JP2011102332A - 水溶性ナノ粒子複合体を形成するための両親媒性ポリマー - Google Patents

水溶性ナノ粒子複合体を形成するための両親媒性ポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】ナノ粒子を生化学的な目的で使用できるようにするための水溶性ナノ粒子複合体を提供する。
【解決手段】特定の3成分からなるポリエチレンイミン誘導体で示される両親媒性ポリマーと周期表第12族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子、周期表第11族元素、周期表第13族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子あるいは周期表第13族元素及び周期表第15族元素を含む半導体ナノ粒子の複合体を形成することにより、複数のナノ粒子を集積し、かつ、均一性と安定性に優れた水溶性ナノ粒子複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規両親媒性ポリマー及び該ポリマーを用いた水溶性ナノ粒子複合体に関する。
近年、磁性、発光性、又はプラズモン吸収性のいずれかの特性を有するナノ粒子の合成と特性評価に関する研究が活発になされてきた。様々なサイズ、組成、極性及び溶解性、表面状態などを示すナノ粒子が開発されてきているが、中でも、生化学的な応用面から、半導体ナノ粒子や金属ナノ粒子はその独特な光学特性のため注目を浴びている。特に、既存のバイオツールの検出用標識体として使用される有機蛍光色素は発光強度や安定性などの面において問題があるため、最近、高発光かつ高安定性を有する半導体ナノ粒子を検出用標識体として用いる研究が注目されている(特許文献1参照)。また、ナノ粒子の複合体形成は、表面リガンドの一個当たりに多数のナノ粒子を包含できる仕組みから、ナノ粒子の特性を向上させる面において非常に有利であると期待されている。
前記ナノ粒子を生化学的な目的で使用するためには、表面親水性や生体適合性が優れ、かつ、ナノ粒子特性が水溶液中でも保持されなければならない。ナノ粒子の水溶化を促進する方法の一つとして、親水性部と疎水性部を併せ持つ両親媒性低分子化合物を用いる方法があるが、これは疎水性部がナノ粒子の疎水性表面と相互作用で結合することによって、ナノ粒子表面に親水性部を導入する仕組みである(非特許文献1参照)。しかし、低分子化合物などを用いるこの方法は、複数の交換反応を経ることが多く、最初のステップで導入された反応性官能基が外れたり、粒子表面への親水性基導入がナノ粒子の特性を低下させたりするなど、様々な問題点が指摘されていた(非特許文献2参照)。また、ナノ粒子がマイクロスフィア、リポソーム、ハイドロゲルなどの中に封入される方法もあるが、サイズが大きすぎるため、応用展開には制限があった(非特許文献3〜5参照)。
前述の課題を解決する手段としては、両親媒性ポリマーによってナノ粒子を被覆する方法が知られている(特許文献2、3及び非特許文献6参照)。親水性基(例えば、カルボキシル基)と、疎水性基(例えば、脂溶性化合物)からなる側鎖を持つ両親媒性ポリマーによって、ナノ粒子の疎水性表面との相互作用で安定に結合し、親水性基はナノ粒子の水溶化と生体分子の導入部位として用いることができる(非特許文献6参照)。しかし、この目的用のポリマーの殆どはラジカル重合機構から得られるため、その分子量や分子量分布などの構造制御には制限があることから、ポリマーの鎖長制御によって複数のナノ粒子が均一に包含された、所謂、水溶性ナノ粒子複合体の形成は困難であった。
国際公開第00/017642号パンフレット 特開2006−213592号公報 特開2008−540726号公報
Dubertret,B.et.al.,SCIENCE.2002,298,1759−1762. Yu,W.W.et.al.,J.AM.CHEM.SOC.2007,129,2871−2879. Darbandi,M.et.al.,Chem.Mater.2005,17,5720−5725. GaO,X.et.al.,J.Phys.Chem.B.2003,107,11575−11578. Han,M.,et.al.,Nat.Biotechnol.2001,19,631−635. Anderson,R.E.et.al.,ACS NANO.2008,2,1341−1352.
