JP2011094535A - 車載ディーゼル機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動始動時における始動時間の増長を抑制しつつ、自動停止の実行機会を増大することのできる車載ディーゼル機関の制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置5は、機関運転中に所定の自動停止条件が成立することをもって機関1の自動停止を行う一方、当該自動停止中に所定の自動始動条件が成立することをもって機関1の自動始動を行う。そして、機関運転中にそのときの機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における着火時間を推定するとともに、推定される着火時間が着火判定値よりも大きくなると判断される場合に、機関1の自動停止を禁止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、機関運転中に所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止を行う一方、当該自動停止中に所定の自動始動条件が成立することをもって機関の自動始動を行う車載ディーゼル機関の制御装置に関する。
この種の車載ディーゼル機関の制御装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の技術も含めて、従来一般の車載ディーゼル機関の制御装置においては、燃費節減等を目的として、車両が停止しており、ブレーキペダルが踏み込まれており、且つアクセルペダルが踏み込まれていないといった所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止を行うようにしている。また、機関の自動停止中において、ブレーキペダルの踏み込みが解除されるといった所定の自動始動条件が成立することをもって機関の自動始動を行うようにしている。
特開2006‐307866号公報
ところで、例えば機関が低温状態のときに自動停止が行われると、同自動停止後の自動始動時においても機関が低温状態であるために始動に長い時間を要することとなり、運転者に不快感を与えるおそれがある。これに対して、こうした状況を予測すべく、例えば機関運転中において機関冷却水温度が所定温度以下のときに、自動停止を禁止することが考えられる。しかしながらこの場合、車両の外部環境等によっては、機関冷却水温度が上記所定温度以下のときであっても、実際には、機関の自動始動時において、始動に長い時間を要しない場合がある。そのため、こうした場合にまで機関冷却水温度が上記所定温度以下であることをもって機関の自動停止を一律に禁止することとすれば、機関の自動停止の実行機会が不要に制限されるといった問題が生じる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動始動時における始動時間の増長を抑制しつつ、自動停止の実行機会を増大することのできる車載ディーゼル機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、機関運転中に所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止を行う一方、当該自動停止中に所定の自動始動条件が成立することをもって機関の自動始動を行う車載ディーゼル機関の制御装置において、機関運転中にそのときの機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における着火時間を推定する着火時間推定手段と、前記着火時間推定手段により推定される前記着火時間が着火判定値よりも大きくなると判断される場合に機関の自動停止を禁止する自動停止禁止手段と、を備えることをその要旨としている。
同構成によれば、機関運転中に、将来、機関の自動停止を行うと仮定した場合に、その後の自動始動時に、筒内の混合気の着火時間、すなわち筒内への燃料噴射が行われてから筒内の混合気の着火に伴う圧力上昇が生じるまでに要する時間が機関運転状態に基づいて推定される。そして、こうして推定される着火時間が着火判定値よりも大きくなると判断された場合には、すなわち、自動始動時に着火時間が長くなることに起因して始動に長い時間を要する可能性が高いと判断された場合には、機関の自動停止を禁止して始動時間の増長を未然に回避し、推定される着火時間が着火判定値以下となると判断される場合に限り、所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止が行われるようになる。従って、自動始動時における始動時間の増長を抑制しつつ、自動停止の実行機会を増大することができるようになる。
尚、ここでの着火判定値としては、当該自動始動時に筒内に燃料噴射が行われてから同筒内のピストンが上死点に移動するまでに要する時間よりも短い時間が設定される。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度及び筒内圧力を推定するとともに、これらの推定値に基づいて前記着火時間を推定することをその要旨としている。
ディーゼル機関にあっては、自動始動時における筒内温度が低いときほど、また筒内圧力が低いときほど、筒内の混合気が着火しにくくなり、着火時間は長くなる。上記構成によれば、将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度及び筒内圧力の推定値に基づいて着火時間を推定するようにしていることから、着火時間を的確に推定することができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関冷却水温度に基づいて前記着火時間を推定することをその要旨としている。
機関運転中の機関冷却水温度が低いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内温度は低くなり、同筒内温度が低いときほど、自動始動時における筒内温度は低くなる。そして、自動始動時における筒内温度が低いときほど、着火時間は長くなる。上記構成によれば、機関運転中の機関冷却水温度に基づいて着火時間を推定するようにしていることから、着火時間の推定を精度良く行うことができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記着火時間推定手段は、機関運転中の外気温度に基づいて前記着火時間を推定することをその要旨としている。
機関運転中の外気温度が低いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内温度は低くなり、同筒内温度が低いときほど、自動始動時における筒内温度は低くなる。そして、自動始動時における筒内温度が低いときほど、着火時間は長くなる。上記構成によれば、機関運転中の外気温度に基づいて着火時間を推定するようにしていることから、着火時間の推定を精度良く行うことができるようになる。
また、機関運転中の外気温度が高い場合であっても、機関冷却水温度が低い場合には高い場合に比べて、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内温度は低くなり、自動始動時における筒内温度は低くなる。そこで、請求項2に記載の発明に対して、請求項3に記載の発明を適用すれば、機関運転中の機関冷却水温度と外気温度との双方に基づいて着火時間が推定されることから、着火時間の推定を一層精度良く行うことができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記着火時間推定手段は、機関運転中の大気圧に基づいて前記着火時間を推定することをその要旨としている。
機関運転中の大気圧が低いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内圧力は低くなり、同筒内圧力が低いときほど、自動始動時における筒内圧力は低くなる。そして、自動始動時における筒内圧力が低いときほど、着火時間は長くなる。上記構成によれば、機関運転中の大気圧に基づいて着火時間を推定するようにしていることから、着火時間の推定を精度良く行うことができるようになる。
