JP2011094266A - 可動シンカーおよび横編機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 度詰め編成時にも編目受け部で確実にシンカーループを受けることが可能で、目移し時にはシンカーループを編目受け部から抜出させることが可能な可動シンカーおよび横編機を提供する。
【解決手段】 可動シンカー17の編糸受け部17hは、窪みの奥が、編目形成時に規制される上限で、針底面を越えるように、深くなっている。度詰め編成時には、編糸受け部17hの奥でシンカーループを受けることになり、ニードルループを編針のべらから針幹側にクリアさせる際に、シンカーループが編糸受け部17hから抜出しにくくすることができる。編糸受け部17hは、角度θで開いているので、目渡し時などでは、シンカーループが傾斜内縁を押して、可動シンカー17の揺動腕17bを起しながら抜出すことができる。
【選択図】図1
【解決手段】 可動シンカー17の編糸受け部17hは、窪みの奥が、編目形成時に規制される上限で、針底面を越えるように、深くなっている。度詰め編成時には、編糸受け部17hの奥でシンカーループを受けることになり、ニードルループを編針のべらから針幹側にクリアさせる際に、シンカーループが編糸受け部17hから抜出しにくくすることができる。編糸受け部17hは、角度θで開いているので、目渡し時などでは、シンカーループが傾斜内縁を押して、可動シンカー17の揺動腕17bを起しながら抜出すことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、針床の歯口側先端付近で揺動変位し、ループ形成部と編糸受け部とを備える揺動腕を歯口に進退させることが可能な可動シンカー、およびそのような可動シンカーを備える横編機に関する。
従来から、横編機では、編針のフックで編糸を針床側に引込んで新たな編目を形成する際に、歯口側で編糸を支えるシンカーを可動式にして、揺動変位で既に形成されている編目の編糸を歯口に押込むなどの機能も持たせるようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
図9は、特許文献1に開示されているような可動シンカーを備える横編機1の概略的な構成を示す。針床2は、基板3にニードルプレート4を紙面に垂直な方向に一定の間隔で挿入して形成される。横編機1は、少なくとも一対の針床2を有し、針床2の間には歯口5と呼ばれる隙間が設けられる。一対の針床2は、歯口5の中心線5aを中心にして、線対称に配置される。中心線5aの方向は鉛直方向であり、各針床2は、歯口5側が高く、歯口5から離れると低くなるように傾斜しているけれども、以降の本明細書および図面では、一方の針床2のみを、編針6が摺動移動する際の底面となる針底面が水平な姿勢で図示する。また、この姿勢を基準として上下の方向を示し、歯口5側を前、歯口5から離れる側を後として前後の方向を示す。
ニードルプレート4間には前後方向に延びる隙間が生じ、編針6を収容する針溝となる。編針6の歯口5側の前端にはフック6aを有し、編針6がべら針であれば、フック6aをべら6bで開閉する。編針6は、前端から後方に間隔をあけて、肩6cと呼ばれる段差部を有し、肩6c付近の一側方には、目移し用の羽根6dが設けられる。なお、編針6の25.4mm(1インチ)当りの配列密度は、ゲージと呼ばれている。
針床2の前端付近には、ニードルプレート4に半円状の凹所となる支承部4aが形成されており、可動シンカー7の中間から半円状に突出する支持部7aを揺動変位が可能な状態で支承する。可動シンカー7は、支持部7a前方には揺動腕7b、後方には作動部7cを有し、仮想的な揺動中心7dまわりに揺動変位する。揺動腕7bは、大略的に、弧形状を有する。なお、特許文献1では、支持部7aに相当する部分の内周側には、可動シンカー7とは別体の線ばねが装着され、揺動腕7bが歯口5に進出するように付勢しているけれども、ばね部7eとして一体化させることもできる(たとえば、特許文献2参照)。
