JP2011100663A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロピレンカーボネート系の溶媒を用いた非水電解質電池において、初期特性および充放電サイクル特性の両方を向上できる非水電解質電池を提供する。
【解決手段】負極5は、負極集電体13の両面に、負極活物質層14が形成された構造を有する。負極活物質層14は、負極活物質と、結着剤とを含有する。負極活物質としては、六方晶構造のみの黒鉛と該黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される黒鉛を用いる。
【選択図】図4
【解決手段】負極5は、負極集電体13の両面に、負極活物質層14が形成された構造を有する。負極活物質層14は、負極活物質と、結着剤とを含有する。負極活物質としては、六方晶構造のみの黒鉛と該黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される黒鉛を用いる。
【選択図】図4
Description
この発明は、非水電解質電池に関する。さらに詳しくは、所定の比誘電率を有する非水溶媒を含有する非水電解質を備えた非水電解質電池に関する。
携帯型電子機器の電源として、充電可能な非水電解質二次電池が重要な位置を占めている。電子機器の小型軽量化を実現するためには、非水電解質二次電池の軽量、かつ小型化を図り、電子機器内の収納スペースを効率的に使うことが求められている。
このような非水電解質二次電池として、エネルギー密度および出力密度が大きいリチウムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電池の中でも、電解質にゲル電解質を採用したものは、ポリマーリチウム電池と称され、広く用いられている。
リチウムイオン二次電池では、正極活物質として、LiCoO2、LiNiO2、LiNixCo(1-x)O2、LiMn2O4などのリチウム遷移金属酸化物などを用いる。大きな放電容量を得るためには、例えばLiNiO2、LiNixCo(1-x)O2などのニッケル複合酸化物を正極活物質として用いる。負極活物質としては、例えばリチウム、およびその合金、炭素材料などを用いる。炭素材料としては、主に黒鉛などを用いる。
非水電解質としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いる。この非水溶媒には、誘電率、粘性および沸点が高い溶媒と、誘電率、粘性および沸点が低い溶媒とを混合して調製したものを用いる。すなわち、非水電解液には、電解質塩を良く溶解し、適切な粘性を有することが求められるため、誘電率および粘性が高く、沸点が高い溶媒と、誘電率および粘性が小さく、沸点が低い溶媒とを混合して調製したものを用いる。
誘電率、粘性および沸点が高い溶媒としては、環状の炭酸エステルや環状のラクトン類などが挙げられる。より具体的には、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、電解質塩を良く溶解するため、溶媒中のリチウムイオンの数を増やせるが、粘性が高いためリチウムイオンの移動度が小さくなる。
誘電率、粘性および沸点が低い溶媒としては、鎖状の炭酸エステルなどが挙げられる。より具体的には、例えばジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などが挙げられる。これらの非水溶媒は、電解質塩を溶かしにくいが、粘性が小さいためリチウムイオンの移動度が高くなる。
さらに、ポリマーリチウム電池に用いる非水電解液は、高分子化合物と相溶性を有する溶媒や高沸点を有する溶媒を含むように調製される。すなわち、ポリマーリチウム電池では、高分子化合物に非水電解液を膨潤させたゲル電解質を用いるため、非水電解液を構成する非水溶媒の選択に制限がある。
ポリマーリチウム電池では、非水電解液を高分子化合物に含浸させるため、高分子化合物との相溶性を有する非水溶媒を用いる必要がある。さらに、ポリマーリチウム電池では、外装材として柔らかいアルミラミネートフィルムを用いることから、非水電解液の気化による外装材の膨張を防止するために、高沸点を有する非水溶媒を用いる必要がある。このポリマーリチウムイオン電池に用いる非水溶媒として、プロピレンカーボネート系の溶媒は、高沸点であり、誘電率が高く塩の解離に有効で、融点は、エチレンカーボネートより低く低温特性をエチレンカーボネートほど損なわないので有用である。また、プロピレンカーボネートは、ゲル形成の際のホスト高分子化合物に相溶性のある溶媒であり、ゲル電解質を形成するのに有用である。
しかしながら、リチウムイオン二次電池では、負極に結晶性の高い黒鉛を用いた場合に、誘電率および粘性が高く沸点が高いプロピレンカーボネート系の溶媒を多量に用いると、初回充放電効率が低下してしまう問題が生じる。すなわち、プロピレンカーボネート系の溶媒がリチウムイオンと溶媒和して黒鉛層間にコインターカレートしたり、初回充電時に過剰に電解液と反応してしまい、初回充放電効率が低下する問題が生じる。
この問題に対して、例えば、特許文献1では、X線回折法により測定した時に得られる、菱面体晶構造(グラフェン面のABCスタッキング層)のピーク強度が強い黒鉛を用いることが提案されている。この黒鉛は、いわゆる乱層構造を有する。これにより、プロピレンカーボネートの黒鉛層面内部へのコインターカレーションが抑制され、溶媒分解による黒鉛層の剥離を抑制することが可能になる。さらに特許文献1では、上記の黒鉛にこの黒鉛系炭素質物より結晶性の劣る炭素質物にて被覆を行うことで良好な充放電容量を得ることが提案されている。
しかしながら、菱面体晶構造を含有している黒鉛は、初期特性は良いがサイクルに伴う劣化が大きい。菱面体晶構造は、黒鉛の粉砕加工によって六方晶構造から構造が変化し生成するが、相欠陥や無定形炭素も同時に生成するため、サイクル数を重ねることによりリチウムイオンの入出力特性が悪化する。
したがって、この発明の目的は、プロピレンカーボネート系の溶媒を用いた非水電解質電池において、初期特性および充放電サイクル特性の両方を向上できる非水電解質電池を提供することにある。
上述の課題を解決するために、この発明は、正極と、負極と、非水溶媒および電解質塩を含む非水電解質とを有し、負極は、六方晶構造のみの黒鉛と、黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素よりなる被覆層とから構成された被覆黒鉛を有し、非水溶媒は、プロピレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる一の溶媒を含み、一の溶媒の含有量は、非水溶媒の質量に対して、60質量%以上である非水電解質電池である。
この発明によれば、六方晶構造のみの黒鉛と、黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素よりなる被覆層とから構成された被覆黒鉛を負極に用いることで、プロピレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの誘導体の溶媒がリチウムイオンと溶媒和して黒鉛層間にコインターカレートすることや、負極が初回充電時に過剰に電解液と反応して電解液が分解することを抑制することができる。
この発明によれば、初期特性および充放電サイクル特性の両方を向上できる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
3.他の実施の形態(変形例)
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
3.他の実施の形態(変形例)
1.第1の実施の形態
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池について、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。この非水電解質電池1(以下、電池1と記す。)は、例えば、非水電解質として、高分子化合物に非水電解液を膨潤させたゲル電解質を用いたポリマーリチウム電池である。
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池について、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。この非水電解質電池1(以下、電池1と記す。)は、例えば、非水電解質として、高分子化合物に非水電解液を膨潤させたゲル電解質を用いたポリマーリチウム電池である。
図1に示すように、電池1は、発電要素となる電池素子2と、電池素子2を収容する外装材3とから構成されている。電池素子2には正極リード8および負極リード9が接続されている。この正極リード8および負極リード9は樹脂片16を介して外装材3に挟まれ、これらの一部が外装材3に挟まれた部分から外側に突出している。
(電池素子)
図2は、電池素子2の構成を示す斜視図である。図2に示すように、電池素子2は、長尺状の正極4と、長尺状の負極5と、正極4および負極5のそれぞれの両面に形成された非水電解質6と、非水電解質6が形成された正極4および負極5間に介在するセパレータ7とを有する。電池素子2は、非水電解質6が形成された正極4と負極5との間に、セパレータ7を介在させた状態で捲回した捲回構造を有する。正極4には正極リード8が接続され、負極5には負極リード9が接続される。正極リード8および負極リード9は、電池素子2の一方の端面から突出している。
図2は、電池素子2の構成を示す斜視図である。図2に示すように、電池素子2は、長尺状の正極4と、長尺状の負極5と、正極4および負極5のそれぞれの両面に形成された非水電解質6と、非水電解質6が形成された正極4および負極5間に介在するセパレータ7とを有する。電池素子2は、非水電解質6が形成された正極4と負極5との間に、セパレータ7を介在させた状態で捲回した捲回構造を有する。正極4には正極リード8が接続され、負極5には負極リード9が接続される。正極リード8および負極リード9は、電池素子2の一方の端面から突出している。
(正極)
図3は、正極の構成を示す略線図である。図3に示すように、正極4は、正極集電体10の両面に、正極活物質層11が形成された構造を有する。正極活物質層11は、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有する正極合剤塗液を正極集電体10上に塗布した後、乾燥し、加圧することにより、形成される。
図3は、正極の構成を示す略線図である。図3に示すように、正極4は、正極集電体10の両面に、正極活物質層11が形成された構造を有する。正極活物質層11は、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有する正極合剤塗液を正極集電体10上に塗布した後、乾燥し、加圧することにより、形成される。
(正極集電体)
正極集電体10は、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料により構成されている。正極4には、正極集電体10が露出する不塗工部12が設けられており、この不塗工部12に正極リード8が正極集電体10の幅方向に突出するように接続されている。正極リード8としては、例えばアルミニウムなどの導電性金属からなる短冊状金属片などを用いる。
正極集電体10は、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料により構成されている。正極4には、正極集電体10が露出する不塗工部12が設けられており、この不塗工部12に正極リード8が正極集電体10の幅方向に突出するように接続されている。正極リード8としては、例えばアルミニウムなどの導電性金属からなる短冊状金属片などを用いる。
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムと遷移金属とのリチウム複合酸化物を用いることができる。リチウム複合酸化物としては、具体的には例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4などが挙げられる。また、正極活物質としては、上述したリチウム複合酸化物の遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体、具体的には、LiNi0.5Co0.5O2、LiNi0.8Co0.2O2などを用いることができる。大きな放電容量を得るためには、LiNiO2、LiNixCo(1-x)O2などのニッケル複合酸化物を活物質として用いる必要がある。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属とのリチウム複合酸化物を用いることができる。リチウム複合酸化物としては、具体的には例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4などが挙げられる。また、正極活物質としては、上述したリチウム複合酸化物の遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体、具体的には、LiNi0.5Co0.5O2、LiNi0.8Co0.2O2などを用いることができる。大きな放電容量を得るためには、LiNiO2、LiNixCo(1-x)O2などのニッケル複合酸化物を活物質として用いる必要がある。
