JP2011098481A - 伸縮可能な構造体および当該構造体をコア材とするフラッシュパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】板基材が有する剛性を最大限に利用でき、且つ、伸展させた際、構造体のセルが均一に開口し、強度に偏りが生じず、さらに、製造が容易である構造体を提供する。
【解決手段】帯状の板基材を、板面同士を対向させて多数積層したこと、前記板基材には、板基材の幅方向に平行な折曲用溝が一定のピッチで設けられており、当該折曲用溝は、前記板基材の上面・下面に交互に開口していること、前記板基材は、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材との間で折曲用溝の位置がずれるように積層されていること、各板基材の板面は、接着部によって隣接する板基材と連結されており、隣接する二枚の板基材間の接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分であること、前記折曲用溝の反対側の板面に貼着されたフレキシブルシートにより、板基材が折り曲げ可能に繋がっていることを特徴とする構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、フラッシュパネル等のコア材として利用することができる構造体、および当該構造体をコア材とするフラッシュパネルに関する。
家具や建具には見えない部分に紙質(ダンボール)を使用して、強度や物性(反り曲がりの矯正など)を向上させているものがある。代表的なものとして、紙製のハニカムコアを面材でサンドイッチした構造をもつ、フラッシュパネルが挙げられる。しかし、紙製のコアは、それ自体としても、製品化後も、強度、反り、表面接着強度についてきわめて重篤な欠点が発生しやすい。例を挙げると、紙製のコアを用いたフラッシュパネルでは、(1)コア材が薄いため、コア材と面材の接着面積が少なく、接着力不足のため、はく離しやすい。したがって、面材のひずみを十分に吸収できない。また、コア材が薄くて軽く、十分な強度を有していないため、面材が変位(反り曲がり等)したときに、フラッシュパネル自体に反り曲がりが発生する。(2)面材が木質材料であり、コア材が紙質材料であって、両部材の素材が違うため効果的に接着できる接着剤が少ない。(3)面材自身の強度は小さいため、コア材により十分に補強されていないと、連続的な開閉に伴う衝撃、面材に対する不規則な衝撃があった場合、面材の破損が生じる。などといった問題が存在する。
コア材としての効果を高めるため、例えば、紙製ハニカムコアのピッチ(間隔)を小さくすることが考えられるが、コア材の量が増えると、重量が重くなるとともに、コストがかかるという問題がある。
前記問題を解決するために、本発明者は特許文献1に記載の木質構造体を発明した。特許文献1の木質構造体によれば、紙製のハニカムコアと比べて強度が高く、フラッシュパネルの面材との接着強度も高いため、面材を十分に補強することができ、且つ、伸縮するため、保管や持ち運びに便利であり、コア材として使用する際には、面材のサイズに合わせてサイズ調整ができるという利点がある。
しかし、特許文献1の請求項1に記載された木質構造体は、形状変化の自由度が大きい構造体を製造することを目的として発明されたものであるため、板基材の積層方向にも板基材の長さ方向(長手方向)にも伸縮させることができ、形状を自在に変形させることができるという利点を有する一方、木質構造体を構成する板基材がそれぞれ、隣接する板基材と、折曲用溝が向かい合うか近接するように積層されていたため、各板基材の溝が、実質的に同じ位置に存在することとなり、板基材が元より有する剛性を生かしきれてきれておらず、せん断強度が弱いという問題を有する。特に、板基材の板幅を小さくした場合、板基材の長さ方向に対する強度の弱さが顕在化しやすい。また、上記木質構造体は、単に積層方向に引っ張るだけでは、同じ大きさ・同じ形状のセルを出現させることができず、セルの形状を揃えるためには、自らの手を用いて大きさ・形を揃えて均等にする必要がある。したがって、単に伸展させただけでは、強度が部分ごとに異なるという問題があり、セルの形を整えて均一な強度を達成するためには手間がかかるという問題があった。一方、特許文献1の請求項3に記載された木質構造体は、板基材の積層方向にしか伸縮しないため、請求項1の木質構造体と比べて強度の偏りは少ないものの、各板基材の間に、伸縮用の板部材を介在させる構成をとるため、構造体を伸展させる際に力が均一に伝わらず、その結果、伸縮用板部材ごとに伸縮の程度が異なり、やはり強度に偏りが生じるという問題があった。また、板基材と伸縮用板部材の二種類を用意し、それぞれを接着させる必要があるため、製造に手間がかかるという問題があった。
特許第4286899号公報
したがって、本発明は、上述した問題を解決するため、板基材がもともと有する剛性を最大限に利用でき、且つ、伸展させた際、構造体のセルが均一に開口し、強度に偏りが生じず、さらに、製造が容易である構造体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、セルが均一に開口する構造体を開発するために試作を繰り返した結果、板基材のみからなる構造体でありながら、各セルを均一に開口させることができ、且つ、構造体の伸展・収縮の繰り返しに耐える耐久性を有し、製造が容易な構造体を作成することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
