JP2011098739A - 包装容器及び加飾プラスチックシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】引張強度(JIS
K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートからなり、該プラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を、容器表面に備えた包装容器を提案する。このような容器表面は、和紙のような風合いと手触りを実現することができる。
【選択図】図1
Description
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、特にアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)などのプラスチックシートを、圧空真空成形や、その他の加熱成形などによって、シート内に商品を収納する空間形成用の凹部を形成し、所望の形状に打ち抜くなどして形成される。
また、不織布を全面的に貼り合わせてなるプラスチックシートが開示されている(特許文献2、特許文献3)。
また、実際の和紙の場合には、透かして向こうが見えないが、本発明の加飾プラスチックシートの場合には、透かして向こうが見えるという特徴を備えている。よって、本発明の加飾プラスチックシートから包装容器を形成すると、和紙からなるような風合いと手触りを表現することができ、しかも中身の商品を視認できるため、新たな包装容器として特に優れている。
本実施形態に係る加飾プラスチックシート(以下「本加飾シート」という)は、透明なプラスチックシートからなる基材シートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシートである。
基材シートは、透明なプラスチックシートであることが重要である。ただし、ここでいう透明とは、半透明を含む意味である。
透明なプラスチックシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートシート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレートシート(A―PET)、ポリプロピレンシート(PP)、ポリエチレンシート(PE)、ポリスチレンシート(PS)、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)、ポリカーボネートシート(PC)およびポリ乳酸シート(PLA)などを例示することができる。
但し、アクリルシートに関しては、引張強度が60MPa〜80MPaの範囲に入るものの、後述する材料試験の結果が示すように、起毛の繊維長さが足りないため、和紙のような手触りや風合いを得ることが難しいことが分かっている。
毛羽立ち加飾面は、透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数乃至無数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる構成を備えている。
なお、全ての筋から起毛していなくても、和紙のような風合いと手触りを実現することができるから、全ての筋からは起毛していない場合も包含する。
また、起毛の長さ(最大長さ)は、和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、300μm以上、特に500μm以上、中でも特に800μm以上、その中でも特に2000μm以上、さらには3000μm以上であるのが好ましい。他方、上限としては、8000μm以下、特に4200μm以下であるのが好ましい。
十点平均粗さ(Rz)は、2μm〜30μmが好ましく、特に3μm〜25μm、中でも特に8μm〜23μmが好ましい。
最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry)は、2μm〜35μmが好ましい。Ryが好ましい範囲であれば、特に肌触りを和紙のような感じに仕上げることができる。かかる観点から、特に4μm〜30μm、中でも特に10μm〜25μmが好ましい。
凹凸の平均間隔(Sm)は、0.05μm〜0.40μmが好ましく、特に0.10μm〜0.35μm、中でも特に0.20μm〜0.32μmが好ましい。
なお、一定方向に筋を設けるため、一定方向(TD)にはSmは測定されるが、これと直交する方向(MD)方向にはSmは測定されないという特徴を有している。
また、ヘーズが50〜95%であるのが好ましく、特に60〜95%、中でも特に70〜95%であるのが好ましい。
全光線透過率は、60〜90%であるのが好ましく、特に70〜85%、中でも特に75〜85%であるのが好ましい。
拡散光線透過率は、50〜80%であるのが好ましく、特に55〜70%、中でも特に60〜70%であるのが好ましい。
本加飾シートの製造方法としては、例えば基材シートをベルトコンベア上に載せて搬送し、例えばベルトサンダーの研磨材付き研磨ベルトの回転方向を、基材シートの搬送方向(MD)と一致させ、基材シート表面に多数乃至無数のスクラッチ傷を一定方向に均一に付けて毛羽立ち加飾面を形成するのが好ましい。
ただし、プラスチックシートの表面をベルトサンダーを用いて研磨すれば、本発明の毛羽立ち加飾面が形成できるというものではない。プラスチックシートの種類に応じて、研磨材の粒度や材質、研磨ベルトの速度、シートの搬送速度などを調整する必要がある。
