JP2011095336A - 光学部品、光ヘッド及び光ヘッド装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも2つの異なる材質のプリズムを合わせた光学部品であって、所定波長の光においては一の材質と他の材質との屈折率が略同一であり、他の波長の光においては一の材質と他の材質との屈折率が異なる光学部品である。
【選択図】図1
Description
<1> 少なくとも2つの異なる材質のプリズムを合わせた光学部品であって、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとにおける、一の波長の光での屈折率が略同一であり、他の波長の光での屈折率が異なることを特徴とする光学部品である。
前記光学部品においては、前記一の波長の光が、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとにおいて略同一の屈折率で透過される。また、前記光学部品においては、前記他の波長の光が、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとにおいて異なる屈折率で透過される。その結果、前記光学部品においては、前記一の波長の光の透過光と、前記他の波長の光の透過光とが分光される。
<2> 一の波長の光における、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとの屈折率の差の絶対値が0.01以下である前記<1>に記載の光学部品である。
<3> 一の波長の光における、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとの屈折率の差の絶対値が0.002以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学部品である。
<4> 一の波長の光における、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとの屈折率の差の絶対値が0.0005以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学部品である。
<5> 光源からの光が入射される前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学部品と、該光学部品を透過した光を加工対象に集光させる対物レンズとを有することを特徴とする光ヘッドである。
前記光ヘッドにおいては、前記光学部品において分光された、前記一の波長の光の透過光及び前記他の波長の光の透過光は、前記対物レンズを経て前記加工対象に集光される。このとき、前記加工対象は、前記一の波長の光と、前記他の波長の光とにより異なる位置にスポットが形成される。
<6> 光学部品に入射する、一の波長の光と、他の波長の光との入射角度の差の絶対値が、5度以下である前記<5>に記載の光ヘッドである。
<7> 光学部品に入射する、一の波長の光と、他の波長の光との入射角度の差の絶対値が、1度以下である前<5>から<6>のいずれかに記載の光ヘッドである。
<8> 光学部品に入射する、一の波長の光と、他の波長の光との入射角度の差の絶対値が、0.5度以下である前記<5>から<7>のいずれかに記載の光ヘッドである。
<9> 入射される光の光軸に対する光学部品の角度を制御する制御手段を有する前記<5>から<8>のいずれかに記載の光ヘッドである。
前記光ヘッドにおいては、前記制御手段により、前記入射される光の光軸に対する前記光学部品の角度が制御され、前記光の前記光学部品への入射角度が変更される。これにより、前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合が微量に調節される。
<10> 制御手段が自動で行なわれる前記<9>に記載の光ヘッドである。
<11> 光が入射される光学部品であって、前記光学部品に前記光が入射される面が平面であり、前記光学部品に前記光が入射される面に対する前記第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとが合わさる面の角度が互いに異なる光学部品、及び、前記第1の材質及び第2の材質が互いに異なる光学部品の少なくともいずれかを複数有し、
前記光が入射される面を底面として平面上に固定配置させる固定手段と、
前記固定手段を移動させ、前記光が入射される前記複数の光学部品の少なくとも1つの光学部品を変更させる移動手段、及び、前記光の光軸に対する前記光が入射される面の角度を変化させる角度制御手段の少なくともいずれかを有する前記<5>から<10>のいずれかに記載の光ヘッドである。