伸縮可能な構造体であって、
帯状の板基材を、板面同士を対向させて多数積層したこと、
前記板基材には、板基材の幅方向に平行な折曲用溝が一定のピッチで設けられており、当該折曲用溝は、前記板基材の上面・下面に交互に開口していること、
前記板基材は、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材との間で折曲用溝の位置がずれるように積層されていること、
各板基材の板面は、接着部によって隣接する板基材と連結されており、隣接する二枚の板基材間の接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分か、あるいは板基材の端部であること、
前記折曲用溝の先端が反対側の板面に実質的に達しており、当該反対側の板面に貼着されたフレキシブルシートにより、折り曲げ可能に繋がっていること
前記構造体を積層方向に引き伸ばした際、平行四辺形状のセルが開口すること、
を特徴とする。
上記構造体は、折り畳んだ状態では、平板が積層された状態と同じであり、縦−横のサイズが、(板基材の厚み×板基材の枚数)−板基材の長さ、となるため、非常にコンパクトである。そして、各板基材には、折曲用溝が一定のピッチで設けられており、この折曲用溝の先端は反対側の板面に実質的に達しており、当該反対側の板面に貼着されたフレキシブルシートにより、折り曲げ可能に繋がっている。そして、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材との間で前記折曲用溝の位置がずれるように積層され、隣接する二枚の板基材は一定の間隔で存在する接着部(互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分か、あるいは板基材の端部)によって連結されているため、上記構造体を積層方向に引っ張ると、折曲用溝により各板基材が屈曲し、平行四辺形状のセルが複数出現し、積層方向に伸展する。
この際、折曲用溝の全てが、板面の上面または下面のいずれかのみに開口した板基材を用いると、屈曲がスムーズに起こらない箇所が生じ、無理に屈曲させると、フレキシブルシートの破断が生じる。本発明者は、折曲用溝が屈曲方向(折曲用溝を挟む両側の板により180度未満の角度が形成される側)に開口している場合、フレキシブルシートにより屈曲時に抵抗がかかり、構造体の伸展の程度が制限されること、構造体の伸展時にフレキシブルシートが破断しやすく・耐久性に劣ることを見出し、全ての折曲用溝を屈曲方向と反対側に開口させることを試みた。そして、本発明の構造体では、折曲用溝が、板基材の上面・下面交互に開口するよう設けられており、且つ、隣接する二枚の板基材を接着するする接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分となっているため、全ての折曲用溝を屈曲方向と反対側に開口させることができる。したがって、構造体を積層方向に伸ばした際には、全ての折曲用溝で屈曲がスムーズに起こり、フレキシブルシートを破断させることなく、板基材を積層方向に引き伸ばすことができる。
さらに、各板基材は、隣接する板基材と折曲用溝の位置が異なるため、隣接する板基材のうち、一方が屈曲しても、他方はその位置では屈曲せず、互いを補強し合う関係になる。したがって、構造体を引き伸ばす際にかける力が、遮断されることなく、各板基材を通じて構造体全体に均一に伝わり、構造体内のセルが全ての場所で均一に開口する。そのため、構造体を板基材の積層方向に単に引っ張るだけで、セルの開口・強度が均一になり、部所によっての強度の分散、ムラがないという利点を有する。そのため、特許文献1の請求項1の木質構造体(以下、特許文献1の六角形の構造体と称する)に比べて非常に作業性がよい。また、隣接する板基材が、同じ箇所で屈曲しないため、積層方向に伸展させた状態でも、板基材の剛性が生かされ、特許文献1の六角形の構造体よりはるかにせん断強度が高く、反りやねじれ等に対する耐久性が高い。さらに、特許文献1の六角形の構造体と比べると、溝の数が半分でよく、且つ溝のピッチが一枚の板基材内においても、各板基材においても同一であるため、製造工程を大幅に短縮し、製造コストを抑えることができる。
また、特許文献1の請求項3の構造体と比べても、板基材の間に伸縮用板部材を介在させる構成をとらないため、構造体を引き伸ばす際にかける力が全体に均一に伝わるという利点を有し、且つ、他の部材を介在させないため、製造が容易である。
また、上記構造体は、板基材からなるため、紙製のシートからなるコア材と比べて強度が高く、また、従来の紙製のシートからなるコアと比べて厚みがあるため、フラッシュパネルに用いた場合、面材とコア材の剥離が生じにくい。そのため、面材を効果的に補強することができる。
また、本発明にかかる構造体では、隣接する2つの板基材の厚みが異なる場合も、厚みが同じ板基材を用いた場合と同じように開閉し、強度を保ち、機能を発揮できるという大きなメリットを有する。
本発明の構造体は、板基材の持つ剛性を殺さず、最大限に生かすことができるため、せん断強度が高く、反り、ねじれ等に有効である。また、積層方向両端の板基材を引っ張るだけで、同じ形状のセルを均一に形成することができ、強度の偏りが生じなく、作業性が良いという利点を有する。また、フレキシブルシートを貼付した板基材のみからなり、溝の数も少ないため、製造が容易である。さらに、紙製のハニカムコアと比べて強度が高く、フラッシュパネルのコア材として用いた場合、面材との接着強度も高いため、面材を十分に補強することができる。また、伸縮するため、保管や持ち運びに便利であり、フラッシュパネルのコア材として使用する際には、面材のサイズに合わせてサイズ調整ができる。
