JP3625966B2 - 周波数測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数測定装置に関し、詳しくは、被測定信号に含まれる高調波成分やノイズなどの不要成分を除去した後に被測定信号の基本波周波数を測定可能に構成された周波数測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の周波数測定装置として、図3に示す周波数カウンタ31(以下、「第1の周波数カウンタ」ともいう)が従来から知られている。この周波数カウンタ31は、複数のローパスフィルタLPF1〜LPFn(以下、区別しないときは、「ローパスフィルタLPF」という)と、切替スイッチ32と、コンパレータ6と、周期計測用カウンタ7と、コンパレータ6のマイナス入力部に接続され出力電圧を可変可能な基準電源9とを備えている。ここで、ローパスフィルタLPF1〜LPFnは、例えば、コイルとコンデンサとからなるLC型フィルタを1段または多段に接続してそれぞれ構成されており、図外のプローブを介して入力した被測定信号である入力信号に重畳している高調波成分やノイズを除去する。また、切替スイッチ32は、ローパスフィルタLPF1〜LPFnのいずれか1つを切り替えて選択することにより、選択したローパスフィルタLPFを介して入力信号をコンパレータ6に出力する。コンパレータ6は、ローパスフィルタLPFから出力された信号波形を整形するためのものであって、入力信号の電圧値が基準電源9の基準電圧を超えているときに矩形波であるパルス信号を出力する。また、周期計測用カウンタ7は、コンパレータ6から出力されるパルス信号の数をカウントすることにより、入力信号の基本波周波数の周期を演算する。
【0003】
次に、この周波数カウンタ31の使用方法について説明する。まず測定者は、入力信号の基本波成分が通過し、かつ高調波成分が除去されるように予測して、切替スイッチ32を切り替えることにより、ローパスフィルタLPFを選択する。次いで、ローパスフィルタLPFから出力される入力信号の信号レベルが基準電圧を横切ることによってコンパレータ6からパルス信号が出力されるように、基準電源9の基準電圧を調整する。この状態に設定されると、周波数カウンタ31内では、周期計測用カウンタ7が、図4(a)に示すゲート信号SGの1周期内において、コンパレータ6から出力されるパルス信号SP(同図(b)参照)の数をカウントすることにより、パルス信号SPの周期を演算する。この後、周期計測用カウンタ7は、パルス信号SPの周期に基づいて、入力信号の基本波周波数を図外の表示器に表示する。このように、この従来の周波数カウンタ31では、測定者が、入力信号の基本波周波数を予測してローパスフィルタLPFを選択することにより、入力信号の基本波周波数を測定することができるようになっている。
【0004】
一方、ローパスフィルタの後段に、A/D変換器およびDSP(Digital Signal Processor)を接続して構成され、FFT演算によって周波数を求める周波数カウンタ(以下、「第2の周波数カウンタ」ともいう)も知られている。この第2の周波数カウンタでは、まず、ローパスフィルタは、A/D変換器のサンプリングによる折り返しノイズの影響を防止するために、アンチエイリアシングフィルタとして入力信号の高調波やノイズを除去する。次いで、A/D変換器が、アナログである入力信号をサンプリングし、サンプリングした電圧値をアナログ−ディジタル変換することにより数値データを生成する。次に、DSPが、数値データに基づいてFFT(Fast Fourier Transform )演算を行うことにより、入力信号の基本波周波数が演算によって求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの従来の周波数カウンタには以下の問題点がある。
すなわち、第1の周波数カウンタでは、測定者が、入力信号の基本波周波数を予測してローパスフィルタLPFを選択しなければならない。この場合、予測した基本波周波数が誤っていると、ローパスフィルタLPFによって基本波成分が除去されてしまったり、高調波成分が除去されなかったりして、周波数が誤って測定されてしまうことがある。したがって、測定者は、切替スイッチ32を幾度となく切り替えて、基本周波数の予測が正しいと確信を持てるまで周波数測定を行わなければならない。このため、第1の周波数カウンタには、測定者が極めて煩雑な作業を強いられているという問題点がある。
【0006】
また、第1の周波数カウンタには、入力信号の基本波周波数が不明な場合や、ローパスフィルタLPFの選択が正しく行われなかったような場合には、入力信号の基本波以外の信号の周波数を測定してしまうという問題点もある。具体的に、例えば、GTOサイリスタ(Gate Turn−off Thyristor )などを使用したPWM(Pulse Width Modulatin )インバータから負荷に出力される電圧信号(図5(a)参照)S1の基本波周波数を測定する場合を例に挙げて、以下に説明する。