(導電剤)
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックおよびケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または複数種を混合して用いてもよい。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料および導電性高分子材料などを用いてもよい。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックおよびケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または複数種を混合して用いてもよい。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料および導電性高分子材料などを用いてもよい。
(結着剤)
結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを用いる。ポリフッ化ビニリデンは、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)やヘキサフルオロプロピレン(HFP)などを共重合させた構造をとっていてもよい。
結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを用いる。ポリフッ化ビニリデンは、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)やヘキサフルオロプロピレン(HFP)などを共重合させた構造をとっていてもよい。
(負極)
図4は、負極の構成を示す略線図である。負極5は、負極集電体13の両面に、負極活物質層14が形成された構造を有する。負極活物質層14は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体13上に塗布した後に、乾燥し、加圧することにより、形成される。
図4は、負極の構成を示す略線図である。負極5は、負極集電体13の両面に、負極活物質層14が形成された構造を有する。負極活物質層14は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体13上に塗布した後に、乾燥し、加圧することにより、形成される。
負極集電体13は、例えば、銅、ニッケルおよびステンレスなどの金属材料により構成されている。また、負極5には、負極集電体13が露出する不塗工部15が設けられており、この不塗工部15に負極リード9が負極集電体13の幅方向に突出するように接続されている。負極リード9としては、例えばニッケルなどの導電性金属からなる短冊状金属片などを用いる。
(負極活物質)
(被覆黒鉛)
負極活物質としては、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される黒鉛(以下被覆黒鉛と称する)を用いる。詳細は後述するが、この被覆黒鉛を負極活物質として用いることで、プロピレンカーボネート系の溶媒と溶媒和したリチウムイオン(以下、PC溶媒和リチウムイオン)のコインターカレートによる層間破壊やSEI(Solid Electrolyte Interphase)形成に伴う非水溶媒の分解を低減することができる。
(被覆黒鉛)
負極活物質としては、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される黒鉛(以下被覆黒鉛と称する)を用いる。詳細は後述するが、この被覆黒鉛を負極活物質として用いることで、プロピレンカーボネート系の溶媒と溶媒和したリチウムイオン(以下、PC溶媒和リチウムイオン)のコインターカレートによる層間破壊やSEI(Solid Electrolyte Interphase)形成に伴う非水溶媒の分解を低減することができる。
(六方晶構造のみの黒鉛)
六方晶構造のみの黒鉛は、X線回折法で測定した場合において、菱面体晶構造のピークが現れないものである。このような黒鉛としては、具体的には、例えば、メソフェーズ系球状黒鉛などが挙げられる。このメソフェーズ系球状黒鉛は、例えば、コールタールピッチなどを350℃〜500℃で焼成した後、さらに加熱処理することによって黒鉛化することで得られる。なお、被覆処理後の被覆黒鉛においても、X線回折法による菱面体晶構造のピークは現れない。
六方晶構造のみの黒鉛は、X線回折法で測定した場合において、菱面体晶構造のピークが現れないものである。このような黒鉛としては、具体的には、例えば、メソフェーズ系球状黒鉛などが挙げられる。このメソフェーズ系球状黒鉛は、例えば、コールタールピッチなどを350℃〜500℃で焼成した後、さらに加熱処理することによって黒鉛化することで得られる。なお、被覆処理後の被覆黒鉛においても、X線回折法による菱面体晶構造のピークは現れない。
この六方晶構造のみの黒鉛は、結晶化度が高いものである。例えば、この六方晶構造のみの黒鉛を波長5145Åのアルゴンレーザ光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1350とする。この六方晶構造のみの黒鉛は、この場合のR値(I1580/I1350)が0.05以上0.15以下を示すものである。なお、R値は、黒鉛の表面の結晶性に応じた値であり、R値が小さいものほど、結晶性が高く、R値が高いものほど結晶性が低い。
(被覆層)
被覆層は低結晶性炭素で構成される。この被覆層を有する被覆黒鉛を、波長5145Åのアルゴンレーザ光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1350とする。被覆黒鉛は、この場合のR値(I1580/I1350)が0.3以上0.8以下を示すものである。
被覆層は低結晶性炭素で構成される。この被覆層を有する被覆黒鉛を、波長5145Åのアルゴンレーザ光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピーク強度をI1350とする。被覆黒鉛は、この場合のR値(I1580/I1350)が0.3以上0.8以下を示すものである。
被覆層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、メカノケミカル法または液相処理法などを用いることができる。メカノケミカル法には、例えば、ホソカワミクロン製メカノフュージョン、ノビルタなどが使用できる。六方晶構造のみの黒鉛と、炭素質物質とを混合しメカノケミカル処理を行った後、不活性ガス雰囲気(例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気など)下で加熱することが好ましい。処理温度は1800℃以上2200℃以下の範囲で処理時間2時間以上5時間以下であることが好ましい。液相処理法は、六方晶構造のみの黒鉛をコールタールピッチと混練させ、2000℃以上2200℃以下にて5時間以上15時間以下熱処理を行うことが好ましい。炭素質物質としては、具体的には、例えば、コークスなどが挙げられる。
被覆層は、被覆黒鉛の質量に対して、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。被覆層が1質量%未満である場合には、初回充電時に非水溶媒の還元分解が激しく起こり、5質量%より多い場合には負極活物質の容量低下に繋がる。
[結着剤]
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンなどを用いる。さらに、ポリフッ化ビニリデンはスチレンブタジエンゴムなどの公知の結着剤を混合して用いてもよい。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンなどを用いる。さらに、ポリフッ化ビニリデンはスチレンブタジエンゴムなどの公知の結着剤を混合して用いてもよい。
(常温溶融塩)
なお、正極4および負極5の少なくとも何れかにN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME・TFSI)などの常温溶融塩を含むようにしてもよい。これにより、結着剤として用いるポリフッ化ビニリデンなどと常温溶融塩が複合化することで、ポリフッ化ビニリデンの結晶化度が低下して分子運動性が高まる。なお、複合化とは、ポリフッ化ビニリデンの高分子網目マトリックス内に常温溶融塩が内包されている状態を意味する。
なお、正極4および負極5の少なくとも何れかにN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME・TFSI)などの常温溶融塩を含むようにしてもよい。これにより、結着剤として用いるポリフッ化ビニリデンなどと常温溶融塩が複合化することで、ポリフッ化ビニリデンの結晶化度が低下して分子運動性が高まる。なお、複合化とは、ポリフッ化ビニリデンの高分子網目マトリックス内に常温溶融塩が内包されている状態を意味する。
この常温溶融塩を正極4に含ませた場合には、結着剤に非水電解質6に含まれる非水溶媒等を正極活物質層11に膨潤させやすく正極4のイオン伝導率を高くして電池特性を向上させるように作用する。また、結着剤の結晶化度が低くなることにより、電池1が低温環境下で放電した場合でも正極4のイオン伝導率の低下が抑えられ、電池1の低温特性の低下を抑制するように作用する。常温溶融塩を負極5に含ませた場合、ポリフッ化ビニリデンに常温溶融塩が取り込まれていることにより、上述した正極4と同様に結着剤に非水電解質6に含まれる非水溶媒等を負極活物質層14に膨潤させやすくなる。
(非水電解質)
非水電解質6は、非水電解液を高分子化合物に膨潤させたゲル状のゲル電解質である。非水電解液は、非水溶媒と、電解質塩とを含有する。
非水電解質6は、非水電解液を高分子化合物に膨潤させたゲル状のゲル電解質である。非水電解液は、非水溶媒と、電解質塩とを含有する。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、比誘電率が20以上の溶媒、いわゆる比誘電率の高い溶媒を1種以上用いる。比誘電率が20以上の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはこれらの化合物の水素原子をフッ素や塩素等のハロゲンなどの他の元素やアルキル基などで置換したエチレンカーボネートの誘導体若しくはプロピレンカーボネートの誘導体などが挙げられる。なお、本願明細書では、プロピレンカーボネート、プロピレンカーボネートの誘導体をプロピレンカーボネート系の溶媒と称することもある。また、比誘電率が20以上の溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、またはこれらの水素をハロゲンに置換した化合物なども挙げられる。これらの中でも、フルオロエチレンカーボネートを非水溶媒に含有すると、充放電の際に、脱溶媒和に伴う活性化障壁が下がるため好ましい。
非水溶媒としては、比誘電率が20以上の溶媒、いわゆる比誘電率の高い溶媒を1種以上用いる。比誘電率が20以上の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはこれらの化合物の水素原子をフッ素や塩素等のハロゲンなどの他の元素やアルキル基などで置換したエチレンカーボネートの誘導体若しくはプロピレンカーボネートの誘導体などが挙げられる。なお、本願明細書では、プロピレンカーボネート、プロピレンカーボネートの誘導体をプロピレンカーボネート系の溶媒と称することもある。また、比誘電率が20以上の溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、またはこれらの水素をハロゲンに置換した化合物なども挙げられる。これらの中でも、フルオロエチレンカーボネートを非水溶媒に含有すると、充放電の際に、脱溶媒和に伴う活性化障壁が下がるため好ましい。
この電池1では、負極活物質として、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される被覆黒鉛を用いる。これにより、プロピレンカーボネート系の溶媒を非水溶媒に多く含むようにしても、初回充放電効率およびサイクル特性の両方で良好な電池特性を得ることができる。この被覆黒鉛を用いる効果は、プロピレンカーボネート系の溶媒の質量が、非水溶媒の全質量に対して、60質量%以上で著しく有効である。
すなわち、プロピレンカーボネート系の溶媒を多く含む非水溶媒を用いた電池では、プロピレンカーボネート系の溶媒が六方結晶構造のみの黒鉛と反応性が高いため、初回充電時にグラフェン層の破壊やプロピレンカーボネート系の溶媒の分解などが起こる。また、PC溶媒和リチウムイオンのコインターカレートにより、黒鉛の層構造の破壊が生じてしまう。したがって、初回充放電効率およびサイクル特性などの電池特性が低下してしまう。この電池特性の低下は、非水溶媒の全質量に対してプロピレンカーボネート系の溶媒が60質量%以上の場合に著しく増大してしまう。
この電池特性の低下を抑制するため、電池1では、負極活物質として、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される被覆黒鉛を用いる。これにより、プロピレンカーボネート系の溶媒を60質量%以上含む非水溶媒を用いた場合でも、初回充放電効率およびサイクル特性の両方で良好な電池特性を得ることができる。