本発明は、ナノ粒子を生化学的な目的で使用できるようにするための水溶性ナノ粒子複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、線状型ポリエチレンイミンに親水性基と疎水性基を付加した新規両親媒性ポリマーによって、複数のナノ粒子を集積し、かつ、均一な粒径を持つ水溶性ナノ粒子複合体が形成できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]下記式(1)で表される繰り返し単位
(式中、R1は−COOH、−OH、−NH又は(OCHCHR’(ここで、R’は−COOH、−OH、−NH、−SH、−OCN、−CHO、−CH=CH、−C≡CH又はN、lは1〜30の整数である。)であり、mは1〜10の整数である。)、
下記式(2)で表される繰り返し単位
(式中、R2は炭素数1〜20のアルキル基であり、nは1〜10の整数である。)及び
下式(3)で表される繰り返し単位
を含み、式(1)の繰返し単位数x、式(2)の繰返し単位数y及び式(3)の繰返し単位数zが、x/(x+y+z)=0.05〜0.80、y/(x+y+z)=0.05〜0.65及びz/(x+y+z)=0.01〜0.50であることを特徴とする、両親媒性ポリマー。
[2]前記x、y及びzが、x/(x+y+z)=0.50〜0.75、y/(x+y+z)=0.10〜0.20及びz/(x+y+z)=0.10〜0.40であることを特徴とする、[1]に記載の両親媒性ポリマー。
[3]前記x、y及びzが、x+y+z=10〜400であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の両親媒性ポリマー。
[4]前記両親媒性ポリマー及びナノ粒子を含む、水溶性ナノ粒子複合体。
[5]平均粒径が50〜500nmであることを特徴とする、[4]に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
[6]前記ナノ粒子が磁性、発光性又はプラズモン吸収性を有することを特徴とする、[4]又は[5]に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
[7]前記ナノ粒子が半導体ナノ粒子であることを特徴とする、[4]又は[5]に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
[8]前記半導体ナノ粒子が発光性を有することを特徴とする、[7]に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
[9]前記半導体ナノ粒子が、少なくとも周期表第12族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子、周期表第11族元素、周期表第13族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子あるいは周期表第13族元素及び周期表第15族元素を含む半導体ナノ粒子であることを特徴とする、[7]又は[8]に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
[10]前記ナノ粒子を分散させた有機溶媒に、前記両親媒性ポリマーを水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を混合し、水溶液層から前記水溶性ナノ粒子複合体を回収することを特徴とする、水溶性ナノ粒子複合体の製造方法。
[11]前記ナノ粒子を分散させた有機溶媒に、有機溶媒及び水系溶媒の両方に相溶性を有する溶媒を混合した後、前記両親媒性ポリマーを塩基性水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を混合し、水溶液層から前記水溶性ナノ粒子複合体を回収することを特徴とする、[10]に記載の水溶性ナノ粒子複合体の製造方法。
本発明の新規両親媒性ポリマーにより、ナノ粒子の特性を保持しつつ、複数のナノ粒子が会合し、かつ、均一な粒径を持つ水溶性ナノ粒子複合体の形成が可能となり、該水溶性ナノ粒子複合体は生化学的な用途に使用されうる。
図1は、水溶性ナノ粒子複合体の形成スキームである。 図2は、ポリエチレンイミン(PEI)のH−NMRスペクトラムの説明図である。 図3は、mPEI−EI(z = 20%)−COOH(x = 80%)のH−NMRスペクトラムの説明図である。 図4は、重合体2のH−NMRスペクトラムの説明図である。 図5は、重合体2の水溶性ナノ粒子複合体の動的光散乱(DLS)解析結果の説明図である。 図6は、重合体6の水溶性ナノ粒子複合体の動的光散乱(DLS)解析結果の説明図である。 図7は、重合体7の水溶性ナノ粒子複合体の動的光散乱(DLS)解析結果の説明図である。 図8は、水溶性ナノ粒子複合体(重合体2)の透過型電子顕微鏡(TEM)解析結果の説明図である。 図9は、水溶液中における水溶性ナノ粒子複合体の発光スペクトルを表すグラフである。
以下に、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
[両親媒性ポリマーの合成]
両親媒性ポリマーとは、少なくとも2種類以上のセグメントから構成され、そのうち少なくとも1種類以上のセグメントが親水性であり、更に少なくとも1種類以上のセグメントが疎水性であるポリマーのことをいう。ここで、親水性とは、任意のセグメントの水への溶解度が、他のセグメントより高いとき、そのセグメントを親水性であると言う。また、疎水性とは、任意のセグメントの水への溶解度が、他のセグメントより低いとき、そのセグメントを疎水性であるという。すなわち、疎水性セグメントは、水に不溶であることが望ましいが、可溶であっても他のセグメントと比較して、水への溶解度が低ければ良い。
