このようなレーザ加工は、例えば、LEDの基板作成時に使用される。LEDは、基板の上に化学気相成長法によって薄膜を積み重ねて作成されるが、この基板の表面に凹凸を形成することによって、発光層で生じた光に対する外界に取り出せる光の取り出し割合である光取り出し効率を向上させることができる。このため、パルス列状のレーザ光照射により、基板に微細な加工跡を形成して基板表面全体を凹凸状に加工する。
従来のレーザ加工装置においては、レーザ光源から出射されるパルス列状のレーザ光のパルス幅、ハイレベルのレーザ強度、径方向移動加工跡及び回転線速度は、レーザ加工中、一定になるように設定されている。したがって、加工跡の大きさや間隔は常に一定で、複数の加工跡は規則正しく配列されたものとなる。詳細には、半径位置が変わると、テーブルが一回転する間にレーザ光照射位置が移動する距離すなわち円周の長さが変わるために、形成された加工跡部分を拡大して見た場合、図11(A)に示すように、形成された加工跡は平行四辺形上に配列されたものとなる。一方、LEDの製作のために基板に加工跡を形成する場合には、加工跡を図11(A)に示すように規則正しく形成するよりも、加工跡を図11(B)に示すようにランダムに形成した場合の方が光取り出し効率が高くなる場合があるという実験結果も得られている。しかしながら、従来のレーザ加工装置では加工跡をランダムに形成することができないと問題がある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、加工対象物の加工領域全体にわたって加工跡をランダムに形成できるようにしたレーザ加工装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、加工対象物(OB)をセットするためのテーブル(21)と、テーブルを回転させる回転手段(22)と、テーブルにセットされて回転する加工対象物にレーザ光源(31)から出射されたレーザ光を対物レンズ(35)により集光して照射する加工ヘッド(30)と、加工ヘッドから出射されたレーザ光により加工対象物に形成されたレーザスポットを、テーブルに対して相対的にテーブルの半径方向に移動させる半径方向移動手段(23〜25)と、パルス列状の駆動信号を生成してレーザ光源に供給し、レーザ光源からパルス列状のレーザ光が出射されるようにレーザ光源を駆動するレーザ光源駆動手段(71,72)とを備え、加工対象物に、テーブルの半径方向に沿うとともに、テーブルの回転方向に沿った複数の加工跡を形成するようにしたレーザ加工装置において、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔、及び形成される複数の加工跡の大きさのうちの少なくとも1つの要素がランダムに変化するように、複数の加工跡の形成を制御するランダム制御手段を設けたことにある。
これによれば、加工対象物にマトリクス状に形成される加工跡パターンにおいて、テーブルの半径方向に沿った複数の加工跡の間隔、テーブルの回転方向に沿った複数の加工跡の間隔、及び複数の加工跡の大きさのうちの少なくとも1つの要素をランダムに変化させた加工跡パターンが形成される。その結果、ランダムな加工跡パターンの要望を満たすことができる。
上記本発明において、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させる場合には、例えば、ランダム制御手段が、加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向にランダムに変化させる半径方向ランダム制御手段(43〜46,81〜83)を有し、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させるようにするとよい。
具体的には、半径方向ランダム制御手段を、レーザ光源から対物レンズへのレーザ光の光路上に配置されて、加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向に変化させるための音響光学変調素子又は電気光学変調素子(43)と、音響光学変調素子又は電気光学変調素子にランダムに変化する電気信号を供給して、音響光学変調素子又は電気光学変調素子が加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向にランダムに変化させるように、音響光学変調素子又は電気光学変調素子を制御する光軸駆動回路(81)とで構成するとよい。これによれば、音響光学変調素子又は電気光学変調素子の時間応答性は高いので、テーブルを高速回転させて微細間隔の加工跡を加工対象物に形成する場合に有効である。
また、半径方向ランダム制御手段を、対物レンズを駆動して加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向に変化させるためのアクチュエータ(44)と、アクチュエータにランダムに変化する電気信号を供給して、対物レンズが加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向にランダムに変化させるように、アクチュエータを制御する光軸駆動回路(82)とで構成してもよい。この場合、アクチュエータとしては、例えばトラッキングアクチュエータを利用でき、光ディスクの記録再生に用いられる光ヘッドに備わっているトラッキングアクチュエータを加工ヘッドに備えるようにすることは簡単であり、光軸駆動回路も簡単に構成できるので、レーザ加工装置を安価かつ簡単に構成できる。
また、半径方向ランダム制御手段を、レーザ光源から対物レンズへのレーザ光の光路上に配置されて、レーザ光源からのレーザ光を反射して対物レンズに導くミラー(45)と、ミラーを駆動して加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向に変化させるためのアクチュエータ(46)と、アクチュエータにランダムに変化する電気信号を供給して、ミラーが加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの半径方向にランダムに変化させるように、アクチュエータを制御する光軸駆動回路(83)とで構成してもよい。この場合も、ミラー、アクチュエータ及び光軸駆動回路は比較的簡単に構成されるので、レーザ加工装置を比較的安価かつ簡単に構成できる。
さらに、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させる場合には、ランダム制御手段が、半径方向移動手段を電気的に制御して、半径方向移動手段によってテーブルに対して相対的にテーブルの半径方向に移動するレーザスポットの移動速度をランダムに変化させる半径方向移動速度ランダム制御手段(50,62)を有し、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させるようにしてもよい。この場合も、レーザ加工装置に備わっている半径方向移動手段を電気的に制御するのみであるので、レーザ加工装置を安価かつ簡単に構成できる。
一方、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させる場合には、ランダム制御手段は、例えば、加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向にランダムに変化させる回転方向ランダム制御手段(47,84)を有し、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させるようにするとよい。
具体的には、回転方向ランダム制御手段を、レーザ光源から対物レンズへのレーザ光の光路上に配置されて、加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向に変化させるための音響光学変調素子又は電気光学変調素子(47)と、音響光学変調素子又は電気光学変調素子にランダムに変化する電気信号を供給して、音響光学変調素子又は電気光学変調素子が加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向にランダムに変化させるように、音響光学変調素子又は電気光学変調素子を制御する光軸駆動回路(84)とで構成するとよい。これによれば、音響光学変調素子又は電気光学変調素子の時間応答性は高いので、テーブルを高速回転させて微細間隔の加工跡を加工対象物に形成する場合に有効である。
また、回転方向ランダム制御手段を、対物レンズを駆動して加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向に変化させるためのアクチュエータと、アクチュエータにランダムに変化する電気信号を供給して、対物レンズが加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向にランダムに変化させるように、アクチュエータを制御する光軸駆動回路とで構成してもよい。この場合、対物レンズを回転方向に駆動するアクチュエータ及び光軸駆動回路は比較的簡単に構成されるので、レーザ加工装置を比較的安価かつ簡単に構成できる。
また、回転方向ランダム制御手段を、レーザ光源から対物レンズへのレーザ光の光路上に配置されて、レーザ光源からのレーザ光を反射して対物レンズに導くミラーと、ミラーを駆動して加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向に変化させるためのアクチュエータと、アクチュエータにランダムに変化する電気信号を供給して、ミラーが加工対象物に照射されるレーザ光の光軸をテーブルの回転方向にランダムに変化させるように、アクチュエータを制御する光軸駆動回路とで構成してもよい。この場合も、ミラー、アクチュエータ及び光軸駆動回路は比較的簡単に構成されるので、レーザ加工装置を比較的安価かつ簡単に構成できる。
さらに、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させる場合には、ランダム制御手段が、回転手段を電気的に制御して、回転手段によって回転されるテーブルの回転速度をランダムに変化させる回転速度ランダム制御手段(50、61)を有し、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させるようにしてもよい。この場合も、レーザ加工装置に備わっている回転手段を電気的に制御するのみであるので、レーザ加工装置を安価かつ簡単に構成できる。