前記光ヘッドにおいては、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとが合わさる面の前記光学部品に前記光が入射される面に対する角度が互いに異なる光学部品、及び、前記第1の材質及び第2の材質が互いに異なる光学部品の少なくともいずれかを複数有し、前記複数の光学部品が、前記固定手段により、前記光が入射される面を底面として平面上に固定配置される。前記固定手段に固定配置された前記複数の光学部品のうち、一の光学部品に前記光が入射される。そして、前記固定手段に配置された前記複数の光学部品は、前記移動手段によりに移動され、前記光が入射する光学部品は、他の光学部品に変更される。これにより、前記光ヘッドにおいて、前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合が調節される。また、前記固定手段は、前記角度制御手段により、前記光の光軸に対する前記光が入射される面の角度が変更され、前記複数の光学部品への前記光の入射角度が調整される。これにより、前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合が微量に調節される。
<12> 固定手段が、円盤状のテーブル、ドラム状の固定治具、及び移動体の少なくともいずれかである前記<11>に記載の光ヘッドである。
<13> 移動手段段及び角度制御手段の少なくともいずれかが自動で行なわれる前記<11>から<12>のいずれかに記載の光ヘッドである。
<14> 前記<5>から<13>のいずれかに記載の光ヘッドを有することを特徴とする光ヘッド装置である。
本発明の光学部品は、複数の異なる材質のプリズムを合わせた光学部品であり、必要に応じて、更にその他の構成を有してなる。
前記光学部品は、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとにおける、一の波長の光での屈折率が略同一であり、他の波長の光での屈折率が異なる構成である。
前記光学部品は、前記第1の材質のプリズム及び前記第2の材質のプリズムに限られず、第3の材質のプリズム、第4の材質のプリズムなど、複数の材質のプリズムを有していてもよい。前記プリズムの数としては、複数個であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2個〜5個が好ましく、2個〜3個がより好ましい。
前記プリズムの材質の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝子、樹脂、半導体、光学結晶などが挙げられる。前記材質の組合せとしては、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとにおける、一の波長の光での屈折率が略同一であり、他の波長の光での屈折率が異なる組合せであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表1に記載の材質Aと材質Bとの組合せなどが挙げられる。
複数の異なる材質のプリズムの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品より入手する方法、光学メーカーに特注品として作製させる方法などが挙げられる。
前記光学部品に用いられるプリズムが、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとを組み合わせたものであって、入射する光が、前記一の波長λ1の光と、前記他の波長λ2の光とからなる光である場合、前記第1の材質のプリズムの前記λ1の波長の光に対する屈折率をna1、前記λ2の波長の光に対する屈折率をna2、前記第2の材質のプリズムの前記λ1の波長の光に対する屈折率をnb1、前記λ2の波長の光に対する屈折率をnb2するとき、前記na1、前記na2、前記nb1、及び前記nb2の値としては、na1≒nb1、かつ、na2≠nb2の条件を満たせば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.3〜2.2が好ましく、1.4〜2がより好ましく、1.45〜1.9が更に好ましい。前記屈折率が2.2を超えると、前記λ1の波長の光及び前記λ2の波長の光に対する屈折率の差が大きくなりすぎてλ2の波長の光の偏向が大きくなりすぎ、対物レンズで集光した場合、収差が増えて光のスポットが真円からずれるといった問題がある。前記屈折率が1.3未満であると、前記λ1の波長の光と前記λ2の波長の光に対する屈折率の差が小さく、λ2の波長の光の偏向が小さくなりすぎるといった問題がある。
なお、前記光学部品が、表1に記載の材質Aのプリズムと材質Bのプリズムとの組合せであり、2つの光の波長が、λ1=404.7nm、λ2=656.3nmである場合のna1、na2、na3、及びna4は、表1に示す通りである。
