JP2011090911A - 触媒担持方法および膜−電極接合体 - Google Patents

触媒担持方法および膜−電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】 発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる触媒担持方法および膜−電極接合体を提供する。
【解決手段】 触媒担持方法は、燃料電池(100)の膜−電極接合体(10)に用いられる触媒層(12,13)の触媒金属の担持方法であって、炭素化合物のメソポーラス構造体(230)が表面に形成されたカーボン担体のメソポーラス構造体の孔(231)に、触媒金属の前駆体(241)が添加されたものを、触媒金属の前駆体およびメソポーラス構造体が触媒金属をコア(211)とするコアシェル構造体(210)になる温度で熱処理するコアシェル化工程を含むことを特徴とする方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、触媒担持方法および膜−電極接合体に関する。
燃料電池は、一般的には水素および酸素を燃料として電気エネルギを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れており、また高いエネルギ効率を実現できることから、今後のエネルギ供給システムとして広く開発が進められてきている。
一例として、燃料電池は、電解質膜が一対の触媒層で挟持された膜−電極接合体を有する。この触媒層には、例えばカーボン等の導電性物質に貴金属等の触媒金属を担持させたものが用いられる。特許文献1には、この触媒金属を分散性よく担持させることができるヒドラゾン高分子化合物に関する技術が開示されている。
特開2009−57314号公報
しかしながら、特許文献1に係る技術を用いて製造された膜−電極接合体においては、発電時間の経過に伴って触媒金属が移動して凝集、焼結等するおそれがある。その結果、発電時間の経過に伴って出力電圧が低下するおそれがある。
本発明は、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる触媒担持方法および膜−電極接合体を提供することを目的とする。
本発明に係る触媒担持方法は、燃料電池の膜−電極接合体に用いられる触媒層の触媒金属の担持方法であって、炭素化合物のメソポーラス構造体が表面に形成されたカーボン担体のメソポーラス構造体の孔に、触媒金属の前駆体が添加されたものを、触媒金属の前駆体およびメソポーラス構造体が触媒金属をコアとするコアシェル構造体になる温度で熱処理するコアシェル化工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明に係る触媒担持方法によれば、触媒金属をカーボン担体の表面に形成されたコアシェル構造体のコアとしてカーボン担体に担持することができる。それにより、触媒金属が移動して凝集、焼結等することを抑制することができる。その結果、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。
上記方法は、高分子化合物が遷移金属に配位した高分子金属錯体を溶質とする溶液をカーボン担体にコーティングしたものを、高分子金属錯体がメソポーラス構造体になる温度で熱処理するメソポーラス化工程を、コアシェル化工程の前に含んでいてもよい。この方法によれば、炭素化合物のメソポーラス構造体が表面に形成されたカーボン担体を製造することができる。
上記方法において、高分子化合物は、ヒドラゾン高分子化合物であってもよい。上記方法において、ヒドラゾン高分子化合物は、下記化学式1で表されるヒドラゾン高分子化合物であってもよい。
Figure 2011090911
(化学式1中、R1は、水素原子、および炭素数1−10の炭化水素基の群の中から選択される置換基。R2およびR3は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、エステル基、カルボキシル基、ホルミル基、ニトリル基、スルホン基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基。R4およびR5は、水素原子、水酸基、エーテル基、アミノ基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基。XおよびYは、それぞれ水素原子および水酸基の群から選択される置換基。Zは、炭化水素(CH)または窒素(N)。xは、1〜2の間の実数。yは、1〜3の間の実数。nは4。)
上記方法において、コアシェル構造体になる温度は、800℃以上1000℃以下の温度であってもよい。上記方法において、メソポーラス構造体になる温度は、250℃以上400℃以下の温度であってもよい。上記方法において、遷移金属は、鉄、ニッケルおよびコバルトの少なくとも一つであってもよい。
上記方法において、カーボン担体はカーボンナノチューブであってもよい。この方法によれば、カーボン担体がカーボン粉末である場合に比較して、触媒金属の被担持面の表面積を大きく確保することができることから、触媒金属を高密度担持させることができる。
本発明に係る膜−電極接合体は、電解質膜と、電解質膜を挟持するように配置された一対の触媒層と、を備え、少なくともいずれか一方の触媒層の触媒金属は、炭素化合物のメソポーラス構造体が表面に形成されたカーボン担体のメソポーラス構造体の孔に、触媒金属の前駆体が添加されたものを、触媒金属の前駆体およびメソポーラス構造体が触媒金属をコアとするコアシェル構造体になる温度で熱処理することによって得られるコアシェル構造体のコアとして、カーボン担体に担持されていることを特徴とするものである。
本発明に係る膜−電極接合体によれば、一対の触媒層のうち少なくともいずれか一方の触媒層の触媒金属がカーボン担体の表面に形成されたコアシェル構造体のコアとしてカーボン担体に担持されていることから、触媒金属が移動して凝集、焼結等することを抑制することができる。その結果、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。
上記構成において、カーボン担体はカーボンナノチューブであってもよい。この構成によれば、カーボン担体がカーボン粉末である場合に比較して、触媒金属を高密度担持させることができる。
上記構成において、カーボンナノチューブの管軸方向の一端は電解質膜の膜面に接合していてもよい。この構成によれば、反応ガスをカーボンナノチューブの管内を通じて電解質膜に供給することができる。それにより、カーボン担体がカーボン粉末の場合に比較して、反応ガスを三相界面に容易に到達させることができる。
本発明によれば、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる触媒担持方法および膜−電極接合体を提供することができる。