なお、非水溶媒には、上述した比誘電率が20以上の溶媒の他に、比誘電率の低い溶媒、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、またはこれらの水素をハロゲンに置換した溶媒などを含有させることも可能である。
非水電解質6は、比誘電率が20以上の溶媒の含有率がこれらの全非水溶媒に対して60質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、比誘電率が20以上の溶媒が100質量%であってもよい。比誘電率の高い溶媒の質量の合計が全溶媒の質量に対して60質量%より少ない場合、高いイオン伝導率や粘性といった比誘電率の高い溶媒の特性を得ることが困難となる。
また、このような非水溶媒を用いた場合には、比誘電率が低く、沸点の低い溶媒の質量が多いことにより、例えば熱などにより非水溶媒が気化して、電池1が膨張してしまう。電池1では、比誘電率が20以上の溶媒を一種以上含有し、比誘電率が20以上の溶媒の含有率がこれらの全非水溶媒に対して60質量%以上であるため、非水溶媒は比誘電率の高い溶媒の特性を示す。
すなわち、この非水溶媒は、イオン伝導率が高く、粘性が高いといった特徴を有する。また、比誘電率の高い溶媒の他に、比誘電率の低い溶媒を加えることによって粘性が低くなり、例えば電極に対する濡れ性を向上させる。このような非水溶媒を有する非水電解質が、ポリフッ化ビニリデンの結着剤に良く膨潤して、正極および/または負極全体に行き渡るため、正極および/または負極のイオン伝導率が高くなり、電池1の電池特性が向上する。
(電解質塩)
電解質塩は非水溶媒に溶解するものであれば何れも用いることができ、例えば、LiPF6、LiBF4、Li(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiClO4などが挙げられる。電解質塩は1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
電解質塩は非水溶媒に溶解するものであれば何れも用いることができ、例えば、LiPF6、LiBF4、Li(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiClO4などが挙げられる。電解質塩は1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
(高分子化合物)
高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリルニトリルを繰り返し単位として含む高分子である。なお、高分子化合物は、上述した1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリルニトリルを繰り返し単位として含む高分子である。なお、高分子化合物は、上述した1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
(セパレータ)
セパレータ7は、負極5と正極4とを隔離して、両極の接触による内部短絡を防止すると共に、非水電解質6中のリチウムイオンを通過させるものである。セパレータ7は、電気的に安定であり、溶媒や活物質に対しても化学的に安定であり、電気伝導性がなければよい。このようなセパレータ7としては、高分子の不織布、多孔質フィルム、ガラスやセラミックスの繊維を紙状にしたものが挙げられる。これらを2種以上積層したものでもよい。これらの中でも、多孔質ポリエチレンフィルム、多孔質ポリプロピレンフィルムなどの多孔質ポリオレフィンフィルムが好ましい。このような多孔質ポリオレフィンフィルムを、ポリイミドやガラス、セラミックスの繊維など、耐熱性の材料と複合させたものでもよい。
セパレータ7は、負極5と正極4とを隔離して、両極の接触による内部短絡を防止すると共に、非水電解質6中のリチウムイオンを通過させるものである。セパレータ7は、電気的に安定であり、溶媒や活物質に対しても化学的に安定であり、電気伝導性がなければよい。このようなセパレータ7としては、高分子の不織布、多孔質フィルム、ガラスやセラミックスの繊維を紙状にしたものが挙げられる。これらを2種以上積層したものでもよい。これらの中でも、多孔質ポリエチレンフィルム、多孔質ポリプロピレンフィルムなどの多孔質ポリオレフィンフィルムが好ましい。このような多孔質ポリオレフィンフィルムを、ポリイミドやガラス、セラミックスの繊維など、耐熱性の材料と複合させたものでもよい。
(外装材)
外装材3は、例えば絶縁層や金属層などが二層以上積層されて、ラミネート加工などにより貼り合わされており、電池内面が絶縁層となるようになされている。絶縁層としては、正極リード8および負極リード9に対して接着性を示す材料であれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンおよびこれらの共重合体など、ポリオレフィン樹脂からなるものが透過性を低くでき、気密性に優れていることから用いられる。金属層としては、例えば、箔状、板状に成形されたアルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄などが用いられる。また、最外層には、例えばナイロンなどからなる絶縁層を積層させることにより、破れや突き刺しなどに対する強度を高くすることができる。
外装材3は、例えば絶縁層や金属層などが二層以上積層されて、ラミネート加工などにより貼り合わされており、電池内面が絶縁層となるようになされている。絶縁層としては、正極リード8および負極リード9に対して接着性を示す材料であれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンおよびこれらの共重合体など、ポリオレフィン樹脂からなるものが透過性を低くでき、気密性に優れていることから用いられる。金属層としては、例えば、箔状、板状に成形されたアルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄などが用いられる。また、最外層には、例えばナイロンなどからなる絶縁層を積層させることにより、破れや突き刺しなどに対する強度を高くすることができる。
電池1では、ポリフッ化ビニリデンからなる結着剤が非水電解質6に含有される非水溶媒と膨潤しやすくなることから、比誘電率の高い溶媒を有する非水溶媒を含む非水電解質6が結着剤に適切に含浸される。これにより、非水電解質6を正極活物質層11および負極活物質層14に満遍なく行き渡らせることができる。この結果、電池1では、正極4および/または負極5の活物質と非水電解質6との接触面積が大きくなって、正極4および/または負極5のイオン伝導率が高められ、電池特性を向上させることができる。
(電池の製造方法)
上述した電池1は、例えば以下のようにして製造する。
上述した電池1は、例えば以下のようにして製造する。
(正極4の作製)
先ず、正極4を作製する。正極4を作製する際は、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを含有する正極合剤塗液を調製する。常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。この正極合剤塗液を例えばアルミニウムなどからなる正極集電体10上に不塗工部12を設けるように均一に塗布し、乾燥することで正極活物質層11を形成し、所定の寸法に裁断する。
先ず、正極4を作製する。正極4を作製する際は、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを含有する正極合剤塗液を調製する。常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。この正極合剤塗液を例えばアルミニウムなどからなる正極集電体10上に不塗工部12を設けるように均一に塗布し、乾燥することで正極活物質層11を形成し、所定の寸法に裁断する。
次に、正極集電体10が露出している不塗工部12に正極リード8、例えば超音波溶接や、スポット溶接などにより接合する。このようにして、帯状の正極4が作製される。
(負極5の作製)
次に、負極5を作製する。負極5を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を調製する。常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを負極活物質層中に含有させる場合は、これらを負極合剤塗液中に含有させておく。この負極合剤塗液を例えば銅などからなる負極集電体13上の不塗工部15を設けるように均一に塗布し、乾燥することで負極活物質層14を形成し、所定の形状に裁断する。
次に、負極5を作製する。負極5を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を調製する。常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを負極活物質層中に含有させる場合は、これらを負極合剤塗液中に含有させておく。この負極合剤塗液を例えば銅などからなる負極集電体13上の不塗工部15を設けるように均一に塗布し、乾燥することで負極活物質層14を形成し、所定の形状に裁断する。
次に、負極集電体13が露出している不塗工部15に負極リード9、例えば超音波溶接や、スポット溶接などにより接合する。このようにして、帯状の負極5が作製される。
(非水電解質6の形成)
以上のようにして作製された正極4の正極活物質層11の主面、および負極5の負極活物質層14の主面に、ゲル状電解質からなる非水電解質6を形成させる。非水電解質6を形成する際は、上述した非水溶媒と電解質塩とを含む非水電解液を調製し、この非水電解液と、高分子化合物と、希釈溶剤とを混合してゾル状態の溶液を作製する。希釈溶剤としては、例えばジメチルメチルカーボネート(DMC)などを用いることができる。
以上のようにして作製された正極4の正極活物質層11の主面、および負極5の負極活物質層14の主面に、ゲル状電解質からなる非水電解質6を形成させる。非水電解質6を形成する際は、上述した非水溶媒と電解質塩とを含む非水電解液を調製し、この非水電解液と、高分子化合物と、希釈溶剤とを混合してゾル状態の溶液を作製する。希釈溶剤としては、例えばジメチルメチルカーボネート(DMC)などを用いることができる。
次に、このゾル状態の溶液を正極4の正極活物質層11の主面、および負極5の負極活物質層14の主面に塗布する。このとき、正極活物質層11および/または負極活物質層14に含有されているポリフッ化ビニリデンが、溶液に対して高い膨潤性を示すことから、正極活物質層11内に電解質溶液が十分含浸されることになる。
次に、電解質溶液中の希釈溶媒を揮発させて、正極4の正極活物質層11の主面、および負極5の負極活物質層14の主面に、層状に形成された非水電解質6が形成される。この非水電解質6は、正極活物質層11および負極活物質層14に電解質溶液が十分含浸された状態で希釈溶媒が揮発されて形成されることから、正極活物質層11および負極活物質層14に満遍なく行き渡り、正極活物質および負極活物質との接触面積を大きくさせる。
(電池素子2の形成)
次に、非水電解質6が形成された正極4および負極5とを、非水電解質6がセパレータ7を介して対向するように積層し、セパレータ7の長尺方向に扁平捲回して電池素子2を形成する。この際に、電池素子2の一方端面から正極リード8および負極リード9が突出するようにさせる。
次に、非水電解質6が形成された正極4および負極5とを、非水電解質6がセパレータ7を介して対向するように積層し、セパレータ7の長尺方向に扁平捲回して電池素子2を形成する。この際に、電池素子2の一方端面から正極リード8および負極リード9が突出するようにさせる。
(電池1の組み立て)
次に、この電池素子2から突出されている正極リード8と負極リード9とを外部に導出させつつ、外装材3の内部に収納した。このとき、電池素子2には、正極リード8および負極リード9と、外装材3との間に接着性を示すプロピレンなどからなる樹脂片16を介在させる。これにより、電池1では、正極リード8および負極リード9と、外装材3との間で短絡することや、気密性が低下することなどが防止される。
次に、この電池素子2から突出されている正極リード8と負極リード9とを外部に導出させつつ、外装材3の内部に収納した。このとき、電池素子2には、正極リード8および負極リード9と、外装材3との間に接着性を示すプロピレンなどからなる樹脂片16を介在させる。これにより、電池1では、正極リード8および負極リード9と、外装材3との間で短絡することや、気密性が低下することなどが防止される。
次に、電池素子2を内部に収納した外装材3の周縁部を貼り合わせることにより、電池素子2が外装材3に封入される。このようにして、非水電解質としてゲル状電解質を用いた電池1が製造される。
<効果>
この発明の第1の実施の形態によれば、負極活物質として、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される被覆黒鉛を用いる。これにより、プロピレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの誘導体の溶媒がリチウムイオンと溶媒和して黒鉛層間にコインターカレートすることや、負極が初回充電時に過剰に電解液と反応して電解液が分解することを抑制することができる。
