JP2011104871A - 積層シート、およびそれを用いた成形体 - Google Patents

積層シート、およびそれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、少なくとも一方の面にインキ層を形成した熱可塑性樹脂フィルムを、該インキ層を介して積層してなる積層シートにおいて、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムとを接着する層を必要とせず、経済性や環境性に優れた積層シートを提供する。
【解決手段】インキ層4を、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される樹脂(B)、顔料、および有機溶剤からなるインキ組成物によって形成し、また上記積層シートより成形体を成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムとを積層してなる積層シートに関し、特に、基材シートと熱可塑性樹脂フィルム間にインキ層を有する積層シート、およびそれを用いた成形体に関する。
ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材シートと熱可塑性樹脂フィルム間に印刷層としてインキ層を有する積層シート(下記特許文献1、2参照)において、インキ層の形成には、一般に塩素化ポリプロピレン系ラミネート用インキ、またはウレタン系ラミネート用インキが用いられるが、塩素化ポリプロピレン系ラミネート用インキのバインダーである塩素化ポリプロピレン、及びウレタン系ラミネート用インキのバインダーであるウレタン樹脂はポリスチレンと接着しないため、インキ層と基材シート間に接着層が必要となる。図2は、従来の積層シートの構成を示す断面図である。図2における積層シート11は基材シート12とインキ層14を印刷により形成した熱可塑性樹脂フィルム13とは接着層15により積層され一体となっている。
また、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする基材シートと熱可塑性樹脂フィルム間に印刷層としてインキ層を有する積層シートにおいて、インキ層の形成には、一般に塩素化ポリプロピレン系ラミネート用インキ、またはウレタン系ラミネート用インキが用いられるが、塩素化ポリプロピレン系ラミネート用インキはポリオレフィンとの接着性は良好であるものの、構造中に塩素を含有し環境上問題であることと、高価なためコスト的な問題もある。近年は塩素化せず、マレイン化したインキもあるが、柔らかすぎるなど性能的に不十分であり、また高価でコスト的な問題は解決できていない。ウレタン系ラミネート用インキは、やはりバインダーであるウレタン樹脂とポリオレフィンが接着しないため、インキ層と基材シート間に接着層が必要となる。
特開2008−115317 特開2008−207471
本発明は、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、熱可塑性樹脂フィルムを、インキ層を介して積層した積層シートにおいて、接着層を必要とせず、経済性や環境性に優れた積層シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成を有する。
(1)ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、少なくとも一方の面にインキ層を形成した熱可塑性樹脂フィルムを、該インキ層を介して積層してなる積層シートであって、前記インキ層が、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される樹脂(B)、顔料、および有機溶剤からなるインキ組成物によって形成されていることを特長とする積層シート。
(2)前記インキ組成物における樹脂(B)が、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される2種以上の混合物であることを特長とする前記(1)記載の積層シート。
(3)前記インキ組成物におけるスチレン系ハードレジン(B2)が、スチレンおよびα−メチルスチレンからなる群から選択されるスチレン系モノマーを必須モノマーとする1種または2種以上のモノマーから構成される(共)重合体であることを特長とする前記(2)記載の積層シート。
(4)前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン−オレフィンおよび/または共役ジエン−スチレンブロック共重合体およびそれらの水素添加物からなる群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特長とする前記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の積層シート。
(5)前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特長とする前記(4)記載の積層シート。
(6)前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が酸価を有するものと酸価を有しないものからなり、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)全体の酸価が1〜30mgKOH/gの範囲内であることを特長とする前記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の積層シート。
(7)前記インキ組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と樹脂(B)とを、9/1〜1/9の重量比で含有することを特長とする前記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の積層シート。