(a)は第1の実施の形態に係る燃料電池の模式的断面図であり、(b)はカーボン粉末の表面を部分的に拡大した拡大模式図であり、(c)はコアシェル構造体のイメージを模式的に示す断面図である。 第1の実施の形態に係る燃料電池の製造工程の一例を示すフロー図である。 第1の実施の形態に係るメソポーラス化工程を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に係るコアシェル化工程を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に係る接着工程を説明するための模式的断面図である。 (a)は第2の実施の形態に係る燃料電池の模式的断面図であり、(b)はアノード触媒層の電解質膜との境界部近傍の模式的拡大断面図である。 第2の実施の形態に係る燃料電池の製造工程の一例を示すフロー図である。 第2の実施の形態に係るカーボンナノチューブ生成工程を説明するための模式的断面図である。 第2の実施の形態に係るメソポーラス化工程を説明するための模式図である。 第2の実施の形態に係るコアシェル化工程を説明するための模式図である。 第2の実施の形態に係る転写工程を説明するための模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る燃料電池100およびその製造工程について説明する。図1(a)は、燃料電池100の模式的断面図である。燃料電池100は、膜−電極接合体10と、一対のセパレータ(アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30)と、を備える。膜−電極接合体10は、電解質膜11と、一対の触媒層(アノード触媒層12およびカソード触媒層13)と、を備える。
電解質膜11としては、例えばプロトン伝導性を有する固体高分子電解質、水酸化イオン伝導性を有する固体高分子電解質等を用いることができる。プロトン伝導性を有する固体高分子電解質として、例えばナフィオン(登録商標)膜等のパーフルオロスルホン酸系の固体高分子電解質を用いることができる。水酸化イオン伝導性を有する固体高分子電解質として、例えばアニオン交換膜、トリメチルアンモニウム基(−HC−N+(CH)等の4級窒素含有炭化水素系の固体高分子電解質等を用いることができる。本実施の形態においては、一例として電解質膜11にナフィオン(登録商標)膜を用いる。
アノード触媒層12およびカソード触媒層13は、電解質膜11を挟持するように配置されている。アノード触媒層12およびカソード触媒層13は、触媒金属を担持したカーボン担体を複数有する。本実施の形態において、カーボン担体は、カーボン粉末である。
図1(b)は、カーボン粉末200の表面を部分的に拡大した拡大模式図である。本実施の形態において、カーボン粉末200の表面には、コアシェル構造体210が形成されている。図1(c)は、コアシェル構造体210のイメージを模式的に示す断面図である。コアシェル構造体210は、触媒金属からなる複数のコア211が、炭素化合物からなるシェル212に分散して保持された構造を有している。シェル212は、カーボン粉末200の表面に形成されている。したがって、触媒金属は、シェル212を介してカーボン粉末200に分散して担持されている。
なお、本実施の形態において、コアシェル構造体210の厚み(カーボン担体表面からの高さ寸法)は、1nm〜10nm程度である。触媒金属としては、例えば白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)等が用いられる。これらの触媒金属のうち、白金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウムは、電解質膜11がプロトン伝導性を有する場合および水酸化イオン伝導性を有する場合の両方の場合に用いられ、ニッケル、鉄、コバルトおよび銅は、主に電解質膜11が水酸化イオン伝導性を有する場合に用いられる。本実施の形態においては、一例として触媒金属に白金を用いる。
図1(a)に示すように、アノードセパレータ20は、アノード触媒層12の電解質膜11とは反対側の面に接着剤40によって接合されている。カソードセパレータ30は、カソード触媒層13の電解質膜11とは反対側の面に接着剤40によって接合されている。アノードセパレータ20のアノード触媒層12側の面には、凸部21と凹部22とが交互に形成されている。カソードセパレータ30のカソード触媒層13側の面には、凸部31と凹部32とが交互に形成されている。接着剤40は、凸部21および凸部31の触媒層に対向する面に、塗布されている。アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30の材質としては、例えば金属等の導電性材料が用いられる。接着剤40としては、例えばJFE120(日本アチソン株式会社製)等の導電性接着剤が用いられる。
燃料電池100は、発電時に以下のように作動する。まず、水素(H)を含むアノードガスが凹部22に供給され、酸素(O)を含むカソードガスが凹部32に供給される。凹部22を流動したアノードガスは、アノード触媒層12に到達する。アノード触媒層12において、アノードガス中の水素はプロトンと電子とに分離する。プロトンは、電解質膜11を伝導して、カソード触媒層13に到達する。電子は、アノードセパレータ20によって集電されて燃料電池100の外部に取り出される。燃料電池100の外部に取り出された電子は、負荷の仕事に供された後に、カソードセパレータ30に到達する。
凹部32を流動したカソードガスは、カソード触媒層13に到達する。カソード触媒層13においては、カソードガス中の酸素と電解質膜11を伝導したプロトンとカソードセパレータ30から伝導した電子とによって水が生成される。生成された水は、主として凹部32を流動して燃料電池100の外部に排出される。反応後のアノードガスおよびカソードガスはそれぞれ、凹部22および凹部32を流動して、燃料電池100の外部に排出される。以上のように、燃料電池100は発電時に作動する。
続いて、燃料電池100の製造工程について説明する。図2は、燃料電池100の製造工程の一例を示すフロー図である。燃料電池100の製造工程は、テンプレート化合物生成工程(ステップS10)と、遷移金属添加工程(ステップS20)と、触媒担持工程(ステップS30)と、膜−電極接合体形成工程(ステップS40)と、接着工程(ステップS50)と、を含んでいる。
テンプレート化合物生成工程(ステップS10)は、テンプレート化合物を生成する工程である。テンプレート化合物として、ヒドラゾン高分子化合物を用いることができる。まず、モノマーとして、4−{1−〔(2,4−ジニトロフェニル)ヒドラゾノ〕エチル}ベンゼン−1,3−ジオールを準備する。
次に、このモノマー(例えば16g)をイオン交換水(例えば300ml)中に懸濁して懸濁液を作成する。次に、この懸濁液に、フェノール(例えば6g)と40wt%のホルムアルデヒド水溶液(例えば5ml)と、を室温で加えて混合物を生成する。この混合物に、水酸化ナトリウム(NaOH)(例えば0.5g)を添加し、攪拌しながら還流を行う。還流は、例えば110℃で8時間行えばよい。その結果、固体物質を得る。
次に、この固体物質をイオン交換水で数回洗浄する。次に、固体物質をイオン交換水中に入れて、固体物質を含んだイオン交換水のペーハー(pH)を7に調整する。次に、イオン交換水から固体物質を濾過して洗浄した後、固体物質を60℃で2時間〜3時間乾燥させる。その結果、ヒドラゾン高分子化合物が得られる。なお、乾燥温度としては、ヒドラゾン高分子化合物の変質を抑制しつつ乾燥できる温度であれば、60℃に限定されない。また、乾燥時間としては、洗浄水を乾燥除去できる温度であれば、2時間〜3時間に限定されない。
遷移金属添加工程(ステップS20)は、ステップS10で得られたテンプレート化合物に遷移金属を添加する工程である。遷移金属は、触媒担持工程(ステップS30)におけるメソポーラス構造体の形成のための触媒として機能するものであれば特に限定されず、例えば、鉄、ニッケルおよびコバルトの少なくとも一つを用いることができる。本実施の形態においては、遷移金属として、鉄、ニッケルおよびコバルトを用いる。