研摩材の粒度は、プラスチックシートの種類と求める風合や手触りに応じて適宜調整するのが好ましい。基材シートを研磨する際の目安としては、JISR−6001で規定される粒度として、#80〜#400の範囲のものを用いるのが好ましい。研摩材の粒度が#80よりも粗い場合は、起毛状態が粗くなり過ぎる恐れがある。一方、粒度が#400よりも細かいと、起毛効果が不十分になる可能性がある。
シートの搬送速度は、速くすれば粗くなり、遅くすれば細かくなる傾向がある。好ましいシートの搬送速度は、プラスチックシートの種類と求める風合や手触りに応じて適宜調整するのが好ましい。基材シートを研磨する際の目安としては、5m/min〜30m/minであるのが好ましい。
本加飾シートは、そのまま利用することもできるが、例えば次のような加工を施して利用することもできる。
この際、樹脂、インキ又はニスを塗布する方法は任意であり、コーター等で塗布してもよいし、各種印刷方法により塗布してもよい。
また、毛羽立ち加飾面の一部の樹脂を溶融する場合には、当該樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に加熱された型を接触させるなどして、当該一部の樹脂を溶融させて毛羽立ち加飾面の筋及び起毛を消失させるようにすればよい。
その際、毛羽立ち加飾面内に凹部又は凸部を設けることもできる。例えば圧空真空成形などすると、成形の際の延伸によってエンボス柄は消失してしまうが、毛羽立ち加飾面の筋及び起毛は消失しないことを確認している。
また、折り込み用の罫線を付設することもできる。
本実施形態に係る包装容器(以下「本包装容器」という)は、上記の本加飾シートを用いて形成することができる。その際、毛羽立ち加飾面を容器の内面に配置することも可能であるが、プラスチックシート表面の艶を消すことができ、しかも起毛によって表面を和紙のような風合いと手触りに仕上げることができる効果を享受するためには、毛羽立ち加飾面を容器の表面、言い換えれば外面に配置するのが好ましい。
但し、これらに限定されるものではない。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
次のようにして、実施例及び比較例で得られた加飾シートの評価を行った。
以下の基準で、手触り・風合いを評価した。
◎:和紙に非常に近い手触り
○:和紙に近い手触り
△:やや和紙に近い手触り
×:和紙の手触りではない(プラスチックの質感)
◎:和紙に非常に近い風合い
○:和紙に近い風合い
△:ややプラスチックの風合いが残る
×:和紙の風合いではない
デジタルマイクロスコープ(キーエンス VHX−500F)にて研磨シートを50倍に拡大し、2点間距離を測定できる計測機能を利用して、起毛の長さ(最大長さ・平均長さ)を測定した。曲線状の毛羽については、複数の2点間距離をつなぎ合わせて毛羽とほぼ同形状の直線の集合体とし、その距離の和を測定した。
比較例1は研磨が浅く、研磨による毛羽が発生していないため、繊維長さの測定は行わなかった。また、比較例2及び3についても、毛羽が存在しないため、繊維長さの測定は行わなかった。
表面状態を示すため、実施例及び比較例で得られた加飾シートについて、次のようにして表面粗さを測定した。
測定器の触針先端半径は2μm、荷重は30mgとし、測定長さは8mm、カットオフ波長0.8mm、波長長さ4mmで測定した。
なお、実施例8は、起毛が長く、且つ研磨が深いため、表面粗さの測定ができなかった。
JIS K 7361に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH−300A」により全光線透過率、拡散光線透過率、ヘーズを測定した。
JIS Z 8741に準じて、入射角、受光角を60°に合わせて、フィルムの光沢度を測定した。測定には、「デジタル変角光沢計UGV−5DP型」(スガ試験機社製)を使用した。
未延伸A−PETシートからなる厚さ0.3mmの基材シートを、ベルトコンベアで搬送速度:20m/minで搬送する一方、ベルトサンダー(菊川鉄工所 湿式ワイドベルトサンダー 型番T122MW)を使用して#120番の研磨布ベルトをシート搬送方向と同方向に研磨ベルト速度:1200m/minで回転させ、基材シートの片面を、前記ベルトに水をかけながら湿式研磨し、基材シートの片面を毛羽立ち加飾面に加工して加飾シート(サンプル)を得た。
表1に示したように、シートの搬送速度を変更した以外は、実施例1と同様に加飾シートを得た。
表1に示した番手の研磨布ベルトを使用した以外は、実施例5、6は実施例1と同様、実施例7は実施例2と同様、実施例8は実施例4と同様に加飾シートを得た。
表1に示したように、研磨布ベルトの速度を変更した以外は、実施例3と同様に加飾シートを得た。
3M社製「トライザクト」番手A6の研磨ベルトを使用して基材シート表面を研磨した以外は、実施例1と同様に加飾シートを得た。
三菱化学製のA−PETシート「ノバクリアSG007」(厚み0.3mm)を、研磨しないでそのまま比較例2のサンプルとした。
三菱樹脂製のエンボスポリエステルシート「ディアフィックスPG−CHI」(厚み0.1mm)を、研磨しないでそのまま比較例3のサンプルとした。
指で触ったときに毛羽が均一に存在する場合や、深く研磨されている場合に、手触りは和紙に近い感触となることが分かった。また、プラスチックのようなギラツキ感(光沢感)や透明感がなく、外観で表面が適度に粗さを感じると和紙のような風合いとなることが分かった。
そして、起毛の長さが、これら風合いと手触りに影響することが分かった。