図1は、本発明にかかる構造体の一実施例について、積層状態(板基材が重なった状態)を模式的に示す図であり、Aは側面図、Bは正面図および一部拡大図、Cは底面図である。 図2は、図1の構造体を伸展した状態を示す図である。 図3は、厚みの異なる板基材からなる構造体を伸展した状態を示す図である。 図4は、実施例1の構造体の構成を説明する図である。 図5は、実施例9のフラッシュパネルの構成を説明する図である。
本発明における板基材は、剛性を有し、溝加工ができる材質からなればよい。例えば、MDF板[木材繊維を接着剤と共に熱圧・成板した木質ボード]、合板、塩ビ板、不燃材、パーティクルボード等のハードボードが使用できる。木質材料からなる板基材を使用すれば、木質性資源の有効活用を図ることができる。なお、木質材料とは、木材自体や、木材を加工して得られる単板、チップ、繊維などを原料として製造される材料を意味し、家屋や家具の材料として汎用されているものを使用することができる。また、化粧板(例えばフラッシュパネルの面材等)の端材、特に、板面にポリエステル塗装を行ったものや、オレフィン系のシート、紙シート等を貼ったものを板基材として利用すれば、もとから板面全体にフレキシブルシートが貼着された状態となっているため、折曲用溝の先端側の板面表面に改めてフレキシブルシートを貼着する必要がなく、便利である。本発明によれば、従来廃材として焼却処理されてきた端材を利用できるため、木質材のリサイクル、リユースに資する。また、面材が木質の場合、面材とコア材が共に木質材料であるため、両部材を強力に接着することができ、面材とコア材の剥離が生じにくい。
また、石膏ボード等の不燃材を用いれば、不燃ドア、防火ドア、準不燃ドア等のコア材として使用することも可能である。現在利用されている不燃ドアは、高価なものが多いため、公共施設等、限られた場所でのみ使用されることが多いが、本発明品によれば、安価に不燃ドアや不燃壁材を提供することが可能となる。
本発明にかかる構造体では、板基材の剛性を生かしたまま構造体を製造することができるため、1mm〜1.5mm厚程度のMDF板を板基材として用いた場合も、強度に優れた構造体を製造することができる。さらに、隣接する板基材の厚みが異なる場合も、同じ厚みの板基材を用いた場合と同様に開閉し、強度を保つ事ができるという利点を有する。このように、厚みの異なる板基材を併用した場合も強度を保つことができることから、本発明に利用できる板基材の厚みは、特許文献1の六角形の構造体に利用できる板基材よりも幅広い。また、木質以外の板基材も使用できる。本発明にかかる板基材の例として、厚さ1mm〜20mmのMDF板、2mm〜20mmの合板、1mm〜20mmの合成樹脂板(塩化ビニル板、アクリル板等)、0.8mm〜10mmのアルミ板、3mm〜9mmの不燃壁板を挙げることができる。
板基材の幅(短手方向の長さ)は、用途に合わせ(製造するフラッシュパネル自体の厚み等)適宜選択すればよい。コア材として用いる場合、幅10〜40mmが一般的であり、20〜40mm、特に25〜35mmがより汎用されるサイズである。また、本発明の構造体は、非伸展時には、板基材を積層した状態となるため、その状態でカンナをかけて、幅を適宜調節することも可能である。
板基材の長さも、用途に合わせ(例えば、製造するフラッシュパネルのサイズやコア材を収納する枠体の構成等)適宜選択すればよい。一般にフラッシュパネルでは、面材と面材の間に、枠体(芯材とも呼ばれる)があり、この枠体は、面材に対応するサイズの外枠と、枠内を2〜4区画に分割する仕切板とで構成され、各区画に紙製のハニカムコア等のコア材を配置する構成をとっている。フラッシュパネルのコア材として用いる場合、板基材の長さは600〜1000mmが一般に使いやすい範囲である。例えば、一般的なサイズ(約800mm×約2000mm)のフラッシュドアの場合、枠内が横方向に平行に3分割されている場合、長さ600〜800mm程度の長さの板基材が適当であり、2分割されている場合は、長さ700〜1000mm程度の長さの板基材が適当である。
本発明において、フレキシブルシートは、折り畳み可能な柔軟性を有し、開閉を繰り返しても容易に破断しない耐久性を有するものであればよい。したがって、材質は特に制限されず、合成樹脂製であっても布製であっても紙製であってもよい。また、フレキシブルシートは、少なくとも折曲用溝が存在する箇所に設けられていればよい。なお、溝先端側の板面の表面にフレキシブルシートが少なくとも一層貼着されている状態となっていればよく、フレキシブルシートを設ける方法は特に限定されない。例えば、板面にフレキシブルシートを貼付してもよく、あるいは、板面に合成樹脂を塗装し、硬化させてシート状の層を形成してもよい。
板基材の板面同士の接着は、板面表面の材質を考慮して、適切な接着剤を使用すればよい。例えば、板表面がポリオレフィン系のシートで被覆されている板材の場合は、酢酸ビニル樹脂系の接着剤、板表面が紙ベースの含浸紙、強化紙、ウレタンコート紙で被覆されている場合は、サンディング加工後酢酸ビニル樹脂系接着剤を使用すればよい。
