JP2011094029A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、このような構造を有するポリカーボネートは、従来のビスフェノール構造からなる芳香族ポリカーボネートに比べると熱安定性が悪いため、反応装置表面の微量不純物や反応装置表面の何らかの表面状態の差により、ポリカーボネートが着色する場合
があった。
しかしながら、特定構造を有するジヒドロキシ化合物として、例えばイソソルビドを用いて得られるポリカーボネート樹脂は、芳香族ジオール骨格を持ったポリカーボネートに比べて解重合速度が遅いため、従前知られたような方法で有機溶媒などと接触させても不純物などを充分に除去することができない場合があることから、イソソルビドを用いたポリカーボネートを製造した設備で、再度イソソルビドを用いたポリカーボネートを製造する場合や、異なる構造を有するポリカーボネートを製造する場合、続いて製造するポリカーボネートの色調悪化や物性低下や重合速度の遅延を招くことがあった。
[2] 前記反応槽処理工程の前に、反応槽と下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物とを接触させる反応槽前処理工程を有する、[1]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[3] 前記反応槽処理工程の前に、前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合液と、反応槽とを接触させる反応槽処理工程を有する、[1]または[2]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[5] 前記反応槽処理工程の後に製造するポリカーボネートと同種であって、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が4000〜18000のポリカーボネートと、反応槽とを接触させる反応槽後処理工程を有する、[1]から[4]のいずれか1つに記載のポリカーボネートの製造方法。
本発明のポリカーボネートの製造方法は、分子内に下記構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換させてポリカーボネートを製造するポリカーボネート製造工程、および、該エステル交換を行う前に該エステル交換を行う反応槽と芳香族ヒドロキシ化合物とを接触させる反応槽処理工程を有するものである。
なお、以下、分子内に構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物、および炭酸ジエステルを纏めて「原料モノマー」と呼ぶ場合がある。
<ジヒドロキシ化合物>
本発明における構造式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物としては、分子内に構造式(1)で表される構造を有していれば特に限定されるものではないが、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記構造式(4)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
特にこれらのジヒドロキシ化合物のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能なグルコースから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明のポリカーボネートの製造方法で用いられる炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートがあげられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明に係るポリカーボネートの製造方法は、分子内に構造式(1)で表される構造を有する前記ジヒドロキシ化合物と、前記炭酸ジエステルとをエステル交換させてポリカーボネートを製造する。このエステル交換させてポリカーボネートを製造する工程を、ポリカーボネート製造工程という。
族金属」及び「第2族金属」と同義として用いる。
またアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と併用される塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
上記重合触媒としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、その使用量は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常0.1μモル〜25μモル、好ましくは0.5μモル〜20μモル、さらに好ましくは0.5μモル〜15μモルの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネートの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になる。
一方、脂環式ジヒドロキシ化合物や他のジヒドロキシ化合物も、固体として供給しても良いし、加熱して溶融状態として供給しても良いし、水に可溶なものであれば、水溶液として供給しても良い。
本発明において、前記ジヒドロキシ化合物、例えば前記構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物と必要に応じて用いられる他のジヒドロキシ化合物とを重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
本発明の方法において、ポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物又はこれらの金属塩を重合時に添加することができる。
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
また、このようにして製造されたポリカーボネートには、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネートを得た後に、後に記載する配合方法で、さらに亜リン酸化合物を配合すると、重合時のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
また、本発明のポリカーボネートには、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。
これら酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜0.5重量部が好ましい。
<反応槽処理工程>
本発明の特徴の一つは、ポリカーボネート製造工程でエステル交換を行う前に、該エステル交換を行う反応槽と芳香族ヒドロキシ化合物を接触させる工程を有することにあり、当該工程を反応槽処理工程という。
また、反応槽内に芳香族ヒドロキシ化合物を保持する場合、攪拌を行うことも好ましい。この場合の攪拌速度は任意であるが、攪拌レイノルズ数が20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上、特には100以上が好ましい。
また、反応槽処理工程の際の反応槽内の温度(液温)は、反応槽内の溶液が沸騰せず且つ凝固しない範囲であれば任意に選択することができるが、通常150度以上300℃以下であり、より好ましくは170度以上280℃以下であって、特に好ましくは190度以上250℃以下である。
出方法としては反応槽に設けられた弁を開放する方法のほか、排出用の管またはチューブを反応槽内に挿入しポンプなどを用いて抜き出しても構わない。更に、反応槽内を減圧下に保持して排出することもできる。なお、芳香族ヒドロキシ化合物を排出後、再び芳香族ヒドロキシ化合物と接触させて反応槽処理工程を複数回繰り返しても構わない。
芳香族環としては、単環であっても多数の縮合環であっても構わないが、より低分子量化することにより反応槽内に高分子化合物が残留することを防止して、製造するポリカーボネートの着色を低く抑えることができ、しかもより高分子量のポリカーボネートを得ることができるという点で、環の数が少ないものが好ましく、好ましくは3環以下であって、特に好ましくは単環のものが用いられる。