【0007】
この場合、電圧信号S1の基本波は、本来、同図(d)に示す方形波S2と等しい周期を有する正弦波であり、電圧信号S1は、基本波よりも遙かに高い周波数のスイッチング信号で基本波をスイッチングした信号波形となっている。したがって、コンパレータ6に入力される信号波形は、本来的には、方形波S2か、方形波S2に含まれている基本波の高調波成分を除去した正弦波でなければならない。この場合、ローパスフィルタLPFが正しく選択されないことに起因して、信号S1がそのままコンパレータ6に入力され、かつ、基準電源9の基準電圧が、例えば、同図(a)に示すような電圧Aに設定されたとすれば、コンパレータ6は、同図(b)に示すようなパルス信号S3を出力する。また、コンパレータ6の非反転入力部と反転入力部とを入れ替えて、基準電源9の基準電圧を同図(a)に示すような電圧Bに設定したとしても、コンパレータ6は、同図(c)に示すようなパルス信号S4を出力する。このため、基準電源9の基準電圧をどのような電圧に設定したとしても、周期計測用カウンタ7は、入力信号に重畳しているスイッチング信号の周波数を計測してしまう。このように、第1の周波数カウンタには、入力信号の基本周波数がおおよそ分かっている場合には基本波周波数を測定することはできるが、基本波周波数が不明で、基本波周波数に最も適したローパスフィルタLPFが選択されなかったときには、他の信号の周波数を誤測定してしまうことがあるという問題がある。
【0008】
一方、第2の周波数カウンタでは、DSP、メモリおよびA/D変換器が高価格のため、装置のコストアップの要因になっているという問題点がある。特に、高い周波数の測定を可能にする場合には、A/D変換器のサンプリング周波数を入力信号の周波数よりも遙かに高い周波数にする必要があり、かかる場合には、より高性能のA/D変換器が必要となるため、部品費がさらに上昇する。
【0009】
また、A/D変換器は、予め決められた数のサンプリングを行っている。このため、入力信号の周波数が不明の場合には、A/D変換器から出力されるサンプリングデータは、入力信号の基本波の整数周期分のデータになるとは限らない。したがって、A/D変換器から出力されたサンプリングデータを直接FFT演算すると、周波数の測定に誤差が生じてしまう。このため、FFT演算に先立って、例えば、ハニング窓関数処理などを行う必要があるが、周波数が不明な入力信号についてかかる処理を行うことは極めて困難である。
【0010】
さらに、この第2の周波数カウンタでは、A/D変換器によるサンプリングの際に生じた量子化誤差によって、FFT演算における周波数演算精度が低下するため、高精度の周波数測定が困難であるという問題点もある。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定対象である入力信号の基本波周波数を正確かつ容易に測定し得る周波数測定装置を提供することを主目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の周波数測定装置は、測定対象である入力信号に含まれる不要成分を除去するローパスフィルタ回路を備え、ローパスフィルタ回路の出力信号を波形整形することにより生成したパルス信号に基づいて入力信号の基本波周波数を測定可能に構成されている周波数測定装置において、ローパスフィルタ回路の出力信号と入力信号とを乗算する乗算回路と、乗算回路の乗算信号を積分することにより制御電圧を生成する積分回路とを備え、ローパスフィルタ回路は、制御電圧に応じてカットオフ周波数を可変可能に構成されていることを特徴とする。
なお、ここで、乗算信号とは、乗算回路から出力された乗算信号を含むだけでなく、その乗算信号の位相を反転した乗算信号も含む概念である。
また、制御電圧とは、積分回路によって積分された積分信号そのものを含むだけでなく、その積分信号の位相を反転することによって生成した信号も含む概念である。
【0013】
この周波数測定装置では、入力信号は、ローパスフィルタ回路内に入った後、所定の位相分遅れて乗算回路の一方の入力部に出力される。一方、入力信号は、乗算回路の他方の入力部にも直接入力される。この場合、乗算回路は、両信号を互いに乗算した乗算信号を積分回路に出力する。次いで、積分回路が、乗算信号を積分することにより生成した制御電圧をローパスフィルタ回路に出力する。この場合、ローパスフィルタ回路では、例えば、制御電圧の電圧値が上昇するとカットオフ周波数が高くなり、制御電圧の電圧値が低下するとカットオフ周波数が低くなるというように、制御電圧の電圧値に応じてカットオフ周波数が変化する。このため、ローパスフィルタ回路、乗算回路および積分回路を含むフィードバックループが形成される。