本発明の両親媒性ポリマーは、前記化学式(1)で表される繰り返し単位からなる親水性セグメント、前記化学式(2)で表される繰り返し単位からなる疎水性セグメント及び前記化学式(3)で表される繰り返し単位からなるセグメントを有することを特徴としている。
前記化学式(1)で表される繰り返し単位からなる親水性セグメントは、生体分子に対し結合能を持つ親水性反応基(R)を含む部位を有し、両親媒性ポリマーの親水性セグメントに相当する。R1としては、−COOH、−OH、−NH又は(OCHCHR’(ここで、R’は−COOH、−OH、−NH、−SH、−OCN、−CHO、−CH=CH、−C≡CH又はN、lは1〜30の整数である。)が挙げられるが、好ましくは−COOH、−OH、−NH又は(OCHCHR’(ここで、R’は−COOH、−OH、−NH、−SH、−OCN、−CHO、−CH=CH、−C≡CH又はN、lは1〜5の整数である。)であり、より好ましくは−COOH、−OH、−NHであり、さらに好ましくは、−COOHである。また、mは1〜10の整数であるが、好ましくは、mは1〜3の整数である。
前記化学式(2)で表される繰り返し単位からなる疎水性セグメントは、疎水性表面を持つナノ粒子と相互作用するアルキル基(R)を含む部位を有し、両親媒性ポリマーの疎水性セグメントに相当する。Rとしては炭素数1〜20のアルキル基が挙げられるが、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基(具体例としてブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン)である。また、nは1〜10の整数であるが、好ましくは、nは1〜3の整数である。
前記化学式(3)で表される繰返し単位からなるセグメントは、ポリエチレンイミンで構成されるセグメントである。すなわち、本発明の両親媒性ポリマーは、ポリエチレンイミン骨格に親水性セグメントを構成する置換基と疎水性セグメントを構成する置換基が付与された構造になっている。
前記各セグメントの構成比は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位数をx、前記化学式(2)で表される繰り返し単位数をy、前記化学式(3)で表される繰り返し単位数をzとする場合(x、y及びzは整数)、x/(x+y+z)=0.05〜0.80、y/(x+y+z)=0.05〜0.65及びz/(x+y+z)=0.01〜0.50であることを特徴とする。x、y、及びzが本数値範囲を外れてしまうと、水溶性ナノ粒子複合体の水溶化効率が悪くなってしまうため、好ましくない。なお、x、y及びzの好ましい数値範囲としては、x/(x+y+z)=0.50〜0.75、y/(x+y+z)=0.10〜0.20及びz/(x+y+z)=0.10〜0.40であり、より好ましい数値範囲としては、x/(x+y+z)=0.54〜0.72、y/(x+y+z)=0.10〜0.18及びz/(x+y+z)=0.10〜0.36である。なお、x/(x+y+z)、y/(x+y+z)及びz/(x+y+z)は、両親媒性ポリマーのH−NMRスペクトラムをもとに計算することができる(実施例参照)。
本発明の両親媒性ポリマーの大きさを表すx、y及びzの合計値、すなわち両親媒性ポリマーの重合度(DP)については特に制限はないが、産業的付加価値の高い生体物質の標識体などへ応用するには水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径が500nm以下であるのが好ましく、そして、水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径がx、y及びzの合計値によって制御できるという観点から、好ましくは10〜400の範囲であり、より好ましくは22〜373の範囲である。なお、両親媒性ポリマーの重合度(DP)については、H−NMRスペクトラムにより測定することができる。
本発明の両親媒性ポリマーは、多分散度(PDI:重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.3以下の線状型ポリエチレンイミンと親水性反応基を含む脂肪酸無水物又は脂肪酸ハライドを反応させて親水性反応基を導入する工程及び該線状型ポリエチレンイミンと疎水性反応基を含む脂肪酸ハライドを反応させて疎水性反応基を導入する工程により得ることができる。線状型ポリエチレンイミンの多分散度(PDI)については、GPCダイアグラムにより測定することができる。
前記親水性反応基を導入する工程において、親水性反応基を含む脂肪酸無水物を用いる場合、所望の構造を線状型ポリエチレンイミンに導入することができるものであれば特に限定されないが、例えば、化学式(4)で表される直鎖脂肪酸無水物を挙げることができる。
(式中、R及びmは前記定義と同じ。)。
なお、Rの一部は反応途中保護されてもよく、例えば、−COOHはメチル・エチルエステル、ベンジルエステル、tert−ブチルエステル、tert−ブチルジメチルシリル基の何れかで保護され、−OH、−SHはメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基 (MOM)、2−テトラヒドロピラニル基(THP)、エトキシエチル基(EE)、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル (TMS)、トリエチルシリル (TES)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS又はTBDMS)、トリイソプロピルシリル (TIPS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)の何れかで保護され、−NHはtert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、フタロイル基、p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基の何れかで保護され、−CHOはジメチルアセタール、環状アセタール、ジチオアセタールの何れかで保護されることができる。
