JP2011104507A - 多管式反応器用伝熱管 - Google Patents

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充宏 小田
Tamotsu Takamoto
保 高元
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Abstract

【課題】原料ガスをより効率良く加熱できる多管式反応器用伝熱管を提供する。
【解決手段】一端にガス流入口、他端にガス排出口、両端間に触媒が充填された触媒層Cを有する伝熱管Pであって、ガス流入口と触媒層Cとの間に、軸方向に長い内挿物10が設けられており、内挿物10は、棒状部11と、棒状部11の側面に設けられた螺旋状部12とからなる。内挿物10を伝熱管内に配置すれば、ガスは螺旋状部12に沿って流れるので、内挿物10を挿入したことによるガスの流動抵抗を抑えつつ、ガスと管壁との接触性を向上させることができる。よって、熱交換効率を大幅に上昇させることができ、短期間でガスの温度を上昇させることができる。そして、短期間でガスの温度を上昇させることができれば、ガス流入口から触媒層までの距離を短くすることができるから、伝熱管Pを短くしたり、充填する触媒の量を増加させたりすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多管式反応器用伝熱管に関する。
固定床触媒を用いた多管式反応器では、触媒が充填された触媒層を有する多数の伝熱管を備えており、この伝熱管に原料ガスを供給し、触媒層の触媒と原料ガスとを反応させて目的とする物質(目的物質)の生成が行われる。
かかる触媒層おける触媒と原料ガスとの反応では、両者を反応させる反応温度が目的物質を効率よく生成する上で重要である。そして、多管式反応器では、適切な反応温度とするために、加熱された亜硝酸ナトリウムや硝酸カリウム等の液体(HTS)によって反応時の発熱を除熱するとともに、原料ガスの予熱も行っている。
原料ガスを予熱する方法として、ヒーター等により昇温する方法や、反応管入口から触媒層まで領域(予熱領域)の長さを長くする方法等が採用されている。
しかし、前者の場合、原料ガスの供給路にヒーター等を設けなければならないので、初期の設備投資が高くなるし、ヒーター等を作動させるため、ランニングコストが増加する等の問題がある。
また、後者の場合には、予熱領域を長くした分だけ伝熱管の長さを長くしなければならないので、多管式反応器自体が大型化し、この場合も初期の設備投資が高くなる。
そして、両方法とも、既存設備に設ける場合には、大幅な設備改造が必要となる。
上述した方法よりも簡単に原料ガスを予熱する効果が得られる方法が特許文献1、2に開示されている。
特許文献1、2には、多管式反応器を用いてメタクリル酸を製造する方法、具体的には、イソブチレンおよび/またはターシャリブタノールから前段反応および後段反応からなる分子状酸素による接触気相酸化反応によりメタクリル酸を製造する方法であって、後段反応において、前段反応生成ガスに含まれる閉塞物質による触媒層閉塞トラブルを防止する技術が開示されている。そして、特許文献1、2には、多管式反応器の伝熱管における予熱領域に挿入物を挿入することによって、後段ガスの予熱効果が得られるので、閉塞を回避できる等の効果が得られる旨が記載されている。
そして、特許文献1、2には、挿入物を挿入した予熱領域の空隙率は、30〜99%が好ましく、さらに棒状の挿入物の場合は40〜99%、板状の挿入物の場合は50〜99%が好ましい旨が記載されている。
また、特許文献2には、棒状の挿入物の形状として、直線状、ジグザグ状、らせん状、多角柱状、円筒状、円柱状等が挙げられており、板状の挿入物の形状として、タンザク状、ジグザグ状、らせん状等が記載されている。さらに、板状の挿入物が完全な板状である必要はなく網状等であってもよい旨も記載されている。
かかる特許文献1、2の技術を採用すれば、メタクリル酸の製造の際に、伝熱管における触媒層閉塞トラブルを防止する効果が得られるのであるが、メタクリル酸をより長期間安定して生産するためには、さらに効率よく原料ガスを加熱する方法が求められている。
特開平2−22242号公報 特開平1−165543号公報
本発明は上記事情に鑑み、原料ガスをより効率良く加熱できる多管式反応器用伝熱管を提供することを目的とする。