前記λ2における前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの屈折率の絶対値の差|na2−nb2|としては、異なることが必要であるが、0.005〜0.5が好ましく、0.01〜0.3がより好ましく、0.01〜0.1がより好ましい。前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの屈折率の絶対値の差|na2−nb2|が0.5を超えると、λ2の波長の光の偏向が大きくなりすぎてしまい、加工対象におけるλ2の波長の光によるスポットが真円からずれてしまう。また、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの屈折率の絶対値の差|na2−nb2|が0.005未満であると、前記λ2の波長の光は前記第1の材質のプリズムから前記第2の材質のプリズムに入射する際大きく屈折せず、加工対象における前記λ2の波長の光によるスポットが、前記λ1の波長の光によるスポットに近づきすぎてしまう。
なお、表1に記載の前記材質Aのプリズムと前記材質Bのプリズムとの組合せからなる光学部品における|na1−nb1|及び|na2−nb2|は、表2に示す通りである。
前記光学部品に用いられるプリズムの形態は、前記光学部品に前記光が入射される面が平面であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、楔形などが挙げられる。
本明細書において、前記光学部品に前記光が入射される面を「基準面」と称することがある。
前記光学部品において、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとが合わさる面の前記基準面に対する角度(以下、「プリズム接合面の角度」と称することがある。)としては、特に制限はなく、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの組合せなどに応じて適宜選択することができるが、プリズムの屈折率na及びnbが1.8程度であり、プリズムの屈折率の絶対値の差|na−nb|が0.02程度である場合は、5度〜30度が好ましく、10度〜20度がより好ましい。前記プリズム接合面の角度が5度より小さいと、前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合が小さくなり、前記加工対象に形成されるスポットが近づきすぎてしまう。また、前記プリズム接合面の角度が30度より大きいと、屈折する光の偏向が大きくなりすぎてしまい、対物レンズで集光して加工対象にスポットを形成すると収差によりスポットが真円からずれてしまう。
前記光学部品は、このようにプリズム接合面の角度を調整することで、前記一の波長の光によるスポットと、前記他の波長の光によるスポットとの距離(以下、「スポット間隔」と称することがある。)を簡単に調整できる点で好ましい。また、前記光学部品を使用した光ヘッド装置をレーザ加工装置に使用すれば、前記スポット間隔を狭くすることで、微細なレーザ加工を行なうことができる。
前記光学部品のその他の構成としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、複数の異なる材質のプリズムを合わせる際に使用する接着剤などが挙げられる。
前記光学部品の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品のプリズムより、前記一の波長では前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとにおける屈折率が略同一であり、他の波長では前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとにおける屈折率が異なる材質を選択し、これらの材質を光学接着により接着することにより製造する方法、オプティカルコンタクトにより接合することにより製造する方法などが挙げられる。
本発明の光学部品は、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとにおける、一の波長の光での屈折率が略同一であり、他の波長の光での屈折率が異なることで2つの光を分光することにより、対物レンズで集光した場合、複数のスポットを対象に形成することができる。このとき、対象に照射されるまでの光の光路と、反射光の光路とを大きく変化させないようにでき、対物レンズの光軸に対する光の入射角度を調整するのに精密な機構を必要とせず、対象におけるスポットの間隔が設定値通りになるよう調整する作業が容易であるため、後述する光ヘッド装置に好適に用いられる。
本発明の光ヘッドは、光源からの光が入射される前記光学部品と、該光学部品の透過した光を加工対象に集光させる対物レンズとを有し、必要に応じて、更にその他の構成を有する。
前記光ヘッドにおける光学部品は、前記本発明の光学部品が好適に用いられる。
