以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明についての実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタPR1について説明する。
図1および図2において、プリンタPR1は、装置本体として樹脂製の筐体1内に、記録媒体としての印刷用紙の格納部、印刷用紙の搬送機構、印刷用紙に対して画像形成を行う画像形成ユニット等が収納されている。そして、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のトナーを用いて印刷動作を実行する。
プリンタPR1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを備えている。これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKはそれぞれ独立して着脱されるようになっている。
図2および図3に示すように、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、予め設定された速度で回転する感光体ドラム10(10Y,10M,10C,10K)(像保持体の一例)と、この感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を帯電する帯電ローラ11(11Y,11M,11C,11K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を対応する色のトナー(現像剤の一例)で現像する現像装置12(12Y,12M,12C,12K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置13(13Y,13M,13C,13K)などで構成されている。さらに、図3において、後述する中間転写ベルト15にトナー像を転写した後の感光体ドラム10に残留する電荷を除去する除電装置31、および帯電ローラ11の表面をクリーニングする帯電ローラクリーナ32が配置されている。
これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの上方には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を現像装置12Y,12M,12C,12Kで現像するために用いられるトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー)がそれぞれ収容されたトナーカートリッジ8(8Y,8M,8C,8K)が着脱自在に装着されている。
現像装置12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する現像ローラ12−2(12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2)(現像手段の一例)を有している。そして、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収容された例えば二成分の現像剤を攪拌しつつ現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2へと供給し、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成されている。
これにより、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの下方には、帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14が配置されている。
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kとの間には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が転写(一次転写の一例)されるユニット化された中間転写ベルト15が、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに接触するように設けられている。中間転写ベルト15は筐体1に対して着脱自在で、3つのローラ16a,16b,16c(何れか1つのローラが駆動ローラ、他のローラが従動ローラ)に掛け渡されており、これらのローラ16a,16b,16cにより、図面の矢印で示す方向に回転する。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト15上に重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト15上にはフルカラーのトナー像が形成される。
なお、中間転写ベルト15を挟んでローラ16cと対向する位置には、中間転写ベルト15上の残留トナーを除去するためのクリーナ22が配置されている。
