JP2011100779A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コスト且つ高生産効率で量子ドットの半導体層を形成でき、またこの量子ドットの半導体層をもつ半導体装置を大量生産することができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面にシリコン窒化膜2が形成されたシリコン粒子1(ナノ粒子)が面心立方格子の格子点の位置に存在し、面心立方格子の一面に存在する各シリコン粒子1は、その3軸が直交する位置にある4個のシリコン粒子1が面心の位置にあるシリコン粒子1に接触している。これにより、シリコン粒子1等の各導電体粒子が、シリコン窒化膜2等の絶縁膜により絶縁分離されて、ほぼ等間隔で配置された量子ドットが形成され、この層は半導体としての性質を有する。シリコン粒子1は、面心立方格子の位置に限らず、体心立方格子等の最密充填の位置似配置してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、量子ドットを利用した半導体層をもつ半導体装置及びその製造方法に関する。
量子ドットは、約10nm以下の領域に電子を閉じ込めることにより、電子の量子力学的な波としての性質を使用するものである。近時、この量子ドットの性質を利用した太陽電池の開発が試みられている。量子ドットは、その大きさを変えることにより、サイズに応じて吸収する光の波長が変化し(量子サイズ効果)、小さい量子ドットは短波長の光(青色光)を吸収し、大きな量子ドットは長波長の光(赤色光)を吸収する。量子ドットを並べるとその相互作用により新しい光吸収帯が形成されて光を吸収する波長の幅を広げることができる。これにより、理論的には、極めて高い変換効率の太陽電池を得ることができる。このような量子ドットの効果を十分発揮させるためには、均一な大きさの量子ドットを3次元的に規則正しく、高密度で並べる必要がある。
太陽電池用のセルとして、所謂第1世代においては、結晶シリコンが使用されていたが、第2世代においては、アモルファスシリコン及び微結晶シリコンの薄膜シリコンセルが使用されている。この第2世代の薄膜シリコンセルにおいては、その変換効率の向上が種々研究開発されてきたが、近時、上記従前の材料の変換効率の理論限界(最高で28%程度)を大きく超える理論変換効率(60%超)が得られる可能性がある太陽電池セルとして、量子ドット太陽電池が注目されている(非特許文献1)。この量子ドットは、非特許文献1では、数nm〜数10nmのナノ結晶構造を、基板結晶上にエピタキシャル成長させる方法で作成されている。
この量子ドットの形成方法として、半導体基板の上に、SK(Stranski-Krastanov)モード(自己形成方法)により、InとAsとを含む量子ドットを形成した量子ドットレーザ素子に適用される半導体装置の製造方法が開示されている(特許文献1の段落0010)。また、特許文献2には、光起電装置又は太陽電池に使用されるナノ構造層として、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等の溶液プロセス法により、ナノ粒子層を析出させたことが記載されている(段落0039)。更に、金属又は半導体粒子を内包するフェリチン及び非イオン性界面活性剤を含む溶液を基板に滴下し、フェリチンをソース電極とドレイン電極との間に選択的に配置し、フェリチンを分解して金属又は半導体粒子からなる量子ドットを形成する単電子半導体素子の製造方法が開示されている(特許文献3の段落0016)。特許文献4には、AlInGaN発光デバイスが記載されており、この発光デバイスは、InGaN量子ドット又はInGaN量子細線を含む活性領域を有し、分子線エピタキシー(MBE)又は有機金属気相エピタキシー(MOVPE)により製造されている(請求項1、段落0025)。この他、電子線描画によるリソグラフィにより量子ドットを形成する方法がある。
特開2009−141032号公報 特表2009−527108号公報 WO2007/091364号公報 特開2009−170921号公報
Science & Technology Trends January 2008 feature article 02(http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt082j/0801_03_featurearticles/0801
