JP2011091918A - 断線保護継電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電流要素のみでかつ各相電流に不平衡があったり分岐負荷があったりしても断線事故から三相交流回路を保護することができる断線保護継電システムを提供する。
【解決手段】断線保護継電システムは、R相およびS相電流IR,ISを合成した第1の合成電流IRy1(=IR−IS)を検出するための第1のクロス貫通変流器211と、S相およびT相電流IS,ITを合成した第2の合成電流IRy2(=IS−IT)を検出するための第2のクロス貫通変流器212と、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の変化量および位相変化角に基づいて断線事故を判定する第1の断線保護継電装置101とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、断線保護継電システムに関し、特に、断線事故から三相交流回路を保護するのに好適な断線保護継電システムに関する。
従来、断線事故から三相交流回路を保護するために、断線事故時に発生する逆相電流I2(または、零相電流I0)を検出して、以下の4つの判定条件a1〜a4がすべて満たされた場合に断線事故と判定している。
[判定条件a1]逆相電流I2が正相電流I1のk倍(k(逆相電流検出感度)=10〜20%)以上であること(逆相電流の発生)。
[判定条件a2]3相のうち1相または2相の負荷電流が最小負荷電流Imin未満になったこと(事故相における負荷電流の喪失)。
[判定条件a3]3相のうち残りの2相または1相の負荷電流が最小負荷電流Imin以上であること(健全相の存在)。
[判定条件a4]零相電圧V0の発生がないこと(地絡事故ではないこと)。
三相交流回路として図24に示すような2端子の送配電線(3相)を例にすると、A端(電源端)とB端(負荷端)との間に敷設された送配電線のA端側に断線保護継電装置110を設置して、断線保護継電装置110が、電源端母線に設けられた計器用変圧器(GPT)2から入力される零相電圧V0と送配電線のR相、S相およびT相のA端側にそれぞれ設置された第1乃至第3の変流器31〜33からそれぞれ入力されるR相、S相およびT相電流IR,IS,ITとに基づいて以下のようにして断線事故と判定すると、送配電線のR相、S相およびT相のA端側にそれぞれ設置された第1乃至第3の遮断器41〜43を一括遮断している。
断線保護継電装置110は、R相、S相およびT相電流IR,IS,ITに基づいて(1)式および(2)式を用いて正相電流I1および逆相電流I2をそれぞれ求め、逆相電流I2が正相電流I1のk倍以上(I2≧kI1)であるかを常に監視している。
1=(IR+aIS+a2T)/3 (1)
2=(IR+a2S+aIT)/3 (2)
ここで、a(ベクトルオペレータ)=−1/2+j×31/2/2
また、断線保護継電装置110は、R相、S相およびT相電流IR,IS,ITと最小負荷電流Imin(充電電流)とを比較して、R相、S相およびT相電流IR,IS,ITのうちの1つだけまたは2つだけが最小負荷電流Imin未満にならないかを常に監視している。
さらに、断線保護継電装置110は、零相電圧V0を地絡事故時の零相電圧検出感度Vと比較して、零相電圧V0が零相電圧検出感度V未満かを常に監視している。
たとえば送配電線のR相で断線事故が発生すると、図25(a)に実線で示すようにR相電流IRは流れずにS相電流ISおよびT相電流ITが逆向きに流れるため、同図(b)に示すように正常時のR相、S相およびT相電流IR’,IS’,IT’の大きさを基準(=1)とすると、正相電流I1および逆相電流I2の大きさは共に0.5になる。その結果、逆相電流検出感度k=20%とすると逆相電流I2は正相電流I1のk倍(=0.2×0.5=0.1)以上になるので、断線保護継電装置110は「判定条件a1が満たされた」と判定する。
また、R相電流IRのみが最小負荷電流Iminよりも小さくなるので、断線保護継電装置110は「判定条件a2および判定条件a3も満たされた」と判定する。
さらに、地絡事故は発生していないために零相電圧V0は零相電圧検出感度V未満のままであるので、断線保護継電装置110は「判定条件a4も満たされた」と判定する。
その結果、断線保護継電装置110は、4つの判定条件a1〜a4がすべて満たされたので、断線事故と判定して、第1乃至第3の遮断器41〜43を一括遮断する。
なお、下記の特許文献1には、ディジタル保護継電装置において負荷電流の変動や変流器の違いに関係なく1相断線を確実に判定するために、電力系統の3相電流を保護継電装置へ変流器を介して入力し、アナログ入力部を経てサンプリングしディジタル量化した3相電流を演算処理部に導き、零相電流I0,正相電流I1および逆相電流I2を算出して、次式がそれぞれ成立して所定時間継続する時に1相断線と判定する常時監視方式が開示されている。
3I0/(3T1+K0)>K11>K2
3T0/3I1>K3
ここで、K1,K3=零相/正相設定値。
0=アナログ入力部誤差に相当した正相分オフセット量。
2=アナログ入力部における誤差を含めた正相電流設定値。
特開平7−107653号公報
しかしながら、従来の断線保護継電装置110では、地絡事故が発生して地絡電流が送配電線の各相に流れると、1/3の大きさの逆相電流I2(零相電流I0)が生じて、3つの判定条件a1〜a3がすべて満たされるので、地絡事故でないこと(判定条件a4)を判定するために零相電圧V0(電圧要素)を用いる必要があるという問題があった。
また、断線事故時に発生する逆相電流I2を用いる方式であるため、送配電線の各相電流が平衡である場合には逆相電流検出感度kを大きくしても特に問題ないが、送配電線の各相電流に不平衡がある場合には正常時に発生する逆相電流I2によって誤動作する可能性があるので、逆相電流検出感度kを大きくすることができないという問題があった。
さらに、図26に示すような3端子の送配電線(3相)では、逆相電流検出感度kを20%とすると、C端(分岐負荷端)側の分岐負荷率mが30%未満である送配電線では断線事故と判定することができないため、このような送配電線については逆相電流検出感度kを下げる必要があるが、逆相電流検出感度kを10%に下げても、C端側の分岐負荷率mが19%未満である送配電線では断線事故と判定することができないという問題があった。
たとえば、C端側の分岐負荷率mが30%である3端子の送配電線のR相のA端(電源端)から見て分岐点よりも前の地点(イ点)で断線事故が発生すると、正相電流I1の大きさは0.850になり、逆相電流I2の大きさは0.150になる。その結果、逆相電流検出感度kを20%としたときには逆相電流I2(=0.150)は正相電流I1のk倍(=0.2×0.850=0.17)未満になり、判定条件a1を満たさなくなる。
そこで、逆相電流検出感度kを10%に下げると、逆相電流I2(=0.150)は正相電流I1のk倍(=0.1×0.850=0.085)以上になるので判定条件a1を満たすようにすることができるが、C端側の分岐負荷率mが18%である送配電線では、正相電流I1の大きさは0.910となり、逆相電流I2の大きさは0.090になるので、逆相電流検出感度kを10%としても、逆相電流I2(=0.090)は正相電流I1のk倍(=0.1×0.910=0.091)未満になり、判定条件a1を満たさなくなる。
さらに、3端子の送配電線では、A端から見て分岐点よりも前の地点(イ点)で断線事故が発生したか、分岐後のB端(負荷端)側の地点(ロ点)で断線事故が発生したか、分岐後のC端側の地点(ハ点)で断線事故が発生したかを判定することができないという問題があった。
本発明の目的は、電流要素のみで、かつ、各相電流に不平衡があったり分岐負荷があったりしても断線事故から三相交流回路を保護することができる断線保護継電システムを提供することにある。
本発明の断線保護継電システムは、断線事故から三相交流回路を保護するための断線保護継電システムであって、前記三相交流回路の各相を流れる相電流(IR,IS,IT)のうちの少なくとも2つを合成した合成電流を検出するための少なくとも1つの合成変流器(211,212;221,222;231;23;241;24;251;25;261)と、該少なくとも1つの合成変流器から入力される前記合成電流のみに基づいて断線事故を判定する断線保護継電装置(101;10)とを具備することを特徴とする。
ここで、前記断線保護継電装置が、前記合成電流の変化量または変化率および位相変化角に基づいて断線事故を判定してもよい。
前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第1の相が極性方向に貫通されているとともに該三相交流回路の第2の相が反極性方向に貫通されている第1のクロス貫通変流器(211)と、該三相交流回路の前記第2の相が極性方向に貫通されているとともに該三相交流回路の第3の相が反極性方向に貫通されている第2のクロス貫通変流器(212)、または、前記三相交流回路の前記第1の相および前記第2の相が極性方向に貫通されている第1のストレート貫通変流器(221)と、該三相交流回路の前記第2の相および前記第3の相が極性方向に貫通されている第2のストレート貫通変流器(222)であってもよい。
前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第2の相が第1の相と逆向きに異なる回数だけ貫通されている二相貫通変流器(231;23)であってもよい。
前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第2の相が第1の相と逆向きに同じ回数だけ貫通されているとともに該三相交流回路の第3の相が前記第1の相と逆向きまたは同じ向きに異なる回数だけ貫通されている三相貫通変流器(241;24;251;25)、または、前記相電流を所定の合成電流比で合成する可変合成変流器(261)であってもよい。
本発明の断線保護継電システムは、少なくとも1つの合成変流器から入力される合成電流のみに基づいて断線事故を判定するため、以下に示す効果を奏する。
(1)零相電圧を用いる必要なく電流要素(合成電流)のみで断線事故から三相交流回路を保護することができる。
(2)各相の不平衡電流の影響を受けない合成電流の変化量または変化率に基づいて断線事故を判定するので、各相電流に不平衡があっても断線事故から三相交流回路を保護することができるとともに、分岐負荷があっても検出感度を低下させる必要がない。
(3)合成変流器としてクロス貫通変流器、ストレート貫通変流器、二相貫通変流器、三相貫通変流器または可変合成変流器を用いることにより、三相交流回路に設置する変流器の数を減らすことができる。
本発明の第1の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 図1に示した第1の断線保護継電装置101の具体的構成例を示すブロック図である。 図1に示した第1および第2のクロス貫通変流器211,212から出力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2について説明するためのベクトル図であり、(a)は正常時のベクトル図であり、(b)はR相断線時のベクトル図であり、(c)はS相断線時のベクトル図であり、(d)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第1の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 3端子の送配電線の図4に示すロ点で断線事故が発生したときの第1および第2のクロス貫通変流器211,212から出力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2について説明するためのベクトル図であり、(a)はR相断線時のベクトル図であり、(b)はS相断線時のベクトル図であり、(c)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第2の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 図7に示した第1および第2のストレート貫通変流器221,222から出力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2について説明するためのベクトル図であり、(a)は正常時のベクトル図であり、(b)はR相断線時のベクトル図であり、(c)はS相断線時のベクトル図であり、(d)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第2の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 3端子の送配電線の図8に示すロ点で断線事故が発生したときの第1および第2のストレート貫通変流器221,222から出力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2について説明するためのベクトル図であり、(a)はR相断線時のベクトル図であり、(b)はS相断線時のベクトル図であり、(c)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第3の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 図10に示した第1の二相貫通変流器231から出力される第1の合成電流IRy1について説明するためのベクトル図であり、(a)は正常時のベクトル図であり、(b)はR相断線時のベクトル図であり、(c)はS相断線時のベクトル図であり、(d)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第3の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 