JP2011098359A - 塑性加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主軸2の先端に設けられたマンドレル3との間で平板素材Wを挟持する挟持機構4、平板素材Wの表面を押圧し肉厚を減肉させるローラ5を主軸回転軸心Aに対して接近・離間する方向に移動させるローラ移動機構6を備え、ローラ5のローラ回転軸心Bを含む断面視で直線となる加工平面11が移動方向Cに対して鋭角に角度θ1傾斜し、加工平面11にて平板素材Wの表面を押圧した状態でローラ5を移動方向Cに移動させ平板素材Wの肉厚を減肉させて、加工平面11とマンドレル3との間に増肉部20を形成させ、ローラ5の加工平面11における移動方向C側の先端11aより後端11b側に増肉部20の移動方向C側の先端21aが位置する状態でローラ5の移動を完了させる。
【選択図】図2
Description
このように加工ローラ等を用いて平板素材の肉厚を増加させるように塑性加工することにより、例えば、プレスによる場合には形成が困難な肉厚部分を形成することが可能となり、また、切削により肉厚部分を形成する場合に肉厚部分以外の部分を切削することにより生じる材料コストや加工時間の増大を良好に低減することが可能となる。
前記ローラが前記ローラ回転軸心を含む断面視で直線となる加工平面を備え、前記加工平面が前記ローラの移動方向に対して鋭角に角度θ1傾斜して形成され、
前記制御手段が前記ローラ移動機構を制御して、前記加工平面にて前記平板素材の表面を押圧した状態で前記ローラを前記移動方向に移動させることにより前記平板素材の肉厚を減肉させて、前記加工平面と前記マンドレルとの間に増肉部を形成させる構成で、前記ローラの前記加工平面における前記移動方向側の先端より後端側に前記増肉部の前記移動方向側の先端が位置する状態で、前記制御手段による前記ローラの移動を完了する点にある。
ここで、ローラはローラ回転軸心を含む断面視で直線となる加工平面を備えており、この加工平面がローラの移動方向に対して鋭角に角度θ1傾斜して形成されている。
これにより、ローラの加工平面の後端側が平板素材の表面に押圧されつつ移動方向に移動されることとなり、平板素材が減肉して形成される変形部分は、加工平面における後端側から順次、加工平面における先端側(移動方向側)に向かうように移動され、結果的に増肉する状態で当該加工平面とマンドレルとの間に増肉部を形成することとなる。すなわち、平板素材には、ローラの移動方向に対して角度θ1傾斜する加工平面に沿った被加工平面を有する概略三角形状で突出する増肉部が形成されることとなり、当該被加工平面は凹凸の非常に少ない平面に正確に加工することができる。
そして、制御手段は、ローラの移動により形成される増肉部の移動方向側における先端(上記被加工平面における先端)が、ローラの加工平面における移動方向側の先端より後端側に位置する状態で、ローラの移動を完了させるので、増肉部の被加工平面はローラの加工平面内で、しかもその面から圧力を受ける状態で成形されることとなり、増肉部は当該加工平面の先端よりも移動方向側には飛び出さない状態で形成されることとなる。これにより、例えば、ローラにより増肉した増肉部を主軸回転軸心付近に配置した挟持機構等に押し付けることなく、当該ローラのみにより増肉部を所望の形状である断面視概略三角形状に形成することが可能となる。ここで、図2及び図3を参考にして説明すると、例えば、増肉部20として形成される概略三角形状は、少なくとも上記被加工平面21と被加工平面21の先端21aから平板素材Wの表面に連続する傾斜面22とを備えており、当該傾斜面22は、ローラ5の加工平面11が移動方向Cに対して鋭角に角度θ1傾斜していることにより、移動方向Cに対して鈍角に形成されることとなる。このように、傾斜面22が鈍角に形成されていることにより、この傾斜面22と平板素材Wの表面とが成す角度θ0も鈍角となる。説明を加えると、上記のように、ローラ5の加工平面11が鋭角に角度θ1傾斜しているので、ローラ5の加工平面11の後端11b側が平板素材Wの表面に押圧されつつ移動方向Cに移動されることとなり、平板素材Wが減肉して形成される変形部分は、加工平面11における後端11b側から順次、加工平面11における先端11a側(移動方向C側)に向かうように移動される。この際、平板素材Wの変形部分は、当該平板素材Wの表面から突出する方向にはローラ5の加工平面11により逃げ場が制限される一方で、移動方向C側への増肉は許容されて、ローラ5の移動に伴って移動方向C側に常に肉を溜めていく状態となる。そのため、概略三角形状の増肉部20における移動方向C側の面である上記傾斜面22が平板素材Wに対して成す角度θ0は鈍角となる。これにより、傾斜面22と平板素材Wの表面とが交わる箇所から亀裂等が生じて強度が低下することもない。