しかしながら、上述のエピタキシャル成長法、SK法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、フェリチンの分解により量子ドットを形成する方法、MBE又はMOVPE法、及び電子線描画法では、量子ドットの規則構造を、低コストで、大量に形成することが困難であるという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、低コスト且つ高生産効率で量子ドットの半導体層を形成でき、またこの量子ドットの半導体層をもつ半導体装置を大量生産することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体装置は、粒子径が5乃至1000nmの複数個のシリコン粒子が規則的に配置されたベース構造を有し、前記シリコン粒子には、その表面にのみ厚さが1乃至100nmのシリコン窒化膜が形成されている半導体層を有することを特徴とする。
この半導体装置において、前記シリコン粒子は、最密充填の位置に配置されていることが好ましい。例えば、前記シリコン粒子は、面心立方格子又は体心立方格子の各格子位置に位置していることが好ましい。
また、本発明に係る他の半導体装置は、粒子径が5乃至1000nmの金属又は半導体からなるナノ粒子であって、その表面にのみ厚さが1乃至100nmの絶縁膜が形成された複数個のナノ粒子が規則的に配置されて構成された半導体層を有することを特徴とする。
この半導体装置において、前記ナノ粒子は、最密充填の位置に配置されていることが好ましい。例えば、前記ナノ粒子は、面心立方格子又は体心立方格子の各格子位置に位置していることが好ましい。
更に、本発明に係る半導体装置の製造方法は、粒子径が5乃至1000nmのシリコン粒子の表面を窒化させて前記シリコン粒子の表面にのみ厚さが1乃至100nmのシリコン窒化膜を形成する工程と、窒化処理後の前記シリコン粒子を分散させた溶液に基板を浸漬し、前記基板を前記溶液から引き上げることにより前記シリコン粒子の層を前記基板に付着させ、前記基板の浸漬及び引き上げを繰り返すことにより、前記シリコン粒子が最密充填により規則的に配置された半導体層を複数層堆積する工程と、を有することを特徴とする。
更にまた、本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、粒子径が5乃至1000nmの金属又は半導体からなるナノ粒子の表面にのみ、前記表面の酸化若しくは窒化又は樹脂の被覆により厚さが1乃至100nmの絶縁膜を形成する工程と、この絶縁膜が形成されたナノ粒子を分散させた溶液に、ガラス、プラスチック、樹脂又は金属からなる基板を浸漬し、前記基板を前記溶液から引き上げることにより前記ナノ粒子の層を前記基板に付着させ、前記基板の浸漬及び引き上げを繰り返すことにより、前記ナノ粒子が最密充填により規則的に配置された半導体層を複数層堆積する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、絶縁膜で被覆され粒径が5乃至1000nmの微粒子であるシリコン粒子又はナノ粒子等の導電体粒子からなる量子ドットを、規則正しく配置することができ、しかも、絶縁被覆されたシリコン粒子又はナノ粒子を分散させた溶液中に基板を浸漬して、それを溶液から引き上げるだけで、基板上に絶縁被覆されたシリコン粒子又はナノ粒子が最密充填で規則的に配置された半導体層を複数層堆積することができるので、低コストで且つ高生産効率で、量子ドット半導体層を形成することができる。
本発明の実施形態に係る半導体装置の粒子構造(量子ドット)を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る半導体装置の粒子構造(量子ドット)を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の半導体層の粒子構造を示す模式図、図2はその製造方法を示す模式図である。本実施形態の半導体装置においては、図1に示すように、シリコン粒子1の表面に、シリコン窒化膜2が形成されている。このシリコン粒子1は、粒子径が5乃至1000nmのナノ粒子であり、このシリコン粒子1を、窒素ガス又はアンモニアガスを含む窒素雰囲気中で加熱することにより、シリコン粒子1の表面に厚さが1乃至100nmのシリコン窒化膜を形成することができる。このシリコン粒子1の窒化処理は、窒素分圧が例えば1kPa乃至10kPa、加熱温度が常温乃至1000℃の条件で行うことができる。シリコン粒子1の窒化処理は、シリコン粒子1の表面に絶縁膜を形成するために行うが、窒化処理により形成されるシリコン窒化膜2は、その生成速度が遅く、シリコン粒子1の表面にのみシリコン窒化膜2を形成し、内部にシリコンの部分を残存させる制御が容易である。シリコン粒子1の酸化によっても、シリコン粒子1の表面に酸化膜という絶縁膜を形成することができるが、酸化の場合は、シリコンの酸化速度が速いため、粒子の内部奥深くまで酸化されやすく、シリコン粒子の表面にのみ、厚さが1乃至100nmの絶縁膜を形成するための制御が難しい。