JP2011107505A - 2次元光スキャナ駆動装置 - Google Patents

2次元光スキャナ駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ラスタ走査において、横縞ノイズの発生や外乱振動の共振応答による垂直走査の不安定さを解消した2次元光スキャナ駆動装置を提供する。
【解決手段】負帰還制御手段1は、2軸を中心として回動させる回動機構15に、駆動回路8により生成された駆動信号を与えることにより、当該2軸のそれぞれを中心として被駆動体を周期的に回動させ、光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段5と、当該回動機構15の速度を検出して速度検出信号(Uy+ax)を生成する検出手段3と、当該速度検出信号(Uy+ax)から非共振速度信号(Uy)を抽出する抽出手段6とが設けられ、当該走査駆動手段5への速度負帰還信号(VD−Uy)を生成する負帰還信号生成手段4がさらに設けられる。
【選択図】図19

Description

本発明は、2次元光スキャナ駆動装置に関する。
現在、レーザー光などの光線を偏向させつつ走査する光スキャナは、バーコードリーダー、レーザープリンタ、およびディスプレイなどの種々の光学機器に用いられている。従来、このような光スキャナとしては、多角柱ミラーをモータで回転させて反射光を走査するポリゴンミラーや、平面ミラーを電磁アクチュエータによって回転振動させるガルバノミラ一などが知られている。
しかしながら、このようなモータや電磁アクチュエータで駆動するような機械的構造については、その構造部品のサイズが大きく、且つ高価なものとなる。このため、光スキャナを用いた装置の小型化を阻害するとともに、商品価格の上昇を招く。さらに、2次元的に光を走査する場合、一般的には、各々一軸の回りで回動するポリゴンミラーおよびガルバノミラーを2つ組合せたものが用いられる。しかしながら、正確に2次元的な光の走査を行うためには、例えば、それぞれのミラーによる走査方向が互いに直交するように2つのミラーの位置決めを正確に行う必要があり、光学的な調整が非常に煩雑となる。
そこで、装置の小型化、商品価格の低減、および生産性の向上を実現させるために、半導体製造技術を応用したシリコンやガラスを微細加工するマイクロマシニング技術を用いて、半導体基板上にミラーや弾性梁などの機構部品を一体形成して、1つのミラーを互いに直交する走査軸で駆動を行った2次元MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)ミラー光スキャナが種々開発されてきている(例えば、特許文献1など)。
以下、2次元MEMSのように、2方向の走査を一体的な機構で実現する2次元光スキャナを「一体走査型2次元光スキャナ」と呼ぶことにする。
特開2008−191619号公報
このような一体走査型2次元光スキャナにおいては、2次元走査のためのミラー駆動のうち水平走査(主走査)方向では機械的な共振周波数を使用する共振駆動とされ、垂直走査(副走査)方向では非共振駆動とされることが通例である。この場合、副走査方向の駆動信号の高調波と副走査方向の共振周波数とが干渉して、副走査に波打ち現象が生じるなど、走査が不均一になりやすいという傾向にある。
これに対する対策のひとつとして、速度フィードバックを用いる技術が知られている。すなわち、一般に伝達関数の速度成分は粘性抵抗に相当する因子であることから、速度フィードバックを用いて伝達関数における速度成分の係数を等価的に増大させることにより、機械共振のクオリティーファクタを低下させ、それによって高周波域での共振を制動しようとしている。
しかしながら、従来のこのような速度フィードバック制御においては、垂直走査の速度の検出手段の検出信号には水平走査の信号が混入しやすく、当該混入信号が負帰還により駆動回路に入力された場合には、本来の水平駆動信号との干渉による水平走査の不安定動作や負帰還ループ内で正帰還を起こすなどで発振現象の発生が考えられ、ラスタ走査の性能、機能に支障を来す。また、場合によっては駆動電圧の過大印加により、2次元走査ミラーの構成部に損傷を与えることにもなりうる。
また、一体走査型2次元光スキャナのように、ミラー部の近傍に、当該ミラー部や可動枠の走査運動の速度の検出手段を配置しないといけない場合は、垂直走査の速度の検出手段の検出信号には水平走査の信号が少なからず混入する。当該混入信号を低減するためには当該検出手段の配置上の制約の発生や高精度の配置位置決め作業が必要となり、2次元走査ミラーの大型化やコストアップの原因ともなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、速度フィードバック制御を用いた2次元光走査において、走査の均一性や安定性を確保できるとともに、速度検出手段またはそれに代わる検出手段の配置位置の自由度が高く、高精度の配置精度も要求されない2次元光スキャナ駆動装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、光源部から発せられた光束のラスタ走査を行う2次元光スキャナ駆動装置であって、前記光束の偏向を行う被駆動素子を、互いに異なる第1軸と第2軸との2軸を中心として回動させる回動機構と、前記回動機構に駆動信号を与えることにより、前記2軸のそれぞれを中心として前記被駆動素子を周期的に回動させて、前記光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段と、前記被駆動素子の速度を検出して速度検出信号を生成し、前記速度検出信号に基づいて前記走査駆動手段への速度負帰還信号を生成する負帰還制御手段と、を備え、前記第1軸を中心とする周期的回動は、前記被駆動素子の機械的共振に関して、非共振駆動として行われるとともに、前記負帰還制御手段には、前記速度検出信号から非共振速度信号を抽出する抽出手段が設けられ、前記速度負帰還信号が前記非共振速度信号に基づいて生成されることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記回動機構に結合した状態での前記被駆動素子は、機械的共振に関して、前記第1軸および前記第2軸まわりにそれぞれ第2共振周波数と第1共振周波数とを有しており、前記第2軸を中心とする周期的回動は、前記第2共振周波数での共振駆動として行われるとともに、前記第1軸を中心とする周期的回動の駆動は、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数とのいずれとも異なる非共振駆動であるとともに、所定の基本周波数とその高調波とを含んだ有効周波数帯域を有する駆動信号に基づいて生成されており、前記第1共振周波数は、前記有効周波数帯域外にあり、前記第2共振周波数は、前記有効周波数帯域内にあることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記速度検出信号は、前記被駆動素子の回動量の検出信号を時間微分して得られることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記速度検出信号は、前記被駆動素子の回動加速度の検出信号を時間積分して得られることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記光束による2次元走査は画像形成のための走査であって、前記第1軸および前記第2軸を中心とした前記被駆動素子のそれぞれの回動は、前記光束による副走査および主走査をそれぞれ生じさせるものであり、前記抽出手段は、前記速度検出信号から前記非共振速度信号を抽出する周波数分離手段を備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記周波数分離手段として、帯域除去フィルタ回路または低減通過フィルタ回路を用いたことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、光源部から発せられた光束のラスタ走査を行う2次元光スキャナ駆動装置であって、前記光束の偏向を行う被駆動素子を、互いに異なる第1軸と第2軸との2軸を中心として回動させる回動機構と、前記回動機構に駆動信号を与えることにより、前記2軸のそれぞれを中心として前記被駆動素子を周期的に回動させて、前記光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段と、前記被駆動素子の回動量または回動加速度を検出して検出信号を生成し、前記検出信号に基づいて前記走査駆動手段への速度負帰還信号を生成する負帰還制御手段と、を備え、前記第1軸を中心とする周期的回動は、前記被駆動素子の機械的共振に関して、非共振駆動として行われるとともに、前記負帰還制御手段が、前記検出信号から非共振信号成分を抽出する抽出手段と、前記非共振信号成分を時間的に微分または積分して非共振速度信号を得る演算手段と、前記非共振速度信号に基づいて、前記速度負帰還信号を生成する負帰還信号生成手段とを備えることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、前記回動機構に結合した状態での前記被駆動素子は、機械的共振に関して、前記第1軸および前記第2軸まわりにそれぞれ第2共振周波数と第1共振周波数とを有しており、前記第2軸を中心とする周期的回動は、前記第1共振周波数での共振駆動として行われるとともに、前記第1軸を中心とする周期的回動の駆動は、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数とのいずれとも異なる非共振駆動であるとともに、所定の基本周波数とその高調波とを含んだ有効周波数帯域を有する駆動信号に基づいて生成されており、前記第1共振周波数は、前記有効周波数帯域外にあり、前記第2共振周波数は、前記有効周波数帯域内であるとともに、前記第1共振周波数は、前記第2共振周波数よりも大きな周波数であり、前記抽出手段は、前記第2軸まわりの回動の駆動周波数の2倍未満のサンプリング周波数を用いて、回動量の前記検出信号をアナログ−デジタル変換するAD変換手段を備え、回動量の前記検出信号のうち前記サンプリング周波数を越える成分を前記速度負帰還信号の周波数帯域外へと移す折り返し周波数変換を、前記AD変換手段を用いて行うことによって、回動量の前記検出信号から回動量の前記非共振信号成分を抽出することを特徴とする。
請求項1ないし請求項7の発明によれば、被駆動素子の速度検出信号から非共振速度信号を抽出し、それに基づいて速度負帰還信号を生成するようにしているため、第2軸まわりの被駆動素子の回動に起因する信号成分が速度検出信号に混入しても、それを除去あるいは減衰させて走査の安定性を確保できる。また、速度検出信号に混入する第2軸まわりの共振成分が除去ないしは減衰されることから、速度検出手段の配置位置の自由度が高く、高精度の配置精度も要求されない。
請求項5の発明によれば、画像形成のための2次元走査に利用される2次元光スキャナ駆動装置の場合には、走査線の数が多いため、主走査の周波数は副走査の周波数よりもかなり大きい。このため、それぞれの走査方向に対応する各共振周波数は大きく離れたものとして設定されることとなり、周波数分離手法による抽出性能の良い構成をとることが可能である。
請求項7の発明によれば、被駆動素子の回動量または回動加速度を検出してその検出結果から非共振成分を抽出し、その後に時間微分または時間積分をして非共振速度信号を得ている。したがって、請求項1と同様に、第2軸まわりの被駆動素子の回動に起因する信号成分が状態検出信号に混入しても、それを除去あるいは減衰させて走査の安定性を確保できる。
この請求項7の発明においては、回動量または回動加速度の検出信号に混入する第2軸まわりの共振成分が除去ないしは減衰されることから、当該検出手段の配置位置の自由度が高く、高精度の配置精度も要求されない。
請求項8の発明によれば、被駆動素子の回動量における検出信号の高周波成分をAD変換によって速度負帰還信号の周波数帯域外へ移す折り返し周波数変換を行うことによって、高周波成分としての混入信号を減衰あるいは除去する性能を高めることが可能である。
本実施形態に係る画像投影装置の機能構成を示すブロック図である。 2次元偏向部の構成を示す図である。 図2のIII−III位置から見た断面図である。 ミラー部のa軸を中心とした回動を説明するための図である。 ミラー部のa軸を中心とした回動を説明するための図である。 ミラー部のb軸を中心とした回動を説明するための図である。 ミラー部のb軸を中心とした回動を説明するための図である。 光スキャナを用いてスクリーンに画像を投影する態様を説明する図である。 ラスタ走査を実現する為の垂直走査に係る駆動信号を例示する図である。 ラスタ走査を実現する為の垂直走査に係る駆動信号を例示する図である。 ラスタ走査を実現する為の水平走査に係る駆動信号を例示する図である。 ラスタ走査を実現する為の水平走査に係る駆動信号を例示する図である。 垂直および水平駆動信号を重畳した駆動信号の波形を例示する図である。 垂直駆動信号の機械共振に対する周波数応答特性を例示する図である。 垂直共振周波数混入による垂直駆動信号を説明する図である。 垂直走査の波打ち現象に対する横縞ノイズを説明する図である。 アクチュエータによる位置制御の一般的な制御ブロック図である。 速度の負帰還ループを考慮した位置制御ブロック図である。 第1実施形態に係る負帰還制御手段について説明するブロック図である。 検出手段を例示する図である。 第1実施形態に係る負帰還制御手段について説明するブロック図である。 走査駆動手段の内部構成を説明する図である。 抽出手段による混入信号の減衰・除去方法を説明するための図である。 第2実施形態に係る負帰還制御手段について説明するブロック図である。 微分処理による低周波抑圧特性を説明する図である。 混入信号の周波数を折り返し周波数変換することを説明する図である。
<用語の定義>
この明細書において、
「回動量」とは、「回動位置」および「回動角度」の総称であり、
「回動速度」とは、「回動位置速度」および「回動角速度」の総称であり、
「回動加速度」とは、「回動位置加速度」および「回動角加速度」の総称であり、
「回動状態」とは、「回動量」、「回動速度」および「回動加速度」の総称である。
「有効周波数帯域」としては、所定の基本周波数とその高調波とを含んだ信号帯域において、当該基本周波数成分と、基本周波数成分との比率で所定以上のレベル(たとえば基本周波数成分の1%以上のレベル)を持つ高調波成分とによって形成される帯域として定義することができる。
<1.第1実施形態>
<1−1.画像投影装置の概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係る2次元光スキャナ駆動装置を組み込んだ画像投影装置100の機能構成を示すブロック図である。画像投影装置100は、動画像を被投影面であるスクリーンSCに対して投影する装置であり、主に入力画像処理部110、駆動制御部120、および光学機構部130を備えて構成される。
入力画像処理部110は、画像入力回路111と画像処理回路112とを備える。画像入力回路111は、入力機器IMから入力される画像信号を受け付け、画像処理回路112に出力する。画像処理回路112は、画像入力回路111からの画像信号に対して適宜画像処理を施し、駆動制御部120に出力する。ここで、入力機器IMとしては、例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)などが挙げられ、画像信号としては、例えば、一般的なNTSC信号などが挙げられる。また、画像処理回路112における画像処理としては、例えば、画像の歪みなどを補正する補正処理、および一般的なγ変換処理などが挙げられる。