第1発明の多管式反応器用伝熱管は、一端にガス流入口、他端にガス排出口、両端間に触媒が充填された触媒層、を有する伝熱管であって、前記ガス流入口と前記触媒層との間に、軸方向に長い内挿物が設けられており、該内挿物は、棒状部と、該棒状部の側面に設けられた螺旋状部とからなることを特徴とする。
第2発明の多管式反応器用伝熱管は、第1発明において、前記内挿物は、その軸方向の投影面積を該伝熱管の空間断面積によって除した値が、0.80〜0.99となるように形成されていることを特徴とする。
第3発明の多管式反応器用伝熱管は、第1または第2発明において、前記内挿物は、前記螺旋状部のピッチが、50mm以下であることを特徴とする。
第4発明の多管式反応器用伝熱管は、第1、2または第3発明において、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール又はその混合物を、気相において分子状酸素を含有するガスにより酸化して、(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する固定床反応器に用いられることを特徴とする。
第1発明によれば、内挿物を伝熱管内に配置すれば、内挿物の軸状部が伝熱管の中心近傍に配置され、螺旋状部が軸状部と伝熱管管壁との間に配置される。すると、ガスは螺旋状部に沿って流れるので、内挿物を挿入したことによるガスの流動抵抗を抑えつつ、ガスと管壁との接触性を向上させることができる。よって、熱交換効率を大幅に上昇させることができ、短期間でガスの温度を上昇させることができる。そして、短期間でガスの温度を上昇させることができれば、ガス流入口から触媒層までの距離を短くすることができるから、伝熱管を短くしたり、充填する触媒の量を増加させたりすることができる。
第2発明によれば、内挿物の軸方向の投影面積を伝熱管の空間断面積によって除した値が0.80〜0.99となるように形成されているから、内挿物を挿入したことによるガスの流動抵抗の増加による閉塞を防ぎつつ、熱交換率を向上させることができる。
第3発明によれば、熱交換率を向上させることができる。
第4発明によれば、ガス流入口から触媒層までの距離を短くして、伝熱管に充填する触媒の量を増加させることができるから、触媒の寿命を長くすることができる。よって、(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸の生産効率を向上できるとともに、ランニングコストを抑えることができる。
(A)は本実施形態の内挿物10を配置した伝熱管Pの部分概略説明図であり、(B)は内挿物10の部分拡大説明図である。 本実施形態の内挿物10を挿入した伝熱管Pの概略断面図である。 (A)は多管式反応器Tの概略説明図であり、(B)は伝熱管P(内挿物なし)の概略説明図である。 本実施例の計算モデルおよび比較例の計算モデルの概略説明図である。 内挿物による原料ガス温度上昇効果の数値シミュレーション結果を示した図である。 内挿物による原料ガス温度上昇効果を実験した結果を示した図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の多管式反応器用伝熱管は、触媒が充填された伝熱管に、触媒に供給される前の反応ガスを加熱するための内挿物を配置したものであり、内挿物の形状に特徴を有するものである。
まず、本発明の特徴である内挿物を説明する前に、図3に基づいて、多管式反応器および伝熱管Pを説明する。
図3において、符号Tは多管式反応器を示している。図3に示すように、この多管式反応器Tには、多数の伝熱管Pが設けられている。各伝熱管Pは、両端が開口した中空な管であり、その内部に固定床触媒が充填されて触媒層Cが形成されている。
かかる多数の伝熱管Pは、多管式反応器T内において、多管式反応器Tに供給された原料ガスBRGが伝熱管Pの一端から進入し、この原料ガスBRGが伝熱管P内の触媒により反応して生成した目的物質ARGが伝熱管Pの他端から流出するように構成されている。
また、多管式反応器Tにおける伝熱管Pの周囲には、加熱された亜硝酸ナトリウムや硝酸カリウム等の液体(HTS)が供給されており、このHTSによって、反応時の発熱を除熱するとともに、原料ガスBRGの予熱を行うことができるようになっている。
このため、多管式反応器Tに原料ガスBRGを供給すれば、原料ガスBRGが予熱され、予熱された原料ガスBRGが触媒により反応して目的物質ARGが生成され、この目的物質ARGを多管式反応器Tから排出できるのである。
つぎに、本発明の特徴である内挿物10について説明する。