さらに、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させる場合には、ランダム制御手段が、レーザ光源駆動手段にて生成されるパルス列状の駆動信号におけるパルス間隔をランダムに変化させるパルス間隔ランダム制御手段(50,72,72a)を有し、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔をランダムに変化させるようにしてもよい。この場合も、パルス間隔ランダム制御手段は、レーザ光源駆動手段にて生成されるパルス列状の駆動信号におけるパルス間隔をランダムに変化させるだけであるので、レーザ加工装置を安価かつ簡単に構成できる。また、これによれば、パルス列状の駆動信号におけるパルス間隔をランダムに変化させることは、複数の加工跡の形成に同期しているので、加工跡間隔を加工跡形成と同時にランダムに変化させることができ、微細間隔の加工跡を加工対象物に形成する場合にも有効である。
一方、形成される複数の加工跡の大きさをランダムに変化させる場合には、例えば、ランダム制御手段が、レーザ光源駆動手段にて生成されるパルス列状の駆動信号におけるパルスレベルをランダムに変化させるパルスレベルランダム制御手段(50,72,72a)を有し、形成される複数の加工跡の大きさをランダムに変化させるようにするとよい。この場合も、パルスレベルランダム制御手段は、レーザ光源駆動手段にて生成されるパルス列状の駆動信号におけるパルスレベルをランダムに変化させるだけであるので、レーザ加工装置を安価かつ簡単に構成できる。また、これによれば、パルス列状の駆動信号におけるパルスレベルをランダムに変化させることは、複数の加工跡の形成に同期しているので、加工跡の大きさを加工跡形成と同時にランダムに変化させることができ、微細間隔の加工跡を加工対象物に形成する場合にも有効である。
また、テーブルの半径方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔、テーブルの回転方向に沿って形成される複数の加工跡の間隔、及び形成される複数の加工跡の大きさの各要素をランダムに変化させる前述した各手段を適宜組み合わせて、2つの要素又は3つの要素を同時にランダムに変化させることも可能である。
さらに、本発明の実施にあたっては、本発明は、レーザ加工装置の発明に限定されることなく、レーザ加工方法の発明としても実施し得るものである。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係るレーザ加工装置の概略システム構成図である。このレーザ加工装置は、平板状の加工対象物OBをセットして固定支持する支持部材としてのテーブル21と、加工対象物OBに向けてレーザ光を照射して加工対象物OBをレーザ加工する加工ヘッド30とを備えている。加工対象物OBは、加工ヘッド30から照射されたレーザ光により、表面にナノ単位の超微細ピットが無数に形成されてLEDの基板として使用される。テーブル21は、円盤状に形成されていて、スピンドルモータ22及びフィードモータ23によって駆動される。加工ヘッド30は、装置本体に固定されたヘッド支持フレーム(図示略)により固定されている。
スピンドルモータ22は、本発明の回転手段として機能するもので、その回転により、回転軸22bを介してテーブル21を回転駆動する。スピンドルモータ22内には、同モータ22すなわちテーブル21の回転を検出して、その回転を表す回転信号を出力するエンコーダ22aが組み込まれている。この回転信号は、テーブル21の回転位置が一つの基準回転位置に来るごとに発生されるインデックス信号Indexと、テーブル21が所定の微少角度だけ回転するたびにハイレベルとローレベルとを交互に切り替えるパルス列信号ΦA,ΦBとからなる。インデックス信号Indexは、テーブル21の基準回転位置の検出に使用される。パルス列信号ΦA,ΦBは、テーブル21の回転速度を制御するために使用され、回転方向を識別するために互いにπ/2だけ位相のずれた信号である。
インデックス信号Indexはコントローラ50に供給され、パルス列信号ΦA,ΦBはスピンドルモータ制御回路61に供給される。スピンドルモータ制御回路61は、コントローラ50からの回転開始指示により作動開始し、エンコーダ22aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBの単位時間あたりのパルス数によりスピンドルモータ22の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ50によって指示された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ22の回転を制御する。このコントローラ50によって指示される回転速度は、加工対象物OBに対するレーザ光の回転線速度がほぼ一定になる速度であるが、時間経過に従ってランダムに微変動するものである。そして、このランダムに微変動する回転速度は、コントローラ50によって実行される後述するスピンドルモータ制御データ生成プログラムの処理によりコントローラ50から供給される。
フィードモータ23は、スクリューロッド24を回転させて、テーブル21を半径方向に駆動する。スクリューロッド24は、その一端にてフィードモータ23の回転軸に一体回転するように連結され、その他端に支持部材25に固着されたナット(図示しない)に螺合している。支持部材25は、スピンドルモータ22を固定支持するとともに、テーブル21の半径方向への移動のみが許容されている。したがって、フィードモータ23が回転すると、スピンドルモータ22、テーブル21及び支持部材25は、スクリューロッド24及びナットからなる送りネジ機構20によりテーブル21の半径方向に変位する。テーブル21の移動方向は、テーブル21の回転中心の移動軌跡を表す直線が、加工ヘッド30の照射位置を通るように設定されている。これらのフィードモータ23、スクリューロッド24及び支持部25が本発明の半径方向移動手段に対応する。
フィードモータ23内にも、フィードモータ23の回転を検出して、前記エンコーダ22aと同様なパルス列信号ΦA,ΦBを出力するエンコーダ23aが組み込まれている。エンコーダ23aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、フィードモータ制御回路62と半径値検出回路63とに出力される。半径値検出回路63は、エンコーダ23aからのパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をフィードモータ23の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンし、そのカウント値からレーザ光が照射されるテーブル21の半径方向への送り位置(すなわち半径位置)を表わす半径値rを検出し、半径値rを表す信号をコントローラ50に出力する。なお、半径値検出回路63におけるカウント値の初期設定は、電源投入時にコントローラ50の指示によって行われる。
すなわち、コントローラ50は、電源投入時に、フィードモータ制御回路62に支持部材25の初期位置への移動及び半径値検出回路63に初期設定を指示する。この指示により、フィードモータ制御回路62は、フィードモータ23を回転させて支持部材25を初期位置に移動させる。この初期位置は、フィードモータ23によって駆動される支持部材25の駆動限界位置である。半径値検出回路63は、この支持部材25の移動中、エンコーダ23aからのパルス列信号ΦA,ΦBを入力し続けている。そして、支持部材25が初期位置まで達してフィードモータ23の回転が停止すると、半径値検出回路63はエンコーダ23aからのパルス列信号ΦA,ΦBの入力停止を検出して、カウント値を「0」にリセットする。このとき、半径値検出回路63は、フィードモータ制御回路62に出力停止のための信号を出力し、これにより、フィードモータ制御回路62はフィードモータ23への駆動信号の出力を停止する。その後に、フィードモータ23が駆動された際には、半径値検出回路63は、パルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をフィードモータ23の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンし、そのカウント値に基づいてテーブル21の半径方向への送り位置を表す半径値rを算出し、半径値rを表す信号をフィードモータ制御回路62及びコントローラ50に出力し続ける。
フィードモータ制御回路62は、コントローラ50の指示により、フィードモータ23を駆動制御して、レーザ光の照射位置をテーブル21の指定半径位置へ移動させたり、テーブル21を半径方向に指定速度で移動させたりする。具体的には、フィードモータ制御回路62は、コントローラ50によって指定される半径位置へのレーザ光の照射位置の移動が指示されたときには、半径値検出回路63によって検出される半径値rを用いてフィードモータ23の回転を制御し、検出される半径値rがコントローラ50から指定された半径位置に対応した値に等しくなるまでフィードモータ23を回転させる。
また、フィードモータ制御回路62は、コントローラ50によって指定される移動速度でレーザ光の照射位置をテーブル21の半径方向に移動させることが指示されたときには、エンコーダ23aの出力するパルス列信号ΦA,ΦBからテーブル21の半径方向の移動速度を計算して、計算された移動速度がコントローラ50によって指定された移動速度と等しくなるようにフィードモータ23の回転を制御する。このコントローラ50によって指示される移動速度は、レーザ光が加工対象物OBを一回転する間に半径方向にほぼ一定量だけ変化する速度であるが、時間経過に従ってランダムに微変動するものである。そして、このランダムに微変動する移動速度は、コントローラ50によって実行される後述するフィードモータ制御データ生成プログラムの処理によりコントローラ50から供給される。
次に、加工ヘッド30について説明する。加工ヘッド30は、レーザ光源31を備え、レーザ光源31から出射されたレーザ光を加工対象物OBに向けて照射するとともに、その反射光を受光する構成となっている。加工ヘッド30は、レーザ光源31、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34、対物レンズ35、集光レンズ36、シリンドリカルレンズ37、4分割フォトディテクタ38、フォーカスアクチュエータ39などを備えている。レーザ光源31から出射したレーザ光は、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34及び対物レンズ35を通過して加工対象物OBの表面で集光する。また、加工対象物OBの表面に集光したレーザ光は、加工対象物OBの表面で反射する。加工対象物OBの表面で反射した反射光は、対物レンズ35及び1/4波長板34を通過し、偏光ビームスプリッタ33に入射し、偏光ビームスプリッタ33によって反射されて集光レンズ36に入射する。集光レンズ36は、偏光ビームスプリッタ33による反射光をシリンドリカルレンズ37を介して4分割フォトディテクタ38に集光する。
