JP2011094015A - トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】加硫戻りを抑制しつつ、低燃費性、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善でき、また加工性にも優れたタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、ガラス転移温度が10℃以下であり、芳香族ビニル単量体単位の含有量が95質量%以上である芳香族ビニル重合体と、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物とを含有するトレッド用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来からタイヤ用ゴム組成物には、優れた引き裂き強さを示す天然ゴム、ブタジエンなどの合成ゴムがゴム成分として広く使用されている。このゴム組成物において天然ゴムを使用すると、硫黄加硫により、ゴムが劣化したり、架橋状態が悪くなる加硫戻り(リバージョン)と呼ばれる現象が生じる。
また、近年、タイヤの生産性を高めるため、高温短時間の加硫を行ってタイヤが生産されることが多くなっているが、このような場合、特に上記現象が顕著となる。更には、加硫戻りによりモジュラスや硬度が低下したり、不必要にtanδが増加し、燃費が悪化することもある。
特許文献1には、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸亜鉛塩との混合物を用いて、加硫戻りを抑制しつつ、転がり抵抗、加工性、耐摩耗性、ウェットスキッド性能を改善することが提案されている。また、特許文献2には、グリップ性能及び耐摩耗性を改善する方法として、芳香族ビニルモノマーのみを重合して得られた重合体を配合する方法が開示されている。
しかしながら、加硫戻りを抑制しつつ、低燃費性、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善することは困難であるため、この点について未だ改善の余地があった。
特開2007−321041号公報 特開2007−112994号公報
本発明は、上記課題を解決し、加硫戻りを抑制しつつ、低燃費性、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善でき、また加工性にも優れたタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、ガラス転移温度が10℃以下であり、芳香族ビニル単量体単位の含有量が95質量%以上である芳香族ビニル重合体と、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物とを含有するトレッド用ゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物において、上記ゴム成分100質量部に対して、上記芳香族ビニル重合体を5〜150質量部、上記脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物を1〜10質量部含有することが好ましい。
上記芳香族ビニル重合体の芳香族ビニル単量体単位の含有量は100質量%であることが好ましい。またこの場合、該芳香族ビニル重合体はポリスチレンであることが好ましい。
上記ゴム組成物において、上記ゴム成分中のスチレンブタジエンゴムの含有量は30質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ガラス転移温度が一定以下であり、かつ芳香族ビニル単量体単位の含有量が一定以上である芳香族ビニル重合体と、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物とを含有するゴム組成物であるので、該ゴム組成物をトレッドに使用することにより、加硫戻りを抑制しつつ、低燃費性、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善した空気入りタイヤを提供できる。また、該ゴム組成物は、加工性も良好である。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、ガラス転移温度が一定以下であり、かつ芳香族ビニル単量体単位の含有量が一定以上である芳香族ビニル重合体と、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物とを含有する。上記混合物を配合することで加硫戻りを抑制でき、転がり抵抗を低減できる。更に上記特定の芳香族ビニル重合体を併用することにより、tanδを高めてグリップ性能を改善できるとともに、耐摩耗性も改善できる。そして以上の効果は相乗的に発現するので、これらの性能を非常にバランス良く改善することが可能となる。
更に、高温短時間の加硫でもリバージョンを抑制できるため、生産性を高めることもできるとともに、未加硫ゴム組成物において良好な加工性を得ることも可能である。
本発明のゴム組成物に使用するゴム成分としては特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のジエン系ゴムを使用することができる。なかでも、転がり抵抗とグリップ性能が有利であるという理由から、SBR、NRを用いることが好ましく、SBR及びNRを併用することがより好ましい。
SBRとしては、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)が挙げられるが、スチレン及びビニルの自由度が高く、グリップ性能などの性能を充分に向上できるように設計しやすいという理由から、S−SBRが好ましい。
S−SBRとしては、SnやSiなどでカップリングされて高分子量化されたものを使用できる。S−SBRのカップリング方法は、常法に従って、例えば、S−SBRの分子鎖末端のアルカリ金属(Liなど)又はアルカリ土類金属(Mgなど)を、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素などと反応させることによって得ることができる。また、エポキシ基でカップリングしたS−SBRも使用できる。
また、S−SBRとしては、上記ゴムの重合末端及び/又は主鎖を変性したもの(変性によりシラノール基と反応可能な官能基を導入)を用いることもできる。例えば、ゴムの重合末端のアルカリ金属やアルカリ土類金属をアミド類、尿素類、ラクタム類等の種々の化合物と反応させることで末端変性したもの(例えば、末端にエポキシ基、アミノ基等を導入したもの)が挙げられる。
S−SBRのスチレン単位量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン単位量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
またS−SBRのビニル単位量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。該ビニル単位量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。
S−SBRのスチレン単位量やビニル単位量が上記範囲内であると、転がり抵抗を低減できるとともに、良好な耐摩耗性が得られる。また、優れたグリップ性能を得ることもできる。