【0014】
ここで、乗算回路から出力された乗算信号の電圧値の平均値が0Vのときに、積分回路の積分値が0Vとなり、これにより、ループの系が安定する。この場合、乗算信号の電圧値の平均値が常に0Vになるためには、乗算回路に入力した2つの信号が互いに直交する場合に限られる。したがって、入力信号の基本波が所定の角速度を有する正弦波とし、ローパスフィルタの次数を2次とすれば、ローパスフィルタ回路の出力信号の位相は、ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数の変化によって、入力信号の基本波に対して位相が90°遅らせられる。ここで、入力信号の基本波がローパスフィルタを通過する際に位相が90°遅れるということは、ローパスフィルタのカットオフ周波数が、基本波周波数と等しいことを意味する。このため、この周波数測定装置では、ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数が入力信号の基本波周波数と等しい周波数に自動的に設定される。これにより、測定者に何ら煩雑な作業を強いることなく、入力信号の基本波周波数が正確に測定可能となる。
【0015】
請求項2記載の周波数測定装置は、請求項1記載の周波数測定装置において、ローパスフィルタ回路は、制御電圧に応じて抵抗値が変化する電圧可変抵抗素子、および固定容量のコンデンサを含む回路網と、回路網の出力信号を増幅すると共に増幅した信号を回路網に帰還させる演算増幅器とを備えて構成されたアクティブフィルタであることを特徴とする。
【0016】
ローパスフィルタ回路は、制御電圧に応じてカットオフ周波数が変化する回路であればよく、ディジタル回路やアナログ回路で構成することが可能である。この周波数測定装置では、演算増幅器を用いたアナログ回路で構成されている。したがって、カットオフ周波数が制御電圧の変化に瞬時に追従する。このため、簡易な構成でありながら、極めて迅速な周波数測定が可能となる。
【0017】
請求項3記載の周波数測定装置は、請求項1または2記載の周波数測定装置において、ローパスフィルタ回路の後段に接続され、制御電圧に対するカットオフ周波数の変化特性がローパスフィルタ回路とほぼ等しい他のローパスフィルタ回路を備えていることを特徴とする。
【0018】
一般的に、入力信号は、カットオフ周波数が入力信号の基本波周波数に等しいローパスフィルタ回路を通過したとしても、依然として、ある程度のレベルの高調波成分やノイズ成分を含んでいる。この周波数測定装置では、他のローパスフィルタ回路のカットオフ周波数も、前段に配置されたローパスフィルタ回路のカットオフ周波数と自動的にほぼ等しくなる。このため、他のローパスフィルタ回路が、入力信号に含まれている高調波成分やノイズ成分をさらに除去する。
この場合、他のローパスフィルタ回路を、前段に配置されているローパスフィルタ回路よりも高次のフィルタに構成することもでき、かかる場合は、入力信号の高調波成分やノイズ成分をより除去することができる。また、複数の他のローパスフィルタ回路を直列接続することにより、入力信号の高調波成分などをさらに除去することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る周波数測定装置を適用した実施の形態について説明する。なお、従来の周波数カウンタ31と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0020】
図1に示す周波数測定装置1は、単独で周波数カウンタを構成することもでき、また電力計や電流計に内蔵されて周波数測定部として機能することもできるようになっている。周波数測定装置1は、本発明におけるローパスフィルタ回路に相当する第1ローパスフィルタ2、乗算器3、本発明における他のローパスフィルタ回路に相当する第2ローパスフィルタ4、本発明における積分回路に相当する積分器5、コンパレータ6、周期計測用カウンタ7および表示部8を備えている。
【0021】
この周波数測定装置1では、基本波周波数が不明の被測定信号を入力信号として入力した場合、第1ローパスフィルタ2、乗算器3および積分器5から形成されるフィードバックループ内のフィードバック制御により、第1ローパスフィルタ2のカットオフ周波数が自動的に基本波周波数と等しい周波数に設定される。これにより、入力信号の高調波成分やノイズ成分が除去された後、周期計測用カウンタ7によって周期が計測されると共に計測された周期に基づいて基本波周波数が表示部8に表示されるようになっている。
【0022】
次に、周波数測定装置1の各構成要素について詳述する。
【0023】
