JP2011090265A - 可変焦点距離レンズ系及び撮像装置 - Google Patents

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基之 大竹
Masayuki Murata
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Abstract

【課題】本発明は、高変倍比化及び小型化を両立できるようにする。
【解決手段】物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、以下の条件式(1)乃至(3)を満足する。(1)0.95<f13T/ft<1.4、(2)0.08<f2/f4<0.3、(3)0.06<Δ3/ft<0.22
【選択図】図2

Description

本発明は、可変焦点距離レンズ系及び撮像装置に関し、特に、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等に用いられ、広角端状態における画角が75度を超え、ズーム比が30倍を超える可変焦点距離レンズ系及び当該可変焦点距離レンズ系を使用した撮像装置に関する。
従来、デジタルスチルカメラにおける記録手段として、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子を用いた撮像素子によって、当該撮像素子の面上に形成された被写体像の光量を電気的出力に変換し、記録する方法が知られている。
近年における微細加工技術の技術進歩に伴い、中央演算処理装置すなわちCPU(Central Processing Unit)の高速化や記憶媒体の高集積化が図られ、それまでは取り扱えなかったような大容量の画像データを高速処理できるようになってきた。
また受光素子においても高集積化や小型化が図られ、当該高集積化によって一段と高い空間周波数の記録が可能になると共に、当該受光素子の小型化に伴ってカメラ全体の小型化が図られている。
但し、上述の高集積化や小型化により、個々の光電変換素子の受光面積が狭まり、電気出力の低下に伴ってノイズの影響が大きくなる問題があった。これを防ぐために、光学系の大口径比化により光電変換素子上に到達する光量を増大させたり、また各光電変換素子の前に微小なレンズ素子(所謂マイクロレンズアレイ)を配置した。
しかしながら、このマイクロレンズアレイは、隣り合う光電変換素子の間に至る光束を当該光電変換素子上へ導く代わりに、レンズ系の射出瞳位置(像面から射出瞳までの距離)に制約を与えていた。
これは、レンズ系の射出瞳位置が光電変換素子に近づく、即ち光電変換素子に到達する主光線の光軸とのなす角度が大きくなると、画面周辺部へ向かう軸外光束が光軸に対して大きな角度をなし、光電変換素子上に到達せずに光量不足を招いてしまうからである。
近年、デジタルスチルカメラが一般的になるにつれ、ユーザニーズが多様化しつつある。特に、小型でありながら、変倍比が高いズームレンズを搭載したデジタルスチルカメラが増えつつある。
従来から用いられるズームタイプとしては、正負正正の4群構成のズームレンズが知られている。このタイプは、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、正屈折力を有する第4レンズ群の4つのレンズ群によって構成されている(例えば特許文献1)。
一般に、可動群レンズの数が増えるほど、広角端状態から望遠端状態まで各レンズ群の移動するズーム軌道に選択の自由度が生じるため、高いズーム比であっても高性能化を実現できることが知られている(例えば特許文献2及び特許文献3)。
これらの特許文献2及び特許文献3で示されたズームレンズでは、従来からある正負正正の4群構成のズームレンズにおける像側に、光軸方向へ固定されたレンズ群を配置する構成であった。
また、正負正負正の5群タイプのズームレンズでは、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群により構成されている(例えば特許文献4)。
このような5群タイプのズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群及び第3レンズ群が物体側へ移動し、第2レンズ群が一端像側へ移動した後に物体側へ移動し、第4レンズ群が光軸方向へ固定され、第5レンズ群が光軸方向へ移動していた。
また、交換レンズ向けのレンズであるが、正負正負負正の6群タイプのズームレンズが知られている(例えば、特許文献5)。
この6群タイプのズームレンズでは、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、負屈折力を有する第5レンズ群、正屈折力を有する第6レンズ群により構成されている。
このような6群タイプのズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が増大、第5レンズ群と第6レンズ群との空気間隔が減少するように、各レンズ群が移動していた。
特開2006-189598公報 特開2007-79194公報 特開2007-292994公報 特開2007-264174公報 特開2008-15251公報
ところで正負正正の4群タイプのズームレンズでは、ズーム比が20倍を超えて変倍比を更に高めるには、十分な小型化が難しいという課題があった。一般にズームレンズでは、各レンズ群の屈折力を強めることで、光学全長を維持したまま、変倍比を高めることができる。
しかしながら正負正正の4群タイプのズームレンズでは、この場合、焦点距離が変化する際に生じる諸収差の変動を十分に補正できず、所定の光学性能を得られないので、最終的に所定の光学性能を得ようとするならば大型化を避け得ないという問題があった。
これに対して、一般的にズームレンズでは、可動レンズ群を増やした場合、各レンズ群のズーム軌跡に選択の自由度が増えるため、焦点距離が変化する際に生じる諸収差の変動を一段と良好に補正することが可能となり、高変倍比でも小型化を図ることができる。
しかしながら、特許文献2及び特許文献3で示されたズームレンズでは、最も像側に固定レンズ群を追加した構成であり、変倍に寄与するレンズ群の数を増やしている訳ではないので、更なる高変倍比化及び小型化の両立が難しいという問題があった。
また、特許文献4で示されたズームレンズでは望遠端状態におけるレンズ全長の短縮化が充分ではなく、変倍比を高めようとすると、充分なる小型化との両立を図ることが困難になるという問題があった。
更に、特許文献5で示されたズームレンズでは、レンズ群の数を増やすことにより変倍比が高くなっても小型化を維持することも可能であるが、光軸方向へ移動させるレンズ群の数が6個となって従来よりも増えてしまうために、鏡筒構造が複雑化してしまうという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、高変倍比化及び小型化の両立に適した可変焦点距離レンズ系及び当該可変焦点距離レンズ系を使用した撮像装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明による可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(1)乃至(3)を満足するように構成されている。
(1)0.95<f13T/ft<1.4
(2)0.08<f2/f4<0.3
(3)0.06<Δ3/ft<0.22
但し、
f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f4 :第4レンズ群の焦点距離
Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
とする。
条件式(1)は、望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離f13Tを規定し、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力を強めたことに起因してレンズ系全体を小型化するためのものである。