また、自動始動時における筒内圧力が低い場合であっても、自動始動時における筒内温度が高い場合には低い場合に比べて、着火時間は短くなる。そこで、請求項2又は請求項3に記載の発明に対して、請求項3に記載の発明を適用すれば、機関運転中の機関冷却水温度及び外気温度の少なくとも一方と大気圧との双方に基づいて着火時間が推定されることから、着火時間の推定を一層精度良く行うことができるようになる。特に、機関運転中の機関冷却水温度、外気温度、及び大気圧に基づいて着火時間を推定することとすれば、着火時間の推定をより一層精度良く行うことができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における機関ピストンの移動速度を推定し、同機関ピストンの移動速度が大きいときほど前記着火判定値を小さく設定する着火判定値設定手段を備えることをその要旨としている。
自動始動時において燃料噴射が行われてから機関ピストンが上死点に移動するまでに要する時間は、機関ピストンの移動速度が大きいときほど短くなる。また、機関ピストンの移動速度は自動始動時における機関運転状態によって異なる。これらのことから、自動始動時における着火時間は、機関ピストンの移動速度が大きいときほど短くなる必要がある。従って、着火判定値を機関ピストンの移動速度に依らず固定値とした場合には、機関ピストンの移動速度が基準速度よりも小さい場合、或いは大きい場合には、推定される着火時間を的確に評価することができなくなるといった問題が生じる。この点、上記構成によれば、自動始動時における機関ピストンの移動速度を推定し、この推定値が大きいときほど着火判定値が小さく設定されることから、着火判定値を適切な値に設定することができ、自動始動時における着火時間を的確に評価することができるようになる。
(7)請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、自動始動時に、主燃料噴射時の筒内温度を上昇させるべく同主燃料噴射に先立ちパイロット燃料噴射を行うものであり、前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき前記着火時間を推定するに際して、前記パイロット燃料噴射による筒内温度の上昇分を加味することをその要旨としている。
ディーゼル機関においては、自動始動時に、主燃料噴射時の筒内温度を上昇させる目的で同主燃料噴射に先立ちパイロット噴射を行うものがある。上記構成によれば、機関運転中の機関運転状態に基づき着火時間を推定するに際して、パイロット噴射による筒内温度の上昇分を加味するようにしていることから、着火時間の推定を精度良く行うことができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記着火時間推定手段により推定される前記着火時間が前記着火判定値以下となると判断される場合には、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における始動時間を推定する始動時間推定手段を備え、前記自動停止禁止手段は、前記始動時間推定手段により推定される前記始動時間が始動判定値よりも大きくなると判断される場合に機関の自動停止を禁止することをその要旨としている。
自動始動時における着火時間が着火判定値以下となると判断される場合であっても、機関始動直前における機関運転状態によっては、自動始動時における始動時間が長くなり、運転者に不快感を与えることがある。この点、上記構成によれば、着火時間が着火判定値以下となると判断される場合に、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動直前における機関運転状態が推定される。また、こうして推定される自動始動直前における機関運転状態に基づき自動始動時における始動時間が推定される。そして、こうして推定される始動時間が始動判定値よりも大きくなると判断された場合には、機関の自動停止を禁止して始動時間の増長を未然に回避し、推定される始動時間が始動判定値以下となる場合に限り、所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止が行われるようになる。従って、自動始動時における始動時間の増長を一層抑制しつつ、自動停止の実行機会を増大することができるようになる。
尚、ここでの始動判定値としては、例えば自動始動の際に平均的な運転者が不快に感じ始める時間よりも短い値を採用することができる。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、前記始動時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量を推定するとともに、この推定値に基づき前記始動時間を推定することをその要旨としている。
自動始動時における燃料噴射量が多いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、自動始動時における機関回転速度の上昇量が大きくなり、始動時間が短くなる。上記構成によれば、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量を推定するとともに、この推定値に基づき始動時間を推定するようにしていることから、これを精度良く行うことができるようになる。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、自動始動時に、主燃料噴射時の筒内温度を上昇させるべく同主燃料噴射に先立ちパイロット燃料噴射を行うものであり、前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき、自動始動時に前記主燃料噴射のみを行うと仮定した場合における前記着火時間である第1着火時間を推定するとともに、自動始動時に前記主燃料噴射及び前記パイロット燃料噴射の双方を行う場合における前記着火時間である第2着火時間を推定するものであり、前記着火時間推定手段により推定される前記第1着火時間がこれに対応する第1着火判定値以下となると判断される場合には、前記第2着火時間とこれに対応する第2着火判定値との比較を行うことなく、前記始動時間推定手段を通じて前記始動時間を推定することをその要旨としている。
上述したように、パイロット燃料噴射を行う構成にあっては、同パイロット燃料噴射を行わない構成に比べて、主燃料噴射時の筒内温度は高くなる。このことから、自動始動時に主燃料噴射のみを行うと仮定した場合の第1着火時間がこれに対応する第1着火判定値以下となる場合には、自動始動時に主燃料噴射及びパイロット噴射の双方を行う場合の第2着火時間もこれに対応する第2着火判定値以下となる可能性が高い。また、主燃料噴射及びパイロット燃料噴射の双方を行う場合の第2着火時間と第2着火判定値との比較を行う場合には、その分だけ、制御処理が複雑なものとなる。この点、上記構成によれば、第1着火時間がこれに対応する第1着火判定値以下となると判断される場合には、第2着火時間とこれに対応する第2着火判定値との比較が行われないことから、不要な制御処理を割愛することができ、制御処理全体を簡易なものとすることができるようになる。
尚、主燃料噴射及びパイロット噴射の双方を行う構成にあっては主燃料噴射のみを行う構成に比べて着火時間が短くなることを考慮して、第2着火判定値を第1着火判定値よりも短くするといった着火判定値の設定態様を採用することができる。
本発明の一実施形態に係るディーゼル機関の制御装置について、その概略構成を示す概略構成図。 同実施形態における自動停止制御の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態における自動停止禁止フラグの設定制御についてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態における着火時間推定処理の処理手順を示すフローチャート。 自動始動時の圧縮行程において上死点近傍における筒内温度と着火時間との関係を示すグラフ。 同実施形態における始動時間推定処理の処理手順を示すフローチャート。 自動始動時における燃料噴射量とそれによる機関回転速度の上昇量との関係を示すグラフ。