この発明の第1の実施の形態によれば、負極活物質として、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される被覆黒鉛を用いる。これにより、プロピレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの誘導体の溶媒がリチウムイオンと溶媒和して黒鉛層間にコインターカレートすることや、負極が初回充電時に過剰に電解液と反応して電解液が分解することを抑制することができる。
2.第2の実施の形態
この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池について説明する。なお、以下の説明では、上述した電池1と同等な構成、部位についての説明を省略するとともに、図面においても同符号を付するものとする。
この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池について説明する。なお、以下の説明では、上述した電池1と同等な構成、部位についての説明を省略するとともに、図面においても同符号を付するものとする。
(電池30の構成)
図5は、この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池30(以下電池30と称する)の構成を示す断面図である。この電池30は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。この非水電解質電池は、非水電解質に液状の非水電解液33を用いる。
図5は、この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池30(以下電池30と称する)の構成を示す断面図である。この電池30は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。この非水電解質電池は、非水電解質に液状の非水電解液33を用いる。
この電池30は、発電要素となる電極体31と、電極体31を収容する外装缶32と、電解質塩と非水溶媒とからなる非水電解液33と、外装缶32を封口する電池蓋34とを有する。電池30は、電極体31を外装缶32に収納し、外装缶32に調製した非水電解液33を注入して、電池蓋34を外装缶32の開口部に溶接することにより封口された構造を有する。
(電極体31)
電極体31は、図6に示すように、長尺状の正極35と、長尺状の負極36との間にセパレータ7を介して扁平状に多数回捲回してた捲回構造を有する。電極体31の一方の端面から正極35に接続された正極リード8が突出している。また、電極体31は、最外周に負極集電体37が露出した構造を有する。
電極体31は、図6に示すように、長尺状の正極35と、長尺状の負極36との間にセパレータ7を介して扁平状に多数回捲回してた捲回構造を有する。電極体31の一方の端面から正極35に接続された正極リード8が突出している。また、電極体31は、最外周に負極集電体37が露出した構造を有する。
電池1では、この最外周の負極集電体13と、外装缶32とを接触させることにより電気的に接続されている。これにより、負極36に集電のための例えば端子やリードなどを取り付ける必要がないため電池の製造が簡略化される。また、電池1では、正極リード8と電池蓋34とが電気的に接続されている。
正極35は、上述した電池1の正極4と同様の構成となっており、正極活物質層11が正極集電体10上に形成されている。
負極36は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極活物質層14が負極集電体37上に形成されている。
外装缶32は、例えば断面が、矩形状、扁平円状とする筒状容器である。すなわち外装缶32は、例えば角型の外装部材である。この角型の外装部材は、図5に示すような、長手方向における断面が、矩形型の形状を有するものである。この外装缶32を含む電池構造は、いわゆる角型と称する。外装缶32は、鉄、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなどの導電性金属からなり、例えば、鉄で形成された場合には、その表面にニッケルめっきなどが設けられている。
(非水電解液)
非水電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、第1の実施の形態で説明した非水溶媒と、電解質塩とから構成される。
非水電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、第1の実施の形態で説明した非水溶媒と、電解質塩とから構成される。
上述したように、非水溶媒は、比誘電率が高い溶媒を一種以上含有する。比誘電率の高い溶媒の質量の合計が全溶媒の質量に対して60質量%以上にする場合には、比誘電率が高い溶媒の特徴を有する。すなわち、非水溶媒は、イオン伝導率および粘性が高いといった特徴を有している。非水溶媒は、比誘電率の高い溶媒の質量の合計が全非水溶媒の質量に対して60質量%以上より少ない場合、比誘電率の高い溶媒の特徴を得ることが困難となる。また、このような非水溶媒を用いた場合には、比誘電率が低く、沸点の低い溶媒が多いことから、例えば熱などにより非水溶媒が気化して、電池30が膨張してしまう。
この電池1では、第1の実施の形態と同様、負極活物質として、六方晶構造のみの黒鉛とこの黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素からなる被覆層とから構成される被覆黒鉛を用いる。これにより、プロピレンカーボネート系の溶媒を非水溶媒に多く含むようにしても、初回充放電効率およびサイクル特性の両方で良好な電池特性を得ることができる。この被覆黒鉛を用いる効果は、プロピレンカーボネート系の溶媒の質量が、非水溶媒の全質量に対して、60質量%以上で著しく有効である。
(常温溶融塩)
なお、第1の実施の形態と同様、正極および負極の少なくとも何れかにN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME・TFSI)などの常温溶融塩を含むようにしてもよい
なお、第1の実施の形態と同様、正極および負極の少なくとも何れかにN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME・TFSI)などの常温溶融塩を含むようにしてもよい
電池30では、電池1と同様に、正極4および/または負極5の結着剤に、ポリフッ化ビニリデンを用いることによって、結着剤が非水電解液33に含有される非水溶媒と膨潤しやすくなる。これにより、比誘電率の高い溶媒を含む非水電解液33が結着剤に適切に含浸され、非水電解液33を正極活物質層11および/または負極活物質層14に満遍なく行き渡らせることができる。この結果、電池30では、正極4および/または負極5のイオン伝導率が高められ、電池特性を向上させることができる。
電池蓋34は、封口板材38の略中心部に端子部39が絶縁ガスケット40を介して嵌合された構造となっている。封口板材38は、外装缶32が負極36と電気的に接続されている場合、例えば鉄、ステンレス、ニッケルなどで形成されることになる。特に、封口板材38を鉄で形成した場合、その表面にニッケルめっきなどが設けられている。端子部39は、正極リード8が接続される場合には、例えばアルミニウムなどで形成されることになる。絶縁ガスケット40は、例えばポリプロピレンなどの絶縁樹脂が用いられる。
(電池の製造方法)
上述した電池30は、例えば以下のようにして製造する。
上述した電池30は、例えば以下のようにして製造する。
(正極の作製)
先ず、正極35を上述した電池1の正極4と同様にして作製する。正極4と同様、常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。
先ず、正極35を上述した電池1の正極4と同様にして作製する。正極4と同様、常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。
(負極の作製)
次に、負極36を作製した。負極36は、負極集電体13が露出する不塗工部15を上述した負極5よりも長くして、この不塗工部15を負極リード9とし、短冊状金属片のリードを設けずに、上述した負極5と同様にして作製する。負極5と同様、常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。
次に、負極36を作製した。負極36は、負極集電体13が露出する不塗工部15を上述した負極5よりも長くして、この不塗工部15を負極リード9とし、短冊状金属片のリードを設けずに、上述した負極5と同様にして作製する。負極5と同様、常温溶融塩およびポリフッ化ビニリデンを正極活物質層中に含有させる場合は、これらを正極合剤塗液中に含有させておく。
(電極体31の作製)
次に、以上のようにして作製された正極35および負極36とを、長尺状のセパレータ7を介して積層し、扁平状に多数回捲回することにより電極体31を作製する。このとき、電極体31は、セパレータ7の幅方向の一端面から正極リード8を突出させ、最外周に負極集電体13が露出するように捲回された構造を有する。
次に、以上のようにして作製された正極35および負極36とを、長尺状のセパレータ7を介して積層し、扁平状に多数回捲回することにより電極体31を作製する。このとき、電極体31は、セパレータ7の幅方向の一端面から正極リード8を突出させ、最外周に負極集電体13が露出するように捲回された構造を有する。
(電池の組み立て)
次に、外装缶32の底部に絶縁板41を挿入し、更に正極リード8が突出している側の電極体31の端面に絶縁板41を載置させた状態で電極体31を外装缶32に収納する。次に、正極リード8の端部を電池蓋34に接合する。
次に、外装缶32の底部に絶縁板41を挿入し、更に正極リード8が突出している側の電極体31の端面に絶縁板41を載置させた状態で電極体31を外装缶32に収納する。次に、正極リード8の端部を電池蓋34に接合する。
次に、電極体31が収納された外装缶32に非水電解液33を注入する。この時に、正極35および/または負極36に非水電解液33が含浸される。次に、外装缶32の封口部と、電池蓋34の封口板材38の周縁部とを、例えばレーザ溶接などによって隙間なく溶接し、密封する。これにより、外装缶32および封口板材38は、負極36と電気的に接続されることとなり、電池30の外部負極となる。また、端子部39は正極35と電気的に接続されることとなり、電池30の外部正極となる。以上のようにして電池30を製造する。
<効果>
この発明の第2の実施の形態は、この発明の第1の実施の形態と同様の効果を有する。
<効果>
この発明の第2の実施の形態は、この発明の第1の実施の形態と同様の効果を有する。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(分析例)
まず、実施例および比較例で負極活物質として用いる黒鉛について説明する。
まず、実施例および比較例で負極活物質として用いる黒鉛について説明する。
<被覆黒鉛A−1>
負極活物質として用いる被覆黒鉛A−1を以下のようにして作製した。メソフェーズ系球状黒鉛にメカノケミカル法を用い被覆処理を行った。メカノケミカル法では、メカノヒュ−ジョンシステム(ホソカワミクロン社製)により、上記黒鉛とコークスとを質量比99:1で混合しメカノケミカル処理を行った後、不活性ガス雰囲気(窒素)下で、処理温度2000℃にて3時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛A−1を得た。
負極活物質として用いる被覆黒鉛A−1を以下のようにして作製した。メソフェーズ系球状黒鉛にメカノケミカル法を用い被覆処理を行った。メカノケミカル法では、メカノヒュ−ジョンシステム(ホソカワミクロン社製)により、上記黒鉛とコークスとを質量比99:1で混合しメカノケミカル処理を行った後、不活性ガス雰囲気(窒素)下で、処理温度2000℃にて3時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛A−1を得た。
<被覆黒鉛A−2>
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比97:3にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−2を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比97:3にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−2を得た。
<被覆黒鉛A−3>
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比95:5にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−3を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比95:5にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−3を得た。
<被覆黒鉛A−4>