(8)前記インキ組成物において、インキ組成物の総重量に基づいて、3〜20重量%の有機顔料、または3〜50重量%の無機顔料を含有することを特長とする前記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の積層シート。
(9)前記インキ組成物における有機溶剤が、芳香族炭化水素系溶剤および脂環式炭化水素系溶剤からなる群から選択される1種または2種以上の有機溶剤であることを特長とする前記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の積層シート。
(10)前記(1)記載の積層シートを成形してなる成形体。
本発明は、上記構成のインキ組成物からなるインキ層とすることにより、インキ層がポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに対する接着性を有し、接着層を設けることなく、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムを積層して積層シートを構成できて、意匠性を有しつつ経済性に優れる。また、上記構成のインキ組成物からなるインキ層とすることにより、低コストで製造でき、環境性にも優れる。
本発明の積層シートの実施形態の一例を示す断面図である。 従来の積層シートの構成を示す断面図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の積層シートは、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、熱可塑性樹脂フィルムが、接着層を設けることなく、インキ層を介して積層されて構成されている。本発明においては、インキ層がスチレン系熱可塑性エラストマー(A)、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される樹脂(B)、顔料、および有機溶剤からなるインキ組成物によって形成されている。前記インキ組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と、テルペン系樹脂、スチレン系ハードレジンおよび脂環式炭化水素系樹脂からなる群から選択される樹脂(B)とは、ブレンドされているものであり、熱可塑性エラストマーと共重合性モノマーからなる重合体で構成される樹脂(溶液)を用いるものではない。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)には、各種のエラストマーあるいは合成ゴムとして用いられているスチレン系(共)重合体(単独重合体および/または共重合体)、並びに、これらの2種以上の併用が含まれる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)としては、スチレンとオレフィンおよび/または共役ジエンとのブロックおよびランダム共重合体:たとえばスチレン−オレフィンおよび/または共役ジエンブロック共重合体(スチレン−オレフィンおよび/または共役ジエンのジブロック共重合体、トリブロック共重合体など;スチレン−オレフィンおよび/または共役ジエン−スチレンブロック共重合体、テトラブロック共重合体など)、スチレン−共役ジエンランダム共重合体、及びこれらの水素添加物、ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記共重合体を構成する、オレフィンとしては、炭素数2〜12またはそれ以上のもの、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のC〜C20のα−オレフィンの単独または2種以上の併用系、また、共役ジエンとしては、C〜C20のもの、例えばブタジエン、イソプレン、及びこれらの併用系が挙げられる。
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などのスチレンとオレフィンとのブロックおよびランダム共重合体;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体などのスチレンと共役ジエンとのブロックおよびランダム共重合体;およびこれらの共重合体の水素添加物〔例えば水添SEBS、水添SIS〕;ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)としては、そのスチレンの含有量が10〜50%、とくに15〜45%のものが好ましい。(上記および以下において、とくに規定しない限り、%は重量%を表す。)また、その重量平均分子量〔GPC(ゲルパミエーションクロマトグラフィー)による、ポリスチレン換算値〕(以下、Mwと略記)が5千〜70万の範囲が好ましく、さらには5千〜30万、とくに1万〜20万が好ましい。
更に、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)は、種々の官能基(水酸基、エポキシ基、カルボキシル基など)で変性されたもの、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体(官能基含有単量体および/または他の単量体)で変性されたものでもよい。
