JP2011112182A - 防錆カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に既設流体管の切断面を防錆することができる防錆カバーを提供すること。
【解決手段】環状に切断された既設流体管1の切断面1aに当接保持されることで、切断面1aを防錆する防錆カバー5であって、切断面1aに全周に亘って当接する環状の防錆部5aと、防錆部5aが切断面1aに当接することで既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに係止する複数の係止部5cと、を備えている。
【選択図】図7

Description

本発明は、環状に切断された既設流体管の切断面に当接保持されることで、前記切断面を防錆する防錆カバーに関する。
従来、既設流体管の切断面を防錆する防錆カバーは、環状に形成されており、切断面を嵌合させるために防錆カバーの正面側に向けて開口する環状凹部が形成されているものがある。この環状凹部の内周面全域には、弾性シール層(防錆部)が設けられているとともに、環状凹部の防錆カバーの径方向を向く側面には、既設流体管に圧接するための弾性シール突起(係止部)が突出形成されており、環状凹部内に切断面を既設流体管の管軸方向から嵌合させることで、切断面が環状凹部内で弾性シール層に当接するとともに、弾性シール層の一部を既設流体管の外周面と内周面とに当接させ、更に、弾性シール突起を既設流体管の外周面と内周面とに圧接させることで、切断面の防錆を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−8120号公報(第11頁、第2図)
しかしながら、特許文献1に記載の防錆カバーにあっては、防錆カバーに環状凹部を形成しなければならない上に、環状凹部の内周面全域に弾性シール層(防錆部)を設けなければならないために、防錆カバーの製造コストが増大してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、安価に既設流体管の切断面を防錆することができる防錆カバーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の防錆カバーは、
環状に切断された既設流体管の切断面に当接保持されることで、前記切断面を防錆する防錆カバーであって、
前記切断面に全周に亘って当接する環状の防錆部と、該防錆部が前記切断面に当接することで前記既設流体管の外周面または内周面のいずれか一方のみに係止する複数の係止部と、を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、防錆カバーは、防錆部を切断面に当接させながら、係止部を外周面または内周面のいずれか一方に係止部を係止させる簡易な構成とすることで、防錆カバーの製造コストを低く抑えながら切断面を防錆することができる。
本発明の防錆カバーは、
前記複数の係止部は、前記既設流体管の前記外周面に係止することを特徴としている。
この特徴によれば、既設流体管の内周面が係止部によって傷つけられることがないので、内周面に防錆塗料の塗布等の防錆処理を施さずにすむ。
本発明の防錆カバーは、
前記複数の係止部は、その弾性力を係止力として前記既設流体管の前記外周面または前記内周面のいずれか一方のみに係止することを特徴としている。
この特徴によれば、係止部の弾性力を調整することによって、係止部の既設流体管の前記外周面または前記内周面のいずれか一方のみにに対する係止力を最適なものとすることができる。
本発明の防錆カバーは、
前記防錆カバーは、前記防錆部を前記切断面に向けて押圧する押圧部を有するとともに、前記防錆部が弾性力を有する部材からなり、前記複数の係止部は、前記防錆部の弾性力よりも強い係止力を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、防錆部は、押圧部から切断面に向けて押圧されつつ弾性変形しながら切断面に隙間なく当接することができるとともに、防錆部を切断面に当接保持させることで、防錆部の有する弾性力によって押圧部が、切断面から離脱する方向を向く反力を防錆部から受けても、確実に係止部がこの反力よりも強い係止力によって既設流体管の外周面または内周面のいずれか一方のみに係止し、防錆カバーの切断面への当接保持を維持することができる。
本発明の防錆カバーは、
