JP2011108487A - 放電ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発光ガスとしてヨウ素を含む放電容器20と、放電容器の外表面に形成された一対の電極11、12を備え、励起ヨウ素分子を形成することでピーク波長342nmの紫外線を放射する放電ランプ10であって、
前記放電容器20の内表面に、シリカ粒子を含有する微小粒子よりなる紫外線反射層30が形成され、
この紫外線反射層30の表面であって、一対の電極11、12の放電経路に衝突する位置に薄膜40が形成されていることを特徴とする
【選択図】 図1
Description
また、本願第2の発明は、本願第1の発明において、前記薄膜は、アルミナまたはイットリアまたはこれらの混合物よりなることを特徴とする。
また、本願第3の発明は、本願第1または2の発明において、前記放電容器において、一方の電極に対応する内表面に紫外線反射層が形成され、他方の電極に対応する内表面には紫外線反射層が形成されておらず、前記一方の電極に対応する位置に形成された紫外線反射層の放電空間に面する表面に薄膜が形成されていることを特徴とする。
また、本願第4の発明は、本願第3の発明において、前記薄膜の厚みは3μm以上、10μm以下であることを特徴とする。
この放電ランプ10は、両端が気密に封止されて内部に放電空間Sが形成された、断面矩形状の中空長尺状の放電容器20を備えている。この放電容器20は、上壁板21および上壁板21に対向する下壁板22と、上壁板21および下壁板22に連結する一対の側壁板23と、これら上壁板21、下壁板22、および一対の側壁板23よりなる四角筒状体の両端を封止するよう設けられた一対の端壁板24とからなる。放電容器20は、紫外線を良好に透過するシリカガラス、例えば、合成石英ガラスにより形成される。
I+ + I− + M → I2 * + M
一方、放電容器20における下壁板22の、接地電極12に対応する内表面において紫外線反射層30が形成されていないことによって紫外線出射部が構成されている。
図2を用いて、紫外線反射層30を構成する微小粒子によって紫外線が反射される仕組みを説明する。このような紫外線を透過する微小粒子から構成される紫外線反射層30に紫外線が入射すると、一部は微小粒子の表面で反射し、また一部は屈折して粒子の内部に透過し、再び別の表面で反射または屈折する。複数の微小粒子においてこのような反射、屈折が繰り返し起こることにより、紫外線は向きを変えて、紫外線反射層30の外部に向かって進むようになる。紫外線反射層30に入射した紫外線は、微小粒子への入射角度により様々な方向に反射または屈折するため、全体としてみると紫外線は拡散反射される。
ここでいう「粒子径」とは、紫外線反射層30の表面に対して垂直方向に破断したときの破断面における、厚み方向のおよその中間位置を観察範囲として、走査型電子顕微鏡(SEM)によって拡大投影像を取得し、この拡大投影像における任意の粒子を一定方向の2本の平行線で挟んだときの当該平行線の間隔であるフェレー(Feret)径をいう。
また、「中心粒径」とは、上記のようにして得られる各粒子の粒子径についての最大値と最小値との粒子径の範囲を、例えば、0.1μmの範囲で、複数の区分、例えば15区分程度に分け、それぞれの区分に属する粒子の個数(度数)が最大となる区分の中心値をいう。
シリカに酸素欠陥が生じると、短波長領域において幅広く光を吸収することが知られている。図2に示すような複数の微小粒子の表面で屈折して粒子の内部に透過することが繰り返し起こることにより拡散反射される紫外線反射光は、酸素欠陥が生じたシリカ粒子を透過する度にその一部が吸収され、結果として紫外線反射層30の反射率が減少していると推測される。酸素欠陥は、シリカ粒子が放電プラズマに曝されると、プラズマ中で活性となった励起ヨウ素原子、励起ヨウ素分子やヨウ素イオンなどが、シリカの結合(≡Si−O−Si≡)と反応し、酸素が脱離するか、結合が切断されることによりシリカ粒子の表面に酸素欠陥(≡Si、≡Si−O)が生じていると考えられる。
また、紫外線反射層30を1層だけ設けた放電ランプを長時間使用した後、放電容器の内部から五酸化二ヨウ素(I2O5)が検出された。これは、シリカの表面で励起ヨウ素原子、励起ヨウ素分子やヨウ素イオンなどが反応し、酸素が脱離することで五酸化二ヨウ素(I2O5)が生じたものと考えられる。
また、紫外線反射層30の表面に薄膜40が形成されている部分で封止すると放電容器20が割れやすくなるので、放電容器20の側壁板23及び端壁板24の内表面に形成されている紫外線反射層30の表面には、薄膜40は形成されていない。
実施例に使用した放電ランプは、肉厚2mmの石英ガラスよりなり、全長200mm、幅42mm、高さ14mm、放電ギャップ10mmとなるように放電容器が構成され、この放電容器の外表面に全長150mm、幅32mmの格子状の金属よりなる電極を備える。放電容器には、ヨウ素が1%含まれたクリプトンガスとの混合ガスが120kPa封入されている。放電容器の一方の電極に対応する内表面を除いた位置に紫外線反射層が形成され、高電圧供給電極11に対応する内表面に形成されている紫外線反射層の放電空間に面する表面に薄膜が形成されている。紫外線反射層と薄膜の構成を表1に示す。
上記の仕様を有する放電ランプについて、紫外線反射層の厚みを30μmとし、薄膜の厚みを3μm、5μm、10μm、15μm、20μmと変更したものを用意した。それぞれの薄膜の厚みについて10個製作し、薄膜の剥がれの有無を確認した。製作後のランプを目視で確認し、数mm程度の薄膜の小片が剥離してランプ内部に散乱している状態を剥がれ有りとした。測定結果を表2に示す。
実施例1に用いた放電ランプについて、紫外線反射層の厚みを30μmとし、薄膜の厚みを3μmとしたものを本発明の放電ランプとして用意した。また、薄膜が形成されておらず、放電容器の内表面に紫外線反射層のみが厚み30μmで形成されている点のみが異なるものを比較用の放電ランプとして用意した。
本発明の放電ランプと比較用の放電ランプとを、それぞれ1000時間点灯させた後の紫外線強度の維持率を測定した。各々の放電ランプについて、点灯直後の状態と1000時間点灯後の状態とにおいて、図4に示す装置を使用して紫外線強度を測定した。点灯直後の紫外線強度と1000時間点灯後の紫外線強度を比較することによって、紫外線強度の維持率(%)を算出した。
測定結果を表3に示す。
11 高電圧供給電極
12 接地電極
20 放電容器
30 紫外線反射層
40 薄膜
Claims (4)
- 発光ガスとしてヨウ素を含む放電容器と、放電容器の外表面に形成された一対の電極を備え、励起ヨウ素分子を形成することでピーク波長342nmの紫外線を放射する放電ランプであって、
前記放電容器の内表面に、シリカ粒子を含有する微小粒子よりなる紫外線反射層が形成され、
この紫外線反射層の表面であって、一対の電極の放電経路に衝突する位置に薄膜が形成されていることを特徴とする放電ランプ。 - 前記薄膜は、アルミナまたはイットリアまたはこれらの混合物よりなることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
- 前記放電容器において、一方の電極に対応する内表面に紫外線反射層が形成され、他方の電極に対応する内表面には紫外線反射層が形成されておらず、
前記一方の電極に対応する位置に形成された紫外線反射層の放電空間に面する表面に薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放電ランプ。 - 前記薄膜の厚みは3μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の放電ランプ。
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