駆動制御部120は、画像出力回路121、偏向制御回路122、および光源駆動回路123を備える。
画像出力回路121は、画像信号の垂直および水平同期信号に応答して偏向制御回路122に対して2次元偏向部132(後述)の駆動タイミングを制御するための信号(制御信号)を出力するとともに、光源駆動回路123に対して、画像信号の画素値に応じた信号(画素データ信号)を出力する。
偏向制御回路122は、画像出力回路121からの制御信号に応じた電位の駆動信号を2次元偏向部132に対して付与する。
光源駆動回路123は、画像出力回路121からの画素データ信号に応じて、該画像データ信号に係る階調に応じた色と輝度の光が光源133(後述)から射出されるように制御する。この制御タイミングは、画像信号の垂直および水平同期信号に応答して決定される。なお、本実施形態では、駆動制御部120は、専用の電子回路で構成されているものとして説明する。
光学機構部130は、投影光学系131、2次元偏向部132、および光源133を備える。
光源133は、各色について、レーザー光を発生させるレーザー素子と該レーザー素子から出射されるレーザー光を略平行な光束に変換するコリメータレンズとを備える。各色のレーザー素子は、光源駆動回路123からの画素データ信号に応じて、画像信号の画素値に応じた輝度のレーザー光を発生および出射する。
2次元偏向部132は、光源133から発せられた光束を反射する部分(反射部)を有し、該反射部が略直交する2軸を中心としてそれぞれ回動することで、光源133からの光束を2次元的に反射するように偏向する。なお、本明細書では、反射部が2軸を中心としてそれぞれ回動することで光束の進行方向を水平走査方向と垂直走査方向とに別個独立に変えること、すなわち光束を主走査方向に周期的に偏向させつつ、副走査方向にも周期的に偏向させることを、「2次元方向に偏向する」と表現する。また、2次元偏向部132は、光束を2次元方向に偏向することで、該光束をスキャンさせるため、適宜「光スキャナ132」とも称する。
投影光学系131は、適宜回動角度が変更された光スキャナ132により偏向された光束を、被投影面であるスクリーンSC上に導くことで、動画像をスクリーンSC上に投影する。なお、図1では、光源133から光スキャナ132および投影光学系131を経てスクリーンSCにレーザー光が至ることが、太い破線の矢印で示されている。
<1−2.2次元光スキャナの構成>
図2は、光スキャナ132の構成を例示する正面図であり、以下、図2を参照しつつ、光スキャナ132の具体的な構成について説明する。図2および図2以降では、方位関係を明確化するために、相互に直交するXYZの3軸が付されている。
図2で示すように、光スキャナ132は、主に固定枠70と、可動枠30と、ミラー部10とを備えて構成される。固定枠70は、画像投影装置100の筐体(不図示)に固定されている。可動枠30は、固定枠70の内側において可動部分として枠状に形成されている。偏向素子としてのミラー部10は、可動枠30の内側に形成され、且つ外縁が略正方形の板状の反射部材である。
ミラー部10の対向する2辺からミラー部10の中心を通るb軸に沿って、2本のトーションバー21,22がそれぞれ外方へ延設されている。この2本のトーションバー21,22は、弾性変形可能に形成され、可動枠30に対して連結されている。このため、ミラー部10は、可動枠30により、2本のトーションバー21,22を介して、上下方向(±Y方向)から挟み込まれるように支持されている。
また、可動枠30は、b軸に対して略直交するミラー部10の中心を通るa軸の近傍において、細連結部30a〜30dにより、4本の曲がり梁41〜44に対してそれぞれ連結されている。また、4本の曲がり梁41〜44は、弾性変形可能に形成され、細連結部30a〜30dと連結されている一端とは反対側の他端において、固定枠70に対して連結されている。このため、可動枠30は、固定枠70により、4本の曲がり梁41〜44を介して、左右方向(±X方向)から挟み込まれるように支持されている。
これらの固定枠70、曲がり梁41〜44、可動枠30、ミラー部10、およびトーションバー21,22は、シリコン基板の異方性エッチングにより一体的に形成されている。また、ミラー部10の反射面上には、金やアルミニウムなどの金属薄膜によって反射膜が形成されており、入射光線の反射率が高められている。
また、曲がり梁41〜44の表面には、電気を機械的な変形に変換する素子(電気機械変換素子)である圧電素子51〜54が接着などによってそれぞれ貼り付けられて、4つのユニモルフ部61〜64が形成されている。そして、圧電素子51〜54に駆動電圧が印加されることで、圧電素子51〜54が伸縮し、曲がり梁41〜44で曲がりが生じる。そして、曲がり梁41〜44の曲がりに応じて、可動枠30に対してa軸回りに回転トルクが与えられることで、ミラー部10が可動枠30ごとa軸を中心として回動する。また、曲がり梁41〜44の曲がりに応じて、可動枠30に対してb軸回りに回転トルクが与えられることで、トーションバー21,22を介して、ミラー部10に対してb軸回りに回転トルクが与えられ、ミラー部10がb軸を中心として回動する。つまり、ミラー部10においてa軸およびb軸を中心とした2方向に揺動振動が生じる。
したがって、ここでは、ミラー部10が、複数の駆動軸(具体的には、a軸およびb軸)を中心とした駆動が可能である被駆動体に相当し、圧電素子51〜54が、複数の駆動軸(具体的には、a軸およびb軸)を中心としてミラー部10を駆動させる駆動機構ないしは駆動素子に相当する。そして、光スキャナ132と偏向制御回路122とを含む構成が、ミラー部10を駆動させる駆動装置を形成する。
<1−3.ミラー部の回動動作>
図3は、図2のIII−III位置から見た断面図である。図3で示すように、圧電素子51は、表面に上部電極511が設けられ、裏面に下部電極512が設けられている。圧電素子52は、表面に上部電極521が設けられ、裏面に下部電極522が設けられている。圧電素子53は、表面に上部電極531が設けられ、裏面に下部電極532が設けられている。圧電素子54は、表面に上部電極541が設けられ、裏面に下部電極542が設けられている。
そして、例えば、上部電極511と下部電極512との間にいわゆる分極反転が起きない程度の範囲で、上部電極511および下部電極512に対して交流電圧が印加されることで、圧電素子51が伸縮して、厚み方向に変位する。また、上部電極521と下部電極522との間に分極反転が起きない程度の範囲で、上部電極521および下部電極522に対して交流電圧が印加されることで、圧電素子52が伸縮して、厚み方向に変位する。また、上部電極531と下部電極532との間に分極反転が起きない程度の範囲で、上部電極531および下部電極532に対して交流電圧が印加されることで、圧電素子53が伸縮して、厚み方向に変位する。更に、上部電極541と下部電極542との間に分極反転が起きない程度の範囲で、上部電極541および下部電極542に対して交流電圧が印加されることで、圧電素子54が伸縮して、厚み方向に変位する。
図4および図5は、ミラー部10のa軸を中心とした回動を説明するための図である。なお、図4および図5では、図3を基準として、ユニモルフ部61〜64の曲がりが模式的に示されている。