前記複数の係止部は、前記既設流体管の前記外周面または前記内周面のいずれか一方のみに向けて防錆部側に屈曲されたかえし状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、防錆部と切断面が当接した後、防錆カバーに切断面から離脱する方向に力がはたらいても、その力によって係止部が既設流体管の外周面または内周面のいずれか一方のみに強力に食い込むので、確実に防錆カバーの切断面への当接保持を維持することができる。
実施例における切断された既設流体管を示す一部破断平面図である。 作業ケース内で防錆操作体に保持された状態の防錆カバーを示す部分断面図である。 防錆操作体が筐体内に配置された状態を示す断面図である。 図3における筐体のA−A断面図である。 (a)は、防錆カバーを示す正面図であり、(b)は、図5(a)における防錆カバーのB−B断面図であり、(c)は、防錆カバーを示す背面図である。 (a)は、防錆操作体を示す側面図であり、(b)は、防錆操作体の縦断側面図である。 (a)は、防錆カバーを切断面に対向配置した状態を示す断面図であり、(b)は、防錆カバーが切断面に当接保持された状態を示す断面図であり、(c)は、第1係止部材の防錆カバーへの係止が解除された状態を示す断面図である。 変形例としての防錆カバー断面図である。
本発明に係る防錆カバーを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例に係る防錆カバーにつき、図1から図7を参照して説明する。尚、本実施例では、既設流体管の管軸方向と水平方向で直交する方向を防錆カバーの左右幅方向として説明する。
図1の符号1は、本発明の既設流体管の切断面における防錆方法が適用される既設流体管である。この既設流体管1は、例えば、内部に流体としての上水が流れている水道管であり、この既設流体管1に新たな弁体等を設けるために、所定箇所を図示しないホールソー等の切削工具によって切断されている。
図1及び図2に示すように、先ず既設流体管1には、既設流体管1を水密に密封するための筐体2が取り付けられる。この筐体2の上部には、水平方向にスライド移動することで筐体2内を開閉自在とする弁体3aを備えた仕切部3が水密に取り付けられている。
この仕切部3の上端部に図示しないホールソーを備えた作業筐体を水密に取り付け、弁体3aを開放した状態でホールソーを下方に向けて移動させることで、既設流体管1を不断流状態で切断する。したがって、既設流体管1の切断面1aは、ホールソーによって切断されたことで平面視円弧状に形成されている。
既設流体管1を切断した後は、ホールソーと既設流体管1の切断片とを作業筐体内に収納した後に弁体3aを閉塞し、作業筐体を仕切部3から取り外すことで既設流体管1の切断作業を終了する。このとき、既設流体管1は、切断された状態で筐体2と仕切部3とで水密に密封されている。
本発明の防錆カバー5は、前述のようにして筐体2内で切断された既設流体管1の切断面1aを防錆するための防錆カバー5である。
図2に示すように、仕切部3の上端部には作業ケース4が水密に取り付けられている。この作業ケース4内には、既設流体管1の切断面1a,1aを防錆するための防錆カバー5,5が、防錆操作体6に保持された状態で配置されている。また、作業ケース4の中央上部には、上下方向を向く貫通孔4a形成されている。
更に、作業ケース4の上端部には、上下方向を向く筒体7aと、この筒体7a内に挿通配置された操作棒7bと、が設けられている。この操作棒7bは、筒体7a内で水平方向に回動可能となっているとともに、筒体7aの内周面における上端部には、図示しないパッキンが設けられており、筒体7aの上端部と操作棒7bとの間を水密に保っている。また、筒体7aは、貫通孔4aを介して作業ケース4内に下部側が挿通配置されており、下端部にて防錆操作体6を吊持している。尚、筒体7aと貫通孔4aとの間には、図示しないパッキンが設けられており、筒体7aと貫通孔4aとの間を水密に保っている。
