JP2011102715A - コリオリ質量流量計 - Google Patents

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Kenichi Narukawa
健一 成川
Mitsuhisa Sato
満久 佐藤
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Abstract

【課題】本発明は、比較的安価なAD変換器を使用しながらも、簡単な回路の追加によって、高精度のコリオリ質量流量計を実現することを目的とする。
【解決手段】本発明は、等周期のクロック信号を発生するクロック発生部と、このクロック発生部のクロック信号を入力し、このクロック信号に対して所定の遅延量を与えたタイミング信号を出力するタイミング発生部と、前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号を入力し、前記タイミング発生部からのタイミング信号に基づくタイミングで、前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号のレベルをサンプルして保持し、そのレベルを出力するサンプルホールド回路と、前記クロック発生部が出力するクロック信号に基づき、前記サンプルホールド回路の出力をアナログデジタル変換するAD変換器と、このAD変換器の出力に基づき、前記被測定流体の質量流量を演算する演算部と、を備えたことを特徴とするコリオリ質量流量計。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定流体が流れる両端が固定された流体管を振動させ、この振動により生じるコリオリ力を前記流体管の上流側と下流側に設置した振動検出器で検出して前記被測定流体の質量流量を測定するコリオリ質量流量計に関する。更に詳しくは、流量の測定精度を向上させるための改善を施したコリオリ質量流量計に関するものである。
コリオリ質量流量計は、両端を固定した直管型やU字管型等の流体管内に被測定流体を流し、流体管の中央地点に取り付けられた励振装置により流体管を振動させ、流体管の上流側と下流側の対称位置に取り付けられた振動検出部で流体管の振動を検出し、この上流側と下流側の振動の位相差を用いて質量流量を測定する装置である。
従来のコリオリ質量流量計の構成を、図面を用いて説明する。図3は従来のコリオリ質量流量計の例を示す。この図では位相差の測定部の構成を示す。
振動をアナログの電気信号として出力する2つのセンサ11とセンサ12は、図示しない流体管のそれぞれ上流側および下流側に取り付けられている。
上流側に取り付けられた、センサ11の出力は、抵抗R1とコンデンサC1により形成されるローパスフィルタ21に入力される。
ローパスフィルタ21の抵抗R1の一端はセンサ11の出力を入力し、抵抗R1の他端は、ローパスフィルタ21のコンデンサC1の一端と接続されているとともに、ローパスフィルタ21の出力となる。コンデンサC1の他端は接地されている。
アンプ23はローパスフィルタ21の出力を増幅して出力する。アンプ25は、一方の入力端からアンプ23の出力を、もう一方の入力端からオフセット電圧(Voffset)を入力し、アンプ23の出力とオフセット電圧を加算した電圧を出力する。
アンチエリアシングフィルタ27は抵抗R2とコンデンサC2により形成され、アンプ25の出力を入力する。
アンチエリアシングフィルタ27の抵抗R2の一端はアンプ25の出力を入力し、抵抗R2のもう一端はアンチエリアシングフィルタ27のコンデンサC2の一端と接続されているとともに、ローパスフィルタ27の出力となる。コンデンサC2のもう一方の端は接地されている。
下流部側の回路を構成する、センサ12と、抵抗R1と、コンデンサC1と、ローパスフィルタ22と、アンプ24と、アンプ26と、抵抗R2と、コンデンサC2と、アンチエリアシングフィルタ28と、はそれぞれ上流側の、センサ11と、抵抗R1と、コンデンサC1と、ローパスフィルタ21と、アンプ23と、アンプ25と、抵抗R2と、コンデンサC2と、アンチエリアシングフィルタ27と、同一の構成をとるので、説明を省略する。
クロック発生器29は、予め決まった等周期でクロック信号を出力する。
AD変換器30は、クロック発生器29と、上流側のアンチエリアシングフィルタ27の出力と、下流側のアンチエリアシングフィルタ28の出力と、に接続されており、クロック発生器29のクロック信号に基づいたタイミングにより、上流側のアンチエリアシングフィルタ27の出力と、下流側のアンチエリアシングフィルタ28の出力をアナログデジタル変換し出力する。
信号処理部31はAD変換器30の出力を入力し、この入力に基づいて流体管に流れる流体の質量流量を演算する。