特に、Rとしてカルボキシル基を導入する場合、化学式(5)で表される二価カルボン酸の環状無水物、好ましくはコハク酸無水物、グルタル酸無水物又はアジピン酸無水物を使用することができる。
(式中、mは前記定義と同じ。)。
前記親水性反応基を導入する工程において、親水性反応基を含む脂肪酸ハライドを用いる場合、所望の構造を線状型ポリエチレンイミンに導入することができるものであれば特に限定されないが、好適には化学式(6)で表される化合物を挙げることができる。
(式中、R1及びmは前記定義と同じ。)。なお、Rの一部は前記の通り反応途中に保護されてもよい。
前記疎水性反応基を導入する工程において、疎水性反応基を含む脂肪酸ハライドを用いる場合、所望の構造を線状型ポリエチレンイミンに導入することができるものであれば特に限定されないが、化学式(7)で表される化合物を好ましく使用することができる。
(式中、R及びnは前記定義と同じ。)。
特に、前記親水性反応基のRとしてカルボキシル基を導入する場合、該カルボキシル基とアルキルアミンを反応させる工程により疎水性反応基を導入することができる。具体的には、化学式(8)で表されるアルキルアミン、好ましくはヘプチルアミン、オクチルアミン又はノニルアミンをカルボキシル基と縮合反応させることにより、導入された親水性反応基の一部を疎水性反応基とすることができる。
(式中、Rは前記定義と同じ。)。
本発明の両親媒性ポリマーにおける各セグメントの構成比、すなわちx(前記化学式(1)で表される繰返し単位数):y(前記化学式(2)で表される繰返し単位数):z(前記化学式(3)で表される繰返し単位数)は、線状型ポリエチレンイミンの2級アミンに対し、親水性反応基を含む脂肪酸無水物又は脂肪酸ハライド及び疎水性反応基を含む脂肪酸ハライド又はアルキルアミンを所望とする割合に合わせて順次に反応させることによって調節することができる。詳細には、例えば、線状型ポリエチレンイミンの2級アミンに対し、前記化学式(4)で表される親水性官能基を含む直鎖脂肪酸無水物を反応させxを導入した後、前記化学式(7)で表される疎水性官能基を含む脂肪酸ハライドを反応させyを導入することによってx:y:zの構成比を調節する方法、又は前記化学式(6)で表される親水性官能基を含む脂肪酸ハライドを反応させxを導入した後、前記化学式(7)で表される疎水性官能基を含む脂肪酸ハライドを反応させyを導入することによってx:y:zの構成比を調節する方法、又は前記化学式(5)で表される二価カルボン酸の環状無水物を反応させxを導入した後、前記化学式(8)で表される疎水性アルキルアミンを該カルボキシル基と反応させyを導入することによってx:y:zの構成比を調節する方法などが挙げられる。
[水溶性ナノ粒子複合体の調製]
前記両親媒性ポリマーは、水溶性ナノ粒子複合体を形成するために使用される。ナノ粒子とは、ナノメートルスケールでの寸法を有する物質の微細な粒子であり、産業上の種々の利用において特に有用となる特性を示すナノ粒子が存在することが知られている。本発明においては、磁性、発光性又はプラズモン吸収性の特性を示すナノ粒子が好ましく用いられ、発光性を有するナノ粒子がより好ましく用いられる。
また本発明においては、ナノ粒子として半導体ナノ粒子が好ましく用いられる。半導体ナノ粒子とは、ナノメートルオーダーの半導体からなる粒子で、バンドギャップエネルギーに相当する蛍光を発する。無機半導体であるため有機色素と比較し安定であることなど高い蛍光特性を有することが知られている。また、粒子が小さくなるにつれて材料中の電子の状態が変わって、より短い波長の光を吸収したり放出したりする量子サイズ効果という現象により、粒子径を変化させることにより様々な波長の発光を得ることが可能となる。そして、本発明においては少なくとも周期表第12族元素と周期表第16族元素を含むか、又は周期表第11族元素と周期表第13族元素と周期表第16族元素を含むか、又は周期表第13族元素と周期表第15族元素を含む半導体ナノ粒子であることがより好ましい。
ナノ粒子の平均粒径については、量子サイズ効果が現れることを考慮し、1〜100nmが好ましく、1〜50nmがより好ましく、生体分子との反応を考慮すると1〜10nmが更に好ましい。なお、本発明で定義する水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径は、動的光散乱(DLS)法により測定後、CUMULANT法によって解析・算出することができる。
本発明における水溶性ナノ粒子複合体は、ナノ粒子表面と両親媒性ポリマー側鎖が疎水性相互作用による多点結合を通じて安定に会合されることによって形成される粒子であり、1つの水溶性ナノ粒子複合体に複数のナノ粒子を集積できることから、ナノ粒子の特性を向上させる効果を有しており、例えば、発光性ナノ粒子を水溶性ナノ粒子複合体に集積させた場合においては、粒子当たりの発光強度を向上させる効果が期待できる(図1参照)。
水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径は、ナノ粒子の特性を向上させるという観点において50〜500nmの範囲であるのが好ましい。水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径は両親媒性ポリマーの構成成分の合計値(x+y+z)、すなわち重合度(DP)によって制御することができる。なお、本発明で定義する水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径は、動的光散乱(DLS)法により測定後、CUMULANT法によって解析・算出することができる。
