JP2011091273A - 複合型電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室 - Google Patents

複合型電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室 Download PDF

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Abstract

【課題】 30MHz〜18GHzの広い周波数帯域に渡って、−20dB程度の反射減衰量が得られるとともに、小型暗室への適用に好適な小型の複合型電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室を提供すること。
【解決手段】 頂点または先端部を電波の飛来方向に対向配置する円錐、角錐、楔型の少なくともいずれかの形状を有し、非導電性材料からなる表面部材と、前記表面部材の裏側に間隙を設けて配した裏面部材からなる容器4の、前記間隙に軟磁性材料を含む粉末5を充填して形成する電波吸収体2と、前記電波吸収体2の前記裏面部材の側にフェライト焼結タイル3を配して構成する複合型電波吸収体1であって、前記裏面部材と前記フェライト焼結タイル3との間の空洞部を充填するよう配した誘電損失体6を更に備える。
【選択図】図1

Description

本発明はEMI測定などを行う電波暗室の内壁面等に主に用いられる電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室に関し、特に小型電波暗室(以下、「小型暗室」という。)においても使用が可能な程度に小型で広い周波数帯域に対応することが可能な複合型電波吸収体およびそれを用いた電波吸収壁、電波暗室に関する。
電波暗室はアンテナの指向性測定や電波伝搬実験、電磁妨害波の評価試験等多様な目的に利用されており、使用目的などによって要求条件が異なるものの、いずれの場合も壁面に電波吸収体を貼って電磁波の反射のない状態を作っている。近年、とりわけEMC用として用いられる電波暗室では、30MHzから18GHzに至るまでの非常に広い周波数帯域に渡って電磁波の反射を抑え、−20dB程度の反射減衰量を確保することが求められている。
加えて、近年、電子機器の小型・高速・高周波化が進み、測定対象も小型の機器類が増加している。それに伴い、設備投資が少なくて済むことから、主に小型の機器を対象とした小型暗室の需要が増加している。小型暗室では、内部空間の寸法に制約があるため、電波吸収壁を構成する電波吸収体が小型であることが必須要件であるが、前述のように広い周波数帯域に渡って大きな反射減衰量を得られることも要求されている。
30MHzから18GHzといった広い周波数帯域に対応できる電波吸収壁には、一般的に複合型の電波吸収壁が用いられている。図11は従来の複合型電波吸収壁の概略図であり、フェライト焼結タイル3と、導電材料を含浸したピラミッド型や楔型の発泡体である誘電損失体6を組み合わせた複合型電波吸収体をシールド板10上に設置して構成されている。このような複合型電波吸収壁に用いられる複合型電波吸収体は、自由空間から電磁波が入射する際、空間とのインピーダンスマッチングをとりインピーダンスの変化が徐々に為されるようにすることで反射を抑えるものであり、低周波から高周波まで広い周波数帯域で非常に優れた特性を示すことが知られている。
このような従来の複合型電波吸収体は、電波飛来方向に設けられる誘電損失体で充分に電磁波を減衰させるために、対応する波長に応じてその大きさが定まり、対象となる電磁波の周波数が低くなるに従って大型になるという問題がある。このため、フェライト焼結タイルを組み合わせ、低い周波数帯域の減衰特性を補うことで電波暗室の小型化を図ってきたが、小型暗室で使用できる程に小型化するのは困難であった。
従来の小型暗室は、上記のような理由から高さを抑えた平板型の誘電損失体とフェライト焼結タイルで電波吸収壁を構成せざるを得ず、専ら低い周波数帯域の測定に用いられてきた。小型暗室の高い周波数帯域への対応の試みとして、含浸する導電材料を高濃度にして誘電損失体を小型化することも行われているが、高濃度化により電磁波の反射が増え、逆に、低い周波数帯域で充分な特性を得ることが出来なかった。
一方、小型で比較的広い周波数帯域において優れた反射減衰特性を得る技術として、特許文献1および特許文献2が知られている。