遷移金属添加工程においては、まず、ステップS10で得られたヒドラゾン高分子化合物(例えば20g)を、無水酢酸鉄(例えば3.3g)、酢酸コバルト・4水和物(例えば4.5g)、酢酸ニッケル・4水和物(例えば4.5g)の混合水溶液に添加する。次に、この混合水溶液をペーハー13に調整する。次に、この混合水溶液を攪拌しながら混合水溶液中の水分を蒸発させる。一例として、攪拌時間を6時間とすることができる。その結果、ヒドラゾン高分子化合物が遷移金属に配位した高分子金属錯体が得られる。この高分子金属錯体の化学式を化1に示す。化1中の金属は、遷移金属である。
Figure 2011090911
触媒担持工程(ステップS30)は、触媒金属を、カーボン担体に担持させる工程である。触媒担持工程は、メソポーラス化工程と、コアシェル化工程と、を含んでいる。メソポーラス化工程は、カーボン担体の表面にメソポーラス構造体(平均径が2nm〜50nm程度の複数の孔を表面に有する構造体)を形成させる工程である。図3(a)〜図3(c)は、メソポーラス化工程を説明するための模式図である。
メソポーラス化工程においては、まず、ステップS20で得られた高分子金属錯体をアセトンに溶解させる。次に、この溶液に、溶液中の高分子金属錯体とカーボン粉末との重量比が例えば1:9になるようにカーボン粉末を混合して、2時間程度攪拌する。次に、この溶液を濾過して、固体物質を捕集する。次に、この固体物質を水洗し、その後80℃程度の温度で乾燥させる。その結果、図3(a)に示すように、高分子金属錯体220が表面に付着したカーボン粉末200が得られる。
次に、図3(b)に示すように、カーボン粉末200を、高分子金属錯体220がメソポーラス構造体になる温度で熱処理する(以下、この熱処理を半焼成と称する)。具体的には、半焼成は、250℃以上400℃以下の温度で行われる。温度が250℃より低い場合、2nm〜50nmの孔が形成されないおそれがあり、温度が400℃より高い場合、孔が50nmより大きくなるおそれがある。メソポーラスの孔径を2nm〜50nmに制御するためには、半焼成温度を250℃以上350℃以下とすることが好ましく、280℃以上320℃以下とすることがより好ましく、290℃以上310℃以下とすることがさらに好ましい。また、熱処理は、還元剤存在下で行われる。遷移金属を触媒とした還元反応を高分子金属錯体に生じさせるためである。
本実施の形態においては、一例として、カーボン粉末200を水素雰囲気下で300℃の温度に1時間保持することによって半焼成する。この結果、図3(c)に示すように、カーボン粉末200上の高分子金属錯体220の表面部分が、2nm〜50nm程度の孔231を分散して複数有するメソポーラス構造体230になる。すなわち、カーボン担体の表面に炭素化合物のメソポーラス構造体230を形成することができる。なお、高分子金属錯体の表面部分がメソポーラス構造体230になる場合、メソポーラス構造体230とカーボン粉末200とは、メソポーラス化しなかった高分子金属錯体220によって接着されていると考えられる。
コアシェル化工程は、カーボン担体の表面にコアシェル構造体210を形成させる工程である。図4(a)〜図4(c)は、コアシェル化工程を説明するための模式図である。コアシェル化工程においては、まず、触媒金属の前駆体を溶質とする溶液(以下、触媒前駆体溶液と称する)を準備する。触媒の前駆体には触媒の化合物を用いることができる。本実施の形態では、一例として、触媒金属の前駆体に塩化白金酸を用いる。触媒前駆体溶液として、塩化白金酸が50mg/mlの割合で溶解しているエタノール溶液(Pt/EtOH溶液)を用いる。
次に、図4(a)に示すように、メソポーラス化工程後のカーボン粉末200に、触媒前駆体溶液240を例えばピペットで滴下する。本実施の形態においては、触媒前駆体溶液240を、カーボン粉末200に対する触媒前駆体溶液240の割合が10wt%になるように、ピペットで均等に滴下する。その結果、メソポーラス構造体230の複数の孔231に触媒前駆体溶液240を添加することができる。次に、この触媒前駆体溶液240が添加されたカーボン粉末200を乾燥させることによって、エタノールを除去する。乾燥条件は、例えば、空気雰囲気下で、100℃である。その結果、図4(b)に示すように、メソポーラス構造体230の複数の孔231に触媒金属の前駆体241が添加された中間体250が得られる。
次に、この中間体250を、メソポーラス構造体230とメソポーラス構造体230の複数の孔231に添加された前駆体241とが、触媒金属をコアとするコアシェル構造体に変化する温度で熱処理する(以下、この熱処理を本焼成と称する)。具体的には、本焼成は、800℃以上1000℃以下の温度で行われる。温度が800℃より低い場合、メソポーラス構造体230と前駆体241とのコアシェル化が十分に進行せずに触媒金属がカーボンに固定されないおそれがあり、または、シェル部が多くなり過ぎてコア部の触媒金属の表面露出が減少するおそれがある。一方、温度が1000℃より高い場合、コア部が成長し過ぎてしまい、シェル部が消滅してしまうおそれがある。コアシェル化を十分に進行させるためには、本焼成温度を800℃以上950℃以下とすることが好ましく、850℃以上930℃以下とすることがより好ましく、880℃以上920℃以下とすることがさらに好ましい。また、熱処理は、還元剤存在下で行われる。塩化白金酸を還元させて白金を得るためである。
本実施の形態において、一例として中間体250を水素雰囲気下で900℃の温度に2時間保持することによって本焼成を行う。この結果、カーボン担体であるカーボン粉末200の表面に、触媒金属である白金をコアとするコアシェル構造体210が形成されたものが得られる(図1(b)および図1(c)参照)。また、このような工程を経て製造されたコアシェル構造体210の炭素化合物は、グラフェンシート構造を有している。また、コアシェル構造体210の炭素化合物は、炭素の他に、窒素、遷移金属等を含んでいる。
膜−電極接合体形成工程(ステップS40)は、膜−電極接合体10を形成する工程である。膜−電極接合体形成工程においては、まず、ステップS30の結果得られた生成物をナフィオン(登録商標)溶液に混合させることによって、スラリーを得る。本実施の形態においては、ナフィオン(登録商標)溶液として、EW1100(Aldrich Chemical社製、0.1wt%エタノール溶液)を用いる。次に、スラリーを、ナフィオン(登録商標)膜(100mm×100mm、厚み25μm)の両面に塗布して、140℃で真空乾燥させる。その結果、膜−電極接合体10が得られる(図1(a)参照)。
接着工程(ステップS50)は、膜−電極接合体10と一対のセパレータとを接着させる工程である。図5(a)および図5(b)は、接着工程を説明するための模式的断面図である。まず、図5(a)に示すように、アノードセパレータ20およびカソードセパレータ30を準備し、凸部21および凸部31に接着剤40を均一に塗布する。本実施の形態において、凹部22および凹部32の幅(隣接する凸部間の距離)および深さは、それぞれ1mmである。接着剤40を均一に塗布するためには、例えばドクターブレード法を用いればよい。本実施の形態において、接着剤40はJFE120であり、接着剤40の厚みは10μmである。
次に、図5(b)に示すように、接着剤40が乾燥する前に、アノードセパレータ20の接着剤40が塗布された面をアノード触媒層12の電解質膜11とは反対側の面に接合させ、カソードセパレータ30の接着剤40が塗布された面をカソード触媒層13の電解質膜11とは反対側の面に接合させる。次に、接着剤40を乾燥させる。その結果、膜−電極接合体10と一対のセパレータとが、接着される。以上の工程によって、燃料電池100は製造される。