3端子の送配電線の図12に示すロ点で断線事故が発生したときの二相貫通変流器23から出力される合成電流IRyについて説明するためのベクトル図であり、(a)はR相断線時のベクトル図であり、(b)はS相断線時のベクトル図であり、(c)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第4の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 図14に示した第1の三相貫通変流器241から出力される第1の合成電流IRy1について説明するためのベクトル図であり、(a)は正常時のベクトル図であり、(b)はR相断線時のベクトル図であり、(c)はS相断線時のベクトル図であり、(d)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第4の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 3端子の送配電線の図16に示すロ点で断線事故が発生したときの三相貫通変流器24から出力される合成電流IRyについて説明するためのベクトル図であり、(a)はR相断線時のベクトル図であり、(b)はS相断線時のベクトル図であり、(c)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第5の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 図18に示した第1の三相貫通変流器251から出力される第1の合成電流IRy1について説明するためのベクトル図であり、(a)は正常時のベクトル図であり、(b)はR相断線時のベクトル図であり、(c)はS相断線時のベクトル図であり、(d)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第5の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 3端子の送配電線の図20に示すロ点で断線事故が発生したときの三相貫通変流器25から出力される合成電流IRyについて説明するためのベクトル図であり、(a)はR相断線時のベクトル図であり、(b)はS相断線時のベクトル図であり、(c)はT相断線時のベクトル図である。 本発明の第6の実施例による断線保護継電システムの構成を示す図である。 本発明の第6の実施例による断線保護継電システムを3端子の送配電線に適用した状態を示す図である。 従来の断線保護継電装置110について説明するための図である。 図24に示した送配電線のR相に断線事故が発生したときの断線保護継電装置110の動作について説明するための図である。 図24に示した断線保護継電装置110を3端子の送配電線に使用したときの問題点について説明するための図である。
上記の目的を、三相交流回路の各相を流れる相電流のうちの少なくとも2つを合成した合成電流の変化量または変化率および位相変化角に基づいて断線事故を判定することにより実現した。
以下、本発明の断線保護継電システムの実施例について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、
(1)正常時のR相、S相およびT相電流IR’,IS’,IT’の大きさを基準(=1)とし、正常時のR相電流IR’の位相θR’を基準(=0°)とする。
(2)合成電流IRyの正常時の合成電流IRy’に対する変化量を電流変化量ΔIRyと称し、合成電流IRyの位相θRyの正常時の合成電流IRy’の位相θRy’に対する位相変化角を位相変化角ΔθRyと称する。また、第1乃至第4の合成電流IRy1〜IRy4の正常時の第1乃至第4の合成電流IRy1’〜IRy4に対する変化量を第1乃至第4の電流変化量ΔIRy1〜ΔIRy4と称し、第1乃至第4の合成電流IRy1〜IRy4の位相θRy1〜θRy4の正常時の第1および第2の合成電流IRy1’〜IRy4’の位相θRy1’〜θRy4’に対する位相変化角を第1乃至第4の位相変化角ΔθRy1〜ΔθRy4と称する。
(3)3端子の送配電線では、A端(電源端)の負荷を100%として、B端(負荷端)の分岐負荷率を(100−m)%とし、C端(分岐負荷端)の分岐負荷率をm%とする。
(4)3端子の送配電線のR相、S相およびT相の分岐点よりもB端側を流れる相電流をB端側R相、S相およびT相電流IBR,IBS,IBTとし、分岐点よりもC端側を流れる相電流をC端側R相、S相およびT相電流ICR,ICS,ICTとする。
本発明の断線保護継電システムは、断線事故時における健全相を流れる相電流の大きさおよび位相の対称的変化(健全相の事故時/正常時の電流変化量と位相変化角の絶対値とが同じになる変化)に着目して断線事故と判定することにより、電流要素のみで断線事故と判定することを特徴とする。
三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、本発明の第1の実施例による断線保護継電システムでは、図1に示すように、第1および第2の断線保護継電装置101,102は送配電線のA端側およびB端側にそれぞれ設置される。
第1の断線保護継電装置101は、送配電線のA端側に設置された第1および第2のクロス貫通変流器211,212からそれぞれ入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2に基づいて動作する。
ここで、第1のクロス貫通変流器211は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のR相およびS相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させた貫通形変流器である。
すなわち、送配電線のR相は第1のクロス貫通変流器211の極性方向(環状鉄心の第1の開口面側から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されているが、送配電線のS相は第1のクロス貫通変流器211の反極性方向(環状鉄心の第2の開口面から環状鉄心の第1の開口面への方向)に貫通されている。
したがって、正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’とは図3(a)に示すように120°の位相差で第1のクロス貫通変流器211の環状鉄心を逆向きに貫通して流れる(すなわち、正常時のR相電流IR’は第1のクロス貫通変流器211を極性方向に貫通して流れ、正常時のS相電流IS’は第1のクロス貫通変流器211を反極性方向に貫通して流れる)ため、第1のクロス貫通変流器211から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第1の合成電流IRy1’は正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’とのベクトル差となり、正常時の第1の合成電流IRy1’の大きさおよび位相は31/2および330°となる。
|IRy1’|=|IR’−IS’|=31/2×|IR’|=31/2
θRy1’=330°
第2のクロス貫通変流器212は、第1のクロス貫通変流器211と同様に構成されている。
したがって、第2のクロス貫通変流器212から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第2の合成電流IRy2’は正常時のS相電流IS’と正常時のT相電流IT’とのベクトル差となり、正常時の第2の合成電流IRy2’の大きさおよび位相は31/2および90°となる(図3(a)参照)。
|IRy2’|=|IS’−IT’|=31/2×|IS’|=31/2
θRy2’=90°
第1の断線保護継電装置101は、図2に示すように、入力変換器11と、アナログ入力部12と、メモリ13と、電流変化量・位相変化角算出部14と、リレー演算処理部15と、整定・表示部16と、入出力部17と、外部機器インターフェース部(外部機器I/F部)18とを具備する。
入力変換器11は、第1および第2のクロス貫通変流器211,212からそれぞれ入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2のレベルをアナログ入力部12の処理に適したレベルに変換する。なお、説明の簡単のために、第1および第2のクロス貫通変流器211,212の変流比は1:1とする。
アナログ入力部12は、バンドパスフィルタとサンプリングホールド回路とマルチプレクサ回路とアナログ/ディジタル変換器とを備え、入力変換器11から入力されるアナログの第1および第2の合成電流IRy1,IRy2をディジタルの第1および第2の合成電流IRy1,IRy2に変換する。
メモリ13は、アナログ入力部12によってディジタルデータに変換された第1および第2の合成電流IRy1,IRy2を格納するためのものである。
電流変化量・位相変化角算出部14は、アナログ入力部12から入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさからメモリ13に格納されている1サイクル前の第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさを引くことにより、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の変化量を算出する。
また、電流変化量・位相変化角算出部14は、アナログ入力部12から入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の位相θRy1,θRy2からメモリ13に格納されている1サイクル前の第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の位相θRy1,θRy2を引くことにより、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の位相変化角を算出する。
リレー演算処理部15は、電流変化量・位相変化角算出部14によって算出された第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の変化量および位相変化角に基づいて後述する断線判定処理を行うことにより断線事故を判定し、送配電線のA端側に設置された第1乃至第3の遮断器41〜43を一括遮断するための第1のトリップ信号ST1を生成し、生成した第1のトリップ信号ST1を入出力部17および外部機器インターフェース部18を介して第1乃至第3の遮断器41〜43に送信する。
整定・表示部16は、リレー整定処理を行うとともに、整定値などを外部に表示する。
第2の断線保護継電装置102は、第1の断線保護継電装置101と同様に構成されているが、送配電線のB端側に設置された第3および第4のクロス貫通変流器213,214からそれぞれ入力される第3および第4の合成電流IRy3,IRy4に基づいて動作する。
ここで、第3および第4のクロス貫通変流器213,214は、第1および第2のクロス貫通変流器211,212と同様に構成されている。
次に、送配電線において断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2について、図3(b)〜(d)を参照して説明する。
(1)R相断線時
送配電線のR相に断線事故が発生すると、図3(b)に示すように、R相電流IRは0となり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(1−1)式〜(1−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=|0−IS|=|IT|=31/2/2 (1−1)
θRy1=270° (1−2)
|IRy2|=|IS−IT|=2×|IS|=2×31/2/2=31/2 (1−3)
θRy2=90° (1−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(2−1)式〜(2−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−31/2=−31/2/2(≒−0.87) (2−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=270°−330°=−60° (2−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2−31/2=0 (2−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=90°−90°=0° (2−4)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図3(c)に示すように、S相電流ISは0となり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(3−1)式〜(3−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=|IR−0|=|IR|=31/2/2 (3−1)
θRy1=30° (3−2)
|IRy2|=|IS−IT|=|0−IT|=|IR|=31/2/2 (3−3)
θRy2=30° (3−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(4−1)式〜(4−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−31/2=−31/2/2(≒−0.87) (4−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=30°−330°=−300°=60° (4−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2/2−31/2=−31/2/2(≒−0.87) (4−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=30°−90°=−60° (4−4)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図3(d)に示すように、T相電流ITは0となり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(5−1)式〜(5−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=2×|IR|=2×31/2/2=31/2 (5−1)