次に、このような装置の動作例を説明する。
図示しない流体管に測定流体が流され、流体管の中央部に位置する図示しない励振装置によって流体管に振動が加えられる。
上流側では、流体管の振動が上流側のセンサ11により正弦波の電気信号に変換され、ローパスフィルタ21が、この電気信号の高周波のノイズ成分を低減し出力する。アンプ23は、ローパスフィルタ21の出力を増幅して出力する。アンプ25は、アンプ23の出力とVoffsetの電圧とを加算し、出力する。エリアシングを防ぐ目的で設けられているアンチエリアシングフィルタ27は、アンプ25の出力のエリアシングノイズを低減し、出力する。
下流側においても、上流側と同様に、下流側のセンサ12から出力された正弦波の電気信号がローパスフィルタ22、アンプ24を経由して、アンプ26に入力され、下流側のアンチエリアシングフィルタ28に入力される。
AD変換器30は、クロック発生器29の出力するクロック信号に基づいて、アンチエリアシングフィルタ27、28をの出力をサンプリングし出力する。上流側と下流側の電気信号の正弦波の位相差は、流体管を流れる流体の質量流量に比例することがわかっているので、信号処理部31はAD変換器30の出力を入力し、上流側と下流側との電気信号の位相差を求め、流体管の質量流量を算出する。
特許文献1には、振動検出部で振動を検出し、AD変換器にてアナログデジタル変換を行い、質量流量を求める従来のコリオリ質量流量計の構成が記載されている。
特開平9−61214号公報
上流側と下流側で生じる電気信号の正弦波の位相差は、流体管を流れる流体の質量流量に比例する。そのため、流量が小さい場合には位相差も小さくなり、この小さい位相差を精度よく検出するためには、アナログデジタル変換における高いサンプリングタイミング精度が要求される。
しかしながら、従来からコリオリ質量流量計で使用される比較的安価なAD変換器は、アパチャジッタとAD変換時間を有しており、従来の構成で使用する場合には、位相差の小さい流量測定のタイミング精度を満たせない。アパチャジッタとは、入力クロック信号(例えばクロックの立ち上がりエッジ)に対するサンプリング開始タイミングの遅れ時間の周期毎の僅かなゆらぎである。つまり、AD変換の度にサンプリング開始タイミングの遅れ時間が僅かながら異なる可能性があることとなる。このアパチャジッタは、位相差が大きい場合には無視できるが、位相差が小さい場合には無視できない測定誤差として表れる。また、AD変換時間とは、AD変換器がアナログデジタル変換を開始してから終了するまでの時間のことで、AD変換器の個体間で僅かな差がある。位相差が大きい場合には無視できるこのAD変換時間の個体間で差も、位相差が小さい場合には無視できなくなる。
一方、このような比較的安価なAD変換器の代わりに、高タイミング精度のAD変換器を使用するという方法もあるが、そのようなAD変換器は高価であり、コスト面で製品の要求を満たせないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、比較的安価なAD変換器を使用しながらも、簡単な回路の追加によって、高精度のコリオリ質量流量計を実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
被測定流体が流れる両端が固定された流体管を振動させ、この振動により生じるコリオリ力を前記流体管の上流側と下流側に設置した振動検出器で検出して前記被測定流体の質量流量を測定するコリオリ質量流量計において、
等周期のクロック信号を発生するクロック発生器と、
このクロック発生部のクロック信号を入力し、このクロック信号に対して所定の遅延量を与えたタイミング信号を出力するタイミング発生部と、
前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号を入力し、前記タイミング発生部からのタイミング信号に基づくタイミングで、前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号のレベルをサンプルして保持し、そのレベルを出力するサンプルホールド回路と、
前記クロック発生部が出力するクロック信号に基づき、前記サンプルホールド回路の出力をアナログデジタル変換するAD変換器と、
このAD変換器の出力に基づき、前記被測定流体の質量流量を演算する演算部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、
前記タイミング発生部は、デューティー比が可変であるタイミング信号を出力することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明であって、