圧電素子51に該圧電素子51が伸びるような電圧が印加され、圧電素子51に印加された電圧とは逆位相の電圧が圧電素子52に印加されると、圧電素子51が伸び、圧電素子52が縮む。このとき、ユニモルフ部61,62の一端が固定枠70に固定されているため、図4で示すように、圧電素子51の伸びに応じてユニモルフ部61が固定枠70側の端部を支点として下方に曲がり、圧電素子52の縮みに応じてユニモルフ部62が固定枠70側の端部を支点として上方に曲がる。一方、圧電素子53に圧電素子51と同様な電圧が印加され、圧電素子54に圧電素子52と同様な電圧が印加されると、圧電素子53が伸び、圧電素子54が縮む。このとき、図4で示すように、ユニモルフ部63が固定枠70側の端部を支点として下方に曲がり、ユニモルフ部64が固定枠70側の端部を支点として上方に曲がる。このようなユニモルフ部61〜64の曲がりにより、可動枠30にはa軸を中心とした回転トルクが作用し、可動枠30がa軸を中心として矢印P方向に傾く。
また、圧電素子51〜54に、図4で示して説明した場合と逆位相の電圧がそれぞれ印加されると、図5で示すように、ユニモルフ部61,63が固定枠70側の端部を支点として上方に曲がり、ユニモルフ部62,64が固定枠70側の端部を支点として下方に曲がるため、可動枠30にはa軸を中心とした回転トルクが作用し、可動枠30がa軸を中心として矢印Q方向に傾く。
そして、圧電素子51,53に同位相の交流電圧を印加し、圧電素子51,53に印加した交流電圧とは逆位相の交流電圧を圧電素子52,54に印加すると、電圧の変化に追従して、ユニモルフ部61,63が、可動枠30側の端部が上下に繰り返して変位する振動を生じる。また、ユニモルフ部62,64が、ユニモルフ部61,63とは逆位相となるように、可動枠30側の端部が上下に繰り返して変位する振動を生じる。このとき、可動枠30には、矢印P方向への傾きと、矢印Q方向への傾きとが交互に生じるような回転トルクが作用し、可動枠30がa軸を中心として所定の角度まで繰り返して変位する回動、すなわち回転振動を行う。
図6および図7は、ミラー部10のb軸を中心とした回動を説明するための図である。なお、図6では、図3を基準として、ユニモルフ部61,62の曲がりが模式的に示され、図7では、図2のVII−VII位置から見た断面図を基準として、ユニモルフ部63,64の曲がりが模式的に示されている。
圧電素子51,52の双方に該圧電素子51,52が伸びるような電圧が印加されると、ユニモルフ部61,62の一端が固定枠70に固定されているため、図6で示すように、圧電素子51,52の伸びに応じてユニモルフ部61,62の双方が固定枠70側の端部を支点として下方に曲がる。一方、圧電素子51,52に印加された電圧とは逆位相の電圧が、圧電素子53,54の双方に印加されると、ユニモルフ部63,64の一端が固定枠70に固定されているため、図7で示すように、圧電素子53,54の縮みに応じてユニモルフ部63,64の双方が固定枠70側の端部を支点として上方に曲がる。このとき、可動枠30にはb軸を中心とした回転トルクが作用し、可動枠30はb軸を中心として傾く。
そして、圧電素子51,52に同位相の交流電圧を印加し、圧電素子51,52に印加した交流電圧とは逆位相の交流電圧を圧電素子53,54に印加すると、電圧の変化に追従して、ユニモルフ部61,62が、可動枠30側の端部が上下に繰り返して変位する振動を生じる。また、ユニモルフ部63,64が、ユニモルフ部61,62とは逆位相となるように、可動枠30側の端部が上下に繰り返して変位する振動を生じる。このとき、可動枠30には、b軸を中心とした一方向への傾きと、b軸を中心とした逆方向への傾きとが交互に生じるような回転トルクが採用し、可動枠30がb軸を中心として所定の角度まで繰り返して変位する回動、すなわち回転振動を行う。
このように、4つのユニモルフ部61〜64にそれぞれ所定の電圧を印加することにより、可動枠30によって支持されているミラー部10がa軸およびb軸の回りに任意に回動され、ミラー部10のa軸およびb軸を中心とした傾きが任意に制御される。そして、曲がり梁41〜44は、a軸およびb軸を挟んで対象に配置され、曲がり梁41〜44に設けられた圧電素子51〜54が、同位相あるいは位相が180度異なる逆位相の駆動信号で駆動されるため、可動枠30を肩振れなしにa軸およびb軸を2つの駆動軸とした独立した回動が可能となる。
<1−4.光スキャナによる画像投影>
図8は、画像投影装置100によって光スキャナ132を用いてスクリーンSCに画像を投影する態様を説明する図である。
画像投影装置100は、図8で示すように、光源133から出射された光束(画像信号に応じて変調された光束)が光スキャナ132で2次元方向に偏向されて、スクリーンSCが光束によって走査される。このとき、いわゆるラスタ走査が行われて、スクリーンSC上に画像が形成される。ここでは、例えば、光束の水平走査の周波数は数十kHz、光束の垂直走査の周波数は60Hz程度である。なお、このようなラスタ走査では、一般に、垂直走査が「副走査」に相当し、水平走査が「主走査」に相当する。また、ミラー部10の垂直および水平方向に係る回動角度(偏向角度)の範囲はそれぞれ+10度〜−10度の範囲で変化する。
ところで、水平走査については、ミラー部10の偏向角度の変化が正弦波の形態を示す。このため、仮に光スキャナ132の偏向角度の範囲を全て使用して光束の走査を行うと、スクリーンSC上で光束が走査される領域(走査領域)Asのうち、左右の端部付近では、水平走査の速度(水平走査速度)が極端に低下する。このような水平走査速度が極端に低下する領域については、過度に明るくなったり、画像が歪んだりする。そこで、図8で示すように、画像が投影されて投影画像が形成される領域(投影領域)As1としては、走査領域Asの少し内側の領域(図8の矩形状の太枠で囲まれた領域)が使用される。
このような光スキャナ132によるラスタ走査の実現方法について説明する。
上述したように、ユニモルフ部61〜64は、a軸近傍で細連結部30a〜30dによって可動枠30に連結されているため、ユニモルフ部61〜64の僅かな曲がりによる端部の変位に対して、可動枠30がa軸を中心として大きく回動する。したがって、図4および図5を示して説明したa軸回りのミラー部10の振動、すなわち光束の垂直走査は、上述した駆動方法によって実現される。
一方、細連結部30a〜30dが、b軸から離れているため、b軸を中心として可動枠30を大きく回動することは困難である。そこで、b軸回りの回動については、可動枠30のb軸を中心とした回動に応じて、トーションバー21,22がb軸を中心として捻られることで、ミラー部10がb軸を中心とした共振周波数近傍の回動によって振動する。このようにして、ミラー部10のb軸を中心とした振動が励起され、ミラー部10が大きな振幅でb軸を中心として回動し、水平走査の振幅が大きくなる。このような水平走査を実現するためには、所望の水平走査の周波数に合わせて、トーションバー21,22の長さ、幅、およびミラー部10の慣性モーメントなどに基づいたb軸回りのミラー部10の共振周波数を設定しておけば良い。
そして、a軸回りの振動の周波数(垂直走査周波数)に応じた駆動信号と、b軸回りの振動の周波数(水平走査周波数)に応じた駆動信号とを、各圧電素子51〜54に印加することで、所望の周波数および振幅のラスタ走査が実現される。
<1−5.ラスタ走査のための駆動信号>
図9および図10は、ラスタ走査を実現するための垂直走査に係る駆動信号(垂直駆動信号)の波形を例示する図である。図9では、圧電素子51,53にそれぞれ付与される垂直駆動信号V1,V3の波形が示され、図10では、圧電素子52,54にそれぞれ付与される垂直駆動信号V2,V4の波形が示されている。
垂直駆動信号V1〜V4は、a軸を中心としてミラー部10を回転振動させる駆動信号である。図9で示すように、圧電素子51,53に同じ位相の垂直駆動信号V1,V3がそれぞれ付与され、圧電素子52,54に垂直駆動信号V1,V3とは逆位相の垂直駆動信号V2,V4が付与されると、上述したように、ミラー部10は、a軸を中心として回転振動を行い、スクリーンSC上における光束の垂直走査が行われる。
