JP2011104213A - 椅子 - Google Patents

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Kiyoshi Iida
飯田  潔
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Abstract

【課題】使用者の体型や好みに広く対応することのできる椅子を提供する。
【解決手段】この椅子は、座面部10の前端から前後方向長さの1/3の位置よりも後端側に穴11が設けられ、穴11が座面部10の前端から前後方向長さの2/3の位置が含まれるように設けられるとともに、座面部10の幅寸法の2/3以上の幅寸法を有し、複数のエアーセル70が互いに略水平方向に並ぶように穴11内に設けられ、座面部10が木製であり、座面部10の上面がJIS−A硬度計で15°以上となっていることから、着座者が着座すると座骨結節の近傍が各エアーセル70によって軟らかく支持されるとともに、着座者の両大腿の近傍が座面部10の前端側によって支持され、着座者の両大腿の位置が安定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、休憩、食事、仕事等の時に使用する椅子に関するものである。
一般に、この種の椅子として、着座者の臀部を下方から支持する木製の座面部と、座面部を支持する複数の木製の脚と、座面部の後端側から上方に延びるように形成された木製の背凭れ部とを備え、座面部の上面を臀部の形状に沿わせて凹状に形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−119182号公報
ところで、椅子の使用者の体型は様々であり、体型に応じて臀部の圧力分布や姿勢の安定性が変化し、また、座り心地の良さは個人の好みによって異なる。
また、一般的に、図7の座面の圧力分布図に示されているように、座面部の上面が木製で硬い場合は主に座骨結節の近傍で体重が支えられ、姿勢の安定性が良好になるが、座骨結節の近傍に痛みを感じ易く、図8の座面の圧力分布図に示されているように、座面部の上面が軟らかいクッション等で構成されている場合は両大腿の下面に加わる圧力が高くなり、両大腿の下面に長時間に亘って圧力が加わると両大腿が鬱血して着座者が疲れを感じるという傾向がある。
即ち、前記椅子では、座面部の上面を臀部の形状に沿わせて凹状に形成して座り心地や臀部の圧力分布の改善を試みているが、使用者の体型や個人の好みに広く対応することはできず、一部の体型や好みの合う使用者だけが座り心地が良いと感ずるという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用者の体型や好みに広く対応することのできる椅子を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、着座者の臀部を下方から支持する座面部と、座面部を支持する脚と、座面部の後端側から上方に延びるように形成された背凭れ部とを備えた椅子において、前記座面部の前端から前後方向長さの1/3の位置より後端側に設けられ、且つ、座面部の前端から前後方向長さの2/3の位置が含まれるように設けられ、座面部の幅寸法の2/3以上の幅寸法を有する穴と、互いに略水平方向に並ぶように穴内に設けられた複数のエアーセルと、各エアーセル内の空気量を調整可能な空気量調整手段とを備え、座面部における穴の前側の上面をJIS−A硬度計で15°以上となるように形成している。
これにより、座面部の前端から前後方向長さの1/3の位置よりも後端側に穴が設けられ、穴が座面部の前端から前後方向長さの2/3の位置が含まれるように設けられるとともに、座面部の幅寸法の2/3以上の幅寸法を有し、複数のエアーセルが互いに略水平方向に並ぶように穴内に設けられ、座面部における穴の前側の上面がJIS−A硬度計で15°以上となるように形成されていることから、着座者が着座すると座骨結節の近傍が各エアーセルによって柔らかく支持されるとともに、着座者の両大腿の近傍が座面部の前端側によって支持され、着座者の両大腿の位置が安定する。また、各エアーセル内の空気量を調整可能であることから、例えば各エアーセル内の空気量を低減することにより、着座者の両大腿の下面に加わる圧力が上昇して着座者の姿勢が安定し、各エアーセル内の空気量を増加することにより、着座者の両大腿の下面に加わる圧力が低減する。