この状態から図3に示すように、弁体3aを開放した後に使用者が筒体7aを操作棒7bとともに下方に向けて押し込むことで、防錆操作体6に保持されている防錆カバー5は、既設流体管1の切断面1a,1aと対向する位置に配置されるようになっている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、防錆操作体6は、防錆カバー5が挿嵌保持される一対の保持部8,8と、両保持部8,8を既設流体管1の切断面1aに向けて移動させるジャッキ9と、このジャッキ9を内部に備え両保持部8,8の切断面1aへの移動をガイドするためのガイド部10と、から構成されている。図6(a)に示すように、これら一対の保持部8,8とジャッキ9及びガイド部10は、操作棒7bを中心として図示左右略対称に設けられており、以下、図示左右一方側の構造を説明する。
ガイド部10は、その中心軸が既設流体管1の管軸方向と同一方向を向く枠状に形成されている。ガイド部10の内周面の中心軸方向側の端部には、ガイド部10の中心軸方向の外方側に向けてキー溝10aが上下一対となって形成されている。また、ガイド部10の中心軸方向側の端部の下部には、防錆操作体6を筐体2内に配置するために筐体2内の底面と当接する脚部10bが設けられており、この脚部10bの底面には、ゴム片10gが貼り付けられている。
更に、図4及び図6(a)に示すように、ガイド部10の左右幅方向の両外側下端部には、ガイド部10の左右幅方向を向く一対のガイド片10f,10fが、ガイド部10の中心軸方向に対向して設けられている。
一方、図3及び図4に示すように、筐体2の左右幅方向側の内側面には、上方から下方にかけてガイド突条2aが、ガイド部10の中心軸方向に対向して設けられている。これらガイド突条2aのガイド部10の中心軸方向側の幅寸法は、両ガイド片10f,10f間の対向する側面間の幅寸法よりも短寸に形成されており、防錆カバー5を既設流体管1の切断面1aと対向する位置に配置させる際に、両ガイド片10f,10f間にガイド突条2aを配置することによって、防錆操作体6の脚部10bを既設流体管1内を流れる流体の影響を受けることなく筐体2内の底面に当接させることができる。
図6(b)に示すように、ガイド部10の中央の上部と下部とには、略同軸に上下方向を向く貫通孔10d,10eが形成されている。これら貫通孔10d,10eを介して操作棒7bの下部がガイド部10内に挿通配置されている。このガイド部10内に配置された操作棒7bの下部は、右螺子が形成された軸部7cに形成されている。尚、筒体7aは、下端部をガイド部10の上端部にボルトによって接続することによってガイド部10を吊持している。更に尚、操作棒7bの下端部は、貫通孔10eを介してガイド部10の下方に配置されており、この操作棒7bの下端部にボルト12が螺着されることで、操作棒7bは、ガイド部10に対しても水平方向に回動可能となっている。
保持部8は、既設流体管1の管軸方向を向き、ガイド部10よりも短寸であるとともに既設流体管1の直径と略同寸の上下幅寸法を有している。この保持部8の上下端部には、ガイド部10に形成されたキー溝10a内に挿入可能なスライド突部8aが設けられており、保持部8は、このスライド突部8aをキー溝10a内に配置した状態でガイド部10内の管軸方向側の両端部に配置されている。
このため、保持部8は、キー溝10a内でスライド突部8aを移動させることによって、図7(a)に示すガイド部10内に収容されている収容位置と、図7(b)に示す防錆カバー5を既設流体管1の切断面1aに当接保持させる移動位置との間でスライド移動可能となっている。
また、保持部8の中心軸方向側の外側端部には、ガイド部10の中心軸方向の外方側に向けて保持部材11がそれぞれ突設されている。これら保持部材11は、弾性力を有するバネ鋼等の薄板状の弾性体により構成されており、保持部材11の先端部は、ガイド部10の中心方向に向けて略円弧状に屈曲形成された屈曲部11aに形成されている。尚、これら保持部材11の弾性力は、予め使用者が両屈曲部11aを保持部8の上下幅方向側の中央及び左右幅方向側の中央に近接する方向、または離間する方向に向けて撓ませておくことによって調整が可能となっている。
ジャッキ9は、ガイド部10内の略中央に配置されている。このジャッキ9は、操作棒7bの軸部7cに螺着されている螺着部9aと、一端が螺着部9aに設けられた左右幅方向を向く枢軸13aによって回動自在に枢支された一対のアーム9bと、から構成されており、各アーム9b,9bの他端は、ガイド部10内で対向配置されている保持部8にそれぞれ左右幅方向を向く枢軸13bによって回動自在に枢支されている。
このため、ジャッキ9は、使用者が操作棒7bを水平方向に回動操作することによって行われる両螺着部9aの軸部7cにおける上下動を、両保持部8のガイド部10の中心軸方向側の両側方への移動に変換することができるようになっている。