本実施の形態に係る燃料電池100の製造工程によれば、触媒担持工程によって、カーボン担体の表面に触媒金属をコアとするコアシェル構造体210を形成することができることから、触媒金属をコアシェル構造体210のコアとして、シェルを介してカーボン担体に担持することができる。コアシェル構造体210は触媒金属に対して所定の保持強度を有する。それにより、触媒金属が移動して凝集、焼結等することを抑制できる。その結果、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。また、コアシェル構造体210のシェルは炭素化合物であることから、シェルとカーボン担体との結合力は、カーボン担体の表面に触媒金属が直接担持された場合に比較して、強い。その結果、コアシェル構造体210がカーボン担体から外れることも抑制されている。
また、本実施の形態に係る燃料電池100の製造工程によれば、触媒担持工程において、2nm〜50nm程度の孔231を複数有するメソポーラス構造体230を形成した後にコアシェル構造体210を形成している。それにより、メソポーラス構造体230を形成せずにコアシェル構造体210を製造する場合に比較して、コアシェル構造体210を形成することが容易になるとともに、コアシェル構造体210における触媒金属の分散の均一化および微細化を図ることができる。それにより、触媒金属の表面積を向上させることができる。
なお、本実施の形態において、アノード触媒層12およびカソード触媒層13の両方がコアシェル構造体210を有するが、これに限られない。アノード触媒層12およびカソード触媒層13のいずれか一方がコアシェル構造体210を有していれば、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る燃料電池100aおよびその製造工程について説明する。図6(a)は、燃料電池100aの模式的断面図である。燃料電池100aは、膜−電極接合体10の代わりに膜−電極接合体10aを備える点において、図1(a)の燃料電池100と異なる。膜−電極接合体10aは、アノード触媒層12の代わりにアノード触媒層12aを備える点と、カソード触媒層13の代わりにカソード触媒層13aを備える点と、において膜−電極接合体10と異なる。その他の構成は、燃料電池100の構成と同様のため、説明を省略する。
図6(b)は、アノード触媒層12aの電解質膜11との境界部近傍の模式的拡大断面図である。アノード触媒層12aは、カーボン粉末の代わりにカーボンナノチューブ(Carbon nano tube(CNT))201をカーボン担体として用いている点において、アノード触媒層12と異なる。すなわち、アノード触媒層12aは、複数のカーボンナノチューブ201と、各々のカーボンナノチューブ201の表面に形成されたコアシェル構造体210と、を有している。
カーボンナノチューブ201は、管軸方向の一端が電解質膜11の膜面に接続している。また、カーボンナノチューブ201の管軸方向は、電解質膜11の膜面の法線方向と略一致している。カーボンナノチューブ201の管軸方向の他端側からは、反応ガスが供給される。カーボンナノチューブ201の管軸方向の他端側から供給された反応ガスは、管内を通って、三相界面(電極とプロトン伝導物質とが接する部分)にまで到達し、電極反応に供される。なお、カーボンナノチューブ201の管軸方向の長さは、特に限定されない。本実施の形態において、カーボンナノチューブ201の管軸方向の長さは、200μm以上であり、具体的には平均250μmである。なお、カソード触媒層13aの構造は、アノード触媒層12aと同様のため、詳細な説明は省略する。
続いて、燃料電池100aの製造工程について説明する。図7は、燃料電池100aの製造工程の一例を示すフロー図である。燃料電池100aの製造工程は、図2の燃料電池100の製造工程とは、ステップS10の前にカーボンナノチューブ生成工程(ステップS5)を含む点と、ステップS30の代わりにステップS30aを含む点と、ステップS40の代わりにステップS40aを含む点と、において異なる。その他の製造工程は、燃料電池100の製造工程と同様のため、説明を省略する。
カーボンナノチューブ生成工程(ステップS5)は、カーボンナノチューブ201を生成する工程である。カーボンナノチューブ201は、カーボンナノチューブ生成用の触媒金属を用い、これに炭化水素系ガス、水素系ガス等を供給してカーボンナノチューブ201を合成するCVD法、アーク放電法、レーザー蒸着法等の生成方法を用いて、生成することができる。本実施の形態においては、一例として、CVD法を用いてカーボンナノチューブ201を生成する。
図8(a)〜図8(c)は、カーボンナノチューブ生成工程を説明するための模式的断面図である。まず、図8(a)に示すように、薄膜担持基板300および薄膜担持基板301を準備する。薄膜担持基板300および薄膜担持基板301は、それぞれ、シリコン製の基板の一面にカーボンナノチューブ生成用の触媒金属の薄膜が形成された基板である。カーボンナノチューブ生成用の触媒金属としては、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)又はこれらの合金等が挙げられる。本実施の形態において、カーボンナノチューブ生成用の触媒金属は、鉄である。薄膜の厚みは特に限定されない。本実施の形態においては、一例として、薄膜の厚みを5nmとする。シリコン製の基板の寸法および形状は、特に限定されない。本実施の形態において、シリコン製の基板は、一例として、50mm×50mmの矩形形状を有する。
薄膜担持基板300,301は、以下の工程によって製造することができる。まず、シリコン製の基板を2枚準備し、これらの基板を電気炉で加熱することによって、基板上の付着物を除去する。具体的には、シリコン製の基板を、1.0×10−3Paの真空度の雰囲気下において、10℃/minで800℃まで昇温した後、5時間保持する。それにより、基板上の付着物を除去することができる。その後、基板を冷却する。次に、基板の一面に、電子ビーム蒸着法によって厚さ5nmの鉄薄膜を形成する。以上の工程によって、薄膜担持基板300,301は製造される。
次に、反応管310の中で、薄膜担持基板300,301の薄膜上にカーボンナノチューブ201を生成させる。本実施の形態において、一例として、反応管310に石英製反応管を用いる。図8(b)は、反応管310の中で薄膜担持基板300,301の薄膜上にカーボンナノチューブ201が生成しているイメージを模式的に示している。図8(c)は、図8(b)の反応管310の内部を反応管310の管軸方向から見た模式的拡大断面図である。
まず、内径が50mmの反応管310の内部に、反応管310の管軸方向に延在したスリット330が形成されるように、石英製のボード320を配置する。本実施の形態において、ボード320は、反応管310内部のスリット330よりも上側部分および下側部分を閉塞している。また、スリット330の上下方向の長さ寸法(h)は3mmである。スリット330における反応管310の管軸方向の一端は、反応管310のガス流入口に連通し、他端は、反応管310のガス排出口に連通している。このようなスリット330が形成されるようにボード320が配置されていることによって、反応管310内部の断面積はボード320がない場合よりも減少する(本実施の形態では、約10分の1程度になる)。それにより、反応管310内部のガス流速が上昇することから、カーボンナノチューブ201生成のためのガス消費量を抑制することができる。次に、スリット330部分に薄膜担持基板300,301を配置する。