特許文献1には、小型暗室用の電波吸収体に関する技術として、フェライトタイルと平板形状または楔形状またはピラミッド形状を持つ上部吸収体を接合したものであり、上部吸収体が周波数1MHz以上において比誘電率4.9以下である汎用樹脂中にフェライト粉を分散させた複合電波吸収体が開示されている。
特許文献2には、磁性粉末材料を他のマトリックスと練混ぜることなくそのまま平板、円錐、角錐、或いは楔形状等の凹凸を有す容器に充填・封入して構成する電波吸収体と、それをフェライトタイルの上面に接合した電波吸収体について開示されている。
特開2000−188513号公報 特開2008−066340号公報
形態は異なるものの、特許文献1および特許文献2はいずれの技術も磁性材料による電波吸収体とフェライトタイルの組み合わせによって、小型でありながら広い周波数帯域で反射減衰特性に優れており、小型暗室で活用されている。しかしながら、近年のより高い周波数帯域への対応には十分とはいえず、10GHzを超える領域では要求特性を満足できない場合があるという課題がある。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、30MHz〜18GHzの広い周波数帯域に渡って、−20dB程度の反射減衰量が得られるとともに、小型暗室への適用に好適な小型の複合型電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室を提供することにある。
本出願人は、複合型電波吸収体の構成について、実質的に磁性体からなる電波吸収体と誘電損失体並びにフェライト焼結タイルを組み合わせ、即ち電波飛来方向から見て磁性体+誘電体+磁性体の組み合わせによって電波吸収体を構成することにより、非常に広い周波数帯域で反射減衰特性に優れ、小型な複合型電波吸収体が得られることを見出した。
即ち、本発明によれば、頂点または先端部を電波の飛来方向に対向配置する円錐、角錐、楔型の少なくともいずれかの形状を有し、非導電性材料からなる表面部材と、前記表面部材の裏側に間隙を設けて配した裏面部材からなる容器の、前記間隙に軟磁性材料を含む粉末を充填して形成する電波吸収体と、前記電波吸収体の前記裏面部材の側にフェライト焼結タイルを配して構成する複合型電波吸収体であって、前記裏面部材と前記フェライト焼結タイルとの間の空洞部を充填するよう配した誘電損失体を更に備えることを特徴とする複合型電波吸収体が得られる。
本発明によれば、前記誘電損失体が前記電波の飛来方向の側に配置される第1の誘電損失体と、前記フェライト焼結タイルの側に配置される第2の誘電損失体で構成されており、前記第1の誘電損失体の誘電率εと前記第2の誘電損失体の誘電率εがε>εの関係であることを特徴とする複合電波吸収体が得られる。
本発明によれば、前記粉末は少なくとも酸化物磁性体、表面に非導電性皮膜を有する軟磁性金属、前記軟磁性金属の粉末を樹脂に分散した複合磁性体の破砕物のいずれかを含むことを特徴とする複合型電波吸収体が得られる。
本発明によれば、前記酸化物磁性体がフェライトであることを特徴とする複合型電波吸収体が得られる。
本発明によれば、前記複合型電波吸収体を用いた電波吸収壁が得られる。
本発明によれば、前記複合型電波吸収体を備える電波吸収壁を用いた電波暗室が得られる。
本発明では、フェライトの粉末に、焼結フェライトを粉砕した粉末、特に使用済み廃材や、寸法や外観不良のため製品出荷できなかったような廃材である焼結フェライト粉砕粉を用いても良い。
本発明は広い周波数帯域に渡って良好な反射減衰特性を得ることの出来る小型な電波吸収体を提供するものであるが、軟磁性材料を含む粉末としてこのように廃材の粉砕粉や破断粉を用いることで、廃棄物の減量による環境負荷の低減や、材料コストの低減により製品価格を抑えることが出来る。
本発明により、複合型電波吸収体の空洞部を充填するよう配した誘電損失体を備える構成とすることで、30MHz〜18GHzの広い周波数帯域に渡って−20dB程度の反射減衰量が得られるとともに、小型暗室への適用に好適な小型の複合型電波吸収体とそれを用いた電波吸収壁、電波暗室を提供することが可能になる。
また、容器に軟磁性材料を含む粉末を充填する構成とすることで、要求に応じて特性の異なる粉末に入れ換えが可能であるなどの柔軟性があり、廃棄に際しても分別廃棄が可能である。また、廃材を使用することも可能であるなど、廃棄物の減量による環境負荷の低減や、材料コストの低減により製品価格を抑えることが出来るという別の効果を得ることも可能になる。