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比93:7にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−4を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコークスとの混合比率を質量比93:7にした点以外は、被覆黒鉛A−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛A−4を得た。
<被覆黒鉛B−1>
負極活物質として用いる被覆黒鉛B−1を以下のようにして作製した。まず、メソフェーズ系球状黒鉛に液相処理法を用い被覆処理を行った。液相処理法では、メソフェーズ系球状黒鉛をコールタールピッチと質量比99:1で混錬させ、2000℃にて10時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛B−1を得た。
負極活物質として用いる被覆黒鉛B−1を以下のようにして作製した。まず、メソフェーズ系球状黒鉛に液相処理法を用い被覆処理を行った。液相処理法では、メソフェーズ系球状黒鉛をコールタールピッチと質量比99:1で混錬させ、2000℃にて10時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛B−1を得た。
<被覆黒鉛B−2>
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比97:3にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−2を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比97:3にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−2を得た。
<被覆黒鉛B−3>
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比95:5にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−3を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比95:5にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−3を得た。
<被覆黒鉛B−4>
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比93:7にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−4を得た。
メソフェーズ系球状黒鉛とコールタールピッチとの混合比率を質量比93:7にした点以外は、被覆黒鉛B−1と同様の被覆処理を行い、被覆黒鉛B−4を得た。
<被覆なし黒鉛C>
被覆黒鉛A−1の作製の際に用いたメソフェーズ系球状黒鉛を被覆なし黒鉛Cとした。
被覆黒鉛A−1の作製の際に用いたメソフェーズ系球状黒鉛を被覆なし黒鉛Cとした。
<被覆なし黒鉛D>
ソフトグラファイトを被覆なし黒鉛Dとした。
ソフトグラファイトを被覆なし黒鉛Dとした。
<被覆黒鉛a>
被覆なし黒鉛Dに対してメカノケミカル法を用い被覆処理を行った。メカノケミカル法では、メカノヒュ−ジョンシステム(ホソカワミクロン社製)により、上記被覆なし黒鉛Dとコークスとを質量比97:3で混合しメカノケミカル処理を行った後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下で、処理温度2000℃にて3時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛aを得た。
被覆なし黒鉛Dに対してメカノケミカル法を用い被覆処理を行った。メカノケミカル法では、メカノヒュ−ジョンシステム(ホソカワミクロン社製)により、上記被覆なし黒鉛Dとコークスとを質量比97:3で混合しメカノケミカル処理を行った後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下で、処理温度2000℃にて3時間熱処理を行った。これにより、被覆黒鉛aを得た。
<被覆黒鉛b>
まず、被覆なし黒鉛Dに対して液相処理法を用い被覆処理を行った。液相処理法では、被覆なし黒鉛Dとコールタールピッチとを質量比97:3で混錬させ、2000℃にて10時間熱処理を行った。これにより、これにより、被覆黒鉛bを得た。
まず、被覆なし黒鉛Dに対して液相処理法を用い被覆処理を行った。液相処理法では、被覆なし黒鉛Dとコールタールピッチとを質量比97:3で混錬させ、2000℃にて10時間熱処理を行った。これにより、これにより、被覆黒鉛bを得た。
(X線回折測定)
まず、黒鉛の結晶構造を評価するため、上述のサンプル(被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4、被覆なし黒鉛C〜D、被覆黒鉛a〜b)について、X線回折測定を行った。測定結果を図7〜図10に示す。
まず、黒鉛の結晶構造を評価するため、上述のサンプル(被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4、被覆なし黒鉛C〜D、被覆黒鉛a〜b)について、X線回折測定を行った。測定結果を図7〜図10に示す。
図7は被覆なし黒鉛Cの測定結果であり、図8は被覆黒鉛A−3の測定結果を示す。図7および図8に示すように、被覆なし黒鉛Cおよび被覆黒鉛A−3の測定結果では、六方晶構造のピークのみが現れている(その他は校正用のSiピーク)。また、図7の測定結果と図8の測定結果とを比べると、被覆処理前後では、ピーク強度が若干変化している程度である。
図9は被覆なし黒鉛Dの測定結果であり、図10は被覆黒鉛aの測定結果である。図9に示すように、被覆なし黒鉛Dの測定結果では、、六方晶構造のピークの他に、矢印hおよびiに示す菱面体構造のピークが現れている。
また、図10に示すように被覆なし黒鉛Dを被覆処理することにより得られた被覆黒鉛aの測定結果でも、矢印jおよびkに示す菱面体構造のピークが現れている。なお、被覆黒鉛aの測定結果が示すように、被覆処理後では、菱面体結晶構造のピーク強度が弱まっているが、これは菱面体結晶構造が準安定相であるために熱処理による相変態が起こり安定相である六方晶構造に変化した結果である。しかし、熱処理温度が更に高く、または処理時間が更に長くなければ全て菱面体晶構造が六方晶構造へ変態しないといえる。
図11は、測定サンプルのX線回折スペクトルの2θ:40°〜50°の範囲を拡大して比較したものを示す。この2θ:40°〜50°の範囲で菱面体結晶構造の有無が顕著に区別できている。すなわち、線aは、被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜B−4、被覆なし黒鉛CのX線回折スペクトルに分類され、菱面体構造のピークは現れていない。線bは、菱面体構造を有する被覆黒鉛D、被覆黒鉛a〜被覆黒鉛bのX線回折スペクトルに分類され、矢印pおよびqに示す菱面体構造のピークが現れている。
(ラマンスペクトル分析)
被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4、被覆なし黒鉛C〜D、被覆黒鉛a〜bをラマン分光測定装置にて、波長5145Åのアルゴンレーザ光を用いてラマンスペクトル分析を行った。この際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピーク強度の強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をI1350としたとき、その比であるR値(=I1580/I1350)を求めた。求めたR値を表1に示す。
被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4、被覆なし黒鉛C〜D、被覆黒鉛a〜bをラマン分光測定装置にて、波長5145Åのアルゴンレーザ光を用いてラマンスペクトル分析を行った。この際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピーク強度の強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をI1350としたとき、その比であるR値(=I1580/I1350)を求めた。求めたR値を表1に示す。
表1に示すように、被覆無し黒鉛C、被覆無し黒鉛Dでは、黒鉛の結晶化度が高いためR値は低く0.1程度である。一方、黒鉛表面へ低結晶性炭素被覆を行った被覆黒鉛A−1〜A−4、被覆黒鉛B−1〜B−4、被覆黒鉛a〜bではR値が増加している。R値は、結晶化度の測定値であり、結晶構造には影響されないため、被覆の有無で変化している。そして、被覆処理を行った黒鉛のR値は、被覆処理を行っていない黒鉛のR値より高い値を示す。
以上から分かるサンプル(被覆黒鉛A−1〜A−4、および被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4、被覆なし黒鉛C〜D、被覆黒鉛a〜b)の特徴を、測定結果と併せて表2に示す。
(電池特性の評価)
次に、上述のサンプルを負極活物質に用いた電池の特性を評価した。
次に、上述のサンプルを負極活物質に用いた電池の特性を評価した。
<実施例1−1>
(正極の作製)
正極を以下のようにして作製した。まず、ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.2O2)とコバルト酸リチウム(LiCoO2)とを質量比で80:20で混合し、正極活物質を調製した。
(正極の作製)
正極を以下のようにして作製した。まず、ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.2O2)とコバルト酸リチウム(LiCoO2)とを質量比で80:20で混合し、正極活物質を調製した。
この正極活物質92質量部と、結着剤として粉末状のポリフッ化ビニリデン3質量部と、常温溶融塩としてDEME・TFSI(所定質量部)と、導電剤として粉末状の黒鉛5質量部と、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)とを、プラネタリーミキサーによって混練した。これにより、正極活物質、ポリフッ化ビニリデン、DEME・TFSIおよび粉末状の黒鉛を、N−メチルピロリドンに分散し、正極合剤塗液を得た。
この正極合剤塗液を、塗工装置を用いて正極集電体となるアルミニウム箔の両面に均一に塗布して、100℃、減圧状態で24時間乾燥させて正極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機で圧縮成型し、幅48mm、長さ300mmに裁断し、端部にアルミニウムリボンを正極リードとして溶接した。正極活物質層の体積密度は3.50g/cm3、片面あたりの厚みは50μmとした。以上のようにして、正極を作製した。
(負極の作製)
負極を以下のようにして作製した。被覆黒鉛A−1と、結着剤として粉状ポリフッ化ビニリデン10質量%と、N−メチルピロリドンとをプラネタリーミキサーによって、混錬した。これにより、被覆黒鉛A−1、および粉状ポリフッ化ビニリデンを、N−メチルピロリドンに分散し、負極合剤塗液を得た。
負極を以下のようにして作製した。被覆黒鉛A−1と、結着剤として粉状ポリフッ化ビニリデン10質量%と、N−メチルピロリドンとをプラネタリーミキサーによって、混錬した。これにより、被覆黒鉛A−1、および粉状ポリフッ化ビニリデンを、N−メチルピロリドンに分散し、負極合剤塗液を得た。
この負極合剤塗液を、塗工装置を用いて負極集電体となる銅箔の両面の両面に均一に塗布して、120℃、減圧状態で24時間乾燥させて負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機で圧縮成型し、幅50mm、長さ310mmに裁断し、端部にニッケルリボンを正極リードとして溶接した。負極活物質層の体積密度は1.62g/cm3、片面あたりの厚みは48μmとした。以上のようにして、負極を作製した。
(非水電解質の形成)
次に、正極および負極のそれぞれの主面に非水電解質を以下のように形成した。まず、比誘電率89のエチレンカーボネート40質量%と、比誘電率64のプロピレンカーボネート60質量%とを混合して非水溶媒を調製した。この非水溶媒に、LiPF60.78mol/kg(非水溶媒の質量に対する質量濃度)を溶解させて非水電解液を得た。
次に、正極および負極のそれぞれの主面に非水電解質を以下のように形成した。まず、比誘電率89のエチレンカーボネート40質量%と、比誘電率64のプロピレンカーボネート60質量%とを混合して非水溶媒を調製した。この非水溶媒に、LiPF60.78mol/kg(非水溶媒の質量に対する質量濃度)を溶解させて非水電解液を得た。
次に、この非水電解液と、ヘキサフルオロプロピレンを6%共重合させたポリフッ化ビニリデンと、ジメチルカーボネートとを混合攪拌してゾル状態の溶液を得た。次に、このゾル状態の溶液を正極および負極のそれぞれの主面に塗布した後、ジメチルカーボネートを揮発させて、ゲル状態の非水電解質を、正極および負極のそれぞれの主面に形成した。
(電池素子の作製)
以上のように非水電解質が主面上に形成された正極と負極との間に、厚みが10μmの多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介在させた状態で、非水電解質が対向するように貼り合わせて正極の長尺方向に扁平捲回して電池素子を作製した。