この可変焦点距離レンズ系では、ズーム比を高めながらレンズ全長を短くするために、条件式(1)の最大値が従来よりも小さくなっていることが特徴である。
この条件式(1)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまい、本発明の趣旨に反してしまう。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態における第4レンズ群による拡大率が大きくなり、レンズ位置状態の変化に伴う軸上収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
条件式(2)は、第2レンズ群と第4レンズ群との屈折力比を規定し、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置を対称型に近づけたことに起因して、広角端状態で発生し易い負の歪曲収差を良好に補正するためのものである。
この条件式(2)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第4レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第2レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第1レンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れて、第1レンズ群のレンズ径が大型化してしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で画面周縁部に発生する軸外収差を良好に補正することが難しく、充分なる小型化を図ることができない。
また、この条件式(2)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第4レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づく。
この結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さと望遠端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さとの通過範囲に差が無くなるため、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動と軸上収差の変動とをバランス良く補正することが困難になってしまう。
条件式(3)は、レンズ位置状態の変化に伴う第3レンズ群の移動量Δ3と、望遠端状態における焦点距離ftとの比を規定するものであり、互いに隣り合うレンズ群の屈折力が逆向きとなる組み合わせを増やすことにより、高い変倍比を実現するためのものである。
この条件式(3)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第3レンズ群の移動量が大きくなって、当該第3レンズ群と像面との距離が大きく変化し、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変動が大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態において第5レンズ群を通過する軸外光束が光軸から大きく離れて、画面周縁部に発生するコマ収差を良好に補正することが難しくなってしまう。
逆に、この条件式(3)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系はレンズ位置状態に拘わらず、第3レンズ群が同じような位置に留まり、広角端状態と望遠端状態とにおいて第2レンズ群の横倍率が大きく変化するようになる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正することができず、充分なる高性能化を図ることが困難になってしまう。
また、本発明の撮像装置においては、可変焦点距離レンズ系と、当該可変焦点距離レンズ系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを具え、可変焦点距離レンズ系は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(1)乃至(3)を満足するように構成されている。
(1)0.95<f13T/ft<1.4
(2)0.08<f2/f4<0.3
(3)0.06<Δ3/ft<0.22
但し、
f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f4 :第4レンズ群の焦点距離
Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
とする。
この撮像装置における可変焦点距離レンズ系において、条件式(1)は、望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離f13Tを規定し、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力を強めたことに起因してレンズ系全体を小型化するためのものである。
この可変焦点距離レンズ系では、ズーム比を高めながらレンズ全長を短くするために、条件式(1)の最大値が従来よりも小さくなっていることが特徴である。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまい、本発明の趣旨に反してしまう。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態における第4レンズ群による拡大率が大きくなり、レンズ位置状態の変化に伴う軸上収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
条件式(2)は、第2レンズ群と第4レンズ群との屈折力比を規定し、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置を対称型に近づけたことに起因して、広角端状態で発生し易い負の歪曲収差を良好に補正するためのものである。
この条件式(2)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第4レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第2レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第1レンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れて、第1レンズ群のレンズ径が大型化してしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で画面周縁部に発生する軸外収差を良好に補正することが難しく、充分なる小型化を図ることができない。
また、この条件式(2)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第4レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づく。
この結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さと望遠端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さとの通過範囲に差が無くなるため、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動と軸上収差の変動とをバランス良く補正することが困難になってしまう。