本発明の水溶性ナノ粒子複合体の調製方法としては、ナノ粒子を分散させた有機溶媒と、前記両親媒性ポリマーを水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を混合し、水溶液層から水溶性ナノ粒子複合体を回収する方法が挙げられ、その具体的手順は以下の通りである。
まず、ナノ粒子を分散させた有機溶媒及び水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を準備する。ナノ粒子を分散させる有機溶媒としては、ピリジン、ヘキサン、シクロへキサン、メチレンクロライド、クロロホルム又はテトラヒドロフランが挙げられるが、クロロホルムが好ましく用いられる。また、両親媒性ポリマーを溶解させる水系溶媒としては塩基性であることが好ましく、具体的には、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムの水溶液をpH9〜10に調整したものが好ましく用いられる。
次に、ナノ粒子を分散させた有機溶媒と両親媒性ポリマー溶液を混合するが、その際、ナノ粒子を分散させた有機溶媒に、有機溶媒と水系溶媒の両方に相溶性を有する溶媒を加えて混合し、その後、両親媒性ポリマー溶液を混合することが好ましい。有機溶媒と水系溶媒の両方に相溶性を有する溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタンールなどのアルコール類が挙げられるが、2−プロパノールが好ましく用いられる。
ナノ粒子を分散させた有機溶媒と両親媒性ポリマー溶液の混合液を、室温下で1〜9時間攪拌し、次いで、水溶液層を回収し、水透析を行った後、フィルターを通し凝集物や沈殿物を取り除いてから、エバポレーションにより濃縮することにより水溶性ナノ粒子複合体を得ることができる。
以下、実施例に沿って本発明の特徴を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 両親媒性ポリマーの合成1
乾燥アルゴン雰囲気下、アセトニトリル(40mL)の溶媒中、開始剤のメチルパラトシラート(0.3mmoL,0.045mL)とモノマーの2−エチル−2−オキサゾリン(EtOx)(116mmoL,11.7mL)を加え、カチオン開環重合を行った。恒温槽50℃で10日間反応させた後、室温に冷却し、1M NaOH・メタノール混合溶媒によって停止反応を行った。水透析により精製後、減圧乾燥にて8gの重合体を回収した。得られたポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEtOx)の重合度と多分散度は、それぞれH−NMRスペクトラムとGPCダイアグラムにより確認された(重合度(DP)=373、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.3)。側鎖分解反応によって線状型ポリエチレンイミン(PEI)を得るため、PEtOx(3g)を37%塩酸(30mL)と水(24mL)の混合溶媒に溶解させ、約110℃で24時間還流させた。反応溶液が完全に透明になるまでNaOHペレットを投入しながら、pH9〜10に調整した後、水透析、凍結乾燥にて1.1gのPEIを回収した。得られた重合体の組成は、H−NMRスペクトラムにより確認した(図2)。
次いで、PEI(0.031mmoL、500mg)の水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)混合溶媒中に無水コハク酸(9.8mmoL、980mg)を入れて、室温で攪拌しながら24時間反応させた後、メタノール透析、水透析を順次に行った。透析後に凍結乾燥にて側鎖にカルボキシル基が導入されたmPEI−COOH(1.3g)を得た(図3、H−NMRスペクトラムからの導入率は80%)。その後、mPEI−COOH(100mg)の水(5mL)/ジメチルホルムアミド(DMF)(1mL)混合溶液に、n−オクチルアミン(nOA)(0.15mmoL、0.019mL)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)(0.2mmoL、38.4mg)を投入し、室温で12時間反応させた。メタノール透析、水透析を行った後、凍結乾燥にて側鎖のカルボキシル基の一部を疎水性反応基に変換した両親媒性ポリマー113mgを回収した。
得られた両親媒性ポリマーの各構成成分の構成比を、H−NMRスペクトラムのエチレンイミン(−NHCHCH−)のメチレン水素(a,d)、側鎖のカルボキシル基のメチレン水素(b,c,e,f)、nOAのアルキル水素(h,i,j,k,l,m,n)の積分値比により計算したところ、得られた両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.62、y/(x+y+z)=0.18及びz/(x+y+z)=0.20)であることを確認した(図4、重合体2)。
実施例2 両親媒性ポリマーの合成2
実施例1で得られた両親媒性ポリマーとは側鎖の構成比が異なるものについて、実施例1と同様の合成操作を行った。得られた両親媒性ポリマーの組成は以下に示す通りであった。
(重合体1)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(40mL)、メチルパラトシラート(0.3mmoL,0.045mL)、EtOx(116mmoL,11.7mL)、収量:8g、重合度(DP)=373、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.3)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.1g。
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.031mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(6.4mmoL、640mg)、収量:1g。