本発明の複合型電波吸収体の第1の実施形態を示す概略断面図。 本発明の複合型電波吸収体をブロック状に形成する例を示す斜視図。図2(a)は複合型電波吸収体が円錐形状、図2(b)は複合型電波吸収体が角錐形状、図2(c)は複合型電波吸収体が楔型形状を示す。 本発明の複合型電波吸収体の第2の実施形態を示す概略断面図。 本発明の複合型電波吸収体の第3の実施形態を示す概略断面図。 本発明の複合型電波吸収体の第4の実施形態を示す概略断面図。 本発明の複合型電波吸収体の第5の実施形態を示す概略断面図。 本発明の複合型電波吸収体の第6の実施形態を示す概略断面図。 本発明の比較例1の概略断面図。 本発明の比較例2の概略断面図。 本発明の実施例と比較例の反射減衰量の周波数特性を示す図。 従来の複合型電波吸収壁の概略図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の複合型電波吸収体の第1の実施形態を示す概略断面図である。また、図2は本発明の複合型電波吸収体をブロック状に形成する例を示す斜視図であり、図2(a)は複合型電波吸収体が円錐形状、図2(b)は複合型電波吸収体が角錐形状、図2(c)は複合型電波吸収体が楔型形状を示す。
本発明の複合型電波吸収体1に用いられるフェライト焼結タイル3は、反射減衰量の要求特性を満足すれば特に材料系を限定するものではないが、Ni−Zn系、Ni−ZnーCu系のフェライトが特に好ましい。フェライト焼結タイル3の厚さは、薄すぎると割れや欠けが発生しやすくなり、加工のコストが上昇する。また、厚すぎると重量が増し電波吸収壁を構成するのに適さなくなり、材料コストが上昇する。従って、1〜20mm程度の厚さであることが好ましい。
電波吸収体2を構成する容器4は、非導電性材料からなる表面部材と、前記表面部材の裏側に間隙を設けて配した裏面部材からなり、有機高分子材料を用いることが好ましい。加工性が良く、誘電率は極端に高いものでなければ汎用樹脂や各種エンジニアリングプラスチックの中から適宜選択すれば良く、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ABS、ウレタン、フェノール、メラミン、PVA、ポリスチレン、ポリカーボネート、塩化ビニルなどを用いることができる。
また、廃棄の際の環境負荷を考慮すれば生分解性樹脂などを用いても良い。なお、電波暗室の建材の一部として用いることから、材料自身が難燃性であるか、難燃剤を含有して難燃性を備えたものが好ましく、廃棄の際の環境負荷を考慮すればハロゲンフリーであればなお好ましい。更に、補強材としてガラス繊維などが含まれていても良い。
電波吸収体2を構成する軟磁性材料を含む粉末5として、酸化物磁性体粉末を用いることが出来る。酸化物磁性体としては酸化鉄、イルメナイト、酸化クロム、フェライト等が挙げられ、フェライトはいわゆる仮焼粉や焼結フェライトの粉砕粉を用いることが出来る。特に焼結フェライト粉砕粉は磁芯や電波吸収体として使用済み廃材や、寸法・外観などによって不良となった廃材を粉砕したものを用いることが出来る。いずれの粉末を用いる場合でも粒径が10μm〜5mm程度が好適である。要求特性に応じて、粒径の揃ったものを用いても、異なる粒径のものを組み合わせて用いても良い。
軟磁性材料を含む粉末5に用いる他の軟磁性材料として、酸化物磁性体粉末と同程度の粒径を有する軟磁性金属を用いることも出来る。軟磁性金属は単体でも合金でも良いが、表面に非導電性被膜を有する、或いは酸化物磁性体粉末と混合する、或いは軟磁性金属粉末を樹脂に分散した複合磁性体の破砕物として用いる。材質としては、Fe、Fe−Si系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Ni−Fe系合金、各種アモルファス金属等を用いることが出来る。非導電性被膜は、酸化物膜や窒化物膜の他、樹脂コーティングであっても良い。
軟磁性金属粉末を樹脂に分散した複合磁性体の破砕物としては、シールドや電磁干渉抑制、磁気記録などに用いられた製品やそれらの不良品、端材等を利用することが出来る。破砕物の粒径に関しては酸化物磁性体粉末と同様である。
誘電損失体6は、ウレタンやスチロール、ポリエチレンなどの発泡樹脂にカーボンスラリーを含浸したもの等が好ましいが、1GHz以上の周波数帯域で0.1以上の誘電率を有する材料であれば、樹脂やゴム、セラミック、木片などを用いても良い。容器4の裏面部材およびフェライト焼結タイル3との間に製造時のばらつきや寸法形状の誤差等による僅かな空間が生じても、反射減衰量の要求特性を満足すれば許容される場合がある。