従って、塑性加工により平板素材に概略三角形状で突出する増肉部を形成するに当たり、単一のローラを用い、しかも、当該ローラにより最終の所望形状である概略三角形状の増肉部を形成することができ、所望形状を決定するための他の部材を用いずに、塑性加工により簡便で正確に所望の形状を得ることが可能である。
よって、できるだけ簡便な構成としながら、平板素材をボス部以外の所望の肉厚部分を有する形状に確実に塑性加工することが可能となった。
前記ローラの前記ローラ回転軸心が、前記ローラの前記移動方向に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、前記角度θ1と前記角度θ2とが、θ2<θ1を満たすとともに、
前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側とは反対側の後端と前記主軸回転軸心との距離をD1、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側の先端と前記主軸回転軸心との距離をD2とし、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側とは反対側の後端と前記ローラ回転軸心との距離をP1、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側の先端と前記ローラ回転軸心との距離をP2とした場合に、これら各距離が、P2/P1=D2/D1を満たすように設定されている点にある。
具体的には、平板素材において主軸回転軸心に近い増肉部の先端は回転速度が遅く、一方、増肉部の後端では回転速度が速くなるため、当該先端と後端の回転速度差と同様の回転速度差をローラの加工平面においても生じさせるように、ローラのローラ回転軸心が、ローラの移動方向(主軸回転軸心に接近する方向)に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、ローラの移動方向に対する加工平面の角度θ1と上記角度θ2とが、θ2<θ1を満たすように設定されている。
これにより、所望の概略三角形状の増肉部を形成するために、ローラが平板素材の塑性加工を開始して停止し所望の形状を得るまでにおいて、ローラの加工平面と増肉部の被加工平面とを常に同一回転速度で回転させることが可能となる。
図1に示すように、塑性加工装置Sは、架台1上にモータ等の主軸駆動装置Mmによって主軸回転軸A周りで駆動回転可能に配設された主軸2と、主軸2の先端に設けられ、円板素材W(平板素材の一例)を取り付けるマンドレル3と、主軸2及びマンドレル3に対向した位置で円板素材Wをマンドレル3との間で挟持するチャック棒4aを先端に配設したチャック台4(挟持機構の一例)と、ローラ回転軸心Bで回転可能に構成され、挟持された円板素材Wの表面を押圧して円板素材Wの肉厚を減肉させるローラ5と、主軸回転軸心Aで回転する円板素材Wの表面を押圧した状態でローラ5を少なくとも主軸回転軸心Aに対して接近或いは離間する方向に移動させるローラ移動機構6と、運転を制御する制御部7(制御手段の一例)とを備える。
尚、以下の説明では、主軸2の主軸回転軸心Aに直交する方向をX方向、平行な方向をZ方向と夫々記載する場合がある。又、ローラ5を主軸回転軸心Aよりも−X方向側に配置した場合に、X方向において、主軸回転軸心Aに接近する方向を+X方向とし、主軸回転軸心Aから離間する方向を−X方向とする。又、Z方向において、主軸2の基端(主軸駆動装置Mmに連結される端部)から離間する方向を+Z方向とし、主軸2の基端に接近する方向を−Z方向とする。
図1に示すように、マンドレル3は、主軸回転軸心Aで駆動回転される主軸2の先端に設けられている。マンドレル3の上面の中心部には柱状の突出部3aが設けられるとともに、その突出部3aの外周側には円板素材Wを嵌め込むことが可能な凹部3bが形成されている。ここで、円板素材Wは、図3に示すように薄肉状で金属により構成される円板素材であり、中心部にはマンドレル3の突出部3aを貫通可能な大きさの開口部Woを備えている。従って、主軸2が回転することにより、マンドレル3の凹部3bに嵌め込まれた円板素材Wも主軸2とともに回転可能に構成されている。