次に、反応管310内部に、ヘリウム(He)ガスを反応管310の管軸方向に200ml/minで供給し、反応管310内部の温度を730℃に昇温する。次に、アセチレン(C)ガスをヘリウムガス中に30ml/minで10分間導入する。その結果、薄膜担持基板300,301の薄膜上に、電解質膜11の法線方向に直線状に250μm伸びたカーボンナノチューブ201が生成される。次に、アセチレンガスの導入を停止して、反応管310内部の温度を室温にまで下げる。以上のように、カーボンナノチューブ生成工程(ステップS5)は行われる。
続いて、図7の触媒担持工程(ステップS30a)について説明する。まず、メソポーラス化工程について説明する。図9(a)〜図9(c)は、メソポーラス化工程を説明するための模式図である。始めに、ステップS20の結果得られた高分子金属錯体をアセトンに溶解させて、高分子金属錯体溶液221を得る。次に、図9(a)に示すように、カーボンナノチューブ201が薄膜担持基板300,301よりも上方(重力の方向とは反対の方向)になるように薄膜担持基板300,301を支持台340上に設置し、カーボンナノチューブ201の上方から高分子金属錯体溶液221を例えばピペットで均等に滴下する。次に、薄膜担持基板300,301を空気雰囲気下で、200℃で乾燥させることにより、薄膜担持基板300,301からアセトン成分を除去する。その結果、高分子金属錯体がカーボンナノチューブ201の表面に付着した薄膜担持基板300,301が得られる。
次に、図9(b)に示すように、薄膜担持基板300,301を半焼成する。半焼成の条件は、第1の実施の形態の場合と同様である。本実施の形態において、半焼成は、水素雰囲気下で、300℃の温度で、1時間行われる。その結果、図9(c)に示すように、メソポーラス構造体230をカーボンナノチューブ201の表面に形成することができる。なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、メソポーラス構造体230とカーボンナノチューブ201とは、メソポーラス化しなかった高分子金属錯体220によって接着されていると考えられる。
次に、コアシェル化工程について説明する。図10(a)〜図10(c)は、コアシェル化工程を説明するための模式図である。まず、第1の実施の形態の場合と同様に、触媒前駆体溶液240を準備する。具体的には、触媒前駆体溶液240として、塩化白金酸が溶解しているエタノール溶液(Pt/EtOH溶液)を準備する。次に、図10(a)に示すように、メソポーラス化工程後の薄膜担持基板300,301を、カーボンナノチューブ201が基板よりも上方になるように支持台340に設置し、カーボンナノチューブ201の上方から、触媒前駆体溶液240を、例えばピペットで滴下する。本実施の形態においては、触媒前駆体溶液240を、触媒前駆体溶液240のカーボンナノチューブ201に対する割合が0.7μl/cmになるように、ピペットで滴下する。
次に、薄膜担持基板300,301を乾燥させて、エタノールを除去する。乾燥条件は、空気雰囲気下で、100℃である。この結果、図10(b)に示すように、触媒金属の前駆体241がメソポーラス構造体230の複数の孔231に配置された中間体250aが得られる。次に、この中間体250aを本焼成する。本焼成の条件は、第1の実施の形態の場合と同様である。本実施の形態において、本焼成は、水素雰囲気下で、900℃の温度で、2時間行われる。その結果、図10(c)に示すように、カーボンナノチューブ201の表面に、白金をコアとするコアシェル構造体210が形成されたものが得られる。
続いて、図7の膜−電極接合体形成工程(ステップS40a)について説明する。膜−電極接合体形成工程は、付与工程と、転写工程と、を含んでいる。付与工程は、ステップS30aの工程後の薄膜担持基板300,301のカーボンナノチューブ201に、電解質膜11と同じイオン伝導性物質を付与した上で、撥水化剤を付与する工程である。電解質膜11と同じイオン伝導性物質とは、電解質膜11がプロトン伝導性の場合はプロトン伝導性物質をいい、電解質膜11が水酸化イオン伝導性の場合は水酸化イオン伝導性物質をいう。本実施の形態において、電解質膜11は、第1の実施の形態と同じくナフィオン(登録商標)膜(100mm×100mm、厚み25μm)である。よって、付与工程においては、プロトン伝導性物質をカーボンナノチューブ201に付与する。
具体的には、まず、ステップS30aの工程が行われた後の薄膜担持基板300,301をナフィオン(登録商標)溶液(EW1100)中に含浸する。次に、ナフィオン(登録商標)溶液から取り出した薄膜担持基板300,301を、140℃で真空乾燥する。それにより、薄膜担持基板300,301のカーボンナノチューブ201に電解質膜11と同じプロトン伝導性物質を付与することができる。なお、電解質膜11が水酸化イオン伝導性の場合には、ナフィオン(登録商標)溶液に代えて、例えばアニオン交換液を用いればよい。
次に、薄膜担持基板300,301を撥水化剤中に侵漬する。本実施の形態においては、撥水化剤として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の0.1%N−メチル−2ピロリドン溶液を用いる。次に、撥水化剤から取り出した薄膜担持基板300,301を100℃で乾燥させる。それにより、薄膜担持基板300,301のカーボンナノチューブ201に撥水化剤を付与することができる。カーボンナノチューブ201に撥水化剤が付与されることによって、発電時に生成した水がカーボンナノチューブ201に付着して滞留することを抑制できる。
転写工程は、付与工程後の薄膜担持基板300,301を用いて、膜−電極接合体10aを形成する工程である。図11(a)〜図11(c)は、転写工程を説明するための模式的断面図である。まず、図11(a)に示すように、付与工程後の薄膜担持基板300,301のカーボンナノチューブ201で、電解質膜11の両面を挟む。この結果、サンドイッチ構造体260が得られる。
次に、図11(b)に示すように、サンドイッチ構造体260をホットプレート350上に設置し、押圧部材で圧力を加えながら所定温度まで加熱し、所定時間保持する。本実施の形態においては、サンドイッチ構造体260を、1MPで加圧しながら120℃まで加熱して、その後1分間保持する。次に、常温まで冷却した後、加圧を解除する。
次に、サンドイッチ構造体260から薄膜担持基板300,301のシリコン基板を機械的に剥離する。その結果、図11(c)に示すように、電解質膜11と、電解質膜11を挟持するように配置された一対の白金カーボンナノチューブ電極(アノード触媒層12aおよびカソード触媒層13a)と、を有する膜−電極接合体10aが得られる。なお、シリコン基板の剥離時に、シリコン基板表面の鉄薄膜も一緒に剥離されてもよい。また、シリコン基板の剥離後に鉄薄膜がカーボンナノチューブ201に貼り付いて残存していたとしても、鉄薄膜の厚みは5nmと薄いため、カーボンナノチューブ201内を反応ガスが流動する際に、除去される。よって、この薄膜は、燃料電池100aの作動に影響を及ぼさない。