前記タイミング発生部は、前記サンプルホールド回路のアクイジション時間と、前記AD変換器のアパチャジッタと、前記AD変換器の変換時間と、を含むホールド時間を前記サンプルホールド回路に与えるように、前記デューティー比を規定することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明であって、
前記AD変換器は、逐次比較型AD変換器またはΔΣ方式AD変換器であることを特徴とする。
本発明によれば、流体管の上流側と下流側に設置した振動検出器が、流体管の振動を検出して出力し、クロック発生部がクロック信号を発生し、タイミング発生部がこのクロック信号に対してサンプルホールド回路のアクイジション時間とAD変換器のアパチャジッタとAD変換時間とを加味した所定の遅延量を与えたタイミング信号を発生し、サンプルホールド回路がタイミング信号に基づき振動検出器の出力レベルをサンプルして保持し、この出力レベルが保持されている間にAD変換器がアナログデジタル変換を行うので、AD変換器のタイミング精度低下の原因となるアパチャジッタとAD変換時間を、見かけ上無視できるようになる。したがって、高価なサンプリングタイミング精度の高いAD変換器を使用しなくとも、簡単な回路の追加によって精度の高いコリオリ流量計を実現することができる。
本発明の一実施例を示した構成図である。 図1に示す装置の特定の地点での信号波形を表した図である。 従来のコリオリ質量流量計の例を示した構成図である。
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示した構成図である。ここで図3と同一のものは、同一符号を付し、説明を省略する。タイミング発生回路40は、遅延コントローラ41と、ディユーティー比コントローラ42を有し、クロック発生器29の出力するクロック信号を入力してタイミング信号を出力する。
サンプルホールド回路43,44は、それぞれ上流側のアンプ23と下流側のアンプ24の出力を入力するとともに、タイミング発生回路40のタイミング信号を入力する。
サンプルホールド回路43,44は、タイミング発生回路40の出力であるタイミング信号に基づいて、アンプ23,24の出力レベルを保持し出力する。
アンプ25,26は、一方の入力端からそれぞれサンプルホールド回路43,44の出力を入力し、また他方の入力端から入力オフセット電圧(Voffset)を入力し、サンプルホールド回路43,44の出力とオフセット電圧を加算した電圧を出力する。
このような装置の動作を、図面を用いて説明する。センサ11と、フィルタ21と、アンプ23の動作は、図3の従来例の動作と同一であるので説明を省略する。
タイミング発生回路40は、クロック発生器29のクロック信号を入力する。タイミング発生回路の遅延コントローラ41が、このクロック信号に所定の遅延を付加したタイミング信号を発生させ、タイミング発生回路40の出力とする。デューティー比コントローラ44は、遅延コントローラ41の出力であるタイミング信号のデューティー比を変更し、タイミング発生回路40の出力とする。
上流側のサンプルホールド回路43は、アンプ23の出力を入力し、タイミング発生器40のタイミング信号がLレベルからHレベルへ変化するとき(立ち上がりエッジのタイミング)にアンプ23の出力レベルの保持(ホールド)を開始し、アクイジション時間(ホールドを開始してから安定したレベルを出力するまでの時間)を経て、Hレベルである間はアンプ23の出力レベルをホールドする。そして、タイミング信号がHレベルからLレベルへ変化するとき(立ち下がりエッジのタイミング)にホールドを終了し、Lレベルである間は、アンプ23の出力レベルをそのまま出力する。
アンプ25は、一端からサンプルホールド回路43の出力を入力し、他端からオフセット電圧Voffsetを入力し、サンプルホールド回路43の出力とVoffsetの電圧とを加算し、出力する。エリアシングを防ぐ目的で設けられているアンチエリアシングフィルタ27は、アンプ25の出力のエリアシングノイズを低減し、出力する。
下流側においても、上流側と同様に、下流側のセンサ12から出力された正弦波の電気信号がローパスフィルタ22、アンプ24、サンプルホールド回路44を経由して、アンプ26に入力され、下流側のアンチエリアシングフィルタ28に入力される。
AD変換器30は、クロック発生器29の出力するクロック信号に基づいて、アンチエリアシングフィルタ27、28の出力をサンプリングし出力する。上流側と下流側の電気信号の正弦波の位相差は、流体管を流れる流体の質量流量に比例することがわかっているので、信号処理部31はAD変換器30の出力を入力し、上流側と下流側との電気信号の位相差を求め、流体管の質量流量を算出する。
ここで、この装置の動作を上流側のタイミングに着目して説明する。