また、加工ヘッド30は、偏光ビームスプリッタ33によるレーザ光源31からのレーザ光の一部反射光を集光レンズ41を介して受光するフォトディテクタ42を備えている。集光レンズ41は、前記一部反射光をフォトディテクタ42上に集光する。フォトディテクタ42は、前記一部反射光の受光量を検出して、受光量を表す電気信号を出力する。このフォトディテクタ42による検出受光量は、レーザ光源31から出射されるレーザ光の強度に対応している。
さらに、加工ヘッド30は、音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラー45も備えている。音響光学変調素子43は、偏光ビームスプリッタ33と1/4波長板34との間に介装されて、偏光ビームスプリッタ33からのレーザ光の光軸、すなわち加工対象物OBに照射されるレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に変動させる。なお、この音響光学変調素子43は、レーザ光源31から対物レンズ34への光路上の位置であって、加工対象物OBに照射されるレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に変動させることができる位置であれば、いずれの位置に配置してもよい。トラッキングアクチュエータ44は、対物レンズ35をテーブル21の半径方向に駆動するもので、1/4波長板34からのレーザ光の光軸、すなわち加工対象物OBに照射されるレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に変動させる。ミラー45は、コリメートレンズ32と偏光ビームスプリッタ33との間に介装されて、コリメートレンズ32からのレーザ光を反射面にて反射して偏光ビームスプリッタ33に導く。このミラー45は、ミラーアクチュエータ46に組み付けられている。ミラーアクチュエータ46は、テーブル21の半径方向に対するミラー45の反射面の角度が変化するようにミラー45を駆動して、コリメートレンズ32から偏光ビームスプリッタ33へのレーザ光の光軸、すなわち加工対象物OBに照射されるレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に変動させる。なお、このミラー45も、レーザ光源31から対物レンズ34への光路上の位置であって、加工対象物OBに照射されるレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に変動させることができる位置であれば、いずれの位置に配置してもよい。
レーザ光源31は、レーザ駆動回路71によって駆動される。レーザ駆動回路71は、コントローラ50からの指令により作動を開始し、パルス信号供給回路72からパルス列信号を入力した場合には、周期及びデューティ比が入力したパルス列信号と同じであり、ハイ側パルスのレベル値が入力したパルス列信号のハイ側パルスのレベル値に比例し、かつロー側パルスのレベル値が基準値であるパルス列波形からなるレーザ駆動信号をレーザ光源31に出力する。レーザ駆動信号におけるハイ側パルスのレベル値は、加工対象物OBの表面へのレーザ光の照射によって加工対象物OBの表面を加工すなわちピットを形成するために必要な強度のレーザ光をレーザ光源31から出射させる高い値である。もちろん、このレベル値は、後述するフォーカスサーボ制御に利用できることは言うまでもない。また、基準値とは、レーザ光の照射によって加工対象物OBの表面が加工されないような小さなレベル値である。そして、このレーザ駆動信号を、後述する非加工用強度に設定されたレーザ駆動信号と区別するために、加工用強度に設定されたレーザ駆動信号という。なお、本明細書では、ハイ側パルスとは、ローレベルからハイレベルに切換わり、その後にハイレベルからローレベルに切換わるまでの矩形波状の波形を意味する。また、ロー側パルスとは、ハイレベルからローレベルに切換わり、その後にローレベルからハイレベルに切換わるまでの前記ハイ側パルスとは逆向きの矩形波状の波形を意味する。
また、レーザ駆動回路71は、パルス信号供給回路72から直流信号を入力した場合には、非加工用強度に設定されたレベルの連続したレーザ駆動信号をレーザ光源31に出力する。この非加工用強度に設定されたレベル値は、前記基準値と同程度の値であって、加工対象物OBの表面へレーザ光を照射しても、加工対象物OBの表面が加工されることなく、かつフォーカスサーボ制御可能な程度の強度のレーザ光をレーザ光源31から出射させる程度の値である。そして、後の説明では、このレーザ駆動信号を、非加工用強度に設定されたレーザ駆動信号という。
また、レーザ駆動回路71には、フォトディテクタ42からのレーザ光の受光量すなわちレーザ光源31から出射されるレーザ光の強度を表す電気信号が入力されている。レーザ駆動回路71は、このレーザ光の強度を表す電気信号を用いて、レーザ光源31の強度を前記加工用強度又は非加工用強度にフィードバック制御する。
パルス信号供給回路72は、レーザ駆動回路71に出力するパルス列信号に関する情報(以下、パルス列信号情報という)を記憶するためのメモリ72aを内蔵している。パルス信号供給回路72は、コントローラ50からパルス列信号情報が供給されると、メモリ72aに供給されたパルス列信号情報を記憶する。そして、パルス信号供給回路72は、コントローラ50から加工強度のレーザ照射開始の指示があると、これらのメモリ72aに記憶した情報を用いてパルス列信号を生成してレーザ駆動回路71に出力する。パルス列信号情報とは、ロー側パルス及びハイ側パルスのパルス幅(持続時間)と、ハイ側パルスのレベル値である。なお、ロー側パルスのレベル値は、予め決められた固定の基準値である。ロー側パルスのパルス幅は、加工対象物OBに形成されるピットの回転方向の加工間隔に対応するもので、指定されたピットの加工間隔に比例した固定値にほぼ等しいが、時間経過に従って微変動する。ハイ側パルスのレベル値(レーザ光の強度に比例)は、加工対象物OBに形成されるピットの大きさに対応するもので、指定されたピットの大きさに比例した固定値にほぼ等しいが、時間経過に従って微変動する。これらのロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値は、コントローラ50によって実行される後述するパルス制御データ生成ルーチンの処理によりコントローラ50から供給される。また、ハイ側パルスのパルス幅(持続時間)は予め決められた値に設定されており、図示しない初期プログラムの実行により、コントローラ50から初期に供給されてメモリ72aに記憶される固定値である。また、パルス信号供給回路72は、コントローラ50から非加工強度のレーザ照射開始の指示があると、レーザ駆動回路71に直流信号を出力する。これらのレーザ駆動回路71及びパルス信号供給回路72が、本発明のレーザ光源駆動手段に対応する。
次に、レーザ光のフォーカスサーボについて説明する。レーザ光の加工対象物OBの表面からの反射光は、4分割フォトディテクタ38で受光される。4分割フォトディテクタ38は、分割線で区切られた4つの同一正方形状の受光素子からなる4分割受光素子によって構成され、時計回りに配置された受光領域A,B,C,Dに入射した光の強度に比例した大きさの検出信号を受光信号(a,b,c,d)として出力する。4分割フォトディテクタ38は、4つの受光素子が配置された中央に反射光が集光するように固定されている。
4分割フォトディテクタ38から出力される受光信号(a,b,c,d)は、HF信号増幅回路73に入力される。HF信号増幅回路73は、受光信号(a,b,c,d)をそれぞれ増幅してフォーカスエラー信号生成回路74に出力する。フォーカスエラー信号生成回路74は、増幅された受光信号(a’,b’,c’,d’)を使って演算によりフォーカスエラー信号を生成する。本実施形態においては、非点収差法によるフォーカスサーボ制御を用いているため、(a’+c’)−(b’+d’)の演算を行い、この演算結果をフォーカスエラー信号としてフォーカスサーボ回路75に出力する。フォーカスエラー信号(a’+c’)−(b’+d’)は、レーザ光の焦点位置の加工対象物OBの表面からのずれ量を表している。
フォーカスサーボ回路75は、コントローラ50により作動制御され、フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ信号を生成してドライブ回路76に出力する。ドライブ回路76は、このフォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ39を駆動制御して、対物レンズ35をレーザ光の光軸方向に変位させる。この場合、フォーカスエラー信号(a’+c’)−(b’+d’)の値が常に一定値(例えば、ゼロ)となるようにフォーカスサーボ信号を生成することにより、加工対象物OBの表面にレーザ光を集光させ続けることができる。
音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラー45には、光軸駆動回路81,82,83がそれぞれ接続されている。光軸駆動回路81は、図2に示すように、3つの正弦波発振器81a,81b,81c及び混合回路81dからなる。正弦波発振器81a,81b,81cは、コントローラ50から作動開始指令により作動を開始し、コントローラ50から供給される、変化割合Ra1と半径方向の加工間隔ΔPtの積に比例した振幅をそれぞれ有する正弦波信号をそれぞれ発生する。これらの正弦波信号の周波数は、図示のように、互いに異なり、それらの比は互いに整数比にならないように設定されており、例えば10MHz〜400MHz程度である。また、これらの正弦波信号の振幅は同じであってもよいし、異なっていてもよい。混合回路81dは、正弦波発振器81a,81b,81cから正弦波信号を加算混合した駆動信号を出力する。これにより、光軸駆動回路81からは、図示のように、その瞬時値がランダムに時間変化し、かつ前記変化割合Ra1と半径方向の加工間隔ΔPtの積に比例した最大振幅を有する波形信号(駆動信号)が音響光学変調素子43に供給され、音響光学変調素子43は、レーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に前記変化割合Ra1と半径方向の加工間隔ΔPtの積に応じた量だけランダムに変化させる。