そして、主軸2を回転駆動することにより、円板素材Wをマンドレル3とチャック棒4aとにより挟持した状態で、マンドレル3と一体的に回転させるように構成されている。
X方向移動機構6aは、先端部にローラ5を固定する固定部8と、当該固定部8をレール9aの案内により主軸回転軸心Aに直交する方向(X方向)に往復移動自在とする走行台9と、その走行台9上に設けられ、固定部8をX方向に往復移動駆動するパルスモータ等のX方向駆動装置Mxとを備えている。更に、Z方向移動機構6bは、そのように固定部8及びX方向駆動装置Mxが載せられた走行台9を、レール10aの案内により主軸回転軸心Aに平行な方向(Z方向)に往復移動自在とする移動台10と、その移動台10上に設けられ、走行台9をZ方向に往復移動駆動するパルスモータ等のZ方向駆動装置Mzとを備えている。
そして、X方向駆動装置Mx及びZ方向駆動装置Mz夫々の作動を制御することにより、ローラ5をX方向及びZ方向の夫々に往復移動操作自在に構成されている。
ローラ5は、図2に示すように、ローラ回転軸心Bを含む断面視で直線となる加工平面11を備え、加工平面11がローラ5の移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ1(第1角度)傾斜して形成されている。なお、この角度θ1は、後述する増肉部20の円板素材Wからの突出高さ等、最終的に得たい所望の形状に応じて適宜設定することが可能である。
また、ローラ5のローラ回転軸心Bは、ローラの移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ2(第2角度)傾斜して形成されている。本実施形態では、角度θ1と角度θ2は同角度、すなわちθ2=θ1を満たすように設定され、ローラ回転軸心Bと加工平面11とは平行となっている。これにより、ローラ5のローラ回転軸心Bから伝えられる押圧力をローラ5の加工平面11を介して増肉部20の被加工平面21に無理なく伝達し安定して塑性加工を行うことができ、被加工平面21の形状を所望の形状に、より正確に加工することが可能となる。また、ローラ5自体の構成も簡便な構成とすることができる。なお、両角度を同一とした場合、増肉部20の被加工平面先端21a及び被加工平面後端21bにおいて回転速度差が生じることがあるが、増肉部20がローラ5の移動方向Cにおいて比較的短く形成されるときには、当該回転速度差は非常に小さいものとなるので、ローラ5の加工平面11と増肉部20の被加工平面21との滑りは殆ど考慮する必要がなく、このような場合には特に有効であるといえる。
さらに、ローラ5の加工平面11には、当該加工平面11における移動方向C(+X方向)の先端である加工平面先端11aと移動方向Cとは反対方向(−X方向)の後端である加工平面後端11bとが形成されている。そして、ローラ5において、加工平面先端11aより移動方向C側(+X方向側)、及び加工平面後端11bより移動方向C側とは反対側(−X方向側)にはそれぞれ、概略截頭円錐体状に形成されたテーパー状外周面12,13が形成されている。これにより、ローラ5による円板素材Wの塑性加工時に、ローラ5がチャック棒4aやマンドレル3等に接触することなく、加工平面11のみが円板素材Wを押圧して良好に塑性加工を行うことが可能となっている。
次いで、主軸駆動装置Mmによって主軸2を回転させて、チャック棒4aでマンドレル3に押圧固定した円板素材Wを回転させる。
ローラ5の加工平面後端11bが円板素材Wの表面に当接した後、加工初期には、X方向駆動装置Mx及びZ方向駆動装置Mzにより、ローラ5を回転する円板素材Wの厚み方向(−Z方向)及び主軸回転軸心A方向(+X方向)に押圧した状態で、ローラ5が所定深さまで厚み方向(−Z方向)に移動される。そして、図2(a)に示すように、ローラ5が厚み方向(−Z方向)に所定深さまで移動すると、Z方向駆動装置Mzによる厚み方向(−Z方向)への移動が停止されるとともに、X方向駆動装置Mxによりローラ5が主軸回転軸心Aに接近する移動方向C(+X方向)にのみ移動されて、円板素材Wは減肉され、かつ、ローラ5の移動方向C側に増肉するように塑性加工される。なお、円板素材Wにおいて塑性加工を開始する箇所及び減肉する所定深さは、所望の増肉部20の形状に応じて適宜設定される。すなわち、ローラ5により減肉される円板素材Wの体積と増肉される体積とは略同一となるので、増肉が必要な体積に応じて、塑性加工を開始する箇所及び減肉する所定深さを設定する。