条件式(3)は、レンズ位置状態の変化に伴う第3レンズ群の移動量Δ3と、望遠端状態における焦点距離ftとの比を規定するものであり、互いに隣り合うレンズ群の屈折力が逆向きとなる組み合わせを増やすことにより、高い変倍比を実現するためのものである。
この条件式(3)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第3レンズ群の移動量が大きくなって、当該第3レンズ群と像面との距離が大きく変化し、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変動が大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態において第5レンズ群を通過する軸外光束が光軸から大きく離れて、画面周縁部に発生するコマ収差を良好に補正することが難しくなってしまう。
逆に、この条件式(3)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系はレンズ位置状態に拘わらず、第3レンズ群が同じような位置に留まり、広角端状態と望遠端状態とにおいて第2レンズ群の横倍率が大きく変化するようになる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正することができず、充分なる高性能化を図ることが困難になってしまう。
本発明によれば、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群は広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置するとともに、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(1)乃至(3)を満足するように構成されている。
(1)0.95<f13T/ft<1.4
(2)0.08<f2/f4<0.3
(3)0.06<Δ3/ft<0.22
但し、
f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f4 :第4レンズ群の焦点距離
Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
とする。
これにより本発明の可変焦点距離レンズ系によれば、従来よりも一段と光変倍比化及び小型化を両立することができる。
また、本発明の撮像装置によれば、従来よりも一段と高変倍比化及び小型化を両立した可変焦点距離レンズ系により一段と高性能化を図ることができる。
各数値実施例に対応した可変焦点距離レンズ系の屈折力配値を示す略線図である。 第1数値実施例における可変焦点距離レンズ系の構成を示す略線的断面図である。 第1数値実施例の広角端状態(f=1.000)における諸収差を示す特性曲線図である。 第1数値実施例の第1中間焦点距離状態(f=2.284)における諸収差を示す特性曲線図である。 第1数値実施例の第2中間焦点距離状態(f=7.377)における諸収差を示す特性曲線図である。 第1数値実施例の第3中間焦点距離状態(f=15.277)における諸収差を示す特性曲線図である。 第1数値実施例の望遠端状態(f=33.723)における諸収差を示す特性曲線図である。 第2数値実施例における可変焦点距離レンズ系の構成を示す略線的断面図である。 第2数値実施例の広角端状態(f=1.000)における諸収差を示す特性曲線図である。 第2数値実施例の第1中間焦点距離状態(f=2.295)における諸収差を示す特性曲線図である。 第2数値実施例の第2中間焦点距離状態(f=4.987)における諸収差を示す特性曲線図である。 第2数値実施例の第3中間焦点距離状態(f=15.948)における諸収差を示す特性曲線図である。 第2数値実施例の望遠端状態(f=33.792)における諸収差を示す特性曲線図である。 第3数値実施例における可変焦点距離レンズ系の構成を示す略線的断面図である。 第3数値実施例の広角端状態(f=1.000)における諸収差を示す特性曲線図である。 第3数値実施例の第1中間焦点距離状態(f=2.495)における諸収差を示す特性曲線図である。 第3数値実施例の第2中間焦点距離状態(f=7.377)における諸収差を示す特性曲線図である。 第3数値実施例の第3中間焦点距離状態(f=15.274)における諸収差を示す特性曲線図である。 第3数値実施例の望遠端状態(f=33.798)における諸収差を示す特性曲線図である。 本発明の撮像装置を搭載したデジタルスチルカメラの構成を示す略線的ブロック図である。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(可変焦点距離レンズ系)
2.数値実施例(第1数値実施例乃至第3数値実施例)
3.撮像装置及びデジタルスチルカメラ
4.他の実施の形態
<1.実施の形態(可変焦点距離レンズ系の構成)>
本発明では、焦点距離の変化と共に合焦点も変化するようなレンズ系を可変焦点距離レンズ系と呼ぶ。これに対してズームレンズは焦点距離が変化したときでも合焦点が変化しないようになされたレンズ系であるため、可変焦点距離レンズ系の一つという位置付けになる。
本発明の可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を有している。
具体的に可変焦点距離レンズ系は、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化すると共に、第1レンズ群が一旦像側へ移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第4レンズ群は光軸方向へ可動であり、第5レンズ群が各レンズ群の移動に伴う像面位置の変動を補償するように移動する構成である。
なお可変焦点距離レンズ系は、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、例えば第3レンズ群よりも物体側で、当該第3レンズ群とは独立した状態で移動する。
この可変焦点距離レンズ系においては、負の屈折力を有する第4レンズ群を配置することによって、以下の[A]、[B]及び[C]の3つの効果を実現するようになされている。
[A]第1レンズ群乃至第3レンズ群による合成屈折力を正に強めてレンズ系全体を小型化する。
[B]レンズ系全体の屈折力配置を対称型に近づけて歪曲収差を良好に補正する。
[C]変倍作用を伴うレンズ群を増やして高倍率化に伴う光学性能の低下を防ぐ。
これに対して、正負正正の4群タイプのズームレンズでは、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力が弱く、レンズ全長の短縮化が難しかった。
これは、正負正正の4群タイプのズームレンズが、正負正の3群タイプのズームレンズにおける第3レンズ群を2つの正レンズ群に分割したものであって、それらの間隔を変化させることで、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を抑えることが目的だったからである。
この場合、正負正正の4群タイプのズームレンズでは、第3レンズ群と第4レンズ群との間の光線がほぼ平行光となるように構成することにより、2つの第3レンズ群及び第4レンズ群の間隔が変化した際に球面収差が変化せず、軸外収差だけが変化するようにできるのである。
実際上、可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群乃至第3レンズ群と、第5レンズ群との間に、負の屈折力を有する第4レンズ群を配置することにより、第1レンズ群乃至第3レンズ群による合成屈折力を強めることができ、その結果、第1レンズ群乃至第3レンズ群の相互間隔が短くなって、レンズ全長の短縮化を実現し得るようになされている。これにより可変焦点距離レンズ系では、上述した[A]の効果を得ることができる。