以下、図1〜図7を参照して、本発明に係る車載ディーゼル機関の制御装置を、車両に搭載される直列4気筒ディーゼル機関の制御装置として具体化した一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の直列4気筒ディーゼル機関(以下、「機関」)1及びこれを制御する制御装置としての電子制御装置5の概略構成を示す。尚、同図においては、1つの気筒の縦断面構造を模式的に示している。
同図に示すように、機関1は、機関本体10、同機関本体10に吸気を供給する吸気通路2、及び同機関本体10から排気を排出する排気通路3を備えている。
吸気通路2には、吸気上流側から順に、吸気に含まれる異物を濾過するためのエアクリーナ21及び吸気を調量するためのスロットルバルブ22が設けられている。
機関本体10は、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12を備えている。シリンダブロック12には、複数の気筒13が設けられており、同気筒13の内部(以下、筒内)には、ピストン14が往復動可能に設けられている。気筒13の内周面、ピストン14の頂面、及びシリンダヘッド11においてピストン14の頂面に対向する面によって、燃焼室15が形成される。燃焼室15には、吸気通路2が接続されるとともに、排気通路3が接続されている。また、吸気通路2と燃焼室15との間には、これらの連通及び遮断を行うための吸気バルブ(図示略)が設けられている。また、排気通路3と燃焼室15との間には、これらの連通及び遮断を行うための排気バルブ(図示略)が設けられている。
シリンダヘッド11には、燃焼室15内に燃料を噴射供給するための燃料噴射弁16が設けられている。
ピストン14には、コネクティングロッド(図示略)を介して機関出力軸であるクランクシャフト17が駆動連結されている。また、機関始動時にクランキングを行うための電動モータからなるスタータ41及び同スタータ41に給電するためのバッテリ42が設けられている。
機関1には、冷却水を流通させるための冷却水通路が設けられており、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12に形成されるウォータジャケット18は、この冷却水通路の一部を構成している。
こうした構成を備える機関1において、排気バルブが閉弁されている状態において、ピストン14が下動するとともに吸気バルブが開弁することで、吸気通路2を通じて燃焼室15内に吸気が供給される(吸気行程)。その後、吸気バルブが閉弁するとともにピストン14が上動することで吸気が圧縮されたところに燃料噴射弁16から燃料が噴射供給されると、吸気と燃料とが混合して混合気となる。そして、ピストン14が更に上動することにより混合気が圧縮されて、その温度及び圧力が更に上昇すると、混合気が自己着火することで燃焼が開始する(圧縮行程)。その後、混合気の燃焼に伴い圧力上昇が生じると、ピストン14が下動することで、ピストン14に駆動連結されているクランクシャフト17が回転駆動される(膨張行程)。その後、排気バルブが開弁されるとともにピストン14が上動することで、燃焼後の混合気、すなわち排気が排気通路3に排出される(排気行程)。
車両には、マイクロコンピュータを有して構成される電子制御装置5が設けられている。電子制御装置5により、機関1の燃料噴射制御等の機関制御を含む各種制御が行われる。電子制御装置5には、機関1又は車両に設けられた以下の各種センサ51〜62からの検出信号が入力される。
(51)クランクシャフト17の近傍に設けられて、クランクシャフト17の回転速度である機関回転速度NEを検出する機関回転速度センサ51
(52)シリンダヘッド11に設けられて、機関1の冷却水の温度(以下、「冷却水温ThW」)を検出する水温センサ52
(53)吸気通路2においてエアクリーナ21とスロットルバルブ22との間、より詳しくはエアクリーナ21寄りに設けられて、エアクリーナ21を通過した直後の吸気の温度である外気温ThSを検出する外気温センサ53
(54)吸気通路2においてエアクリーナ21とスロットルバルブ22との間、より詳しくはエアクリーナ21寄りに設けられて、吸気量GAを検出する吸気量センサ54
(55)吸気通路2においてエアクリーナ21とスロットルバルブ22との間、より詳しくはスロットルバルブ22寄りに設けられて、スロットルバルブ22を通過する吸気の温度である吸気温ThAを検出する吸気温センサ55
(56)スロットルバルブ22の近傍に設けられて、スロットルバルブ22の開度であるスロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ56
(57)吸気通路2においてスロットルバルブ22の下流側に設けられて、吸気の圧力である吸気圧PMを検出する吸気圧センサ57
(58)機関始動指令及び機関停止指令を切り替えるイグニッションスイッチ58
(59)アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度ACCPを検出するアクセル開度センサ59
(60)ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキスイッチ60
(61)車両の走行速度である車速Vを検出する車速センサ61
(62)変速機(図示略)のシフトポジションSHIFTを検出するシフトポジションセンサ62
また、電子制御装置5には、バッテリ電圧Vbatt等の各種情報が入力される。
電子制御装置5は、イグニッションスイッチ58が「OFF」から「ON」に操作され(以下、「ON操作」)、機関始動指令が出力されると、スタータ41への通電を行って同スタータ41を駆動し、燃料噴射弁16からの燃料噴射を行うことで、機関1の始動制御を行う。また、イグニッションスイッチ58が「ON」から「OFF」に操作され(以下、「OFF操作」)、機関停止指令が出力されると、燃料噴射弁16からの燃料噴射を停止することで、機関1の停止制御を行う。
更に、電子制御装置5は、燃費節減等を目的として、イグニッションスイッチ58のOFF操作が行われていなくとも所定の自動停止条件が成立すると、機関1に対して機関停止指令が出力されたとして燃料噴射弁16からの燃料噴射を停止することで、機関1を自動停止する自動停止制御を行う。
また、機関1の自動停止中においてイグニッションスイッチ58のON操作が行われていなくとも所定の自動始動条件が成立したときには、機関1に対して機関始動指令が出力されたとしてスタータ41への通電を行うことで、機関1を自動始動する自動始動制御を行う。
また、機関1の燃料噴射制御では、圧縮行程の後期にメイン噴射を行うほか、同メイン噴射時における筒内温度ThCを上昇させる目的から、圧縮行程においてメイン噴射の前にパイロット噴射が行われる。
ところで、前述したように、例えば機関1が低温状態のときに自動停止が行われると、その後の自動始動時においても機関1が低温状態であるために始動に長い時間を要することとなり、運転者に不快感を与えるおそれがある。これに対して、こうした状況を予測すべく、例えば機関運転中において冷却水温ThWが所定温度以下のときに、自動停止を禁止することが考えられる。しかしながらこの場合、車両の外部環境等によっては、冷却水温ThWが上記所定温度以下のときであっても、実際には、機関1の自動始動時において、始動に長い時間を要しない場合がある。そのため、こうした場合にまで冷却水温ThWが上記所定温度以下であることをもって機関1の自動停止を一律に禁止することとすれば、機関1の自動停止の実行機会が不要に制限されるといった問題が生じる。
そこで、本実施形態では、機関運転中にそのときの機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における着火時間を推定するとともに、推定される着火時間が着火判定値よりも大きくなると判断される場合に機関1の自動停止を禁止するようにしている。これにより、自動始動時における始動時間の増長を抑制しつつ、自動停止の実行機会の増大を図るようにしている。
図2〜図7を参照して、本実施形態の自動停止制御について説明する。
まず、図2のフローチャートを参照して、自動停止制御の処理手順について説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、機関運転中に、所定周期毎に実行される。