したがって、この塑性加工では、回転する円板素材Wの表面にローラ5の加工平面11の加工平面後端11bが所定深さまで押圧された状態で、ローラ5がX方向駆動装置Mxにより主軸回転軸心A1に接近する方向(+X方向)に移動される。
図2及び図3に示すように、当該増肉部20は断面視で概略三角形状に形成され、塑性加工前の円板素材Wの表面から増肉された状態(突出した状態)で、ローラ5の加工平面11に沿う被加工平面21と、当該被加工平面21の被加工平面先端21aから円板素材Wの表面に連続する傾斜面22とを備えている。なお、被加工平面21は、移動方向C側(+X方向側)である先端に位置する被加工平面先端21aと、移動方向C側とは反対側(−X方向側)の後端に位置する被加工平面後端21bとを備えている。
この増肉部20の被加工平面21は、ローラ5の加工平面11に沿うように平行に形成されるため、移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ1傾斜するように形成され、当該被加工平面21は凹凸の非常に少ない平面に正確に加工される。
また、増肉部20の傾斜面22は、ローラ5の加工平面11が移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ1傾斜していることにより、移動方向C(+X方向)に対して鈍角に形成されることとなる(図2、図3参照)。このように、傾斜面22が鈍角に形成されていることにより、この傾斜面22と平板素材Wの表面とが成す角度θ0も鈍角となる。説明を加えると、上記のように、ローラ5の加工平面11が鋭角に角度θ1傾斜しているので、ローラ5の加工平面11の後端11b側が平板素材Wの表面に押圧されつつ移動方向Cに移動されることとなり、平板素材Wが減肉して形成される変形部分は、加工平面11における後端11b側から順次、加工平面11における先端11a側(移動方向C側)に向かうように移動される。この際、平板素材Wの変形部分は、当該平板素材Wの表面から突出する方向にはローラ5の加工平面11により逃げ場が制限される一方で、移動方向C側への増肉は許容されて、ローラ5の移動に伴って移動方向C側に常に肉を溜めていく状態となる。そのため、概略三角形状の増肉部20における移動方向C側の面である上記傾斜面22が平板素材Wに対して成す角度θ0は鈍角となる。これにより、傾斜面22と平板素材Wの表面とが交わる箇所から亀裂等が生じて強度が低下することもない。
よって、できるだけ簡便な構成としながら、円板素材Wをボス部以外の所望の肉厚部分を有する形状に確実に塑性加工することが可能となった。
(1)上記実施形態では、ローラ5の加工平面11を、ローラ5の移動方向Cに対し鋭角に角度θ1傾斜するように形成し、ローラ5のローラ回転軸心Bを、ローラ5の移動方向Cに対し鋭角にθ2傾斜するように形成して、これら角度θ1及び角度θ2を同一角度で構成して、増肉部20の被加工平面21において生じ得る回転速度差を考慮しない構成としたが、増肉部20をより適切かつ正確に形成できる構成であれば、特にこの構成に限定されるものではない。なお、本別実施形態はローラ5の別の実施形態であるローラ50を説明するものであり、基本的にローラ50以外の構成は上記実施形態と同様である。従って、重複説明を避けるために、上記実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、同じ符号を付すことにより説明を省略して、主として、ローラ50について説明する。
具体的には、例えば、図4に示すように、ローラ50は、ローラ回転軸心B1を含む断面視で直線となる加工平面51を備え、加工平面51がローラ50の移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ1傾斜して形成され、ローラ50のローラ回転軸心B1が、ローラ50の移動方向C(+X方向)に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、角度θ1と角度θ2とが、θ2<θ1を満たすように設定されている。よって、ローラ50は、円板素材Wの表面に押圧されることによりローラ回転軸心B1周りで回転しながら、X方向駆動装置Mxにより主軸回転軸心Aに対して接近する方向(+X方向)に移動させられる。そして、ローラ50は、円板素材Wの表面を減肉して変形部分を形成し、その変形部分をローラ50の加工平面51における加工平面後端51bから順次、加工平面51における加工平面先端51a側(移動方向C側)に向かうように当該加工平面51に沿って移動され、結果的に円板素材Wの肉厚が増肉する状態で加工平面51とマンドレル3との間に塑性加工により増肉部20を形成することができる。