以上のように非水電解質が主面上に形成された正極と負極との間に、厚みが10μmの多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介在させた状態で、非水電解質が対向するように貼り合わせて正極の長尺方向に扁平捲回して電池素子を作製した。
(電池の組み立て)
次に、電池素子に備わる正極リードと負極リードとを外部に導出させつつ、アルミ箔が一対の樹脂フィルムで挟まれてなる外装材の内部に収納した。このとき、電池素子は、正極リードと、負極リードと、外装材との間に接着性を示すプロピレン樹脂片を挟み込み、外装材に収納した。
次に、電池素子に備わる正極リードと負極リードとを外部に導出させつつ、アルミ箔が一対の樹脂フィルムで挟まれてなる外装材の内部に収納した。このとき、電池素子は、正極リードと、負極リードと、外装材との間に接着性を示すプロピレン樹脂片を挟み込み、外装材に収納した。
次に、電池素子を収納した外装材の周縁部をヒートシールにより貼り合わせることで電池素子を外装材に封入した。以上のようにして、実施例1−1として、ゲル状電解質を用いたポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−2>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−2を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−2を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−3>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−3を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−3を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−4>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−4を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−4のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛A−4を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−4のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−5>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−1を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−5のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−1を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−5のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−6>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−2を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−6のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−2を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−6のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−7>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−3を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−7のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−3を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−7のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−8>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−4を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−8のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛B−4を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−8のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−9>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%、プロピレンカーボネート70質量%にした点にした点以外は、実施例1−3と同様にして、実施例1−9のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%、プロピレンカーボネート70質量%にした点にした点以外は、実施例1−3と同様にして、実施例1−9のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−10>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%、プロピレンカーボネート80質量%にした点以外は、実施例1−3と同様にして、実施例1−10のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%、プロピレンカーボネート80質量%にした点以外は、実施例1−3と同様にして、実施例1−10のポリマーリチウム電池を作製した。
<比較例1−1>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆なし黒鉛Cを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆なし黒鉛Cを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1のポリマーリチウム電池を作製した。
<比較例1−2>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆なし黒鉛Dを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−2のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆なし黒鉛Dを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−2のポリマーリチウム電池を作製した。
<比較例1−3>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛aを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛aを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<比較例1−4>
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛bを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−4のポリマーリチウム電池を作製した。
被覆黒鉛A−1の代わりに被覆黒鉛bを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−4のポリマーリチウム電池を作製した。
実施例1−1〜実施例1−10および比較例1−1〜比較例1−4のポリマーリチウム電池について、以下の充放電試験を行い初回充放電効率およびサイクル特性を求めた。
(充放電試験)
23℃の環境下において、以下の充放電を行った。充電は、充電電流1.0C、充電電圧4.2V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電を行った。放電は、1.0Cの電流値で3.0Vまで、定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして、500サイクルまで充放電を行った。そして、以下の式により初回充放電効率およびサイクル特性を求めた
初回充放電効率=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100(%)
サイクル特性=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)
23℃の環境下において、以下の充放電を行った。充電は、充電電流1.0C、充電電圧4.2V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電を行った。放電は、1.0Cの電流値で3.0Vまで、定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして、500サイクルまで充放電を行った。そして、以下の式により初回充放電効率およびサイクル特性を求めた
初回充放電効率=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100(%)
サイクル特性=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)
測定結果を表3に示す。
(負極活物質の放電容量)
被覆層の質量比率に対する負極活物質の放電容量を以下のように評価した。被覆黒鉛A−1〜被覆黒鉛A−4、被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4および被覆なし黒鉛Cを用いて、実施例1−1と同様のポリマーリチウム電池を作製した。このとき、非水溶媒としては、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートの代わりに、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いた。なお、非水溶媒として、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いたのは以下の理由からである。すなわち、非水溶媒として、プロピレンカーボネートを用いると、PC溶媒和リチウムイオンが、コインターカーレントすることで、黒鉛層が剥離して放電容量に影響してしまう。この影響を除いて評価するため、非水溶媒としては、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いた。
被覆層の質量比率に対する負極活物質の放電容量を以下のように評価した。被覆黒鉛A−1〜被覆黒鉛A−4、被覆黒鉛B−1〜被覆黒鉛B−4および被覆なし黒鉛Cを用いて、実施例1−1と同様のポリマーリチウム電池を作製した。このとき、非水溶媒としては、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートの代わりに、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いた。なお、非水溶媒として、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いたのは以下の理由からである。すなわち、非水溶媒として、プロピレンカーボネートを用いると、PC溶媒和リチウムイオンが、コインターカーレントすることで、黒鉛層が剥離して放電容量に影響してしまう。この影響を除いて評価するため、非水溶媒としては、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネート(質量比50:50)を用いた。
作製したポリマーリチウム電池のそれぞれについて、充放電試験を行い放電容量を測定した。充放電条件は上記と同様であり、23℃の温度環境下、充電は充電電流1.0C、充電電圧4.2V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電を行い、放電は1.0Cの電流値で3.0Vまで、定電流放電を行った。測定結果を表4に示す。
(評価)
表3に示すように、実施例1−1〜実施例1−8では、六方晶構造のみの黒鉛に、低結晶性炭素よりなる被覆層を有する被覆処理黒鉛を用いているので、初回充放電効率が全体的に高く、サイクル特性も良好であった。すなわち、実施例1−1〜実施例1−8で用いた被覆処理黒鉛は、PC溶媒和リチウムイオンのコインターカレートによる層間破壊やSEI形成に伴う非水溶媒の分解を低減することができるので、良好な電池特性が得られた。