前記光ヘッドは、光が入射される光学部品を1つ有するが、分光の度合が異なる光学部品を複数供え、光が入射される光学部品を切り替えることができるようにしてもよい。
その場合、前記光学部品の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数個有することが好ましく、その数が多いことがより好ましい。前記光学部品の数が多いと、種々のスポット間隔を設定することができる点で好ましい。
前記複数の光学部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記複数の異なる材質のプリズムの数、前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの組合せ、前記プリズム接合面の角度などが異なる光学部品であることが、加工対象におけるスポット間隔を種々に設定することができる点で好ましい。
前記光ヘッドにおける前記対物レンズとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記対物レンズは、前記光ヘッドにセットされる際、前記一の光の対物レンズで集光された後の光の波面収差を測定し、前記波面収差が許容限界以下になるよう対物レンズの傾きを調整することで、前記一の波長の光の光軸に対物レンズの光軸を合わせることが好ましい。また、前記光学部品の近傍に前記対物レンズを配置することで、いずれの透過光も対物レンズの中心付近を通るようにすることができる点で有利である。
なお、光の波長及びプリズムの材質が設定されていれば、前記対物レンズの焦点距離を設定しておくことにより、スポット間隔を、前記プリズム接合面の角度により定めることができる。
前記光ヘッドにおける前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、入射される光の光軸に対する光学部品の角度を変更する制御手段、複数の光学部品を有する場合、それらの光学部品を前記基準面を底面として平面上に固定配置する固定手段、前記固定手段を移動させ光が入射される光学部品を変更させる移動手段、前記固定手段の入射される光の光軸に対する前記基準面の角度を変化させる角度制御手段などが挙げられる。前記光ヘッドにおいては、複数の光学部品を有する場合、これらの手段の少なくとも1つを有していることが好ましく、全てを有していることがより好ましい。
前記制御手段は、前記入射される光の光軸に対する光学部品の角度を制御する手段である。
前記光学部品に入射される光の角度を制御する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記入射される光の光軸に対して垂直な軸回りに前記光学部品を回転させることにより制御する方法、円弧状になっているレール上を、前記光学部品を移動させることにより制御する方法などが挙げられる。
前記制御手段において前記入射される光の光軸に対する光学部品の角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−6度〜6度が好ましく、−4度〜4度がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、対物レンズの光軸からの光の光軸のずれを微量にして、複数のスポットのスポット間隔を微量に調整することができる。
前記制御手段の制御方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手動で行う方法、自動で行う方法などが挙げられる。これらの中でも、自動で行う方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記自動で行う方法としては、特に制限はなく、公知の手法などを使用することができことができ、例えば、光学部品を取り付けた回転体又は移動体に、モータの回転駆動が伝わる構成とし、モータの回転により回転又は移動を行う方法などが挙げられる。
前記光ヘッドにおける、前記制御手段の数としては、通常1つでよいが、前記光学部品の数などに応じて適宜増やしてもよい。なお、前記光学部品を複数有する場合、それらは単独で制御されてもよいし、複数個が同時に制御されてもよい。
前記光ヘッドは、前記制御手段を有することにより、簡便に前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合を簡便に調整し、スポット間隔を変更することができる点、角度変更が高精度である必要がなく装置のコストがかからない点で好ましい。なお、前記制御手段は、スポット間隔を微量に変化させる場合に好適に用いられる。
前記固定手段は、前記複数の光学部品を、前記基準面を底面として平面上に固定配置させる手段である。
