JP2011093979A - カラーフィルタ用青色顔料組成物、その製造方法及びカラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成後においても、焼成前に対してコントラスト、輝度が低下しないカラーフィルタ青色画素部が得られる青色顔料組成物を提供する。
【解決手段】ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物。カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法。、上記したカラーフィルタ用青色顔料組成物または上記した製造方法で得られたカラーフィルタ用青色顔料組成物を青色画素部に用いてなるカラーフィルタ。
【選択図】なし
【解決手段】ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物。カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法。、上記したカラーフィルタ用青色顔料組成物または上記した製造方法で得られたカラーフィルタ用青色顔料組成物を青色画素部に用いてなるカラーフィルタ。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性に優れる青色着色画素部が得られるカラーフィルタ用青色顔料組成物、当該カラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法、及び当該カラーフィルタ用青色顔料組成物を青色画素部に用いてなるカラーフィルタに関する。
液晶表示装置のカラーフィルタは、赤色画素部(R)、緑色画素部(G)及び青色画素部(B)を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
カラーフィルタを作成する際の有機顔料は、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置の表示画面がよりハッキリ見える様にする(高コントラスト化)、或いは、同じく表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求がある。この様な要求に応じるため、平均一次粒子径が100nm以下となる様に微細化された粉体の有機顔料が多用されている。
この様な状況のもと、ε型銅フタロシアニン顔料に、スルホンアミド化銅フタロシアニン、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンや、カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンの様なフタロシアニン誘導体を含有させたカラーフィルタ用青色顔料組成物が知られている(特許文献1、2)。
ところで、カラーフィルタ作製においては、一般的に、230℃以上の高温で焼成処理を行うため、使用する有機顔料にも230℃以上の耐熱性が要求され、焼成後においても、焼成前に対してコントラスト、輝度が低下しない有機顔料が要求されている。
しかしながら、上記した様な特許文献1にある様な、従来のフタロシアニン誘導体を含有させたカラーフィルタ用青色顔料組成物では、依然として上記した耐熱性の要求に答えられず、コントラストや輝度が大きく低下する問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、焼成後においても、焼成前に対してコントラスト、輝度が低下しないカラーフィルタ青色画素部を得ることを目的とする。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、従来のフタロシアニン誘導体に代えて特定のフタロシアニン誘導体を含む青色顔料組成物を用いることで、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物を提供する。
また本発明は、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記したカラーフィルタ用青色顔料組成物または上記した製造方法で得られたカラーフィルタ用青色顔料組成物を青色画素部に用いてなるカラーフィルタを提供する。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物は、従来のフタロシアニン誘導体に代えて特定のフタロシアニン誘導体を含むので、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部を得ることができるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法は、従来のフタロシアニン誘導体に代えて特定のフタロシアニン誘導体の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングするので、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部が得られる青色顔料組成物を簡便に得ることができるという格別顕著な技術的効果を奏する。
また、本発明のカラーフィルタは、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部が得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法は、従来のフタロシアニン誘導体に代えて特定のフタロシアニン誘導体の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングするので、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部が得られる青色顔料組成物を簡便に得ることができるという格別顕著な技術的効果を奏する。
また、本発明のカラーフィルタは、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さいカラーフィルタ青色画素部が得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明は、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物である。
本発明は、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物である。
本発明におけるε型銅フタロシアニン顔料(A)とは、C.I.ピグメントブルー15:6であり、公知慣用のものがいずれ使用できる。この様なε型銅フタロシアニン顔料(A)は、例えば、粗製ε型銅フタロシアニンを湿式摩砕したり、乾式摩砕で得られたε型銅フタロシアニンとα型銅フタロシアニンとの混合物を湿式摩砕したり、必要に応じてε型銅フタロシアニンのシード粒子を含むα型銅フタロシアニンとの混合物を湿式摩砕することで、容易に得ることができる。勿論、前記した様な製造方法でε型銅フタロシアニン顔料(A)を得る場合には、その原料として用いるε型銅フタロシアニンとして、市販のε型銅フタロシアニン顔料を用いることもできる。
カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とは、金属フタロシアニンの置換可能なベンゼン環上の水素原子の少なくとも一つが、バリウム塩となったカルボキシベンズアミドメチル基で置換された化合物である。