θRy1=330° (5−2)
|IRy2|=|IS−IT|=|IS−0|=|IS|=31/2/2 (5−3)
θRy2=150° (5−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(6−1)式〜(6−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2−31/2=0 (6−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=330°−330°=0° (6−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2/2−31/2=−31/2/2(≒−0.87) (6−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=150°−90°=60° (6−4)
次に、第1の断線保護継電装置101のリレー演算処理部15における断線事故判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.96≦ΔIRy1≦−0.78、−70°≦ΔθRy1≦−50°、ΔIRy2≒0、−10°≦ΔθRy2≦10°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。
(2)−0.96≦ΔIRy1≦−0.78、50°≦ΔθRy1≦70°、−0.96≦ΔIRy2≦−0.78、−70°≦ΔθRy2≦−50°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。
(3)ΔIRy1≒0、−10°≦ΔθRy1≦10°、−0.96≦ΔIRy2≦−0.78、50°≦ΔθRy2≦70°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。
三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、本実施例による断線保護継電システムでは、図4に示すように、断線保護継電装置10は送配電線のA端側に設置される。
断線保護継電装置10は、上述した第1の断線保護継電装置101と同様に構成されており、送配電線のA端側に設置された第1および第2のクロス貫通変流器211,212からそれぞれ入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2に基づいて動作し、送配電線における断線事故を検出するとトリップ信号STを出力して、送配電線のA端側に設置された第1乃至第3の遮断器41〜43を一括遮断する。
この送配電線のA端から見て分岐点よりも前の地点(たとえば、イ点)で断線事故が発生すると、断線保護継電装置21は、上述した2端子の送配電線のR相で断線事故が発生したときと同様にして断線判定処理を行う。
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもC端側の地点(たとえば、ハ点)で断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は以下に示すようになる。
(1)R相断線時
R相に断線事故が発生すると、図5(a)に示すように、R相電流IRはB端側R相電流IBRとなり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(7−1)式〜(7−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=|IBR−(IBS+ICS)|=[{1.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(1.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒1.48) (7−1)
θRy1=324.2° (7−2)
|IRy2|=|IS−IT|=|(IBS+ICS)−(IBT+ICT)|=31/2 (7−3)
θRy2=90° (7−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(8−1)式〜(8−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|≒1.48−31/2(≒−0.25) (8−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=324.2°−330°=−5.8° (8−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2−31/2=0 (8−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=90°−90°=0° (8−4)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図5(b)に示すように、S相電流ISはB端側S相電流IBSとなり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(9−1)式〜(9−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=|(IBR +ICR)−IBS|=[{1.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(1.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒1.48) (9−1)
θRy1=335.8° (9−2)
|IRy2|=|IS−IT|=|IBS−(IBT +ICT)|=[{1.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(1.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒1.48) (9−3)
θRy2=84.2° (9−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(10−1)式〜(10−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|≒1.48−31/2(≒−0.25) (10−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=335.8°−330°=5.8° (10−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=1.48−31/2=−31/2/2(≒−0.25) (10−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=84.2°−90°=−5.8° (10−4)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図3(d)に示すように、T相電流ITはC端側T相電流ICTとなり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(11−1)式〜(11−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS|=|(IBR +ICR)−(IBS +ICS)|=31/2 (11−1)
θRy1=330° (11−2)
|IRy2|=|IS−IT|=|(IBS +ICS)−IBT|=[{1.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(1.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒1.48) (11−3)
θRy2=95.8° (11−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(12−1)式〜(12−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2−31/2=0 (12−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=330°−330°=0° (12−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|≒1.48−31/2(≒−0.25) (12−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=95.8°−90°=5.8° (12−4)
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもB端側の地点(たとえば、ロ点)で断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は、同様にして、以下に示すようになる。
(1)R相断線時
ΔIRy1≒−0.82 (13−1)
ΔθRy1=−40.9° (13−2)
ΔIRy2=0 (13−3)
ΔθRy2=0° (13−4)
(2)S相断線時
ΔIRy1≒−0.82 (14−1)
ΔθRy1=40.9° (14−2)
ΔIRy2≒−0.82 (14−3)
ΔθRy2=−40.9° (14−4)
(3)T相断線時
ΔIRy1=0 (15−1)
ΔθRy1=0° (15−2)
ΔIRy2≒−0.82 (15−3)
ΔθRy2=40.9° (15−4)
次に、断線保護継電装置10のリレー演算処理部15における断線判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.95≦ΔIRy1≦−0.25、−66°≦ΔθRy1≦−5.8°、−0.13≦ΔIRy2≦0.13、−2.7°≦ΔθRy2≦2.7°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。また、−66°≦ΔθRy1≦−55.1°の場合には、送配電線のR相のA端から見て分岐点よりも前の地点で断線事故(以下、「R相分岐前断線事故」と称する。)が発生したと判定し、−55.1°<ΔθRy1<−22.1°の場合には、送配電線のR相のA端から見て分岐点よりもB端側の地点で断線事故(以下、「R相分岐後B端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、−16.4°<ΔθRy1≦−5.8°の場合には、送配電線のR相のA端から見て分岐点よりもC端側の地点で断線事故(以下、「R相分岐後C端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、−22.1°≦ΔθRy1≦−16.4°の場合には、送配電線のR相のA端から見て分岐点よりも後ろの地点で断線事故(以下、「R相分岐後断線事故」と称する。)が発生したと判定する。
(2)−0.95≦ΔIRy1≦−0.25、5.8°≦ΔθRy1≦66°、−0.95≦ΔIRy2≦−0.25、−66°≦ΔθRy2≦−5.8°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。また、55.1°≦ΔθRy1≦66°かつ−66°≦ΔθRy2≦−55.1°の場合には、送配電線のS相のA端から見て分岐点よりも前の地点で断線事故(以下、「S相分岐前断線事故」と称する。)が発生したと判定し、22.1°<ΔθRy1<55.1°かつ−55.1°<ΔθRy2<−22.1°の場合には、送配電線のS相のA端から見て分岐点よりもB端側の地点で断線事故(以下、「S相分岐後B端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、5.8°≦ΔθRy1<16.4°かつ−16.4°<ΔθRy2≦−5.8°の場合には、送配電線のS相のA端から見て分岐点よりもC端側の地点で断線事故(以下、「S相分岐後C端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、16.4°≦ΔθRy1≦22.1°かつ−22.1°≦ΔθRy2≦−16.4°の場合には、送配電線のS相のA端から見て分岐点よりも後ろの地点で断線事故(以下、「S相分岐後断線事故」と称する。)が発生したと判定する。
(3)−0.13≦ΔIRy1≦0.13、−2.7°≦ΔθRy1≦2.7°、−0.95≦ΔIRy2≦−0.25、−66°≦ΔθRy2≦−5.8°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。また、55.1°≦ΔθRy2≦66°の場合には、送配電線のT相のA端から見て分岐点よりも前の地点で断線事故(以下、「T相分岐前断線事故」と称する。)が発生したと判定し、22.1°<ΔθRy2<55.1°の場合には、送配電線のT相のA端から見て分岐点よりもB端側の地点で断線事故(以下、「T相分岐後B端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、5.8°≦ΔθRy2<16.4°の場合には、送配電線のT相のA端から見て分岐点よりもC端側の地点で断線事故(以下、「T相分岐後C端側断線事故」と称する。)が発生したと判定し、16.4°≦ΔθRy2≦22.1°の場合には、送配電線のT相のA端から見て分岐点よりも後ろの地点で断線事故(以下、「T相分岐後断線事故」と称する。)が発生したと判定する。
これにより、断線事故が分岐前後のどの箇所で発生したかを判定することができるため、断線事故箇所の探索が容易となる。