前記固定手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円盤状のテーブル、ドラム状の固定治具、直線状に移動する移動体などが好ましい。これらは1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
前記固定手段の固定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光学部品の端を固定治具に接着剤で固定する方法、光学部品を固定治具に形成した爪にはめ込む方法などが挙げられる。
前記固定手段の数としては、通常は1つでよいが、前記光学部品の数などに応じて適宜増やしてもよい。
前記移動手段は、前記固定手段を移動させ、前記光が入射される前記複数の光学部品の少なくとも1つの光学部品を変更させる手段である。
前記移動手段の機構としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記固定手段が、直線状に移動する前記円盤状のテーブルや前記ドラム状の固定治具である場合は、これらをモータの回転駆動などで回転させることにより移動させる機構、前記固定手段が移動体である場合は、前記移動体をモータの回転駆動を直線駆動に変換して移動させる機構などが挙げられる。
これにより、前記固定手段の異なる位置に配置された、前記複数の光学部品、好ましくは、前記プリズム接合面の角度が異なる複数の光学部品のうち、前記光が入射される一の光学部品を変更することができる。
前記移動手段の制御方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手動で行う方法、自動で行う方法などが挙げられる。これらの中でも、自動で行う方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記自動で行う方法としては、特に制限はなく、公知の手法などを使用することができことができ、例えば、前述の通り、モータの回転駆動を用いる方法などが挙げられる。
前記移動手段の数としては、通常1つであるが、前記固定手段の数に合わせて適宜増やすことができる。前記移動手段を複数有する場合、前記移動手段は、単独で移動されてもよいし、複数個が同時に移動されてもよい。
前記光ヘッドは、前記移動手段を有することにより、光が入射する光学部品を変更し、簡便に前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合を簡便に調整して、スポット間隔を変更することができる点で好ましい。なお、前記移動手段は、スポット間隔を大きく変化させる場合に好適に用いられる。
前記角度制御手段は、前記固定手段の前記光の光軸に対する前記基準面の角度を変化させる手段である。
前記角度制御手段において前記基準面の前記光の光軸に対する角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−6度〜6度が好ましく、−4度〜4度がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、対物レンズの光軸からの光の光軸のずれを微量にして、複数のスポットのスポット間隔を微量調整することができる。
前記角度制御手段の制御方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手動で行う方法、自動で行う方法などが挙げられる。これらの中でも、自動で行う方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記自動で行う方法としては、特に制限はなく、公知の手法などを使用することができことができ、例えば、固定手段を取り付けた回転体又は移動体に、モータの回転駆動が伝わる構成とし、モータの回転により回転又は移動を行う方法などが挙げられる。
前記角度制御手段の数としては、通常1つでよいが、前記固定手段の数に合わせて適宜増やしてもよい。なお、前記固定手段を複数有する場合、それらは単独で制御されてもよいし、複数個同時に制御されてもよい。
前記光ヘッドが前記角度制御手段を有することにより、前記固定手段に配置された前記複数の光学部品の、前記入射される光の光軸に対する角度を同時に変更できる点で好ましい。また、前記光ヘッドは、前記角度制御手段を有することにより、簡便に前記一の波長の光と、前記他の波長の光との分光の度合を簡便に調整し、スポット間隔を変更することができる点、角度変更が高精度である必要がなく、装置のコストがかからない点で好ましい。なお、前記角度制御手段は、前記移動手段とともに用いられることにより、スポット間隔を大きく変化させることができるとともに、微量に変化させることも可能になる点で好ましい。
本発明の光ヘッド装置は、前記光ヘッドを有し、必要に応じて、更にその他の構成を有する。前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光を照射する光源などが挙げられる。