表3に示すように、実施例1−1〜実施例1−8では、六方晶構造のみの黒鉛に、低結晶性炭素よりなる被覆層を有する被覆処理黒鉛を用いているので、初回充放電効率が全体的に高く、サイクル特性も良好であった。すなわち、実施例1−1〜実施例1−8で用いた被覆処理黒鉛は、PC溶媒和リチウムイオンのコインターカレートによる層間破壊やSEI形成に伴う非水溶媒の分解を低減することができるので、良好な電池特性が得られた。
一方、比較例1−1では、被覆処理を行っていない六方晶構造のみの黒鉛を用いているので、初回充放電効率が低く、サイクル特性も悪かった。すなわち、比較例1−1で用いた被覆なし黒鉛Cは結晶性が高いため、非水溶媒として用いるプロピレンカーボネートとの反応性が非常に高く、初回充電時でのグラフェン層の破壊、プロピレンカーボネートの分解などが起こるため、良好な電池特性を得ることができなかった。
また、実施例1−1〜実施例1−8および比較例1−1より、被覆層の有無は、初回充放電効率の特性に影響しており、サイクル特性には被覆層の量が影響していることがわかった。さらに、実施例1−1〜実施例1−4のそれぞれの比較および実施例1−5〜実施例1−8のそれぞれの比較によると、被覆量が増加するに従いサイクル特性が向上した。しかしながら、被覆層の質量比率が5質量%の実施例1−3と被覆層の質量比率が7質量%の実施例1−4とを比べ、被覆層の質量比率が5質量%の実施例1−7と被覆層の質量比率が7質量%の実施例1−8とを比べると、サイクル特性に変化がなかった。これより、被覆層の質量比率が5質量%を超えると、サイクル特性に変化がなく、被覆層の質量比率の増加に伴うサイクル特性の向上が飽和状態にあると考えられた。
また、表4に示すように、被覆層の質量比率が増加するに従い放電容量が低下した。特に、比較的過剰な量の被覆を行った被覆黒鉛A−4および被覆黒鉛B−4では、被覆なし黒鉛Cに比べて、放電容量の低下が著しかった。以上より、被覆層の質量比率は、5質量%以下が好ましいことがわかった。なお、データは省略するが、被覆層の質量比率が1質量%未満であると、初回充放電効率が著しく低下する傾向にあるため、被覆層の質量比率は1質量%以上が好ましいことがわかった。
また、比較例1−2〜比較例1−4では、菱面体晶構造を含有した黒鉛であって、被覆処理を行っていないもの、被覆処理を行ったものを用いた電池を作製した。比較例1−2〜比較例1−4の電池の測定結果から以下のことがわかった。
すなわち、比較例1−2では、被覆処理を行っていない、菱面体晶構造含有黒鉛を用いているが、高い初回充放電効率を示した。これは、菱面体晶構造含有黒鉛では、菱面体晶構造があることで、バルクとしての表面活性化エネルギーが高いため選択的に非水溶媒の分解によるSEIの形成に結びついたと考えられる。一方、比較例1−2では、サイクル特性は悪化した。すなわち、菱面体晶構造は、黒鉛の粉砕加工によって六方晶構造から構造が変化し生成するが、相欠陥や無定形炭素も同時に生成するため、入出力特性が悪化し、その結果サイクル特性も悪化してしまう。
比較例1−3では、菱面体晶構造含有黒鉛に、メカノケミカル処理を行った被覆黒鉛aを用いた。比較例1−4では、菱面体晶構造含有黒鉛黒鉛に液相処理を施した被覆黒鉛bを用いた。比較例1−3、比較例1−4では、比較例1−2に比べて、若干の初回充放電効率・サイクル特性の向上に留まった。これは、比較例1−2は元々初期特性である初回充放電効率が良いために、処理効果が優位的に現れていない。また、サイクル特性は、母材である被覆なし黒鉛Dの特性を反映した結果に至っている。
実施例1−9および実施例1−10では、プロピレンカーボネートの比率を70質量%および80質量%と増加させているので、プロピレンカーボネートの影響が大きくなる。このため、実施例1−9および実施例1−10では、実施例1−3と比べて、初回充放電効率やサイクル特性が若干低下した。一方、実施例1−9および実施例1−10では、比較例1−1と比べると、依然として良好な初回充放電効率およびサイクル特性を示していることが確認できた。
<比較例2−1〜比較例2−6、比較例3−1>
比較例2−1〜比較例2−6、比較例3−1では、プロピレンカーボネートの比率を20質量%として、被覆処理の有効性の検討を行った。すなわち、非水溶媒の組成をエチレンカーボネート80質量%とプロピレンカーボネート20質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および比較例1−1のそれぞれと同様にして、比較例2−1〜比較例2−6、比較例3−1のポリマーリチウム電池を作製した。
比較例2−1〜比較例2−6、比較例3−1では、プロピレンカーボネートの比率を20質量%として、被覆処理の有効性の検討を行った。すなわち、非水溶媒の組成をエチレンカーボネート80質量%とプロピレンカーボネート20質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および比較例1−1のそれぞれと同様にして、比較例2−1〜比較例2−6、比較例3−1のポリマーリチウム電池を作製した。
比較例2−1〜比較例2−6および比較例3−1のポリマーリチウム電池について、実施例1−1と同様にして充放電試験を行い初回充放電効率およびサイクル特性を求めた。測定結果を表5に示す。
(評価)
比較例2−1〜比較例2−6では、比較例3−1と比べると、初回充放電効率はほぼ同等または若干低下し、サイクル特性は若干向上する程度で、被覆処理の有効性を確認することができなかった。これは、プロピレンカーボネートの比率が小さいため、プロピレンカーボネートと溶媒和したリチウムイオンのコインターカーレントによる、電解液の分解、黒鉛層間への侵入および黒鉛層間の破壊が低減するからと考えられる。すなわち、プロピレンカーボネートの比率が小さい場合では、比較例3−1に示すように、被覆処理を行わない場合でも、初回充放電率およびサイクル特性は、比較例1−1ほど悪化しないので、被覆処理の有効性が弱くなっている。
比較例2−1〜比較例2−6では、比較例3−1と比べると、初回充放電効率はほぼ同等または若干低下し、サイクル特性は若干向上する程度で、被覆処理の有効性を確認することができなかった。これは、プロピレンカーボネートの比率が小さいため、プロピレンカーボネートと溶媒和したリチウムイオンのコインターカーレントによる、電解液の分解、黒鉛層間への侵入および黒鉛層間の破壊が低減するからと考えられる。すなわち、プロピレンカーボネートの比率が小さい場合では、比較例3−1に示すように、被覆処理を行わない場合でも、初回充放電率およびサイクル特性は、比較例1−1ほど悪化しないので、被覆処理の有効性が弱くなっている。
<比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6>
上述した実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7、比較例2−1〜比較例2−6、並びに以下の比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6により、ポリプロピレンカーボネートの含有量の検討を行った。
上述した実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7、比較例2−1〜比較例2−6、並びに以下の比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6により、ポリプロピレンカーボネートの含有量の検討を行った。
<比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート80質量%とプロピレンカーボネート20質量%とした。以上の点以外は実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7のそれぞれと同様にして、比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート80質量%とプロピレンカーボネート20質量%とした。以上の点以外は実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7のそれぞれと同様にして、比較例4−1〜比較例4−6、比較例5−1〜比較例5−6のポリマーリチウム電池を作製した。
比較例4−1〜比較例4−6および比較例5−1〜比較例5−6のポリマーリチウム電池について、実施例1−1と同様にして充放電試験を行い初回充放電効率およびサイクル特性を求めた。測定結果を表6に示す。なお、表6では、検討対象とするため、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および比較例2−1〜比較例2−6のポリマーリチウム電池についての測定結果も併せて示す。
(評価)
比較例2−1〜比較例2−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=80:20(質量比)である。比較例2−1〜比較例2−6では、被覆層の質量比率が変化しても、初回充放電効率およびサイクル特性に大きな違いは見られなかった。比較例4−1〜比較例4−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=50:50(質量比)である。また、比較例5−1〜比較例5−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=45:55(質量比)である。比較例4−1〜比較例4−6および比較例5−1〜比較例5−6については、比較例2−1〜比較例2−6に比べ、被覆層の質量比率の変化に伴うサイクル特性の変化が大きかった。一方、実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−4〜実施例1−7の非水溶媒の組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=40:60(質量比)である。このプロピレンカーボネートの比率が60%の実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−4〜実施例1−7では、負極活物質の被覆層の質量比率が減少すると、この減少に伴い、サイクル特性の数値が比較例に比べ顕著に低下した。
比較例2−1〜比較例2−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=80:20(質量比)である。比較例2−1〜比較例2−6では、被覆層の質量比率が変化しても、初回充放電効率およびサイクル特性に大きな違いは見られなかった。比較例4−1〜比較例4−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=50:50(質量比)である。また、比較例5−1〜比較例5−6の非水溶媒組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=45:55(質量比)である。比較例4−1〜比較例4−6および比較例5−1〜比較例5−6については、比較例2−1〜比較例2−6に比べ、被覆層の質量比率の変化に伴うサイクル特性の変化が大きかった。一方、実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−4〜実施例1−7の非水溶媒の組成は、エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート=40:60(質量比)である。このプロピレンカーボネートの比率が60%の実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−4〜実施例1−7では、負極活物質の被覆層の質量比率が減少すると、この減少に伴い、サイクル特性の数値が比較例に比べ顕著に低下した。
非水溶媒の組成による、被覆層の質量比率に伴うサイクル特性の変化率を評価すると以下のことがわかった。比較例4の溶媒組成(EC:PC=50:50)から比較例5の溶媒組成(EC:PC=45:55)に変化した場合と、比較例5の溶媒組成(EC:PC=45:55)から実施例1の溶媒組成(EC:PC=40:60)に変化した場合とで上記変化率を比較した。この結果、溶媒組成(EC:PC=50:50)から溶媒組成(EC:PC=45:55)に変化した場合に比べ、溶媒組成(EC:PC=45:55)から溶媒組成(EC:PC=40:60)に変化した場合の方が、明確に上記特性の変化率が大きかった。これより、プロピレンカーボネートが60質量%以上の非水溶媒組成になると、被覆層の厚さ(質量比率)が特性に大きく影響することがわかった。この被覆層を形成することは、プロピレンカーボネートが60質量%以上の非水溶媒組成になると、特に効果的であることがわかった。なお、この結果は、プロピレンカーボネートの質量比率が60質量%程度になると、リチウムイオンに対して溶媒和するプロピレンカーボネートの配位数が変化するためだと考えられる。
(非水溶媒の組成の検討)
ポリマーリチウム電池に用いる非水溶媒では、比誘電率20以上の溶媒が60%以上含有されていることが好ましいことを示すため、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および参考例1−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池を作製した。