本発明によれば、着座者が着座すると座骨結節の近傍が各エアーセルによって柔らかく支持されることから、座骨結節の近傍に痛みを感じ難くなり、また、着座者の両大腿の位置が安定することから、着座者の姿勢を安定させることができ、さらに、各エアーセル内の空気量を調整することにより、着座者の姿勢の安定性や両大腿の下面に加わる圧力を調整することができるので、使用者の体型や好みに広く対応することができる。
本発明の一実施形態を示す椅子の平面図 図1におけるA−A線断面図 椅子の側面図 椅子の要部側面断面図 椅子の要部側面断面図 本実施形態の変形例を示す椅子の要部側面断面図 座面の圧力分布図 座面の圧力分布図
本発明の一実施形態を図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、以下の説明中の方向の説明は図1及び図2に示した方向に準ずる。また、座面部左右方向は座面部幅方向と一致している。
この椅子は、着座者の臀部を下方から支持する座面部10と、座面部10を支持する複数の木製の脚20と、座面部10の後端側から上方に延びるように形成された背凭れ部30とを備えている。
座面部10は略水平方向に延びる木製の板状部材から成り、その前端から前後方向長さLの1/3の位置より後端側に穴11が設けられている(図1参照)。穴11は座面部10を上下方向に貫通しており、座面部10の前端から前後方向長さLの2/3の位置が含まれるように設けられている(図1参照)。また、穴11は座面部10の幅寸法Wの2/3以上の幅寸法W1を有し、座面部10の前後方向寸法の1/4以上の前後方向寸法L1を有する。穴11の縁の上端側11aは曲面状に形成されている。
座面部10の下方には略水平方向に延びる平板状に形成された木製の支持板40が設けられ、支持板40は各脚20によって支持されている。また、支持板40の上面と座面部10の下面との間には所定の隙間が設けられている。
背凭れ部30は、互いに座面部10の幅方向に間隔をおいて設けられるとともにそれぞれ上下方向に延びるように設けられた複数の木製のフレーム31と、該複数のフレーム31によって支持されている上端部材32と、座面部幅方向一対の肘掛け33とを有する。各フレーム31は円柱状に形成され、下端側が座面部10及び支持板40によって支持されている。また、各フレーム31のうち座面部10の幅方向の略中央に配置された2本は互いに座面部10の幅方向に所定の間隔をおいて配置され、該2本のフレーム31によって複数の背面支持エアーセル50が支持されている。各背面支持エアーセル50は互いに上下方向に並ぶように配置されるとともに、座面部10の幅方向の略中央に配置されている。また、各フレーム31のうち座面部10の右方向に配置された2本のフレーム31によって2つの腰部支持エアーセル60のうちの一方が支持され、各フレーム31のうち座面部10の左方向に配置された2本のフレーム31によって他方の腰部支持エアーセル60が支持されている。上端部材32は座面部10の幅方向に延びる木製の円柱状部材から成る。
背面支持エアーセル50は、一端に開口部を有し、内部に空気を封入可能に形成された空気袋51と、空気袋51の開口部を閉鎖するように設けられたベース部材52とを有する。空気袋51はゴムや可撓性を有するプラスチックから成る。ベース部材52は座面部10の前後方向に延びる円柱状に形成され、その軸方向中央部の外周面に全周に亘って凹状部52aを有する。この凹状部52a内に前記2本のフレーム31が嵌め込まれることにより、各背面支持エアーセル50が前記2本のフレーム31に支持されている。また、前記2本のフレーム31はベース部材52の凹状部52a内に嵌め込まれているだけなので、各背面支持エアーセル50の上下方向の位置を容易に変更することが可能である。また、各背面支持エアーセル50の空気袋51はベース部材52から座面部10の前方に延びるように設けられている。
腰部支持エアーセル60は、一端に開口部を有し、内部に空気を封入可能に形成された空気袋61と、空気袋61の開口部を閉鎖するように設けられたベース部材62とを有する。空気袋61はゴムや可撓性を有するプラスチックから成る。ベース部材62は座面部10の幅方向の両側にそれぞれ凹状部62aを有し、この凹状部62a内に前記2本のフレーム31が嵌め込まれることにより、腰部支持エアーセル60が前記2本のフレーム31に支持されている。また、前記2本のフレーム31はベース部材62の凹状部62a内に嵌め込まれているだけなので、各腰部支持エアーセル60の上下方向の位置を容易に変更することができる。また、各腰部支持エアーセル60の空気袋61はベース部材62から座面部10の前方に延びるように設けられている。