前記光源としては、特に制限はなく、光ヘッド装置が使用される装置の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザ光源、LED(Light Emitting Diode)光源、有機EL(Electro Luminescence)などが挙げられるが、光ヘッド装置がレーザ加工装置に使用される場合は、レーザ光源が用いられる。
前記光学部品は、一の波長の光と、他の波長の光とを分光する目的で用いられるため、複数のレーザ光源より出射されるレーザ光を合成して、複数の波長の光を含むレーザ光を作成することが必要となる。
前記複数の波長の光の数としては、特に制限はなく、前記対象に形成するスポットの数により決めることができる。
前記複数の波長の光の波長としては、特に制限はなく、前記光学部品が有する前記第1の材質のプリズムと、前記第2の材質のプリズムとの組合せ、前記プリズム接合面の角度などに応じて適宜選択することができるが、前記表1に示した材質Aのプリズムと、材質Bのプリズムとの組合せである場合、前記一の波長の光が400±100nm以内であり、前記他の波長の光が400±100nm超え700±180nm以内であることが好ましい。前記一の波長が400±100nmを超えると、2つの材質のプリズムにおける屈折率の差が大きくなってしまうため、直進させるように設定した光の直進方向からのずれが大きくなり、前記他の波長が700±180nmを超えると2つの材質のプリズムにおける屈折率の差が小さすぎる又は大きすぎるため、屈折させるよう設定した光の偏向方向が小さすぎる又は大きすぎてしまう。
前記複数のレーザ光において、前記光学部品への各レーザ光の入射角度の絶対値の差としては、小さいほどよいが、後述するθ4の角度の、1/5以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。1/5を超えると、設定通りのスポット間隔にすることが困難なことがある。
本発明の光ヘッド装置は、光路上の光学素子を大きくすることなく光源から照射された光の光路と、該光の反射光の光路とを大きく変化させないようにでき、対物レンズに対する光の光軸位置を調整するために精密な機構を必要とせず、スポット間隔が設定値通りになるよう調整する作業が容易であり、スポット間隔を自動で変更する機構を設けても装置のコストが増大することがないため、レーザ加工装置以外に、対象に複数のレーザスポットを形成する用途がある装置においても好適に用いられる。例えば、光ディスクの初期化装置や光ディスクのBCAマーク記録装置において好適に用いられる。
図2が示すように、光の波長がλ1においては、第1の材質のプリズム1と、第2の材質のプリズム2との屈折率が略同一であり、光の波長がλ2においては第1の材質のプリズム1と、第2の材質のプリズム2との屈折率が異なる。したがって、図1に示すように、第1の材質のプリズム1及び第2の材質のプリズム2を有する光学部品に、前記λ1の波長の光と、前記λ2の波長の光とを、前記光学部品の基準面4に対して垂直入射させた場合、前記λ1の波長の光は直進し、前記λ2の波長の光は屈折する。
図4を見るとわかるように、前記光学部品において、第1の材質のプリズム1と、第2の材質のプリズム2とが合わさる面3の基準面4に対する角度、即ちθ1が大きくなるほど、θ3及びθ4が大きくなり、前記λ1の波長の光によりレーザスポットと、前記λ2の波長の光によるレーザスポットとの間隔は大きくなる。そしてθ1が定まれば、θ2〜θ4が全て定まるので、加工対象と、対物レンズとの焦点距離を設定すれば、レーザスポットの間隔は、第1の材質のプリズム1と、第2の材質のプリズム2とが合わさる面3の基準面4に対する角度(プリズム接合面の角度)により定めることができ、逆に設定したいレーザスポット間隔により、プリズム接合面の角度を定めることができる。
なお、この後、全てのレーザ光Lのうち、前記光学部品を直進するレーザ光が、対物レンズの光軸に対して平行に対物レンズに入射するように、対物レンズの傾きを調整する。これには、前記光学部品を直進するレーザ光が、対物レンズにより集光した後のレーザ光をコリメーティングレンズで平行光にし、この平行光の波面収差(コマ収差)が許容限界以下になるように対物レンズの傾きを調整することにより行われる。詳細は、WO2005/109420号公報に記載されている。
図6を見るとわかるように、前記光学部品への前記λ1の波長の光及び前記λ2の波長の光の入射角度(θ5)を変化させることで、レーザスポット間隔を変化させることができるが、θ5が変化してもθ11の変化は小さい。これより、θ5を変化させることにより、前記λ1の波長の光及び前記λ2の波長の光によるレーザスポット間隔を微量に変化させることができる。
また、本発明による光学部品、該光学部品を有する光ヘッド、及び該光ヘッドを有する光ヘッド装置は、レーザ加工装置以外に、光ディスクに複数のレーザスポットを形成する装置などにも使用することができる。