変性に用いる、単量体としては、1)水酸基含有単量体、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等;2)カルボン酸(無水物)基含有単量体、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等;3)アミド基含有単量体、例えば(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド等;4)エステル基含有単量体、例えば(メタ)アクリル酸エステル〔アルキル(C〜C20またはそれ以上)(メタ)アクリレート、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等;シクロアルキル−,アラルキル−およびアリール(メタ)アクリレート、たとえばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等〕、(メタ)アクリル酸以外の上記カルボン酸基含有単量体の相当するエステル(アルキル−,シクロアルキル−,アラルキル−,アリール−およびジアルキルアミノアルキル−エステル)、ビニルエステル(たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル);5)エポキシ基含有単量体、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等;6)イソシアネ−ト基含有単量体、たとえばビニルイソシアネート、イソプロペニルイソシアネート等;7)ニトリル基含有単量体、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ;これらの単量体の1種または2種以上を用いることができる。〔上記および以下において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよび/またはメタクリレート、「(無水)マレイン酸」はマレイン酸および/または無水マレイン酸を表し、その他も同様の表現を用いる。〕変性に用いる単量体の量は、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)の重量に基づいて、0.5〜20%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜15%である。
上記の変性されたスチレン系熱可塑性エラストマー(A)の例には、エポキシ変性SBS、水添SEBSのMA(無水マレイン酸)変性物が含まれる。
かかるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)の具体例としては、以下のものが挙げられる:
1)エポキシ(0.7%)変性SBS(スチレン40%)〔ダイセル化学工業(株)製エポフレンドCT310〕
2)エポキシ(1.5%)変性SBS(スチレン40%)〔ダイセル化学工業(株)製エポフレンドAT501〕
3)水添SEBS(スチレン30%)〔旭化成ケミカルズ(株)製タフテックH1031〕
4)水添SEBS(スチレン30%)〔旭化成ケミカルズ(株)製タフテックH1141〕
5)MA変性水添SEBS(スチレン30%)(酸価10)〔旭化成ケミカルズ(株)製タフテックM1913〕
6)MA変性水添SEBS(スチレン20%)(酸価10)〔旭化成ケミカルズ(株)製タフテックM1943〕
7)SIS(スチレン16%)〔日本ゼオン(株)製クインタック3433N〕
8)SIS(スチレン25%)〔日本ゼオン(株)製クインタック3460〕
9)SIS(スチレン20%)〔(株)クラレ製ハイブラー5127〕
10)水添SIS(スチレン20%)〔(株)クラレ製ハイブラー7125〕
11)SEPS(スチレン30%)〔(株)クラレ製セプトン2002〕
12)SEPS(スチレン30%)〔(株)クラレ製セプトン2007〕
13)SEPS(スチレン13%)〔(株)クラレ製セプトン2063〕
14)SEPS(スチレン30%)〔(株)クラレ製セプトン4033〕
15)SEBS(スチレン30%)〔(株)クラレ製セプトン8007〕
16)SEBS(スチレン30%)〔(株)クラレ製セプトン8076〕
17)SEEPS(スチレン28%)〔(株)クラレ製セプトンHG252〕
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)のうち、好ましいのは、スチレンとオレフィンとのブロックおよびランダム共重合体(とくにSEBS、SEPS、SEEPS)、スチレンと共役ジエンとのブロックおよびランダム共重合体(とくにSIS、SBS)、およびこれらの水素添加物、ならびにこれらの2種以上の混合物である。これらのうちで、水素添加物、とくにスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種または2種以上の混合物が、耐熱性、耐候性、無黄変ないし難黄変性の点から好ましい。これらのスチレン系熱可塑性エラストマー(A)は、それぞれ、前述のように変性されていてもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)として、酸価を有するエラストマー(変性されたエラストマー)と酸価を有しないエラストマー(未変性のエラストマー)とを種々の割合(例えば9/1〜1/9の重量比)で併用するのが、顔料分散性や耐熱性などの各種性能を向上させると共にサーマルラミネート適性を発現する上で、好ましい。とくに、酸価を有するものと酸価を有しないものからなる、該スチレン系熱可塑性エラストマー(A)の全体(平均)の酸価が1〜30mgKOH/gの範囲内であるのが、顔料分散性の点から好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)としては、以下の表1のような範囲の特性/物性値を有するものが好ましい。なお、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を複数種用いる場合、混合後の特性/物性値の平均値が下記の範囲であるのが好ましい。
測定法:MFR JIS K7210 21.18N
粘度 15wt%トルエン溶液、30°C
硬度 JIS K6253 タイプA
破断強度 JIS K6251 ダンベル3号
引張速度500mm/分
破断伸度 JIS K6251 ダンベル3号
引張速度500mm/分
本発明に使用されるインキ組成物における前記樹脂(B)は、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)、および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択され、これらの2種以上の併用が含まれる。