次に、本発明の第2の実施例による断線保護継電システムについて、図6乃至図9を参照して説明する。
本実施例による断線保護継電システムは、以下に示す点で、上述した第1の実施例による断線保護継電システムと異なる。
(1)三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、図6に示すように、第1の断線保護継電装置101が、送配電線のA端側に設置された第1および第2のストレート貫通変流器221,222からそれぞれ入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2に基づいて動作する。また、第2の断線保護継電装置102が、送配電線のB端側に設置された第3よび第4のストレート貫通変流器223,224からそれぞれ入力される第3および第4の合成電流IRy3,IRy4に基づいて動作する。
(1)三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、図8に示すように、断線保護継電装置10が、送配電線のA端側に設置された第1および第2のストレート貫通変流器221,222からそれぞれ入力される第1および第2の合成電流IRy1,IRy2に基づいて動作する。
ここで、第1のストレート貫通変流器221は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のR相およびS相を同じ向きにストレートに貫通させた貫通形変流器であり、第2のストレート貫通変流器222は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のS相およびT相を同じ向きにストレートに貫通させた貫通形変流器である。
すなわち、送配電線のR相およびS相は共に第1のストレート貫通変流器221の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されており、送配電線のS相およびT相は共に第2のストレート貫通変流器222の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されている。
したがって、正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’とは図7(a)に示すように120°の位相差で第1のストレート貫通変流器221の環状鉄心を極性方向に貫通して流れるため、第1のストレート貫通変流器221から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第1の合成電流IRy1’は正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’とのベクトル和となり、正常時の第1の合成電流IRy1’の大きさおよび位相は1および60°となる。
|IRy1’|=|IR’+IS’|=1
θRy1’=60°
第2のストレート貫通変流器222は、第1のストレート貫通変流器221と同様に構成されている。
したがって、第2のストレート貫通変流器222から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第2の合成電流IRy2’は正常時のS相電流IS’と正常時のT相電流IT’とのベクトル和となり、正常時の第2の合成電流IRy2’の大きさおよび位相は1および180°となる(図7(a)参照)。
|IRy2’|=|IS1’+I T1’|=1
θRy2’=180°
第3および第4のストレート貫通変流器223,224は、第1および第2のストレート貫通変流器221,222と同様に構成されている。
次に、2端子の送配電線において断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2について、図7(b)〜(d)を参照して説明する。
(1)R相断線時
送配電線のR相に断線事故が発生すると、図7(b)に示すように、R相電流IRは0となり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(16−1)式〜(16−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=|0+IS|=|IS|=31/2/2 (16−1)
θRy1=90° (16−2)
|IRy2|=|IS+IT|=0 (16−3)
θRy2=180° (16−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(17−1)式〜(17−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−1(≒−0.13) (17−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=60°−30°=30° (17−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=0−1=−1 (17−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=180°−180°=0° (17−4)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図7(c)に示すように、S相電流ISは0となり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(18−1)式〜(18−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=|IR+0|=|IR|=31/2/2 (18−1)
θRy1=30° (18−2)
|IRy2|=|IS+IT|=|0+IT|=|IT|=31/2/2 (18−3)
θRy2=210° (18−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(19−1)式〜(19−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−1(≒−0.13) (19−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=30°−60°=−30° (19−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2/2−1(≒−0.13) (19−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=210°−180°=30° (19−4)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図7(d)に示すように、T相電流ITは0となり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(20−1)式〜(20−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=0 (20−1)
θRy1=60° (20−2)
|IRy2|=|IS+IT|=|IS+0|=|IS|=31/2/2 (20−3)
θRy2=150° (20−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(21−1)式〜(21−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=0−1=−1 (21−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=60°−60°=0° (21−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=31/2/2−1(≒−0.13) (21−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=150°−180°=−30° (21−4)
次に、第1の断線保護継電装置101のリレー演算処理部15における断線事故判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.14≦ΔIRy1≦−0.12、20°≦ΔθRy1≦40°、−1.1≦ΔIRy2≦−0.9、−10°≦ΔθRy2≦10°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。
(2)−0.14≦ΔIRy1≦−0.12、−40°≦ΔθRy1≦−20°、−0.14≦ΔIRy2≦−0.12、20°≦ΔθRy2≦40°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。
(3)−1.1≦ΔIRy1≦−0.9、−10°≦ΔθRy1≦10°、−0.14≦ΔIRy2≦−0.12、−40°≦ΔθRy2≦−20°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。
三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりも前の地点(たとえば、図8に示すイ点)で断線事故が発生すると、断線保護継電装置10は、上述した2端子の送配電線のR相で断線事故が発生したときと同様にして断線判定処理を行う。
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもC端側の地点(たとえば、図8に示すハ点)で断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は以下に示すようになる。
(1)R相断線時
R相に断線事故が発生すると、図9(a)に示すように、R相電流IRはB端側R相電流IBRとなり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(22−1)式〜(22−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=|IBR+(IBS+ICS)|=[{0.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒0.95) (22−1)
θRy1=65.2° (22−2)
|IRy2|=|IS+IT|=|(IBS+ICS)+(IBT+ICT)|=1−m/100=1−0.2=0.8 (22−3)
θRy2=180° (22−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(23−1)式〜(23−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|≒0.95−1=−0.05 (23−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=65.2°−60°=5.2° (23−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|=0.8−1=−0.2 (23−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=180°−180°=0° (23−4)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図9(b)に示すように、S相電流ISはB側S相電流IBSとなり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(24−1)式〜(24−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=|(IBR +ICR)+IBS|=[{0.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒0.95) (24−1)
θRy1=54.8° (24−2)
|IRy2|=|IS+IT|=|IBS+(IBT +ICT)|=[{0.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒0.95) (24−3)
θRy2=185.2° (24−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(25−1)式〜(25−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|≒0.95−1≒−0.05 (25−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=54.8°−60°=−5.2° (25−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’ ≒0.95−1≒−0.05 (25−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=185.2°−180°=5.2° (25−4)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図9(d)に示すように、T相電流ITはB端側T相電流IBTとなり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1および第2の合成電流IRy1,IRy2の大きさおよび位相は(26−1)式〜(26−4)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR+IS|=|(IBR +ICR)+(IBS +ICS)|=1−m/100=1−20/100=1−0.2=0.8 (26−1)
θRy1=60° (26−2)
|IRy2|=|IS+IT|=|(IBS +ICS)+IBT|=[{0.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒0.95) (26−3)