本実施形態の自動停止制御では、自動停止禁止フラグFが「OFF」のときに限り、自動停止条件の成否を判断する処理に移行するようにしている。
同図に示すように、この一連の処理では、まず、自動停止禁止フラグFが「OFF」であるか否かを判断する(ステップS11)。尚、自動停止禁止フラグFの設定制御については後に詳述する。ここで、自動停止禁止フラグFが「OFF」ではない場合(ステップS11:「NO」)、すなわち自動停止禁止フラグFが「ON」である場合には、この一連の処理を一旦終了する。
一方、自動停止禁止フラグFが「OFF」である場合には、次に、自動停止条件が成立しているか否かを判断する(ステップS12)。ここでは、例えば以下に示す(a)〜(d)の各条件が成立しているか否かに応じて、自動停止条件が成立しているか否かを判断する。
(a)シフトポジションSHIFTがニュートラルポジション又はドライブポジションである。
(b)車速Vが所定値以下である。
(c)アクセル開度ACCPが「0」である。
(d)ブレーキペダルが踏み込まれている。
そして、ステップS12の判断処理において、(a)〜(d)の条件が全て成立している場合には、自動停止条件が成立していると判断して(ステップS12:「YES」)、次に、機関1の自動停止を実行して(ステップS13)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、ステップS12の判断処理において、(a)〜(e)の条件のいずれか一つでも成立していない場合には、自動停止条件が成立していないと判断して(ステップS12:「NO」)、この一連の処理を一旦終了する。
次に、図3〜図7を参照して、自動停止禁止フラグの設定制御について説明する。
図3は、自動停止禁止フラグの設定制御の処理手順を示すフローチャートである。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、機関運転中に、所定周期毎に実行される。
同図に示すように、この一連の処理では、まず、着火時間推定処理を行う(ステップS21)。この処理は、図3に示す一連の処理の直後に、機関1の自動停止を行うと仮定した場合に、同自動停止後の自動始動時における筒内の混合気の着火時間を、現在の機関運転状態に基づき推定するためのものである。
ここで、図4及び図5を参照して、着火時間推定処理について説明する。
図4は、着火時間推定処理の処理手順を示すフローチャートである。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、図3に示す一連の処理において、ステップS21に移行する度に実行される。
図5は、自動始動時の圧縮行程において上死点近傍における筒内温度ThC2と着火時間tigとの関係を示すグラフである。尚、同図において、実線は、自動始動時の圧縮行程において上死点近傍における筒内圧力PC2が第1所定圧のときの関係を示すものであり、破線は、筒内圧力PC2が第1所定圧よりも大きい第2所定圧のときの関係を示すものである。
図4に示すように、この一連の処理では、まず、現在の冷却水温ThW、外気温ThS、及び吸気圧PMを読み込む(ステップS211)。そして、次に、読み込んだ冷却水温ThW及び外気温ThSに基づき、図3に示す一連の処理の直後に自動停止を行うと仮定し、同自動停止後から所定期間Δtが経過した後における筒内温度ThC1を推定する(ステップS212)。本実施形態では、自動停止が行われてから自動始動が行われるまでの期間に上限値を設けているが、上記所定期間Δtとしてその上限値(最大値)を採用している。すなわちここでは、自動停止が行われた後、許容され得る最も遅いタイミングにて自動始動が行われる場合において同自動始動の直前における筒内温度ThC1を推定する。また、本実施形態では、冷却水温ThW及び外気温ThSと、上記所定期間Δt経過後における筒内温度ThC1との関係を規定したマップを通じて同筒内温度ThC1を推定する。同マップは、吸気通路2、シリンダヘッド11、及びシリンダブロック12の形状や材質等の諸元が異なる機関1毎に各別に設定されるものであり、予め実験等により求められている。具体的には、冷却水温ThWが高いときほど、また外気温ThSが高いときほど、筒内温度ThC1が大きくなるように設定されている。
そして、次に、同筒内温度ThC1とステップS211において読み込んだ吸気圧PMとに基づき、以下の理想気体の状態方程式(1)を用いて、自動始動時に燃焼室15内に存在する空気量mを推定する(ステップS213)。すなわち、自動始動時において燃焼に供される空気量mを推定する。

PM × V = m × R × ThC1 ・・・(1)

ここで、体積「V」は、1つの気筒の容積であり、「R」は気体定数である。
そして、次に、推定した筒内温度ThC1と空気量mとに基づき、周知の熱力学方程式(断熱圧縮)から、自動始動時における圧縮上死点近傍での筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2を推定する(ステップS214)。ここでは、筒内温度ThC1が高いときほど、また空気量mが多いときほど、筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2が大きく推定される。
そして、次に、自動始動時に燃料噴射弁16からメイン噴射のみを行った場合における着火時間(以下、「第1着火時間」)tig1を、筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2に基づき推定する(ステップS215)。
図5に示すように、筒内圧力PCが同一であれば、筒内温度ThC2が高いときほど着火時間tigは短くなる。また、筒内温度ThCが同一であれば、筒内圧力PCが高いときほど着火時間tigは短くなる。これらのことから、筒内圧力PC2毎に、筒内温度ThC2と第1着火時間tig1との図5に示す関係を規定した式を用いて、第1着火時間tig1を推定する。尚、図5に示す関係は、諸元の異なる機関1毎に行われる実験を通じて予め求められている。
そして、次に、自動始動時に燃料噴射弁16からパイロット噴射及びメイン噴射を行った場合における着火時間(以下、「第2着火時間」)tig2を、筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2に基づき推定する(ステップS216)。ここでは、筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2に基づき第2着火時間tig2を推定するに際して、パイロット噴射による筒内温度ThCの上昇分ΔThCが加味される。具体的には、パイロット噴射による温度上昇分ΔThCを、ステップS214において推定した筒内温度ThC2に加算した値(=ThC2+ΔThC)を用いて第2着火時間tig2が推定される。尚、第2着火時間tig2の推定態様は、ステップS215における第1着火時間tig1の推定態様と同様である。
こうして第1着火時間tig1及び第2着火時間tig2を推定すると、図3に示すように、次に、第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1thよりも大きいか否かを判断する(ステップS22)。
ここで、着火判定値には、自動始動時に筒内に燃料噴射が行われてからピストン14が上死点に移動するまでに要する時間よりも短い時間が設定される。また、燃料噴射が行われてからピストン14が上死点に移動するまでに要する時間は、ピストン14の移動速度が大きいときほど短くなる。また、ピストン14の移動速度は自動始動時における機関運転状態、具体的には機関1の潤滑のためのオイルの粘度やスタータ41の駆動力等によって異なる。これらのことから、自動始動時における着火時間は、ピストン14の移動速度が大きいときほど短くなる必要がある。従って、第1着火判定値tig1thをピストン14の移動速度に依らず固定値とした場合には、ピストン14の移動速度が基準速度よりも小さい場合、或いは大きい場合には、推定される第1着火時間tig1を的確に評価することができなくなるといった問題が生じる。そこで本実施形態では、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時におけるピストン14の移動速度を推定し、ピストン14の移動速度が大きいときほど第1着火判定値tig1thを小さく設定するようにしている。具体的には、機関運転中の冷却水温ThW及び外気温ThSが低いときほどオイルの粘度が高くなり、機関抵抗が増大することから、冷却水温ThW及び外気温ThSが低いときほど、ピストン14の移動速度が小さくなると推定する。また、バッテリ電圧Vbattが低いときほどスタータ41の駆動力が小さくなることから、バッテリ電圧Vbattが低いときほどピストン14の移動速度が小さくなると推定する。そして、このようにして推定されるピストン14の移動速度に基づき、第1着火判定値tig1thを可変設定する。