前記テルペン系樹脂(B1)としては、テルペン樹脂、たとえばα−ピネン樹脂{(株)理化ファインテク製}、「ピコライト」(「ピコライトA−115」等)}、β−ピネン樹脂{ヤスハラケミカル(株)「YSレジンPX」}、ジペンテン樹脂など;及び、これらのテルペン樹脂(α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂等)の変性樹脂、たとえば、これらとスチレン等の芳香族モノマーを共重合させてなる芳香族変性テルペン樹脂{ヤスハラケミカル(株)製「YSレジンTO」}、これらを水素添加してなる水素添加テルペン樹脂{ヤスハラケミカル(株)製「クリアロンP」、「クリアロンM」、「クリアロンK」}、これらをフェノール変性してなるフェノール変性テルペン樹脂{ヤスハラケミカル(株)製「ポリスター2000」、「ポリスターT]、「ポリスターS」、「マイティエースG」};並びに、これらの2種以上の併用系が含まれる。
テルペン系樹脂(B1)のうちで好ましいのは、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂および水素添加テルペン樹脂であり、更に好ましいのは未変性のテルペン樹脂、とくにα−ピネン樹脂およびβ−ピネン樹脂である。
上記のようなテルペン系樹脂(B1)をスチレン系熱可塑性エラストマー(A)と併用することにより、未処理ポリオレフィンフィルム、とくに接着が困難である未処理ポリエチレンフィルムに対して、良好な接着性を発揮することができる。
前記スチレン系ハードレジン(B2)は、スチレン系エラストマー以外のスチレン系炭化水素樹脂である。一般に10〜100℃のガラス転移点(Tg)、70〜150℃またはそれ以上の軟化点(JIS K2207)を有し、通常500以上(好ましくは500〜7000とくに好ましくは700〜5000)のMwを有する炭化水素樹脂である。
前記スチレン系ハードレジン(B2)には、スチレン系モノマーの1種以上の(共)重合体、スチレン系モノマーの1種以上(50%以上)と炭化水素モノマー{他の芳香族系モノマーおよび/または脂肪族系モノマー}の1種以上との共重合体、およびこれらの(共)重合体の水素添加物、ならびにこれらの2種以上の混合物が含まれる。
前記スチレン系ハードレジン(B2)を構成するスチレン系モノマーとしては、スチレン、およびアルキル置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、イソプロぺニルスチレン等;芳香族系モノマーとしては、通常C9留分といわれる芳香族系モノマー含有混合物「ナフサの熱分解により得られるC6〜C11留分のBTX抽出残留分」、更に他の芳香族系(多環芳香族を含む)モノマー(側鎖に不飽和結合を有する芳香族系炭化水素)、例えばクマロン、インデン、メチルインデン、ビニルナフタリン等;脂肪族系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレンなどのオレフィンが挙げられる。
前記スチレン系ハードレジン(B2)の具体例としては、スチレン系モノマー単独重合体、例えば、スチレン単一重合体{(株)理化ファインテク製「ピコラスチック」、三井化学(株)製「FTR8000」}、α−メチルスチレン単一重合体{三井化学(株)製「FTR Zero」、(株)理化ファインテク製「クリスタレックス」}、ビニルトルエン単一重合体{「ピコテックス」(株)理化ファインテク製}、およびスチレン系モノマー(2種以上)の共重合体、例えばα−メチルスチレン/スチレン共重合体{三井化学(株)製「FTR 2000」}、これらの芳香族変性品、例えばスチレン/芳香族系モノマーの共重合体{三井化学(株)製「FMR」}、および、脂肪族変性品、すなわちスチレン系モノマー/脂肪族系モノマーの共重合体、例えばスチレン/脂肪族系モノマー共重合体{三井化学(株)製「FTR 6000」}、スチレン/α−メチルスチレン/脂肪族モノマー共重合体{三井化学(株)製「FTR 7000」}:並びに、これらの(共)重合体の水素添加物、例えばα―メチルスチレン/ビニルトルエン/β−メチルスチレン水添共重合体{(株)理化ファインテク製「リガレッツ」}が挙げられる。
前記スチレン系ハードレジン(B2)のうち、好ましいのは、スチレン系モノマーの(共)重合体およびその芳香族変性品である。更に好ましいのは、α−メチルスチレンを主構成単位とするスチレン系モノマーの(共)重合体{α−メチルスチレン単一重合体、α−メチルスチレン/スチレン共重合体}およびその芳香族変性品、とくに前者{α−メチルスチレン単一重合体、およびα−メチルスチレン/スチレン共重合体(共重合比:好ましくは95/5〜1/99、とくに80/20〜5/95)}である。
これらのスチレン系ハードレジン(B2)は何れも、耐油性や耐熱性および硬度を向上させ、また乾燥性を向上させる効果を有している。また、これらは用途・要求性能により適宜選択される。例えば、より硬度が必要なものには、分子量が大きく、軟化点の高いα−メチルスチレン単一重合体、およびα−メチルスチレン/スチレンの共重合体が用いられる。一方、接着性が必要とされ、耐油性などはさほど要求されないものに対しては、耐ブロッキング性や乾燥性のみを重視した変性樹脂、スチレン単一重合体が用いられる。
また、スチレン系ハードレジン(B2)としては、以下のような範囲の特性/物性値を有するものが好ましい。

測定法:軟化点 JIS K2207
溶融粘度(200℃) B型粘度計による
前記脂環式炭化水素系樹脂(B3)には、水素添加石油樹脂〔石油樹脂(ナフテン系石油樹脂、芳香族系石油樹脂など)の水素添加物〕が含まれる。その具体例としては、荒川化学工業(株)製アルコンM(M−135など)、アルコンP(P−140など)が挙げられる。
脂環式炭化水素系樹脂(B3)を用いることによって、とくに処理および未処理のポリプロピレンに対して、良好な接着性を示す。
本発明においては、前記樹脂(B)として、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される2種以上の混合物{(B1)および/または(B2)および/または(B3)}を用いることによって、これら各樹脂の相乗的に優れた性能を発揮することができる。