光軸駆動回路82,83も、光軸駆動回路81と同様に構成されていて、それらの瞬時値がランダムに時間変化する駆動信号を、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46にそれぞれ供給する。ただし、光軸駆動回路82,83にはコントローラ50から変化割合Ra2と半径方向の加工間隔ΔPtの積及び変化割合Ra3と半径方向の加工間隔ΔPtの積がそれぞれ供給され、光軸駆動回路82,83は、前記変化割合Ra2と半径方向の加工間隔ΔPtの積及び変化割合Ra3と半径方向の加工間隔ΔPtの積にそれぞれ比例した振幅を有する駆動信号をそれぞれ出力する。トラッキングアクチュエータ44は、前記駆動信号に応じて集光レンズ36をトラッキング方向すなわちテーブル21の半径方向に駆動する。これにより、対物レンズ35もレーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に前記変化割合Ra2と半径方向の加工間隔ΔPtの積に応じた量だけランダムに変化させる。ミラーアクチュエータ46は、前記駆動信号に応じて、ミラー45の反射面の角度をテーブル21の半径方向に変更するようにミラー45を駆動する。これにより、ミラー45も、レーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に前記変化割合Ra3と半径方向の加工間隔ΔPtの積に応じた量だけランダムに変化させる。ただし、これらのトラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46は、音響光学変調素子43に比べて高い周波数に対する応答性を有していないので、光軸駆動回路82,83内の正弦波発振器から出力される正弦波信号の周波数は、光軸駆動回路81内の正弦波発振器から出力される正弦波信号の周波数に比べて低く、例えば0.1KHz〜50KHz程度である。
なお、光軸駆動回路81,82,83を構成する正弦波発振器に代えて、三角波形、鋸歯状波形などの異なる波形を発生する信号発生器を用いてもよい。また、正弦波発振器(又は他の波形を発生する信号発生器)の数に関しても、光軸駆動回路81,82,83から発生される信号の瞬時値がランダムに時間変化すれば、3個以外でもよい。さらに、前記正弦波発振器(又は他の波形を発生する信号発生器)から出力される波形信号として、周波数(すなわち周期)及び/又は振幅がランダムに変化する波形信号を採用してもよい。
コントローラ50は、CPU、ROM、RAMなどからなる複数のマイクロコンピュータと、ハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶装置と、入出力インタフェース等から構成される電子制御装置である。記憶装置には、後述する各種プログラム及びルーチンが記憶されている。コントローラ50には、作業者が各種パラメータや処理等を指示するための入力装置51と、作業者に対して検査結果や作動状況等を視覚的に知らせるための表示装置52とが接続されている。
レーザ加工を行うに際して、作業者は、入力装置51を用いてコントローラ50に対して加工準備プログラムの実行開始を指示する。加工準備プログラムは図3のフローチャートに示されており、その実行がステップS10にて開始される。この加工準備プログラムの実行開始後、コントローラ50は、ステップS11にて、表示装置52に加工条件(開始半径値Rf、終了半径値Re、回転線速度F、回転方向の加工間隔W、半径方向の加工間隔ΔPt、ハイ側パルスの基本レベル値Pw、最大変化割合R1,Rr,R3,R4)の入力を作業者に促し、作業者によって入力装置51を用いて入力された加工条件を入力して記憶する。なお、入力装置51からの入力に代えて、コントローラ50のメモリ内に記憶した値を利用するようにしてもよい。
開始半径値Rfは、レーザ加工を開始するときのレーザスポットのテーブル21の回転中心からの距離である。終了半径値Reは、レーザ加工を終了するときのレーザスポットのテーブル21の回転中心からの距離である。回転線速度Fは、レーザ加工において、レーザスポット(照射位置)が加工対象物OBの表面を円周方向に移動する速度である。回転方向の加工間隔Wは、レーザ加工において、回転方向(周方向)にピットを形成する間隔、すなわち回転方向に隣接する2つのピット中心間の回転方向の間隔である。半径方向の加工間隔ΔPtは、レーザ加工において、半径方向にピットを形成する間隔、すなわちレーザスポットが加工対象物OB表面を1周分だけ移動したときのレーザスポットの半径方向移動量である。ハイ側パルスの基本レベル値Pwは、ハイ側パルスの基本レベルを表わしており、レーザ光の強度すなわちレーザ加工跡の大きさを比例制御するものである。最大変化割合R1は、回転線速度Fの最大の変化割合である。最大変化割合Rrは、半径方向の加工間隔ΔPtの最大の変化割合である。最大変化割合R3は、ロー側パルスのパルス幅(ローレベルの持続時間)の最大の変化割合である。最大変化割合R4は、ハイ側パルスのレベル値の最大の変化割合である。なお、これらの最大変化割合R1,Rr,R3,R4は、例えば数パーセント〜数十パーセント程度の値である。
前記ステップS11の処理後、コントローラ50は、ステップS12にて、前記入力した回転線速度F及び回転方向の加工間隔Wと、固定値であるハイ側パルスのパルス幅Whとを用いた下記数1の実行により、ロー側パルスの基本パルス幅Wdを計算する。なお、このロー側パルスの基本パルス幅Wdとは、パルス信号供給回路72から出力されるパルス列信号のローレベルの基本的な持続時間、すなわちレーザ駆動回路71からレーザ光源31に供給される駆動パルス列信号のローレベルの基本的な持続時間を表す。
(数1)
Wd=(W/F)−Wh
次に、コントローラ50は、ステップS13にて、前記入力した半径方向の加工間隔ΔPtに対する最大変化割合Rrを用いて、音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44、ミラーアクチュエータ46及びフィードモータ制御回路62によるレーザ光の光軸の半径方向へのランダム変化の割合Ra1,Ra2,Ra3,R2を計算する。この場合、割合Ra1,Ra2,Ra3,R2は、最大変化割合Rrを4等分してもよいし、予め決めた設定した比率の割合にしてもよい。そして、コントローラ50は、ステップS14にて、前記計算した割合Ra1,Ra2,Ra3のそれぞれに半径方向の加工間隔ΔPtを乗算した値を光軸駆動回路81,82,83にそれぞれ供給する。光軸駆動回路81,82,83は、これらの供給された、割合Ra1,Ra2,Ra3のそれぞれに半径方向の加工間隔ΔPtを乗算した値をを記憶して、コントローラ50からの作動開始の指示を待つ。
前記ステップS14の処理後、コントローラ50は、ステップS15にて、ランダムデータ生成処理を実行することにより、「−1」〜「+1」の間で「0.01」単位でランダムに変化する4種類のランダムデータa(n),b(n),c(n),d(n)を生成する。このランダムデータ生成処理においては、まず、図4のランダムデータ生成ルーチンが実行される。このランダムデータ生成ルーチンは、その実行がステップS100にて開始され、コントローラ50は、ステップS101にて変数nを「1」に初期設定し、ステップS105,S106の処理により、変数nが予め決めた最大値nmaxになるまで、変数nを「1」ずつ増加させながら、ステップS102〜S106からなる循環処理を繰り返し実行する。そして、変数nが最大値nmaxに達した時点で、ステップS107にてこのランダムデータ生成ルーチンの実行を終了する。
ステップS102においては、コントローラ50は、10進法による4桁の乱数Ran(n)を設定する。この乱数Ran(n)の設定においては、予め用意された乱数プログラムの実行によってこのステップS102の処理ごとに乱数Ran(n)を計算してもよいし、予めnmax個の10進法による4桁の乱数をメモリ内に記憶しておき、変数nによって指定される乱数を乱数Ran(n)として設定してもよい。なお、値nmaxは、設定される乱数Ran(n)の数を示す予め決められた値である。ステップS103においては、前記設定された乱数Ran(n)が「9848」以下であるかを判定する。この判定処理を実行する理由は、「9849」〜「9999」の値に対しては、「−1」〜「+1」の間で「0.01」単位の「201」個の乱数を後述する変換テーブルに均等に割当てることができないためである。前記設定された乱数Ran(n)が「9848」よりも大きいときには、ステップS103にて「No」と判定されて、ステップS102,S103の処理がふたたび実行される。前記設定された乱数Ran(n)が「9848」以下であれば、ステップS103にて「Yes」と判定されて、ステップS104に進む。
ステップS104においては、前記設定された4桁の10進数である乱数Ran(n)が、図5の表に示す変換テーブルを用いて、「−1」から「+1」まで「0.01」単位で変化するデータのいずれかに変換される。変換テーブルは、乱数Ran(n)が取り得る「0000」から「9848」までの4桁の10進数に対して、「−1」から「+1」まで「0.01」ずつ増加するデータを均等に割り当てたものである。このステップS104の変換処理においては、図5の表中において、前記ステップS102の処理によって設定された4桁の乱数Ran(n)が属する行の右端の変換値がランダムデータa(n)として設定される。具体的には、例えば、設定された乱数Ran(n)が、表中の第1行目の「0000」、「0201」などのいずれかの値であれば、ランダムデータa(n)として、値「0.00」が設定される。また、設定された乱数Ran(n)が、表中の第2行目の「0001」、「0202」などのいずれかの値であれば、ランダムデータa(n)として、値「0.01」が設定される。
このランダムデータ生成ルーチンの実行により、「−1」から「+1」までの「0.01」単位の数値をランダムに選択したランダムデータa(1)〜a(nmax)が設定されて、コントローラ50のメモリ内に記憶される。ふたたび、図3のステップS15のランダムデータ生成処理の説明に戻ると、ランダムデータb(n),c(n),d(n)に関しても、コントローラ50は、前述した図5と同様なランダムデータ生成ルーチンを実行して、「−1」から「+1」までの間を「0.01」単位のランダムに変化するランダムデータb(1)〜b(nmax),c(1)〜c(nmax),d(1)〜d(nmax)を生成して、コントローラ50内のメモリに記憶しておく。なお、これらの場合、ランダムデータb(n),c(n),d(n)の数を表す最大値nmaxに関しては、ランダムデータa(n)と同じ値であっても、異なる値であってもよい。また、ランダムデータb(n),c(n),d(n)に関しては、前記図5と同様なランダムデータ生成ルーチンを実行するのに代えて、ランダムデータa(1)〜a(nmax)中のa(p)〜a(nmax),a(1)〜a(p−1)を、ランダムデータb(1)〜b(nmax),c(1)〜c(nmax),d(1)〜d(nmax)としてもよい。なお、pは「2」〜「nmax」のうちのいずれかの整数値であり、b(n),c(n),d(n)によりそれぞれ異なる値である。さらに、図3のステップS15のランダムデータ生成処理に代えて、「−1」から「+1」までの間を「0.01」単位のランダムに変化するランダムデータa(1)〜a(nmax),b(1)〜b(nmax),c(1)〜c(nmax),d(1)〜d(nmax)を、コントローラ50内のメモリに予め記憶しておいてもよい。