θRy2=174.8° (26−4)
したがって、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は(27−1)式〜(27−4)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=0.8−1=−0.2 (27−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=60°−60°=0° (27−2)
ΔIRy2=|IRy2|−|IRy2’|≒0.95−1=−0.05 (27−3)
ΔθRy2=θRy2−θRy2’=174.8°−180°=−5.2° (27−4)
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもB端側の地点(たとえば、図8に示すロ点)で断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は、同様にして、以下に示すようになる。
(1)R相断線時
ΔIRy1≒−0.13 (28−1)
ΔθRy1=23.4° (28−2)
ΔIRy2=−0.8 (28−3)
ΔθRy2=0° (28−4)
(2)S相断線時
ΔIRy1≒−0.13 (29−1)
ΔθRy1=−23.4° (29−2)
ΔIRy2≒−0.13 (29−3)
ΔθRy2=23.4° (29−4)
(3)T相断線時
ΔIRy1=−0.8 (30−1)
ΔθRy1=0° (30−2)
ΔIRy2≒−0.13 (30−3)
ΔθRy2=−23.4° (30−4)
次に、断線保護継電装置10のリレー演算処理部15における断線判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.15≦ΔIRy1≦−0.046、5.2°≦ΔθRy1≦33°、−1.1≦ΔIRy2≦−0.2、−2.5°≦ΔθRy2≦2.5°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。また、28.3°≦ΔθRy1≦33°の場合には、R相分岐前断線事故が発生したと判定し、15.4°<ΔθRy1<28.3°の場合には、R相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、5.2°≦ΔθRy1<12.4°の場合には、R相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、12.4°≦ΔθRy1≦15.4°の場合には、R相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(2)−0.15≦ΔIRy1≦−0.046、−33°≦ΔθRy1≦−5.2°、−0.15≦ΔIRy2≦−0.046、5.2°≦ΔθRy2≦33°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。また、−33°≦ΔθRy1≦−28.3°かつ28.3°≦ΔθRy2≦33°の場合には、S相分岐前断線事故が発生したと判定し、−28.3°<ΔθRy1<−15.4°かつ15.4°<ΔθRy2<28.3°の場合には、S相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−12.4°<ΔθRy1≦−5.2°かつ5.2°≦ΔθRy2<12.4°の場合には、S相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−15.4°≦ΔθRy1≦−12.4°かつ12.4°≦ΔθRy2≦15.4°の場合には、S相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(3)−1.1≦ΔIRy1≦−0.2、−2.5°≦ΔθRy1≦2.5°、−0.15≦ΔIRy2≦−0.046、−33°≦ΔθRy2≦−5.2°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。また、−33°≦ΔθRy2≦−28.3°の場合には、T相分岐前断線事故が発生したと判定し、−28.3°<ΔθRy2<−15.4°の場合には、T相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−12.4°<ΔθRy2≦−5.2°の場合には、T相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−15.4°≦ΔθRy2≦−12.4°の場合には、T相分岐後断線事故が発生したと判定する。
次に、本発明の第3の実施例による断線保護継電システムについて、図10乃至図13を参照して説明する。
本実施例による断線保護継電システムは、以下に示す点で、上述した第1の実施例による断線保護継電システムと異なる。
(1)三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、図10に示すように、第1の断線保護継電装置101が、送配電線のA端側に設置された第1の二相貫通変流器231から入力される第1の合成電流IRy1に基づいて動作する。また、第2の断線保護継電装置102が、送配電線のB端側に設置された第2の二相貫通変流器232から入力される第2の合成電流IRy2に基づいて動作する。
(1)三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、図12に示すように、断線保護継電装置10が、送配電線のA端側に設置された二相貫通変流器23から入力される合成電流IRyに基づいて動作する。
ここで、第1の二相貫通変流器231は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のR相およびS相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させた貫通形変流器である。すなわち、送配電線のR相は第1の二相貫通変流器231の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されているが、送配電線のS相は第1の二相貫通変流器231の反極性方向(環状鉄心の第2の開口面から環状鉄心の第1の開口面への方向)に貫通されている。
また、送配電線のR相は1回だけ第1の二相貫通変流器231を貫通されているが、送配電線のS相は2回ほど第1の二相貫通変流器231を貫通されている。これにより、第1の二相貫通変流器231からは、送配電線のR相を流れる電流とS相を流れる電流を2倍した電流との差電流が出力される。
したがって、正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’とは図11(a)に示すように120°の位相差で第1の二相貫通変流器231の環状鉄心を極性方向に貫通して流れるため、第1の二相貫通変流器231から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第1の合成電流IRy1’は正常時のR相電流IR’と正常時のS相電流IS’を2倍した電流(=2IS’)とのベクトル差となり、正常時の第1の合成電流IRy1’の大きさおよび位相は71/2および319.1°となる。
|IRy1’|=|IR’−2IS’|=71/2
θRy1’=319.1°
第2の二相貫通変流器232および二相貫通変流器23は、第1の二相貫通変流器231と同様に構成されている。
次に、2端子の送配電線において断線事故が発生したときの第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1について、図11(b)〜(d)を参照して説明する。
(1)R相断線時
送配電線のR相に断線事故が発生すると、図11(b)に示すように、R相電流IRは0となり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(31−1)式および(31−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−2IS|=|0−2IS|=2×|IS|=2×31/2/2=31/2 (31−1)
θRy1=270° (31−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(32−1)式および(32−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2−71/2(≒−0.91) (32−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=270°−319.1°=−49.1° (32−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図11(c)に示すように、S相電流ISは0となり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(33−1)式および(33−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−2IS|=|IR|=31/2/2 (33−1)
θRy1=30° (33−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(34−1)式および(34−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−71/2(≒−1.78) (34−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=30°−319.1°=−289.1°=70.9° (34−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図11(d)に示すように、T相電流ITは0となり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(35−1)式および(35−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−2IS|=3|IR|=3×31/2/2 (35−1)
θRy1=330° (35−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(36−1)式および(36−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=3×31/2/2−71/2(≒−0.05) (36−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=330°−319.1°=10.9° (36−2)
次に、第1の断線保護継電装置101のリレー演算処理部15における断線事故判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1の電流変化量ΔIRy1については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1の位相変化角ΔθRy1については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−1.00≦ΔIRy1≦−0.82、−59.1°≦ΔθRy1≦−39.1°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。
(2)−1.96≦ΔIRy1≦−1.60、60.9°≦ΔθRy1≦80.9°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。
(3)−0.055≦ΔIRy1≦−0.045、0.9°≦ΔθRy1≦10.9°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。
三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりも前の地点(たとえば、図12に示すイ点)で断線事故が発生すると、断線保護継電装置10は、上述した2端子の送配電線のR相で断線事故が発生したときと同様にして断線判定処理を行う。
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもC端側の地点(たとえば、図12に示すハ点)で断線事故が発生したときの電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは以下に示すようになる。
(1)R相断線時
R相に断線事故が発生すると、図13(a)に示すように、R相電流IRはB端側R相電流IBRとなり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(37−1)式および(37−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−2IS|=|IBR−2(IBS+ICS)|=[{2×(100−m)/100}2+(31/221/2={(2×0.8)2+3}1/2(≒2.36) (37−1)
θRy=312.7° (37−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(38−1)式および(38−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.36−2.65=−0.29 (38−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=312.7°−319.1°=−6.4° (38−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図13(b)に示すように、S相電流ISはB端側S相電流IBSとなり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(39−1)式および(39−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−2IS|=|(IBR +ICR)−2IBS|=[{2.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(2.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒2.18) (39−1)