第1ローパスフィルタ2は、2次のVCVS(Voltage Controlled Voltage Sorrce )型ローパスフィルタで構成されている。第1ローパスフィルタ2は、抵抗値が制御電圧Vcの変化に瞬時に追従して変化する電圧可変抵抗素子11,12、コンデンサ13,14、演算増幅器15、および抵抗16,17を備えて構成されている。ここで、電圧可変抵抗素子11,12としては、制御電圧Vcの電圧値に応じて抵抗値が変化するものであればよく、MOS−FETや、電子ボリューム、およびLEDとCdS光電素子とを組み合わせたフォトカップラなどを用いることができる。本実施形態では、電圧可変抵抗素子11,12として、Nチャンネル型FETを用いた例について説明する。また、この第1ローパスフィルタ2では、制御電圧Vcの電圧値が正の方向に変化すると、例えば、電圧可変抵抗素子11としてのFETのVGSが正の方向に(例えば、負の所定の電圧から0Vに向かって)変化し、そのソース−ドレイン間の抵抗値が小さくなる結果、そのカットオフ周波数が高くなるように予め規定されている。なお、両電圧可変抵抗素子11,12は、制御電圧Vcに対する抵抗値の変化特性が互いに同一に構成されている。
【0024】
乗算器3は、公知回路のアナログ乗算器で構成されており、第1ローパスフィルタ2から出力された出力信号と入力信号とを互いに乗算することにより生成した乗算信号を積分器5に出力する。
【0025】
第2ローパスフィルタ4は、第1ローパスフィルタ2と同一に構成されている。なお、第1ローパスフィルタ2の構成要素に対応する各構成要素については同一の符号を付して詳細説明を省略する。積分器5は、オペアンプ21、コンデンサ22および抵抗23,24を備えて構成され、乗算器3から出力された乗算信号を位相反転すると共に積分し、電圧値が−Va〜+Vaの範囲内の積分信号を制御電圧Vcとして出力する。この場合、積分器5は、抵抗24を介して制御電圧Vcを出力することにより、電圧可変抵抗素子11,11,12,12に必要な電流を供給または流れ込ませる定電圧源として機能し、抵抗24による降下電圧と電圧可変抵抗素子11,11,12,12に入力される制御電圧Vcとを所定の電圧値になるように制御する。
【0026】
表示部8は、液晶表示器やCRTなどを用いることができ、周期計測用カウンタ7に内蔵の表示コントロール部によって制御されて、計測した周波数を表示する。
【0027】
次に、周波数測定装置1の全体的な動作について、図2を参照しつつ説明する。
【0028】
まず入力信号A(t) として、PWMインバータの出力交流信号(同図(a)参照)が入力信号として入力されたものとする。この場合、入力信号A(t) は、下記の▲1▼式で表される基本波成分と、その高調波成分と、スイッチング信号とを含んでいるが、ここでは、スイッチング信号は基本波周波数に比較して極めて高い周波数であるため、基本波成分およびその高調波成分についてのみ考えるもとする。この場合、入力信号A(t) は、下記の▲2▼式で表される。なお、「an」は各成分の振幅値を示す。
【0029】
基本波=a1・cos(ωt)・・・・・・・・・・・・・・▲1▼式
【0030】
【数1】
【0031】
第1ローパスフィルタ2は、入力信号A(t) に含まれる所定の成分を除去し、下記の▲3▼式で表される信号B(t) を出力する。なお、同式において、「θ」は、第1ローパスフィルタ2を通過する際の位相遅れを示し、「bn」は、第1ローパスフィルタ2を通過した後の各成分の振幅値を示す。
【0032】
【数2】
【0033】
次いで、同図(b)に示すように、乗算器3のX入力部およびY入力部に、入力信号A(t) および信号B(t) がそれぞれ入力される。乗算器3は、両信号を互いに乗算し、同図(c)に示す乗算信号Z(t) を積分器5に出力する。この場合、乗算信号Z(t) は、下記の▲4▼式で表される。
Z(t) =A(t) ・B(t) ・・・・・・・・・・・・・▲4▼式
【0034】
次いで、積分器5は、乗算信号Z(t) を位相反転すると共に積分することにより、下記の▲5▼式で表される積分信号C(t) を出力する。
【0035】
【数3】
【0036】
ここで、第1ローパスフィルタ2、乗算器3および積分器5を含むフィードバックループでは、乗算器3から出力された乗算信号Z(t) の電圧値の平均値が0Vのときに、積分器5の積分値が0Vとなり、これにより、ループの系が安定する。この場合、乗算信号Z(t) の電圧値の平均値が0Vになるためには、乗算器3に入力した入力信号A(t) と、第1ローパスフィルタ2から出力された信号B(t) とが互いに直交する場合に限られる。したがって、入力信号A(t) は、2次のローパスフィルタである第1ローパスフィルタ2によって位相θが90°遅らせられる。これが正しいことは、以下の理由によって説明できる。