なお、垂直走査においては、図8において、投影領域As1の上部から下部に向けて走査する期間(垂直走査期間)に1フレーム分の画像が投影され、1フレーム分の描画が終了すると、素早く光束の照射領域が投影領域As1の右下の部分から左上の部分に戻される。この光束の照射領域が下部から上部に戻る期間(一般に「垂直ブランキング期間」「帰線期間」などと称される)の存在により、垂直駆動信号V1〜V4は、図9で示すように、画像表示期間Tw1に対して帰線期間Tw2が相対的に短い期間となる鋸歯状の波形を有する。
ここでは、垂直走査については、垂直走査期間Tw1の間に、時間当たりの変化量が略一定である電圧の変化により、投影領域As1における上部から下部にかけた垂直方向に沿った光束の走査が、略一定の速度で行われる。以下では、略一定の速度で光束の走査が行われる垂直走査のことを「垂直リニア駆動」と称する。
図11および図12は、ラスタ走査を実現するための水平走査に係る駆動信号(水平駆動信号)の波形を例示する図である。図11では、圧電素子51,52にそれぞれ付与される水平駆動信号H1,H2の波形が示され、図12では、圧電素子53,54にそれぞれ付与される水平駆動信号H3,H4の波形が示されている。
水平駆動信号H1〜H4は、b軸を中心としてミラー部10を回転振動させる駆動信号である。図11で示すように、圧電素子51,52に同じ位相の水平駆動信号H1,H2がそれぞれ付与され、圧電素子53,54に水平駆動信号H1,H2とは逆位相の水平駆動信号H3,H4が付与されると、上述したように、ミラー部10は、b軸を中心として回転振動を行い、スクリーンSC上における光束の水平走査が行われる。なお、水平駆動信号H1〜H4の周波数は、ミラー部10がb軸を中心として回転振動の機械的な共振を起こす周波数(水平共振周波数)の近傍の周波数に設定されている。このため、b軸を中心とした可動枠30の回動角度が小さい場合でも、ミラー部10を水平共振周波数近傍で共振させることで、ミラー部10による大きな偏向角度が実現される。
以下では、a軸を中心とする揺動振動における共振現象の周波数を「垂直共振周波数fv0」と称し、b軸を中心とする揺動振動における共振現象の周波数を「水平共振周波数fh0」と称する。また、水平方向に係るミラー部10の駆動は、共振を利用した駆動(以下「水平共振駆動」と称する)であるが、垂直方向に係るミラー部10の駆動は、共振を利用しない、すなわち、非共振駆動となる。水平垂直いずれの共振周波数も、ミラー部10(一般には偏向素子)がその回動機構(この実施形態では回動機構15)に結合された状態における機械的共振周波数(力学的共振周波数)として定義される。
ここで、各圧電素子51〜54に対する駆動信号(駆動電圧)の印加方法について説明する。ここまでは、垂直走査と水平走査とに別々に着目して、垂直リニア駆動を実現するための垂直駆動信号、および水平共振駆動を実現するための水平駆動信号、の2種類の駆動信号を区別して圧電素子51〜54に印加するように説明した。しかしながら、図13で示すように、垂直走査用の駆動信号と水平走査用の駆動信号とを重畳させて加算した電圧が生成され、該電圧が各圧電素子51〜54に印加されることで、垂直走査と水平走査とが実現されている。具体的には、垂直駆動信号V1〜V4の電圧(垂直駆動電圧)をそれぞれVv1〜Vv4、水平駆動信号H1〜H4の電圧(水平駆動電圧)をそれぞれVh1〜Vh4とすると、圧電素子51〜54にそれぞれ印加する電圧Vp51〜54が、下式(1)〜(4)に従って生成される。
Vp51=Vv1+Vh1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
Vp52=Vv2+Vh2=−Vv1+Vh1・・・・・・・・・・(2)
Vp53=Vv3+Vh3= Vv1−Vh1・・・・・・・・・・(3)
Vp54=Vv4+Vh4=−Vv1−Vh1・・・・・・・・・・(4)
このように、垂直駆動信号V1〜V4の電圧Vv1〜Vv4と、水平駆動信号H1〜H4の電圧Vh1〜Vh4とを加算回路を用いて適宜重畳するように加算する。
<1−6.垂直共振周波数の存在>
しかしながら、可動枠30の質量成分(慣性モーメント)や、ユニモルフ部61〜64から可動枠30へつながる間の要素(細連結部30a〜30d近傍)のバネ成分が、機械共振の要素として働くため、従来の2次元走査ミラー駆動装置の垂直駆動信号には、非共振駆動ではあるものの、本来存在する垂直共振特性のため、垂直走査特性の劣化の問題が生じる。
図14は、垂直駆動信号の機械共振に対する周波数応答特性を例示する図である。図14(a)は、当該機械共振現象の垂直共振周波数fv0の応答特性例を示す。図14(a)で示される垂直共振周波数fv0は、1kHz程度、クオリティーファクタQは、100程度の共振特性を有する。また、図14(b)は、垂直駆動信号V1〜V4の基本波周波数成分fv1と、当該垂直駆動信号に含まれる高調波成分信号のうち、基本周波数成分のレベルと比較して所定の比率以上(たとえば1%以上)のレベルにある高調波成分信号(高調波周波数fv2,fv3・・・fvn+4)との広がりによって規定される帯域、すなわち、垂直駆動信号の有効周波数帯域BVを示している。さらに、図14(c)は、当該有効周波数帯域BVにおける走査応答特性を示した図である。この図14(c)で示されるように、垂直共振周波数fv0が有効周波数帯域BV内に存在することによって、走査応答特性は垂直共振周波数fv0付近(fvn〜fvn+2)で強調されることがわかる。これに対して、後述する図23に示されているように、水平共振周波数fh0は、有効周波数帯域BV外に存在する。
図15は、垂直共振周波数fv0混入による垂直駆動信号を説明する図である。図15(a)は、基本波周波数fv1の垂直駆動信号を示すのに対して、図15(b)は、垂直共振特性のため、高調波成分信号(図14(b)、fv2,fv3・・・fvn+4)が強調された結果の垂直駆動信号を示す。図15(b)で示されるように、図15(a)と比べると、ノイズが混入した波形、すなわち、波打ち現象が見て取れる。これに対して、図16は、垂直走査の当該波打ち現象に関して説明する図である。図16で示されるように、図15(b)で示される波打ち現象は、画像表示領域161において視覚上、横縞状のノイズとして認識される(以下、「横縞ノイズ」と称する)。
以上より、垂直共振周波数fv0が混入することにより、垂直走査の波打ち現象が発生し、結果として横縞ノイズが発生する問題となる(図15(b)、図16参照)。また、外乱振動の機械共振応答による垂直走査の不安定さの問題もある。
<1−7.機械共振現象(垂直共振)の制動>
そこで、この実施形態の装置では、上述の機械共振(垂直共振)の影響を抑制するために、速度負帰還による共振制動の原理が採用されている。後述するように、そのような速度負帰還を行うと、今度は、水平共振周波数との干渉という新たな問題が生じる。この実施形態の装置では、この問題にも対処するために、速度負帰還のための速度検出信号から非共振速度信号を抽出するという特徴的改良がなされている。以下では、説明の便宜上、「非共振速度信号の抽出」を行わない速度負帰還の場合(以下「単純速度負帰還」)についてまず説明し、本発明の特徴に対応して「非共振速度信号の抽出」のための手段を組み込んだ速度負帰還(以下「改良速度負帰還」)についてはその後で説明を行う。
図17は、アクチュエータによる位置制御の一般的な制御ブロック図である。図17に示すように、駆動電圧Vの印加により駆動力Fを発生するアクチュエータによって、共振要素を含む機械負荷の駆動を行う。ここで、機械負荷には当該アクチュエータの機械要素も含むものとする。当該アクチュエータの力係数A171は、駆動電圧Vを駆動力Fの出力に変換する変換係数を示し、機械負荷要素172は、質量(慣性モーメント)m、粘性抵抗μ、バネ定数k、ラプラス演算子sで表現される。当該駆動力Fの出力は機械負荷要素172に印加され位置Xを出力する。
図17の場合、駆動電圧Vにより機械負荷の位置Xが制御可能となることを示す、伝達関数X/Vは、以下のように示される。