また、座面部10の穴11内には互いに略水平方向に並ぶように複数のエアーセル70が設けられている。各エアーセル70はゴムや可撓性を有するプラスチックから成り、下端が開口するとともに内部に空気を封入可能な袋状に形成され、下端の開口部がそれぞれ平板状のベース部材71によって閉鎖されるとともに支持されている。ベース部材71は支持板40によって支持され、ベース部材71内には各エアーセル70の内部に連通している空気通路71aが設けられている。また、支持板40の下面には周知の電動エアーポンプや電磁弁を用いて構成された空気量調整装置80が取付けられ、空気量調整装置80と空気通路71aとが図示しない可撓性の管によって接続されている。即ち、空気量調整装置80によって各エアーセル70内の空気量が調整されるようになっている。
また、空気通路71aは図1に示す第1グループG1の各エアーセル70内の空気量と第2グループG2の各エアーセル70内の空気量を別々に調整できるように構成されている。第1グループG1の各エアーセル70は全体的に座面部10の右側に配置されており、第2グループG2の各エアーセル70は全体的に座面部10の左側に配置されている。さらに、空気量調整装置80は図示しない可撓性の管によって各背面支持エアーセル50及び各腰部支持エアーセル60にも接続され、空気量調整装置80によって各エアーセル50,60内の空気量がそれぞれ調整されるようになっている。また、各エアーセル70はそれぞれベース部材71の上面側から上方に向かって延びるように形成されるとともに、穴11を下方から挿通している。また、各エアーセル70の内部の相対気圧が外気圧に対して2kPaとなり且つ無負荷の時に、各エアーセル70の上端側が座面部10の上面よりも上方に位置するように構成されている。
以上のように構成された椅子は、図5に示すように、各エアーセル70内に空気が供給されると、各エアーセル70が膨らみ、各エアーセル70の上端が座面部10の上面よりも上方に位置する。また、座面部10の前端から前後方向長さLの1/3の位置よりも後端側に穴11が設けられ、穴11が座面部10の前端から前後方向長さLの2/3の位置が含まれるように設けられるとともに、座面部10の幅寸法Wの2/3以上の幅寸法W1を有し、複数のエアーセル70が互いに略水平方向に並ぶように穴11内に設けられ、座面部10が木製であり、座面部10の上面がJIS−A硬度計で15°以上となっていることから、着座者が着座すると座骨結節の近傍が各エアーセル70によって軟らかく支持されるとともに、着座者の両大腿の近傍が座面部10の前端側によって支持され、着座者の両大腿の位置が安定する。ここで、座面部10の前端から前後方向長さLの1/3の位置よりも後端側に穴11を設け、穴11が座面部10の前端から前後方向長さLの2/3の位置が含まれるように設けられ、座面部10の幅寸法Wの2/3以上の幅寸法W1を持っていれば、座面部10の大きさが多少異なる場合でも、大抵の使用者の座骨結節の近傍が穴11内に配置される。出願人はこのことを経験から見出すことができた。尚、着座者が着座することにより、各エアーセル70のうち一部または前部の上端が座面部の上面より下方に位置することがあるのは言うまでもない。
また、各エアーセル70内の空気量を調整可能であることから、例えば各エアーセル70内の空気量を低減することにより、着座者の両大腿の下面に加わる圧力が上昇して着座者の姿勢が安定し、各エアーセル70内の空気量を増加することにより、着座者の両大腿の下面に加わる圧力が低減する。
このように、本実施形態によれば、着座者が着座すると座骨結節の近傍が各エアーセル70によって軟らかく支持されることから、座骨結節の近傍に痛みを感じ難くなり、また、着座者の両大腿の位置が安定することから、着座者の姿勢を安定させることができ、さらに、各エアーセル70内の空気量を調整することにより、着座者の姿勢の安定性や両大腿の下面に加わる圧力を調整することができるので、使用者の体型や好みに広く対応することができる。
また、各エアーセル70が全体的に座面部10の右側に配置された複数のエアーセル70から成る第1グループG1と全体的に座面部10の左側に配置された複数のエアーセル70から成る第2グループG2とに分けられ、空気量調整装置80によって各エアーセル70内の空気量をグループごとに調整可能であることから、座骨結節の近傍に加わる圧力を左右交互に所定時間ごとに除去または低減することができ、長時間に亘って着座する場合の座り心地を向上する上で極めて有利である。
また、背凭れ部30における座面部10の幅方向の略中央部に互いに上下方向に並ぶように複数の背面支持エアーセル50を設け、各背面支持エアーセル50内の空気量を調整可能に構成したので、着座者の脊椎が各背面支持エアーセル50によって後方から軟らかく支持される。ここで、脊椎の近傍は着座者の背面において圧力が高くなり易いので、着座者の脊椎を各背面支持エアーセル50のよって軟らかく支持することにより、座り心地を向上することが可能となる。