中間転写ベルト15を感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kとで挟むようにして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト15にそれぞれ転写するための一次転写ローラ16(16Y,16M,16C,16K)が配置されている。なお、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kはユニット化された中間転写ベルト15に組み込まれており、中間転写ベルト15と一体となって着脱される。
また、ローラ16aと対向する位置には、中間転写ベルト15に転写されたフルカラートナー像を記録媒体である用紙Pに転写するための二次転写ローラ17が、ローラ16aとで中間転写ベルト15を挟むニップ部Nを形成するように設けられている。
筐体1の下部には用紙Pの収容された給紙カセット18が装着されている。そして、給紙カセット18からピックアップローラ19にて一枚ずつ取り出された用紙Pは、前述したニップ部Nを経由して定着装置20を通り、筐体1の上部に形成された排紙トレイ24へと至る用紙搬送路Rを搬送される。そして、一対のレジストローラ23でタイミングを計られて用紙Pがニップ部Nに送り込まれると、中間転写ベルト15上のフルカラートナー像が二次転写ローラ17により用紙Pに転写される。その後、転写されたトナー像が定着装置20で定着された後、排紙トレイ24上に排出される。
なお、筐体1の側部には手差しトレイ21が設けられており、手差しトレイ21からも用紙Pが用紙搬送路Rを搬送されるようになっている。
筐体1の内部には、制御部が設けられており、この制御部は、画像データに対して画像形成を実行するプリンタエンジンを制御する。
このプリンタエンジンにおいて、前述の露光装置14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、露光装置14から画像データに応じて出射される4本のレーザビームが、それぞれの感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に走査露光されて静電潜像が形成される。
図1において、筐体1の一側面(図1では正面側の面)には、手動で開閉する外側扉2が設けられている。
図1および図4に示すように、外側扉2を開放した状態において露出される筐体1の内部には、前述したユニット化された中間転写ベルト15および4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱自在に装着されている。ここで、本実施の形態では、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの筐体1への装着部位が上下方向で順次異なっており、画像形成ユニットSYが最も高い位置に装着され、以下、画像形成ユニットSM、画像形成ユニットSC、画像形成ユニットSKと装着部位が順次低くなっている。
これら中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、図1に示すように、中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱される開口部5aが形成された内部壁5に取り付けられて下部を支点にして開閉されるとともに、閉鎖時には開口部5aを閉塞する内側扉3により隠蔽されている。
図示するように、内側扉3には、閉鎖された当該内側扉3を内部壁5にロックする位置と、内部壁5とのロックを解除する位置とに移動する解除レバー4が2箇所に設けられている。
ここで、図5において、現像装置12は、帯電電位の差による潜像を保持することができる感光体ドラム10と対向して設けられており、ハウジング40内には、現像剤が収納される現像剤収納室41と、現像剤収納室41内の現像剤や前述したトナーカートリッジ8から送り込まれた現像剤を現像ローラ12−2に供給する現像剤供給室42とが形成されている。
現像剤収納室41には、その下端に位置して第1の現像剤供給口40aが形成されており、当該第1の現像剤供給口40aによって現像剤収納室41と現像剤供給室42とが相互に空間的につながっている。また、現像剤収納室41の上下方向の中間には第2の現像剤供給口40bが形成されている。なお、現像剤供給口40a,40bには、現像装置12の使用開始時に除去されるフィルム状のシール材43が熱溶着されている。
また、現像剤供給室42および第2の現像剤供給口40bに面して、感光体ドラム10の表面に二成分現像剤を付着させる前述の現像ローラ12−2が配置されている。さらに、現像ローラ12−2と軸線を沿うようにして、層厚規制ローラ44が現像ローラ12−2の周面と近接または接触して配置されている。