かかる観点から、起毛の長さは、最大長さが300μm〜12000μm、特に300μm〜8000μm、中でも特に800μm〜4200μmであるのが好ましく、平均長さとしては、200μm〜8000μm、特に500μm〜4500μm、中でも特に500μm〜2600μmであるのが好ましいと考えれる。
ベルト番手を下げる(粗く)すると起毛の長さを長くすることができることも分かった。
十点平均粗さ(Rz):2μm〜30μmが好ましく、特に3μm〜25μm、中でも特に8μm〜23μmが好ましいと考えられる。
最大高さ(最大高さと最大深さの距離)(Ry):2μm〜35μmが好ましく、特に4μm〜30μm、中でも特に10μm〜25μmが好ましいと考えられる。
凹凸の平均間隔(Sm):0.05μm〜0.40μmが好ましく、特に0.10μm〜0.35μm、中でも特に0.20μm〜0.32μmが好ましいと考えられる。
なお、MDに筋を設けたため、TDにはSmは測定されたが、これと直交するMDにはSmは測定されなかった。
かかる観点から、Ra(TD方向)/Ra(MD方向)およびRy(TD方向)/Ry(MD方向)のいずれかの値が1.0以上であるのが好ましく、特に1.2以上であるのが好ましく、中でも特に1.5以上であるのが好ましいと考えられる。
かかる観点から、光沢度は、3〜20%が好ましく、特に5〜16%、中でも特に5〜11%が好ましいと考えられる。
ヘーズは、50〜95%が好ましく、特に60〜95%、中でも特に70〜95%が好ましいと考えられる。
全光線透過率は、60〜90%が好ましく、特に70〜85%、中でも特に75〜85%が好ましいと考えられる。
拡散光線透過率は、50〜80%が好ましく、特に55〜70%、中でも特に60〜70%が好ましいと考えられる。
異なる材質の基材シートに対して、上記実施例1と同様に表面研磨を行い、起毛の様子、手触り、風合いを検討した。
なお、ポリプロピレンシート(PP)のみ、番手#240番の研磨布ベルトを使用した。
ポリプロピレンシート(PP):龍田化学ST−500、厚さ0.3mm、未延伸
軟質塩化ビニルシート(軟質PVC):明和グラビアMGK401、厚さ0.45mm、未延伸
二軸延伸ポリスチレンシート(OPS):三菱樹脂 サントクリア、厚さ0.25mm
ポリカーボネートシート(PC):三菱ガス化学FE−2000、厚さ0.30mm、未延伸
アクリルシート:三菱レイヨン アクリライトL、厚さ1.5mm、未延伸
A−PET:三菱化学社 ノバクリアーSG007、厚さ0.3mm、未延伸
PETG:三菱樹脂社 ディフィックス、厚さ0.1mm、未延伸
試験片を一定の速度(50mm/min)で引っ張って変形させ、変形に抵抗する力(測定荷重)と変位(標線間及びチャック間の伸び量)を測定し(JIS K 6734)、引張強度と引張伸度を同時に測定した。
試験片を一定の速度(5mm/min)で引っ張って、応力と歪みの直線関係が成立する領域を測定し、以下計算式にて弾性率(定数)を求めた(自社法)。
張弾性率=引張応力/引張歪み
表2の結果、和紙のような風合いと手触りを実現可能な観点からすると、基材シートは引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である必要があり、中でも60MPa以上、その中でも特に60Mp〜80Mpの材料シートがより好ましいことが分かった。
但し、アクリルシートに関しては、引張強度が60MPa〜80MPaの範囲に入るものの、起毛の繊維長さが不足するため、和紙のような手触りや風合いを得ることが難しいことが分かっている。
また、起毛の長さ(最大長さ)は、同じく和紙のような風合いと手触りを実現する観点から、300μm以上、特に500μm以上、中でも特に800μm以上、その中でも特に2000μm以上、さらには3000μm以上であるのが好ましいことが分かった。
Claims (7)
- 引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートからなり、該プラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を、容器表面に備えた包装容器。
- 毛羽立ち加飾面の一部に樹脂、インキ又はニスを塗布するか、或いは毛羽立ち加飾面の一部の樹脂を溶融するかして、当該毛羽立ち加飾面の筋及び起毛を消失させることによりその部分の透明度を高めて毛羽立ち加飾面内に窓部を設けてなる構成を備えた請求項1に記載の包装容器。
- 毛羽立ち加飾面とは反対側のプラスチックシートの面の一部或いは全部に印刷層を設けた構成を備えてなる請求項1又は2に記載の包装容器。
- 請求項1〜3の何れかの包装容器を形成するための加飾プラスチックシートであって、引張強度(JIS K 6734)が40MPa以上である透明なプラスチックシートの表面に、一定方向に伸びる多数の筋を有し、且つ当該筋からプラスチックの毛が起毛してなる毛羽立ち加飾面を備えた加飾プラスチックシート。
- 毛羽立ち加飾面における起毛の平均長さが200μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の加飾プラスチックシート。
- 毛羽立ち加飾面における起毛の最大長さが300μm以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の加飾プラスチックシート。
- 加熱成形により毛羽立ち加飾面内に凹部又は凸部を設けてなる構成を備えた請求項4〜6の何れかに記載の加飾プラスチックシート。
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