本発明による複合型電波吸収体1において、容器4の間隙には、特に電波飛来方向に対向する頂点または先端部に空間が生じないよう軟磁性材料を含む粉末を充填することが重要であるが、フェライト焼結タイル3が配される側の付近は製造時のばらつきや寸法形状の誤差等による僅かな空間が生じても、反射減衰量の要求特性を満足すれば許容される場合がある。
各々の電波吸収体2の形状自体は従来から用いられているものであり、インピーダンスが電波飛来方向から漸次変化することと乱反射しやすいことを狙ったものである。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の複合型電波吸収体の第2の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態は、容器4の間隙に充填する軟磁性材料を含む粉末5および空洞部に配した誘電損失体6と、フェライト焼結タイル3の間に、更に台座のように誘電損失体6が板状に配置されているものである。誘電損失体6は空洞部を充填する部分と板状部分とが一体となっていても別体となっていても良い。他の構成は第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図4は、本発明の複合型電波吸収体の第3の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態は、外形形状としては第2の実施形態と同様であるが、図4に示したように、誘電損失体6が電波吸収体の電波の飛来方向の側に配置される第1の誘電損失体7と、フェライト焼結タイル3の側に配置される第2の誘電損失体8で構成されることを特徴とする。第1の誘電損失体7の誘電率εと第2の誘電損失体8の誘電率εの関係は、電波飛来方向から見たインピーダンスの漸次変化と反射減衰特性を考慮すると、ε>εであることが好ましい。図4では第1の誘電損失体7は容器4の高さ部分まで設けられ、第2の誘電損失体8はそれに接するよう板状に構成しているが、第1の誘電損失体7と第2の誘電損失体8の配置の比率は図面に限定されるものではなく、要求される反射減衰特性や複合型電波吸収体の寸法、重量、コスト等により適宜選択することが出来る。他の構成は第2の実施形態と同様である。
図1に示す本発明の第1の実施形態による構成では、個々の電波吸収体2の空洞部に充填された誘電損失体6同士は、電波吸収体2の底部において軟磁性材料を含む粉末5の厚み分だけ離れて配置されることになる。従って、軟磁性材料を含む粉末5の反射減衰が十分に効果を発揮しない程の高周波数帯域で用いると、図2に示すような複合型電波吸収体のブロックは電波の反射減衰に隙間が生ずる状態に等しくなる。一方、図3に示す本発明の第2の実施形態および図4に示す本発明の第3の実施形態では、軟磁性材料を含む粉末5とフェライト焼結タイル3の間に板状の誘電損失体部分があることで、前記の反射減衰の隙間を補うことができる。また、第3の実施形態では板状の誘電損失体部分の厚さを変化させることによって第1の誘電損失体7と第2の誘電損失体8を合わせた厚さを調節することが出来る。これによって、個々の電波吸収体2の高さを変える場合とは異なる方法でインピーダンスマッチングを調整することが可能となり、高い反射減衰特性を得ることが出来る。
(第4の実施形態)
図5は、本発明の複合型電波吸収体の第4の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態は、外形形状としては第1の実施形態と同様であるが、図5に示したように、誘電損失体6が電波吸収体の電波の飛来方向の側に配置される第1の誘電損失体7と、フェライト焼結タイル3の側に配置される第2の誘電損失体8で構成される点で相違する。第1の誘電損失体7の誘電率εと第2の誘電損失体8の誘電率εの関係は、第3の実施形態と同じくε>εが好ましい。他の構成は第1の実施形態と同様である。
(第5の実施形態)
図6は、本発明の複合型電波吸収体の第5の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態は、外形形状としては図6に示したように、容器4とフェライト焼結タイル3側の間隔を広くして、その部分の軟磁性材料を含む粉末5を厚くした構成である。従って、空洞部に充填する誘電損失体6も当該部分が厚くなり、台座のように配置される。これは例えば、図2(a)の複合型電波吸収体が円錐形状の場合、円筒状の基部に円錐を載せたような形状ということになる。この例に則って説明するが、誘電損失体6は円筒状の基部と円錐の部分とが一体となっていても別体となっていても良い。他の構成は第1の実施形態と同様である。