なお、スチレン単位量及びビニル単位量は、H−NMR測定により算出できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。30質量%未満であると、グリップ性能が劣る傾向がある。また、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。95質量%を超えると、摩耗性能が低下する傾向がある。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、破壊性能が劣る傾向がある。また、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。50質量%を超えると、グリップ性能が低下する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のSBR及びNRの合計含有量は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%である。75質量%未満であると、ゴムの加工性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、芳香族ビニル重合体を含有する。本明細書において、芳香族ビニル重合体とは、芳香族ビニル単量体単位の含有量が95質量%以上のものをいう。なお、上記芳香族ビニル重合体は、ゴム成分には含まれない。
芳香族ビニル重合体を構成する芳香族ビニル単量体(単位)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは1種であってもよく、2種以上であってもよい。なかでも、経済的で、加工しやすく、グリップ性に優れていることから、スチレン、α−メチルスチレン及び1−ビニルナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、スチレンであることがより好ましい。
芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニル単量体単位以外の成分(エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等)も含んでもよいが、該成分の含有量をできるだけ少なくすることが好ましい。エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体は、ゴム成分との相溶性が悪いため、該オレフィン系単量体単位の含有量が多くなると、ブリードアウトが発生しやすくなる傾向がある。また、ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体は、ゴム成分との共架橋によりヒステリシスロスが低下するため、該ジエン系単量体単位の含有量が多くなると、グリップ性能が悪化する傾向がある。このような理由から、芳香族ビニル重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有量は、95質量%以上、好ましくは97質量%以上、より好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。すなわち、上記芳香族ビニル重合体としては、芳香族ビニル単量体の単独重合体が好ましく、ポリスチレンが特に好ましい。
芳香族ビニル重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−50℃以上、より好ましくは−45℃以上、更に好ましくは−40℃以上である。−50℃未満の場合、ゴム中のヒステリシスロスが小さく、グリップ性能が低下する傾向がある。また、芳香族ビニル重合体のTgは、10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃以下である。10℃を超えると、耐摩耗性及び低温時のグリップ性能が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、Tgは、JIS−K7121に従い、(株)島津製作所製の自動示差走査熱量計(DSC−60A)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
芳香族ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300以上、より好ましくは350以上である。300未満では、転がり抵抗特性及びグリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下である。20000を超えると、転がり抵抗特性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
芳香族ビニル重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満であると、グリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。また、芳香族ビニル重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。150質量部を超えると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
本発明では、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物が使用される。これにより、NRのリバージョンを抑制でき、転がり抵抗が低く、耐摩耗性が良好なゴム組成物を製造できる。また、高い剛性が得られ、優れた操縦安定性が得られる。特に、高温で加硫した際のこれら特性の低下を抑制できる。更に、該混合物を上記芳香族ビニル重合体と併用することにより、本発明の効果が相乗的に得られ、上述の効果をバランス良く得ることが可能となる。
脂肪族カルボン酸の亜鉛塩における脂肪族カルボン酸としては、やし油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、アーモンド油、カノーラ油、落花生油、米糖油、カカオ脂、パーム油、大豆油、綿実油、胡麻油、亜麻仁油、ひまし油、菜種油などの植物油由来の脂肪族カルボン酸、牛脂などの動物油由来の脂肪族カルボン酸、石油等から化学合成された脂肪族カルボン酸などが挙げられるが、環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもでき、更に、加硫戻りを充分に抑制できることから、植物油由来の脂肪族カルボン酸が好ましく、やし油、パーム核油又はパーム油由来の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
脂肪族カルボン酸の炭素数は4以上が好ましく、6以上がより好ましい。脂肪族カルボン酸の炭素数が4未満では、分散性が悪化する傾向がある。脂肪族カルボン酸の炭素数は16以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。脂肪族カルボン酸の炭素数が16を超えると、加硫戻りを充分に抑制できない傾向がある。
なお、脂肪族カルボン酸中の脂肪族としては、アルキル基などの鎖状構造でも、シクロアルキル基などの環状構造でもよい。
芳香族カルボン酸の亜鉛塩における芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、メリト酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、ジフェン酸、トルイル酸、ナフトエ酸などが挙げられる。なかでも、加硫戻りを充分に抑制できることから、安息香酸、フタル酸又はナフトエ酸が好ましい。