図5(a)と図5(b)及び7(a)に示すように、防錆カバー5は、切断面1aを全周に亘って防錆するための本発明における防錆部としての防錆ゴム5aと、防錆ゴム5aを切断面1aに向けて押圧する本発明における押圧部としての押板部5eと、既設流体管1の外周面1bに係止することで防錆カバー5の切断面1aからの離脱を阻止する本発明における係止部としての爪部5cと、これら防錆ゴム5aと押板部5eと爪部5cとが固着されるガイドリング5dと、から構成されている。
ガイドリング5dは、スチール等の金属材により構成されており、外径が垂直片8bの管軸方向側の両端部の上下幅寸法と略同一の環状に形成されているとともに、切断面1a及び保持部8の管軸方向側の端部との全周に亘って略同一の曲線状に形成されている。
図5(b)及び図5(c)に示すように、ガイドリング5dの外周面には、爪部5cが等間隔に複数枚(本実施例では4枚)溶接等により固着されている。これら爪部5cは、保持部材11及び防錆ゴム5aよりも大きな弾性力を有するバネ鋼等の薄板状の弾性体により構成されている。また、これら爪部5cの後端部は、ガイドリング5dの背面に当接するように縮径方向に向けて屈曲形成されて押板部5eが形成されているとともに、正面側の先端部5f(図6(a)及び図6(c)参照)は、既設流体管1の外周面1bに対して係止可能なように、ガイドリング5dの縮径方向に向けて防錆ゴム5a側に屈曲されたかえし状に形成されている。
更に、ガイドリング5dの内周面における押板部5eの正面側には、環状に形成された防錆ゴム5aが配置されている。この防錆ゴム5aは、押板部5eの正面とガイドリング5dの内周面とに接着剤等により固着されており、防錆ゴム5aの正面側は、切断面1aに全周に亘って当接する曲面に形成されている。
このように構成された防錆カバー5は、図7(a)に示すように、ガイド部10の収容位置に配置された各保持部8の管軸方向側の端部に対して背面側から保持部材11を保持部8の外側方に向けて押圧し、弾性変形させた状態で挿嵌されている。このため、保持部8は、保持部材11で防錆カバー5からの押圧で生じる防錆カバー5の縮径方向を向く弾性力を係止力として、屈曲部11aをガイドリング5dの外周面に当接させることで、防錆カバー5を保持している。
次に、このように保持部8に保持された防錆カバー5による切断面1aの防錆動作について説明する。尚、本実施例では既設流体管1の対向する切断面1aの双方に同時に防錆が行われるが、同一の動作につき一方の切断面1aに対しての防錆についてのみ説明する。
先ず、図2及び図3に示すように、使用者は、弁体3aを開放するとともに、筒体7aを操作棒7bとともに下方に向けて押し込むことによって、防錆カバー5を保持した状態の防錆操作体6を筐体2内に配置する。このとき、防錆カバー5は、保持部材11の屈曲部11aによって係止されているので、既設流体管1内を流れる流体等の抵抗によって保持部8から脱落することが防止されている。
また、図3及び図4に示すように、防錆操作体6は、両ガイド片10f,10f間にガイド突条2aを挿通させながら脚部10bをゴム片10gを介して筐体2の底面に当接させることによって、既設流体管1内を流れる流体等の抵抗に影響されること無く、防錆カバー5と切断面1aとが対向する(図7(a)参照)配置位置に配置されるようになっている。
加えて、脚部10bは、ゴム片10gを介して筐体2の底面に当接するので、脚部10bが直接筐体2の底面に当接することで筐体2の底面が傷つくことが防止されている。更に、防錆操作体6は、配置位置に配置された後も、両ガイド片10f,10f間にガイド突条2aが配置されていることと、脚部10bがゴム片10gを介して筐体2の底面に当接していることによって、継続して既設流体管1内を流れる流体等の抵抗に影響されること無く筐体2内での配置位置を確保し続けることができるようになっている。
この状態から、図7(a)及び図7(b)に示すように、使用者は、操作棒7bを水平方向に回動させることによって、保持部8を収容位置から移動位置まで移動させる。この保持部8の収容位置から移動位置までの移動によって、防錆カバー5は、切断面1aに向けて移動がなされる。このとき、爪部5cは、先端部5fが切断面1aに当接するとともに、保持部8の移動位置に向けての移動によって切断面1aと既設流体管1の外周面1bによって防錆カバー5の拡径方向に向けて押圧されることで弾性変形する。