前記ステップS15の処理後、コントローラ50は、ステップS16にて、パルス制御データ生成処理を実行することにより、前記計算したロー側パルスの基本パルス幅Wdに対してランダムに変化するロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)と、前記入力したハイ側パルスの基本レベル値Pwに対してランダムに変化するハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)を生成する。このパルス制御データ生成処理においては、図6のパルス制御データ生成ルーチンが実行される。このパルス制御データ生成ルーチンは、その実行がステップS200にて開始され、コントローラ50は、ステップS201にて変数nを「1」に初期設定し、ステップS205,S206の処理により、変数nが予め決めた最大値nmaxになるまで、変数nを「1」ずつ増加させながら、ステップS202〜S206からなる循環処理を繰り返し実行する。そして、変数nが最大値nmaxになった時点で、ステップS207にてこのパルス制御データ生成ルーチンの実行を終了する。
ステップS202においては、前記計算したロー側パルスの基本パルス幅Wdと、前記計算したランダムデータc(n)と、前記入力した最大変化割合R3とを用いて、下記数2の演算の実行により、ランダムに変化するロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)が計算される。
(数2)
Wd(n)={1+R3・c(n)}・Wd
ステップS203においては、前記入力したハイ側パルスの基本レベル値Pwと、前記計算したランダムデータd(n)と、前記入力した最大変化割合R4とを用いて、下記数3の演算の実行により、ランダムに変化するハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)が計算される。
(数3)
Pw(n)={1+R4・d(n)}・Pw
ステップS204においては、前記計算したロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)が、パルス信号供給回路72に出力される。パルス信号供給回路72は、前記出力されたロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)を、メモリ72aに記憶する。これらのステップS202〜S204の繰り返し処理により、パルス制御データ生成ルーチンが終了した時点で、ランダムに変化するnmax個ずつのロー側パルスの補正パルス幅Wd(1),Wd(2)・・・Wd(nmax)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(1),Pw(2)・・・Pw(nmax)がメモリ72aに記憶される。
ふたたび、図3の説明に戻ると、前記ステップS16のパルス制御データ生成処理の終了後、コントローラ50は、ステップS17にて、この加工準備プログラムの実行を終了する。なお、この加工準備プログラムは、加工対象物OBに新たな種類のピットを形成する場合に実行されるべきプログラムであり、複数の加工対象物OBに同一のピットを形成する場合には実行する必要はない。
次に、レーザ加工について説明する。作業者は、加工対象物OBをテーブル21にセットし、入力装置51を使って、コントローラ50に対してレーザ加工制御プログラムの実行開始を指示する。このレーザ加工制御プログラムの実行は図7のステップS300にて開始され、コントローラ50は、ステップS301にて、スピンドルモータ制御回路61に対して、回転開始指令を出力する。コントローラ50は、回転開始指令を出力するにあたって、半径値検出回路63により検出される半径値rを入力し、この半径値rを用いて、レーザスポットの回転線速度が、レーザスポットの位置する半径位置とは無関係に常に、指定された回転線速度Fとなるようなスピンドルモータ22の回転速度を計算し、その計算した回転速度をスピンドルモータ制御回路61に対して出力する。スピンドルモータ制御回路61は、エンコーダ22aからのパルス列信号ΦA,ΦBを用いてスピンドルモータ22の回転速度を計算し、この計算した回転速度がコントローラ50から入力した回転速度と等しくなるようにスピンドルモータ22の回転制御を開始する。なお、コントローラ50は、回転開始指示を出力した後は、この加工制御プログラムとは異なる後述するスピンドルモータ制御データ生成プログラムの実行により、半径値rに応じたスピンドルモータ22の回転速度の計算を繰り返し、その都度、計算した回転速度をスピンドルモータ制御回路61に出力する。
続いて、コントローラ50は、ステップS302にて、フィードモータ制御回路62に対して開始半径位置への移動指令を出力する。開始半径位置とは、作業者が予め入力した開始半径値Rfに対応した半径位置である。フィードモータ制御回路62は、この移動指令により、フィードモータ23を回転させて、レーザ光の照射位置が開始半径値Rfに対応した半径位置に近づく方向にテーブル21を移動させ始める。そして、コントローラ50は、ステップS303にて、半径値検出回路63から半径値rを入力し、入力した半径値rが開始半径値Rfに等しくなるまで、すなわちレーザ光の照射位置が開始半径値Rfに対応した半径位置に達するまで、判定処理を実行し続ける。そして、テーブル21が移動して、半径値rが開始半径値Rfに等しくなると、コントローラ50は、ステップS303にて「Yes」と判定し、ステップS304にてレーザ駆動回路71に対して駆動開始指令を出力するとともにパルス信号供給回路72に直流信号出力の開始指令を出力する。これにより、パルス信号供給回路72はレーザ駆動回路71に直流信号を出力し、レーザ駆動回路71は、非加工用強度に設定された連続したレーザ駆動信号をレーザ光源31に出力する。この場合、レーザ駆動回路71は、フォトディテクタ42からの受光量を表す電気信号を用いて、レーザ駆動信号をフィードバック制御する。レーザ光源31は、レーザ駆動回路71から出力されたレーザ駆動信号により駆動されて、非加工用レーザ光を出射する。これにより、加工対象物OBの表面に非加工用レーザ光の光スポットが形成され、この光スポットの反射光が4分割フォトディテクタ38によって検出される。加工対象物OBは、非加工用レーザ光の照射によっては加工されない。
前記ステップS304の処理後、コントローラ50は、ステップS305にて、フォーカスサーボ回路75に対してフォーカスサーボの開始指令を出力する。これにより、図示しないフォーカスアクチュエータ駆動回路がフォーカスアクチュエータ39を駆動させ、フォーカスサーボ回路75は、フォーカスエラー信号生成回路74からのフォーカスエラー信号を用いてフォーカスサーボ信号を生成し、図示しないS字検出回路がフォーカスエラー信号にS字の波形が形成されるタイミングで、このフォーカスサーボ信号に従ってドライブ回路76を介してフォーカスアクチュエータ39を駆動制御することを開始して、フォーカスサーボ制御が開始される。すなわち、レーザ光の焦点位置がレーザ光の光軸方向に移動し、レーザ光の焦点位置が加工対象物OBの表面に一致したタイミングでフォーカスサーボが開始される。そして、レーザ光の焦点位置が加工対象物OBの表面に一致するように、対物レンズ35がレーザ光の光軸方向に駆動制御される。
次に、コントローラ50は、ステップS306にて、光軸駆動回路81,82,83にそれぞれ作動開始を指示する。この作動開始の指示により、光軸駆動回路81,82,83は、前述した加工準備プログラムの実行によりコントローラ50から供給された変化割合Ra1,Ra2,Ra3のそれぞれに半径方向の加工間隔ΔPtを乗算した値に比例した振幅を有するとともに、その瞬時値がランダムに変化する光軸駆動信号を音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46にそれぞれ供給し始める。これにより、音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46は、レーザ光の光軸をテーブル21の半径方向に、変化割合Ra1,Ra2,Ra3のそれぞれに半径方向の加工間隔ΔPtを乗算した値に応じた量だけそれぞれランダムに変化させ始める。
次に、コントローラ50は、ステップS307にて、エンコーダ22aからスピンドルモータ22の回転を表す回転信号を読み込み、インデックス信号Indexが入力されたか否かを判定する。このインデックス信号Indexは、テーブル21の回転位置が基準回転位置に来るごとにエンコーダ22aから出力される信号、つまり、テーブル21が1回転する間に1度だけ基準回転位置において出力される信号である。インデックス信号Indexが入力されるまで、コントローラ50は、ステップS307にて「No」と判定し続けて、前記判定処理を繰り返し行う。インデックス信号Indexが入力されると、コントローラ50は、ステップS307にて「Yes」と判定して、ステップS308の処理を実行する。
ステップS308においては、コントローラ50は、パルス信号供給回路72に対してパルス列信号出力の開始指令を出力するとともに、レーザ駆動回路71に作動開始を指示する。パルス信号供給回路72は、コントローラ50の出力したパルス列信号出力開始指令を入力すると、メモリ72aに記憶したパルス列信号情報に従ってレーザ駆動回路71にパルス列信号を出力する。この場合、パルス列信号情報であるロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値としては、前述したパルス制御データ生成ルーチンの実行により、コントローラ50から供給されてメモリ72aに記憶されているnmax個ずつのランダムに変化するロー側パルスの補正パルス幅Wd(1),Wd(2)・・・Wd(nmax)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(1),Pw(2)・・・Pw(nmax)が利用される。また、パルス列信号情報であるハイ側パルスのパルス幅(持続時間)Whとしては、図示しない初期プログラムの実行により、コントローラ50から初期に供給されてメモリ72aに記憶されている固定値が利用される。なお、ロー側パルスのレベル値は、予め決められた固定の基準値である。