加えて、この塑性加工の開始から増肉部20の形成が完了するまでにおいて、増肉部20におけるローラ50の移動方向C側とは反対側(−X方向側)の被加工平面後端21bと主軸回転軸心Aとの距離をD1、増肉部20におけるローラ50の移動方向C側(+X方向側)の被加工平面先端21aと主軸回転軸心Aとの距離をD2とし、増肉部20におけるローラ50の移動方向C側とは反対側(−X方向側)の被加工平面後端21bとローラ回転軸心B1との距離をP1、増肉部20におけるローラ50の移動方向C側(+X方向側)の被加工平面先端21aとローラ回転軸心B1の距離をP2とした場合に、これら各距離が、P2/P1=D2/D1を、常に満たすように設定されている。この設定は、移動させる肉の全てが増肉部20を形成するものとして、容易に演算設定できる。
これにより、ローラ50が主軸回転軸心Aに対して接近する方向(+X方向)に移動して円板素材Wを塑性加工する際に、円板素材Wが主軸回転軸心Aで回転し、塑性加工により形成される増肉部20の被加工平面21における被加工平面先端21aと被加工平面後端21bとで主軸回転軸心A周りでの回転速度差が生じる場合であっても、この回転速度差と同様の回転速度差をローラ50においても生じさせることができ、ローラ50の加工平面51と増肉部20の被加工平面21とが当接する各部位において同一回転速度として、両平面51,21に滑りが生じない状態を維持し、塑性加工をより安定した状態で正確且つ確実に行うことが可能となる。
なお、本別実施形態において、単に、ローラ50における上記角度θ1と角度θ2とが、θ2<θ1を満たす構成を採用し、ローラ50における上記各距離が、P2/P1=D2/D1を満たさない構成を採用してもよい。この場合、上記のように、塑性加工により形成される増肉部20の被加工平面21における被加工平面先端21aと被加工平面後端21bとで主軸回転軸心A周りでの回転速度差が生じる場合であっても、この回転速度差に近似する回転速度差をローラ50においても生じさせることができ、ローラ50の加工平面51と増肉部20の被加工平面21とが当接する各部位において近似した回転速度となるようにして、両平面51,21における滑りを抑制することができ、塑性加工を安定した状態で行うことが可能となる。
図示しないが、例えば、円板素材Wを塑性加工する際に、ローラを主軸回転軸心Aに対して離間する方向(−X方向)に移動させる構成とする場合には、ローラは、ローラ回転軸心を含む断面視で直線となる加工平面を備え、加工平面がローラの移動方向(−X方向)に対して鋭角に角度θ1傾斜して形成され、ローラのローラ回転軸心が、ローラの移動方向(−X方向)に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、角度θ1と角度θ2とが、θ2>θ1を満たすように設定される。なお、この塑性加工の開始から増肉部20の形成が完了するまでにおいて、上記各距離P1,P2,D1,D2が、P2/P1=D2/D1を、常に満たすように設定されているのは上記と同様である。
これにより、ローラが主軸回転軸心Aに対して離間する方向(−X方向)に移動して円板素材Wを塑性加工する際に、円板素材Wが主軸回転軸心Aで回転し、円板素材Wにおいて主軸回転軸心Aに近い増肉部の移動方向側とは反対側(+X方向側)の被加工平面後端は回転速度が遅く、一方、増肉部の移動方向側(−X方向側)の被加工平面先端では回転速度が速くなることにより、塑性加工により形成される増肉部20の被加工平面先端と被加工平面後端とで主軸回転軸心A周りでの回転速度差が生じる場合であっても、この回転速度差と同様の回転速度差をローラにおいても生じさせることができ、ローラの加工平面と増肉部20の被加工平面とが当接する各部位において同一回転速度として、両平面に滑りが生じない状態を維持し、塑性加工をより正確且つ確実に行うことが可能となる。