本発明の多管式反応器用伝熱管P(以下、単に本発明の伝熱管Pという)では、原料ガスBRGの予熱を、原料ガスBRGの流入するガス流入口と触媒層Cとの間で行うように構成されている。具体的には、原料ガスBRGの流入するガス流入口と触媒層Cとの間に空間を形成し、この空間(以下、予熱層という)において原料ガスBRGの予熱を行っている。そして、本発明の伝熱管Pでは、原料ガスBRGの予熱効果を高めるために、予熱層に内挿物10が挿入されている。
図1に示すように、本発明の伝熱管Pに挿入されている内挿物10は、軸方向に長い棒状部11と、この棒状部11の側面に形成された螺旋状部12とを備えている。螺旋状部12は、線材を棒状部11の側面に巻き付けることによって形成されており、棒状部11に溶接によって固定されている。
なお、螺旋状部12を形成する方法とくに限定されず、線材以外の部材、例えば、板状の部材や角状の部材を棒状部11の側面に巻き付ける等の方法によって形成してもよい。
この内挿物10は、その棒状部11の一端が触媒層Cの上に載った状態となるように配置されている。つまり、内挿物10は、伝熱管Pに対して連結固定されていない状態で予熱層に配置されているのである。
以上のごとき構成であるから、内挿物10が予熱層に配置されている本発明の伝熱管Pでは、内挿物10の影響によって、ガス流入口から触媒層Cまでの流れが変化する。つまり、内挿物10の軸状部11が伝熱管Pの中心近傍に配置され、螺旋状部12が軸状部11と伝熱管Pの管壁との間に配置されるから、伝熱管Pに流入した原料ガスBRGは、伝熱管Pの軸方向と平行には流れず、軸状部11と伝熱管Pの管壁との間を螺旋状部12に沿って流れる。すると、高温となっている伝熱管Pの管壁近傍を原料ガスBRGが流れるので、原料ガスBRGの予熱を効率よく行うことができる。しかも、原料ガスBRGは螺旋状部12に沿って流れるから、内挿物10を挿入したことによる原料ガスBRGの流動抵抗を抑えることができる。
つまり、本発明の伝熱管Pでは、原料ガスBRGの流動抵抗を抑えつつ、原料ガスBRGと管壁との接触性を向上させることができるから、原料ガスBRGと伝熱管Pの管壁との間の熱交換効率を大幅に上昇させることができ、短期間で原料ガスBRGの温度を上昇させることができるのである。
そして、短期間で原料ガスBRGの温度を上昇させることができれば、ガス流入口から触媒層Cまでの距離を短くすることができるから、伝熱管Pを短くして多管式反応器Tを小型化することも可能となる。また、伝熱管Pの長さが同じであれば、予熱層が短くなるので、充填する触媒の量を増加させることができる。
なお、本発明の伝熱管Pに挿入される内挿物10は、上記形状を有し、伝熱管Pの予熱層に配置できるのであれば、その大きさはとくに限定されない。
しかし、内挿物10は、その軸方向の投影面積を伝熱管Pの空間断面積(伝熱管Pの中空部分(ガス流路)の断面積)によって除した値が、0.80〜0.99となるように形成されていれば、原料ガスBRGがスムースに流動するための十分な空間が維持できる。すると、内挿物10を挿入したことによるガスの流動抵抗の増加による閉塞を防ぎつつ、熱交換率を向上させることができる。
また、内挿物10の螺旋状部12のピッチa(図1(A)参照)はとくに限定されないが、ピッチaが大きすぎると、原料ガスBRGが予熱層を速く通過してしまい、十分に熱交換が行われない可能性がある。
よって、螺旋状部12のピッチaは50mm以下とすることが好ましく、かかるピッチaであれば、原料ガスBRGが予熱層を通過する時間を十分にとることができるから、熱交換率を向上させることができる。
((メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸の製造への使用)
また、本実施形態の伝熱管Pは、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール又はその混合物を、気相において分子状酸素を含有するガスにより酸化して、(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する固定床反応器に用いれば、(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸の生産効率を向上できるとともに、ランニングコストを抑えることができるので、好適である。
本実施形態の伝熱管Pを使用することにより、(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸の生産効率を向上できるとともに、ランニングコストを抑えることができる理由は、以下のとおりである。