そしてこの結果、第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1thよりも大きくない場合には(ステップS22:「NO」)、パイロット噴射を行わずとも着火時間が十分に短くなる状態になるとして、次に、ステップS24に移行する。
一方、第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1thよりも大きい場合には(ステップS22:「YES」)、メイン噴射のみでは着火時間が長くなり、始動時間が長くなるおそれがあるとして、次に、第2着火時間tig2が第2着火判定値tig2th以下であるか否かを判断する(ステップS23)。ここで、第2着火判定値tig2thにも、自動始動時に筒内に燃料噴射が行われてからピストン14が上死点に移動するまでに要する時間よりも短い時間が設定されるが、同第2着火判定値tig2thは第1着火判定値tig1thよりも小さい値としている。また、第1着火判定値tig1thと同様にして、第2着火判定値tig2thについても、機関運転中の機関運転状態に基づき推定されるピストン14の移動速度に基づき可変設定する。
そしてこの結果、第2着火時間tig2が第2着火判定値tig2th以下である場合には(ステップS23:「YES」)、パイロット噴射を行えば着火時間が十分に短くなる状態になるとして、次に、ステップS24に移行する。
一方、第2着火時間tig2が第2着火判定値tig2thよりも大きい場合には(ステップS23:「NO」)、パイロット噴射を行ったとしてもメイン噴射の着火時間が短くならないとして、次に、自動停止禁止フラグFを「ON」として(ステップS27)、この一連の処理を終了する。
ステップS24では、機関1の自動停止を行うと仮定し、更に、同自動停止後の自動始動時における始動時間を、現在の機関運転状態に基づき推定するための処理である始動時間推定処理を行う。始動時間とは、自動始動制御が開始されてから機関回転速度NEが始動判定回転速度NEsとなるまでに要する時間である。
ここで、図6及び図7を参照して、始動時間推定処理について説明する。
図6は、始動時間推定処理の処理手順を示すフローチャートである。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、図3に示す一連の処理において、ステップS24に移行する度に実行される。
図7は、自動始動時における燃料噴射量Qsとそれによる機関回転速度NEの上昇量ΔNEとの関係を示すグラフである。尚、同図は、自動始動時における冷却水温ThWが過度の低温ではない所定の温度範囲内にあり、且つ外気温ThSが過度の低温ではない所定の温度範囲内にあり、且つ吸気圧PMが過度の低圧ではない所定の圧力範囲内にあるときのものである。
図6に示すように、この一連の処理では、まず、現在の冷却水温ThW、外気温ThS、吸気圧PM、及びバッテリ電圧Vbattを読み込む(ステップS241)。そして、次に、読み込んだ冷却水温ThW及び外気温ThSに基づき、図3に示す一連の処理の直後に自動停止を行うと仮定し、同自動停止後から所定期間Δtが経過した後における冷却水温ThW1を推定する(ステップS242)。すなわちここでは、自動停止が行われた後、許容され得る最も遅いタイミングにて自動始動が行われる場合において同自動始動の直前における冷却水温ThW1を推定する。また、本実施形態では、冷却水温ThW及び外気温ThSと、上記所定期間Δt経過後における冷却水温ThW1との関係を規定したマップを通じて同冷却水温ThW1を推定する。同マップでは、シリンダヘッド11、及びシリンダブロック12の形状や材質等の諸元が異なる機関1毎に各別に設定されるものであり、予め実験等により求められている。具体的には、冷却水温ThWが高いときほど、また外気温ThSが高いときほど、冷却水温ThW1が大きくなるように設定されている。
そして、次に、同冷却水温ThW1に基づき、自動始動時における燃料噴射量Qsを算出する(ステップS243)。尚、燃料噴射量Qsの設定態様は、通常の機関始動時、すなわちイグニッションスイッチ58のON操作による機関始動時における態様と同一であり、冷却水温ThW1が低いときほど燃料噴射量Qsが多くなるように設定される。
そして、次に、冷却水温ThW1、外気温ThS、吸気圧PM、及び燃料噴射量Qsに基づき、自動始動時において機関回転速度NEが始動判定回転速度NEsとなるまでに必要となる燃料噴射の回数(以下、「噴射回数」)Ctdcを推定する(ステップS244)。ここでは、冷却水温ThW1が上記所定の温度範囲に含まれ、且つ外気温ThSが上記所定の温度範囲に含まれ、且つ吸気圧PMが上記所定の圧力範囲に含まれる場合には、1度の燃料噴射における燃料噴射量Qsと、これに伴う機関回転速度NEの上昇量ΔNEとの関係は、図7に示すようになる。すなわち、同図に実線にて示す関係を用いて、1度の燃料噴射における燃料噴射量Qsが大きいときほど、機関回転速度NEの上昇量ΔNEは大きくなる。また、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEが大きいときほど、噴射回数Ctdcが少なくて済む。これらのことから、こうした関係を予め規定したマップを参照して、冷却水温ThW1に基づき噴射回数Ctdcが推定される。尚、2回目以降の燃料噴射では、通常、1回目の燃料噴射のときに比べて、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEが小さくなることから、2回目以降の機関回転速度NEの上昇量ΔNEの推定に際しては、図7に一点鎖線にて示す関係を用いる。
また、冷却水温ThW1が上記所定の温度範囲の下限値よりも低い場合には、冷却水温ThWが低いことに伴い燃料噴射量Qsが増量されることとなるが、この場合には、冷却水温ThW1が上記所定の温度範囲内に含まれる場合に比べて、自動始動時における筒内温度ThCが低くなることから、着火時間が長くなり、混合気の燃焼による圧力上昇量が小さくなる。そのためこの場合には、燃料噴射量Qsが同一であっても、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEは小さくなる。
また、外気温ThSが上記所定の温度範囲の下限値よりも低い場合には、外気温ThSが同所定の温度範囲内に含まれる場合に比べて、自動始動時における筒内温度ThCが低くなることから、着火時間が長くなり、混合気の燃焼による圧力上昇量が小さくなる。そのためこの場合には、燃料噴射量Qsが同一であっても、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEは小さくなる。
また、吸気圧PMが上記所定の圧力範囲の下限値よりも低い場合には、吸気圧PMが同所定の圧力範囲内に含まれる場合に比べて、自動始動時における筒内圧力PCが低くなることから、着火時間が長くなり、混合気の燃焼による圧力上昇量が小さくなる。そのためこの場合、燃料噴射量Qsが同一であっても、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEは小さくなる。
これらのことを加味して、冷却水温ThW1、外気温ThS、吸気圧PM、及び燃料噴射量Qsと、1度の燃料噴射による機関回転速度NEの上昇量ΔNEとの関係を規定したマップを用いて、機関回転速度NEの上昇量ΔNEが推定される。そして、この推定値から、機関回転速度NEが始動判定回転速度NEsとなるまでに必要となる噴射回数Ctdcが推定される。