基板3の前端には、揺動腕7bが歯口5へ進退する揺動変位を許容するシンカー溝3aが形成されている。特許文献1では、可動シンカー7にヤーンガイドスペーサー8を併設し、歯口5に突出する編糸ガイド部8aで編糸を可動シンカー7のループ形成部7fに案内するとともに、編糸脱落防止部8bでシンカー溝3aへの編糸の脱落を防止している。ループ形成部7fは、揺動腕7bの外縁のうち、揺動中心7dからの直線距離、すなわち揺動時の軌跡の径が最大となる区間を含む。揺動腕7bの弧形状で、ループ形成部7fよりも先端側は、揺動中心7dからの直線距離、すなわち揺動時の軌跡の径がループ形成部7fよりも小さくなる先端部7gとなる。ループ形成部7fと先端部7gとの間の段部には、弧形状の先端側に開口し、基端側に窪む編糸受け部7hが形成されている。編糸受け部7hの窪みの深さは、編成に使用する編糸の太さに応じて決められ、必要以上に深くしてはいない。深くすると、目移しで、編糸を編糸受け部7hから離脱させる必要が生じても、離脱しにくくなってしまうからである。
可動シンカー7のばね部7eなどの中間部分は、ヤーンガイドスペーサー8の中間部分とともに、ニードルプレート4の前部を薄肉にして形成するシンカー収容部4bに収容される。ヤーンガイドスペーサー8の後部は、ニードルプレート4を薄肉にしてシンカー収容部4bよりも後方に形成するスペーサー収容部4cに収容される。シンカー収容部4bおよびスペーサー収容部4cで編針6の上方となる部分には、図示を省略しているスペーサーが配置される。このスペーサーや、ヤーンガイドスペーサー8の上部は、紙面に垂直に貫通する帯金9で、シンカー収容部4bに対して固定される。針床2の基板3とニードルプレート4とは、紙面に垂直に貫通するワイヤ10a,10bで位置決め、固定される。ヤーンガイドスペーサー8およびスペーサーは、紙面に垂直に貫通するワイヤ10cで、スペーサー収容部4cに対して固定される。
可動シンカー7のばね部7eは、編糸受け部7hを歯口5の下方に押込むように付勢している。編糸受け部7hで編糸を押えていない状態では、先端部7gが二点鎖線で示すような下限位置まで押込まれる。編針6のフック6aで編糸を歯口5から針床2側に引込んで編目を形成する際に、ループ形成部7fの下端が編糸ガイド部8aでシンカーループとなる編糸が案内される位置よりも押上げられると、シンカーループが形成されなくなってしまうので、シンカー前カム11で上限を規制する。図で実線で示す可動シンカー7は、シンカー前カム11で上限を規制されている状態となっている。この状態で、編糸受け部7hの窪みの奥の高さは、針底面以下である。また、二点鎖線で示す下限位置では、シンカー後カム12で作動部7cが規制される状態となる。シンカー前カム11およびシンカー後カム12は、針床2に沿って、紙面に垂直な方向に往復走行するキャリッジに搭載される。キャリッジは、図示を省略しているけれども、編針6を選択的に駆動するカムや、可動シンカー7の動作を規制するカムを搭載している。シンカー後カム12は、編針6のフック6aを歯口5に進出させて、編糸の給糸を受ける際には、作動腕7cを押下げて揺動腕7bを歯口5から退出させるように動作する。編目形成後のシンカー後カム12による揺動腕7bの歯口5からの退出によって、ループ形成部7fに形成されるシンカーループの編糸は、ループ形成部7fの先端から外れ、編糸受け部7hに移行して押下げられるようになる。
図10は、編針6のフック6aを歯口5に進出させ、編目形成時に、フック6aで形成されるニードルループ13aを、べら6bを乗越えて編針後方の針幹側に移動させるクリアの直前の状態を示す。ニードルループ13aは、シンカーループ13bが編目受け部7hで係止されているので、編針6の前進で、フック6aに対して相対的に後退し、フック6aを閉じている状態のべら6bを図の反時計回り方向に回動させて開き、開いたべら6b上をさらに後退する。ニードルループ13aの位置は、図のように、べら6bを乗越えるクリア直前の状態で最も高くなり、シンカーループ13bを編糸受け部7hで係止する可動シンカー7の揺動腕7bも歯口5から退出する反時計回り方向に揺動する。なお、フック6aにニードルループ13aを係止していない編針6では、べら6bがフック6aを閉じた状態で歯口5に進出するけれども、図示を省略している刷毛でべら6bを開くことができる。
図11は、編針6と可動シンカー7との動作を、針床2の上方から見た状態で模式的に示す。(a)は図9に対応し、ニードルループ13aをフック6aで係止し、編糸受け部7hでシンカーループ13bを係止している状態を示す。ニードルループ13aおよびシンカーループ13bで形成する編目は、既に形成されている旧ループ14にウエール方向で続く新ループとなる。(b)は図10に対応し、ニードルループ13aが開いた状態のべら6bからクリアされる直前となっている。(c)は、ニードルループ13aがクリアされ、さらに編針6の肩6cまで相対的に後退している状態を示す。シンカーループ13bは、可動シンカー7から離れ、編目全体が歯口5に進出する。この編目は、図9および図10に示す羽根6dに掛かり、対向する針床2から歯口5に進出する編針6のフック6aを羽根6dの隙間に侵入させて、編目を受け渡すことができる。すなわち、(c)の編針6は、目移しの目渡し側となる。