θRy=323.4° (39−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(40−1)式および(40−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.18−2.65=−0.47 (40−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=323.4°−319.1°=4.3° (40−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図13(d)に示すように、T相電流ITはB端側T相電流IBTとなり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(41−1)式および(41−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−2IS|=|(IBR +ICR)−2(IBS +ICS)|=[{0.5×(100−m)/100}2+(3×31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+6.75}1/2(≒2.63) (41−1)
θRy=321.2° (41−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(42−1)式および(42−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.63−2.65=−0.02 (42−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=321.2°−319.1°=2.1° (42−2)
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもB端側の地点(たとえば、図12に示すロ点)で断線事故が発生したときの電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは、同様にして、以下に示すようになる。
(1)R相断線時
ΔIRy≒−0.87 (43−1)
ΔθRy=−36.1° (43−2)
(2)S相断線時
ΔIRy≒−1.65 (44−1)
ΔθRy=40.9° (44−2)
(3)T相断線時
ΔIRy=−0.05 (45−1)
ΔθRy=8.7° (45−2)
次に、断線保護継電装置10のリレー演算処理部15における断線判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、電流変化量ΔIRyについては±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、位相変化角ΔθRyについては±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−1.0≦ΔIRy≦−0.29、−54°≦ΔθRy≦−6.4°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。また、−54°≦ΔθRy≦−45.8°の場合には、R相分岐前断線事故が発生したと判定し、−45.8°<ΔθRy<−21.6°の場合には、R相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−16.7°<ΔθRy≦−6.4°の場合には、R相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−21.6°≦ΔθRy≦−16.7°の場合には、R相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(2)−1.96≦ΔIRy≦−0.47、4.3°≦ΔθRy≦78°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。また、62.7°≦ΔθRy≦78°の場合には、S相分岐前断線事故が発生したと判定し、18.5°<ΔθRy<62.7°の場合には、S相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、4.3°≦ΔθRy<13.1°の場合には、S相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、13.1°≦ΔθRy≦18.5°の場合には、S相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(3)−0.053≦ΔIRy≦−0.017、2.1°≦ΔθRy≦12°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。また、10.3°≦ΔθRy≦12°の場合には、T相分岐前断線事故が発生したと判定し、5.9°<ΔθRy<10.3°の場合には、T相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、2.1°≦ΔθRy<4.9°の場合には、T相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、4.9°≦ΔθRy≦5.9°の場合には、T相分岐後断線事故が発生したと判定する。
次に、本発明の第4の実施例による断線保護継電システムについて、図14乃至図17を参照して説明する。
本実施例による断線保護継電システムは、以下に示す点で、上述した第1の実施例による断線保護継電システムと異なる。
(1)三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、図14に示すように、第1の断線保護継電装置101が、送配電線のA端側に設置された第1の三相貫通変流器241から入力される第1の合成電流IRy1に基づいて動作する。また、第2の断線保護継電装置102が、送配電線のB端側に設置された第2の三相貫通変流器242から入力される第2の合成電流IRy2に基づいて動作する。
(1)三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、図16に示すように、断線保護継電装置10が、送配電線のA端側に設置された三相貫通変流器24から入力される合成電流IRyに基づいて動作する。
ここで、第1の三相貫通変流器241は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のS相をR相と逆向きに同じ回数だけ貫通させるとともに送配電線のT相をR相と逆向きに異なる回数だけ貫通させた貫通形変流器である。すなわち、送配電線のR相は第1の三相貫通変流器241の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されているが、送配電線のS相およびT相は共に第1の三相貫通変流器241の反極性方向(環状鉄心の第2の開口面から環状鉄心の第1の開口面への方向)に貫通されている。
また、送配電線のR相およびS相は1回だけ第1の三相貫通変流器241を貫通されているが、送配電線のT相は2回ほど第1の三相貫通変流器241を貫通されている。これにより、第1の三相貫通変流器241からは、第1のR相電流IR1と第1のS相電流IS1の極性を反転したものと第1のT相電流IT1を2倍した電流の極性を反転したものとの和電流が出力される。
したがって、第1の三相貫通変流器241から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第1の合成電流IRy1’は正常時のR相電流IR’と極性が負の正常時のS相電流IS’(=−IS’)と極性が負のT相電流IT’を2倍した電流(=−2IT’)とのベクトル和となるが、正常時のR相、S相およびT相電流IR’,IS’,IT’は図15(a)に示すように位相が120°間隔でずれているため、正常時の第1の合成電流IRy1’の大きさおよび位相は71/2および19.1°となる。
|IRy1’|=|IR’−IS’−2IT’|=71/2
θRy1’=19.1°
第2の三相貫通変流器242および三相貫通変流器24は、第1の三相貫通変流器241と同様に構成されている。
次に、2端子の送配電線において断線事故が発生したときの第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1について、図15(b)〜(d)を参照して説明する。
(1)R相断線時
送配電線のR相に断線事故が発生すると、図15(b)に示すように、R相電流IRは0となり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(46−1)式および(46−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS−2IT|=|0−IS−2IT|=|IS|=31/2/2 (46−1)
θRy1=90° (46−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(47−1)式および(47−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−71/2(≒−1.78) (47−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=90°−19.1°=70.9° (47−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図15(c)に示すように、S相電流ISは0となり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(48−1)式および(48−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS−2IT|=|IR−2IT|=3×|IR|=3×31/2/2 (48−1)
θRy1=30° (48−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(49−1)式および(49−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=3×31/2/2−71/2(≒−0.05) (49−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=30°−19.1°=10.9° (49−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図19(d)に示すように、T相電流ITは0となり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(50−1)式および(50−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS−2IT|=|IR−IS|=2|IR|=2×31/2/2=31/2 (50−1)
θRy1=330°=−30° (50−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(51−1)式および(36−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2−71/2(≒−0.91) (51−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=−30°−19.1°=−49.1° (51−2)
次に、第1の断線保護継電装置101のリレー演算処理部15における断線事故判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1の電流変化量ΔIRy1については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1の位相変化角ΔθRy1については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−1.96≦ΔIRy1≦−1.60、60.9°≦ΔθRy1≦80.9°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。
(2)−0.055≦ΔIRy1≦−0.045、0.9°≦ΔθRy1≦20.9°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。
(3)−1.00≦ΔIRy1≦−0.82、−59.1°≦ΔθRy1≦−39.1°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。
三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりも前の地点(たとえば、図16に示すイ点)で断線事故が発生すると、断線保護継電装置10は、上述した2端子の送配電線のR相で断線事故が発生したときと同様にして断線判定処理を行う。
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもC端側の地点(たとえば、図16に示すハ点)で断線事故が発生したときの電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは以下に示すようになる。
(1)R相断線時