ステップS244において噴射回数Ctdcを推定すると、次に、スタータ41によるクランキングにより機関回転速度NEがクランキング回転速度NEcrnkとなってからこれよりも大きい始動判定回転速度NEsとなるまでに要する時間である回転速度上昇時間Δtsを、同噴射回数Ctdcから算出する(ステップS245)。ここでは、例えば2度の燃料噴射によって機関回転速度NEがクランキング回転速度NEcrnkから始動判定回転速度NEsまで上昇したとすると(噴射回数Ctdc=2)、この間に、クランクシャフト17は1回転することとなる。このことから、例えば、機関回転速度NEがクランキング回転速度NEcrnkから始動判定回転速度NEsとなるまでに、その間の機関回転速度の平均値によってクランクシャフト17が1回転するのに要する時間を、回転速度上昇時間Δtsとして算出する。
そして、次に、外気温ThS及びバッテリ電圧Vbattに基づき、クランキングが開始されてから機関回転速度NEがクランキング回転速度NEcrnkとなるまでに要する時間であるクランキング時間Δtcrnkを推定する(ステップS246)。外気温ThSが基準温度である場合には、クランキング時間Δtcrnkは基準時間となるが、外気温ThSが基準温度よりも低いときには、同外気温ThSが低いときほどスタータ41の潤滑のためのオイルの粘度が高くなり、これによる抵抗力が大きくなるため、クランキング時間Δtcrnkが長くなる。また、バッテリ電圧Vbattが基準電圧である場合には、クランキング時間は基準時間となるが、バッテリ電圧Vbattが基準電圧よりも低いときには、同バッテリ電圧Vbattが低いときほどスタータ41の駆動力が小さくなるため、クランキング時間Δtcrnkが長くなる。これらのことを考慮して、本実施形態では、外気温ThSが低いときほど、またバッテリ電圧Vbattが低いときほどクランキング時間Δtcrnkを大きな値として推定する。
こうして、回転速度上昇時間Δts及びクランキング時間Δtcrnkを推定すると、以下の式(2)に示すように、これらの時間Δts、Δtcrnkを、自動始動制御が開始されてから実際にクランキングが開始されるまでに要する処理時間であるクランキング処理時間Δtprcsに加算することにより、始動時間tsを算出し(ステップS247)、この一連の処理を終了する。

ts = Δtprcs + Δtcrnk + Δts ・・・(2)

こうして始動時間tsを推定すると、図3に示すように、次に、始動時間tsが始動判定値tsth以下であるか否かを判断する(ステップS25)。始動判定値tsthには、自動始動の際に平均的な運転者が不快に感じ始める時間よりも短い値が設定される。具体的には、市場調査を通じて統計的に求められた値を採用している。そしてこの結果、始動時間tsが始動判定値tsth以下であると判断すると(ステップS25:「YES」)、始動時間tsが十分に短いとして、次に、自動停止禁止フラグFを「OFF」として(ステップS26)、この一連の処理を一旦終了する。
一方、始動時間tsが始動判定値tsth以下でないと判断すると(ステップS25:「NO」)、始動時間tsが長いとして、次に、自動停止禁止フラグFを「ON」として(ステップS27)、この一連の処理を一旦終了する。
尚、本実施形態における電子制御装置5が、本発明に係る着火時間推定手段、自動停止禁止手段、着火判定値設定手段、及び始動時間推定手段に相当する。また、本実施形態では、大気圧が低くなるほど吸気圧PMが低くなることを利用して、吸気圧センサ57により検出される吸気圧PMによって、大気圧を把握するようにしている。
以上説明した本実施形態に係る車載ディーゼル機関の制御装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)電子制御装置5は、機関運転中に所定の自動停止条件が成立することをもって機関1の自動停止を行う一方、当該自動停止中に所定の自動始動条件が成立することをもって機関1の自動始動を行うものとした。そして、機関運転中にそのときの機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における着火時間tig1、tig2を推定するとともに、推定される着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2thよりも大きくなると判断される場合に(tig1>tig1th、且つtig2>tig2th)、機関1の自動停止を禁止することとした。このように、機関運転中に、将来、機関1の自動停止を行うと仮定した場合に、その後の自動始動時に、筒内の混合気の着火時間tig1、tig2、すなわち筒内への燃料噴射が行われてから筒内の混合気の着火に伴う圧力上昇が生じるまでに要する時間が機関運転状態に基づいて推定される。そして、こうして推定される着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2thよりも大きくなると判断された場合には、すなわち、自動始動時に着火時間tig1、tig2が長くなることに起因して始動に長い時間を要する可能性が高いと判断された場合には、機関1の自動停止を禁止して始動時間の増長を未然に回避するようにしている。また、推定される着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2th以下となると判断される場合に限り(tig1≦tig1th、或いはtig2≦tig2th)、所定の自動停止条件が成立することをもって機関1の自動停止が行われるようになる。従って、自動始動時における始動時間の増長を抑制しつつ、機関1の自動停止の実行機会を増大することができるようになる。
(2)機関運転中の機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2を推定するとともに、これらの推定値ThC2、PC2に基づいて着火時間tig1、tig2を推定することとした。ディーゼル機関1にあっては、自動始動時における筒内温度が低いときほど、また筒内圧力が低いときほど、筒内の混合気が着火しにくくなり、着火時間は長くなる。上記実施形態によれば、将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度及び筒内圧力の推定値ThC2、PC2に基づいて着火時間tig1、tig2を推定するようにしていることから、着火時間を的確に推定することができるようになる。
(3)機関運転中の冷却水温ThW、外気温ThS、及び吸気圧PMに基づいて着火時間tig1、tig2を推定することとした。機関運転中の冷却水温ThWが低いときほど、また機関運転中の外気温ThSが低いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内温度ThC1は低くなる。すなわち、機関運転中の外気温ThSが高い場合であっても、冷却水温ThWが低い場合には高い場合に比べて、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内温度ThC1は低くなる。そして、筒内温度ThC1が低いときほど、自動始動時における筒内温度ThC2は低くなり、着火時間は長くなる。また、機関運転中の大気圧が低く、これに伴い吸気圧PMが低いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、将来の自動停止後の自動始動直前における筒内圧力PC1は低くなり、同筒内圧力PC1が低いときほど、自動始動時における筒内圧力PC2は低くなる。そして、自動始動時における筒内圧力PC2が低いときほど、着火時間は長くなる。すなわち、自動始動時における筒内圧力PC2が低い場合であっても、自動始動時における筒内温度ThC2が高い場合には低い場合に比べて、着火時間は短くなる。この点、上記実施形態によれば、機関運転中の冷却水温ThW、外気温ThS、及び吸気圧PMに基づいて着火時間tig1、tig2が推定されることから、着火時間tig1、tig2の推定を精度良く行うことができるようになる。