よって、シリコン粒子1の表面を窒化することによりシリコン粒子1の表面にシリコン窒化膜2を形成した微粒子を、量子ドットとして使用することが好ましい。但し、上述のように、シリコン粒子1の表面を酸化することにより、表面に絶縁膜を形成した微粒子、又は、他の金属粒子若しくは半導体粒子の表面を、窒化若しくは酸化処理することによりその表面に窒化膜又は酸化膜を形成した微粒子、又は、金属粒子若しくは半導体粒子の表面を、樹脂により被覆することにより、その表面に絶縁膜を形成した微粒子も、その絶縁膜の厚さが1乃至100nmであり、内部に、金属又は半導体からなる導電体の部分がある微粒子であれば、量子ドットとして使用することができる。なお、金属粒子としては、例えば、インジウム(In)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等のレア・メタル、金(Au)、銀(Ag)等の貴金属があり、凝集用のナノ粒子として市販されている。半導体粒子としては、シリコン粒子が代表的であり、同様に凝集用のものが市販されている。
シリコン窒化膜2が表面に形成されたシリコン粒子1は、図1に示すように、例えば、面心立方格子の格子点の位置に存在する。即ち、面心立方格子の一面に存在する各シリコン粒子1は、その3軸が直交する位置にある4個のシリコン粒子1が面心の位置にあるシリコン粒子1に接触している。
この図1に示す構造の半導体層は、以下のようにして形成することができる。図2に示すように、シリコン窒化膜2が形成されたシリコン粒子1を、均一に分散させた溶液11を、容器10内に貯留する。この溶液11の溶媒としては水を使用することができる。基板12は支持部材13に吊り下げられており、この支持部材13は昇降装置14により上下動可能になっている。そして、昇降装置14により支持部材13を介して基板12を下降させ、基板12を溶液11内に浸漬する。これにより、この基板12の表面に溶液11の層が付着する。そして、昇降装置13により、基板12を引き上げると、基板12の表面に付着した溶液11の層は、乾燥する過程で、表面張力により縮み、溶液内の粒子が最密充填の位置に位置して固化する。これにより、最密充填の結晶構造が面心立方格子の場合には、図1に示すように、シリコン粒子1が面心立方格子の格子点に位置するように配置される。このような面心立方格子の結晶構造(粒子の配置構造)が3次元的に形成される。基板12の材質としては、ガラス、プラスチック、鉄板及びアルミニウムホイル等を使用することができ、更に、薄膜樹脂シート等も使用できる。
このようにして、図1に示すように、最密充填により、面心立方格子の格子点の位置に、表面にシリコン窒化膜が形成されたシリコン粒子1が配置された3次元結晶構造の半導体層が形成される。粒径が5乃至1000nmのシリコン粒子1の部分は半導体であり、各シリコン粒子1は、膜厚が1乃至100nmのシリコン窒化膜2により絶縁分離されているから、この図1に示す層は、シリコン粒子の粒径及びシリコン窒化膜の膜厚が適切であると、約10nm以下の領域に電子を閉じ込めた量子ドットの構造を有するものとなり、半導体のバンドギャップをもち、半導体としての性質を有する。このようにして得られた半導体層は、量子ドットが規則的に配列されたものであるが、このシリコン粒子径及びシリコン窒化膜の膜厚を任意に調節すれば、任意のバンドギャップを形成することができる。
以上の製造方法は、シリコン粒子の表面にシリコン窒化膜を形成した微粒子に限らず、粒子径が5乃至1000nmの金属又は半導体からなるナノ粒子の表面にのみ、前記表面の酸化若しくは窒化又は樹脂の被覆により厚さが1乃至100nmの絶縁膜を形成した微粒子を使用した場合も、同様に適用することができる。
このようにして、極めて容易に且つ高生産性で、量子ドットの半導体層を形成することができる。量子ドットは約10nm以下の領域に電子を閉じ込めることにより、半導体のバンドギャップを形成する技術である。即ち、この量子ドットが形成された層は、半導体としての性質を具備する。そして、この量子ドットを規則的に配列すれば、任意の特性をもつ人口結晶を作成することができる。これは、従前の半導体材料(Si,C,GaAs等)を使用せずに、任意の設計の半導体を制作できることを意味している。即ち、導電体粒子として、任意の金属材料を使用して、半導体の性質をもつ層を形成することができる。そして、従来の量子ドットの半導体層の形成方法(MOCVD、電子線描画によるリソグラフィ等)では、低コストでこのような量子ドット半導体層を形成することが困難である。これに対し、本発明によれば、上述のごとく、簡単な方法で量子ドットの半導体層を低コストで大量に製造することができる。