図10に示すようなクリア直前の状態は、編目の大きさが一般的な範囲では問題が無いけれども、編目形成時に編針の引込量を小さくする極度の度詰め編成時には問題が生じる。度詰め編成では、ループ長が短いために、クリア直前が最も編糸に張力が掛かる状態となり、周長が張る。編糸受け部7hで係止するシンカーループ13bが引張られるので、揺動腕7bは、シンカーループ13bがニードルループ13aの高さには達しない範囲で、歯口5から大きく退出する方向に揺動して、起きあがっている状態となる。図のように、ループ形成部7fの先端が針底面よりも高くなると、べら6bの上のニードルループ13aに近づくにつれて、シンカーループ13bは、編糸受け部7hから抜出してしまうおそれがある。シンカーループ13bが編糸受け部7hから抜出すと、ニードルループ13aもべら6bを乗越えて針幹側にクリアされず、編針6の歯口5への進出とともに付け上がってしまう。ニードルループ13aのクリアは、新たに編目を形成する際に、外部からべら6bを閉じてノックオーバさせるために必要であり、付け上がりでクリアされないと、編成ミスが発生してしまう。
ただし、たとえば編目受け部7hの窪む深さを大きくして、シンカーループ13bが抜出しにくくすると、図11(c)に示すような、目移しでシンカーループ13bの抜出しが必要な場合に、シンカーループ13bが編糸受け部7hから抜出せないと、編糸が過剰に引張られて、隣接する編目が縮小したり、編糸が切断したりするような支障が生じる。
ただし、たとえば編目受け部7hの窪む深さを大きくして、シンカーループ13bが抜出しにくくすると、図11(c)に示すような、目移しでシンカーループ13bの抜出しが必要な場合に、シンカーループ13bが編糸受け部7hから抜出せないと、編糸が過剰に引張られて、隣接する編目が縮小したり、編糸が切断したりするような支障が生じる。
本発明の目的は、度詰め編成時にも編目受け部で確実にシンカーループを受けることが可能で、目移し時にはシンカーループを編目受け部から抜出させることが可能な可動シンカーおよび横編機を提供することである。
本発明は、揺動腕と作動腕との間の支持部を、歯口に進退するフックをべらの回動で開閉するべら針が編針として使用される横編機の針床の歯口側端縁付近に設けられる支承部で、揺動変位可能に支持し、揺動腕が歯口に前進するようにばねで付勢するとともに、作動腕に対する操作で揺動腕を歯口から後退させることも可能であり、
大略的に弧形状の揺動腕は、
支持部の揺動中心からの直線距離が最大となる区間を含む一定の範囲の外縁に設けられて、編目のシンカーループを形成するループ形成部と、
ループ形成部に対して、弧形状の先端側に設けられ、揺動中心からの直線距離がループ形成部よりも小さくなる先端部と、
ループ形成部と先端部との間で、弧形状の先端側に開口し、弧形状の基端側に深くなる窪みとして形成され、ループ形成部のシンカーループとなっている編糸を歯口の下方に押込んで受ける編糸受け部と、
を有し、
フックで編糸を歯口から引込んでニードループを形成し、ループ形成部でシンカーループを形成する際に、編糸が前記一定の範囲から外れないように、歯口から後退する上限が規制される可動シンカーにおいて、
前記上限で、編糸受け部の窪みの奥は、べら針が進退する針底面を越える高さに達し、
かつ窪みの幅は奥よりも開口側で開くように、窪みの両側の内縁のうちでループ形成部側に連なる側の内縁が傾斜している、
ことを特徴とする。
大略的に弧形状の揺動腕は、
支持部の揺動中心からの直線距離が最大となる区間を含む一定の範囲の外縁に設けられて、編目のシンカーループを形成するループ形成部と、
ループ形成部に対して、弧形状の先端側に設けられ、揺動中心からの直線距離がループ形成部よりも小さくなる先端部と、
ループ形成部と先端部との間で、弧形状の先端側に開口し、弧形状の基端側に深くなる窪みとして形成され、ループ形成部のシンカーループとなっている編糸を歯口の下方に押込んで受ける編糸受け部と、
を有し、