また、板面表面がPVC(ポリ塩化ビニル)などで被覆されている場合は、接着剤の代わりにTHF(テトラヒドロフラン)を塗布し、溶けたPVCにより板面同士を接着することもできる。また、板基材が金属・合成樹脂からなる場合は、接着剤を用いず、溶接や溶着により接着してもよい。
本発明において、板基材を多数積層したとは、少なくとも板基材を4枚以上積層したことを意味する。8枚以上積層したものがより好ましい。
折曲用溝のピッチ(図1および図2におけるa)は、特に限定されないが、60mm〜200mm程度が好ましい。また、接着部を挟む2つの溝の間隔(図1および図2におけるb)は、耐久性を高める点から、前記ピッチaの1/3以上であることが好ましく、他方、長くしすぎると、伸縮度が低下するため、前記ピッチaの2/3以下であることが好ましい。好ましい一例として、前記aが60mm〜120mmであり、前記bが前記ピッチの40〜60%の構造体を挙げることができる。
折曲用溝の例として、V溝、R溝、U溝、ノコ溝、丸溝、カッター溝等が挙げられる。本発明において、前記折曲用溝の先端が反対側の板面に実質的に達しているとは、折曲用溝の先端が反対側の板面に実際に到達している場合だけでなく、折り曲げ可能な程度に薄皮(1mm未満)を残している場合も含む。前記薄皮の厚みは、板基材の材質や厚みによっても変わるため、適宜調節すればよい。例えば2.5mm厚以上の木質の板基材の場合は0.2〜0.5mm程度が好ましい。
好ましい折曲用溝として、断面V字型(または断面逆V字型)のV溝が挙げられる。V溝の角度は、30〜150度が適当である。溝加工は、NCルータや丸鋸等の工具を用いて形成すればよい。
本発明にかかる構造体において、板基材はそれぞれ、隣接する板基材(上下に積層された板基材)と、折曲用溝の位置がずれるように積層されている必要があるが、ここで、ずれの程度は接着部の長さとも関連するため、溝のずれは上述したbの長さと同様、前記ピッチaの1/3以上であって、2/3以下であることが好ましい。
本発明の構造体は、多方面の用途に使用でき、例えば、木製ドア、クロゼットコア材、家具コア材、アルミパネルコア材、軽量柱(飾り柱)、壁面コア材、底上げコア材、震災用伸縮ベッド、伸縮間仕切り材等に使用可能である。
また、現在コア材として汎用されているペーパーハニカム等に比べ、圧縮強度および湿潤圧縮強度が10倍程度高い構造体を提供することができる。また、パネルのコア材として用いるにあたり、板基材の密度を上げて使用すれば、軽量高強度パネルを製造することができ、また、柱のコア材として用いれば、既存の集成材からなる柱より軽量な柱(飾り柱)を提供できるなど、中身が詰まっているものと比べて、軽量でありながら、高強度な建築材を提供することができる。
以下、実施例により本発明にかかる構造体をより詳細に説明する。
以下の手順により、本発明にかかる第一の構造体を製造した。
板基材として、化粧板の端材を利用した。前記化粧板は、MDF板であり、両面に厚み約0.15mmの紙製のシートが貼付されている。板基材の厚みは2.5mmである。長さ約600mm・幅150mmの板基材2を10枚用意し、板基材の板面上に、NCルータにより、断面形状が角度90度のV字形状をなす折曲用溝(溝幅:約5mm)を複数本、板基材の幅方向に平行に形成した(板基材の上面に開口する溝と下面に開口する溝が、交互に配置されるよう形成した)。溝の深さは約2.2mmとし、溝先端と反対側の板面との間に0.3mmの距離が空くように形成した。
図4に本実施例にかかる構造体の構成を模式的に示す。図4に示すように、各板基材2において、板基材の一端部側から70mmのピッチで折曲用溝3を8本設けた(特に断りのない限り、溝同士のピッチや溝からの距離は、溝の頂点から測った距離を意味する)。8本目の折曲用溝と他端部側との距離は40mmとなった。10枚の板基材を偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材の折曲用溝の位置がずれるように積層した。図4に示すように、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材はそれぞれ、他方の板基材の一端を支点として上下方向に180°回転させた状態となっている。図4に示すように、各板基材における溝断面は、左から∨・∧・∨・∧・・・となっており、各板基材における折曲用溝の位置は、上下の板基材に形成された近接する溝と30mmまたは40mmずれた位置にある。このうち、互いに向かって開口する溝によって挟まれた部分(すなわち、図4において∧と∨または∨と∧で挟まれた部分:溝間の距離は40mm)、および板の両端に接着剤を塗布し(図4中、接着剤5を黒線で示す)、板基材を積み重ね、30トンで40分間プレスしたのち、25mm幅で切断し、長さ600mm×幅25mmの板基材10枚からなる構造体を製造した。
図1に模式的に示されている別の構造体を用いて、本発明にかかる構造体の構成をさらに説明する。図1のAは側面図であり、Bは正面図および一部拡大図であり、Cは底面図である。実物では板基材間に隙間はないが図中では板基材の境目および接着箇所を明確にするため、板基材間に隙間を設け、接着箇所を黒塗りで示している。また、フレキシブルシートは、一部拡大図にのみ記載する。
図1Bに示すとおり、板基材2はそれぞれ、隣接する板基材2(上または下に積層された板基材)と、接着部により連結されており、接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分か、あるいは板基材の端部である。上および下に板基材が積層された真ん中の板基材を中心として見た場合、接着部は、非接着部を介在して、板面の上下交互に繰り返される構成となっている。
