JP2609422B2 - 広帯域電波吸収体 - Google Patents

広帯域電波吸収体

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JP2609422B2
JP2609422B2 JP5289226A JP28922693A JP2609422B2 JP 2609422 B2 JP2609422 B2 JP 2609422B2 JP 5289226 A JP5289226 A JP 5289226A JP 28922693 A JP28922693 A JP 28922693A JP 2609422 B2 JP2609422 B2 JP 2609422B2
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誠 堤
嘉明 井上
昌彦 木村
正夫 坂口
伸一 山元
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、電波暗室の
壁面やその他電波の反射を防止する必要のある箇所に装
して電波を反射することなく吸収する電波吸収体に関
し、特に、その表面に四角形で同じ大きさの断面形状を
有する複数の突部を二組の異なった間隔で周期的に形成
した(周期構造)ことにより、電波吸収帯域の広帯域
化、薄層化及び軽量化を図った広帯域電波吸収体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電波暗室の壁面やその他電波の反射を防
止する必要のある箇所に装着され、不要電波の抑制に用
いられる電波吸収体には、誘電性吸収体と磁性吸収体と
の二種類がある。
【0003】誘電性吸収体は、例えばカーボンを含浸さ
せた発泡スチロールや発泡ウレタンをテーパ状や楔形に
形成したもので、材料の特性に対する依存性が比較的少
なく、反射の少ない広帯域の吸収体が得られるという特
徴がある反面、吸収する電波の半波長以上の厚さが必要
であるため、比較的大型となる欠点がある。
【0004】一方、磁性吸収体は、例えば、厚さ数mm
のフェライトに金属板を裏打ちしたもので、比較的薄い
吸収体が得られるが、周波数帯域幅が限られる事と重い
という欠点がある。
【0005】ところで、近年、電波吸収体は、デジタル
機器の普及等に伴い、EMI対策にも使用することが考
えられ、一層の広帯域化、薄層化、軽量化が要求されて
いる。
【0006】このため、従来、磁性吸収体であるフェラ
イト焼結タイルの上に、テーパ状あるいは楔型に形成し
た誘電性吸収体を貼りつけ、誘電性吸収体と磁性吸収体
との長所を組み合わせ、広帯域化と薄層化及び軽量化を
図ったものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
フェライト焼結タイルの上に、テーパ状あるいは楔型に
形成した誘電性吸収体を貼りつけたものでは、二種類以
上の異なる材料を組み合わせて複合化しなければならな
いため、製造上においても施工上においても手間がかか
り、コストがかかるという問題がある。
【0008】そこで、この発明の課題は、単一材料によ
り形成することによって、製造上あるいは施工上の手間
を省き、コストの低減を図ると同時に、広帯域化と薄層
化及び軽量化を図った電波吸収体を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明では、誘電性吸収体とその吸収体の表面に
前記吸収体と同じ材料で一体に形成された複数の突部と
からなり、前記突部が、同じ四角形状の断面を有し、
組の異なった間隔周期的に設けられている構成とした
ものである。
【0010】また、その際、上記電波吸収体が、合成樹
脂中に炭素粒子を分散させたものとしてもよい。
【0011】さらに、そのとき、上記炭素粒子の配合比
が1〜8容量%であることとすることができる。
【0012】
【作用】このように構成される広帯域電波吸収体では、
入射する電波に対し、表面に周期的に設けた突部が、二
通りの反射減衰特性を呈する。
【0013】即ち、複数の同じ四角形状の断面を有する
突部は、入射電磁波に対して等価的に、無損失伝送線路
の終端に抵抗が付加されたのと同様の反射減衰特性を呈
する。
【0014】さらに、吸収体は、突部を周期的に設けた
ことにより、空気との境界が、周期的に変化する。
【0015】その際、突部の比誘電率は、表面から突出
しているため、階層的に連続して分布する。
【0016】このため、このよう周期構造は、反射波
を空間高調波の形で入射角以外の場所に散乱させるとと
もに、入射波を導波モードに変換し、導波モードの形で
減衰させる。同時に、空中での波動インピーダンスとの