【0037】
つまり、入力信号A(t) の位相θが90°遅れるとすると、乗算信号Z(t) は、下記の▲6▼式で表される。
【0038】
【数4】
【0039】
ここで、▲6▼式は、入力信号A(t) の基本波および複数の高調波と、信号B(t) の基本波および複数の高調波との互いの積となるため、乗算信号Z(t) は下記の▲7▼式で表される。
【0040】
また、▲7▼式は下記の▲8▼式で表され、この▲8▼式によれば、乗算信号Z(t) には、基本波成分と、基本波の高調波成分のみが含まれている。この場合、積分器5が入力信号A(t) の基本波の1周期Tの時間で乗算信号Z(t) を積分するとすれば、各高調波成分は、各々の周期の整数倍の時間でそれぞれ積分されることになる。したがって、▲8▼式を時間0〜時間Tまで積分した積分値は0Vとなる。これにより、フィードバックループの系が安定する。なお、積分器5は、実際には、基本波の1周期Tよりも極めて長い時間で積分を行っているが、かかる場合であっても、積分値は0Vとなる。
【0041】
ここで、入力信号A(t) の基本波が第1ローパスフィルタ2を通過する際に位相が90°遅れるということは、第1ローパスフィルタ2のカットオフ周波数が、基本波周波数と等しいことを意味する。このため、この周波数測定装置1では、第1ローパスフィルタ2のカットオフ周波数が入力信号A(t) の基本波周波数と等しい周波数に自動的に設定される。これにより、第1ローパスフィルタ2から出力される信号B(t) に含まれる高調波成分、および基本波周波数よりも極めて高い周波数であるスイッチング信号が除去される。
【0042】
次いで、信号B(t) は、第2ローパスフィルタ4に入力され、高調波成分がさらに除去されて、同図(d)に示すような正弦波D(t) となり、コンパレータ6の非反転入力部に入力される。コンパレータ6は、反転入力部に設定されている基準電圧Vref と信号D(t) の電圧値とを比較して、信号D(t) の電圧値が基準電圧Vref を超えているときに、同図(f)に示すパルス信号SPを出力する。次いで、周期計測用カウンタ7が、ゲート信号SG(図4(a)参照)の1周期内に入力されるパルス信号SPの数をカウントすることにより、入力信号A(t) の基本波周波数が計測される。
【0043】
次いで、入力信号A(t) の基本波周波数が変化した場合について補足説明する。なお、最初に基本波周波数が1kHzの信号が入力されており、その後に、基本波周波数が2kHzの信号が入力された場合を例に挙げて説明する。
【0044】
フィードバックループの系が安定している状態で、基本波周波数が1kHzから2kHzに変化すると、第1ローパスフィルタ2は、入力信号A(t) に対して、所定の角度で位相遅れを生じさせる。位相遅れした入力信号A(t) は、乗算器3のY入力部に入力される。次いで、乗算器3が、位相遅れした入力信号A(t) と、元の入力信号A(t) とを互いに乗算する。この例では、元の入力信号A(t) に対して、第1ローパスフィルタ2の出力信号の位相が遅れているため、乗算器3は、負側にオフセットされた乗算信号Z(t) を出力する。
【0045】
次いで、積分器5が、乗算信号Z(t) を位相反転すると共に、積分するため、制御信号Vcは、正の方向に変化する。このため、第1ローパスフィルタ2のカットオフ周波数が高くなり、カットオフ周波数が2kHzに達したときに、フィードバックループの系が安定する。この状態では、乗算信号Z(t) の電圧値の平均値が0Vになるため、ループの系は安定状態を維持する。このように、この周波数測定装置1では、入力信号の基本波周波数が変化したときには、第1ローパスフィルタ2のカットオフ周波数が自動的に変化するため、周期計測用カウンタ7が正確な周波数測定を行うことができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る周波数測定装置1によれば、入力信号A(t) に高調波成分やノイズ成分が重畳している場合であっても、第1ローパスフィルタ2および第2ローパスフィルタ4の各々のカットオフ周波数が入力信号A(t) の基本波周波数と等しい周波数に自動的に設定されるため、測定者は、何ら煩雑な作業を行うことなく、周波数を正確に測定することができる。また、第1ローパスフィルタ2および第2ローパスフィルタ4のカットオフ周波数が制御電圧Vcの変化に瞬時に追従して変化するため、この周波数測定装置1では、極めて迅速に周波数測定を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、積分器5が、乗算器3の乗算信号Z(t) の位相を反転すると共に積分しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、積分器5は、乗算信号Z(t) の位相を反転することなく積分し、積分信号の位相を反転させる極性反転回路を積分器5の後段に配置して構成してもよい。また、電圧可変抵抗素子11の制御電圧Vcに対する抵抗値の変化特性が本実施形態で示した特性と逆の場合には、積分器5は、乗算信号Z(t) の位相を反転することなく積分すればよい。