このバリウム塩(B)は、例えば、以下の一般式(1)で表すことができる。
(但し、式中Xは二価金属原子を表し、Yはバリウム塩となったカルボキシベンズアミドメチル基を表わす。また、n1、n2、n3、n4は、置換基Yの数を表し、各々独立に0から4の整数であり、n1+n2+n3+n4=0〜4である。)
尚、カルボキシベンズアミドメチル基とは、HOOC−Ph−CO−NH−CH2−を意味し、そのカルボキシル基の水素残基は、バリウムでレーキ化される。このレーキ化されたものが、バリウム塩となったカルボキシベンズアミドメチル基である。カルボキシル基は一価であるため、二つのCOO基に対して一つのBaが結合した構造を含む。このバリウム塩(B)での優れたコントラストや輝度の耐熱性は、塩となっていないカルボキシル基や、ナトリウム塩の様な一価金属塩では奏し得ない顕著なものである。
カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)としては、例えばカルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩、カルボキシベンズアミドメチル化ニッケルフタロシアニンバリウム塩、カルボキシベンズアミドメチル化亜鉛フタロシアニンバリウム塩等が挙げられる。
本発明で使用するカルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の製造方法は制限されるものではないが、常法に従い、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンを、例えば塩化バリウムの様なバリウムイオン源と脱塩化水素反応させることで得ることができる。
このバリウム塩(B)の前駆体であるカルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンの製造方法は、特に限定されないが、例えば濃硫酸中で、金属フタロシアニンとω−クロロメチルフタルイミドとを反応させた後、苛性ソーダや炭酸ナトリウムの様な無機アルカリを加えて加熱し、フタルイミドメチル基を加水分解することでo−カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンを得る方法(英国特許717,137号公報)や、フタルイミドメチル化金属フタロシアニンに苛性ソーダや炭酸ナトリウムの様な無機アルカリを加えて加熱し、フタルイミドメチル基を加水分解することでo−カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンを得る方法等がある。これらの製造方法では、反応条件により、o−カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンのo−カルボキシベンズアミドメチル基数は、通常1分子当たり1〜8個となる。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物の粒子径は特に制限されるものではないが、高コントラスト化ならびに高輝度化は可能とするために、一次粒子の平均粒子径は10〜50nmとすることが好ましく、なかでもカラーフィルタの安定製造が容易となることから、一次粒子の平均粒子径は10〜30nmが特に好ましい。
本発明において一次粒子の平均粒子径とは、次の様に測定される。まず、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の内径の最長の長さ(最大長)を求める。個々の粒子の最大長の平均値を一次粒子の平均粒子径とする。一方、粒子の最大長となる線に直交する様に無数に引くことの出来る仮想線のうち最短となる長さを最小長とし、これも50個につき求めることが出来る。アスペクト比は、この様にして得られた個々の粒子の最大長の平均値と最小長の平均値を求め、これらの値を用いて(最大長の平均値)/(最小長の平均値)に基づいて算出する。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物は、少なくとも、上記したε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを含有するものであり、当該バリウム塩(B)の含有量は、特に制限されるものではないが、通常、質量換算で、ε型銅フタロシアニン顔料(A)100部当たり1〜15部、なかでも2〜10部であることが、十分なコントラストや輝度の耐熱性が期待でき、かつ色相への影響が小さいため好ましい。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物は、予め別々に準備された、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを混合することで調製することもできるが、例えばカルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることで調製することもできる。
この共摩砕により得られたカラーフィルタ用青色顔料組成物は、予め別々に準備された、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを混合して得られたカラーフィルタ用青色顔料組成物に比べて、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)との親和性に優れており、後者の方が、後記する、それから得られるカラーフィルタの青色画素部を形成するための後記する青色顔料分散液や光硬化性組成物の保存安定性をより優れたものとすることができるほか、輝度やコントラストの点でもより優れた特性を有するカラーフィルタが得られる。
本発明において、ソルベントソルトミリングとは、ε型銅フタロシアニンと、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)と、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。この製造方法は、ε型銅フタロシアニンと、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とが、共に摩砕されることから、共摩砕と呼ばれる。
このソルベントソルトミリングでは、勿論、前記した様な粒子径の小さいε型銅フタロシアニン顔料を用いても良いし、粗製ε型銅フタロシアニンを乾式摩砕してから用いても良い。具体的には、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)と、ε型銅フタロシアニンと、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。この様な無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