現像ローラ12−2は、現像スリーブ12−2aと、複数の磁極を持つ磁石ローラ12−2bとを備えた円筒状の部材で主要部が構成されており、磁石ローラ12−2bは周面に沿って複数の永久磁石が設けられ、位置を固定して支持されている。磁石ローラ12−2bは、異なる磁性の磁石が交互に連続して配置されているが、感光体ドラム10と対向する位置および当該位置と離れた位置(本実施の形態では、略反対側の位置)には、同磁性の磁石が連続して配置されている。なお、図5では、後述する現像剤剥離部を構成する磁石12−2dのみが図示されている。一方、現像スリーブ12−2aは磁石ローラ12−2bの周面の外側に配置された円筒状部材であり、軸線回りに回転するようになっている。現像スリーブ12−2aには、アルミニウム、非磁性ステンレス等からなる円筒体等が用いられ、直流に交流を重畳した交流重畳直流電圧(例えば、約−400V程度)が印加されるようになっている。
感光体ドラム10との対向位置および当該位置と離れた位置に、同磁性の磁石が連続して配置されているのは、同磁性の磁石により形成される反発磁界により現像剤に作用する磁力を弱めるためのものである。すなわち、感光体ドラム10との対向位置で磁石の磁力を弱めることにより、現像剤が高効率で感光体ドラム10に供給される。また、当該位置と離れた位置で磁石12−2dの磁力を弱めることにより、現像剤が現像ローラ12−2から剥離される。
また、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙は、トナーを飛翔させることが十分に可能な距離、例えば0.5mm前後に設定されている。なお、感光体ドラム10は、図3中にて示す矢印の方向に例えば160mm/Secで回転し、表面の全体が帯電ローラ11により−650Vに帯電される。さらに、帯電された後、露光装置14により露光された静電潜像は電位が−200Vとなる。
層厚規制ローラ44は磁性または非磁性の金属で構成されて、径方向断面が曲率を有する(本実施の形態では、円形となった)棒状体であり、層厚規制ローラ44と対向する位置には、現像ローラ12−2に内蔵された複数の永久磁石のうちの一つの磁石12−2cが、層厚規制ローラ44と互いに向き合うように配置されている。そして、磁石12−2cの磁力の大きさまたは使用される現像剤の透磁率を変えることにより、現像スリーブ12−2a上の現像剤の層厚が規制される。
さらに、図6に示すように、層厚規制ローラ44の軸44aと現像ローラ12−2の現像スリーブ12−2aの軸12−2a1とは、導電性金属(例えば、銅など)である給電部材49の分岐した先端にそれぞれ形成された孔49aを貫通して電気的に接続されている。この給電部材49にはプリンタPR1側に設けられた端子に接続されて、前述した約−400V程度の交流重畳直流電圧が印加されている。したがって、層厚規制ローラ44は、給電部材49を介して現像ローラ12−2と同電位になっている。
現像ローラ12−2に現像剤を供給する現像剤供給室42内には、現像剤を撹拌しながら前述した現像ローラ12−2に供給する撹拌供給部材45,46が設けられている。撹拌供給部材45は前述した第1の現像剤供給口40aに面して配置されおり、撹拌供給部材46は現像ローラ12−2に対向して配置されている。
撹拌供給部材45,46は、それぞれ回転軸45a、46aを備えており、これらの回転軸45a、46aはハウジング40の周壁にそれぞれ回転自在に支持されている。また、撹拌供給部材45,46は、これらの回転軸45a、46aが現像ローラ12−2の回転軸に沿った方向に配置されている。
回転軸45a、46aには、螺旋羽根45b、46bが螺旋状に巻き付けられて形成されている。そして、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46がそれぞれ回転すると、螺旋羽根45b、46bによって、現像剤供給室42内に収容された現像剤が撹拌されながら軸方向へ搬送されるようになっている。
撹拌供給部材45と撹拌供給部材46との間には仕切り壁47が設けられて現像剤供給室42が2つに仕切られている。そして、仕切り壁47の長手方向の両端部には接続口(図示せず)が形成されており、これらの接続口によって、仕切り壁47で仕切られた現像剤供給室42の2つの空間が繋がっている。また、撹拌供給部材45,46は、互いに逆方向に現像剤を搬送するように回転方向が設定されている。
したがって、現像剤供給室42内の現像剤は、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46の回転によって撹拌されるとともに搬送され、さらに仕切り壁47で仕切られた2つの空間を循環するようになっている。
なお、現像剤が収納される現像剤収納室41は、上述のように現像剤供給口40a,40bが形成され、これら現像剤供給口40a,40bにはシール材43が熱溶着されている。そして、現像装置12の使用開始時にシール材43を除去することで、現像剤収納室41内の現像剤が現像剤供給口40a,40bから自重で落下排出され、第1の現像剤供給口40aからの現像剤は現像剤供給室42内の撹拌供給部材45,46により、第2の現像剤供給口40bからの現像剤は直接、現像ローラ12−2に供給される。
さらに、現像剤収納室41には、現像剤を投入するための現像剤投入口40cが形成されている。そして、現像剤が現像剤収納室41内に投入された後には、現像剤投入口40cは閉鎖部材48で閉鎖される。
次に、このように構成された画像形成装置の現像動作について説明する。