(4)機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時におけるピストン14の移動速度を推定し、ピストン14の移動速度が大きいときほど着火判定値tig1th、tig2thを小さく設定することとした。
自動始動時において燃料噴射が行われてからピストン14が上死点に移動するまでに要する時間は、ピストン14の移動速度が大きいときほど短くなる。また、ピストン14の移動速度は自動始動時における機関運転状態によって異なる。これらのことから、自動始動時における着火時間は、ピストン14の移動速度が大きいときほど短くなる必要がある。従って、着火判定値tig1th、tig2thをピストン14の移動速度に依らず固定値とした場合には、ピストン14の移動速度が基準速度よりも小さい場合、或いは大きい場合には、推定される着火時間tig1、tig2を的確に評価することができなくなるといった問題が生じる。この点、上記実施形態によれば、自動始動時におけるピストン14の移動速度を推定し、この推定値が大きいときほど着火判定値tig1th、tig2thが小さく設定されることから、着火判定値tig1th、tig2thを適切な値に設定することができ、自動始動時における着火時間tig1、tig2を的確に評価することができるようになる。
(5)自動始動時に、メイン噴射時の筒内温度ThCを上昇させるべく同メイン噴射に先立ちパイロット噴射を行うものであり、機関運転中の機関運転状態に基づき第2着火時間tig2を推定するに際して、パイロット噴射による筒内温度ThCの上昇分ΔThCを加味することとした。これにより、第2着火時間tig2の推定を精度良く行うことができるようになる。
(6)推定される着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2th以下となると判断される場合には(tig1≦tig1th、或いはtig1>tig1th且つtig2≦tig2th)、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における始動時間tsを推定することとした。そして、推定される始動時間tsが始動判定値tsthよりも大きくなると判断される場合に自動停止を禁止することとした。
自動始動時における着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2th以下となると判断される場合であっても、機関始動直前における機関運転状態によっては、自動始動時における始動時間が長くなり、運転者に不快感を与えることがある。この点、上記実施形態によれば、着火時間tig1、tig2が着火判定値tig1th、tig2th以下となると判断される場合に、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動直前における機関運転状態が推定される。また、こうして推定される自動始動直前における機関運転状態に基づき自動始動時における始動時間tsが推定される。そして、こうして推定される始動時間tsが始動判定値tsthよりも大きくなると判断された場合には、機関の自動停止を禁止して始動時間の増長を未然に回避し、推定される始動時間tsが始動判定値ts以下となる場合に限り、所定の自動停止条件が成立することをもって自動停止が行われるようになる。従って、自動始動時における始動時間の増長を一層抑制しつつ、自動停止の実行機会を増大することができるようになる。
(7)機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量Qsを推定するとともに、この推定値Qsに基づき始動時間tsを推定することとした。
自動始動時における燃料噴射量Qsが多いときほど、その他の機関運転状態が同一であれば、自動始動時における機関回転速度NEの上昇量ΔNEが大きくなり、機関回転速度NEが始動判定回転速度NEs以上となるまでに要する時間である始動時間tsが短くなる。上記実施形態によれば、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量Qsを推定するとともに、この推定値Qsに基づき始動時間tsを推定するようにしていることから、これを精度良く行うことができるようになる。
(8)機関運転中の機関運転状態に基づき、自動始動時にメイン噴射のみを行うと仮定した場合における着火時間である第1着火時間tig1を推定するとともに、自動始動時にメイン噴射及びパイロット噴射の双方を行う場合における着火時間である第2着火時間tig2を推定するものとした。そして、推定される第1着火時間tig1がこれに対応する第1着火判定値tig1th以下となると判断される場合には、第2着火時間tig2とこれに対応する第2着火判定値tig2thとの比較を行うことなく、始動時間tsを推定するものとした。
上述したように、パイロット噴射を行う構成にあっては、パイロット噴射を行わない構成に比べて、メイン噴射時の筒内温度ThCは高くなる。このことから、自動始動時にメイン噴射のみを行うと仮定した場合の第1着火時間tig1がこれに対応する第1着火判定値tig1th以下となる場合には、自動始動時にメイン噴射及びパイロット噴射の双方を行う場合の第2着火時間tig2もこれに対応する第2着火判定値tig2th以下となる可能性が高い。また、メイン噴射及びパイロット噴射の双方を行う場合の第2着火時間tig2と第2着火判定値tig2thとの比較を行う場合には、その分だけ、制御処理が複雑なものとなる。この点、上記実施形態によれば、第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1th以下となると判断される場合には、第2着火時間tig2と第2着火判定値tig2thとの比較が行われないことから、不要な制御処理を割愛することができ、制御処理全体を簡易なものとすることができるようになる。
尚、本発明に係る車載ディーゼル機関の制御装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、直列4気筒ディーゼル機関について例示したが、本発明に係るディーゼル機関はこれに限られるものではなく、4気筒以外の気筒数を有するものであってもよい。また直列型のディーゼル機関に限られるものではなく、V型や水平対向型、或いはW型等の他の構造を有するものであってもよい。
・上記実施形態によるように、推定される第1着火時間tig1がこれに対応する第1着火判定値tig1th以下となると判断される場合には、第2着火時間tig2とこれに対応する第2着火判定値tig2thとの比較を行うことなく、始動時間tsを推定することが、不要な制御処理を割愛して、制御処理全体を簡易なものとする上では望ましい。しかしながら、制御処理全体の複雑化が問題とはならない場合には、推定される第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1th以下となると判断される場合に、更に、第2着火時間tig2と第2着火判定値tig2thとの比較を行うようにすることもできる。
・上記実施形態によるように、第1着火時間tig1が第1着火判定値tig1thよりも大きくなると判断される場合に、このことのみをもって自動停止禁止フラグFを「ON」とするのではなく、更に、第2着火時間tig2が第2着火判定値tig2thよりも大きいか否かを判断するようにすることが、自動始動時における着火時間を的確に評価する上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、第1着火時間tig1の推定自体を割愛するようにしてもよい。すなわち、第2着火時間tig2のみを推定するとともに、同第2着火時間tig2が第2着火判定値tig2thよりも大きい場合に自動停止禁止フラグFを「ON」とするようにしてもよい。
・上記実施形態では、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量Qsを推定するとともに、この推定値Qsに基づき始動時間tsを推定するようにしているが、これに代えて、機関運転中の機関運転状態から直接、始動時間tsを推定することもできる。