また、図1Bの一部拡大図に模式的に示すように、板基材の両面にはフレキシブルシート4が貼着されており、折曲用溝3の存在する箇所では、板基材2は完全に分断されるかまたは薄皮一枚残した状態で繋がっており、フレキシブルシート4により、溝両側が折り曲げ可能に繋がった状態となっている。
図1Bにおいて、aは一枚の板基材における溝のピッチである。bは、隣合う板基材における、互いの板基材に向かって開口する折曲用溝間の距離であり、この区間に接着剤を塗布する。
したがって、図2に示すように、構造体を積層方向に伸展させた場合は、長さがほぼ[[a]に対応する長辺と、長さがほぼ[a−b]に対応する短辺からなる平行四辺形状のセルが均一に開口する。
基本的に、接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士(同じ面に向かって開口する溝同士)によって挟まれた部分である。本実施例では板基材の端部に存在する単位は、端に溝が形成されていないため、同じ面に開口する溝によって挟まれていないが、本来の繰り返し配置からすれば、同じ面に開口する溝によって挟まれるはずの単位である。したがって、本実施例では、板基材の端部に存在する一単位も、溝開口側の面により隣接する板基材と接着されている。
図1(B)や図4の一部拡大図に示すように、折曲用溝3の両側は、フレキシブルシート4(本実施例では紙製のシート)によりほぼ皮一枚で繋がった状態であるため、折曲可能であり、また、図2に示すように全ての折曲用溝3が屈曲方向(折曲用溝を挟む両側の板により180度未満の角度が形成される方向)と反対側に開口している。セルの大きさは、伸展させる力の大きさにより調節可能であるため、フラッシュパネルのコア材として用いる際にも、積層方向のサイズ調整が可能であるため、汎用性が非常に高い。また、板基材の幅についても、積層状態としてカンナをかけることにより、複数の板基材をまとめて削ることができるため、現場で容易に調節することができる。
なお、実施例1の構造体を完成する前に多数の試作を行った。本発明にかかる構造体は、特許文献1の六角形の構造体(各板基材において、接着部の両側に折曲用溝が存在する)と異なり、各板基材において、接着部の一方側にのみ溝が存在する。そのため、各板基材の上面に接着剤を塗布し、板基材を積み重ねて接着する際に、以下の問題が発生した。
すなわち、特許文献1の六角形の構造体では、2本の折曲用溝の内側に接着剤を塗布すればよいため、塗布位置が明確であり、また塗布量が多い場合でも接着部の両側かつ上下両方に溝が存在するため、接着部から押し出された接着剤を溝が堰き止める形となり、本来の接着部以外の板面に接着剤が付くことはなかった。そのため接着剤は、溝の中央付近に、約2mm幅で約2mmの盛り上がりを基準に塗布すればよく、多少変動があっても問題なかった。しかし、本発明にかかる構造体では、一枚の板基材を見た場合、接着部の片側にしか溝がないため、塗布量が多い場合、接着部から押し出された接着剤が、他の板面(非接着部)へ付着するという問題があった。したがって、接着剤の塗布量の管理および塗布範囲を正確に管理することが重要であった。
具体的には、接着剤の量が多いと、本来非接着部となるはずの箇所が接着され、セルが開口しない箇所が出現するという問題や、力をかけるとセルは開口するものの、折曲用溝を構成する壁面(V字溝を構成する斜面)に割れが発生し、溝の頂点で曲がらないという問題が生じた。これに対し、接着剤の塗布量を少な目にすると、接着部にかかる力に耐えられず、接着部の剥離が生じるという問題があった。特に接着剤の量を少なめにした場合、接着部の真ん中に接着剤が塗布されていないと、剥離が生じやすかった。これは、本発明の構造体は、板の剛性を生かすことを目的としているため、特許文献1の六角形の構造体より、伸展時に接着部にかかる力が大きくなるため、接着剤が少ない場合や、接着剤の塗布位置が偏った場合、負荷に耐えられず、剥離が生じると考えられる。
また、特許文献1の六角形の構造体は、自在に屈曲するため、一度伸展させると、力を外しても同じ形状を維持するが、本発明にかかる構造体は、板基材の剛性を生かしているため、一定以上伸展させると、元の状態に戻ろうとする力が働く。例えば、最大限に伸展させて力を除くと、本発明にかかる構造体は、セルの開口面積がある程度小さくなるまで縮む。したがって、それ以上に構造体を伸展させている時には、常に接着部が引っ張られている状態であるため、接着に不備があると不都合が生じやすいと考えられる。
さらに、接着剤の漏れがない場合も、長さ方向にややずれて積層された板基材が存在する場合、その板基材は、溝の頂点から折れ曲がらず、折曲用溝の壁面に割れが観察された。これは、伸展時に均等に力がかかることから、ずれを生じていてスムーズに動かない部分に、大きな負荷がかかったためと考えられる。このことから、当初予想していた以上の力が接着部にかかっていることが理解できた。なお、若干のずれであれば(溝壁面に割れが生じることはあっても)、破損に至らず開閉させることができた。しかし、本発明にかかる構造体を製造する際は、特許文献1の六角形の構造体を製造する場合より、板基材の予定位置からのずれを厳密に管理することが好ましいことが分かった。具体的には、板基材の予定位置からのずれは、10mm未満にとどめることが好ましく、5mm以内(特に3mm以内)にとどめることがより好ましい。