ポリマーリチウム電池に用いる非水溶媒では、比誘電率20以上の溶媒が60%以上含有されていることが好ましいことを示すため、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および参考例1−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7、>
上述したようにして、実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−5〜実施例1−7のポリマーリチウム電池を作製した。
上述したようにして、実施例1−1〜実施例1−3および実施例1−5〜実施例1−7のポリマーリチウム電池を作製した。
<参考例1−1〜参考例1−3>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%とプロピレンカーボネート20質量%とジメチルカーボネート60質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例1−1〜参考例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%とプロピレンカーボネート20質量%とジメチルカーボネート60質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例1−1〜参考例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<参考例2−1〜参考例2−3>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%とプロピレンカーボネート30質量%とジメチルカーボネート40質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例1−1〜参考例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%とプロピレンカーボネート30質量%とジメチルカーボネート40質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例1−1〜参考例1−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<参考例3−1〜参考例3−3>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%とプロピレンカーボネート20質量%とジメチルカーボネート60質量%とした点以外は、実施例1−5〜実施例1−7のそれぞれと同様にして、参考例3−1〜参考例3−3のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート20質量%とプロピレンカーボネート20質量%とジメチルカーボネート60質量%とした点以外は、実施例1−5〜実施例1−7のそれぞれと同様にして、参考例3−1〜参考例3−3のポリマーリチウム電池を作製した。
<参考例4−1〜参考例4−3>
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%とプロピレンカーボネート30質量%とジメチルカーボネート40質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例4−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池を作製した。
非水溶媒の組成をエチレンカーボネート30質量%とプロピレンカーボネート30質量%とジメチルカーボネート40質量%とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3のそれぞれと同様にして、参考例4−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池を作製した。
作製した実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および参考例1−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池について、以下の充放電試験を行った。
(充放電試験)
35℃の環境下において、以下の充放電を行った。充電は、充電電流1.0C、充電電圧4.2V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電を行った。放電は、1.0Cの電流値で3.0Vまで、定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして、500サイクルまで充放電を行った。そして、以下の式によりサイクル特性を求めた
サイクル特性=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)
35℃の環境下において、以下の充放電を行った。充電は、充電電流1.0C、充電電圧4.2V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電を行った。放電は、1.0Cの電流値で3.0Vまで、定電流放電を行った。この充放電を1サイクルとして、500サイクルまで充放電を行った。そして、以下の式によりサイクル特性を求めた
サイクル特性=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)
実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7および参考例1−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池の測定結果を表7に示す。
表7に示すように、実施例1−1〜実施例1−3、実施例1−5〜実施例1−7のポリマーリチウム電池では、比誘電率が20以上の溶媒が100%であり、高温環境下でのサイクル特性が良好であった。
また、参考例1−1〜参考例1−3のポリマーリチウム電池では、比誘電率が20以上の溶媒が60%未満であるため、高温環境下でのサイクル特性が悪化した。一方、参考例2−1〜参考例2−3のポリマーリチウム電池では、比誘電率が20以上の溶媒が60質量%以上であるため、参考例1−1〜参考例1−3に比べて、高温環境下でのサイクル特性が良好であった。なお、この値は23℃の温度環境下で同様のサイクル試験を行った場合と同程度であった。同様に、参考例3−1〜参考例3−3のポリマーリチウム電池では、比誘電率が20以上の溶媒が60%未満であるため、高温環境下でのサイクル特性が悪化した。一方、参考例4−1〜参考例4−3のポリマーリチウム電池では、比誘電率が20以上の溶媒が60質量%以上であるため、参考例3−1〜参考例3−3に比べて、サイクル特性が良好であった。なお、この値は23℃の温度環境下で同様のサイクル試験を行った場合と同程度であった。
この結果より以下のことがわかった。すなわち、比誘電率が20以上の溶媒を40質量%含む非水溶媒を用いたポリマーリチウム電池では、サイクル試験中にガスが発生し充放電反応を阻害したため、サイクル特性の著しく低下した。これに対して、比誘電率が20以上の溶媒を60質量%以上含む非水溶媒を用いたポリマーリチウム電池では、サイクル特性の著しい低下は見られなかった。以上から、ポリマーリチウム電池では、非水溶媒の組成は、比誘電率が20以上の溶媒が60質量%以上であることが好ましいことがわかった。そして、比誘電率が低い溶媒を主溶媒とする電解液を用いた場合、高温下でのガス発生が問題となり、特に、ポリマーリチウム電池の場合、内部でガスが発生することにより電池膨れなどの外観上の不良や電池特性の劣化が生じてしまうことが懸念されることがわかった。
3.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、第1および第2の実施の形態では、電池1として、非水電解質6が形成された長尺状の正極4と、非水電解質6が形成された長尺状の負極5とをセパレータ7を介して積層し、捲回した電池素子2を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、正極と負極とをゲル状の非水電解質を介して積層してなる積層体型の電池素子や捲回せずにいわゆるつづら折りされたつづら折り型の電極素子を用いてもよい。
また、例えば、第1の実施形態では、ラミネートフィルム型の非水電解質電池について説明し、第2の実施の形態では、角型電池の非水電解質電池について説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、円筒型電池、コイン型電池、ボタン型電池にも適用可能である。また、第1の実施形態では、ゲル状の電解質を用いたが、ゲル状の電解質に代えて、液状の非水電解液を用いてもよい。
1・・・・電池
2・・・電池素子
3・・・外装材
4・・・正極
5・・・負極
6・・・非水電解質
7・・・セパレータ
8・・・正極リード
9・・・負極リード
10・・・正極集電体
11・・・正極活物質層
12・・・不塗工部
13・・・負極集電体
14・・・負極活物質層
15・・・不塗工部
16・・・樹脂片
30・・・電池
31・・・電極体
32・・・外装缶
33・・・非水電解液
34・・・電池蓋
35・・・正極
36・・・負極
37・・・負極集電体
38・・・封口板材
39・・・端子部
40・・・絶縁ガスケット
41・・・絶縁板
2・・・電池素子
3・・・外装材
4・・・正極
5・・・負極
6・・・非水電解質
7・・・セパレータ
8・・・正極リード
9・・・負極リード
10・・・正極集電体
11・・・正極活物質層
12・・・不塗工部
13・・・負極集電体
14・・・負極活物質層
15・・・不塗工部
16・・・樹脂片
30・・・電池
31・・・電極体
32・・・外装缶
33・・・非水電解液
34・・・電池蓋
35・・・正極
36・・・負極
37・・・負極集電体
38・・・封口板材
39・・・端子部
40・・・絶縁ガスケット
41・・・絶縁板
Claims (10)
- 正極と、
負極と、
非水溶媒および電解質塩を含む非水電解質とを有し、
上記負極は、六方晶構造のみの黒鉛と、該黒鉛の少なくとも一部を被覆する低結晶性炭素よりなる被覆層とから構成された被覆黒鉛を有し、
上記非水溶媒は、プロピレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる一の溶媒を含み、
上記一の溶媒の含有量は、上記非水溶媒の質量に対して、60質量%以上である非水電解質電池。 - 上記被覆黒鉛は、X線回折法による菱面体晶構造のピークが現れないものである
請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記六方晶構造のみの黒鉛は、X線回折法による菱面体晶構造のピークが現れないものである
請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記一の溶媒は、プロピレンカーボネートである
請求項1記載の電池。 - 上記プロピレンカーボネートの誘導体は、プロピレンカーボネートの水素原子をハロゲン、アルキル基またはハロゲン化アルキル基で置換した化合物である
請求項1記載の電池。 - 上記一の溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、これらの水素原子をハロゲンアルキル基、またはハロゲン化アルキル基で置換したエチレンカーボネートの誘導体およびプロピレンカーボネートの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒である
請求項1記載の非水電解質電池。 - 波長5145Åのアルゴンレーザー光を用いてラマンスペクトル分析した際、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピークの強度をI1580、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をI1350としたとき、
上記六方晶構造のみの黒鉛のR値(I1580/I1350)は、0.05以上0.15以下であり、
上記被覆黒鉛のR値(I1580/I1350)は、0.3以上0.8以下である
請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記被覆層の質量は、上記被覆黒鉛の質量に対して、1質量%以上5質量%以下である
請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記負極は、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを含む
請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記非水電解質は、上記非水溶媒および上記電解質塩を含む非水電解液を高分子化合物に膨潤させたゲル電解質である請求項1記載の非水電解質電池。
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-
2009
- 2009-11-06 JP JP2009255349A patent/JP2011100663A/ja active Pending
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