R相に断線事故が発生すると、図17(a)に示すように、R相電流IRはB端側R相電流IBRとなり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(52−1)式および(52−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS−2IT|=|IBR−(IBS+ICS)−2(IBT+ICT)|=[{2.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(2.5×0.8)2+0.75}1/2(≒2.18) (52−1)
θRy=49.1° (52−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(53−1)式および(53−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.18−2.65=−0.47 (53−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=49.1°−19.1°=30° (53−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図17(b)に示すように、S相電流ISはB端側S相電流IBSとなり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(54−1)式および(54−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS−2IT|=|(IBR +ICR)−IBS−2(IBT +ICT)|=[{0.5×(100−m)/100}2+(3×31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(3×31/2/2)21/2(≒2.63) (54−1)
θRy=21.3 (54−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(55−1)式および(55−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.63−2.65=−0.02 (55−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=21.3°−19.1°=2.2° (55−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図17(c)に示すように、T相電流ITはB端側T相電流IBTとなり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(56−1)式および(56−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS−2IT|=|(IBR +ICR)−(IBS +ICS)−2IBT|=[{2×(100−m)/100}2+(31/221/2={(2×0.8)2+3}1/2(≒2.36) (56−1)
θRy=6.1° (56−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(57−1)式および(57−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.36−2.65=−0.29 (57−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=6.1°−19.1°=−13° (57−2)
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもB端側の地点(たとえば、図16に示すロ点)で断線事故が発生したときの第1および第2の電流変化量ΔIRy1,ΔIRy2と第1および第2の位相変化角ΔθRy1,ΔθRy2は、同様にして、以下に示すようになる。
(1)R相断線時
ΔIRy≒−1.65 (58−1)
ΔθRy=66.6° (58−2)
(2)S相断線時
ΔIRy≒−0.046 (59−1)
ΔθRy=8.8° (59−2)
(3)T相断線時
ΔIRy=−0.87 (60−1)
ΔθRy=−42.7° (60−2)
次に、断線保護継電装置10のリレー演算処理部15における断線判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、電流変化量ΔIRyについては±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、位相変化角ΔθRyについては±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.053≦ΔIRy≦−0.47、30°≦ΔθRy≦78°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。また、70°≦ΔθRy≦78°の場合には、R相分岐前断線事故が発生したと判定し、57.8°<ΔθRy<70°の場合には、R相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、30°≦ΔθRy<52.4°の場合には、R相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、52.4°≦ΔθRy≦57.8°の場合には、R相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(2)−0.053≦ΔIRy≦−0.017、2.2°≦ΔθRy≦12°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。また、10.4°≦ΔθRy≦12°の場合には、S相分岐前断線事故が発生したと判定し、6°<ΔθRy<10.4°の場合には、S相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、2.2°≦ΔθRy<4.9°の場合には、S相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、4.9°≦ΔθRy≦6°の場合には、S相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(3)−0.29≦ΔIRy≦−1.0、−54°≦ΔθRy≦−13°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。また、−54°≦ΔθRy≦−47.6°の場合には、T相分岐前断線事故が発生したと判定し、−47.6°<ΔθRy<−32.4°の場合には、T相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−27.5°<ΔθRy≦−13°の場合には、T相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−32.4°≦ΔθRy≦−27.5°の場合には、T相分岐後断線事故が発生したと判定する。
次に、本発明の第5の実施例による断線保護継電システムについて、図18乃至図21を参照して説明する。
本実施例による断線保護継電システムは、以下に示す点で、上述した第1の実施例による断線保護継電システムと異なる。
(1)三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、図18に示すように、第1の断線保護継電装置101が、送配電線のA端側に設置された第1の三相貫通変流器251から入力される第1の合成電流IRy1に基づいて動作する。また、第2の断線保護継電装置102が、送配電線のB端側に設置された第2の三相貫通変流器252から入力される第2の合成電流IRy2に基づいて動作する。
(2)三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、図20に示すように、断線保護継電装置10が、送配電線のA端側に設置された三相貫通変流器25から入力される合成電流IRyに基づいて動作する。
ここで、第1の三相貫通変流器251は、2次コイルを巻装した環状鉄心に送配電線のS相をR相と逆向きに同じ回数だけ貫通させるとともに送配電線のT相をR相と同じ向きに異なる回数だけ貫通させた貫通形変流器である。すなわち、送配電線のR相およびT相は共に第1の三相貫通変流器251の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されているが、送配電線のS相は第1の三相貫通変流器251の反極性方向(環状鉄心の第2の開口面から環状鉄心の第1の開口面への方向)に貫通されている。
また、送配電線のR相およびS相は1回だけ第1の三相貫通変流器251を貫通されているが、送配電線のT相は2回ほど第1の三相貫通変流器251を貫通されている。これにより、第1の三相貫通変流器251からは、R相電流IRとS相電流ISの極性を反転したものと第1のT相電流ITを2倍した電流との和電流が出力される。
したがって、第1の三相貫通変流器251から第1の断線保護継電装置101に入力される正常時の第1の合成電流IRy1’は正常時のR相電流IR’と極性が負の正常時のS相電流IS’(=−IS’)と正常時のT相電流IT’を2倍した電流(=2IT1’)とのベクトル和となるが、正常時のR相、S相およびT相電流IR’,IS’,IT’は図19(a)に示すように位相が120°間隔でずれているため、正常時の第1の合成電流IRy1’の大きさおよび位相は71/2および280.9°となる。
|IRy1’|=|IR’−IS’+2IT’|=71/2
θRy1’=280.9°
第2の三相貫通変流器252および三相貫通変流器25は、第1の三相貫通変流器251と同様に構成されている。
次に、2端子の送配電線において断線事故が発生したときの第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1について、図19(b)〜(d)を参照して説明する。
(1)R相断線時
送配電線のR相に断線事故が発生すると、図19(b)に示すように、R相電流IRは0となり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(61−1)式および(61−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS+2IT|=|0−IS+2IT|=3×|IT|=3×31/2/2 (61−1)
θRy1=270° (61−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(62−1)式および(62−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=3×31/2/2−71/2(≒−0.05) (62−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=270°−280.9°=−10.9° (62−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図19(c)に示すように、S相電流ISは0となり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(63−1)式および(63−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS+2IT|=|IR+2IT|=|IT|=31/2/2 (63−1)
θRy1=210° (63−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(64−1)式および(64−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2/2−71/2(≒−1.78) (64−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=210°−280.9°=−70.9° (64−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図19(d)に示すように、T相電流ITは0となり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、第1の合成電流IRy1の大きさおよび位相は(65−1)式および(65−2)式でそれぞれ表される。
|IRy1|=|IR−IS+2IT|=|IR−IS|=2|IR|=2×31/2/2=31/2 (65−1)
θRy1=330° (65−2)
したがって、第1の電流変化量ΔIRy1と第1の位相変化角ΔθRy1は(66−1)式および(66−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy1=|IRy1|−|IRy1’|=31/2−71/2(≒−0.91) (66−1)
ΔθRy1=θRy1−θRy1’=330°−280.1°=49.1° (66−2)
次に、第1の断線保護継電装置101のリレー演算処理部15における断線事故判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、第1の電流変化量ΔIRy1については±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、第1の位相変化角ΔθRy1については±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.055≦ΔIRy1≦−0.045、−20.9°≦ΔθRy1≦−0.9°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。
(2)−1.96≦ΔIRy1≦−1.60、−80.9°≦ΔθRy1≦−60.9°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。