このパルス列信号情報を用いたパルス列信号の生成について具体的に説明すると、パルス信号供給回路72は、メモリ72a内に記憶されているロー側パルスの補正パルス幅Wd(1),Wd(2)・・・Wd(nmax)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(1),Pw(2)・・・Pw(nmax)を順次一つずつ読み出して、ロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値として設定するとともに、メモリ72a内に記憶されているハイ側パルスのパルス幅Whを読み出す。そして、パルス信号供給回路72は、固定の基準値によって規定されるレベルであり、かつ前記設定されたロー側パルスのパルス幅を有するロー側パルスと、前記設定されたハイ側パルスのレベル値によって規定されるレベルであって、前記読み出されたハイ側パルスのパルス幅Whを有するハイ側パルスからなる1つのパルス信号を順次生成して、レーザ駆動回路71に順次出力する。したがって、レーザ駆動回路71に供給されるパルス列信号は、ロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値が順次ランダムに変化したものとなる。この場合、厳密に言えば、パルス列信号のロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値はnmax個ずつの周期性を有することになるが、値nmaxとして充分に大きな値をとれば、レーザ加工した所定の領域では、ロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値は充分にランダムに変化しているものとみなすことができる。
レーザ駆動回路71は、このパルス信号供給回路72からのパルス列信号の入力により、周期及びデューティ比が入力したパルス列信号と同じであり、ハイ側パルスのレベル値が入力したパルス列信号のハイ側パルスのレベル値に比例し、かつロー側パルスのレベル値が基準値であるパルス列波形からなるレーザ駆動信号をレーザ光源31に出力し始める。なお、この場合も、レーザ駆動回路71は、フォトディテクタ42からの受光量を表す電気信号を用いて、レーザ駆動信号をフィードバック制御する。したがって、レーザ光源31は、ロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値が順次ランダムに変化したパルス列状の加工用レーザ光を出射する。この場合、厳密に言えば、パルス列信号のロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値はnmax個ずつの周期性を有することになるが、前述したように、値nmaxとして充分に大きな値をとれば、レーザ加工した所定の領域では、ロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値は充分にランダムに変化しているものとみなすことができる。
レーザ光源31から出射した加工用レーザ光は、コリメートレンズ32、ミラー45、偏光ビームスプリッタ33、音響光学変調素子43、1/4波長板34及び対物レンズ35を通過して加工対象物OBの表面で集光する。したがって、加工対象物OBは、加工用レーザ光によって加工され始める。また、この場合、音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46は、加工用レーザ光の光軸をテーブル21の半径方向にそれぞれランダムに変化させているので、加工用レーザ光による加工対象物OBの加工位置も、テーブル21の半径方向にランダムに変化する。なお、この場合も、加工対象物OBの表面で反射した加工用レーザ光の反射光は、対物レンズ35、1/4波長板34、偏光ビームスプリッタ33、集光レンズ36及びシリンドリカルレンズ37を介して4分割フォトディテクタ38に入射する。そして、HF信号増幅回路73、フォーカスエラー信号生成回路74、フォーカスサーボ回路75、ドライブ回路76及びフォーカスアクチュエータ39は、前記4分割フォトディテクタ38に入射した加工用レーザ光の反射光を用いて、対物レンズ35をフォーカス制御する。
前記ステップS308の処理後、コントローラ50は、ステップS309にて、フィードモータ制御回路62に対して半径方向移動開始の指令を出力する。これにより、フィードモータ23がフィードモータ制御回路62により駆動され、テーブル21は半径方向に移動し始める。なお、コントローラ50は、半径方向移動開始指示を出力した後は、この加工制御プログラムとは異なる後述するフィードモータ制御データ生成プログラムの実行により、半径値rに応じたフィードモータ23の回転速度の計算を繰り返し、その都度、計算した回転速度をスピンドルモータ制御回路61に出力する。これにより、加工対象物OBに対する加工用レーザ光の照射位置は、テーブル21の半径方向にも変化し始めて、加工対象物OBにはピットがテーブル21の回転方向及び半径方向に形成され始める。
前記ステップS309の処理後、コントローラ50は、ステップS310にて、半径値検出回路63により検出される半径値rを入力して、入力した半径値rが終了半径値Re以上となったか否かを判断する。終了半径値Reは、前述のように、作業者がレーザ加工条件として入力した値である。ステップS310の処理は、半径値rが終了半径値Re以上となるまで繰り返される。従って、この間は、パルス信号供給回路72からパルス列信号が出力され加工対象物OBのレーザ加工が継続される。
ここで、前記加工制御プログラムと並行して、コントローラ50によって実行されるスピンドルモータ制御データ生成プログラム及びフィードモータ制御データ生成プログラムについて説明する。
スピンドルモータ制御データ生成プログラムは、図8に示すように、その実行がステップS400にて開始される。この実行開始後、コントローラ50は、ステップS401にて変数nを「1」に初期設定して、ステップS402にてエンコーダ22aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。インデックス信号Indexが入力されると、コントローラ50は、ステップS402にて「Yes」と判定して、ステップS403にて半径値検出回路63からレーザスポットが位置する半径位置を表す半径値rを入力する。そして、コントローラ50は、ステップS404にて、半径値r及び回転線速度Fを用いた下記数4の演算を実行することにより、加工レーザ光によるレーザスポットの回転線速度が前記入力した回転線速度Fに維持されるように、テーブル21の基本回転速度Roを計算する。
(数4)
Ro=F/2・π・r
次に、コントローラ50は、ステップS405にて、前記計算した基本回転速度Ro、前記計算したランダムデータa(1)〜a(nmax)中の変数nによって指定されるランダムデータa(n)、及び前記入力した最大変化割合R1を用いて、下記数5の演算の実行によって補正回転速度Ro’を計算する。
(数5)
Ro’={1+R1・a(n)}・Ro
そして、コントローラ50は、ステップS406にて、この計算した補正回転速度Ro’をスピンドルモータ制御回路61に出力する。
スピンドルモータ制御回路61は、エンコーダ22aからのパルス列信号ΦA,ΦBを用いて計算したスピンドルモータ22の回転速度が前記コントローラ50から出力された補正回転速度Ro’に等しくなるように、スピンドルモータ22の回転を制御する。したがって、スピンドルモータ22は、前記補正回転速度Ro’で回転し始める。前記ステップS406の処理後、コントローラ50は、ステップS407にて後述するレーザ照射停止指令があったかを判定する。レーザ照射停止指令がなければ、コントローラ50は、ステップS407にて「No」と判定し、ステップS408にて変数nがランダムデータa(1)〜a(nmax)の最後すなわち値nmaxに達したかを判定する。変数nが値nmaxに達していなければ、コントローラ50は、ステップS408にて「No」と判定し、ステップS409にて変数nに「1」を加算してプログラムをステップS402に戻す。そして、コントローラ50は、ステップS402にて、ふたたびエンコーダ22aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。
インデックス信号Indexが入力されると、コントローラ50は、ステップS402にて「Yes」と判定して、前述したステップS403〜S407の処理をふたたび実行する。これにより、前記数5の演算により新たに計算された補正回転速度Ro’がスピンドルモータ制御回路61に出力され、スピンドルモータ22は、前記新たに計算された補正回転速度Ro’で回転し始める。そして、レーザ照射停止指令がなく、かつ変数nが値nmaxに達しない限り、コントローラ50は、ステップS407、S408にて「No」と判定し続け、変数nを「1」ずつ増加させながら、ステップS402〜S406の処理により、新たな半径値r及びランダムデータa(n)に基づいて新たな補正回転速度Ro’をスピンドルモータ制御回路61に出力して、スピンドルモータ22の回転速度が補正回転速度Ro’になるように制御する。
そして、変数nが値nmaxに達すると、コントローラ50は、ステップS408にて「Yes」と判定し、ステップS401にて変数nを「1」に戻した後、前述したステップS402以降の処理を実行する。このような処理により、加工用レーザ光の照射位置が1回転するごとに、加工対象物OBの回転速度が基本回転速度Roから若干だけランダムに変化する。その結果、加工用レーザ光の照射位置が1回転するごとに、加工用レーザ光によって加工対象物OB上に形成されるピットの回転方向位置がランダムに変化する。この場合も、厳密に言えば、ランダムデータa(n)はnmax個ずつの周期性を有することになるが、値nmaxとして充分に大きな値をとれば、レーザ加工した所定の領域では、加工対象物OB上に形成される1回転ごとのピットの回転方向位置は充分にランダムに変化しているものとみなすことができる。
フィードモータ制御データ生成プログラムは、図9に示すように、その実行がステップS500にて開始される。この実行開始後、コントローラ50は、ステップS501にて変数mを「1」に初期設定して、ステップS502にて半径値検出回路63からレーザスポットが位置する半径位置を表す半径値rを入力する。そして、コントローラ50は、ステップS503にて、加工間隔ΔPt、半径値r及び回転線速度Fを用いた下記数6の演算を実行することにより、加工用レーザ光によるレーザスポットの半径方向の1回転当たりの移動量が前記入力した加工間隔ΔPtに維持されるようなテーブル21の基本半径方向移動速度Frを計算する。
(数6)
Fr=ΔPt/(2・π・r/F)
次に、コントローラ50は、ステップS505にて、前記計算した基本半径方向移動速度Fr、前記計算したランダムデータb(1)〜b(mmax)中の変数mによって指定されるランダムデータb(m)、及び前記入力した最大変化割合R2を用いて、下記数7の演算の実行によって補正半径方向移動速度Fr’を計算する。
(数7)
Fr’={1+R2・b(m)}・Fr
そして、コントローラ50は、ステップS505にて、この計算した補正半径方向移動速度Fr’をフィードモータ制御回路62に出力する。