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.3mmoL、0.038mL)、EDAC(0.4mmoL、76.8mg)、収量:130mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.22、y/(x+y+z)=0.28及びz/(x+y+z)=0.50)(DP=373、PDI=1.3)であった。
(重合体3)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(36mL)、メチルパラトシラート(0.3mmoL,0.045mL)、EtOx(96mmoL,9.7mL)、収量:7g、重合度(DP)=302、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.1)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.2g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.038mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(8.6mmoL、860mg)、収量:1.3g
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.58mmoL、0.075mL)、EDAC(0.65mmoL、124.6mg)、収量:170mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.05、y/(x+y+z)=0.65及びz/(x+y+z)=0.30)(DP=302、PDI=1.1)であった。
(重合体4)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(36mL)、メチルパラトシラート(0.3mmoL,0.045mL)、EtOx(96mmoL,9.7mL)、収量:7g、重合度(DP)=302、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.1)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.2g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.038mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(9mmoL、900mg)、収量:1.35g
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.1mmoL、0.013mL)、EDAC(0.15mmoL、28.8mg)、収量:105mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.61、y/(x+y+z)=0.12及びz/(x+y+z)=0.27)(DP=302、PDI=1.1)であった。
(重合体5)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(30mL)、メチルパラトシラート(2mmoL,0.3mL)、EtOx(88.4mmoL,8.92mL)、収量:8g、重合度(DP)=43、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.08)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.1g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.26mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(6.2mmoL、620mg)、収量:1g。
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.03mmoL、0.004mL)、EDAC(0.1mmoL、19.2mg)、収量:103mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.45、y/(x+y+z)=0.05及びz/(x+y+z)=0.50)(DP=43、PDI=1.08)であった。
(重合体6)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(30mL)、メチルパラトシラート(2mmoL,0.3mL)、EtOx(88.4mmoL,8.92mL)、収率:8g、重合度(DP)=43、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.08)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.1g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果
仕込み量:PEI(0.26mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(7.7mmoL、770mg)、収量:1.2g
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.1mmoL、0.013mL)、EDAC(0.15mmoL、28.8mg)、収量:111mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.54、y/(x+y+z)=0.10及びz/(x+y+z)=0.36)(DP=43、PDI=1.08)であった。