フックで編糸を歯口から引込んでニードループを形成し、ループ形成部でシンカーループを形成する際に、編糸が前記一定の範囲から外れないように、歯口から後退する上限が規制される可動シンカーにおいて、
前記上限で、編糸受け部の窪みの奥は、べら針が進退する針底面を越える高さに達し、
かつ窪みの幅は奥よりも開口側で開くように、窪みの両側の内縁のうちでループ形成部側に連なる側の内縁が傾斜している、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記編糸受け部の窪みの奥は、前記上限で、前記べら針のべらの回動中心を越える高さに達する、
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
また本発明の前記編糸受け部は、前記弧形状の先端側に開口する幅よりも、窪む深さが深い、
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
また本発明は、前記横編機の針床に、14から16ゲージ相当のピッチで前記編針が並設される場合、
前記を編糸受け部が前記ループ形成部の前記周方向の基端側に窪む深さは、1mm以上である、
ことを特徴とする。
前記を編糸受け部が前記ループ形成部の前記周方向の基端側に窪む深さは、1mm以上である、
ことを特徴とする。
さらに本発明は、前述の可動シンカーを備えることを特徴とする横編機である。
本発明によれば、可動シンカーは、揺動腕がフックで編糸を歯口から引込んでニードループを形成し、ループ形成部でシンカーループを形成する際に、編糸が該一定の範囲から外れないように、歯口からの後退が規制される上限でも、編糸受け部の窪みの奥は、べら針が進退する針底面を越える高さに達する。窪みは、深さが充分にあるので、度詰め編成時のクリアのために、べらを乗越えるニードループに引かれて編糸受け部が歯口から退出する方向に引上げられても、シンカーループが抜出しにくくなり、ニードルループをクリアさせ、新たな編目形成時にノックオーバさせることができる。編糸受け部の幅は先端側で開くように、窪みの両側の内縁のうちでループ形成部側に連なる側の内縁が傾斜しているので、目移し時には、窪みの傾斜している内縁に沿ってシンカーループを抜出させることができる。
また本発明によれば、可動シンカーのループ形成部でシンカーループを形成する際に、編糸が前記一定の範囲から外れないように、歯口から後退する上限が規制される状態で、
編糸受け部の窪みの奥は、べらの回動中心を越える高さに達している。目の詰んだ編目のニードルループが開いたべらの先端を乗越えるために高い位置にあっても、シンカーループも高い位置に達して、編糸の張力が過大にならないように追随することができる。
編糸受け部の窪みの奥は、べらの回動中心を越える高さに達している。目の詰んだ編目のニードルループが開いたべらの先端を乗越えるために高い位置にあっても、シンカーループも高い位置に達して、編糸の張力が過大にならないように追随することができる。
また本発明によれば、編糸受け部は、弧形状の先端側に開口する幅よりも、窪む深さが深いので、シンカーループを抜出しにくい状態で係止することができる。
また本発明によれば、可動シンカーは、編目受け部が窪む深さが1mm以上に深くなり、シンカーループを、抜出しにくい状態で受けることができる。
さらに本発明によれば、度詰め編成時にも編目受け部で確実にシンカーループを受けることが可能で、目移し時にも支障が生じない可動シンカーを横編機に備えることができる。
以下、図1〜図8で、本発明の一実施例としての可動シンカー17を備える横編機21について説明する。本実施例で、図9〜図11に対応する部分に同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、図4と図9、図5と図10は、それぞれ対応する状態となる。
図1は、本発明の一実施例である可動シンカー17の形状を(a)で、図9および図10に示す可動シンカー7を(b)で対比して示す。なお、(a)のみ、平面図および側面図を示し、(b)は側面図のみ示す。また、可動シンカー7,17の形状は、14ゲージ用を示すけれども、16ゲージなど、他のゲージ用の形状も基本的には同様になる。可動シンカー7と可動シンカー17との間では、支持部7a,17aから一方に延出される揺動腕7b,17bの一部を除いて、作動部7c,17c、揺動中心7d,17d、ばね部7e,17eは、ほぼ同等に形成されている。揺動腕7b,17bに、ループ形成部7f,17f、先端部7g,17gおよび編糸受け部7h,17hが設けられる点でも同様である。可動シンカー17では、編糸受け部17hが、可動シンカー7の編糸受け部7hに比較して深い窪みとなっており、しかもこの窪みは奥よりも開口部で幅が大きくなるように開き、ループ形成部17fの先端に連なる内縁は、傾斜する傾斜内縁17iとなっている。編糸受け部17hの窪みが開く角度θは、たとえば30度であり、16ゲージ用では25度となっている。