また可変焦点距離レンズ系では、正負正負正の第1レンズ群乃至第5レンズ群により構成され、第3レンズ群の近傍に開口絞りを配置することにより、開口絞りの物体側と像側とに対して少なくとも1つ以上の正レンズと負レンズとを配置することが可能となる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置が対称型に近づき、広角端状態で発生し易い負の歪曲収差を良好に補正することができる。これにより可変焦点距離レンズ系では、上述した[B]の効果を得ることができる。
ところで可変焦点距離レンズ系における各レンズ群の機能について説明する。一般的に、2つのレンズ群GA、GBの屈折力をφA、φBとして、それらの間隔をdとしたとき、合成屈折力φは、φ=φA+φB−φA・φB・dで示される。
レンズ群GA、GBの屈折力の符号が異なる場合、2つのレンズ群GA、GBの屈折力が互いに打ち消しあうため、合成屈折力φは、φA+φBが小さい値となり、φA・φBが残ることになる。これは、合成屈折力φに対するφA・φBの影響が大きいことを意味し、間隔dが変化した際に、合成屈折力φが変化しやすくなる。
逆に、レンズ群GA、GBの屈折力の符号が同じ場合、2つのレンズ群GA、GBの屈折力が互いに強め合うため、合成屈折力φは、φA+φBが大きい値となる。これは、合成屈折力φに対するφA+φBの影響が大きいことを意味し、間隔dが変化した際に、合成屈折力φの変化が小さくなる。
すなわち、互いに隣り合うレンズ群の屈折力が逆向きとなるような組み合わせを増やすことにより高い変倍比を実現することができる。従って可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正負正負正の第1レンズ群乃至第5レンズ群を配置することにより、上述した[C]の効果を得ることができる。
次に、可変焦点距離レンズ系における収差補正機能について説明する。広角端状態では画角が広いために第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束が光軸から離れている。このため可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群と第2レンズ群とを近接して配置することにより、第1レンズ群を通過する軸外光束が広がり過ぎないようになされている。
また可変焦点距離レンズ系では、広角端状態から望遠端状態へ向かって、レンズ位置状態が変化する際に画角が狭まり、第2レンズ群と開口絞りとの距離が近づくため、第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束が光軸に近づく。
従って可変焦点距離レンズ系では、このような第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束の高さの変化を利用して、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正し得るようになされている。
また可変焦点距離レンズ系では、開口絞りよりも像側に、第4レンズ群及び第5レンズ群を配置することにより、レンズ位置状態が変化する際、開口絞りと第4レンズ群、第5レンズ群との距離が変化する。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、第4レンズ群と第5レンズ群とを通過する軸外光束の高さが変化して、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正し得るようになされている。
次に、条件式を用いた可変焦点距離レンズ系の特徴について具体的に説明する。実際上、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(1)を満足するように構成されている。
(1)0.95<f13T/ft<1.4
但し、
f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
とする。
この条件式(1)は、望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離f13Tを規定し、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力を強めたことに起因して上述した[A]の効果を得るためのものである。
この可変焦点距離レンズ系では、ズーム比を高めながらレンズ全長を短くするために、条件式(1)の最大値が従来よりも小さくなっていることが特徴である。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまい、本発明の趣旨に反してしまう。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態における第4レンズ群による拡大率が大きくなり、レンズ位置状態の変化に伴う軸上収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
また、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(2)を満足するように構成されている。
(2)0.08<f2/f4<0.3
但し、
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f4 :第4レンズ群の焦点距離
とする。
この条件式(2)は、第2レンズ群と第4レンズ群との屈折力比を規定し、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置を対称型に近づけたことに起因して上述した[B]の効果を得るためのものである。
この条件式(2)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第4レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第2レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第1レンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れて、第1レンズ群のレンズ径が大型化してしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で画面周縁部に発生する軸外収差を良好に補正することが難しく、充分なる小型化を図ることができない。
また、この条件式(2)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第4レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づく。
この結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さと望遠端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さとの通過範囲に差が無くなるため、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動と軸上収差の変動とをバランス良く補正することが困難になってしまう。
さらに、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(3)を満足するように構成されている。
(3)0.06<Δ3/ft<0.22
但し、
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
とする。
この条件式(3)は、レンズ位置状態の変化に伴う第3レンズ群の移動量Δ3と、望遠端状態における焦点距離ftとの比を規定するものであり、上述した[C]の効果を得るためのものである。