そして、図7(b)に示すように、爪部5cが弾性変形した状態から更に保持部8を移動位置まで移動させることで、防錆ゴム5aを押板部5eを介して切断面1aに向けて押圧し、防錆ゴム5aの正面と切断面1aとを接触させることで防錆ゴム5aを弾性変形させ、防錆ゴム5aを切断面1aに対して隙間無く当接させる。
このとき、爪部5cは、既設流体管1の外周面1bに弾性変形で生じた既設流体管1の縮径方向を向く弾性力を係止力として、先端部5fを既設流体管1の外周面1bに当接させることで、防錆カバー5を切断面1aに対して当接保持している。
防錆カバー5を切断面に対して当接保持させた後には、図7(c)に示すように、使用者は、防錆カバー5を切断面1aに向けて移動させるときとは逆方向に操作棒7bを回動させ、保持部8を移動位置から収容位置まで移動させ、切断面1aへの防錆動作が完了する。
このとき、防錆カバー5には、保持部8が収容位置に向けて移動することで、保持部材11から収容位置に向く力がはたらくが、前述したように、保持部材11の弾性力よりも爪部5cの弾性力の方が強いため、爪部5cの既設流体管1に対する係止が維持されることで防錆カバー5の切断面1aに対しての当接保持が維持され、一方の保持部材11の防錆カバー5に対する係止は、保持部8が収容位置に向けて移動することによって、保持部材11が弾性変形しながら解除される。
また、これら一連の防錆動作では、保持部8が弾性部材である防錆ゴム5aではなく押板部5eを切断面1aに向けて押圧することで、ジャッキ9による防錆カバー5への圧力を損失無く伝達し、防錆ゴム5aの正面を切断面1aに対して確実に当接させることができる。
更に、防錆ゴム5aは、切断面1aに弾性変形して当接することで、防錆カバー5の背面側に向けて更に弾性変形しようとするが、防錆ゴム5aは、切断面1aと押板部5eとに前後方向から挟持された状態となるため、切断面1aへの当接を安定して維持することができる。
尚、本実施例では、各爪部5cの後端部を屈曲形成することで押板部5eに形成したが、爪部5cを防錆ゴム5aと略同径の環状に形成した押板部と、この押板部の外側周端縁から正面側に向けて延設された先端部5fと、から構成することで押板部が保持部8から受ける圧力を全周に亘って均一化させ、防錆ゴム5aの正面を切断面1aに対してむら無く当接させるようにしてもよい。
更に尚、本実施例では、爪部5cをガイドリング5dの外周面に設け、爪部5cの先端部5fを既設流体管1の外周面1bに係止させることで防錆カバー5を切断面1aに対して当接保持させたが、爪部5cを防錆ゴム5aの内周面に設け、爪部5cの先端部5fを既設流体管1の内周面に係止させることで防錆カバー5を切断面1aに対して当接保持させるようにしてもよい。
以上、本実施例における防錆カバー5は、切断面1aに全周に亘って当接する環状の防錆ゴム5aと、防錆カバー5aが切断面1aに当接することで既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに係止する複数の爪部5cと、を備えているので、防錆カバー5は、防錆ゴム5aを切断面1aに当接させながら、爪部5cを外周面1bまたは内周面のいずれか一方に爪部5cを係止させる簡易な構成とすることで、防錆カバー5の製造コストを低く抑えながら切断面1aを防錆することができる。
また、複数の爪部5cは、既設流体管1の外周面1bに係止するので、既設流体管1の内周面が爪部5cによって傷つけられることがないので、内周面に防錆塗料の塗布等の防錆処理を施さずにすむ。
また、複数の爪部5cは、その弾性力を係止力として既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに係止するので、爪部5cの弾性力を調整することによって、爪部5cの既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみにに対する係止力を最適なものとすることができる。
また、防錆カバー5は、防錆ゴム5aを切断面1aに向けて押圧する押板部5eを有するとともに、防錆ゴム5aが弾性力を有する部材からなり、複数の爪部5cは、防錆ゴム5aの弾性力よりも強い係止力を有しているので、防錆ゴム5aを切断面1aに当接保持させることで、防錆ゴム5aの有する弾性力によって押板部5eが、切断面1aから離脱する方向を向く反力を防錆ゴム5aから受けても、確実に爪部5cがこの反力よりも強い係止力によって既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに係止し、防錆カバー5の切断面1aへの当接保持を維持することができる。