なかでも、反応槽処理工程後に反応槽内に芳香族ヒドロキシ化合物が残存した場合でも、エステル交換反応に何らかの影響が及ばないようにするため、使用する芳香族ヒドロキシ化合物としては、エステル交換反応で生成するものと同じものが好適に使用される。具体的に例えば、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用した場合には、エステル交換反応によりフェノールが生成するため、このような場合には芳香族ヒドロキシ化合物としてフェノールが好適に用いられる。また、用いられた芳香族ヒドロキシ化合物を、昇温・減圧等の操作により容易に反応槽外に排出することができるという点でも、より低分子量の芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく、フェノールが好適に用いられる。
更に本発明においては、前記反応槽処理工程の前に、エステル交換を行う反応槽と下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物とを接触させる工程を有していてもよく、当該工程を反応槽前処理工程という。
反応槽処理工程に要する時間は、任意に選択することができるが、通常0.2時間以上10時間以下であり、より好ましくは0.5時間以上7時間以下であって、特に好ましくは1時間以上5時間以下である。
反応槽処理工程で用いられた一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物は、処理工程後排出されるが、排出方法としては槽に設けられた弁を開放する方法のほか、排出用の管またはチューブを反応槽内に挿入しポンプなどを用いて抜き出しても構わない。更に、反応槽内を減圧下に保持して排出することもできる。なお、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物を排出後、再び一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物と接触させて反応槽処理工程を複数回繰り返しても構わない。
一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としてより具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールなどがあげられる。
本発明に係るポリカーボネートの製造方法において、反応槽処理工程及び反応槽前処理工程を経ると、反応槽内に残存するポリカーボネートの解重合が進行し、より低分子量のポリカーボネートが生成する。そのため、反応槽処理工程および反応槽前処理工程の後に、反応槽から抜出される液中には、ポリカーボネートが存在するが、当該ポリカーボネートのポリスチレン換算数平均分子量(以下、Mnと略記することがある)は、4000以下であることが望ましく、より好ましくは3000以下であって、特に好ましくは2500以下である。ポリカーボネートのMnが4000以上の場合、反応槽処理工程及び反応槽前処理工程を経た後にも反応槽にポリカーボネートが残存する場合があるため、製造す
るポリカーボネートの色調悪化を招く虞がある。
本発明のポリカーボネートの製造方法では、反応槽処理工程の後、ポリカーボネートを製造するが、反応槽処理工程後であって且つポリカーボネート製造の前に、反応槽とポリカーボネートと接触させることが好ましい。
この場合、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)4000〜18000のポリカーボネートを用いるのが好ましく、より好ましくは6000〜14000が用いられる。
以下において、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の物性、特性の評価は次の方法により行った。
・粘度平均分子量(Mv)
ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
[η]=1.23×10−4(Mv)0.83
・数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記の条件で測定した。
装置:東ソー株式会社製品、HLC−8020
カラム:充填剤としてそれぞれTSK 5000HLX、4000HLX、3000HLX及び2000HLX(いずれも東ソー株式会社製品)を充填した4本のカラム(直径φ7.8mm、長さ300mm)を接続して用いた。
検出器:屈折率計
溶離液:テトラヒドロフラン
検量線:(株)ケムコ製の標準ポリスチレン(分子量;761(Mw/Mn≦1.14)、2000(Mw/Mn≦1.20)、4000(Mw/Mn≦1.06)、9000(Mw/Mn≦1.04)、17500(Mw/Mn≦1.03)、50000(Mw/Mn≦1.03)、233000(Mw/Mn≦1.05)、600000(Mw/Mn≦1.05)及び900000(Mw/Mn≦1.05)を用いて作成した。
操作:屈折率差により検出して得られたチャートより、Mw及びMnをポリスチレン換算で求めた。
(2)色相測定
測色色差計(日本電色工業株式会社製 ZE―2000)を使用し、C光源透過法にて色の3刺激値を測定し、黄色変色の指標として、下記式よりイエローインデックス(YI)値を算出した。
<イソソルビドの蒸留>
ここで、複素環含有ポリカーボネート樹脂A、Bの製造に用いたイソソルビドの蒸留方法は次の通りである。
イソソルビドを蒸留容器に投入した後、徐々に減圧を開始後、加温を行い、内温約100℃で溶解した。その後、内温160℃にて溜出を開始した。このときの圧力は133〜266Paであった。初溜を取った後、内温160〜170℃、塔頂温度150〜157℃、133Paで蒸留を実施した。蒸留終了後、アルゴンを入れ、常圧に戻した。得られた蒸留品をアルゴン気流下で冷却粉砕し、蒸留精製したイソソルビドを得た。このものは、アルミラミネート袋に窒素気流下で、エージレス(三菱ガス化学社製)を同封して室温にてシール保管した。
(複素環含有ポリカーボネートA−1の製造)
(参考例1)
蒸留したイソソルビド4077g、トリシクロデカンジメタノール(以下「TCDDM」と略記する。)2347g、ジフェニルカーボネート8538g、及び触媒として、9.8×10−6mol/mlに調整した炭酸セシウム水溶液5.09mlを反応容器に投
入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて撹拌しながら、原料を溶解させた(約15分間)。
反応容器全体を190℃で15分間保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を240℃まで、30分間で上昇させた。昇温に入ってから10分後に、反応容器内の圧力を30分間かけて0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の撹拌トルクに到達後、反応を停止し、反応容器出口より溶融状態のポリカーボネートを抜出した。
ビスフェノールA6700g、ジフェニルカーボネート6570g、及び触媒として、9.8×10−6mol/mlに調整した炭酸セシウム水溶液1.50mlを反応容器に
投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて撹拌しながら、原料を溶解させた(約15分間)。
反応容器全体を220℃で60分間保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を280℃まで、20分間で上昇させた。昇温に入ってから10分後に、反応容器内の圧力を40分間かけて0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。150分後所定の撹拌トルクに到達し、反応を停止し、反応容器出口より溶融状態のポリカーボネートを抜出した。