(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸を製造する際に使用される触媒は、伝熱管Pに充填する触媒の量が増加すると触媒の寿命を長くできるという特性を有している。
本実施形態の伝熱管Pの場合、ガス流入口から触媒層Cまでの距離を短くしても、触媒層Cに流入する原料ガスBRGの温度を適切な温度まで予熱できるから、予熱層の長さを短くして触媒層Cの長さを長くできる。言い換えれば、伝熱管Pに充填する触媒の量を増加させることができる。
よって、本実施形態の伝熱管Pを使用すれば、伝熱管Pに充填する触媒の量を増加させることができ触媒の寿命を長くすることができるから、アクロレインやアクリル酸の生産効率を向上できるとともに、ランニングコストを抑えることができるのである。
本発明の多管式反応器用伝熱管を使用することによる、原料ガスの予熱効果を数値シミュレーションによって確認した。
数値シミュレーションでは、伝熱管の予熱層に、本発明の内挿物(棒状部と螺旋状部を有するもの)を挿入した場合について、棒状部の径と螺旋状部のピッチを変化させて、予熱層内における原料ガスの温度変化を計算した。比較として、内挿物として波板を配置した場合についても、予熱層内における原料ガスの温度変化を計算した。
シミュレーションは、シミュレーションソフト(Fluent Ver6.3.26)により、二次元軸対称もしくは三次元モデルを使用して、原料ガスが非圧縮性流体であると仮定して、定常計算を行った。なお、乱流モデルは、k-omega(SST)modelを使用した。
以下、その他の計算条件を説明する。
(1)原料ガスに関する条件
(i)原料ガスは、メタクロレイン、酸素、窒素等の混合ガスとし、そのガス物性は、270℃での推算データとして、以下の値を用いた。
ガスの密度:0.6517kg/m
ガスの粘度:2.646×10−5Pa・s
ガスの比熱:1188J/(kg・K)
ガスの熱伝導度:0.0414W/(m・K)
(ii)原料ガスの入口条件
ガスの流量:0.0004954kg/s(23NL/分)
ガス入口温度:250℃
(2)触媒層に関する条件
触媒層は、以下の物性を有する固体を仮定した。
密度:7930 kg/m
比熱:590J/(m・K)
熱伝導度:16.7W/(m・K)
(3)伝熱管に関する条件
伝熱管材料:SUS304
伝熱管内径:25mm
伝熱管板厚:1.0mm
予熱層の長さ:315mm
予熱層の壁面温度:280℃
(4)内挿物に関する条件
(i)本実施例
本実施例の内挿物は、棒状部の側面に線材を螺旋状に巻き付けた構造とした。また、内挿物は、その棒状部の中心軸と伝熱管の中心軸とが一致した状態で配置されている状態を仮定した(図4(A)参照)。
なお、本実施例の内挿物は、棒状部、螺旋状部の組み合わせを変化させて、4パターンの内挿物について計算を行っている。
a.棒状部
材料:SUS304
長さ:215mm
軸径d1:11.6mm、13.6mm、14.6mm
b.螺旋状部
材料:SUS304
長さ:215mm
直径:5.0mm
ピッチ:12.5mm、25.0mm
(ii)比較例
比較例の内挿物は、板材を折り曲げて形成された波板構造とした。また、内挿物は、その中心軸と伝熱管の中心軸と棒状部の中心軸が一致した状態で配置されている状態とした(図4(B)参照)。
材料:SUS304
全長:215mm
板材の幅:17.0mm
折り曲げピッチ:34.0mm
折り曲げ角度:90°
なお、内挿物の物性には、本実施例、比較例ともに、20℃における物性値を使用した。
結果を、図5に示す。なお、図5のグラフは、予熱層深さ(ガス流入口からの距離)を横軸、ガス温度を縦軸としている。
図5に示すように、本実施例の内挿物では、ケース2(軸径d1:13.6mm(直径d2:23.6mm)、ピッチ: 25.0mm)、ケース3(軸径d1:13.6mm(直径d2:23.6mm)、ピッチ:12.5mm)、ケース4(軸径d1:13.6mm(直径d2:24.6mm)、ピッチ:25.0mm)、ケース5(軸径d1:13.6mm(直径d2:22.6mm)、ピッチ: 25.0mm)について計算した。
各ケースは、ケース5を除き、その内挿物の軸方向の投影面積を伝熱管の空間断面積によって除した値が0.80〜0.99の範囲内であり、いずれも比較例(ケース1)に比べて、早期に原料ガスの温度を上昇させることができていることが確認できる。
一方、各パターン5は、その内挿物の軸方向の投影面積を伝熱管の空間断面積によって除した値が0.746であり上記範囲よりも小さくなるので、比較例と同等の温度上昇しか示さないことが確認できる。