また、本発明による光学部品は、一の波長の光を直進させ、他の波長の光を屈折させる目的であれば、光ヘッド装置以外のどのような装置に用いてもよい。
光学部品に用いるプリズムとして、硝材を用いた。即ち、図1に示す、第1の材質のプリズム1としてはS−LAH53(Ohara社製)、第2の材質のプリズム2としてはS−TIH23(Ohara社製)を用いて、光学接着剤により接合することにより光学部品を製造した。S−LAH53及びS−TIH23の、波長404.7nm(λ1)のレーザ光及び波長656.3nm(λ2)のレーザ光におけるそれぞれの屈折率を表3に示す。
実施例1の光学部品において、S−LAH53からなるプリズム1とS−TIH23からなるプリズム2とが合わさる面3(図4)の基準面4に対する角度θ1を、10度〜30度の範囲で、表4に示すように変化させた。これらの光学部品に、波長404.7nmのレーザ光及び波長656.3nmのレーザ光を基準面4に対して垂直入射させた。
図4において、λ2が波長656.3nmのレーザ光を示す。θ1がそれぞれの角度のときの、θ3〜θ4及び前記光学部品における基準面4に対して垂直入射した波長656.3nmのレーザ光により加工対象に形成されるレーザスポットと、波長404.7nmのレーザ光により加工対象に形成されるレーザスポットとの間隔を、表4に示す。なお、表4において、波長404.7nmのレーザ光及び波長656.3nmのレーザ光が入射する対物レンズの焦点距離は1mmとした。
実施例1の光学部品において、S−LAH53からなるプリズム1とS−TIH23からなるプリズム2とが合わさる面3(図6)の基準面4に対する角度は13.16度とし、前記光学部品を制御手段により傾けることで、波長404.7nmのレーザ光及び波長656.3nmのレーザ光の前記光学部品への入射角度を、−10度〜10度の範囲で、表5に示すように変化させた。θ5は、前記光学部品の回転角度を示す。
図6において、θ5がそれぞれの角度のときの、θ6〜θ11及び前記光学部品に入射した波長656.3nmのレーザ光により加工対象に形成されるレーザスポットと、波長404.7nmのレーザ光により加工対象に形成されるレーザスポットとの間隔を、表5に示す。なお、表5において、波長404.7nmのレーザ光及び波長656.3nmのレーザ光が入射する対物レンズの焦点距離は1mmとした。
また、本発明の光ヘッド装置は、加工対象に照射されるまでの光の光路と、反射光の光路とを大きく変化させないようにして光路上の光学素子を大きくする必要がないようにでき、対物レンズに対する光の光軸位置を調整するために精密な機構を必要とせず、加工対象におけるスポット間隔が設定値通りになるよう調整する作業が容易であり、スポット間隔を自動で変更する機構を設けても装置のコストが増大することがないため、レーザ加工装置に好適に利用可能である。また、光ディスクの初期化装置や光ディスクのBCAマーク記録装置のように対象に複数のレーザスポットを形成する用途がある装置においても好適に利用可能である。
2 第2の材質のプリズム
3 第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとが合わさる面
4 基準面
5 光ヘッド
6 オートコリメータ
7 モニタ
8 光ヘッドセット用治具
L レーザ光
Claims (5)
- 少なくとも2つの異なる材質のプリズムを合わせた光学部品であって、第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとにおける、一の波長の光での屈折率が略同一であり、他の波長の光での屈折率が異なることを特徴とする光学部品。
- 光源からの光が入射される請求項1に記載の光学部品と、該光学部品を透過した光を加工対象に集光させる対物レンズとを有することを特徴とする光ヘッド。
- 入射される光の光軸に対する光学部品の角度を制御する制御手段を有する請求項2に記載の光ヘッド。
- 光が入射される光学部品であって、前記光学部品に前記光が入射される面が平面であり、前記光学部品に前記光が入射される面に対する前記第1の材質のプリズムと、第2の材質のプリズムとが合わさる面の角度が互いに異なる光学部品、及び、前記第1の材質及び第2の材質が互いに異なる光学部品の少なくともいずれかを複数有し、
前記光が入射される面を底面として平面上に固定配置させる固定手段と、
前記固定手段を移動させ、前記光が入射される前記複数の光学部品の少なくとも1つの光学部品を変更させる移動手段、及び、前記光の光軸に対する前記光が入射される面の角度を変化させる角度制御手段の少なくともいずれかを有する請求項2から3のいずれかに記載の光ヘッド。 - 請求項2から4のいずれかに記載の光ヘッドを有することを特徴とする光ヘッド装置。
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