フィードモータ制御回路62は、エンコーダ23aからのパルス列信号ΦA,ΦBからテーブル21の半径方向移動速度を計算し、この計算した半径方向移動速度が補正半径方向移動速度Fr’に等しくなるようにフィードモータ23の回転を制御する。このフィードモータ23の回転制御により、加工用レーザ光のレーザスポットは前記補正半径方向移動速度Fr’でテーブル21の半径方向に移動し始める。前記ステップS505の処理後、コントローラ50は、ステップS506にて後述するレーザ照射停止指令があったかを判定する。レーザ照射停止指令がなければ、コントローラ50は、ステップS506にて「No」と判定し、ステップS507にて変数mがランダムデータb(1)〜b(mmax)の最後すなわち値mmaxに達したかを判定する。変数mが値mmaxに達していなければ、コントローラ50は、ステップS507にて「No」と判定し、ステップS508にて変数mに「1」を加算してプログラムをステップS502に戻す。
そして、コントローラ50は、前述したステップS502〜S505の処理をふたたび実行する。これにより、前記数7の演算により新たに計算された補正半径方向移動速度Fr’がフィードモータ制御回路62に出力され、フィードモータ23は、前記新たに計算された補正半径方向移動速度Fr’に対応した回転速度で回転し始める。そして、レーザ照射停止指令がなく、かつ変数mが値mmaxに達しない限り、コントローラ50は、ステップS506、S507にて「No」と判定し続け、変数mを「1」ずつ増加させながら、ステップS502〜S505の処理により、新たな半径値r及びランダムデータb(n)に基づいて新たな補正半径方向移動速度Fr’をフィードモータ制御回路62に出力して、フィードモータ23の回転速度を補正半径方向移動速度Fr’に対応した回転速度に制御する。
そして、変数mが値mmaxに達すると、コントローラ50は、ステップS507にて「Yes」と判定し、ステップS501に変数mを「1」に戻した後、前述したステップS502以降の処理を実行する。このような処理により、加工用レーザ光の半径方向の移動速度が基本半径方向移動速度Frから若干だけランダムに変化する。その結果、加工用レーザ光によって加工対象物OB上に形成されるピットの半径方向位置がランダムに変化する。この場合も、厳密に言えば、ランダムデータb(m)はmmax個ずつの周期性を有することになるが、値mmaxとして充分に大きな値をとれば、レーザ加工した所定の領域では、加工対象物OB上に形成されるピットの半径方向位置は充分にランダムに変化しているものとみなすことができる。
ふたたび、図7の加工制御プログラムの説明に戻ると、半径値検出回路63により検出される半径値rが終了半径値Re以上となると、コントローラ50は、ステップS310にて「Yes」と判定して、ステップS311〜S316の処理を実行する。ステップS311において、フォーカスサーボ回路75に作動停止指令が出力されて、フォーカスサーボ回路75によるフォーカスサーボ制御が停止される。ステップS312においては、光軸駆動回路81〜83にそれ作動停止指令が出力されて、光軸駆動回路81〜83の作動も停止される。ステップS314においては、パルス信号供給回路72にパルス列信号の出力停止指令が出力されるとともに、レーザ駆動回路71にレーザ光の照射停止指令が出力されて、パルス信号供給回路72によるパルス列信号の出力及びレーザ駆動回路71によるレーザ駆動信号の出力が停止される。これにより、レーザ光源31は、加工用レーザ光の出射を停止する。ステップS315においては、フィードモータ制御回路62に半径方向への移動停止指令が出力されて、フィードモータ制御回路62は、フィードモータ23を停止させる。ステップS316においては、スピンドルモータ制御回路61に回転停止指令が出力されて、スピンドルモータ制御回路61は、スピンドルモータ22の回転を停止させる。そして、コントローラ50は、ステップS317にてレーザ加工制御ルーチンを終了する。
また、前記ステップS314のレーザ光の照射停止指令の発生に伴い、コントローラ50は、図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラムにおいても、ステップS407にて「Yes」と判定して、ステップS410にてスピンドルモータ制御データ生成プログラムの実行を終了する。さらに、コントローラ50は、前記レーザ光の照射停止指令の発生に伴い、図9のフィードモータ制御データ生成プログラムにおいても、ステップS506にて「Yes」と判定して、ステップS509にてフィードモータ制御データ生成プログラムの実行を終了する。
このような加工制御プログラムの実行により、加工対象物OBの表面には、図11(B)に示すように、回転方向及び半径方向にほぼ等間隔のピットパターンが形成される。ただし、前記ピットの形成中、光軸駆動回路81〜83から出力される駆動信号により、音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラー45が加工用レーザ光の光軸を半径方向に少量だけランダムに変化させる。また、図9のフィードモータ制御データ生成プログラムによって生成される補正半径方向移動速度Fr’により、フィードモータ制御回路62はフィードモータ23の回転速度を制御して、加工用レーザ光の半径方向の照射位置を少量だけランダムに変化させる。これらのランダム制御により、加工対象物OBの表面に形成されるピットの位置は半径方向に少量だけランダムに変化する。
また、前記ピットの形成中、図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラムによって生成される補正回転速度Ro’により、スピンドルモータ制御回路61はスピンドルモータ22の回転速度を制御して、1回転ごとの加工用レーザ光の回転方向の照射位置を少量だけランダムに変化させる。また、パルス信号供給回路72は、ロー側パルスのパルス幅を各パルス毎にランダムに変化させたパルス列信号をレーザ駆動回路71に出力し、レーザ駆動回路71は加工対象物OBの表面に照射される加工用レーザ光の出射間隔をランダムに変化させる。これらの制御により、加工対象物OBの表面に形成されるピットの位置は回転方向に少量だけランダムに変化する。
さらに、前記ピットの形成中、パルス信号供給回路72は、ハイ側パルスのレベル値を各パルス毎にランダムに変化させたパルス列信号をレーザ駆動回路71に出力し、レーザ駆動回路71は加工対象物OBの表面に照射される加工用レーザ光の照射強度をランダムに変化させる。この制御により、加工対象物OBの表面に照射される加工用レーザ光の強度がランダムに変化し、加工対象物OBの表面に形成されるピットの大きさがランダムに変化する。これらのランダム制御により、図11(B)に示すように、加工対象物OBの表面に形成されるピットは、規則的でなくなり、それらの回転方向位置(図示横方向位置)、半径方向位置(図示縦方向位置)及び大きさがランダムに変化したものとなる。
特に、この実施形態においては、音響光学変調素子43をランダムに変化する駆動信号で制御することによりピットの位置を半径方向に少量だけランダムに変化させ、パルス信号供給回路72から出力されるパルス列信号のロー側パルスのパルス幅をランダムに変化させることによりピットの位置を回転方向に少量だけランダムに変化させ、かつパルス信号供給回路72から出力されるパルス列信号のハイ側パルスのレベル値をランダムに変化させることによりピットの大きさをランダムに変化させるようにした。これらのランダム制御は、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46による加工用レーザ光の光軸の半径方向へのランダム変化、スピンドルモータ22の回転速度のランダム制御による加工用レーザ光の照射位置の回転方向へのランダム変化、並びにフィードモータ23の回転速度のランダム制御による加工用レーザ光の照射位置の半径方向へのランダム変化に比べて時間応答性が高い。したがって、テーブル21を高速回転させて微細間隔のピットを加工対象物OBに形成する場合のランダム制御にとって極めて有効である。
このようにしてピットパターンが形成された加工対象物OBをテーブル21から取り外せば、複数のピットがランダムに形成された加工対象物OBを得ることができる。そして、新たな加工対象物OBにピットパターンを形成する場合には、作業者は、新たな加工対象物OBをテーブル21にセットし、入力装置51を使って、コントローラ50に対してレーザ加工制御プログラムの実行開始を指示する。これにより、前述のようにして、新たな加工対象物OBにランダムな複数のピットが形成される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
例えば、本実施形態においては、ピットの形成される半径方向の位置をランダムに変化させるために、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46による加工用レーザ光の光軸の半径方向へのランダム変化を採用した。しかし、これらのランダム制御に加えて、図10に示すように、加工用レーザ光の光軸を回転方向に変位させるための音響光学変調素子47、すなわち加工対象物OBの表面上にて加工用レーザ光の光軸を音響光学変調素子43による場合とは直交方向へ変位させる音響光学変調素子47を設けるようにしてもよい。この場合、上記実施形態の光軸駆動回路81〜83と同様に構成した光軸駆動回路84を設けて、光軸駆動回路84から出力される制御信号により、音響光学変調素子47に加工用レーザ光の光軸を回転方向にランダムに変化させるようにするとよい。
他の構成は、上記実施形態の場合と同じである。ただし、ミラー45は省略可能である。この変形例によっても、加工対象物OBの表面に形成されるピットは、規則的でなくなり、それらの回転方向位置(図示横方向位置)、半径方向位置(図示縦方向位置)及び大きさがランダムに変化したものとなる。また、この変形例においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットは光軸駆動回路84及び音響光学変調素子47によって回転方向にランダムに変化し、この音響光学変調素子47によるランダム制御は時間応答性が高いので、パルス列信号のロー側パルスのパルス幅のランダム制御を省略しても、テーブル21を高速回転させて微細間隔のピットを加工対象物OBに形成する場合のランダム制御にとって極めて有効である。
また、上記実施形態においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットを半径方向にランダムに変化させるために、光軸駆動回路81,82,83による音響光学変調素子43、トラッキングアクチュエータ44及びミラーアクチュエータ46のランダム制御、並びにフィードモータ制御回路62によるフィードモータ23のランダム制御を採用した。しかし、ピットを半径方向にランダムに変化させるためには、これらのランダム制御のうちの少なくとも1つを採用すればよく、必要に応じて、これらのランダム制御のうちのいずれか1乃至3つを省略してもよい。さらに、ピットを半径方向にランダムに変化させることが必要なければ、これらのランダム制御の全てを省略してもよい。このことは、上記変形例においては、光軸駆動回路84による音響光学変調素子47を用いたランダム制御、及びフィードモータ制御回路62によるフィードモータ23のランダム制御を省略することを意味する。