混合物中の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との含有比率(モル比率、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩/芳香族カルボン酸の亜鉛塩、以下、含有比率とする)は1/20以上が好ましく、1/15以上がより好ましく、1/10以上が更に好ましい。含有比率が1/20未満では、環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもできないうえに、混合物の分散性及び安定性が悪化する傾向がある。また、含有比率は20/1以下が好ましく、15/1以下がより好ましく、10/1以下が更に好ましい。含有比率が20/1を超えると、加硫戻りを充分に抑制できない傾向がある。
混合物中の亜鉛含有率は3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。混合物中の亜鉛含有率が3質量%未満では、加硫戻りを充分に抑制できない傾向がある。また、混合物中の亜鉛含有率は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。混合物中の亜鉛含有率が30質量%を超えると、加工性が低下する傾向があるとともに、コストが不必要に上昇する。
混合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満では、十分な耐加硫戻り性を確保できず、転がり抵抗低減効果などの改善効果が得られにくくなる傾向がある。該混合物の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。10質量部を超えると、ブルームする傾向が大きくなるとともに、粘度が不必要に低下して加工性が悪化する傾向がある。
本発明では、上記芳香族ビニル重合体及び混合物に加えて、更に補強用充填剤を配合することが好ましい。補強用充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物においで慣用されるものであれば特に制限はないが、主としてカーボンブラックを使用することが好ましい。これらの補強用充填剤は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明のゴム組成物において、使用できるカーボンブラックの例としては、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
カーボンブラックとしては、平均粒子径が31nm以下及び/又はDBP吸油量が100ml/100g以上のものが好ましい。粘度が低すぎると、未加硫ゴム組成物が取り扱いにくくなる上、成形物同士が過粘着して成形性が悪化したり、作業性が損なわれたりするが、前記特性を持つカーボンブラックを、上記混合物とともに使用すると、未加硫ゴムの粘度を上昇させ、加工性を改善できる。また、このようなカーボンブラックを配合することによって、ブロック剛性、耐偏摩耗性、耐摩耗性、破壊強度を確保することもできる。
カーボンブラックの平均粒子径が31nmを超えると、補強性が悪化する傾向がある。上記平均粒子径は、より好ましくは25nm以下、更に好ましくは23nm以下である。また、上記平均粒子径は、好ましくは15nm以上、より好ましくは19nm以上である。15nm未満であると、加工性が悪化し、分散が悪くなる上、コストも高くなる傾向がある。
本発明において平均粒子径は数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
カーボンブラックのDBP吸油量が100ml/100g未満であると、良好な低燃費性が得られなくなる傾向がある。上記DBP吸油量は、より好ましくは105ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、上記DBP吸油量は、好ましくは160ml/100g以下、より好ましくは130ml/100g以下である。160ml/100gを超えると、良好な破壊特性が得られなくなる傾向がある。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。50m/g未満であると、補強性が低下し、破壊強度が悪化する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。200m/gを超えると、加硫後のゴム組成物の低発熱性が劣り、低燃費性が悪化する傾向がある。カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217、7項のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、補強性が不足し、必要なブロック剛性、操縦安定性、耐偏摩耗性、破壊強度を確保しにくくなる傾向がある。また、上記カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。100質量部を超えると、加工性が悪化したり、硬度が高くなりすぎる傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上記成分に加え、オイル、酸化亜鉛、粘着付与剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等、必要に応じた添加剤が適宜配合され得る。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の混練機で上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッドとして用いられるものである。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを製造することができる。
上記空気入りタイヤは、乗用車、トラックやバスなどの重荷重車に好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3(テックビーハング社製)
SBR:旭化成ケミカルズ(株)製のE15(エポキシ基でカップリングしたS−SBR、スチレン単位量:23質量%、ビニル単位量:64質量%、末端基:なし)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(NSA:114m/g、平均粒子径:20nm、DBP吸油量:114ml/100g)
アロマオイル:ダイアナプロセスAH−24(出光興産(株)製)
混合物(脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物):ストラクトール社製のアクチベーター73A((i)脂肪族カルボン酸亜鉛塩:やし油由来の脂肪酸(炭素数:8〜12)の亜鉛塩、(ii)芳香族カルボン酸亜鉛塩:安息香酸亜鉛、含有モル比率:1/1、亜鉛含有率:17質量%)
芳香族ビニル重合体(1):下記製造例1で合成(芳香族ビニル単量体単位:スチレン、スチレン含有量:100質量%、ガラス転移温度:−20℃、重量平均分子量:830)
芳香族ビニル重合体(2):下記製造例2で合成(芳香族ビニル単量体単位:スチレン、スチレン含有量:100質量%、ガラス転移温度:0℃、重量平均分子量:1020)
芳香族ビニル重合体(3):下記製造例3で合成(芳香族ビニル単量体単位:1−ビニルナフタレン、1−ビニルナフタレン含有量:100質量%、ガラス転移温度:0℃、重量平均分子量:860)
芳香族ビニル重合体(4):下記製造例4で合成(芳香族ビニル単量体単位:スチレン、スチレン含有量:100質量%、ガラス転移温度:50℃、重量平均分子量:3130)