以上の結果より、棒状部の側面に線材を螺旋状に巻き付けた構造とした本実施例の内挿物は、その軸方向の投影面積を伝熱管の空間断面積によって除した値が、0.80〜0.99の範囲内であれば、原料ガスの温度を上昇させる効果が高いことが確認できた。
本発明の多管式反応器用伝熱管を使用することによる、原料ガスの予熱効果を実験により確認した。
実験では、伝熱管の予熱層に、本発明の内挿物(棒状部と螺旋状部を有するもの)を挿入した場合(本実施例)、内挿物として波板を配置した場合(比較例1)、内挿物を配置しない場合(比較例2)、の3パターンについて、予熱層内における原料ガスの温度変化を計算した。
実験に使用した伝熱管、内挿物および原料ガスは、以下のとおりである。
なお、実験では、伝熱管の周囲にHTSを流しており、その温度は280℃としている。
(1)原料ガス(メタクロレイン、酸素、窒素等の混合ガス)
ガスの流量:1400NL/hr
ガス入口温度:236.5℃
(2)伝熱管
伝熱管材料:SUS304
伝熱管内径:25mm
伝熱管板厚:1.0mm
伝熱管の長さ:3m
予熱層の長さ:315mm
予熱層の壁面温度:280℃
(3)内挿物に関する条件
(i)本実施例
本実施例の内挿物は、棒状部の側面に線材を螺旋状に巻き付けた構造としたものであり、その直径(図2、図4(A)参照)。
a.棒状部
材料:SUS304
長さ:200mm
軸径d1:12.5mm
b.螺旋状部
材料:SUS304
直径:5mm
ピッチ:50mm
(ii)比較例1
比較例1の内挿物は、板材を折り曲げて形成された波板構造としたものである(図4(B)参照)。
材料:SUS304
全長:300mm
板材の幅:17mm
折り曲げピッチ:34mm
折り曲げ角度:90°
結果を、図6に示す。なお、図6(B)のグラフは、予熱層深さを横軸、ガス温度を縦軸としている。
図6に示すように、本実施例の内挿物を配置すると、比較例1の内挿物を配置した場合および内挿物を配置しない場合に比べて、早期に原料ガスの温度を上昇させることができていることが確認できる。
また、比較例1の内挿物と比べても、同じ温度となる距離(ガス流入口からの距離)を比較した場合、大幅にその距離を短くできていることが確認できる。
以上の結果より、棒状部の側面に線材を螺旋状に巻き付けた構造とした本実施例の内挿物は、原料ガスの温度を早期に上昇させる上で有効であることが確認できた。
本発明の多管式反応器用伝熱管は、(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸の生産に使用する触媒のように、伝熱管に充填する触媒の量を増加させることによって触媒の寿命を長くすることができるような固定床触媒等を使用して目的物質を生成する固定床反応器の伝熱管に適している。
10 内挿物
11 棒状部
12 螺旋状部
P 伝熱管
C 触媒層
BRG 原料ガス
ARG 目的物質

Claims (4)

  1. 一端にガス流入口、他端にガス排出口、両端間に触媒が充填された触媒層、を有する伝熱管であって、
    前記ガス流入口と前記触媒層との間に、軸方向に長い内挿物が設けられており、
    該内挿物は、
    棒状部と、該棒状部の側面に設けられた螺旋状部とからなる
    ことを特徴とする多管式反応器用伝熱管。
  2. 前記内挿物は、
    その軸方向の投影面積を該伝熱管の空間断面積によって除した値が、0.80〜0.99となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の多管式反応器用伝熱管。
  3. 前記内挿物は、
    前記螺旋状部のピッチが、50mm以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の多管式反応器用伝熱管。
  4. プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール又はその混合物を、気相において分子状酸素を含有するガスにより酸化して、(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する固定床反応器に用いられる
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の多管式反応器用伝熱管。
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