(第6の実施形態)
図7は、本発明の複合型電波吸収体の第6の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態は、外形形状としては第5の実施形態同様であるが、図7に示したように誘電損失体6が電波吸収体の電波の飛来方向の側に配置される第1の誘電損失体7と、フェライト焼結タイル3の側に配置される第2の誘電損失体8で構成される点で相違する。第1の誘電損失体7の誘電率εと第2の誘電損失体8の誘電率εの関係は、第3の実施形態と同じくε>εが好ましい。また、実施形態5の例で説明すれば、円錐の部分に第1の誘電損失体7が、円筒状の基部に第2の誘電損失体8が各々充填されている。他の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の誘電損失体7と第2の誘電損失体8の配置の比率は図面に限定されるものではなく、要求される反射減衰特性や複合型電波吸収体の寸法、重量、コスト等により適宜選択することが出来る。
(実施例1)
本発明の第1の実施形態で示した図1の断面形状を有し、電波吸収体2のブロックが図2(a)であるような複合型電波吸収体1を製作し、実施例1とした。使用したフェライト焼結タイル3は厚さが6mmのNi−Zn系フェライトであった。容器4にはポリエチレンを、軟磁性材料を含む粉末5には欠けが生じて不良となったNi−Zn系フェライト焼結タイルを粉砕した平均粒径500μmの不定形粉末を用いた。電波吸収体2の高さは70mm、粉末が封入される軟磁性材料を含む粉末5部分の厚みは7mmであった。電波吸収体2のブロックは大きさが300×300mmで底面の径が56mmの円錐が25個配置されたものであった。容器4の空洞部に充填する誘電損失体6はウレタンフォームにカーボンを高濃度に分散含浸させたもので、100MHzでの誘電率はε=4.9のものを用いた。
(実施例2)
本発明の第3の実施形態で示した図4の断面形状を有し、電波吸収体2のブロックが図2(a)であるような複合型電波吸収体1を製作し、実施例2とした。使用した材料等については実施例1と同様である。第1の誘電損失体7には実施例1で用いた誘電損失体をそのまま用いた。従って、100MHzでの誘電率ε=4.9である。第2の誘電損失体8にはウレタンフォームに、濃度を変えてカーボンを分散含浸させたものを用い、100MHzでの誘電率ε=2.1のものを用いた。第2の誘電損失体8の厚さは12mmであり、ブロックの大きさに合わせて寸法を300×300mmとした。
(比較例1)
図8は、本発明の比較例1の概略断面図である。比較例1は外形形状としては実施例1と同様であるが、空洞部9には誘電損失体は充填されていない。その他の構成や使用した材料等は実施例1と同様である。
(比較例2)
図9は、本発明の比較例2の概略断面図である。比較例2はウレタンフォームにカーボンを高濃度に分散含浸させた誘電損失体6にフェライト焼結タイル3を組み合わせた従来の電波吸収体の例である。300×300mmのブロックに、厚さ30mmの基部を持ち一辺が60mmで高さが70mmの四角錐が25個配置されたものを用いた。誘電損失体6の100MHzでの誘電率はε=4.9であった。
図10は本発明の実施例と比較例の反射減衰量の周波数特性を示す図である。図10の(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は比較例1、(d)は比較例2の特性を示す。
反射減衰量は、実施例並びに比較例の複合型電波吸収体に銅板の裏打ちをし、30MHz〜1GHzの周波数帯域では導波管を用いて、1GHz以上の周波数帯域では自由空間で反射波を測定することにより行った。
比較例2は1GHz以上の周波数帯域で非常に良好な反射減衰特性を示すものの、30MHz〜1GHzの周波数帯域では共に用いているフェライト焼結タイル3の特性が全く反映されず、100MHz付近に至ると全反射に近い特性となり、高濃度で小型化した従来の電波吸収体では広周波数帯域の特性を満足できないことが確認された。
また、誘電損失体6を適用しない比較例1では、30MHz〜1GHzの周波数帯域で良好な反射減衰特性を示すものの、10GHzを超える非常に高い周波数帯域になると反射減衰特性が著しく低下し、使用に耐えないことが確認された。