Figure 2011107505
また(5)式において、機械共振のクオリティーファクタQ(またはダンピングファクタζ)は次の式で示される。
Q=SQRT(mk)/μ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
=1/(2ζ)
ここで、SQRT(x)は、xの平方根を表す。機械共振のQ(またはζ)の設計は、式(6)に基づいて機械構成要素(m、k、μ)の設定で可能である。
一方、速度負帰還による制動方法では、速度Uvの負帰還により当該機械共振のQの制動が可能となる。図18は、速度の負帰還ループを考慮した位置制御ブロック図である。図18に示されるように、回動量Xvの時間微分に相当する回動速度Uvを検出手段3にて検出し、負帰還信号生成手段4へ入力し、駆動電圧Vvと減算処理をすることで速度の負帰還ループを形成している。このうち、回動量Xvは、回動によって変化するミラー部10の所定部位の位置(回動位置)、またはミラー部10の回動角度に相当し、回動速度Uvはそれらに対応する位置速度または回動角速度に相当する。
図18の場合、駆動電圧Vvにより機械負荷の回動量Xvが制御可能となることを示す、伝達関数Xv/Vvは、以下のように示される。
Figure 2011107505
また(7)式において、機械共振のクオリティーファクタQvは下式で示される。
Qv=SQRT(mk)/(μ+A・B)・・・・・・・・・・・・・(8)
式(6)と式(8)とを比較すると、粘性抵抗要素μに速度負帰還による要素A・Bが加算され、式(8)はA・Bの分だけ粘性抵抗要素が増加する。すなわち、電気的に粘性抵抗要素を付加することで制動が可能なことを示している。以上の手法を2次元走査ミラーの垂直走査駆動に適用することで機械共振のQの制動が可能となる。因みに、直流、低周波域での応答は、式(5)、式(7)から、X/V=Xv/Vv=A/kで示され、速度負帰還の有無で変化はない。
以上の性質に対応して、当該機械共振現象(垂直共振)に制動をかける方式としては、機械構成要素(m、k、μ)のパラメータを変更する方式(図17参照)、あるいは、垂直走査の速度検出信号を検出手段3により検出して、圧電素子51〜54を駆動する駆動回路に負帰還させることで電気的に当該機械共振の粘性抵抗要素を増大させる方式(図18参照)などがある。このうち図18のような垂直走査の速度負帰還による方式が本発明の改良の前提となるが、この方式においては、垂直走査の速度検出手段の検出信号への水平走査の機械的共振周波数の混入が避けられない。すなわち、後述する図23(a)および図23(b)に示されているように、水平共振周波数fh0に相当する速度成分が、速度負帰還信号の中に混入する。
このような混入が生じると水平走査の不安定動作や負帰還ループ内で正帰還を起こすことによる発振現象が生じることになる。また、当該混入信号そのものを低減しようとすると、速度検出手段の配置が制限されてしまうなどの問題が生じる。
そこで、本発明の発明者は、2次元走査ミラーの駆動装置において、検出手段3により検出された垂直走査に係る速度検出信号にさらに混入する信号、すなわち、水平走査に係る回動量の信号(以下、xに所定の係数aを乗じて「ax」と示される)を減衰あるいは除去して、垂直走査に係る速度検出信号を抽出する手段を設けたことで、上記問題を解消する技術を見出した。以下、改良された偏向制御回路122(122A,122B)(図1参照)の内部構成について説明する。
以下、前提として、ミラー部10の2軸の回動状態を扱う際、水平方向をX軸、垂直方向をY軸として用い、上述した画像形成のための2次元走査、すなわち、X軸およびY軸を中心としたミラー部10のそれぞれの回動は、当該光束による副走査および主走査をそれぞれ生じさせるものとする。また、Y軸を中心とする周期的回動の駆動は、水平共振周波数での共振駆動として行われるのに対して、X軸を中心とする周期的回動の駆動は、水平共振周波数fh0と垂直共振周波数fv0とのいずれとも異なる非共振駆動であるとともに、上述した所定の基本周波数とその高調波とを含んだ有効周波数帯域(図14,15参照)を有する駆動信号に基づいて生成される。
<1−8.垂直走査に係る非共振速度信号の抽出(第1の構成例)>
図19は、第1実施形態に係る偏向制御回路122の負帰還制御手段1について説明するブロック図である。図19で示されるように、偏向制御回路122の負帰還制御手段1は、ミラー部10をX軸とY軸との2軸を中心として回動させる回動機構15に、駆動回路8により生成された駆動信号を与えることにより、当該2軸のそれぞれを中心として当該ミラー部10を周期的に回動させ、光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段5を備える。また、当該回動機構15の速度を検出して速度検出信号(Uy+ax)を生成する検出手段3と、当該速度検出信号(Uy+ax)から非共振速度信号(Uy)を抽出する抽出手段6とが設けられ、さらには、当該走査駆動手段5への速度負帰還信号(VD−Uy)を生成する負帰還信号生成手段4が設けられる。以下、図19を参照しながら、各手段について順に説明する。
走査駆動手段5は、回動機構15と当該回動機構15を駆動する駆動回路8(後述)とを含んでいる。水平駆動信号HDと負帰還信号生成手段4(後述)を経由した垂直駆動信号VDとが各々当該駆動回路8へ出力され、当該駆動回路8は駆動信号に従い回動機構15を2軸駆動する。
検出手段3は、垂直走査(Y方向)に係る回動速度(Uy)を検出すると同時に、水平走査(X方向)の走査に係る回動量(ax)についても検出する(後述)ので、当該検出手段3の出力信号には、当該回動速度(Uy)以外に当該回動量(ax)が混入している。すなわち、当該検出手段3の出力信号は、(Uy+ax)となる。
図20は、検出手段3を例示する図である。回動機構15における垂直走査の動作の検出は、図4および図5で示したような可動枠30の動きやミラー部10の動きを検出する方法が考えられる。例えば、フォトインタラプタのように、発光素子の光束を検出対象部に照射して反射させ、当該検出対象部の位置による当該反射の光量変化を受光素子にて光電変換(光電流)することで当該検出対象部の位置を検出可能としたセンサを用いると、回動機構15の近傍(例えばラスタ走査する光源の光束がミラー部10にあたる面の反対側)に当該フォトインタラプタを配置して当該可動枠30やミラー部10を当該検出対象部とすることで垂直走査の動きが検出できる。しかしながら、2軸駆動の回動機構15において、先述したように、当該可動枠30やミラー部10の動きは原理的にX方向の動きも伴っているので、当該光電変換信号には当該X方向の動きに係る回動量(ax)の混入(以下、「混入信号」と称する。)は避けられない。
そこで、抽出手段6(再び図19参照)では、速度検出信号(Uy+ax)から当該混入信号に該当する当該回動量(ax)を減衰または除去するため、非共振速度信号(Uy)のみを抽出することを行う。当該抽出手段6の出力(非共振速度信号(Uy))は負帰還信号生成手段4へ入力され、垂直駆動信号VDと減算処理(VD−Uy)を行い、走査駆動手段5へ入力する。図19の場合、光電変換信号は回動量Yを表すので、当該光電変換信号を検出手段3内にある微分回路を有した演算手段101(図20参照)にて微分処理を行うことで、非共振速度信号(Uy)の検出としている。
<1−9.垂直走査に係る非共振速度信号の抽出(第2の構成例)>
図21は、非共振速度信号の抽出のための第2の構成例としての、偏向制御回路122Aの負帰還制御手段1Aについて説明するブロック図である。図19では、検出手段3による検出信号はミラー部10の「回動速度と混入信号(Uy+ax)」であったが、図21では、検出手段3Aによる当該検出信号は「回動量と混入信号(Y+ax)」(または「回動加速度と混入信号(dUy/dt+ax)」)となる。すなわち、偏向制御回路122Aの負帰還制御手段1Aは、回動量(または回動加速度)に係る検出信号を生成し、当該検出信号に基づいて走査駆動手段5へ速度負帰還信号(VD−Uy)を入力する。