図2は、図1における(a)〜(d)の各地点の信号の波形を表している。すなわち、(a)はクロック発生器29の出力部、(b)はタイミング発生回路40の出力部、(c)はアンプ23の出力部、(d)はサンプルホールド回路43の出力部、における信号である。
クロック発生器29は、等周期のクロック信号(a)を発生し、AD変換器30は、このクロック信号のエッジが立ち上がるタイミング(t3)からAD変換器のアパチャジッタ分(Y)遅れてAD変換を開始し、その後、AD変換時間(Z)でアナログデジタル変換を終了する(t4)。したがって、クロック入力(t3)からアナログデジタル変換終了(t4)の間において、サンプルホールド回路からの出力レベルが一定であれば、AD変換器30は、アパチャジッタ(X)とAD変換時間(Z)の影響を受けずに入力信号をアナログデジタル変換することが可能となる。
つまり、タイミング発生回路40からのサンプルホールド回路への入力信号(b)のエッジが立ち上がる時間を「t1」、「t1」にアクイジション時間(X)を加算した時間を「t2」、AD変換器30に入力されるクロック信号の立ち上がりエッジを「t3」、「t3」にAD変換器30のアパチャジッタとAD変換時間分を加算した時間を「t4」とすると、
「t2<t3」かつ「t4<t5」・・・(1)
の条件が成り立つ場合に、AD変換器30は、自身のアパチャジッタとAD変換時間によるタイミング精度の影響を受けずに、入力信号をアナログデジタル変換することができる。
条件(1)を満たすためには、遅延コントローラ41がクロック信号に対する遅延量を調整してタイミング信号を発生してもよいし、デューティー比コントローラ42が遅延コントローラ41の出力のタイミング信号に対して、さらにデューティー比を調整して出力してもよい。
下流側についても、上流側同様の動作原理となる。
このように、図示しない流体管の上流側と下流側に設置したセンサ11,12が、流体管の振動を検出して出力し、クロック発生部29がクロック信号を発生し、タイミング発生部40がこのクロック信号に対して、サンプルホールド回路43,44のアクイジション時間とAD変換器30のアパチャジッタとAD変換時間とを加味した遅延量を与えたタイミング信号を発生し、サンプルホールド回路43,44が前記タイミング信号に基づきセンサ11,12の出力レベルをサンプルしてホールドし、この出力レベルがホールドされている間にAD変換器がアナログデジタル変換を行うので、AD変換器のタイミング精度低下の原因となるアパチャジッタとAD変換時間を、見かけ上無視できるようになる。このため、サンプリングタイミング精度が高く高価なAD変換器を使用しなくとも、簡単な回路の追加によって、精度の高いコリオリ流量計を実現することができる。
11,12 センサ
29 クロック発生器
30 AD変換器
31 信号処理部
40 タイミング発生回路
41 遅延コントローラ
42 デューティー比コントローラ
43,44 サンプルホールド回路

Claims (4)

  1. 被測定流体が流れる両端が固定された流体管を振動させ、この振動により生じるコリオリ力を前記流体管の上流側と下流側に設置した振動検出器で検出して前記被測定流体の質量流量を測定するコリオリ質量流量計において、
    等周期のクロック信号を発生するクロック発生器と、
    このクロック発生部のクロック信号を入力し、このクロック信号に対して所定の遅延量を与えたタイミング信号を出力するタイミング発生部と、
    前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号を入力し、前記タイミング発生部からのタイミング信号に基づくタイミングで、前記上流側と下流側に設置した振動検出器の出力信号のレベルをサンプルして保持し、そのレベルを出力するサンプルホールド回路と、
    前記クロック発生部が出力するクロック信号に基づき、前記サンプルホールド回路の出力をアナログデジタル変換するAD変換器と、
    このAD変換器の出力に基づき、前記被測定流体の質量流量を演算する演算部と、
    を備えたことを特徴とするコリオリ質量流量計。
  2. 前記タイミング発生部は、デューティー比が可変であるタイミング信号を出力することを特徴とする請求項1記載のコリオリ質量流量計。
  3. 前記タイミング発生部は、前記サンプルホールド回路のアクイジション時間と、前記AD変換器のアパチャジッタと、前記AD変換器の変換時間と、を含むホールド時間を前記サンプルホールド回路に与えるように、前記デューティー比を規定することを特徴とする請求項2記載のコリオリ質量流量計。
  4. 前記AD変換器は、逐次比較型AD変換器またはΔΣ方式AD変換器であることを特徴とする請求項1記載のコリオリ質量流量計。
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