・上記実施形態では、推定される着火時間が着火判定値以下となると判断される場合には、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における始動時間tsを推定することとした。そして、推定される始動時間tsが始動判定値tsthよりも大きくなると判断される場合に自動停止を禁止することが、自動始動時における始動時間の増長を抑制する上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、推定される着火時間が着火判定値以下となると判断される場合に、このことのみをもって、自動停止を許容するようにすることもできる。この場合であっても、着火時間が着火判定値以下となると判断されていることから、自動始動時における始動時間の増長をある程度は抑制することができる。
・上記実施形態では、機関運転中の冷却水温ThW、外気温ThS、及びバッテリ電圧Vbattに応じて着火判定値を可変設定するようにしている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、スタータ41の劣化度合によってもクランキングの速度、すなわちピストン14の移動速度が異なるものとなることを考慮して、周知のスタータ41の劣化度合推定手段により推定されるスタータ41の劣化度合に応じて着火判定値を可変設定するようにしてもよい。
・上記実施形態によるように、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定し、この推定値に基づき自動始動時におけるピストン14の移動速度を推定し、ピストン14の移動速度が大きいときほど着火判定値を小さく設定することが、自動始動時における着火時間を的確に評価する上では望ましい。しかしながら、自動始動時における機関運転状態によるピストン14の移動速度への影響が問題とはならない場合には、着火時間をピストン14の移動時間に依らず固定値とすることもできる。
・上記実施形態によるように、機関運転中の冷却水温ThW、外気温ThS、及び吸気圧PMに基づいて着火時間を推定することが、外気温度や大気圧が異なる環境であれ着火時間の推定を精度良く行う上では望ましい。しかしながら、車両が外気温度のそれほど変化しない外部環境下においてのみ使用されるものである場合には、機関運転中の冷却水温ThW、及び吸気圧PMに基づいて着火時間を推定するようにしてもよい。また、車両が大気圧のそれほど変化しない外部環境下においてのみ使用されるものである場合には、機関運転中の冷却水温ThW及び外気温ThSに基づいて着火時間を推定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、機関運転中の機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度ThC2及び筒内圧力PC2を推定するとともに、これらの推定値ThC2、PC2に基づいて着火時間を推定するようにしている。しかしながら、着火時間の推定態様はこれに限られるものではなく、実験等を通じて求められたマップ等を通じて、機関運転中の機関運転状態から直接、着火時間を推定するようにしてもよい。
1…機関、2…吸気通路、3…排気通路、5…電子制御装置、11…シリンダヘッド、12…シリンダブロック、13…気筒、14…ピストン、15…燃焼室、16…燃料噴射弁、17…クランクシャフト、18…ウォータジャケット、21…エアクリーナ、22…スロットルバルブ、41…スタータ、42…バッテリ、51…機関回転速度センサ、52…冷却水温センサ、53…外気温センサ、54…吸気量センサ、55…吸気温センサ、56…スロットル開度センサ、57…吸気圧センサ、58…イグニッションスイッチ、59…アクセル開度センサ、60…ブレーキスイッチ、61…車速センサ、62…シフトポジションセンサ。

Claims (10)

  1. 機関運転中に所定の自動停止条件が成立することをもって機関の自動停止を行う一方、当該自動停止中に所定の自動始動条件が成立することをもって機関の自動始動を行う車載ディーゼル機関の制御装置において、
    機関運転中にそのときの機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における着火時間を推定する着火時間推定手段と、
    前記着火時間推定手段により推定される前記着火時間が着火判定値よりも大きくなると判断される場合に機関の自動停止を禁止する自動停止禁止手段と、を備える
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づいて将来の自動停止後の自動始動時における筒内温度及び筒内圧力を推定するとともに、これらの推定値に基づいて前記着火時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関冷却水温度に基づいて前記着火時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の外気温度に基づいて前記着火時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の大気圧に基づいて前記着火時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動直前時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における機関ピストンの移動速度を推定し、同機関ピストンの移動速度が大きいときほど前記着火判定値を小さく設定する着火判定値設定手段を備える
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    自動始動時に、主燃料噴射時の筒内温度を上昇させるべく同主燃料噴射に先立ちパイロット燃料噴射を行うものであり、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき前記着火時間を推定するに際して、前記パイロット燃料噴射による筒内温度の上昇分を加味する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記着火時間推定手段により推定される前記着火時間が前記着火判定値以下となると判断される場合には、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における機関運転状態を推定するとともに、この推定値に基づき自動始動時における始動時間を推定する始動時間推定手段を備え、
    前記自動停止禁止手段は、前記始動時間推定手段により推定される前記始動時間が始動判定値よりも大きくなると判断される場合に機関の自動停止を禁止する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  9. 請求項8に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    前記始動時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき将来の自動停止後の自動始動時における燃料噴射量を推定するとともに、この推定値に基づき前記始動時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の車載ディーゼル機関の制御装置において、
    自動始動時に、主燃料噴射時の筒内温度を上昇させるべく同主燃料噴射に先立ちパイロット燃料噴射を行うものであり、
    前記着火時間推定手段は、機関運転中の機関運転状態に基づき、自動始動時に前記主燃料噴射のみを行うと仮定した場合における前記着火時間である第1着火時間を推定するとともに、自動始動時に前記主燃料噴射及び前記パイロット燃料噴射の双方を行う場合における前記着火時間である第2着火時間を推定するものであり、
    前記着火時間推定手段により推定される前記第1着火時間がこれに対応する第1着火判定値以下となると判断される場合には、前記第2着火時間とこれに対応する第2着火判定値との比較を行うことなく、前記始動時間推定手段を通じて前記始動時間を推定する
    ことを特徴とする車載ディーゼル機関の制御装置。
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