(3)−1.00≦ΔIRy1≦−0.82、39.1°≦ΔθRy1≦59.1°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。
三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりも前の地点(たとえば、図20に示すイ点)で断線事故が発生すると、断線保護継電装置10は、上述した2端子の送配電線のR相で断線事故が発生したときと同様にして断線判定処理を行う。
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもC端側の地点(たとえば、図20に示すハ点)で断線事故が発生したときの電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは以下に示すようになる。
(1)R相断線時
R相に断線事故が発生すると、図21(a)に示すように、R相電流IRはB端側R相電流IBRとなり、健全相を流れるS相およびT相電流IS,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(67−1)式および(67−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS+2IT|=|IBR−(IBS+ICS)+2(IBT+ICT)|=[{0.5×(100−m)/100}2+(3×31/2/2)21/2={(0.5×0.8)2+(3×31/2/2)21/2(≒2.63) (67−1)
θRy=278.7° (67−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(68−1)式および(68−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.63−2.65=−0.02 (68−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=278.7°−280.9°=−2.2° (68−2)
(2)S相断線時
送配電線のS相に断線事故が発生すると、図21(b)に示すように、S相電流ISはB端側S相電流IBSとなり、健全相を流れるR相およびT相電流IR,ITの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(69−1)式および(69−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS+2IT|=|(IBR +ICR)−IBS+2(IBT +ICT)|=[{2.5×(100−m)/100}2+(31/2/2)21/2={(2.5×0.8)2+(31/2/2)21/2(≒2.18) (69−1)
θRy=250.9° (69−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(70−1)式および(70−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.18−2.65=−0.47 (70−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=250.9°−280.9°=−30° (70−2)
(3)T相断線時
送配電線のT相に断線事故が発生すると、図21(c)に示すように、T相電流ITはB端側T相電流IBTとなり、健全相を流れるR相およびS相電流IR,ISの大きさおよび位相は対称的に変化する。
その結果、合成電流IRyの大きさおよび位相は(71−1)式および(71−2)式でそれぞれ表される。
|IRy|=|IR−IS+2IT|=|(IBR +ICR)−(IBS +ICS)+2IBT|=[{2×(100−m)/100}2+(31/221/2={(2×0.8)2+3}1/2(≒2.36) (71−1)
θRy=293.9° (71−2)
したがって、電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは(72−1)式および(72−2)式でそれぞれ表される。
ΔIRy=|IRy|−|IRy’|≒2.36−2.65=−0.29 (72−1)
ΔθRy=θRy−θRy’=293.9°−280.9°=13° (72−2)
また、分岐負荷率m=20%とした場合に、この送配電線のA端から見て分岐点よりもB端側の地点(たとえば、図20に示すロ点)で断線事故が発生したときの電流変化量ΔIRyと位相変化角ΔθRyは、同様にして、以下に示すようになる。
(1)R相断線時
ΔIRy≒−0.046 (73−1)
ΔθRy=−8.8° (73−2)
(2)S相断線時
ΔIRy≒−1.65 (74−1)
ΔθRy=−66.6° (74−2)
(3)T相断線時
ΔIRy=−0.87 (75−1)
ΔθRy=42.7° (75−2)
次に、断線保護継電装置10のリレー演算処理部15における断線判定処理方法について説明する。
リレー演算処理部15は、電流変化量ΔIRyについては±10%の裕度α(=0.9〜1.1)を持たせ、位相変化角ΔθRyについては±10°の裕度β(=−10°〜10°)を持たせて、以下のように断線回線を判定する。
(1)−0.053≦ΔIRy≦−0.017、−12°≦ΔθRy≦−2.2°の場合には、送配電線のR相で断線事故が発生したと判定する。また、−12°≦ΔθRy≦−10.4°の場合には、R相分岐前断線事故が発生したと判定し、−10.4°<ΔθRy<−6.0°の場合には、R相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−4.9°<ΔθRy≦−2.2°の場合には、R相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−6.0°≦ΔθRy≦−4.9°の場合には、R相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(2)−1.96≦ΔIRy≦−0.47、−78°≦ΔθRy≦−30°の場合には、送配電線のS相で断線事故が発生したと判定する。また、−78°≦ΔθRy≦−70°の場合には、S相分岐前断線事故が発生したと判定し、−70°<ΔθRy<−57.8°の場合には、S相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、−52.4°<ΔθRy≦−30°の場合には、S相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、−57.8°≦ΔθRy≦−52.4°の場合には、S相分岐後断線事故が発生したと判定する。
(3)−0.29≦ΔIRy≦−1.0、13°≦ΔθRy≦54°の場合には、送配電線のT相で断線事故が発生したと判定する。また、47.6°≦ΔθRy≦54°の場合には、T相分岐前断線事故が発生したと判定し、32.4°<ΔθRy<47.6°の場合には、T相分岐後B端側断線事故が発生したと判定し、13°≦ΔθRy<27.5°の場合には、T相分岐後C端側断線事故が発生したと判定し、27.5°≦ΔθRy≦32.4°の場合には、T相分岐後断線事故が発生したと判定する。
次に、本発明の第6の実施例による断線保護継電システムについて、図22および図23を参照して説明する。
本実施例による断線保護継電システムは、以下に示す点で、上述した第1の実施例による断線保護継電システムと異なる。
(1)三相交流回路が2端子の送配電線(3相)である場合には、図22に示すように、第1の断線保護継電装置101が、送配電線のA端側に設置された第1の可変合成変流器261から入力される第1の合成電流IRy1に基づいて動作する。また、第2の断線保護継電装置102が、送配電線のB端側に設置された第2の可変合成変流器262から入力される第2の合成電流IRy2に基づいて動作する。
(2)三相交流回路が3端子の送配電線(3相)である場合には、図23に示すように、断線保護継電装置10が、送配電線のA端側に設置された可変合成変流器26から入力される合成電流IRyに基づいて動作する。
ここで、第1の可変合成変流器261は、第1のR相、S相およびT相変流器3R1,3S1,3T1から入力される電流を合成電流比±x1:±x2:±x3(x1,x2,x3>0)で合成するためのものである。これにより、第1の可変合成変流器261からは、R相電流IRを±x1倍した電流とS相電流ISを±x2倍した電流とT相電流ITを±x3倍した電流との和電流(=±x1×IR±x2×IS±x3×IT)が出力される。
第2の可変合成変流器262および可変合成変流器26は、第1の可変合成変流器261と同様に構成されている。
したがって、たとえば合成電流比±x1:±x2:±x3を1:−1:−2とすることにより、上述した第4の実施例による断線保護継電システムと同様の動作をさせることができ、また、たとえば合成電流比±x1:±x2:±x3を1:−1:2とすることにより、上述した第5の実施例による断線保護継電システムと同様の動作をさせることができる。
以上では、送配電線の各相電流が平衡である場合について説明したが、本発明による断線保護継電システムは、少なくとも2つの相電流を合成した合成電流(電流要素)のみに基づいて断線事故を判定するので、各相電流に不平衡があっても断線事故から送配電線を保護することができる。
また、第1乃至第4の合成電流IRy1〜IRy4および合成電流IRyの変化量を用いたが、第1乃至第4の合成電流IRy1〜IRy4および合成電流IRyの変化率(|IRy1|/|IRy1’|、|IRy2|/|IRy2’|、|IRy3|/|IRy3’|、|IRy4|/|IRy4’|および|IRy|/|IRy’|)を用いてもよい。
さらに、送配電線のA端側およびB端側にそれぞれ設置されている2つの送電線保護継電器に第1および第2の断線保護継電装置101,102の機能をそれぞれ付加するようにしてもよい。
1 電源
2 計器用変成器(GPT)
1〜33 第1乃至第3の変流器
1〜43 第1乃至第3の遮断器
10,110 断線保護継電装置
101,102 第1および第2の断線保護継電装置
11 入力変換器
12 アナログ入力部
13 メモリ
14 電流変化量・位相変化角算出部
15 リレー演算処理部
16 整定・表示部
17 入出力部
18 外部機器インターフェース部(外部機器I/F部)
211〜214 第1乃至第4のクロス貫通変流器
221〜224 第1乃至第4のストレート貫通変流器
23 二相貫通変流器
231,232 第1および第2の二相貫通変流器
24,25 三相貫通変流器
241,242,251,252 第1および第2の三相貫通変流器
26 可変合成変流器
261,262 第1および第2の可変合成変流器
a ベクトルオペレータ
k 逆相電流検出感度
m 分岐負荷率
R,IS,IT R相、S相およびT相電流
R’,IS’,IT’ 正常時のR相、S相およびT相電流
Ry 合成電流
Ry’ 正常時の合成電流
Ry1〜IRy4 第1乃至第4の合成電流
Ry1’〜IRy4’ 正常時の第1乃至第4の合成電流
BR,IBS,IBT B端側R相、S相およびT相電流
CR,ICS,ICT C端側R相、S相およびT相電流
BR’,IBS’,IBT’ 正常時のB端側R相、S相およびT相電流
CR’,ICS’,ICT’ 正常時のC端側R相、S相およびT相電流
0 零相電流
1 正相電流
2 逆相電流
min 最小負荷電流
0 零相電圧
V 零相電圧検出感度
T,ST1〜ST4 トリップ信号
θR’,θRy1〜θRy4,θRy1’〜θRy4’ 位相
ΔθRy1〜ΔθRy4 第1乃至第4の位相変化角
α 裕度

Claims (5)

  1. 断線事故から三相交流回路を保護するための断線保護継電システムであって、
    前記三相交流回路の各相を流れる相電流(IR,IS,IT)のうちの少なくとも2つを合成した合成電流を検出するための少なくとも1つの合成変流器(211,212;221,222;231;23;241;24;251;25;261)と、
    該少なくとも1つの合成変流器から入力される前記合成電流のみに基づいて断線事故を判定する断線保護継電装置(101;10)と、
    を具備することを特徴とする、断線保護継電システム。
  2. 前記断線保護継電装置が、前記合成電流の変化量または変化率および位相変化角に基づいて断線事故を判定することを特徴とする、請求項1記載の断線保護継電システム。
  3. 前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第1の相が極性方向に貫通されているとともに該三相交流回路の第2の相が反極性方向に貫通されている第1のクロス貫通変流器(211)と、該三相交流回路の前記第2の相が極性方向に貫通されているとともに該三相交流回路の第3の相が反極性方向に貫通されている第2のクロス貫通変流器(212)、または、前記三相交流回路の前記第1の相および前記第2の相が極性方向に貫通されている第1のストレート貫通変流器(221)と、該三相交流回路の前記第2の相および前記第3の相が極性方向に貫通されている第2のストレート貫通変流器(222)であることを特徴とする、請求項1または2記載の断線保護継電システム。
  4. 前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第2の相が第1の相と逆向きに異なる回数だけ貫通されている二相貫通変流器(231;23)であることを特徴とする、請求項1または2記載の断線保護継電システム。
  5. 前記少なくとも1つの合成変流器が、前記三相交流回路の第2の相が第1の相と逆向きに同じ回数だけ貫通されているとともに該三相交流回路の第3の相が前記第1の相と逆向きまたは同じ向きに異なる回数だけ貫通されている三相貫通変流器(241;24;251;25)、または、前記相電流を所定の合成電流比で合成する可変合成変流器(261)であることを特徴とする、請求項1または2記載の断線保護継電システム。
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