本発明では、上記した様な従来より微細な青色顔料組成物をカラーフィルタの青色画素部の形成用途に用いるのが好ましい。上記した好適な平均粒子径の青色顔料組成物を得るに当たっては、ソルベントソルトミリングにおけるε型銅フタロシアニン使用量に対する無機塩使用量を高くするのが好ましい。即ち当該無機塩の使用量は、質量換算でε型銅フタロシアニン1部に対して5〜20部とするのが好ましく、7〜15部とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましく、このような有機溶剤としては水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を用いることができる。
この際の水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、質量換算でε型銅フタロシアニン1部に対して0.01〜5部、0.8〜2部が好ましい。
ソルベントソルトミリング時の温度は、30〜150℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。ソルベントソルトミリングの時間は、5〜20時間が好ましく、8〜18時間がより好ましい。
こうして、ε型銅フタロシアニン顔料(A)、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じてε型銅フタロシアニン顔料(A)、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)を主体とする固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等をすることにより、微細な青色顔料組成物の粉体を得ることが出来る。
洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、1〜5回の範囲で繰り返すことも出来る。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することが出来る。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物は、そこに含有される、ε型銅フタロシアニン顔料(A)、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)及びその他必要に応じて併用したフタロシアニン誘導体以外の有機不純物の含有量は、極力ゼロに近くなる様に精製した上で用いることが好ましい。また、遊離のハロゲンイオンや金属イオンも極力ゼロに近くなる様に精製の上で用いることが好ましい。例えば、洗浄の目安は、洗浄水の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまでである。この精製に当たっては、アルカリ洗浄、酸洗浄による精製のほか、イオン交換膜による精製を用いることもできる。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等がある。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合の様に顔料がランプ状等のとなった際に顔料を解して粉体化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。
また、前記した様な好適な一次粒子の平均粒子径を有する青色顔料組成物をカラーフィルタの画素部の形成に使用する場合においては、感光性組成物を硬化する際に多用される365nmにおける遮光性が低下することなく、光硬化感度の低下がなく、現像時の膜へりやパターン流れも起こり難くなるので好ましい。
本発明の青色顔料組成物は、液媒体中への分散性、分散安定性が高く、後記する青色顔料分散液や青色硬化性樹脂組成物の粘度も低く安定しており(微細な粒子に分散しており)、それでカラーフィルタ青色画素部を製造した場合に、均質な塗膜を形成して輝度、コントラストおよび光透過率のいずれもが高いカラーフィルターを得ることが出来る。
ここでコントラストとは、2枚の偏光板の偏光方向を平行にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度を2枚の偏光板の偏光方向を垂直にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度で除したものであり、消偏性とも呼ばれるものである。
また本発明の青色顔料組成物は、ε型銅フタロシアニン顔料(A)、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを必須成分として含有していれば良く、それらだけをカラーフィルタ青色画素部の青色顔料として用いても良いが、必要であれば、スルホン化銅フタロシアニン(銅フタロシアニンスルホン酸)やその塩、フタルイミドメチル化銅フタロシアニン、ポリオキシアルキレンスルホンアミド化銅フタロシシニン等の様な当該バリウム塩(B)以外のフタロシアニン誘導体や、C.I.ピグメントバイレット23の様なジオキサジンバイオレット顔料等の有機顔料を、更に併用しても良い。これらは、顔料組成物の調製〜光硬化性組成物の調製における任意に段階において、調製物に含めることができる。
本発明の青色顔料組成物は、従来公知の方法でカラーフィルタ青色画素部の形成に使用することが出来る。この顔料組成物を使用してカラーフィルタ青色画素部を製造するに当たっては、顔料分散法が好適に採用出来る。
この方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルター用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の各色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することが出来る。本発明の顔料組成物からは、青色画素部を形成することが出来る。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することが出来る。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、同209、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同10、同36、同47、同58等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することも出来る。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することも出来る。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。この加熱処理を一般に「プリベーク」という。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用出来る。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルターが完成する。