整合により、反射を少なくする。
【0017】また、この二通りの反射減衰特性は、突部
を吸収体の表面に二組の異なった間隔で周期的に形成し
たことにより、その異なった間隔に応じた減衰帯域を得
ることができ、広帯域化が可能となる。
【0018】また、その際、上記電波吸収体が、合成樹
脂中に炭素粒子を分散させたものでは、合成樹脂を誘電
性吸収体として使用することができる。
【0019】さらに、そのとき、上記炭素粒子の配合比
が1〜8容量%であることとしたものでは、その範囲内
に於いて電波吸収体に最適な誘電性吸収体の材料定数、
即ち、導電率σを0.1〜1S/mに、比誘電率εr
5以下に保つことができる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0021】図1は、本実施例の広帯域電波吸収体(以
下電波吸収体)1を模式的に表したものである。
【0022】図1に示すように、電波吸収体1は、板状
の誘電性吸収体2の表面に、前記吸収体2と同じ材料で
複数の同じ四角形状の断面を有する突部3一体に形成
したものである。
【0023】電波吸収体1は、合成樹脂(実施例では、
エポキシ樹脂)中に炭素粒子を分散させることにより形
成したもので、そのため、重量も軽く、形状も設計に合
わせて自由に形成することができる。
【0024】また、炭素粒子の配合比は、実施例では、
3.3容量%としてある。
【0025】この配合比は最適な材料定数(導電率σ
=0.1〜1S/m,比誘電率εr<5)に設定する。
【0026】即ち、この定数が大きくなると、電波吸収
体1は、導体に近い働きを呈する。反対にσやεr をあ
まり小さく選ぶと、吸収特性良くなることもあるが、
厚みt(構造)が大きくなる欠点がある。
【0027】このため、ここでは、電波吸収体1をXバ
ンド(8〜12.4GHz)で使用するものとし設計
する際炭素粒子を含む誘電性吸収体2の導電率σの特
性変化炭素粒子の量を変えて測定することにより、最
適な量を決定した。
【0028】その測定方法としては、TE10導波管内に
寸法10.2×22.9×16mmの矩形状試料を挿入
し、ベクトル・ネットワーク・アナライザで散乱パラメ
ータを測定することにより行った。その測定結果を図2
に示す。
【0029】同様にして、比誘電率εr の測定を行っ
た。その測定結果を図3に示す。
【0030】この両者の測定結果から、炭素粒子の配合
比は、1〜8容量%に設定するのが良いことがわかっ
た。
【0031】表面の複数の突部3は、図1に示すよう
に、ピッチpで形成された一組の突部をピッチqで繰り
返し、二組の異なった間隔で周期的に繰り返したもので
ある。
【0032】そのため、これらの突部3は、入射電波に
対して二通りの反射減衰特性を呈する。
【0033】即ち、一方の減衰作用は、突部3の断面形
状を四角としたことにより、図4に示すように、無損失
伝送線路の終端に抵抗が付加されたのと等価的に表され
ることから、電磁波に対して抵抗と同様の減衰効果が得
られる。
【0034】また、他方の減衰作用として、突部3は、
空気(領域S1 )との境界が周期Pで変化、例えば、
突部図5に示すように、コルゲート構造となること
から、その界面は、式(1)に示すように、周期 で繰り返される。
【0035】また、突部3の比誘電率は、M層分割し、
そのL層目の領域S2 (l) (L=1,…,M)での突部
の比誘電率は、式(2)に示すような分布で近似され
る。
【0036】
【数1】
【0037】このような正弦波状の周期表面をもつ半無
限誘電性吸収体に
【0038】
【数2】
【0039】が角度θで入射した場合の固有値方程式を
立てて解法し、Z方向の
【0040】
【数3】
【0041】に対応した
【0042】
【数4】
【0043】を求め、突部3の電界と磁界とを求める
と、
【0044】
【数5】
【0045】式(3)に示すようになる。
【0046】また、このとき、電力反射係数は、
【0047】
【数6】
【0048】式(4)で与えられる。
【0049】このため、突部3による周期構造は、入射
波を導波モードに変換し、導波モードの形で減衰させ
る。また、その際、空中での波動インピーダンスとの整
合を行い反射を少なくし、反射波を空間高調波の形で入
射角以外の場所に散乱させて、電波吸収体1の吸収特性
を改善する。
【0050】以上述べた周期pの突部3による反射減衰
特性の改善は、周期qについても同様に生じ、その際、
周期qにより減衰される入射電波の波長は長くなり、減
衰帯域幅が広くなる。
【0051】次に、そのことを確かめるため、図6に示
すように、金属板8を裏打ちした電波吸収体1から1.