ここで条件式(3)の分母であるftは、ズーム比(ft/fw)をZとしたとき、ft=fw・Zとして表記することができる。そして、この条件式(3)では、分母のftをfw・Zに置き換え、そのfwを無次元化(正規化)することによって、Δ3/Zを規定するものであるともいえる。
この条件式(3)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第3レンズ群の移動量が大きくなって、当該第3レンズ群と像面との距離が大きく変化し、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変動が大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態において第5レンズ群を通過する軸外光束が光軸から大きく離れて、画面周縁部に発生するコマ収差を良好に補正することが難しくなってしまう。
逆に、この条件式(3)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系はレンズ位置状態に拘わらず、第3レンズ群が同じような位置に留まり、広角端状態と望遠端状態とにおいて第2レンズ群の横倍率が大きく変化するようになる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正することができず、充分なる高性能化を図ることが困難になってしまう。
ところで可変焦点距離レンズ系においては、広角端状態と望遠端状態とにおける第2レンズ群の横倍率を適切に設定することにより、小型化や高性能化を図ることが可能であり、特に、条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.35<β2w・β2t<0.6
但し、
β2w :広角端状態における第2レンズ群の横倍率
β2t :望遠端状態における第2レンズ群の横倍率
とする。
この条件式(4)は、第2レンズ群の横倍率を規定するものであり、可変焦点距離レンズ系は、この条件式(4)を満足することにより、所定の光学性能を得ながらレンズ径の小型化を図ることができるようになされている。
この条件式(4)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は、広角端状態において第5レンズ群の位置が大きく像側へ寄った場所に位置して像面に近づき、望遠端状態において像面から離れ、特に広角端状態で画面周縁部に向かう光束が第5レンズ群により強く屈折されてしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、画面周縁部の収差が大きく発生して、所定の光学性能を得ることができなくなってしまう。
逆に、この条件式(4)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は、望遠端状態において第5レンズ群の位置が大きく像側へ寄った場所に位置して像面から離れ、望遠端状態において像面に近づき、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変化が非常に大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、特に望遠端状態において、画面周縁部に向かう光束がオンチップレンズによりケラレてしまうため、一段と周辺光量を増やさざるを得ず、レンズ径の小型化を図ることが困難になってしまう。
ところで可変焦点距離レンズ系では、被写体位置が変化する際、第5レンズ群を光軸方向へ移動させることが望ましく、条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.45<β5t<0.7
但し、
β5t :望遠端状態における第5レンズ群の横倍率
とする。
この可変焦点距離レンズ系では、フォーカス調整用に用いられる第5レンズ群がレンズ系の最も像側に配置されているため、当該第5レンズ群を介して軸上光束と軸外光束とが離れて通過する。これにより可変焦点距離レンズ系では、被写体位置が変化する際、第5レンズ群を移動させたときに生じる軸外収差の変動を補正し易く、被写体距離に拘わらず高い光学性能を得ることができる。
ここで、この条件式(5)は、望遠端状態における第5レンズ群の横倍率を規定するものである。条件式(5)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は被写体位置の変化に伴う第5レンズ群の移動量が大きくなる。
このため可変焦点距離レンズ系では、所定の被写体に対する第5レンズ群のレンズ移動量が大きくなり、その仕事量も大きくなってしまう。その結果、可変焦点距離レンズ系では、動作スピードが早くならず、ユーザに違和感を与えたり、或は駆動系が大型化して鏡筒サイズの大型化を引き起こしてしまう。
一方、条件式(5)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態において第1レンズ群乃至第4レンズ群の合成屈折力が弱まるため、望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態におけるレンズ全長を一段と短縮化するため、条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.3<f1/ft<0.5
但し、
f1 :第1レンズ群の焦点距離
とする。
この条件式(6)は、第1レンズ群の焦点距離f1を規定するものである。この条件式(6)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が短縮できず、更なる小型化を図ることが出来なくなってしまう。
逆に、条件式(6)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態において、第1レンズ群を通過する軸外光束が光軸から離れてレンズ径の大型化を引き起こしてしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う第1レンズ群の移動量を適切に設定することにより、レンズ径の小型化及び高性能化を両立し、更なる高性能化を図ることができ、このとき条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.03<Δ1/ft<0.2
但し、
Δ1 :広角端状態と望遠端状態とにおける第1レンズ群の変化量(像面から物体側へ向かう方向を正とする)
とする。
この条件式(7)は、レンズ位置状態の変化に伴う第1レンズ群の移動量を規定するものである。ここで条件式(7)の分母であるftは、ズーム比(ft/fw)をZとしたとき、ft=fw・Zとして表記することができる。そして、この条件式(7)では、分母のftをfw・Zに置き換え、そのfwを無次元化(正規化)することによって、Δ1/Zを規定するものであるともいえる。
この条件式(7)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は広角端状態におけるレンズ全長が短くなり、第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に、第1レンズ群及び第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づくことになる。その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