カラーフィルタの青色画素部を形成するための光硬化性組成物は、本発明の青色顔料組成物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することが出来る。青色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明の青色顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの青色画素部を形成するための青色顔料分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで分散剤としては、例えば、ビックケミー社製のDisperBYK130、同161、同162、同163、同170、BYK LPN21116、エフカ社製のEFKA46、EFKA47、味の素ファインテック社製アジスパーPB814、同PB821等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、各種界面活性剤等も併せて使用可能である。
この様な分散剤としては、(1)分散性に優れるものが、分散液の粘度を低くすることが可能であり、分散液中の平均粒径をより小さくできるため、焼成前のコントラストをより高くできるので好ましく、かつ(2)耐熱性に優れるものが、焼成後のコントラスト、輝度の低下幅をより小さくできるので好ましい。
有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
有機溶剤としては、特にプロピオネート、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましい。水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することも出来る。
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
前記した様な各材料を使用して、質量換算で、本発明の方法で製造された青色顔料組成物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、1〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散液を得ることが出来る。次いでこの顔料分散液に、本発明の青色顔料組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ青色画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることが出来る。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することが出来る。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ青色画素部の形成に効果的である。本発明の青色顔料組成物の優れた耐熱性は、この様なアルカリ洗浄後に焼成を行なうカラーフィルタの製造方法において発揮される。
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ青色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の方法で製造された顔料組成物を使用して調製されたカラーフィルタ青色画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で青色画素部を形成して、カラーフィルターを製造してもよい。
カラーフィルタは、赤色顔料、緑色顔料、ならびに本発明の方法で製造された顔料組成物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれか1色から選ばれたカラーフィルター着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることが出来る。
本発明のカラーフィルタは、その青色画素部に、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを必須成分として含有していればよい。
従って、青色顔料分散液や光硬化性組成物の調製に当たっては、本発明の青色顔料組成物を用いた場合を例に詳細に説明したが、ε型銅フタロシアニン顔料(A)を含む青色顔料分散液と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)を含む青色顔料分散液とを混合して、それから光硬化性組成物を調製し、それからカラーフィルタ青色画素部を形成しても良いし、ε型銅フタロシアニン顔料(A)を含む光硬化性組成物と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)を含む光硬化性組成物からカラーフィルタ青色画素部を形成しても良い。
本発明のカラーフィルタ用青色顔料組成物は、耐熱性に優れた青色画素部を提供することができ、カラーフィルタ用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することが出来る。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
製造例1
<o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩の製造方法>
98%硫酸244部と30%発煙硫酸96部を3口フラスコに仕込み、40℃以下に冷却しながら銅フタロシアニンクルード 17部を仕込み、40℃で1時間撹拌して溶解させた。次に40℃でフタルイミド31部、パラホルムアルデヒド12部を仕込み、90℃で2時間反応させてフタルイミドメチル化を行った後、反応液を室温の水1500部の入ったビーカーに注いだ。その混合物をろ過し、水1500部で洗浄した。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水1500部を加え、攪拌分散した。引き続き、70℃に加熱後、炭酸ナトリウム3部を仕込み、pH10〜11に調整した。さらに1時間攪拌し、フタルイミドメチル基の加水分解を行った。さらに、塩化バリウム15部を仕込み、レーキ化反応を行った後、ろ過、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、フタルイミドメチル銅フタロシアニンの加水分解物のバリウム塩のウエットケーキを得た。このウエットケーキを熱風乾燥機で乾燥、粉砕して、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンの加水分解物のバリウム塩(o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩)30部を得た。FD/MSでの分析の結果、この化合物は、バリウム塩となったo−カルボキシベンズアミドメチル基の置換基数が0〜8に分布し、その平均置換基数は2.5であった。以下、このo−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩を、誘導体1という。
<o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩の製造方法>