なお、本別実施形態において、単に、ローラにおける上記角度θ1と角度θ2とが、θ2>θ1を満たす構成を採用し、ローラにおける上記各距離が、P2/P1=D2/D1を満たさない構成を採用してもよい。この場合、上記のように、塑性加工により形成される増肉部20の被加工平面における被加工平面先端と被加工平面後端とで主軸回転軸心A周りでの回転速度差が生じる場合であっても、この回転速度差に近似する回転速度差をローラにおいても生じさせることができ、ローラの加工平面と増肉部20の被加工平面とが当接する各部位において近似した回転速度となるようにして、両平面における滑りを抑制することができ、塑性加工を安定した状態で行うことが可能となる。
3 マンドレル
4 チャック台(挟持機構)
4a チャック棒(挟持機構)
5,50 ローラ
6 ローラ移動機構
6a X方向移動機構(ローラ移動機構)
6b Z方向移動機構(ローラ移動機構)
7 制御部(制御手段)
11,51 加工平面
11a,51a 加工平面先端(加工平面の先端)
11b,51b 加工平面後端(加工平面の後端)
20 増肉部
21 被加工平面
21a 被加工平面先端(被加工平面の先端)
21b 被加工平面後端(被加工平面の後端)
A 主軸回転軸心
B,B1 ローラ回転軸心
C ローラの移動方向
D1 増肉部における被加工平面後端と主軸回転軸心との距離
D2 増肉部における被加工平面先端と主軸回転軸心との距離
P1 増肉部における被加工平面後端とローラ回転軸心との距離
P2 増肉部における被加工平面先端とローラ回転軸心との距離
S 塑性加工装置
W 円板素材(平板素材)
θ1 ローラの移動方向に対する加工平面の傾斜角度
θ2 ローラの移動方向に対するローラ回転軸心の傾斜角度
Claims (3)
- 主軸回転軸心で駆動回転される主軸と、前記主軸の先端に設けられ、平板素材を取り付けるマンドレルと、前記平板素材を前記マンドレルとの間で挟持する挟持機構と、ローラ回転軸心で回転可能に構成され、前記挟持された平板素材の表面を押圧して前記平板素材の肉厚を減肉させるローラと、前記主軸回転軸心で回転する平板素材の表面を押圧した状態で前記ローラを少なくとも前記主軸回転軸心に対して接近或いは離間する方向に移動させるローラ移動機構と、運転を制御する制御手段とを備えた塑性加工装置であって、
前記ローラが前記ローラ回転軸心を含む断面視で直線となる加工平面を備え、前記加工平面が前記ローラの移動方向に対して鋭角に角度θ1傾斜して形成され、
前記制御手段が前記ローラ移動機構を制御して、前記加工平面にて前記平板素材の表面を押圧した状態で前記ローラを前記移動方向に移動させることにより前記平板素材の肉厚を減肉させて、前記加工平面と前記マンドレルとの間に増肉部を形成させる構成で、前記ローラの前記加工平面における前記移動方向側の先端より後端側に前記増肉部の前記移動方向側の先端が位置する状態で、前記制御手段による前記ローラの移動を完了する塑性加工装置。 - 前記制御手段が前記ローラ移動機構を制御して、前記ローラを少なくとも前記主軸回転軸心に対して接近する方向に移動させる構成で、
前記ローラの前記ローラ回転軸心が、前記ローラの前記移動方向に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、前記角度θ1と前記角度θ2とが、θ2<θ1を満たすとともに、
前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側とは反対側の後端と前記主軸回転軸心との距離をD1、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側の先端と前記主軸回転軸心との距離をD2とし、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側とは反対側の後端と前記ローラ回転軸心との距離をP1、前記増肉部における前記ローラの前記移動方向側の先端と前記ローラ回転軸心との距離をP2とした場合に、これら各距離が、P2/P1=D2/D1を満たすように設定されている請求項1に記載の塑性加工装置。 - 前記ローラの前記ローラ回転軸心が、前記ローラの前記移動方向に対して鋭角に角度θ2傾斜して形成され、前記角度θ1と前記角度θ2とが、θ2=θ1を満たすように設定されている請求項1に記載の塑性加工装置。
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