逆に、この条件式(7)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は広角端状態におけるレンズ全長が長くなる。このとき可変焦点距離レンズ系では、広角端状態におけるレンズ全長が長くなると、沈胴状態から広角端状態までの第1レンズ群の移動量が大きくなって、沈胴状態から広角端状態へ遷移するまでに必要な鏡筒の回転量が増えると共に、広角端状態から望遠端状態までの回転角度が小さくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、各レンズ群を移動させるカムの傾斜角度が大きくなり過ぎてしまって、鏡筒を構成することができなくなってしまう。可変焦点距離レンズ系では、鏡筒径を広げることによってカムの傾斜角度を小さくすることも可能であるが、鏡筒径が大型化して携行時のカメラサイズが大型化してしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、非常に高いズーム倍率であっても、望遠端状態におけるレンズ全長を短縮して小型化するため、条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.7<TLt/ft<0.9
但し、
TLt :望遠端状態におけるレンズ全長
とする。
この条件式(8)は、望遠端状態におけるレンズ全長を規定するものであり、1.0以下になっていることが特徴である。
この条件式(8)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系はカメラサイズが大型化して携行性を損ねてしまうため、本発明の趣旨に反してしまう。これは、望遠端状態におけるレンズ全長が長くなってしまうことに起因し、本発明のズームタイプによる小型化を図る効果が失われてしまうからである。
逆に、この条件式(8)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は製造時に安定した光学性能が得られなくなってしまう。これは、望遠端状態におけるレンズ全長が極端に短くなることに起因し、製造時に発生する微小なる偏芯によっても光学性能が著しく低下してしまうからである。
なお、本発明の可変焦点距離レンズ系では、高い光学性能と小型化との両立を図るため、各レンズ群を下記のように構成することが望ましい。
可変焦点距離レンズ系においては、更なる高性能化を図るため、第1レンズ群が物体側から順に、負レンズ及び正レンズによる接合レンズと、その像側に配置される2枚の正レンズとによって構成されることが望ましい。
第1レンズ群は特に望遠端状態において軸上光束が広い光束径で入射するため、負の球面収差が発生し易い。また第1レンズ群は軸外光束が光軸から離れて入射するため、軸外収差の発生が起こりやすい。
この可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群の最も物体側に負レンズ及び正レンズによる接合レンズを配置することにより、負の球面収差、及び、軸上色収差を良好に補正するようになされている。
なお可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群における接合レンズの像側に配置された2枚の正レンズが主に画角の変化に伴うコマ収差の変動を良好に補正しており、各レンズの機能を分けることにより、一段と高い光学性能を実現し得るようになされている。
因みに、可変焦点距離レンズ系では、更なる高性能化を図るために、第1レンズ群中の接合レンズを負レンズと正レンズとの2枚に分離された状態で構成することが望ましい。
また可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群において発生する諸収差を良好に補正し、一段と高い光学性能を得るために、当該第2レンズ群を第1部分群と第2部分群との2つの部分群により構成することが望ましい。
具体的に、第1部分群は像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズで構成され、広角端状態では開口絞りから離れて配置されるため、画角の変化により通過する光線の高さが大きく変化し、その結果、軸外収差の補正に適している。
第2部分群は、少なくとも1枚の負レンズと1枚の正レンズとでなり、物体側から順に、両凹形状の負レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズとにより構成される。第2部分群では、この正レンズと負レンズとは接合レンズとすることにより構成の簡素化を図る、或は、その正レンズを正レンズと負レンズとの接合レンズによって構成することにより、更なる高性能化を図ることも可能である。
また第2部分群は、開口絞りの近くに配置されることから、主に、軸上収差を補正するようになされており、そのためタブレット構成かトリプレット構成とすることが望ましい。
この可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群を上述したような第1部分群と第2部分群との2つの部分群により構成することにより、収差補正上の役割分担を明確化して、良好なる結像性能を得るようになされている。
可変焦点距離レンズ系の第3レンズ群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた正レンズを配置することが望ましい。これにより可変焦点距離レンズ系は、レンズ全長の短縮化を図ることができる。
特に、第3レンズ群では、物体側から順に、第1正レンズ、負レンズ、第2正レンズの3枚を並べた、所謂トリプレット構成とすることにより、当該第3レンズ群の位置状態に拘わらず、高い光学性能を得ることができる。
また第3レンズ群では、第1正レンズと負レンズとを接合化することにより、当該第3レンズ群を2つのレンズブロックにより構成し得、その結果、製造時にも安定した光学性能を得ることができる。なお、第3レンズ群における最も物体側のレンズ面を非球面形状とすることにより、強い屈折力であっても、負の球面収差を良好に補正することが可能となる。
可変焦点距離レンズ系の第4レンズ群は、物体側から順に、第1負レンズ、正レンズ、第2負レンズの3枚を並べたトリプレット構成とすることが望ましい。その結果、可変焦点距離レンズ系では、第4レンズ群単独で発生する軸上収差と軸外収差とを補正することができるので、レンズ位置状態に拘わらず、更なる高性能化を図ることができる。
可変焦点距離レンズ系の第5レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正レンズ、像側に凹面を向けた負レンズによるタブレット構成とすることが望ましい。これにより可変焦点距離レンズ系では、軸外収差と軸上収差とを同時に補正することが可能となり、被写体位置が変化した際に発生する諸収差の変動を良好に補正し得るようになされている。因みに、第5レンズ群は、分散の比較的少ないガラスであれば、1枚で構成することも可能である。
また可変焦点距離レンズ系では、色収差の変動を一段と良好に抑えるため、第1レンズ群に異常分散性の高い硝材を用いることが望ましい。特に可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群を構成している接合レンズ中の正レンズを異常分散性の高い硝材とすることにより、望遠端状態で画面中心部において発生する2次分散を良好に補正し得るようになされている。
さらに可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群乃至第5レンズ群に関して非球面レンズを用いることにより、一段と高い光学性能を実現することが出来る。特に可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群に非球面レンズを用いることにより、広角端状態において発生する画角によるコマ収差の変動を良好に補正することも可能となる。なお可変焦点距離レンズ系では、複数の非球面を1つの光学系に用いることにより一段と高い光学性能が得られることは言うまでもない。
さらに可変焦点距離レンズ系においては、レンズ系を構成する第1レンズ群乃至第5レンズ群のうち、1つのレンズ群、若しくは、1つのレンズ群のうちの一部のレンズ成分を光軸にほぼ垂直な方向へシフトさせることにより、像面に対する像位置をシフトさせ得るようになされている。特に、可変焦点距離レンズ系においては、第3レンズ群を光軸にほぼ垂直な方向へシフトさせるようになされており、このときの収差変化を少なくすることができる。