この高生産性は、シリコン窒化膜2等の絶縁膜が形成されたシリコン粒子1等の導電体粒子又は半導体粒子を均一に分散した溶液を基板に付着させて引き上げたときに、シリコン粒子1等が最密充填の位置に凝縮して固化することを利用し、このシリコン粒子1により形成されたベース構造の骨格構造が、微細なシリコン粒子1を等間隔で分布させたものであることにより得られる。
よって、このシリコン粒子1の配置は、上記実施形態のように、面心立方格子の位置に限らず、種々の配置態様が考えられる。例えば、図3に示すように、シリコン粒子1を体心立方格子の位置に配置することもできる。図3においては、シリコン粒子1が体心立方格子の結晶構造の各格子点の位置に位置する。この場合に、体心立方格子の位置に配置されたシリコン粒子1においては、立方格子の3軸が直交する位置に配置されたシリコン粒子1は、その全てが、体心位置に配置されたシリコン粒子1に接触している。
このようにして、体心立方格子の格子位置にシリコン粒子1を配置しても、量子ドットを形成することができる。結局、シリコン粒子又は金属粒子若しくは半導体粒子からなる導電体粒子を最密充填の位置に配置し、それらの導電体粒子の表面にシリコン窒化膜2等の絶縁膜を形成して、各導電体粒子を絶縁分離すればよく、これにより、シリコン粒子1は、夫々絶縁分離されて等間隔に配置されることになり、シリコン粒子1の直径(粒径)を適切に選択すれば、等間隔に配置されたシリコン粒子1は量子ドットを構成することになる。
上述の実施形態は、面心立方格子の位置及び体心立方格子の位置にシリコン粒子1が位置した場合についてのものであるが、この結晶格子の構成は、構成粒子の形状により影響を受ける。また、上記最密充填の結晶格子の説明は、いずれも、粒子が真球であると仮定した場合のものである。実際には、各粒子は、真球ではないので、シリコン粒子1間の距離は、厳密に一定であるわけではない。
本発明は、量子ドットを均一に一定の間隔で並べることができるので、太陽光を高効率で電気エネルギに変換する太陽電池のセルとして、極めて有用である。
1:シリコン粒子
2:シリコン窒化膜
10:容器
11:溶液
12:基板
13:支持部材
14:昇降装置

Claims (8)

  1. 粒子径が5乃至1000nmの複数個のシリコン粒子が規則的に配置されたベース構造を有し、前記シリコン粒子には、その表面にのみ厚さが1乃至100nmのシリコン窒化膜が形成されている半導体層を有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記シリコン粒子は、最密充填の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記シリコン粒子は、面心立方格子又は体心立方格子の各格子位置に位置していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 粒子径が5乃至1000nmの金属又は半導体からなるナノ粒子であって、その表面にのみ厚さが1乃至100nmの絶縁膜が形成された複数個のナノ粒子が規則的に配置されて構成された半導体層を有することを特徴とする半導体装置。
  5. 前記ナノ粒子は、最密充填の位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記ナノ粒子は、面心立方格子又は体心立方格子の各格子位置に位置していることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
  7. 粒子径が5乃至1000nmのシリコン粒子の表面を窒化させて前記シリコン粒子の表面にのみ厚さが1乃至100nmのシリコン窒化膜を形成する工程と、
    窒化処理後の前記シリコン粒子を分散させた溶液に基板を浸漬し、前記基板を前記溶液から引き上げることにより前記シリコン粒子の層を前記基板に付着させ、前記基板の浸漬及び引き上げを繰り返すことにより、前記シリコン粒子が最密充填により規則的に配置された半導体層を複数層堆積する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 粒子径が5乃至1000nmの金属又は半導体からなるナノ粒子の表面にのみ、前記表面の酸化若しくは窒化又は樹脂の被覆により厚さが1乃至100nmの絶縁膜を形成する工程と、
    この絶縁膜が形成されたナノ粒子を分散させた溶液に、ガラス、プラスチック、樹脂又は金属からなる基板を浸漬し、前記基板を前記溶液から引き上げることにより前記ナノ粒子の層を前記基板に付着させ、前記基板の浸漬及び引き上げを繰り返すことにより、前記ナノ粒子が最密充填により規則的に配置された半導体層を複数層堆積する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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