また、各背面支持エアーセル50はそれぞれ上下方向の位置を調整可能であり、各背面支持エアーセル50内の空気量を調整可能であることから、着座者の体型や好みに合わせて各背面支持エアーセル50の上下方向の位置を設定することができ、座り心地を向上する上で極めて有利である。
また、背凭れ部30に座面部幅方向一対の腰部支持エアーセル60を設け、各腰部支持エアーセル60内の空気量を調整可能に構成したので、着座者の腰部が各腰部支持エアーセル60によって後方から軟らかく支持され、各腰部支持エアーセル60による腰部の支持状態を調整することができ、座り心地を向上することが可能となる。
また、各腰部支持エアーセル60はそれぞれ上下方向の位置を調整可能であることから、着座者の体型や好みに合わせて各腰部支持エアーセル60の上下方向の位置を設定することができ、座り心地を向上する上で極めて有利である。
尚、本実施形態では、木製の椅子に穴11、各エアーセル70、各背面支持エアーセル50及び各腰部支持エアーセル60を設けたものを示したが、金属、プラスチック、布、ゴム状弾性を有するクッション材、スポンジ状部材等を用いた事務机用椅子や食卓用椅子等に穴、穴内の複数のエアーセル、複数の背面支持エアーセル及び一対の腰部支持エアーセルを設けることも可能である。この場合でも、座面部の上面における穴の前側の大腿支持範囲(図1における斜線を施した範囲)がJIS−A硬度で15°以上であれば前述と同様の作用効果を達成可能である。
尚、本実施形態では、座面部10を上下方向に貫通するように穴11を設け、支持板40によって各エアーセル70及びベース部材71を支持するものを示した。これに対し、図6に示すように、座面部10の一部を下方に向かって凹状に形成することにより穴11を形成し、ベース部材71を穴11の底面によって支持することも可能である。この場合でも前述と同様の作用効果を達成可能である。
10…座面部、11…穴、20…脚、30…背凭れ部、40…支持板、50…背面支持エアーセル、60…腰部支持エアーセル、70…エアーセル、71…ベース部材、80…空気量調整装置、G1…第1グループ、G2…第2グループ。

Claims (6)

  1. 着座者の臀部を下方から支持する座面部と、座面部を支持する脚と、座面部の後端側から上方に延びるように形成された背凭れ部とを備えた椅子において、
    前記座面部の前端から前後方向長さの1/3の位置より後端側に設けられ、且つ、座面部の前端から前後方向長さの2/3の位置が含まれるように設けられ、座面部の幅寸法の2/3以上の幅寸法を有する穴と、
    互いに略水平方向に並ぶように穴内に設けられた複数のエアーセルと、
    各エアーセル内の空気量を調整可能な空気量調整手段とを備え、
    座面部における穴の前側の上面をJIS−A硬度計で15°以上となるように形成した
    ことを特徴とする椅子。
  2. 前記複数のエアーセルを座面部幅方向の一方側に配置された複数のエアーセルから成る第1グループと座面部幅方向の他方側に配置された複数のエアーセルから成る第2グループとに分け、
    前記空気量調整手段を、各エアーセル内の空気量をグループごとに調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項1に記載の椅子。
  3. 前記背凭れ部における座面部幅方向の略中央部に互いに上下方向に並ぶように
    複数の背面支持エアーセルを設け、
    前記空気量調整手段を、各背面支持エアーセル内の空気量を調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の椅子。
  4. 前記各背面支持エアーセルの上下方向の位置を調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項3に記載の椅子。
  5. 前記背凭れ部に座面部幅方向一対の腰部支持エアーセルを設け、
    前記空気量調整手段を、各腰部支持エアーセル内の空気量を調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4の何れかに記載の椅子。
  6. 前記各腰部支持エアーセルの上下方向の位置を調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項5に記載の椅子。
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