本実施の形態に係る燃料電池100aの製造工程によれば、触媒担持工程によって、カーボン担体の表面に触媒金属をコアとするコアシェル構造体210を形成することができることから、触媒金属をコアシェル構造体210のコアとして、シェルを介してカーボン担体に担持することができる。コアシェル構造体210は触媒金属に対して所定の保持強度を有する。それにより、触媒金属が移動して凝集、焼結等することを抑制できる。その結果、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。また、コアシェル構造体210のシェルは炭素化合物であることから、シェルとカーボン担体との結合力は、カーボン担体の表面に触媒金属が直接担持された場合に比較して、強い。その結果、コアシェル構造体210がカーボン担体から外れることも抑制されている。
また、本実施の形態に係る燃料電池100aの製造工程によれば、触媒担持工程において、2nm〜50nm程度の孔231を複数有するメソポーラス構造体230を形成した後にコアシェル構造体210を形成していることから、メソポーラス構造体230を形成せずにコアシェル構造体210を製造する場合に比較して、コアシェル構造体210を形成することが容易になるとともに、コアシェル構造体210における触媒金属の分散の均一化および微細化を図ることができる。それにより、触媒金属の表面積を増加させることができる。
また、膜−電極接合体10aおよび燃料電池100aによれば、カーボン担体としてカーボンナノチューブ201を用いている。この場合、カーボンナノチューブ201は、カーボン粉末200よりも触媒金属の被担持面の表面積が大きいことから、カーボン担体としてカーボン粉末200を用いた場合に比較して、触媒層を高密度担持させることができる。
さらに、膜−電極接合体10aおよび燃料電池100aによれば、カーボンナノチューブ201の管軸方向の一端は電解質膜11の膜面に接続され、管軸方向の他端側から反応ガスが供給されていることから、反応ガスをカーボンナノチューブ201の管内を通じて電解質膜11に供給することができる。その結果、カーボン担体としてカーボン粉末200を用いた場合に比較して、反応ガスを三相界面に容易に到達させることができる。
なお、本実施の形態において、アノード触媒層12aおよびカソード触媒層13aの両方がコアシェル構造体210を有するが、これに限られない。アノード触媒層12aおよびカソード触媒層13aのいずれか一方がコアシェル構造体210を有していれば、発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することができる。
なお、第1の実施の形態に係る燃料電池100および第2の実施の形態に係る燃料電池100aにおいて、触媒層とセパレータとの間に拡散層がさらに配置されていてもよい。拡散層としては、特に限定されないが、例えばカーボンペーパ、カーボンクロス等のカーボン繊維を用いることができる。拡散層をさらに備える燃料電池は、接着工程(ステップS50)において、触媒層の電解質膜11とは反対側の面に拡散層を配置した後に、接着剤40が塗布されたセパレータを拡散層の触媒層とは反対側の面に配備することによって、製造することができる。
また、第1の実施の形態および第2の実施の形態において、ヒドラゾン高分子化合物として、4−{1−〔(2,4−ジニトロフェニル)ヒドラゾノ〕エチル}ベンゼン−1,3−ジオールテンプレート化合物をモノマーとするヒドラゾン高分子化合物を用いたが、これに限られない。ヒドラゾン化合物として、以下の化2の一般式で示されるヒドラゾン高分子化合物を用いることができる。
Figure 2011090911
化2中、R1は、水素原子、および炭素数1−10の炭化水素基の群の中から選択される置換基である。ここで、炭化水素基は、ハロゲン化されていてもよい。R2およびR3は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、エステル基、カルボキシル基、ホルミル基、ニトリル基、スルホン基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基である。ここで、R2およびR3は同種類の置換基であってもよく、異種類の置換基であってもよい。アリール基およびアルキル基は、ハロゲン化されていてもよく、互いに結合してフェニル環とともに縮合環を形成していてもよい。R4およびR5は、水素原子、水酸基、エーテル基、アミノ基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基である。ここで、R4およびR5は同種類の置換基であってもよく、異種類の置換基であってもよい。XおよびYは、それぞれ水素原子および水酸基の群から選択される置換基である。ここで、XおよびYは、同種類の置換基であってもよく、異種類の置換基であってもよい。Zは、炭化水素(CH)または窒素(N)である。xは、1〜2の間の実数であり、yは、1〜3の間の実数であり、nは4である。
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る製造工程によれば、カーボン担体の表面に形成されたメソポーラス構造体の孔を利用してコアシェル構造体210を形成している。したがって、表面にメソポーラス構造体を形成できるカーボン担体であれば、カーボン粉末200およびカーボンナノチューブ201以外のカーボン担体(例えば、カーボン繊維等)に対しても、これらの製造工程を適用することができる。
以下、第1の実施の形態および第2の実施の形態の効果を検証した。
(実施例1)
実施例1に係る燃料電池は、第1の実施の形態に係る製造工程によって製造されたものである。
(実施例2)
実施例2に係る燃料電池は、実施例1に係る燃料電池とは、カソード触媒層の触媒金属がルテニウムである点で異なる。ルテニウムは、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として塩化ルテニウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例3)
実施例3に係る燃料電池は、実施例2に係る燃料電池のルテニウムの代わりにパラジウムを用いたものである。パラジウムは、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として硝酸パラジウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例4)
実施例4に係る燃料電池は、実施例2に係る燃料電池のルテニウムの代わりにロジウムを用いたものである。ロジウムは、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として塩化ロジウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例5)
実施例5に係る燃料電池は、実施例1に係る燃料電池とは、電解質膜がアニオン交換膜である点で、異なる。具体的には、膜−電極接合体形成工程(ステップS40)において、ナフィオン(登録商標)溶液の代わりにアニオン交換液を用いて製造されたものである。アニオン交換液としては、アニオン交換基として3級アミンを有する炭化水素系電解質溶液を用いた。
(実施例6)
実施例6に係る燃料電池は、実施例5に係る燃料電池とは、カソード触媒層の触媒金属が鉄である点で異なる。鉄は、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸鉄を用いることによって、得られたものである。
(実施例7)
実施例7に係る燃料電池は、実施例6に係る燃料電池の鉄の代わりに、コバルトを用いたものである。コバルトは、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸コバルトを用いることによって、得られたものである。
(実施例8)