98%硫酸244部と30%発煙硫酸96部を3口フラスコに仕込み、40℃以下に冷却しながら銅フタロシアニンクルード 17部を仕込み、40℃で1時間撹拌して溶解させた。次に40℃でフタルイミド31部、パラホルムアルデヒド12部を仕込み、90℃で2時間反応させてフタルイミドメチル化を行った後、反応液を室温の水1500部の入ったビーカーに注いだ。その混合物をろ過し、水1500部で洗浄した。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水1500部を加え、攪拌分散した。引き続き、70℃に加熱後、炭酸ナトリウム3部を仕込み、pH10〜11に調整した。さらに1時間攪拌し、フタルイミドメチル基の加水分解を行った。さらに、塩化バリウム15部を仕込み、レーキ化反応を行った後、ろ過、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、フタルイミドメチル銅フタロシアニンの加水分解物のバリウム塩のウエットケーキを得た。このウエットケーキを熱風乾燥機で乾燥、粉砕して、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンの加水分解物のバリウム塩(o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩)30部を得た。FD/MSでの分析の結果、この化合物は、バリウム塩となったo−カルボキシベンズアミドメチル基の置換基数が0〜8に分布し、その平均置換基数は2.5であった。以下、このo−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩を、誘導体1という。
製造例2
<フタルイミドメチル化銅フタロシアニンの製造方法>
98%硫酸244部と30%発煙硫酸96部を3口フラスコに仕込み、40℃以下に冷却しながら銅フタロシアニンクルード 17部を仕込み、40℃で1時間撹拌して溶解させた。次に40℃でフタルイミド31部、パラホルムアルデヒド12部を仕込み、90℃で2時間反応させてフタルイミドメチル化を行った後、反応液を室温の水1500部の入ったビーカーに注いだ。その混合物をろ過し、水1500部で洗浄した。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水1500部を加え、攪拌分散した。引き続き、60℃に加熱後、1時間攪拌した後、ろ過、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンのウエットケーキを得た。このウエットケーキを熱風乾燥機で乾燥、粉砕して、フタルイミドメチル化銅フタロシアニン30部を得た。FD/MSでの分析の結果、この化合物は、置換基数が0〜8に分布し、その平均置換基数は2.5であった。以下、このフタルイミドメチル化銅フタロシアニンを、誘導体2という。
<フタルイミドメチル化銅フタロシアニンの製造方法>
98%硫酸244部と30%発煙硫酸96部を3口フラスコに仕込み、40℃以下に冷却しながら銅フタロシアニンクルード 17部を仕込み、40℃で1時間撹拌して溶解させた。次に40℃でフタルイミド31部、パラホルムアルデヒド12部を仕込み、90℃で2時間反応させてフタルイミドメチル化を行った後、反応液を室温の水1500部の入ったビーカーに注いだ。その混合物をろ過し、水1500部で洗浄した。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水1500部を加え、攪拌分散した。引き続き、60℃に加熱後、1時間攪拌した後、ろ過、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、フタルイミドメチル化銅フタロシアニンのウエットケーキを得た。このウエットケーキを熱風乾燥機で乾燥、粉砕して、フタルイミドメチル化銅フタロシアニン30部を得た。FD/MSでの分析の結果、この化合物は、置換基数が0〜8に分布し、その平均置換基数は2.5であった。以下、このフタルイミドメチル化銅フタロシアニンを、誘導体2という。
製造例3
製造例1において、塩化バリウム15部を仕込まず、レーキ化反応を行なわない以外は同様にして、o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンを製造した。これは、製造例1の様にはバリウム塩となっていない、カルボキシル基をそのまま有する構造の化合物である。以下、このo−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンを、誘導体3という。
製造例1において、塩化バリウム15部を仕込まず、レーキ化反応を行なわない以外は同様にして、o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンを製造した。これは、製造例1の様にはバリウム塩となっていない、カルボキシル基をそのまま有する構造の化合物である。以下、このo−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンを、誘導体3という。
平均粒子径80nmのε型銅フタロシアニン顔料(FASTOGEN(登録商標) Blue AE−8(DIC株式会社製ε型銅フタロシアニン顔料)95部、製造例1で得た誘導体1の5部、粉砕した塩化ナトリウム1000部、およびジエチレングリコール200部をニーダー中で、内容物の温度を85〜90℃に保って7時間湿式摩砕を完了した。
得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、ε型銅フタロシアニン顔料組成物のウエットケーキを得た。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水3000部を加え、攪拌分散してスラリーとした。
引き続き、5部の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の水酸化ナトリウム水溶液を前記顔料スラリー中に添加し、1時間攪拌後、塩酸を添加してスラリーのpHを7まで戻して顔料の表面に析出させた。そのまま1時間保持後、濾過、温水洗浄、乾燥、粉砕し、青色顔料組成物を得た。
この青色顔料組成物は、ε型銅フタロシアニン顔料と、o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩と、銅フタロシアニンスルホン酸とを含有するものであった。
このようにして得られた青色顔料組成物10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、BYK(商標名)LPN21116(ビックケミー株式会社社製)7.0部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、青色顔料分散液を得た。
この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスレートヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジスト(光硬化性組成物)を得た。
このカラーレジスト(光硬化性組成物)は50mm×50mm、1mmの厚ガラスに乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後90℃で20分間予備乾燥して塗膜を形成させた。次いで、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄し、230℃で90分間焼成することでカラーフィルタとした。
得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、ろ液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、ε型銅フタロシアニン顔料組成物のウエットケーキを得た。得られたウエットケーキをビーカーに移し、室温の水3000部を加え、攪拌分散してスラリーとした。