これに対して、本発明の実施例1および実施例2では、30MHz〜18GHzに至る周波数帯域全域に渡って−20dB程度の反射減衰量が得られ、小型ながらも非常に優れた特性を示すことが分かった。
実施例1と実施例2を比較すると、実施例2の方が5GHz付近からわずかに反射減衰量が大きく、軟磁性材料を含む粉末5の肉厚によって生じる隣り合う誘電損失体同士の隙間を、第2の誘電損失体8が補う効果であると推測する。また、10GHz近辺の反射減衰特性が実施例1より良好である。これは、第1の誘電損失体7(=実施例1の誘電損失体6)で効果の高い周波数であることに加えて、第1の誘電損失体7と第2の誘電損失体8を合わせた厚さで、インピーダンスマッチングする波長の周波数であったため、双方の周波数で良好な反射減衰特性を得ることが出来たものと推測される。これを応用すれば、反射減衰特性が十分でない周波数の波長に合わせて第1の誘電損失体7と第2の誘電損失体8を合わせた厚さを調整することで、反射減衰特性の改善を図ることが期待できる。
実施例1と同様の材料等を用い、軟磁性材料を含む粉末だけを平均粒径が300μmのフェライトの仮焼粉に替えたものを実施例3、同じく軟磁性材料を含む粉末を平均粒径1mmの複合磁性シートの破砕粉に替えたものを実施例4として反射減衰特性を測定した。
なお、実施例4に用いた複合磁性シートは塩素化ポリエチレンにFe−Al−Si系合金粉末を80mass%混練分散させたものであった。
実施例3では概ね実施例1と同様の結果であり、100MHz〜5GHz程度の周波数帯域で、実施例1よりもやや大きな反射減衰量を得ることが出来た。実験的に平均粒径が小さいものの方が5GHzより低い周波数帯域でわずかながら良好な特性が得られる傾向にあった。
実施例4では実施例1と比較して5GHzより低い周波数帯域では反射減衰特性が劣るものの、それ以上の周波数帯域では同等の反射減衰特性を示した。
実施例2の複合型電波吸収体を用いて電波吸収壁とし、電波暗室に適用して、NSA並びにVSWRの測定を行ったところ、充分規格を満足するものであった。
以上、本発明を実施するための形態および実施例について説明したが、本発明はこれら実施するための形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、部材や構成の変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば当然なしえるであろう各種変形や修正もまた、本発明に含まれるものである。
1 複合型電波吸収体
2 電波吸収体
3 フェライト焼結タイル
4 容器
5 軟磁性材料を含む粉末
6 誘電損失体
7 第1の誘電損失体
8 第2の誘電損失体
9 空洞部
10 シールド板

Claims (6)

  1. 頂点または先端部を電波の飛来方向に対向配置する円錐、角錐、楔型の少なくともいずれかの形状を有し、非導電性材料からなる表面部材と、前記表面部材の裏側に間隙を設けて配した裏面部材からなる容器の、前記間隙に軟磁性材料を含む粉末を充填して形成する電波吸収体と、前記電波吸収体の前記裏面部材の側にフェライト焼結タイルを配して構成する複合型電波吸収体であって、前記裏面部材と前記フェライト焼結タイルとの間の空洞部を充填するよう配した誘電損失体を更に備えることを特徴とする複合型電波吸収体。
  2. 請求項1記載の複合型電波吸収体であって、前記誘電損失体が前記電波の飛来方向の側に配置される第1の誘電損失体と、前記フェライト焼結タイルの側に配置される第2の誘電損失体で構成されており、前記第1の誘電損失体の誘電率εと前記第2の誘電損失体の誘電率εがε>εの関係であることを特徴とする複合電波吸収体。
  3. 請求項1または2記載の複合型電波吸収体であって、前記粉末は少なくとも酸化物磁性体、表面に非導電性皮膜を有する軟磁性金属、前記軟磁性金属の粉末を樹脂に分散した複合磁性体の破砕物のいずれかを含むことを特徴とする複合型電波吸収体。
  4. 請求項3記載の複合型電波吸収体であって、前記酸化物磁性体がフェライトであることを特徴とする複合型電波吸収体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の複合型電波吸収体を用いた電波吸収壁。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の複合型電波吸収体を備える電波吸収壁を用いた電波暗室。
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