本実施の形態の現像装置12は、上述したように現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界を形成し、現像ローラ12−2の現像剤層から感光体ドラム10の静電潜像にトナーを飛翔させて現像を行うものであり、現像ローラ12−2上の現像剤層を感光体ドラム10に接触させないようにすることが望ましい。したがって、この現像装置12では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.3〜0.9mmの範囲とし、現像ローラ12−2上に形成される現像剤層の厚さを感光体ドラム10の表面に接触しない範囲で厚くしている。
なお、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙が0.3mmより狭くなると、部材の有する寸法誤差の影響を受けるために安定して均一な濃度の画像を得ることが困難であり、逆に、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙を0.9mm以上とすると、交番電界を形成してもその効果が低下して十分な濃度が得られなかったり、画像の縁部分が濃く現れる、いわゆるエッジ効果が生じることになる。そこで、本実施の形態では以上の点を考慮し、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.6mmとし、かつ現像剤層厚を350μmに設定している。
また、本現像装置12で用いられる現像剤はトナーとキャリアとが混合された二成分現像剤である。高画質を得るためには、平均粒径が20μm以下の非磁性トナー粒子と、平均粒径が10〜60μmの磁性キャリア粒子とが混合された二成分現像剤が適していると考えられていることから、本実施の形態では、磁性キャリアの平均粒径が40μm、非磁性トナーの平均粒径が10μmとなっている。
このような現像条件の下で、現像装置12により次のように現像が行われる。
使用開始に当たっては、シール材43を除去して現像剤供給口40a,40bを開封する。これにより、現像剤収納室41内の現像剤が、第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42に落下し、第2の現像剤供給口40bから現像ローラ12−2に落下する。そして、当該現像装置12や感光体ドラム10が一体化された画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを筐体1内の決められた場所に収納する。
第1の現像剤供給口40aから落下した現像剤の非磁性トナーと磁性キャリアとは、現像剤供給室42内において撹拌供給部材45,46により搬送されるとともに充分に撹拌される。これにより、非磁性トナーが現像剤中に満遍なく分布されるとともに非磁性トナーと磁性キャリアとの間の摩擦により非磁性トナーに充分な電荷が付与される。
撹拌された現像剤は現像ローラ12−2に供給される。また、第2の現像剤供給口40bから落下した現像剤は、直接現像ローラ12−2に供給される。
現像ローラ12−2に供給された現像剤は、当該現像ローラ12−2が回転することにより、層厚規制ローラ44の上流位置において現像スリーブ12−2aに保持されて移動する。そして、さらに現像スリーブ12−2aが回転して層厚規制ローラ44との間を通過することで現像剤量(MOS)が規制され、現像ローラ12−2上に現像剤が予め設定された厚みで層形成される。
現像ローラ12−2が感光体ドラム10に対向する位置では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界が形成されているので、現像剤の非磁性トナーが現像ローラ12−2から飛翔し、感光体ドラム10上の静電潜像に付着して現像が行われることになる。
なお、感光体ドラム10上の静電潜像を現像した後に現像ローラ12−2に残留した現像剤は、現像スリーブ12−2aの回転により同磁性の磁石12−2dが連続して配置された位置である現像剤剥離部に到達したときに、当該磁石12−2dの反発磁界で弱まった磁力により現像ローラ12−2から自重で落下する。
ここで、本実施の形態のような丸棒の層厚規制ローラ44では、板状の層厚規制プレートが現像ローラ12−2の長手方向に沿ってほぼ線状に対向するのとは異なり、周長に対応した幅を持って対向している。したがって、層厚規制ローラ44は、層厚規制プレートよりも現像剤と接触する面積が大きくなる。なお、層厚規制プレートは、このように現像ローラ12−2の長手方向に沿って線状に対向させることができるので後述するようにトナーが付着しないという利点があるが、それとのトレードオフとして、プレートの機械的な加工精度が高レベルに要求され、および現像ローラ12−2とのギャップを最適に設定するのに手間取るという欠点がある。これに対して、層厚規制ローラは、層厚規制プレートの利点と欠点とが逆転しており、丸棒であることから加工が比較的容易であり、外周面が曲率を有しているので現像ローラ12−2とのギャップ設定も容易に行えるという利点があるが、トナーが付着するという欠点がある。