実施例8に係る燃料電池は、実施例6に係る燃料電池の鉄の代わりに、ニッケルを用いたものである。ニッケルは、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸ニッケルを用いることによって、得られたものである。
(実施例9)
実施例9に係る燃料電池は、実施例6に係る燃料電池の鉄の代わりに、銅を用いたものである。銅は、触媒担持工程(ステップS30)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸銅を用いることによって、得られたものである。
(実施例10)
実施例10に係る燃料電池は、第2の実施の形態に係る製造工程によって製造されたものである。
(実施例11)
実施例11に係る燃料電池は、実施例10に係る燃料電池とは、カソード触媒層の触媒金属がルテニウムである点で異なる。ルテニウムは、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として塩化ルテニウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例12)
実施例12に係る燃料電池は、実施例11に係る燃料電池のルテニウムの代わりにパラジウムを用いたものである。パラジウムは、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として硝酸パラジウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例13)
実施例13に係る燃料電池は、実施例11に係る燃料電池のルテニウムの代わりにロジウムを用いたものである。ロジウムは、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として塩化ロジウムを用いることによって、得られたものである。
(実施例14)
実施例14に係る燃料電池は、実施例10に係る燃料電池とは、電解質膜がアニオン交換膜である点で、異なる。具体的には、実施例10に係る燃料電池の製造工程の膜−電極接合体形成工程(ステップS40a)において、ナフィオン(登録商標)溶液の代わりにアニオン交換液を用いて製造されたものである。
(実施例15)
実施例15に係る燃料電池は、実施例14に係る燃料電池とは、カソード触媒層の触媒金属が鉄である点で異なる。鉄は、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸鉄を用いることによって、得られたものである。
(実施例16)
実施例16に係る燃料電池は、実施例15に係る燃料電池の鉄の代わりに、コバルトを用いたものである。コバルトは、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸コバルトを用いることによって、得られたものである。
(実施例17)
実施例17に係る燃料電池は、実施例15に係る燃料電池の鉄の代わりに、ニッケルを用いたものである。ニッケルは、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸ニッケルを用いることによって、得られたものである。
(実施例18)
実施例18に係る燃料電池は、実施例15に係る燃料電池の鉄の代わりに、銅を用いたものである。銅は、触媒担持工程(ステップS30a)のコアシェル化工程において、触媒金属の前駆体として酢酸銅を用いることによって、得られたものである。
(比較例1)
比較例1に係る燃料電池は、実施例1に係る燃料電池とは、触媒層の構造が異なる。具体的には、比較例1に係る燃料電池の触媒層は、コアシェル構造体を有していない。白金は、カーボン粉末に直接担持されている。その他の構成は、実施例1に係る燃料電池と同様である。比較例1に係る燃料電池100の製造工程は、テンプレート化合物生成工程(ステップS10)および遷移金属添加工程(ステップS20)を行わない点と、触媒担持工程(ステップS30)においては、メソポーラス化工程およびコアシェル化工程を行わずに、カーボン粉末に白金を直接担持させる工程を行った点と、において、実施例1に係る燃料電池の製造工程と異なる。カーボン粉末に白金を直接担持させる工程は、触媒前駆体溶液が滴下されたカーボン粉末からエタノールを乾燥除去したものを、水素雰囲気下で900℃の温度に2時間保持することによって、行われた。
(比較例2)
比較例2に係る燃料電池は、以下の製造工程によって製造されたものである。まず、実施例1に係る燃料電池と同様に、テンプレート化合物生成工程(ステップS10)を行った。次に、遷移金属添加工程(ステップS20)および触媒担持工程(ステップS30)は行わずに、以下に説明する触媒担持工程Aを行った。触媒担持工程Aにおいては、まず、ステップS10で得られたテンプレート化合物をアセトンに溶解させた。その結果得られたアセトン溶液に、テンプレート化合物とカーボン粉末との重量比が1:9になるように、カーボン粉末を混合して、2時間攪拌した。次に、このアセトン溶液を濾過して、固体物質を捕集した。次に、この固体物質を水洗し、その後80℃で乾燥した。その結果、カーボン粉末の表面にテンプレート化合物が付着したものを得た。なお、300℃、1時間の半焼成は行わなかった。
次に、このカーボン粉末に、触媒前駆体溶液(すなわち、塩化白金酸が50mg/mlの割合で溶解しているエタノール溶液)を、カーボン粉末に対する触媒前駆体溶液の割合が10wt%になるように、ピペットで滴下した。次に、この触媒前駆体溶液が添加されたカーボン粉末を、空気雰囲気下で、100℃で乾燥させることによって、エタノールを除去した。次に、このカーボン粉末を、水素雰囲気下で、900℃の温度に2時間保持した。以上のように、触媒担持工程Aは行われた。
その後、実施例1に係る燃料電池と同様に、膜−電極接合体形成工程(ステップS40)および接着工程(ステップS50)を行った。以上の工程によって、比較例2に係る燃料電池は製造された。なお、比較例2に係る燃料電池において、白金は、カーボン粉末の表面に付着したテンプレート化合物の焼成物のさらに表面に付着するようにして、カーボン粉末に担持されていると考えられる。
(比較例3)
比較例3に係る燃料電池は、比較例1に係る燃料電池とは、ナフィオン(登録商標)膜の代わりにアニオン交換膜を備える点と、カソード触媒層の触媒金属がニッケルである点において異なる。
(比較例4)
比較例4に係る燃料電池は、実施例10に係る燃料電池とは、触媒層がコアシェル構造体を有さず、カーボンナノチューブに白金が直接担持されている点で、異なる。比較例4に係る燃料電池の製造工程は、テンプレート化合物生成工程(ステップS10)、遷移金属添加工程(ステップS20)を行わない点と、触媒担持工程(ステップS30a)においては、メソポーラス化工程およびコアシェル化工程を行わずに、カーボンナノチューブに白金を直接担持させる工程を行った点と、において、実施例10に係る製造工程と異なる。カーボンナノチューブに白金を直接担持させる工程は、触媒前駆体溶液が滴下されたカーボンナノチューブからエタノールを乾燥除去したものを、水素雰囲気下で900℃の温度に2時間保持することによって、行われた。
(比較例5)