【0048】
また、本実施形態では、第1ローパスフィルタ2として、VCVS型のアクティブフィルタを使用する例について説明したが、本発明は、これに限らず、状態変数型フィルタ、バイクワット型フィルタおよび多重帰還型フィルタなど種々の形式のフィルタ回路を使用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の周波数測定装置によれば、ローパスフィルタ回路、乗算回路および積分回路を含むフィードバックループ内では制御電圧に応じてローパスフィルタ回路のカットオフ周波数が変化し、ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数が基本波周波数と等しいときにループの系が安定する。この結果、ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数を入力信号の基本波周波数と等しい周波数に自動的に設定することができ、これにより、測定者は、入力信号の基本波周波数を正確かつ容易に測定することができる。
【0050】
また、請求項2記載の周波数測定装置によれば、ローパスフィルタ回路が演算増幅器を用いたアナログ回路で構成されているため、カットオフ周波数の変化が制御電圧の変化に瞬時に追従し、これにより、簡易な構成でありながら、極めて迅速に周波数測定を行うことができる。
【0051】
さらに、請求項3記載の周波数測定装置によれば、他のローパスフィルタ回路が前段に配置されたローパスフィルタ回路のカットオフ周波数と自動的にほぼ等しくなり、ローパスフィルタ回路の出力信号に含まれている高調波成分やノイズ成分をさらに除去することができる。この結果、より正確な周波数測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る周波数測定装置の回路図である。
【図2】(a)は入力信号の信号波形図であり、(b)は乗算器に入力される入力信号および第1ローパスフィルタの出力信号の信号波形図であり、(c)は乗算器から出力される乗算信号の信号波形図であり、(d)は第2ローパスフィルタから出力される信号の信号波形図であり、(e)は(a)〜(d)における位相を示す図であり、(f)はパルス信号の信号波形図である。
【図3】従来の周波数カウンタの回路図である。
【図4】(a)はゲート信号の信号波形図であり、(b)はパルス信号の信号波形図である。
【図5】(a)はPWMインバータから出力される電圧信号の信号波形図であり、(b)は基準電圧を電圧Aに設定したときのパルス信号の信号波形図であり、(c)は基準電圧を電圧Bに設定したときのパルス信号の信号波形図であり、(d)はPWMインバータから出力される電圧信号の基本波と等しい周期の方形波の信号波形図である。
【符号の説明】
1 周波数測定装置
2 第1ローパスフィルタ
3 乗算器
4 第2ローパスフィルタ
5 積分器
6 コンパレータ
7 周期計測用カウンタ
Claims (3)
- 測定対象である入力信号に含まれる不要成分を除去するローパスフィルタ回路を備え、当該ローパスフィルタ回路の出力信号を波形整形することにより生成したパルス信号に基づいて前記入力信号の基本波周波数を測定可能に構成されている周波数測定装置において、
前記ローパスフィルタ回路の出力信号と前記入力信号とを乗算する乗算回路と、当該乗算回路の乗算信号を積分することにより制御電圧を生成する積分回路とを備え、前記ローパスフィルタ回路は、前記制御電圧に応じてカットオフ周波数を可変可能に構成されていることを特徴とする周波数測定装置。 - 前記ローパスフィルタ回路は、前記制御電圧に応じて抵抗値が変化する電圧可変抵抗素子、および固定容量のコンデンサを含む回路網と、当該回路網の出力信号を増幅すると共に当該増幅した信号を当該回路網に帰還させる演算増幅器とを備えて構成されたアクティブフィルタであることを特徴とする請求項1記載の周波数測定装置。
- 前記ローパスフィルタ回路の後段に接続され、前記制御電圧に対するカットオフ周波数の変化特性が前記ローパスフィルタ回路とほぼ等しい他のローパスフィルタ回路を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の周波数測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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