なお、樹脂(B)としては、以下のような範囲のMw,軟化点、Tgを有するものが好ましい。
本発明において、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と前記樹脂(B)との割合は、本発明の積層シートの用途,要求性能等に応じて広範囲にわたり変えられるが、一般に(A)/(B)の重量比は好ましくは9/1〜1/9、更に好ましくは8/2〜2/8、特に好ましくは6/4〜3/7である。
また、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と前記樹脂(B)の合計の含有量は、インキ組成物の総重量に基づいて10〜40重量%、特に12〜35重量%、不揮発分の重量に基づいて15〜95重量%、特に30〜90重量%となる範囲が好ましい。
本発明において、顔料としては一般に溶剤系グラビアインキで使用できる無機、有機あるいは体質顔料が使用できる。ここで使用可能な無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、モリブテン、カーボンブラック、紺青、群青など、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料をあげることが出来る。さらに使用可能な体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等を挙げることができ、これら2種類以上の混合系が挙げられる。顔料の含有量は種々変えることができるが、一般的にインキ組成物の総重量に基づいて無機顔料では3〜50重量%、特に5〜40重量%が好ましく、有機顔料では3〜20重量%、特に3〜15重量%が好ましい。
本発明において、インキ組成物に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、S―ブタノールなどのアルコール類、およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうちで、芳香族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤などが、本発明のインキ組成物の材料に対して良溶媒である点で、好ましい。有機溶剤含有量はインキ組成物中の不揮発分の濃度が5〜60重量%、特に15〜50重量%となる範囲で用いるのが好ましい。
本発明に使用するインキ組成物には、本発明の作用を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の樹脂ないしはオリゴマー、油脂類、各種の安定剤、その他の添加剤の1種または2種以上を含有させることができる。
前記の他の樹脂には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ロジン、ロジンエステル樹脂、ロジンマレイン酸樹脂、硬化ロジン、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、および塩素化ポリオレフィン、ならびに、これらの2種以上の混合樹脂が含まれる。
オリゴマーとしては、ブタジエンを重合させてなる液状のアタクティック・ブタジエンオリゴマー(1,2−PB)、その水素添加物、それらの変性物〔酸もしくは酸無水物(無水マレイン酸など)またはグリコール(エチレングリコールなど)で変性してカルボキシル基,水酸基などの反応性基・親水基を導入したもの〕、具体的には例えば以下のものが挙げられる。これらのオリゴマーは、粘着性付与剤として、また耐水性、耐薬品性、電気特性、機械的強度、耐熱性等の特性の向上、エラストマーにこれらの特性を付与する目的で用いられる。
1)1,2−PB〔日本曹達(株)製NISSO−PB B−1000〕
2)グリコール変性1,2−PB〔日本曹達(株)製NISSO−PB G−1000〕
3)グリコール変性水添1,2−PB〔日本曹達(株)製NISSO−PB GI−1000〕
4)酸変性1,2−PB(酸価55〜70)〔日本曹達(株)製NISSO−PB C−1000〕
5)酸変性水添1,2−PB(酸価44〜59)〔日本曹達(株)製NISSO−PB CI−1000〕
6)MA変性1,2−PB(酸価130〜155)〔日本曹達(株)製NISSO−PB BN−1015〕
前記安定剤には、酸化防止剤(ヒンダードフェノール等)、耐候安定剤、耐熱防止剤、ゴム老化防止剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤等;その他の添加剤には、他の着色剤(アゾ染料、アントラキノン系染料等の染料)、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、充填剤、ワックス、ブロッキング防止剤、可塑剤、レベリング剤等が含まれる。
これらの含有量は種々変えることができるが、一般に、インキ組成物(溶剤も含む)の総重量に基づいて、安定剤は5重量%以下、特に0.1〜2重量%が好ましく、その他の添加剤は15重量%以下、特に3〜10重量%が好ましい。
上記インキ組成物は、有機溶剤中に、上記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)、樹脂(B)、顔料、および必要により他の成分を分散、溶解させることにより、調製される。分散に際しては、公知の分散・混合装置を用いることもでき、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロール、ペイントシェーカー、ニーダー、2本ロール、高速ディゾルバー等が挙げられる。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、上記のように調製されたインキ組成物によりインキ層を形成し、該熱可塑性樹脂フィルムを、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、インキ層を介して積層し形成される。図1は、本発明の積層シートの構成を示す断面図である。図1における積層シート1は基材シート2と、インキ層4を印刷により形成した熱可塑性樹脂フィルム3とが、インキ層4を接着層として積層され一体となっている。