具体的には、負帰還制御手段1Aが、検出手段3Aによる検出信号(Y+ax)(またはdUy/dt+ax)から非共振信号成分Y(またはdUy/dt)を抽出する抽出手段6Aと、当該非共振信号成分Y(またはdUy/dt)を時間的に微分(または積分)する演算手段101(または演算手段101A)とを備えることで、非共振速度信号(Uy)を生成する。当該非共振速度信号(Uy)生成後の工程は、負帰還制御手段1と同様である。ここで、検出手段3A内の回動量の検出信号を検出する検出センサとしては、例えば、歪み抵抗素子のような歪み検出センサを、ユニモルフ部から可動枠30へつながる間の要素(接続位置)のバネ成分部に実装して用いることができる。一方、走査の回動加速度、すなわち回動位置加速度または回動角加速度を検出する加速度センサ等を用いた際は、積分処理を行うことで回動速度(Uy)を検出することになる。
以上のように、図21では、検出手段3Aで、光電変換信号(Y+ax)(またはdUy/dt+ax)が検出され、抽出手段6Aに入力される。このため、微分回路を備える演算手段101(または積分回路を備える演算手段101A)を、抽出手段6Aの後段に設けることで、非共振速度信号(Uy)を抽出する構成を採用している。この場合も図19と同様の効果を奏するため、いずれの構成例を採用しても良い。
<1−10.駆動信号の生成>
図22は、上記のような改良速度負帰還と組み合わせて用いられる走査駆動手段5の内部構成を説明する図である。
水平駆動信号HDと負帰還信号生成手段4により生成された垂直駆動信号(VD−Uy)とは、駆動回路8内の回路内演算部81〜84にて、当該各駆動信号間で加減算が行われる。具体的には、上記と同様に、圧電素子51〜54にそれぞれ印加する電圧Vp51〜54は、垂直駆動電圧Vv1〜Vv4および水平駆動電圧Vh1〜Vh4を用いて、式(1)〜(4)に従い加減算が行われるが、ここでは、水平駆動電圧Vh1は水平駆動信号HDの電圧に該当し、垂直駆動電圧Vv1は垂直駆動信号(VD−Uy)の電圧に該当する点で、従来と異なる。演算結果の各信号出力電圧は、駆動アンプ85〜88にて適切な振幅の電圧に増幅され、回動機構15内の圧電素子51〜54の各正極に各々印加されることで、回動量X,Yの出力がなされ、2軸の走査が行われる。
<1−11.周波数フィルタによる非共振速度信号の抽出>
続いて、抽出手段6(6A)における、非共振信号成分(Uy,YまたはdUy/dt)を抽出するための周波数分離手段について説明する。
図23は、抽出手段6(6A)による混入信号(ax)の減衰あるいは除去する方法について説明する図である。図23(b)は、抽出手段6(6A)に入力される光電変換信号の各周波数帯域を示す図である。水平走査(X方向)の成分は、共振駆動を行うので水平共振周波数fh0(数10kHz程度)のほぼ単一周波数の特性を示すのに対し、垂直走査(Y方向)の成分は、ノコギリ波信号を用いた非共振駆動を行うので当該ノコギリ波信号(基本波60Hz程度)の周波数成分(fv1〜fvn+4)をほぼ有する特性を示す。すなわち、水平共振周波数fh0は、当該有効周波数帯域BV外にあり、垂直共振周波数fv0は、当該有効周波数帯域BV内にあることを意味する。
速度負帰還によるQダンプの設計においては、垂直共振周波数fv0(1kHz、図23(a)参照)を含んだ周波数帯域の速度検出信号が必要となるので、本実施形態のように水平共振周波数fh0と垂直共振周波数fv0の比が10以上も離れていることは、周波数分離回路(周波数フィルタ回路)による抽出が効果的であることを意味する。
図23(d)は、周波数フィルタ回路を例示する図である。図23(d)で示されたように、周波数フィルタ回路は、特定の周波数帯域(狭帯域)を除去する機能をもつ帯域除去フィルタ(ノッチアウトフィルタ回路)で、抵抗とキャパシタのT字型フィルタ回路を2組並列に結合した構成をとる。ここで、前後のアンプ102,103は、ノッチアウトフィルタ回路と前後の回路との干渉を防ぐためのバッファ回路である。
図23(c)は、ノッチアウトフィルタ回路の伝達周波数特性を示す図である。ノッチアウトフィルタ回路の最大の減衰量を持つ周波数fmを水平共振周波数fh0に合わせることで、当該混入信号を効果的に減衰または除去することが可能である。当該周波数fm(=水平共振周波数fh0)は、下式より求めることができる。
fm(=fh0)=1/(2πRC)・・・・(9)
このように抽出手段6(6A)では、混入する水平走査に係る信号は共振駆動によりその周波数(数10kHz)や周波数成分が判明しており、垂直共振周波数fv0(1kHz程度)とは10倍以上離れていることから、周波数分離手法により非共振速度信号Uyあるいは非共振信号成分(YまたはdUy/dt)を高性能で抽出可能とする。
以上のように、第1実施形態に係る偏向制御回路122(122A)では、検出手段3(3A)の後に、当該検出手段3(3A)による垂直走査に係る検出信号から水平走査に係る混入信号を減衰あるいは除去することによって垂直共振周波数成分を抽出する抽出手段を設けた。このため、当該混入信号が負帰還回路を通じて駆動回路に入力されることによる、本来の水平走査駆動信号との干渉による水平走査の不安定動作や負帰還ループ内での発振現象の発生を解消することができる。これにより、垂直走査駆動に係る横縞ノイズや外乱振動の共振応答による垂直走査の不安定さの対策の効果性能や品位を確保することが可能となる。また、検出手段3(3A)の配置上の制約(取り付け位置の限定や取り付け精度)が緩くなり、回動機構15の小型化、低コスト化も実現可能となる。
<2.第2実施形態>
図24は、本発明の第2実施形態における偏向制御回路122Bの負帰還制御手段1Bを示すブロック図である。残余の構成は第1実施形態の装置と同様である。この第2実施形態では、AD変換(アナログ−デジタル変換)の際の折り返しノイズの発生現象(これは周波数変換機能とみなせる)を利用して非共振成分の抽出が行われる。
具体的にはまず、検出手段3Aから出力されるミラー部10の回動量のアナログ検出信号(Y+ax)が、抽出手段6B内のAD変換器104にてAD変換される。このAD変換のサンプリング周波数信号fsは水平共振周波数fh0の2倍未満(fs<2*fh0)とされている。
一般に、水平共振周波数fh0は、垂直共振周波数fv0よりもかなり大きな周波数である。このため、Y軸まわりの回動の駆動周波数(水平共振周波数fh0)の2倍未満のサンプリング周波数(fs<2*fh0)を用いて、検出信号(Y+ax)をアナログ−デジタル変換すると、当該検出信号(Y+ax)のうち当該サンプリング周波数を越える成分(fs>2*fh0)を速度負帰還信号(VD−Uy)の周波数帯域外へと移す折り返し周波数変換が行われることになる(図26参照)。当該AD変換手段を用いることによって、当該検出信号(Y+ax)から当該非共振信号成分(Y)が抽出される。当該非共振信号成分(Y)が抽出された後、負帰還制御手段1Aと同様に、演算手段101の微分処理にて非共振速度信号(Uy)が算出され、負帰還信号生成手段4によって当該速度負帰還信号(VD−Uy)が生成される。
折り返し変換された後の混入信号は、振動を与える交流(AC)成分としては抑圧されているが、直流成分としては残っている。サンプリング周波数信号fsをfs=fh0/n(nは整数)とすると、当該混入信号axは、直流信号ax'に変換される(n=1の場合、図26参照)。次段の演算手段101における微分処理の低周波抑圧特性(図25参照)によって当該直流信号は遮断されるので、当該混入信号は効果的に除去される。