図2は、実線で図1(a)に示す可動シンカー17の揺動腕17bの形状を、破線で図1(b)に示す可動シンカー7の形状を、対比させて示す。基本的に、可動シンカー7,17は同一形状に近く、編糸受け部7h,17h付近の形状のみが異なる。ループ形成部17fは、揺動時の軌跡の揺動中心17dから径R、すなわち直線距離が最大となる区間を含む外縁に設けられる。編糸受け部17hは、開口部の幅Wで深さDで周方向の基端側に窪む。幅Wは、14ゲージ用で0.87mm程度、16ゲージ用で0.77mm程度である。深さDは、14ゲージ用で1.06mm程度、16ゲージ用で1.00mm程度である。したがって、深さDは1mm以上であり、幅Wよりも深さDの方が大きい。ただし、深さDが必要分確保されれば、幅WがDより大きくなっても支障はない。
編糸受け部17hは、傾斜内縁17iを経てループ形成部17fの先端に連なるので、ループ形成部17fでは、揺動中心17dからの直線距離Rを破線で示すループ形成部7fよりも大きくし、クリア時などでシンカーループ13bの抜出しを防止可能な内縁と外縁との間の障壁が充分に形成されるようにしている。なお、編糸受け部17hの深さDは、ループ形成部17fの範囲の半分程度まで達している。
図3は、図1(a)に示す可動シンカー17を備える横編機21の概略的な構成を、歯口5付近の部分について、簡略化して示す。以下、図4〜図7も14ゲージ用の可動シンカー17について示すけれども、16ゲージなどの他のゲージ用の可動シンカー17でも、基本的な動作は同様である。また、可動シンカー17とともに、ヤーンガイドスペーサー8なども設けられるけれども、図示は省略する。図は、編糸受け部17hに編糸が掛かっていないで、しかもキャリッジのシンカー前カム11やシンカー後カム12による規制も受けない完全なフリーの状態であり、揺動腕17bの底部がニードルプレート4のシンカー収容部4bの底部に当接して規制されるまで、揺動腕17bの先端部17gは、下限まで歯口5に進出している。
図4は、図3の横編機21での編目形成時の動作状態を示す。可動シンカー17の揺動変位は、実線で示す上限と、二点鎖線で示す下限との間で可能となる。可動シンカー17のループ形成部17fは、この揺動変位で揺動腕17bの外縁がヤーンガイドスペーサー8の編糸ガイド部8aで編糸が案内される位置付近を範囲として設けられる。上限でもループ形成部17fの先端は、針底面よりも下方にあり、編糸受け部17hの窪みの奥は、べら6bの回動軸の中心よりも高くなっているので、充分に深い窪みが形成されることが判る。したがって、目の詰んだ編目のクリア時に、編糸受け部17aの窪みの奥が編針6の針底面から、べら6bの回動中心よりも高い位置に達しても、シンカーループを編糸受け部17hに係止しておくことができる。
図5は、図3の横編機21でクリア直前の動作状態を示す。シンカー前カム11による揺動腕17bの上限の規制はあるけれども、図4よりも高い位置となるので、編糸受け部17hの窪みの奥は、図4での上限規制時よりも、さらに高い位置に達することができる。ループ形成部17fの先端から窪みの奥までの深さが充分に確保されているので、度詰め編成時にシンカーループ13bをニードルループ13aに近い高さまで接近させても、シンカーループ13bが編糸受け部17hから抜出しにくくすることができる。
図6は、図3の横編機21で目移し時の目渡し側での動作状態を示す。編針6の前進で、ニードルループ13aがクリアされ、さらに編針6の肩6cまで移動すると、肩6cとともにシンカーループ13bは歯口5に進出するようになる。シンカーループ13bは、歯口5に進出する間に編糸受け部17hから抜出す。シンカーループ13bが編糸受け部17hから抜出せないと、編糸が過剰に引張られて、隣接する編目が縮小したり、編糸が切断したりするおそれがある。特に、隣接する複数の編目を同時に目移しする際には、隣接する編目からの編糸の補給が無いので、編糸が切断しやすくなる。可動シンカー17では、編糸受け部17hから傾斜内縁17iに沿ってシンカーループ13bが揺動腕17bを反時計回り方向に起しながら抜出すことができる。