なお、接着剤を盛り上がった状態で塗布した場合、例え非接着部への漏れがなくても、伸展時に接着部分に常に力がかかっているため、板基材の間に若干の隙間が見える。
このことから、特許文献1の木質構造体の場合は、2mm幅・2mm高さで接着剤を塗布すればよかったが、本発明の構造体では、接着部全体に接着剤を薄く均一に塗布することが望ましく、ローラによる塗布が好適であることが分かった。
また、折曲用溝について検討した結果、本発明の構造体は、ある程度以上伸展させると、折曲用溝に常に力がかかること、および、特許文献1の六角形の構造体と異なり、折曲用溝があらゆる角度に曲がる必要がないことから、溝の深さは、板基材を完全に分断する深さより、溝の先端が板基材の反対面にわずかに達しない深さにとどめたほうがより好ましいことが分かった。他方、溝を浅くしすぎると、伸展させにくくなるため、溝先端から板基材の反対面までの距離が1mm未満となる深さの溝を形成することが好ましく、材質が木質の場合は特に、上記距離が0.2mm以上0.4mm以下(特に0.3mm程度)とすることがより好ましかった。
前述のように試作を繰り返して得られた経験から、実施例1の構造体では、折曲用溝の深さを、板基材が0.3mm残る程度の深さとし、接着剤は、接着部に薄く均一に伸びるよう、ローラでベタ塗りした。
このようにして製造した実施例1の構造体は、非接着部への接着剤の付着もなく、全てのセルが均一に開口し、板基材の剥離も、接着部における板基材間の隙間も発生しなかった。
実施例1により、セルが均一に開く構造体を作成することができたが、セルが思ったほど開口せず、イメージしていた大きさよりセルが細かくなった。これは、板基材の剛性を利用しているためと考えられる。より大きな構造体を作成するため、長さ800mmの板基材を用いて、実施例1と同じピッチにて同じ折曲用溝を構成した(a=70mm:b=40mm:溝深さ=2.2mm:溝幅=約5mm)。使用した板基材は実施例1と同様、両面化粧紙貼りの厚み2.5mmのMDFであり、板基材の枚数は24枚とした。板基材の幅は約28mmとなるようカットした。
実施例1よりサイズの大きい構造体となったが、非接着部への接着剤の付着もなく、全てのセルが均一に開口し、板基材の剥離や、接着部における板基材間の隙間が発生しない構造体を製造することができた。
実施例2と同様、長さ800mmの板基材を用いたが、実施例2と溝のピッチが異なる構造体を製造した。使用した板基材は実施例1と同様、両面化粧紙貼りの厚み2.5mmのMDFであり、板基材の枚数は24枚とした。板基材の一端側から、93.75mmのピッチで、板面の上下交互に折曲用溝(溝深さ=2.2mm:溝幅=約5mm)を8本設けた。最後の折曲用溝と板基材の他端部の距離は50mmとなった。この板基材を偶数枚目と奇数枚目の板基材の折曲用溝がずれるように積層した。本実施例でも、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材は、それぞれ、他方の板基材の一端を支点として上下方向に180°回転させた関係となっており、aが93.75mmであり、bが50mmである。板基材の幅は約28mmとなるようカットした。
実施例2の構造体に対し、aおよびbを変更した構造体を製造したが、非接着部への接着剤の付着もなく、全てのセルが均一に開口し、板基材の剥離等が発生しない構造体を製造することができた。
異なる厚みの板基材を用いて、本発明にかかる構造体を製造した。具体的には、実施例1の構造体について、偶数枚目の板基材の厚みを1.5mmに変更した構造体を作製した。また、板基材の枚数は14枚とした。図3に、本実施例にかかる構造体を示す。図に示すように、本実施例にかかる構造体は、厚みの異なる2種類の板基材からなるが、実施例1の構造体と同様、全ての箇所でセルを均一に開くことができ、強度の偏りは生じなかった。また、板基材本来の剛性を生かしているため、厚みの薄い板基材を介在させても強度を維持することができた。
さらに、板基材は一枚の板でなくても、接着部で張り合わすことにより、強度を落とさず次々とつなげていく事が可能であった。このように、複数枚の板を継ぎ合わせて1の板基材とした場合も、セルが均一に開き強度の偏りのない構造体を作製することができた。
このように厚みの異なる板基材を用いても、強度に優れた構造体を作製できるため、本発明にかかる構造体は、不要になった端材のリサイクルに非常に有用である。
具体例を挙げて説明すると、1月に20000枚程度の木質面材を使用するドアメーカの場合、20000枚全てに対して大小の端材が発生しており、製品歩留まりは90%で、廃材となる端材の比率は10%(1月あたり、約2000枚の面材に相当)であり、この端材を全て焼却(産業廃棄物)としているのが現状であるが、本発明によれば、これらの端材を利用して構造体を作製でき、しかも厚みの異なる端材であっても組み合わせて使用することができるため、廃材を有効に活用することができる。また、板基材は一枚の板でなくても、接着部で張り合わすことにより、使用可能であるため、一枚ものの板以外でも使用することができる。これにより、木質資源を有効活用することができ、環境保護やCOの削減に貢献することが可能である。
また、両面に強化紙と呼ばれる印刷紙が貼られている面材(化粧板)の場合、強化紙は接着剤の浸透を妨げるため、接着剤の種類によっては強化紙上からの接着が困難なことがあるが、このような場合でも、強化紙表面をサンドペーパーでサンディングし、表面層を一皮剥けば接着可能である。したがって、再利用やリサイクルが困難とされる化粧板であっても有効利用することができる。