酸化亜鉛:酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製)
硫黄:粉末硫黄(軽井沢硫黄(株)製)
加硫促進剤:ノクセラーCZ(大内新興化学工業(株)製)
製造例1(芳香族ビニル重合体(1)の合成)
充分に窒素置換した50ml容器に、ヘキサン35ml、スチレン5ml及び1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.7mlを混入し、室温で1時間撹拌した後、メタノールを添加することで反応を停止させ、芳香族ビニル重合体(1)を合成した。
製造例2(芳香族ビニル重合体(2)の合成)
充分に窒素置換した50ml容器に、ヘキサン35ml、スチレン5ml及び1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液3.4mlを混入し、室温で1時間撹拌した後、メタノールを添加することで反応を停止させ、芳香族ビニル重合体(2)を合成した。
製造例3(芳香族ビニル重合体(3)の合成)
充分に窒素置換した50ml容器に、ヘキサン35ml、1−ビニルナフタレン5ml及び1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.3mlを混入し、室温で1時間撹拌した後、メタノールを添加することで反応を停止させ、芳香族ビニル重合体(3)を合成した。
製造例4(芳香族ビニル重合体(4)の合成)
充分に窒素置換した50ml容器に、ヘキサン35ml、スチレン5ml及び1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.9mlを混入し、室温で1時間撹拌した後、メタノールを添加することで反応を停止させ、芳香族ビニル重合体(4)を合成した。
実施例1〜6及び比較例1〜5
表1に示す配合内容にしたがって、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、50℃の条件下で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、表1に示された加硫条件でプレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、表1に示された加硫条件で加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:215/45R17サイズ)を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを用いて、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)リバージョン率
キュラストメーターを用い、170℃における未加硫ゴム組成物の加硫曲線を測定した。最大トルク(MH)値、最小トルク(ML)値、加硫開始時点から15分後でのトルク値M15を測定し、下記計算式により、各配合の加硫戻り率を評価した。加硫戻り率(リバージョン率)が小さいほど、リバージョンが抑制され、良好であることを示す。
(加硫戻り率(%))=(MH−M15)/(MH−ML)×100
(2)加工性
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。なお、小数点以下は、四捨五入した。ムーニー粘度に基づき加工性を評価し、50以上60未満のものを○、50未満又は60以上のものを×とした。
(3)転がり抵抗
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを正規リムに装着し、内圧200kPa、時速80km/h、荷重5.0KNで転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤを100としたときの指数(転がり抵抗指数)で表示した。数値が小さいほど転がり抵抗が小さく良好である。
(4)グリップ性能
車輌に前記の試験用タイヤを装着し、アスファルト路面のテストコースを10周走行して、テストドライバーがグリップ性能を評価した。比較例1のタイヤのグリップ性能を3点とし、5点満点で評価した。なお、1周目のグリップ性能を初期グリップ性能、2〜10周目をグリップ性能として評価した。数値が大きいほどグリップ性能が良く、優れていることを示す(5:良い、4:やや良い、3:普通、2:やや悪い、1:悪い)。
(5)耐摩耗性能
車輌に前記の試験用タイヤを装着し、前記テストコースを20周走行し、走行前後における溝の深さの変化を計測した。比較例1の深さを基準として、以下の式により、それぞれ指数表示した(耐摩耗性指数)。耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性が良いことを示している。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の溝の深さの変化)/(各配合の溝の深さの変化)×100
Figure 2011094015
表1より、10℃以下のTgを有する特定の芳香族ビニル重合体及び前記混合物を配合した実施例では、リバージョンが抑制されるとともに、低燃費性、グリップ性能、耐摩耗性をバランス良く改善できた。一方、比較例では、これらの性能をバランス良く得ることができなかった。更に、実施例1〜4及び比較例1〜4の結果を対比すると、実施例では上記性能(特に、耐摩耗性)が相乗的に得られていた。

Claims (6)

  1. ゴム成分と、ガラス転移温度が10℃以下であり、芳香族ビニル単量体単位の含有量が95質量%以上である芳香族ビニル重合体と、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物とを含有するトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記芳香族ビニル重合体を5〜150質量部、前記脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物を1〜10質量部含有する請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記芳香族ビニル重合体の芳香族ビニル単量体単位の含有量が100質量%である請求項1又は2記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. 前記芳香族ビニル重合体がポリスチレンである請求項3記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. ゴム成分中のスチレンブタジエンゴムの含有量が30質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016044270A (ja) * 2014-08-25 2016-04-04 住友ゴム工業株式会社 トレッド用ゴム組成物およびタイヤ
JP2018507302A (ja) * 2015-02-18 2018-03-15 トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング タイヤ用ポリマーブレンド
JP2018095762A (ja) * 2016-12-15 2018-06-21 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物
JP2022530060A (ja) * 2019-04-26 2022-06-27 株式会社ブリヂストン 空気入りタイヤ用ゴム組成物

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