図7は、図3の横編機21で、可動シンカー17に関連する主要部品を示す。スペーサー22は、編針6の上方を覆うように取付けられる。可動シンカー17以外の部品は、可動シンカー7と組合わせても使用することができる。可動シンカー7は、編目が細かくなる側の度詰め編成よりも、編目の粗くなる側の編成に適している。可動シンカー17と可動シンカー7とを交換すれば、広い範囲の編目の編成に対応させることができる。
図8は、図3の横編機21のキャリッジに搭載されるカムの例を、針床2の表面に臨む側のカム配置として、簡略化して示す。ただし、シンカー前カム11およびシンカー後カム12は、針床2の表面に臨む方向を上にして示す。このようなカムは、対向する針床2に対してそれぞれ設けられる。また、キャリッジには複数組のカムを搭載し、1回の走行で、複数回の動作を可能にする場合もある。キャリッジは往復走行するので、各カムは基本的に左右対称となるように形成される。図では、右から左の方向にキャリッジが走行する場合を想定する。針床2側に設けられる編針6や可動シンカー17は、相対的に、左から右に移動する。
シンカー前カム11には、可動シンカー17の揺動腕17bが歯口5から退出するのを規制することが必要な範囲に、規制凸部11a,11bが設けられる。シンカー後カム12には、切換カム12a,12bと、移動カム12cとが設けられる。切換カム12a,12bは、キャリッジの走行が向う側が作用し、他方が作用しないように連動する。図では、左方の切換カム12aが可動シンカー17の作動腕17cを押圧し、揺動腕17bを歯口5から退出させる。切換カム12aでの作動部17cへの押圧が無くなると、ばね17eによる付勢で揺動腕17bは歯口5に再進出し、シンカーループ13bは編糸受け部17hで係止されて押下げられる。
編針6に作用するカムとしては、編成カム23と目渡しカム24とが設けられる。編成カム23には、左右の度山カム23a,23bと、ニードルレイジングカム23cと、目受けカム23dとが含まれる。度山カム23a,23bは、キャリッジの走行が向う反対側が編針6のバットに作用し、ニードルレイジングカム23cで歯口5に進出させて、編糸の供給を受けた編針6のフック6aを引込んで編目を形成する。図のAに示す位相で、図4に示すような編目形成が行われる。この左行に続く右行では、切換カム12bの作用で、ループ形成部17fで形成されるニードルループ13bが編糸受け部17hに移り、図11(a)に示すような状態となる。
図に示す左行時に、図11(a)の状態となっている編目は、編針6がニードルレイジングカム23cの作用で歯口5側に進出する際に、Bに示す位相で、図5や図11(b)に示すクリア直前の状態となる。さらにキャリッジが左行すると、ニードルループ13aはべら6bから後方の針幹に移行する。ただし、ニードルレイジングカム23cによる作用では、ニードルループ13aは肩6cまで移動することはなく、編針6が引下げられるようになると、べら6bを外側から閉じて、フック6aに新たなニードルループ13aが形成された後で、フック6aを乗越えて旧ループ14となる。
目移しのための目渡し側では、編針6に、編成カムが作用するバットよりも前方に設けられるバットに、目渡しカム24が作用して、編針6を歯口5にさらに進出させる。編成カム23と目渡しカム24とは、一部のカムの出没で切換えることができる。Cに示す位相で、図6や図11(c)に示す状態となる。可動シンカー17では、傾斜内縁17iを設けて、編糸受け部17hからシンカーループ13bが容易に抜出せるようにしている。
以上のように、本発明の可動シンカー17を備える横編機21では、編目受け部17hの窪みの奥の高さを、編目形成時の上限規制状態で針底面よりも高くすることによって、従来の度詰め限界を超えて、同一の横編機でより小さい編目を形成し、目移しにも支障がないようにすることができる。特に、可動シンカー17の揺動の範囲については、編目の細かい側への幅が増え、目の詰んだ編目の編成に適合させることができる。従来のような可動シンカー7では、目の詰んだ編目を確実にクリアさせるためには、ばねによる付勢力を大きくしたり、歯口5に設ける編地の引下げ装置による引下げ力を大きくしたりして、編糸受け部7hからシンカーループ13bが抜けるのを防ぐ必要がある。可動シンカー17では、このように付勢力を大きくする必要はないので、細かい編目を強く押え過ぎないようにして、編地品質を向上させることができる。また、ばねで適切に付勢するので、引下げ装置による過大な引下げ力を避けることができ、引下げ装置の負荷軽減と、編地の変形などを避けて品質向上を図ることができる。