65m離れた地点に、送信用と受信用のホーンアンテナ
5,6を26cm離して配置し、送信用ホーンアンテナ
5から電波吸収体1にXバンドの電波を照射し、その反
射波を受信用ホーンアンテナ6で受信し、その周波数特
性をベクトル・ネットワーク・アナライザ7で観察し
た。
【0052】また、その際、電波吸収体1には、炭素粒
子の配合比3.3容量%,電波吸収体1の厚みt=50
mm,周期p=20mm,q=50mm,突部3の深さ
d=10mm,幅w=10mmとした実施例の電波吸収
体1と、炭素粒子の配合比を実施例と同じ3.3容量%
とした500×1000mmの平板を数枚重ね、周期構
造のない厚さ50mmのものを準備し、反射減衰特性を
比較した。その結果をそれぞれ、図7(実施例の電波吸
収体1)と図8に示す。
【0053】図8から解るように、周期構造のない平板
を重ねたものでは、500MHzの幅で吸収量を15dB
以上にさせることができるが、帯域幅が狭く、吸収量も
大きくないことが解る。
【0054】一方、本実施例の電波吸収体1では、20
00MHzに亘って吸収量を20dB以上にさせることが
できた。
【0055】このため、かなりの広い帯域に亘り、大き
な吸収量を呈することができる。
【0056】したがって、このような構造が電波吸収体
として非常に有効なことが解かった。
【0057】また、このとき突部3の深さd、幅wを適
宜選択すれば周波数特性を選択できることは、図4及び
図5の原理図からみても明らかである。
【0058】
【効果】この発明は、以上のように構成し、表面に四角
形で同じ大きさの断面形状を有する複数の突部を、二組
の異なった間隔で周期的に形成したことにより、広帯域
で薄く、しかも軽量化の図れる電波吸収体を単一材料で
簡単に製作できる。
【0059】このため、電子機器などへの組み込みが容
易な優れた特性の電波吸収体を低コストで提供できる。
【0060】さらに、ある特定の周波数においては、そ
れぞれのピッチの形状を最適化すれば、より一層の吸収
特性を得ることができる。
【0061】また、電波吸収体が合成樹脂中に炭素粒子
を分散させたものでは、その形状を自由にしかも簡単に
設計に合わせて形成できる。
【0062】その際、上記炭素粒子の配合比が1〜8容
量%としたものでは、電波吸収体の材料定数を最適な値
にすることができ、反射減衰特性を広帯域で大きな吸収
特性が得られるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の電波吸収体の模式図
【図2】炭素粒子含有率と導電率特性図
【図3】炭素粒子含有率と比誘電率特性を示す図表
【図4】突部の等価回路図
【図5】突部の解析モデル図
【図6】反射減衰特性の測定ブロックダイアグラム
【図7】実施例の反射減衰特性図
【図8】比較例の反射減衰特性図
【符号の説明】
1 電波吸収体 2 誘電性吸収体3 突部 5 送信用ホーンアンテナ 6 受信用ホーンアンテナ 7 ベクトル・ネットワーク・アナライザ 8 金属板
フロントページの続き (72)発明者 木村 昌彦 滋賀県栗太郡栗東町大字上砥山232番地 滋賀県工業技術センター内 (72)発明者 坂口 正夫 滋賀県甲賀郡石部町大字石部135番地 日光化成株式会社内 (72)発明者 山元 伸一 滋賀県甲賀郡石部町大字石部135番地 日光化成株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−79300(JP,A) 特開 平3−19300(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電性吸収体とその吸収体の表面に前記
    吸収体と同じ材料で一体に形成された複数の突部とから
    なり、 前記突部が、同じ四角形状の断面を有し、 二組の異なっ
    た間隔周期的に設けられていることを特徴とする広帯
    域電波吸収体。
  2. 【請求項2】 上記電波吸収体が、合成樹脂中に炭素粒
    子を分散させたものであることを特徴とする請求項1記
    載の広帯域電波吸収体。
  3. 【請求項3】 上記炭素粒子の配合比が1〜8容量%で
    あることを特徴とする請求項2記載の広帯域電波吸収
    体。
JP5289226A 1993-11-18 1993-11-18 広帯域電波吸収体 Expired - Lifetime JP2609422B2 (ja)

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