(重合体7)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(30mL)、メチルパラトシラート(4mmoL,0.6mL)、EtOx(88.4mmoL,8.92mL)、収量:7g、重合度(DP)=22、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.1)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.2g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.53mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(11.1mmoL、1.1g)、収量:1.5g
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.14mmoL、0.018mL)、EDAC(0.2mmoL、38.3mg)、収量:115mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.72、y/(x+y+z)=0.18及びz/(x+y+z)=0.10)(DP=22、PDI=1.1)であった。
(重合体8)
[PEtOxの合成条件及び結果]
仕込み量:アセトニトリル(30mL)、メチルパラトシラート(4mmoL,0.6mL)、EtOx(88.4mmoL,8.92mL)、収量:7g、重合度(DP)=22、多分散度(PDI:Mw/Mn)=1.1)
[PEIの合成条件及び結果]
仕込み量:PEtOx(3g)、37%塩酸(30mL)/水(24mL)、収量:1.2g
[mPEI−COOHの合成条件及び結果]
仕込み量:PEI(0.53mmoL、500mg)、水(2.5mL)/アセトニトリル(2.5mL)、無水コハク酸(12.2mmoL、1.2g)、収量:1.6g
[mPEI−COOH−nOA−EIの合成条件及び結果]
仕込み量:mPEI−COOH(100mg)、水(5mL)/DMF(1mL)、nOA(0.15mmoL、0.019mL)、EDAC(0.2mmoL、38.3mg)、収量:117mg
H−NMRスペクトラムの積分値比により計算した両親媒性ポリマーの構成比は、mPEI−COOH(x)−nOA(y)−EI(z)(x/(x+y+z)=0.79、y/(x+y+z)=0.20及びz/(x+y+z)=0.01)(DP=22、PDI=1.1)であった。
実施例3 水溶性ナノ粒子複合体の調整
(半導体ナノ粒子の調整)
Zn(NO、In(NO、AgNOを(1−2x):x:xの割合(ここで合成したのはx=0.2)で含む水溶液(金属イオン濃度0.1mol・dm)に、0.1mol・dm−3のN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液を添加することにより、ジエチルジチオカルバミド酸塩(Zn(1−2x)InAg(SCN(C、以下、原料錯体とする)の沈殿を得た。得られた錯体は、水で洗浄し、更にメタノールで洗浄した後に減圧乾燥し、粉末とした。この粉末50mgとマグネチックスターラーバーを試験管に入れてセプタムキャップで封をし、内部をアルゴンガス置換した。続いて、オイルバスを用い、攪拌しながら180℃で3分間加熱することにより、錯体を熱分解させた。室温まで冷却し、アルキルアミンとしてアルゴン雰囲気下にてオレイルアミン3mLを添加した後、再びオイルバスを用い、攪拌しながら180℃で3分間加熱した。室温まで冷却した後、遠心分離により上澄みを回収した。この上澄みは、オレイルアミンで修飾された半導体ナノ粒子がオレイルアミン自身を溶媒として分散している状態と考えられる。ここに等量のメタノールを加えて半導体ナノ粒子を沈殿させ、遠心分離により余剰のオレイルアミンを除去する操作を三回繰り返した。得られた固形物をクロロホルムに分散させ、オレイルアミン修飾半導体ナノ粒子(ZnAgInS)のクロロホルム溶液を調製した。
(水溶性ナノ粒子複合体の調整)
サンプル管の中に半導体ナノ粒子(ZnAgInS)のクロロホルム溶液(3mL)と2−プロパノール(1mL)を混合した後、50mg/mLの両親媒性ポリマー水溶液(重合体1〜8)(3mL)を注入・攪拌した。同時に、1M NaOHを滴下することによって混合溶液のpHを9〜10に調整しながら、ナノ粒子の水溶化を行った。クロロホルム層のナノ粒子が水層に移動しない時点をもって、水層の溶液を回収し、水透析を行った。次いで、0.2μmフィルターを通し凝集物や沈殿物を取り除いてから、エバポレーションにて濃縮させた。
実施例4 水溶性ナノ粒子複合体の評価1
(水溶化効率)
実施例3で得られた水溶性ナノ粒子複合体の水溶化効率は、他の混合条件一定下で、同じ濃度に調製した半導体ナノ粒子(ZnAgInS)のクロロホルム溶液(3mL)に対し、50mg/mLの両親媒性ポリマー水溶液(3mL)を注入・攪拌した場合、オレンジ色を示す半導体ナノ粒子が下部有機系溶媒層から上部水系溶媒層へ完全に移動可能かの可否により評価した。結果を表1に示す。
以上の結果、実施例3で調整した全ての水溶性ナノ粒子複合体において水溶化することが確認された。特に、両親媒性ポリマーの構成比が、x/(x+y+z)=0.50〜0.75、y/(x+y+z)=0.10〜0.20及びz/(x+y+z)=0.10〜0.40の範囲を満たすもの(重合体2、4、6、7)から得られる水溶性ナノ粒子複合体については、良好な水溶性を示した。
実施例5 水溶性ナノ粒子複合体の評価2
実施例4で評価した水溶性ナノ粒子複合体のうち、良好な水溶性を示したもの(重合体2、6、7)について、平均粒径及び粒径分布を動的光散乱(DLS)法により測定した。DLS法による測定は大塚電子社製のゼータ電位・粒径測定システムELS−Z1/Z2を用いて行い、解析はCUMULANT法によって解析し、平均粒径と粒径分布の情報を算出した。結果を表2に示す。