また、複数の爪部5cは、既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに向けて防錆ゴム5a側に屈曲されたかえし状に形成されているので、防錆ゴム5aと切断面1aが当接した後、防錆カバー5に切断面1aから離脱する方向に力がはたらいても、その力によって爪部5cが既設流体管1の外周面1bまたは内周面のいずれか一方のみに強力に食い込むので、確実に防錆カバー5の切断面1aへの当接保持を維持することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、既設流体管1を内部に上水が流れる水道管として説明したが、既設流体管1内を流れる流体は上水の他、石油等の水以外の液体でもよく、また、液体とガス等の混合物であってもよい。
また、前記実施例では、爪部5cの先端部5fを既設流体管1の外周面1bに対して係止可能なように、ガイドリング5dの縮径方向に向けて防錆ゴム5a側に屈曲されたかえし状に形成したが、図8に示すように、爪部5cの先端部の形状は、ガイドリング5dの縮径方向に向けて略円弧状に屈曲する屈曲部5gに形成するようにしてもよい。このように爪部5cの先端部を屈曲部5gに形成することによって、爪部5cは、屈曲部5gの曲面で既設流体管1の外周面1bに係止するので、外周面1bが爪部5cにより傷つけられ難くすることができる。
また、前記実施例では、既設流体管1に筐体2と仕切部3と作業ケース4を取り付け、既設流体管1を不断流状態で切断した切断面1aに対して防錆カバー5を当接保持させることで切断面1aを防錆したが、既設流体管1内の流体の流れを停止させた後に既設流体管1を切断し、切断面に直接使用者が防錆カバー5を当接保持させることで切断面を防錆するようにしてもよい。
また、前記実施例では、既設流体管1をホールソー等の切削工具により切断し、防錆カバー5の正面側を切断面1aに当接可能な曲面に形成したが、例えば、既設流体管1をバイト、チェーンソー等の切削工具によって直線状に切断し、この切断面に対して防錆カバー5の正面側を平坦面に形成するようにしてもよい。
また、前記実施例では、爪部5cの後端部に、ガイドリング5dの背面に当接するように縮径方向に向けて屈曲形成して押板部5eを形成したが、これに代えて、押板部を爪部5cの後端部に形成せず、直接ガイドリング5dの背面側の端部に対して、ガイドリング5dの縮径方向側に向けて延設するようにしてもよい。
1 既設流体管
1a 切断面
1b 外周面
5 防錆カバー
5a 防錆ゴム(防錆部)
5c 爪部(係止部)
5e 押板部(押圧部)
5f 先端部

Claims (5)

  1. 環状に切断された既設流体管の切断面に当接保持されることで、前記切断面を防錆する防錆カバーであって、
    前記切断面に全周に亘って当接する環状の防錆部と、該防錆部が前記切断面に当接することで前記既設流体管の外周面または内周面のいずれか一方のみに係止する複数の係止部と、を備えていることを特徴とする防錆カバー。
  2. 前記複数の係止部は、前記既設流体管の前記外周面に係止することを特徴とする請求項1に記載の防錆カバー。
  3. 前記複数の係止部は、その弾性力を係止力として前記既設流体管の前記外周面または前記内周面のいずれか一方のみに係止することを特徴とする請求項1または2に記載の防錆カバー。
  4. 前記防錆カバーは、前記防錆部を前記切断面に向けて押圧する押圧部を有するとともに、前記防錆部が弾性力を有する部材からなり、前記複数の係止部は、前記防錆部の弾性力よりも強い係止力を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防錆カバー。
  5. 前記複数の係止部は、前記既設流体管の前記外周面または前記内周面のいずれか一方のみに向けて防錆部側に屈曲されたかえし状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の防錆カバー。
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