また、上記実施形態においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットを回転方向にランダムに変化させるために、スピンドルモータ制御回路61によるスピンドルモータ22のランダム制御、及びパルス列信号のロー側パルスのパルス幅のランダム制御を採用した。しかし、ピットを回転方向にランダムに変化させるためには、これらのランダム制御のうちの少なくとも1つを採用すればよく、必要に応じて、これらのランダム制御のうちのいずれか一方を省略してもよい。さらに、ピットを回転方向にランダムに変化させることが必要なければ、これらのランダム制御の全てを省略してもよい。
また、上記実施形態においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットの大きさをランダムに変化させるために、パルス列信号のハイ側パルスのレベル値のランダム制御を採用した。しかし、ピットの大きさをランダムに変化させることが必要なければ、このランダム制御を省略してもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、スピンドルモータ制御回路61に補正回転速度Ro’を出力してスピンドルモータ22の回転速度をランダムに変化させることにより、加工対象物OBの表面に形成されるピットの回転方向の間隔を1回転ごとにランダムに変化させるようにした。しかし、これに代えて、光軸駆動回路81〜84と同様に構成した光軸駆動回路から出力されてランダムに変化する駆動信号を用いて、スピンドルモータ22の回転速度をランダムに変化させ、加工対象物OBの表面に形成されるピットの回転方向の間隔をランダムに変化させるようにしてもよい。この場合、コントローラ50による図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラム中のステップS402〜S404の処理により、基本回転速度Roをスピンドルモータ制御回路61に出力するようにする。そして、前記駆動信号をスピンドルモータ制御回路61に供給し、スピンドルモータ制御回路61は、基本回転速度Roに駆動信号を加えた信号でスピンドルモータ22の回転を制御することにより、スピンドルモータ22の回転速度を基本回転速度Roに対して前記駆動信号分だけ変動させるようにすればよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、フィードモータ制御回路62に補正半径方向移動速度Fr’を出力してフィードモータ23の回転速度をランダムに変化させることにより、加工対象物OBの表面に形成されるピットの半径方向の間隔をランダムに変化させるようにした。しかし、これに代えて、前記場合と同様に、光軸駆動回路81〜84と同様に構成した光軸駆動回路から出力されてランダムに変化する駆動信号を用いて、フィードモータ23の回転速度をランダムに変化させ、加工対象物OBの表面に形成されるピットの半径方向の間隔をランダムに変化させるようにしてもよい。この場合、コントローラ50による図9のフィードモータ制御データ生成プログラム中のステップS502〜S503の処理により、基本半径方向移動速度Frをフィードモータ制御回路62に出力するようにする。そして、前記駆動信号をフィードモータ制御回路62に供給し、フィードモータ制御回路62は、基本半径方向移動速度Frによるフィードモータ23の回転速度の制御に、駆動信号によるフィードモータ23の回転制御を加えて、フィードモータ23の回転速度を基本半径方向移動速度Frに対応した回転速度に対して前記駆動信号分だけ変動させるようにすればよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、パルス信号供給回路72が、コントローラ50によるパルス制御データ生成ルーチンに実行によりメモリ72aに記憶されていてランダムに変化するロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)を用いて、パルス列信号の各1つずつのパルスのロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値をランダムに変更するようにした。しかし、これに代えて、図1及び図10に破線で示すように、エンコーダ22aからインデックス信号Indexをパルス信号供給回路72に供給するようにする。そして、パルス信号供給回路72は、インデックス信号Indexが入力するごとに、すなわち加工対象物OBが1回転するごとに、前記ロー側パルスの補正パルス幅Wd(n)及びハイ側パルスの補正レベル値Pw(n)を用いて、パルス列信号のロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値をランダムに変更するようにしてもよい。これによれば、加工対象物OBの1回転ごとにしか、パルス列信号のロー側パルスのパルス幅及びハイ側パルスのレベル値は変更されないので、ランダムの程度は低くなるが、加工対象物OBに形成されるピット全体を通して見れば、ピット間の回転方向間隔及びピットの大きさはランダムに変化したものとなる。この場合、パルス信号供給回路72内のメモリ72aの容量を小さく抑えることが可能である。
また、上記実施形態及び変形例においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットを半径方向及び回転方向にランダムに変化させるために、音響光学変調素子(EOD)43,47を用いた。しかし、音響光学変調素子43,47に代えて、電気光学変調素子をそれぞれ用いるようにしてもよい。そして、この場合も、光軸駆動回路81,84と同様に構成した光軸駆動回路からの駆動信号により、電気光学変調素子を駆動制御するとよい。これによっても、電気光学変調素子は時間応答性が良好であるので、テーブル21を高速回転させて微細間隔のピットを加工対象物OBに形成する場合のランダム制御にとって極めて有効である。
また、上記実施形態においては、加工対象物OBの表面に形成されるピットを半径方向にランダムに変化させるために、トラッキングアクチュエータ44、並びにミラー45及びミラーアクチュエータ46のランダム制御を採用した。しかし、これに代えて、ポリゴンミラー及びポリゴンミラーを駆動するアクチュエータ、ガルバノミラー及びガルバノミラーを駆動するアクチュエータ、レーザ光源31を駆動するアクチュエータなどを用いて、レーザ光の光軸を半径方向にランダムに変化させて、加工対象物OBの表面に形成されるピットを半径方向にランダムに変化させるようにしてもよい。この場合も、上記実施形態の光軸駆動回路82,83と同様な光軸駆動回路からの駆動信号により、前記アクチュエータを駆動制御するようにすればよい。また、加工対象物OBの表面に形成されるピットを回転方向にランダムに変化させるために、上記実施形態のミラー45及びミラーアクチュエータ46、前記変形例のポリゴンミラー及びポリゴンミラーを駆動するアクチュエータ、ガルバノミラー及びガルバノミラーを駆動するアクチュエータ、レーザ光源31を駆動するアクチュエータなどを用いてもよい。この場合も、上記実施形態の光軸駆動回路82,83と同様な光軸駆動回路からの駆動信号により、前記アクチュエータを駆動制御するようにすればよい。ただし、この場合には、ミラー45、ポリゴンミラー、ガルバノミラー、ガルバノミラー及びレーザ光源31の駆動により、レーザ光の光軸を回転方向に変化させる必要がある。
また、上記実施形態においては、コントローラ50は、図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラム及び図9のフィードモータ制御データ生成プログラムを、図7の加工制御プログラムと同時に並行して実行するようにした。しかし、これに代えて、コントローラ50は、図7の加工制御プログラムの実行中、図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラム及び図9のフィードモータ制御データ生成プログラムを、所定の短時間ごとに割込み実行するようにしてもよい。この場合、図8のスピンドルモータ制御データ生成プログラムにおいては、ステップS401の変数nの初期設定処理を省略して、スピンドルモータ制御データ生成プログラムの最初の実行の際に別途用意した初期設定プログラムの実行により変数nを「1」に初期設定する。また、ステップS402にてインデックス信号Indexの入力がない場合には、ステップS402にて「No」と判定してスピンドルモータ制御データ生成プログラムの実行を終了する。ただし、この場合、エンコーダ22aから入力されるインデックス信号Indexを短時間だけコントローラ50に記憶しておく必要がある。また、ステップS409の処理後に、このスピンドルモータ制御データ生成プログラムの実行を終了するようにする。さらに、ステップS408にて「Yes」すなわち変数nが最大値nmaxに達した場合には変数nを「1」に初期設定した後に、このスピンドルモータ制御データ生成プログラムの実行を終了するようにする。
また、図9のフィードモータ制御データ生成プログラムにおいては、ステップS501の変数mの初期設定処理を省略して、フィードモータ制御データ生成プログラムの最初の実行の際に別途用意した初期設定プログラムの実行により変数mを「1」に初期設定する。また、ステップS508の処理後に、このフィードモータ制御データ生成プログラムの実行を終了するようにする。さらに、ステップS507にて「Yes」すなわち変数mが最大値mmaxに達した場合には変数mを「1」に初期設定した後に、このフィードモータ制御データ生成プログラムの実行を終了するようにする。
また、上記実施形態においては、レーザ光の照射位置をテーブル21の半径方向に移動させるにあたって、テーブル21を移動させるようにしているが、加工ヘッド30をテーブル21の半径方向に移動させる構成であってもよい。また、テーブル21と加工ヘッド30との両方を関連させて移動させるようにすることもできる。
さらに、上記実施形態においては、LEDの製作用基板上に微細ピットを形成するようにしたが、現像液等の後処理によりピットが形成される微細反応跡を形成する場合にも、上記実施形態に係るレーザ加工装置及びレーザ加工方法を利用できる。また、LEDの製作用基板以外でも平板上に微細ピット又は微細反応跡をランダムに形成する場合にも、上記実施形態に係るレーザ加工装置及びレーザ加工方法を利用できる。