本発明において、インキ層の形成は印刷等の方法によりインキ組成物を塗布後、有機溶剤を乾燥させて行う。塗布方法は、インキ層の厚みや濃度を制御できれば特に限定されるものではないが、凸版、グラビア、スクリーン、グラビアオフセット、ロールコーター、コンマコーター、ディッピング等の印刷方法が挙げられる。
本発明の積層シートにおける基材シートは、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなるシートであり、一般的なポリスチレン系樹脂シート又はポリオレフィン系樹脂シートを使用できる。また、発泡樹脂シートやフィラー等の充填材を含有するシートや多層シートであっても良い。基材シートの厚みは特に限定されず、得られる積層シートの用途等に応じて適宜設定される。本発明に使用する上記インキ組成物は、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂への接着性に優れるため、意匠性の現出と共にインキ層が接着層を兼ねているため、サーマルラミネートにより、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムとを接着できる。また、接着層を有せず、かつ、インキ層の基材シート及び熱可塑性樹脂フィルムとの相溶性が良いため、積層シートのリサイクル性にも優れる。
本発明の積層シートにおける熱可塑性樹脂フィルムは、軟包装材料に一般に使用されるポリオレフィン系樹脂フィルム等を使用できる。特に本発明に使用する上記インキ組成物は、ポリオレフィンへの接着性が優れるため、OPPフィルム、CPPフィルム、ポリエチレンフィルム等のオレフィン系樹脂フィルムが好適に使用できる。熱可塑性樹脂フィルムの厚みも特に限定されず、得られる積層シートの用途等に応じて適宜設定される。
本発明の積層シートにおけるインキ層の厚みとしては、得られる積層シートの用途等に応じて適宜設定されるが、0.1〜5μmの範囲であるのが、接着性の点から好ましい。
本発明の積層シートの総厚みは、得られる積層シートの用途等に応じて適宜設定されるが、0.1〜3mmの範囲であるのが、成形性の点から好ましい。
本発明の積層シートは、具体的には、熱可塑性樹脂フィルムの片面あるいは両面にインキ層を形成し、該インキ層側を接着層として基材シートに張り合わせて積層する。積層時には、加熱により圧着する。この時、基材シートは、予めシート状に形成されたものであっても、Tダイ等よりシート状に押出されたものに張り合わせるものであっても良い。
本発明の積層シートは、本発明の作用阻害しない範囲で、バリア層等の他層を有していても良い。
本発明の積層シートは、熱成形によって所望の形状の包装容器等の成形体として用いることができる。熱成形方法は、従来の熱可塑性樹脂シートを用いた成形方法と同様に行うことができる。また、形状も、箱やトレー、カップなど従来の熱可塑性樹脂シートを用いた成形体と同様にできる。
以下、本発明を具体的に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において使用したインキ組成物のスチレン系熱可塑性エラストマー(A)、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)、脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される樹脂(B)、顔料、ワックスおよび添加剤は、次の通りである。

スチレン系熱可塑性エラストマー(A)
エラストマー(1):酸変性水添スチレン系(SEBS型)熱可塑性エラストマー〔旭化成ケミカルズ(株)製、タフテックM−1943〕
エラストマー(2):水添スチレン系(SIS型)熱可塑性エラストマー〔(株)クラレ製、ハイブラー7125〕
エラストマー(3):エポキシ変性スチレン系(SBS型)熱可塑性エラストマー〔ダイセル化学工業(株)製、エポフレンドCT310〕
エラストマー(4):水添スチレン系(SEPS型)熱可塑性エラストマー〔(株)クラレ製、セプトン2007〕
エラストマー(5):ヒドロキシ変性スチレン系(SEEPS型)熱可塑性エラストマー〔(株)クラレ製、セプトンHG252〕

樹脂(B)
樹脂(B)(1):α−メチルスチレン系樹脂〔三井化学(株)製、FTR0120〕
樹脂(B)(2):脂環式飽和炭化水素系樹脂〔荒川化学工業(株)製、アルコンM−135〕
樹脂(B)(3):テルペン系樹脂〔(株)理化ファインテク製、ピコライトA−115〕

顔料(1):カーボンブラック 〔キャボットコーポレーション、リーガル250R〕

ワックス(1):重合脂肪酸アマイド系ワックス〔日本油脂(株)製、アルフローAD281P〕
ワックス(2):ポリエチレンワックス〔南ア・サゾール社製、サゾールワックスSPN−3〕

添加剤(1):シリカ〔(株)トクヤマ、ファインシールE−50〕
[実施例に使用したインキ組成物の調製]
(1−1)顔料分散用ワニスIの調製
攪拌機を備えた容器に、エラストマー(1)3部、エラストマー(2)2部、エラストマー(4)3部、樹脂(B)(1)5部、樹脂(B)(2)2部、樹脂(B)(3)1部、有機溶剤としてメチルシクロヘキサン(以下、MCHと略記)35部、エチルシクロヘキサン(以下、ECHと略記)15部,酢酸ノルマルプロピル(以下、NPAcと略記)15部を仕込み、攪拌下に混合、溶解して、顔料分散用ワニスIを調製した。なお、本発明において、「部」は「重量部」を指す。
(1−2)顔料分散用ワニスIIの調製
攪拌機を備えた容器に、エラストマー(1)2部、エラストマー(3)1部、エラストマー(5)7部、樹脂(B)(1)4部、樹脂(B)(2)2部、樹脂(B)(3)2部、有機溶剤としてMCH35部、ECH15部,NPAc15部を仕込み、攪拌下に混合、溶解して、顔料分散用ワニスIIを調製した。