引き続き、5部の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の水酸化ナトリウム水溶液を前記顔料スラリー中に添加し、1時間攪拌後、塩酸を添加してスラリーのpHを7まで戻して顔料の表面に析出させた。そのまま1時間保持後、濾過、温水洗浄、乾燥、粉砕し、青色顔料組成物を得た。
この青色顔料組成物は、ε型銅フタロシアニン顔料と、o−カルボキシベンズアミドメチル化銅フタロシアニンバリウム塩と、銅フタロシアニンスルホン酸とを含有するものであった。
このようにして得られた青色顔料組成物10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、BYK(商標名)LPN21116(ビックケミー株式会社社製)7.0部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、青色顔料分散液を得た。
この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスレートヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジスト(光硬化性組成物)を得た。
このカラーレジスト(光硬化性組成物)は50mm×50mm、1mmの厚ガラスに乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後90℃で20分間予備乾燥して塗膜を形成させた。次いで、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄し、230℃で90分間焼成することでカラーフィルタとした。
比較例1
実施例1における製造例1の誘導体1を、同量の製造例2の誘導体2に変更したことを除いては、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作成した。
実施例1における製造例1の誘導体1を、同量の製造例2の誘導体2に変更したことを除いては、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作成した。
評価方法
コントラスト値
実施例及び比較例のそれぞれのカラーフィルタ青色画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側には色彩輝度計を設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。コントラスト値の高い方が良好と評価した。
輝度
実施例及び比較例のそれぞれのカラーフィルタ青色画素部を、オリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光度計MCPD−3000顕微分光測光装置CIE発色系色度におけるC光源におけるY値を測定した。輝度が高い方が良好と評価した。
コントラスト値
実施例及び比較例のそれぞれのカラーフィルタ青色画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側には色彩輝度計を設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。コントラスト値の高い方が良好と評価した。
輝度
実施例及び比較例のそれぞれのカラーフィルタ青色画素部を、オリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光度計MCPD−3000顕微分光測光装置CIE発色系色度におけるC光源におけるY値を測定した。輝度が高い方が良好と評価した。
実施例1及び比較例1で作製したカラーフィルタの230℃焼成前後のコントラスト、輝度の値を表1に記載した。
表1
比較例2
実施例1における製造例1の誘導体1を、同量の製造例3の誘導体3に変更したことを除いては、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作成した。
得られたカラーフィルタの焼成後のコントラスト及び輝度は、比較例1のそれら以下の性能であった。
実施例1における製造例1の誘導体1を、同量の製造例3の誘導体3に変更したことを除いては、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作成した。
得られたカラーフィルタの焼成後のコントラスト及び輝度は、比較例1のそれら以下の性能であった。
上記実施例及び比較例からわかる通り、本発明のカラーフィルタは、その青色画素部に、ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを含有するので、カラーフィルタの製造工程における高温での焼成において、コントラストや輝度の低下が少なく、従来よりも高コントラスト、高輝度のカラーフィルタを提供することが明らかである。
本発明によれば、焼成後であっても焼成前に対してコントラスト、輝度のいずれも低下がより小さい青色画素部を有するカラーフィルタを提供できる。
Claims (5)
- ε型銅フタロシアニン顔料(A)と、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)とを有することを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物。
- 質量換算で、ε型銅フタロシアニン顔料(A)100部当たり、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)1〜15部である請求項1記載のカラーフィルタ用青色顔料組成物。
- カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)の存在下で、ε型銅フタロシアニンをソルベントソルトミリングすることを特徴とするカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法。
- 質量換算で、ε型銅フタロシアニン顔料(A)100部当たり、カルボキシベンズアミドメチル化金属フタロシアニンバリウム塩(B)1〜15部を用いる請求項3記載のカラーフィルタ用青色顔料組成物の製造方法。
- 請求項1または2記載のカラーフィルタ用青色顔料組成物を青色画素部に用いてなるカラーフィルタ。
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JP2009247656A JP2011093979A (ja) | 2009-10-28 | 2009-10-28 | カラーフィルタ用青色顔料組成物、その製造方法及びカラーフィルタ |
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JP2013060487A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Dic Corp | ε型銅フタロシアニン顔料及びそれを用いたカラーフィルタ用顔料組成物 |
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