実際上、このような像位置をシフト可能な可変焦点距離レンズ系では、カメラの倒れをブレ角度として検出することにより手ブレ情報を得る検出系、その手ブレ情報に基づいて手ブレを補正するのに必要なレンズ位置情報を算出する演算系、そのレンズ位置情報に従って1つのレンズをシフトさせる駆動系と組み合わせることが可能である。
これにより可変焦点距離レンズ系では、シャッターレリーズ時に発生する手ブレ等による像ブレをレンズシフトによって相殺又は緩和させる防振カメラとして機能させることができる。
なお可変焦点距離レンズ系では、レンズ系の像側に所謂モアレ縞の発生を防ぐためにローパスフィルタを配置したり、受光素子の分光感度特性に応じて赤外カットフィルタを配置することも勿論可能である。
<2.数値実施例>
次に、本発明の可変焦点距離レンズ系に対して具体的な数値を適用した数値実施例について、以下、図面及び図表を用いて説明する。ここで、各数値実施例において、非球面は次式の数1で表される。
x=cy/(1+(1−(1+k)c1/2)+Ay+By
……(1)
ここで、yは光軸からの高さ、xはサグ量、cは曲率、kは円錐定数、A,B,……は非球面係数である。
図1において、1は全体として本発明の各数値実施例による可変焦点距離レンズ系の屈折力配置を示しており、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1、負屈折力を有する第2レンズ群G2、正屈折力を有する第3レンズ群G3、負屈折力を有する第4レンズ群G4、正屈折力を有する第5レンズ群G5によって構成されている。
この可変焦点距離レンズ系1では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化する。
このとき、第1レンズ群G1は一旦像側へ移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側へ移動し、第4レンズ群G4が例えばS字状又は逆S字状のカーブを描きながら光軸方向へ移動して、第5レンズ群G5が一旦、物体側へ移動した後に像側へ移動する。なお第5レンズ群G5は、各レンズ群の移動に伴う像面位置の変動を補正するように移動すると共に近距離合焦時に物体側へ移動するようになされている。
[2−1.第1数値実施例]
図2において、11は全体として第1数値実施例における可変焦点距離レンズ系を示し、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1、負屈折力を有する第2レンズ群G2、正屈折力を有する第3レンズ群G3、負屈折力を有する第4レンズ群G4、正屈折力を有する第5レンズ群G5によって構成されている。
この可変焦点距離レンズ系11において、第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズと物体側に凸面を向けた正レンズとからなる接合レンズL11、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13により構成されている。
第2レンズ群G2は、像側に凹面を向けた負レンズL21、両凹形状の負レンズL22、両凸形状の正レンズL23により構成されている。
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズと像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとからなる接合レンズL31と、両凸形状の正レンズL32とによって構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL41、両凸形状の正レンズL42、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL43によって構成されている。
第5レンズ群G5は、両凸形状の正レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとからなる接合レンズL5により構成され、フォーカス調整用に用いられる。
なお可変焦点距離レンズ系11は、開口絞りSが第3レンズ群G3の近傍の物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体的に移動するようになされている。因みに、可変焦点距離レンズ系11は、第5レンズ群G5と像面IMGとの間にIRカットフィルタCFと、像面IMGを保護するためのシールガラスSGが配置されている。
このように可変焦点距離レンズ系11では、上述したようなレンズエレメント構成とすることによって、高変倍比化及び小型化を両立すると共に、レンズ系の諸収差を良好に補正し得るようになされている。
以下の表1に、本発明における第1数値実施例の諸元値を掲げる。ここで第1数値実施例における諸元表中のfは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd線(波長587.6nm)に対する値である。なお、表1中で曲率半径0とは平面を意味する。
Figure 2011090265
なお、第8面、第9面、第13面、第15面、第23面は非球面形状であり、その非球面係数は表2に示す通りである。なお、例えば0.26029E−05とは、0.26029×10−5を意味する。
Figure 2011090265
続いて、可変焦点距離レンズ系11においてレンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下の表3に示す。
Figure 2011090265
そして、以下の表4に第1数値実施例の可変焦点距離レンズ系11における条件式対応値を示す。
Figure 2011090265
続いて、図3乃至図7は、第1数値実施例の無限遠合焦状態における諸収差図であり、図3は広角端状態(f=1.000)、図4は第1中間焦点距離状態(f=2.284)、図5は第2中間焦点距離状態(f=7.377)、図6は第3中間焦点距離状態(f=15.277)、図7は望遠端状態(f=33.723)における諸収差をそれぞれ示す。
この図3乃至図7において、球面収差図中の実線は球面収差を示し、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示し、歪曲収差図中の実線は歪曲収差を示し、横収差図のAは画角、yは像高をそれぞれ示している。この各収差図から、第1数値実施例の可変焦点距離レンズ系11では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[2−2.第2数値実施例]
図8において、12は全体として第2数値実施例における可変焦点距離レンズ系を示し、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1、負屈折力を有する第2レンズ群G2、正屈折力を有する第3レンズ群G3、負屈折力を有する第4レンズ群G4、正屈折力を有する第5レンズ群G5によって構成されている。
この可変焦点距離レンズ系12において、第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズと物体側に凸面を向けた正レンズとの接合レンズL11、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13により構成されている。
第2レンズ群G2は、像側に凹面を向けた負レンズL21、両凹形状の負レンズL22、両凸形状の正レンズL23により構成されている。