(2−1)顔料分散液黒Iの調製
上記顔料分散用ワニスI81部に、顔料(1)10部を混合し、サンド・ミルにて分散して、顔料分散液黒Iを調製した。
(2−2)顔料分散液黒IIの調製
上記顔料分散用ワニスII83部に、顔料(1)10部を混合し、サンド・ミルにて分散して、顔料分散液黒IIを調製した。
(3−1)黒Iインキ組成物の調製
上記顔料分散液黒I91部に、ワックス(1)0.5部、ワックス(2)0.5部、添加剤(1)0.5部、およびイソプロピルアルコール(以下、IPAと略記)7部を加え、混合・溶解した後、ベントナイト系添加剤〔日本有機粘土(株)、エスベン〕0.5部を混合し、黒Iインキ組成物を調製した。
(3−3)黒IIインキ組成物の調製
上記顔料分散液黒II93部に、ワックス(1)0.5部、ワックス(2)0.5部、添加剤(1)0.5部、およびIPA5部を加え、混合・溶解した後、ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)〔日本曹達(株)製、T−50〕0.5部を混合し、黒IIインキ組成物を調製した。
比較例に使用したインキ組成物、あるいは接着剤は以下の通りである。
サーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキ:
大阪印刷インキ製造(株)製、PEL−SNW 670黒 RB
汎用ラミネート用ポリウレタン樹脂系インキ:
大阪印刷インキ製造(株)製、LB 670黒 R
サーマルラミネート用アクリル/塩素化PP/スチレン系接着剤:
大阪印刷インキ製造(株)製、EXP2022接着剤
[熱可塑性樹脂フィルムへのインキ層の形成]
上記黒Iインキ組成物、黒IIインキ組成物に対しては、MCH/ECH/NPAc/IPA=55/20/20/5の混合溶剤、比較例に使用したサーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキに対しては、トルエン/MEK/IPA=60/35/5の混合溶剤、比較例に使用した汎用ラミネート用ポリウレタン樹脂系インキに対しては、トルエン/MEK/IPA=40/40/20の混合溶剤、比較例に使用したサーマルラミネート用アクリル/塩素化PP/スチレン系接着剤に対しては、酢酸エチル/MEK/シクロヘキサン=40/30/30の混合溶剤をそれぞれ用いて希釈し、印刷粘度が離合社製ザーンカップ♯3を使用してインキ温度25℃の条件下で17秒になるよう調整した。このように粘度調整されたインキ組成物あるいは接着剤を、グラビア印刷機(印刷版としては175線ダイレクト版、深度30ミクロンを使用)を用いて下記の熱可塑性樹脂フィルムにグラビア印刷してインキ層を形成した。

[熱可塑性樹脂フィルム](処理ポリオレフィン系樹脂フィルム)
処理OPPフィルム(厚さ20μm)
サン・トックス(株)製、サントックス−OP MF−20
処理CPPフィルム(厚さ25μm)
東セロ(株)製、トーセロCP GHC
[積層シートの形成]実施例1〜6、比較例1〜3
表4に示す構成となるよう、ロール式熱転写機(中森工業(株)製 型式N−20R)を使用して、表5〜7に示すようにロール表面温度を実施例1、2、比較例1は140℃、160℃、180℃、200℃、実施例3〜6、比較例2、3は120℃、140℃、160℃、180℃で5m/分の速度で、インキ層面と基材シートのラミネートを行い、実施例1〜6、比較例1〜3の積層シートを作製した。

[基材シート]
ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む基材シート:
発泡PP(積水化成品工業(株)製、厚み1.5mm)
ポリスチレン系樹脂を主成分として含む基材シート:
発泡PSP(積水化成品工業(株)製、厚み2.0mm)
[ラミネート強度測定試験]
実施例1〜6、比較例1〜3の積層シートについて、(株)東洋精機製作所製ストログラフ(M−1型)を用い、熱可塑性樹脂フィルムと基材シート間を常温において剥離し、ラミネート強度(接着強度)を測定した。試験結果を表5〜7(単位:mN/15mm)に示す。
ラミネート強度(層構成:処理OPPフィルム+インキ層+発泡PP)
単位:mN/15mm
ラミネート強度(層構成:処理CPPフィルム+インキ層+発泡PP)
単位:mN/15mm
ラミネート強度
(層構成:処理CPPフィルム+インキ層+発泡PSP)
単位:mN/15mm
[成形体の作製](実施例7〜12、比較例4〜6)
実施例1〜6、比較例1〜3の積層シートのうち、実施例1、2、比較例1についてはロール表面温度200℃でラミネートした積層シート、実施例3〜6、比較例2、3についてはロール表面温度160℃でラミネートした積層シートを用い、これらの積層シートを、1200Wの赤外線ヒーターにて積層シートが軟化するまで加熱し、金型で積層シートの熱可塑性樹脂フィルム側から加圧して、開口部寸法が90mm×90mm、底面寸法が直径50mmの円形、かつ深さが20mm(基材シートが発泡PPの場合)あるいは30mm(基材シートが発泡PSPの場合)の食品包装を想定する容器を成形体として作成した。
実施例7〜12、比較例4〜6の成形体の断裁面および底部のデラミ発生状況、外観を目視で評価した結果を表8に示す。表8において、評価結果は1〜5の5段階の相対評価であり、5が最良(デラミの発生がなく、外観が良好)である。