以上のように、第2実施形態に係る偏向制御回路122Bの負帰還制御手段1Bでは、抽出手段6Bにおいて、2軸の駆動の動きの検出信号をアナログ−デジタル変換し、水平走査に係る混入信号の周波数を、速度負帰還信号の周波数帯域外に折り返し周波数変換を行う処理を施したので、混入信号を減衰あるいは除去する性能を向上させることが可能となる。
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態1,2に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
※ 上記実施形態1では、検出手段3内の直接走査の回動速度を検出する検出センサとして、フォトインタラプタを用いたが、コイルと磁石を組み合わせた電磁センサ等としてもよい。
※ 上記実施形態1では、抽出手段6,6Aのフィルタ回路として、ノッチアウトフィルタ回路を用いたが、これに限られない。例えば、帯域除去フィルタ回路または低減通過フィルタ回路など、水平共振周波数fh0を遮断帯域に持つフィルタ回路であればよい。
1,1A,1B 負帰還制御手段
3,3A 検出手段
4 負帰還信号生成手段
5 走査駆動手段
6,6A,6B 抽出手段
8 駆動回路
10 ミラー部
15 回動機構
30 可動枠
51〜54 圧電素子
81〜84 回路内演算部
100 画像投影装置
101,101A 演算手段
104 AD変換器
120 駆動制御部
122,122A,122B 偏向制御回路
132 2次元偏向部(光スキャナ)
fh0 水平共振周波数
fv0 垂直共振周波数
BV 垂直走査駆動信号の有効周波数帯域

Claims (8)

  1. 光源部から発せられた光束のラスタ走査を行う2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記光束の偏向を行う被駆動素子を、互いに異なる第1軸と第2軸との2軸を中心として回動させる回動機構と、
    前記回動機構に駆動信号を与えることにより、前記2軸のそれぞれを中心として前記被駆動素子を周期的に回動させて、前記光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段と、
    前記被駆動素子の速度を検出して速度検出信号を生成し、前記速度検出信号に基づいて前記走査駆動手段への速度負帰還信号を生成する負帰還制御手段と、
    を備え、
    前記第1軸を中心とする周期的回動は、前記被駆動素子の機械的共振に関して、非共振駆動として行われるとともに、
    前記負帰還制御手段には、前記速度検出信号から非共振速度信号を抽出する抽出手段が設けられ、前記速度負帰還信号が前記非共振速度信号に基づいて生成されることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  2. 請求項1に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記回動機構に結合した状態での前記被駆動素子は、機械的共振に関して、前記第1軸および前記第2軸まわりにそれぞれ第2共振周波数と第1共振周波数とを有しており、
    前記第2軸を中心とする周期的回動は、前記第1共振周波数での共振駆動として行われるとともに、
    前記第1軸を中心とする周期的回動の駆動は、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数とのいずれとも異なる非共振駆動であるとともに、所定の基本周波数とその高調波とを含んだ有効周波数帯域を有する駆動信号に基づいて生成されており、
    前記第1共振周波数は、前記有効周波数帯域外にあり、
    前記第2共振周波数は、前記有効周波数帯域内にあることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記速度検出信号は、前記被駆動素子の回動量の検出信号を時間微分して得られることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  4. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記速度検出信号は、前記被駆動素子の回動加速度の検出信号を時間積分して得られることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記光束による2次元走査は画像形成のための走査であって、
    前記第1軸および前記第2軸を中心とした前記被駆動素子のそれぞれの回動は、前記光束による副走査および主走査をそれぞれ生じさせるものであり、
    前記抽出手段は、前記速度検出信号から前記非共振速度信号を抽出する周波数分離手段を備えることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  6. 請求項5に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記周波数分離手段として、帯域除去フィルタ回路または低減通過フィルタ回路を用いたことを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  7. 光源部から発せられた光束のラスタ走査を行う2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記光束の偏向を行う被駆動素子を、互いに異なる第1軸と第2軸との2軸を中心として回動させる回動機構と、
    前記回動機構に駆動信号を与えることにより、前記2軸のそれぞれを中心として前記被駆動素子を周期的に回動させて、前記光束の2次元的走査を行わせる走査駆動手段と、
    前記被駆動素子の回動量または回動加速度を検出して検出信号を生成し、前記検出信号に基づいて前記走査駆動手段への速度負帰還信号を生成する負帰還制御手段と、
    を備え、
    前記第1軸を中心とする周期的回動は、前記被駆動素子の機械的共振に関して、非共振駆動として行われるとともに、
    前記負帰還制御手段が、
    前記検出信号から非共振信号成分を抽出する抽出手段と、
    前記非共振信号成分を時間的に微分または積分して非共振速度信号を得る演算手段と、
    前記非共振速度信号に基づいて、前記速度負帰還信号を生成する負帰還信号生成手段と
    を備えることを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
  8. 請求項7に記載の2次元光スキャナ駆動装置であって、
    前記回動機構に結合した状態での前記被駆動素子は、機械的共振に関して、前記第1軸および前記第2軸まわりにそれぞれ第2共振周波数と第1共振周波数とを有しており、
    前記第2軸を中心とする周期的回動は、前記第1共振周波数での共振駆動として行われるとともに、
    前記第1軸を中心とする周期的回動の駆動は、前記第1共振周波数と前記第2共振周波数とのいずれとも異なる非共振駆動であるとともに、所定の基本周波数とその高調波とを含んだ有効周波数帯域を有する駆動信号に基づいて生成されており、
    前記第1共振周波数は、前記有効周波数帯域外にあり、前記第2共振周波数は、前記有効周波数帯域内であるとともに、前記第1共振周波数は、前記第2共振周波数よりも大きな周波数であり、
    前記抽出手段は、前記第2軸まわりの回動の駆動周波数の2倍未満のサンプリング周波数を用いて、回動量の前記検出信号をアナログ−デジタル変換するAD変換手段を備え、
    回動量の前記検出信号のうち前記サンプリング周波数を越える成分を前記速度負帰還信号の周波数帯域外へと移す折り返し周波数変換を、前記AD変換手段を用いて行うことによって、回動量の前記検出信号から回動量の前記非共振信号成分を抽出することを特徴とする2次元光スキャナ駆動装置。
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