実施例2で製造した構造体と同様の構造体をコア材として用いて、フラッシュ扉(W×H=約800mm×約2000mm 厚み=約33mm)を作成した。まず、幅約35mm×厚み約28mmの角材にて約800mm×約2000mmの外枠を作成し、さらに横方向に平行な2枚の仕切り板(約35mm×約28mmの角材)で当該枠内を3つの区画に区切り、この3つの区画(内径:W730mm×H620mm)それぞれに、板基材の長さが670mmとなるようカットした、実施例2の構造体を、板基材の長さ方向(長手方向)がフラッシュ扉の高さ方向となるように収納し、その後約800mm×約2000mmの面材(厚さ2.5mmのMDF)でサンドイッチすることによりフラッシュ扉を作成した。面材と枠材・構造体は、酢酸ビニルエマルジョン型接着剤(アイカ工業製)で接着した。接着剤の塗布量は140g/mとした。
なお、特許文献1の六角形の構造体で、同様のフラッシュ扉を製造する場合、板基材の長さは約650mmが適切であったため、本実施例の構造体も、最初は板基材の長さが650mmとなるようにカットしたが、この構造体を積層方向のサイズが約730mmとなるよう引き伸ばしたところ、板基材の長さ方向のサイズが600mm程度に縮み、各区画の上部に20mmの隙間が生じた。このことから、特許文献1の六角形の構造体に比べて、本発明にかかる構造体は、板基材の長さ方向の縮みが大きいことが分かった。そのため、上述の通り、板基材の長さを670mmとして製造したところ、隙間無く納めることができた。
本発明にかかる構造体を使用してフラッシュパネルを製造し、環境試験を行った(JIS規格A 6931 パネル用ペーパーコアに準じて行った)。
長さ700mm、幅24mm、厚み2.5mmの板基材30枚(材質MDF)からなる構造体(a=93.75mm、b=50mm)を作製した。前記構造体を、積層方向のサイズが約350mmとなるよう伸展させ(セルの開口幅は約25mmとなった)、2つ並べた状態(約700mm×約700mmサイズ)でコア材として使用し、MDFからなる厚み2.5mmの表面材(700mm×700mm)を両面に貼り付けて、フラッシュパネルを作製した。表面材と構造体の接着には、酢酸ビニルエマルジョン型接着剤を用いた。
比較例として、特許文献1の六角形の構造体をコア材に用いて同じサイズのフラッシュパネルを作製した。六角形の構造体は、長さ700mm、幅24mm、厚み2.5mmの板基材(材質:MDF)30枚から構成し、接着部の長さ45mm、非接着部の長さは65mmとした。上記と同様、前記構造体を、積層方向のサイズが約350mmとなるよう伸展させ(セルの開口幅は約25mmとなった)2つ並べた状態でコア材として使用した。
上記700mm×700mmのフラッシュパネルを4等分して、350mm×350mmのパネルとし、環境試験を行った。
本発明にかかるフラッシュパネルと、比較例にかかるフラッシュパネルを用いて、圧縮強度・湿潤圧縮強度・せん断強度を測定した。測定条件は、JIS規格A 6931 パネル用ペーパーコアに準ずる。
測定結果を表1に示す。
Figure 2011098481
本実施例の結果から、本発明にかかる構造体は、特許文献1の六角形の構造体と比較して、圧縮強度、湿潤圧縮強度、せん断強度の全ての面において優れたフラッシュパネルを製造できることが分かる。
本発明にかかる構造体を用いて軽量柱(飾り柱)を作製した。長さ1100mm、幅82mm、厚み9mmの板基材(材質:MDF)4枚からなる構造体(a=93.75mm、b=50mm)を作製した。柱の表面材として、4mm厚のMDFを用い(木質単板貼り)、1000mm×90mm×110mmサイズ(外径)の中空の四角柱を作製し、中空部に本発明にかかる構造体を配置してコア材とした。コア材と表面材は、酢酸ビニルエマルジョン型接着剤で接着した。
外観上、中身が詰まっている無垢材や集成材からなる柱と全く見分けが付かない軽量柱が完成した。同じサイズの柱を無垢材で構成した場合は8kg前後になるが、本発明にかかる軽量柱は3.5kgと軽量であり、強度の点でも問題がなく使用することができた。
不燃材を用いて本発明にかかる構造体を作製した。板基材に用いる不燃材として、3mm厚・裏面紙付きの火山性ガラス質複層板(ダイライト:大建工業株式会社製)を用いた。基材の表面に強化紙を貼り、長さ800mm、幅30mmの板基材14枚からなる構造体を製造した(a=93.75mm、b=50mm)。折曲用溝(断面V字)は、板基材が約0.7mm残る深さに形成した。
不燃材から構成した上記構造体も、木質からなる構造体と同様に、伸展させると平行四辺形のセルが全ての箇所で均一に開口した。
なお、上記不燃材(火山性ガラス質複層板)や石膏ボードを用いて構造体を作製する場合、木質からなる板基材と異なり、板基材自体に繊維層がなく弱いため、折曲用溝を深くしすぎると、長さ方向の強度が失われ、積層しにくく、作業性が非常に悪くなった。そのため、折曲用溝は木質の板基材の場合より、浅めに形成するほうが好ましかった。具体的には、溝の先端から板基材の反対面までの距離が約0.5mm以上1mm未満(特に好ましくは0.7mm前後)となるように形成すると、作業性がよく、且つ、伸展させる際に、適度な力で板基材を折り曲げることができた。
このように、本発明にかかる構造体を不燃材から構成し、不燃ドアのコア材として用いることで、不燃ドアのコストの低減を図ることができる。