実施例7、8の成形体は、熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一で、サーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキをインキ層として用いた比較例4の成形体と比較して見劣りすることなく成形でき、デラミの発生も観察されず、良好な成形性を有していた。実施例9、10の成形体も、熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一で、サーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキをインキ層として用いた比較例5の成形体と比較して見劣りすることなく成形でき、デラミの発生も観察されず、良好な成形性を有していた。実施例11、12の成形体は、熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一で、汎用ラミネート用ポリウレタン樹脂系インキをインキ層として用い、接着剤層を有する比較例6の成形体と比較して見劣りすることなく成形でき、デラミの発生も観察されず、良好な成形性を有していた。
[電子レンジによる耐性試験]
実施例7〜10、比較例4、5の成形体内面に油(日清サラダ油)を脱脂綿にて塗布し、ポリ塩化ビニリデンラップで密閉して、電子レンジ(松下電器産業(株)製、型式 NE−1700)内に1700Wの出力で90秒間加熱し、インキ層と基材シートとがデラミする状況を評価した。試験結果を表9に示す。表9において、評価結果は1〜5の5段階の相対評価であり、5が最良(デラミの発生がなく、電子レンジによる耐性が良好)である。
実施例7の成形体は、熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一で、サーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキをインキ層として用いた比較例4の成形体よりも僅かにデラミによる外観性の低下が見られたが、同じく熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一の実施例8の成形体は、比較例4の成形体と同等の外観が得られた。実施例9、10の成形体は、熱可塑性樹脂フィルムと基材シートの構成が同一で、サーマルラミネート用塩素化ポリオレフィン樹脂系インキをインキ層として用いた比較例5の成形体よりもデラミの発生が観察されず、良好な外観性を有していた。
本発明の積層シートは、インキ層が基材シートに対する接着性を有し、接着層を設けることなく、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムを積層できて意匠性を有しつつ経済性に優れ、低コストで、環境性にも優れることから、包装用等の容器などの成形体とするのに好適である。
1 積層シート
2 基材シート
3 熱可塑性樹脂フィルム
4 インキ層
11 従来の積層シート
12 基材シート
13 熱可塑性樹脂フィルム
14 従来のインキ層
15 接着層

Claims (10)

  1. ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる基材シートに、少なくとも一方の面にインキ層を形成した熱可塑性樹脂フィルムを、該インキ層を介して積層してなる積層シートであって、前記インキ層が、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される樹脂(B)、顔料、および有機溶剤からなるインキ組成物によって形成されていることを特長とする積層シート。
  2. 前記インキ組成物における樹脂(B)が、テルペン系樹脂(B1)、スチレン系ハードレジン(B2)および脂環式炭化水素系樹脂(B3)からなる群から選択される2種以上の混合物であることを特長とする請求項1記載の積層シート。
  3. 前記インキ組成物におけるスチレン系ハードレジン(B2)が、スチレンおよびα−メチルスチレンからなる群から選択されるスチレン系モノマーを必須モノマーとする1種または2種以上のモノマーから構成される(共)重合体であることを特長とする請求項2記載の積層シート。
  4. 前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン−オレフィンおよび/または共役ジエン−スチレンブロック共重合体およびそれらの水素添加物からなる群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特長とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層シート。
  5. 前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特長とする請求項4記載の積層シート。
  6. 前記インキ組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が酸価を有するものと酸価を有しないものからなり、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)全体の酸価が1〜30mgKOH/gの範囲内であることを特長とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層シート。
  7. 前記インキ組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と樹脂(B)とを、9/1〜1/9の重量比で含有することを特長とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層シート。
  8. 前記インキ組成物において、インキ組成物の総重量に基づいて、3〜20重量%の有機顔料、または3〜50重量%の無機顔料を含有することを特長とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層シート。
  9. 前記インキ組成物における有機溶剤が、芳香族炭化水素系溶剤および脂環式炭化水素系溶剤からなる群から選択される1種または2種以上の有機溶剤であることを特長とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層シート。
  10. 請求項1記載の積層シートを成形してなる成形体。
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