2 針床
4 ニードルプレート
5 歯口
6 編針
6a フック
6b べら
8 ヤーンガイドスペーサー
11 シンカー前カム
12 シンカー後カム
13a ニードルループ
13b シンカーループ
17 可動シンカー
17a 支持部
17b 揺動腕
17d 揺動中心
17e ばね
17f ループ形成部
17h 編糸受け部
17i 傾斜内縁
21 横編機
4 ニードルプレート
5 歯口
6 編針
6a フック
6b べら
8 ヤーンガイドスペーサー
11 シンカー前カム
12 シンカー後カム
13a ニードルループ
13b シンカーループ
17 可動シンカー
17a 支持部
17b 揺動腕
17d 揺動中心
17e ばね
17f ループ形成部
17h 編糸受け部
17i 傾斜内縁
21 横編機
Claims (6)
- 揺動腕と作動腕との間の支持部を、歯口に進退するフックをべらの回動で開閉するべら針が編針として使用される横編機の針床の歯口側端縁付近に設けられる支承部で、揺動変位可能に支持し、揺動腕が歯口に前進するようにばねで付勢するとともに、作動腕に対する操作で揺動腕を歯口から後退させることも可能であり、
大略的に弧形状の揺動腕は、
支持部の揺動中心からの直線距離が最大となる区間を含む一定の範囲の外縁に設けられて、編目のシンカーループを形成するループ形成部と、
ループ形成部に対して、弧形状の先端側に設けられ、揺動中心からの直線距離がループ形成部よりも小さくなる先端部と、
ループ形成部と先端部との間で、弧形状の先端側に開口し、弧形状の基端側に深くなる窪みとして形成され、ループ形成部のシンカーループとなっている編糸を歯口の下方に押込んで受ける編糸受け部と、
を有し、
フックで編糸を歯口から引込んでニードループを形成し、ループ形成部でシンカーループを形成する際に、編糸が前記一定の範囲から外れないように、歯口から後退する上限が規制される可動シンカーにおいて、
前記上限で、編糸受け部の窪みの奥は、べら針が進退する針底面を越える高さに達し、
かつ窪みの幅は奥よりも開口側で開くように、窪みの両側の内縁のうちでループ形成部側に連なる側の内縁が傾斜している、
ことを特徴とする可動シンカー。 - 前記編糸受け部の窪みの奥は、前記上限で、前記べら針のべらの回動中心を越える高さに達する、
ことを特徴とする請求項1記載の可動シンカー。 - 前記編糸受け部は、前記弧形状の先端側に開口する幅よりも、窪む深さが深い、
ことを特徴とする請求項1記載の可動シンカー。 - 前記編糸受け部は、前記弧形状の先端側に開口する幅よりも、窪む深さが深い、
ことを特徴とする請求項2記載の可動シンカー。 - 前記横編機の針床に、14から16ゲージ相当のピッチで前記編針が並設される場合、
前記を編糸受け部が前記ループ形成部の前記周方向の基端側に窪む深さは、1mm以上である、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の可動シンカー。 - 請求項1〜4のいずれか一つに記載の可動シンカーを備えることを特徴とする横編機。
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CN103938358A (zh) * | 2014-04-11 | 2014-07-23 | 冯加林 | 一种沉降片 |
JP2014201861A (ja) * | 2013-04-08 | 2014-10-27 | 株式会社島精機製作所 | 可動シンカーを備える横編機 |
CN107904768A (zh) * | 2017-12-29 | 2018-04-13 | 东莞市津马精密五金有限公司 | 一种弹性沉降片 |
CN111733514A (zh) * | 2020-07-20 | 2020-10-02 | 孙荣飞 | 可动挡纱片和具有该挡纱片的针织装置及编织方法 |
WO2024075449A1 (ja) * | 2022-10-05 | 2024-04-11 | 株式会社島精機製作所 | 可動シンカーを備える横編機および可動シンカー |
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