも十分に宝飾価値が高いネイルチップ15が形成される。また、ネイルチップ15の形成後、前記ネイルチップの裏側にあたる密着取付面14を例えばブルー、ピンク等に塗装すると、素材を透過してネイルチップの表面から視認できる当該色彩と天然素材特有の質感とが融合し、無塗装の場合とは異なった美感を呈するネイルチップ15を得ることができる。
第7の工程は、表面全体を研磨したネイルチップ15に取付金具16を介して装飾部材17を固着させる工程である。ネイルチップ15への取付金具16の取付は、ネイルチップ15の適宜な位置に取付孔を開孔した後、取付金具16に適した方法により行うが、ネイルチップ15の裏面から取付金具の端部18が突出しないように十分に注意を払う必要がある。本工程により、表面全体を研磨したネイルチップ15に取付金具16を介して、装飾部材17をコーティングすることなく、その表面状態を損なわずに取付けることができる。従って、特に宝石を取付けた場合には、宝石が本来有する輝きを損なうことなく取付けることができ、宝石本来の美感を遺憾無く発揮することができる。
前工程である第6の工程において光沢面13が形成され、そのままでも十分に宝飾価値が高いネイルチップ15が形成されているが、本工程を経ることにより、ネイルチップ15と装飾部材17が一体化した美観を呈するネイルチップ宝飾具19が完成する。
図9は本発明におけるネイルチップ宝飾具19の一例を示した斜視図である。ネイルチップ宝飾具19は、例えば白蝶貝の貝素材を切削加工してネイルチップを形成した後、その表面全体を研磨加工して光沢面13を形成したネイルチップ15に、取付金具16を介して装飾部材17を固着させて構成される。
本発明のネイルチップ15の裏面形態8は、ユーザの指先部から型取ったユーザの自爪の表面形態を三次元計測したデータに基づいて、ユーザの自爪3の表面形態に一致するように高精度に切削加工されて密着取付面14を形成しているので、ネイルチップ宝飾具19は図10(a)に示すように自爪3の表面に密着して高いフィット感を得ることができ、図10(b)に示すように自爪3から浮き上がり、間隙20を生じることがない。
従って、ネイルチップ宝飾具19は付爪用接着剤(グルー)を用いることにより自爪3の表面に密着して固定することができ、装着中に剥離し難い。ネイルチップ宝飾具19を自爪3の表面から取外す際には、専用の剥離剤(リムーバ)を使用することにより剥がすことができる。
なお、上記のネイルチップ宝飾具19を自爪3の表面に装着する手段、並びに自爪3の表面から取外す手段はその一例であり、両面接着テープ、付爪用粘着剤、歯科用接着剤等を使用する適宜の手段によりネイルチップ宝飾具19を自爪3の表面に装着することができ、自爪3の表面から取外す際には、装着手段に応じた適宜の手段により剥がすことができるのはいうまでもない。
また、ネイルチップ15は単に密着取付面14がユーザの自爪3に密着するように加工されているだけでなく、表面立体形状や平面形状がユーザの希望どおりに形成されているので、ユーザの満足度は高い。
ネイルチップ15は切削加工後、光沢を呈するまで研磨加工して光沢面13を形成しているため、光沢を有する天然素材特有の質感によりそれ自体が宝飾的価値を有しているが、宝石、人工宝石等の装飾部材17を備えることにより、ネイルチップ15の素材が有する美感と装飾部材17の有する美感との相乗効果により、更に美的価値を高めたネイルチップ宝飾具19とすることができる。
図11は本発明によるネイルチップ宝飾具19に装飾部材17を取付けた状態を示す一部切欠き拡大断面図を示している。取付金具16の端部18をネイルチップ15の裏面側に突出しないように取り付けているので、ネイルチップ宝飾具19と自爪3の密着性を損なうことはない。取付金具16の材質について特に限定はないが、装飾部材17と一体となり美観を生じさせるためには、金、プラチナ等の貴金属であることが好ましい。
装飾部材17として何を選定するのかは任意であるが、天然貝素材から形成されて宝飾価値を有するネイルチップ15の美観と相乗効果を発揮し得る美観を有するものとして、ダイヤ、ルビー等の宝石又は人工宝石が考えられる。また、装飾部材17の大きさも任意であるが、ネイルチップの大きさとのバランスを考慮することがネイルチップ宝飾具19全体より生じる美観を高める上で重要である。
1 型取られたユーザの自爪の表面形態
2 レーザー
3 自爪
7 ワーク
10 切削加工が完了したネイルチップ
11 素材支持部
12 支持具
13 光沢面
14 密着取付面
15 ネイルチップ
16 取付金具
17 装飾部材
18 取付金具の端部
19 ネイルチップ宝飾具
20 間隙
C 型取り用粘土
F ユーザの手指
M ユーザの自爪を含む指先部の表面形態を写し取った型

Claims (6)

  1. ユーザの自爪を含む指先部を型取りする工程と、型取られたユーザの自爪の表面形態を三次元測定手段で測定する工程と、この測定データを変換した加工データでのチップ素材の少なくとも自爪の取付面である裏面側を自動加工する工程と、加工したチップ素材を研磨する工程を経てネイルチップを製造するようにしたことを特徴とするネイルチップ宝飾具の製造方法。
  2. 前記チップの素材は、白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材を用いた請求項1に記載のネイルチップ宝飾具の製造方法。
  3. 前記三次元測定手段は、三次元レーザースキャン装置を用いた請求項1又は請求項2に記載のネイルチップ宝飾具の製造方法。
  4. 前記自動加工する加工工程に、ユーザの選択データであるチップ素材の外周形状データ等を入力する工程を付加した請求項1に記載のネイルチップ宝飾具の製造方法。
  5. 白蝶貝、黒蝶貝等の天然貝素材で形成したチップ素材の少なくとも自爪に取付ける取付面である裏面側を自爪形態の三次元測定データで加工成形した密着取付面を形成すると共に、少なくともチップ素材の表面側を研磨手段を介して自然素材の光沢面を形成して宝飾価値と自爪への密着性を有するネイルチップを得たことを特徴とするネイルチップ宝飾具。
  6. 前記ネイルチップの表面に、自然宝石又は人工宝石等の装飾部材を固着した請求項5に記載のネイルチップ宝飾具。
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JP2013200788A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Dainippon Printing Co Ltd ネイルチップ
JP2013205914A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Dainippon Printing Co Ltd スカルプチュア材料

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