重合体2を用いた場合、水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径(d(nm))は、226.5nmであり、粒径分布は約5mg/mLの水溶液濃度において、2.383e−001でユニモーダルであることから、全体的によく揃っている複合体が形成されたことを確認した(図5)。
重合体6を用いた場合、水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径(d(nm))は、186.1nmであり、粒径分布は約5mg/mLの水溶液濃度において、1.814e−001でユニモーダルであることから、全体的によく揃っている複合体が形成されたことを確認した(図6)。
重合体7を用いた場合、水溶性ナノ粒子複合体の平均粒径(d(nm))は、155.0nmであり、粒径分布は約5mg/mLの水溶液濃度において、1.783e−001でユニモーダルであることから、全体的によく揃っている複合体が形成されたことを確認した(図7)。
実施例6 水溶性ナノ粒子複合体の透過型電子顕微鏡(TEM)測定
実施例3で調整した水溶性ナノ粒子複合体(重合体2)及び集積されなかったナノ粒子の有無、ならびに水溶性ナノ粒子複合体の形態を確認する目的で、分散法(試料をクロロホルムで20倍希釈し、TEM用メッシュに載せて乾燥する方法)により透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した結果、複数のナノ粒子を集積した水溶性ナノ粒子複合体が形成されたことが確認された(図8)。
実施例7 水溶性ナノ粒子複合体の発光量測定
実施例3の重合体2を用いて調製された水溶性ナノ粒子複合体について、発光スペクトルを測定した。測定は蛍光分光測定装置(FluoroMax−3、HORIBA JOBIN YVON製)を用い行った。常温下、波長488nmの光を照射することにより測定(スペクトル収集波長:500−900nm)を行ったところ、図9に示したようにナノ粒子の水溶化反応後においても発光が確認された。この結果から、両親媒性ポリマーによって集積された半導体ナノ粒子は、発光能を保持しまま水溶化できたことが明らかとなった。
本発明に係る水溶性ナノ粒子複合体は、精密制御された組成を持つ両親媒性ポリマーを用いることにより、水溶液中で効率良く水溶化され、かつ、複数の発光性ナノ粒子を均一な粒径で集積できることから、生体診断及び生体治療に応用することができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位
    (式中、R1は−COOH、−OH、−NH又は(OCHCHR’(ここで、R’は−COOH、−OH、−NH、−SH、−OCN、−CHO、−CH=CH、−C≡CH又はN、lは1〜30の整数である。)であり、mは1〜10の整数である。)、
    下記式(2)で表される繰り返し単位
    (式中、R2は炭素数1〜20のアルキル基であり、nは1〜10の整数である。)及び
    下式(3)で表される繰り返し単位
    を含み、式(1)の繰返し単位数x、式(2)の繰返し単位数y及び式(3)の繰返し単位数zが、x/(x+y+z)=0.05〜0.80、y/(x+y+z)=0.05〜0.65及びz/(x+y+z)=0.01〜0.50であることを特徴とする、両親媒性ポリマー。
  2. 前記x、y及びzが、x/(x+y+z)=0.50〜0.75、y/(x+y+z)=0.10〜0.20及びz/(x+y+z)=0.10〜0.40であることを特徴とする、請求項1に記載の両親媒性ポリマー。
  3. 前記x、y及びzが、x+y+z=10〜400であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の両親媒性ポリマー。
  4. 前記両親媒性ポリマー及びナノ粒子を含む、水溶性ナノ粒子複合体。
  5. 平均粒径が50〜500nmであることを特徴とする、請求項4に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
  6. 前記ナノ粒子が磁性、発光性又はプラズモン吸収性を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
  7. 前記ナノ粒子が半導体ナノ粒子であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
  8. 前記半導体ナノ粒子が発光性を有することを特徴とする、請求項7に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
  9. 前記半導体ナノ粒子が、少なくとも周期表第12族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子、周期表第11族元素、周期表第13族元素及び周期表第16族元素を含む半導体ナノ粒子あるいは周期表第13族元素及び周期表第15族元素を含む半導体ナノ粒子であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の水溶性ナノ粒子複合体。
  10. 前記ナノ粒子を分散させた有機溶媒に、前記両親媒性ポリマーを水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を混合し、水溶液層から前記水溶性ナノ粒子複合体を回収することを特徴とする、水溶性ナノ粒子複合体の製造方法。
  11. 前記ナノ粒子を分散させた有機溶媒に、有機溶媒及び水系溶媒の両方に相溶性を有する溶媒を混合した後、前記両親媒性ポリマーを塩基性水系溶媒に溶解させた両親媒性ポリマー溶液を混合し、水溶液層から前記水溶性ナノ粒子複合体を回収することを特徴とする、請求項10に記載の水溶性ナノ粒子複合体の製造方法。
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