参考例1と同様にポリカーボネートを製造後、溶解した4000gのフェノールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。60分後、加熱槽温度を250℃に加熱し、攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で120分間攪拌後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、フェノールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
(実施例2)
参考例1と同様にポリカーボネートを製造後、6000gのエチレングリコールを投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を200℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。120分後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、エチレングリコールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。抜出し完了後、溶解した4000gのフェノールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。
60分後、加熱槽温度を250℃に加熱し攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で120分間攪拌後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、フェノールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
(実施例3)
参考例1と同様にポリカーボネートを製造後、5400gのトリエチレングリコールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を240℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。50分後、加熱槽温度を300℃に加熱し攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で120分間攪拌し、その後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、トリエチレングリコールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。抜出し完了後、溶解した4000gのフェノールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。60分後、加熱槽温度を250℃に加熱し120分間攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で攪拌後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、フェノールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
(実施例4)
参考例1と同様にポリカーボネートを製造後、ビスフェノールA4500g、ジフェニルカーボネート4222gを投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を260℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。抜出し完了後、溶解した4000gのフェノールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。60分後、加熱槽温度を250℃に加熱し120分間攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で攪拌後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、フェノールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分間で減圧し、加熱槽温度を190℃まで40分間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
(実施例5)
参考例1と同様にポリカーボネートを製造後、溶解した4000gのフェノールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。20分後、加熱槽温度を170℃に加熱し60分間攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で攪拌後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、フェノールを反応容器外へ抜出した。攪拌停
止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
(実施例6)
実施例1と同様に洗浄を実施したのちに、ビスフェノールA6700g、ジフェニルカーボネート6570g、及び触媒として、9.8×10−6mol/mlに調整した炭酸セシウム水溶液1.50mlを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を220℃に加熱し、必要に応じて撹拌しながら、原料を溶解させた(約15分間)。
反応容器全体を220℃で60分間保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を280℃まで、20分間で上昇させた。昇温に入ってから10分後に、反応容器内の圧力を40分間かけて0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。100分後反応を停止し、反応容器出口より溶融状態のポリカーボネート(ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)14300)を抜出した。
(比較例1)
参考例1と同様にしてポリカーボネートを製造後、参考例2と同様にしてポリカーボネートを製造した。実施例1と同様にして測定した各種物性値を表1に示す。
参考例1と同様にしてポリカーボネートを製造後、5400gのトリエチレングリコールを反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を240℃に加熱し、必要に応じて攪拌レイノルズ数が約120となる攪拌条件下で撹拌した。50分後、加熱槽温度を300℃に加熱し120分間攪拌し、その後、反応容器内の圧力を4.4kPaに30分間かけて減圧し、トリエチレングリコールを反応容器外へ抜出した。攪拌停止後、反応容器出口より解重合したポリカーボネートオリゴマーを抜出した。
Claims (6)
- 前記反応槽処理工程の前に、前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合液と、反応槽とを接触させる反応槽処理工程を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 反応槽処理工程および反応槽前処理工程から選ばれる少なくとも一つの処理の後に、反応槽から抜出される処理液に含まれるポリカーボネートのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が、4000以下であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記反応槽処理工程の後に製造するポリカーボネートと同種であって、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が4000〜18000のポリカーボネートと、反応槽とを接触させる反応槽後処理工程を有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
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