これは、層厚規制ローラ44を電気的に浮いた状態(不定の状態)で使用すると、現像ローラ12−2に対して層厚規制ローラ44の曲面に対応した幅(現像ローラ12−2の回転方向に沿った幅)を持って対向しており、現像ローラ12−2との最近接位置の上流側あるいは下流側では、両者の間隔が開いて現像剤を送る力が弱くなるためにトナーが付着・堆積しやすくなるからである。
このようなトナー付着が発生すると、現像ローラ12−2による現像剤の搬送が阻害されて、高トナー濃度領域(例えば8重量%以上)における現像剤層厚が低下する。そして、現像ローラ12−2と層厚規制ローラ44とで形成される層厚規制部位へ流入する現像剤量の変動に伴って現像剤量が多くなったときに、その現像剤の先端部によって付着トナーが掻き取られる。
すると、掻き取られた付着トナーを含む現像剤層の実効的なトナー濃度が高くなった現像剤が現像ローラ12−2に搬送されて感光体ドラム10との現像ニップ部に到達したときに、現像剤層の前述した先端部が輪郭状に高濃度に再現される。また、層厚規制部位へ流入する現像剤量が多くなったときに現像剤層厚が局所的に高くなっているため、前述した先端部に続く部分が尾を引いたように高濃度に再現される。
このような濃度ムラによる画質不良の一例を図7に示す。なお、同図において、上側が現像ローラ12−2の上流側に相当する。
そこで、本実施の形態の画像形成装置では、前述のように、層厚規制ローラ44が現像ローラ12−2と同電位になるように、現像ローラ12−2への給電ラインである給電部材49を分岐させて層厚規制ローラ44を電気的に接続している。これにより、現像ローラ12−2から層厚規制ローラ44へトナーを現像する電場が発生することが抑制されて、現像ローラ12−2に保持されたトナーが層厚規制ローラ44に付着しにくくなる。
つまり、層厚規制ローラ44の電位が不定の場合には、層厚規制ローラ44が何らかのレベルの電位に帯電し、負帯電トナーを用いた本実施の形態の場合、その電位が現像ローラ12−2よりも高い(例えば現像ローラ12−2の電位が−400Vで、層厚規制ローラ44の電位が−200V)場合には、現像ローラ12−2から層厚規制ローラ44へトナーを現像する電場が発生する。一方、層厚規制ローラ44を現像ローラ12−2と同電位にした場合には、このような電場は発生しない。
したがって、高いトナー濃度領域での現像剤の層厚ムラの発生が防止され、且つ付着トナーの現像剤層による掻き取りが生じなくなるので、濃度ムラの発生が抑制されて、画質不良がなくなる。
ここで、現像ローラ12−2から層厚規制ローラ44へトナーを現像する電場が発生しないようにすればトナー付着は発生しにくくなることから、負帯電トナーであれば、層厚規制ローラ44の電位を現像ローラ12−2の電位よりも低くすることが考えられる。また、正帯電トナーであれば、層厚規制ローラ44の電位を現像ローラ12−2の電位よりも高くすることが考えられる。
しかしながら、現像ローラ12−2と直接対向する位置に、しかも現像ローラ12−2から感光体ドラム10へ現像が行われる部位の直前に、そのような電圧を印加された層厚規制ローラ44があると、感光体ドラム10への現像性能に悪影響が発生するのみならず、トナーの帯電極性への悪影響も発生する。そこで、上述のように、層厚規制ローラ44を現像ローラ12−2と同電位にしている。
なお、板状の層厚規制プレートを使用する場合には、この層厚規制プレートが電気的にフロートであっても、本実施の形態のような丸棒の層厚規制ローラ44の場合のようにトナー付着が発生する部位がないために、上記の問題点は発生しない。したがって、板状の層厚規制プレートでは、トナーの付着防止を意図して当該層厚規制プレートを現像ローラ12−2と同電位にする技術的意義は生じない。
また、例えばプリンタ装置のリア側で現像ローラに対して現像バイアス電圧を給電する構成で、当該プリンタ装置のフロント側に給電が必要となる部材(例えば、フロント側に配置された廃トナー回収ボックスに関連した部材など)がある場合、低コスト化および構成の簡易化を目的として、層厚規制部材に対して現像バイアス電圧を印加することでこれを電線代わりに給電ラインとして使用することが考えられる。しかしながら、給電ラインとして層厚規制部材を使用する必要があるのは、リア側が給電位置となり、給電される部材がフロント側に存在するプリンタ装置の場合であり、フロント側を給電位置にすれば、もはや層厚規制部材を給電ラインにする必要性は消滅する。したがって、本願のように、層厚規制ローラ44を現像ローラ12−2と同電位にすることは、プリンタ装置の給電位置(当該位置が装置のリア側にあるかフロント側にあるか)とは無関係である。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
たとえば、本実施の形態では、現像装置12が感光体ドラム10等と一体化されて画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとなっており、この画像形成ユニットSY,SM,SC,SKで着脱が行われるようになっているが、現像装置12単体として着脱が行われるようになっていてもよい。