比較例5に係る燃料電池は、以下の製造工程によって製造されたものである。まず、実施例10に係る燃料電池と同様に、カーボンナノチューブ生成工程(ステップS5)およびテンプレート化合物生成工程(ステップS10)を行った。次に、遷移金属添加工程(ステップS20)および触媒担持工程(ステップS30a)は行わずに、以下に説明する触媒担持工程Bを行った。触媒担持工程Bにおいては、まず、ステップS10で得られたテンプレート化合物をアセトンに溶解させた。次に、カーボンナノチューブが基板よりも上方になるように2枚の薄膜担持基板を支持台上に設置し、カーボンナノチューブの上方から、テンプレート化合物が溶解したアセトン溶液をピペットで均等に滴下した。次に、薄膜担持基板を空気雰囲気下で、200℃で乾燥させることにより、薄膜担持基板からアセトンを除去した。なお、300℃、1時間の半焼成は行わなかった。
次に、2枚の薄膜担持基板を、カーボンナノチューブが基板よりも上方になるように支持台に設置し、カーボンナノチューブの上方から、触媒前駆体溶液(すなわち、塩化白金酸が50mg/mlの割合で溶解しているエタノール溶液)を、触媒前駆体溶液のカーボンナノチューブに対する割合が0.7μl/cmになるように、ピペットで滴下した。次に、2枚の薄膜担持基板を、空気雰囲気下で、100℃で乾燥させて、エタノールを除去した。以上のように、触媒担持工程Bは行われた。
次に、2枚の薄膜担持基板を、水素雰囲気下で、900℃の温度で、2時間本焼成した。その後、実施例10に係る燃料電池と同様に、膜−電極接合体形成工程(ステップS40a)および接着工程(ステップS50)を行った。以上の工程によって、比較例5に係る燃料電池は製造された。なお、比較例5に係る燃料電池において、白金は、カーボンナノチューブの表面に付着したテンプレート化合物の焼成物のさらに表面に付着するようにして、カーボンナノチューブに担持されていると考えられる。
(比較例6)
比較例6に係る燃料電池は、比較例4に係る燃料電池とは、ナフィオン(登録商標)膜の代わりにアニオン交換膜を備える点と、カソード触媒層の触媒金属がニッケルである点において異なる。
(分析)
実施例1〜実施例4、実施例10〜実施例13、比較例1、比較例2、比較例4および比較例5に係る燃料電池を、燃料電池の設定温度:80℃、アノードガス供給量:300ml/min、カソードガス供給量:1000ml/minの条件で運転させた。なお、この分析において、アノードガスは水素ガスであり、カソードガスは空気である。そして、OCV(開回路電圧、Open circuit voltage)、ならびに発電開始から10分経過後および発電開始から24時間経過後における電流密度が2A/cmのときの燃料電池の出力電圧(以下、セル電圧と称する)を計測した。
また、実施例5〜実施例9、実施例14〜実施例18、比較例3および比較例6に係る燃料電池を、燃料電池の設定温度:50℃、アノードガス供給量:300ml/min、カソードガス供給量:1000ml/minの条件で運転させた。なお、この分析において、アノードガスは水素ガスであり、カソードガスは室温飽和の加湿空気である。そして、OCVならびに発電開始から10分経過後および発電開始から24時間経過後における電流密度が2A/cmのときのセル電圧を計測した。
表1は、計測結果をまとめたものである。実施例1〜実施例9は、比較例1〜比較例3に比較して、10分経過後および24時間経過後のセル電圧の低下量が小さい。実施例10〜実施例18も、比較例4〜比較例6に比較して、10分経過後および24時間経過後のセル電圧の低下量が小さい。この結果から、コアシェル化工程を含む触媒担持工程を有する製造工程で製造された燃料電池が発電時間の経過に伴う電圧低下を抑制することが、裏付けられた。
Figure 2011090911
10 膜−電極接合体
11 電解質膜
12 アノード触媒層
13 カソード触媒層
20 アノードセパレータ
30 カソードセパレータ
40 接着剤
100 燃料電池
200 カーボン粉末
201 カーボンナノチューブ
210 コアシェル構造体
211 コア
212 シェル
220 高分子金属錯体
221 高分子金属錯体溶液
230 メソポーラス構造体
231 孔
240 触媒前駆体溶液
241 前駆体
250 中間体
260 サンドイッチ構造体
300,301 薄膜担持基板
310 反応管
320 ボード
330 スリット
340 支持台
350 ホットプレート

Claims (11)

  1. 燃料電池の膜−電極接合体に用いられる触媒層の触媒金属の担持方法であって、
    炭素化合物のメソポーラス構造体が表面に形成されたカーボン担体の前記メソポーラス構造体の孔に、前記触媒金属の前駆体が添加されたものを、前記触媒金属の前記前駆体および前記メソポーラス構造体が前記触媒金属をコアとするコアシェル構造体になる温度で熱処理するコアシェル化工程を含むことを特徴とする触媒担持方法。
  2. 高分子化合物が遷移金属に配位した高分子金属錯体を溶質とする溶液をカーボン担体にコーティングしたものを、前記高分子金属錯体が前記メソポーラス構造体になる温度で熱処理するメソポーラス化工程を、前記コアシェル化工程の前に含むことを特徴とする請求項1記載の触媒担持方法。
  3. 前記高分子化合物は、ヒドラゾン高分子化合物であることを特徴とする請求項2項記載の触媒担持方法。
  4. 前記ヒドラゾン高分子化合物は、下記化学式1で表されるヒドラゾン高分子化合物であることを特徴とする請求項3項記載の触媒担持方法。
    Figure 2011090911
    (化学式1中、R1は、水素原子、および炭素数1−10の炭化水素基の群の中から選択される置換基。R2およびR3は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、エステル基、カルボキシル基、ホルミル基、ニトリル基、スルホン基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基。R4およびR5は、水素原子、水酸基、エーテル基、アミノ基、アリール基、炭素数1−15の直鎖状アルキル基および炭素数1−15の分岐状アルキル基の群から選択される置換基。XおよびYは、それぞれ水素原子および水酸基の群から選択される置換基。Zは、炭化水素(CH)または窒素(N)。xは、1〜2の間の実数。yは、1〜3の間の実数。nは4。)
  5. 前記コアシェル構造体になる温度は、800℃以上1000℃以下の温度であることを特徴とする請求項1記載の触媒担持方法。
  6. 前記メソポーラス構造体になる温度は、250℃以上400℃以下の温度であることを特徴とする請求項2記載の触媒担持方法。
  7. 前記遷移金属は、鉄、ニッケルおよびコバルトの少なくとも一つであることを特徴とする請求項2記載の触媒担持方法。
  8. 前記カーボン担体はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の触媒担持方法。
  9. 電解質膜と、
    前記電解質膜を挟持するように配置された一対の触媒層と、を備え、
    少なくともいずれか一方の前記触媒層の触媒金属は、炭素化合物のメソポーラス構造体が表面に形成されたカーボン担体の前記メソポーラス構造体の孔に、前記触媒金属の前駆体が添加されたものを、前記触媒金属の前記前駆体および前記メソポーラス構造体が前記触媒金属をコアとするコアシェル構造体になる温度で熱処理することによって得られるコアシェル構造体のコアとして、前記カーボン担体に担持されていることを特徴とする膜−電極接合体。
  10. 前記カーボン担体はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項9記載の膜−電極接合体。
  11. 前記カーボンナノチューブの管軸方向の一端は前記電解質膜の膜面に接合していることを特徴とする請求項10記載の膜−電極接合体。
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