現在、老人ホーム等において、火災発生時に対応するために、不燃ドア、準不燃ドア等の基準があるが、現在の仕様では、不燃加工用の溶液を含浸させた木材をコア材として使うことが多く、非常に値段が高いため、建築コストを上げる原因となっている。本発明によれば、もともと燃えない板基材から構造体(コア材)を作製できるため、溶液を含浸させる必要がなく、低コストで不燃ドアを製造することが可能である。
本発明にかかる構造体を用いて、強度のより高いフラッシュパネルの作製を試みた。11.5mm厚の平板(合板製)を、1800mm×900mmサイズにカットし、これを芯板として、本発明にかかる構造体(実施例1と、板基材の長さ・枚数以外は同じ構成の構造体を用いた)をその両面に接着し、さらに3mm厚のMDF板(表面板)2枚でサンドイッチして、フラッシュパネルを作製した。図5に本実施例にかかる構造体を模式的に示す。図5に示すように、芯板(合板)を挟んで取り付けられた2つの構造体は、板基材の長さ方向が、互いに直行するように配置した。本発明にかかる構造体は、板基材の積層方向におけるせん断強度が、板基材の長さ方向におけるせん断強度より劣る。しかし、本実施例のように、せん断強度の高い長さ方向を直行させる事により、長さ方向を同一方向として2つの構造体を配置するのに比べて、はるかに強度の強いパネルを製造することができた。
また、無垢(中身が詰まっている)パネルは、基本的にどの部分に釘やビスを打っても効果があるが、これに対し、フラッシュ構造のパネルは空間が多いため、下地のある部分にしか釘やビスを打つことができない。そのため、従来のフラッシュパネルの製造工程には、芯組み工程(パネルの形作り)が必要であったが、本実施例の方法により製造したフラッシュパネルは、中央に合板が挟まれているため、どの部分を切っても中にビスを止められる木質部(合板部)があるため、従来の芯組み工程を必要としない。また、木口面に貼るテープとして、約2mm程度の厚手のテープを用いることにより、側面を凸凹感無くカバーすることができた。また、金物を入れビスを固定することも可能であった。
このように、芯組み工程が必要ないため、本実施例にかかるフラッシュパネルは、無垢材から必要なサイズのパネルを切り出すのと同様、必要なサイズに小割して使用できるため、非常に汎用性が高い。また、無垢材に比べて軽量であるという利点を有する。
実施例5と同じサイズ・同じ芯組みを有するドアについて、空気流通ドアの作製を試みた。実施例5と同じ構成を有する構造体について、各板基材の板面に、直径7mmの貫通孔(空気穴)を、折曲用溝で挟まれた各区間に一カ所ずつ設けた(非接着部となる箇所に設けた)。また、面材には直径4mmの穴を多数設け、仕切り板にも3箇所の、断面コの字形の凹部を設けたところ、ドア内部における空気の流動が確認でき、パネル表面から空気の排出・吸引ができるパネルを製造することができた。本発明にかかる木製の構造体をこのように構成することにより、吸着パネル、吸着コンベヤ、エアーシャワー室等の今までアルミ、鉄等で作っていた商品の木製化が可能である。
1 構造体
2 板基材
3 折曲用溝
4 フレキシブルシート
5 接着剤

Claims (9)

  1. 伸縮可能な構造体であって、
    帯状の板基材を、板面同士を対向させて多数積層したこと、
    前記板基材には、板基材の幅方向に平行な折曲用溝が一定のピッチで設けられており、当該折曲用溝は、前記板基材の上面・下面に交互に開口していること、
    前記板基材は、偶数枚目の板基材と奇数枚目の板基材との間で折曲用溝の位置がずれるように積層されていること、
    各板基材の板面は、接着部によって隣接する板基材と連結されており、隣接する二枚の板基材間の接着部は、互いの板基材に向かって開口する溝同士によって挟まれた部分か、あるいは板基材の端部であること、
    前記折曲用溝の先端が反対側の板面に実質的に達しており、当該反対側の板面に貼着されたフレキシブルシートにより、折り曲げ可能に繋がっていること
    前記構造体を積層方向に引き伸ばした際、平行四辺形状のセルが開口すること、
    を特徴とする構造体。
  2. 前記折曲用溝が、断面V字型またはU字型の溝であることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
  3. 前記板基材が木質材からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の構造体。
  4. 前記板基材が不燃材からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の構造体。
  5. 板厚が異なる2種以上の板基材から構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体。
  6. フラッシュパネル用のコア材として用いられるものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体をコア材とする、フラッシュパネル。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体が両面に固着された平板を、2枚の表面板で挟んだ構成を有することを特徴とする、フラッシュパネル。
  9. 前記平板の一方の面に固着された構造体と、他方の面に固着された構造体は、板基材の長さ方向が直行する向きに配置されていることを特徴とする、請求項8に記載のフラッシュパネル。
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