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズと像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとの接合レンズL31と、両凸形状の正レンズL32とによって構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL41、両凸形状の正レンズL42、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL43によって構成されている。
第5レンズ群G5は、両凸形状の正レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとの接合レンズL5により構成され、フォーカス調整用に用いられる。
なお可変焦点距離レンズ系12は、開口絞りSが第3レンズ群G3の近傍の物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体的に移動するようになされている。因みに、可変焦点距離レンズ系12は、第5レンズ群G5と像面IMGとの間にIRカットフィルタCFと、像面IMGを保護するためのシールガラスSGが配置されている。
このように可変焦点距離レンズ系12では、上述したようなレンズエレメント構成とすることによって、高変倍比化及び小型化を両立すると共に、レンズ系の諸収差を良好に補正し得るようになされている。
以下の表5に、本発明における第2数値実施例の諸元値を掲げる。ここで第2数値実施例における諸元表中のfは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd線(波長587.6nm)に対する値である。なお、表5中で曲率半径0とは平面を意味する。
Figure 2011090265
なお、第8面、第9面、第13面、第15面、第23面は非球面形状であり、その非球面係数は表6に示す通りである。なお、例えば0.26029E−05とは、0.26029×10−5を意味する。
Figure 2011090265
続いて、可変焦点距離レンズ系12においてレンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下の表7に示す。
Figure 2011090265
そして、以下の表8に第2数値実施例の可変焦点距離レンズ系12における条件式対応値を示す。
Figure 2011090265
続いて、図9乃至図13は、第2数値実施例の無限遠合焦状態における諸収差図であり、図9は広角端状態(f=1.000)、図10は第1中間焦点距離状態(f=2.295)、図11は第2中間焦点距離状態(f=4.987)、図12は第3中間焦点距離状態(f=15.948)、図13は望遠端状態(f=33.792)における諸収差をそれぞれ示す。
この図9乃至図13において、球面収差図中の実線は球面収差を示し、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示し、歪曲収差図中の実線は歪曲収差を示し、横収差図のAは画角、yは像高をそれぞれ示している。この各収差図から、第2数値実施例の可変焦点距離レンズ系12では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
[2−3.第3数値実施例]
図14において、13は全体として第3数値実施例における可変焦点距離レンズ系を示し、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1、負屈折力を有する第2レンズ群G2、正屈折力を有する第3レンズ群G3、負屈折力を有する第4レンズ群G4、正屈折力を有する第5レンズ群G5によって構成されている。
この可変焦点距離レンズ系13において、第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズと物体側に凸面を向けた正レンズとの接合レンズL11、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL13により構成されている。
第2レンズ群G2は、像側に凹面を向けた負レンズL21、両凹形状の負レンズL22、両凸形状の正レンズL23により構成されている。
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズと像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとの接合レンズL31と、両凸形状の正レンズL32とによって構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL41、両凸形状の正レンズL42、像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL43によって構成されている。
第5レンズ群G5は、両凸形状の正レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズとの接合レンズL5により構成され、フォーカス調整用に用いられる。
なお可変焦点距離レンズ系13は、開口絞りSが第3レンズ群G3の近傍の物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体的に移動するようになされている。因みに、可変焦点距離レンズ系12は、第5レンズ群G5と像面IMGとの間にIRカットフィルタCFと、像面IMGを保護するためのシールガラスSGが配置されている。
このように可変焦点距離レンズ系13では、上述したようなレンズエレメント構成とすることによって、高変倍比化及び小型化を両立すると共に、レンズ系の諸収差を良好に補正し得るようになされている。
以下の表9に、本発明における第3数値実施例の諸元値を掲げる。ここで第3数値実施例における諸元表中のfは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd線(波長587.6nm)に対する値である。なお、表9中で曲率半径0とは平面を意味する。
Figure 2011090265
なお、第8面、第9面、第13面、第15面、第23面は非球面形状であり、その非球面係数は表10に示す通りである。なお、例えば0.26029E−05とは、0.26029×10−5を意味する。
Figure 2011090265
続いて、可変焦点距離レンズ系13においてレンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下の表11に示す。
Figure 2011090265
そして、以下の表12に第3数値実施例の可変焦点距離レンズ系13における条件式対応値を示す。
Figure 2011090265
続いて、図15乃至図19は、第3数値実施例の無限遠合焦状態における諸収差図であり、図15は広角端状態(f=1.000)、図16は第1中間焦点距離状態(f=2.495)、図17は第2中間焦点距離状態(f=7.377)、図18は第3中間焦点距離状態(f=15.274)、図19は望遠端状態(f=33.798)における諸収差をそれぞれ示す。
この図15乃至図19において、球面収差図中の実線は球面収差を示し、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示し、歪曲収差図中の実線は歪曲収差を示し、横収差図のAは画角、yは像高をそれぞれ示している。この各収差図から、第3数値実施例の可変焦点距離レンズ系13では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
なお、この第3数値実施例は、可変焦点距離レンズ系13の第1レンズ群G1が一旦像側へ移動した後に物体側へ移動するものではなく、像面側から物体側へ直線的に移動する場合の例である。
このように第1数値実施例乃至第3数値実施例によれば、可変焦点距離レンズ系11、12、13においては、広角端状態における画角が79.77度、86.56度、87.34度として示されているように、主に約75度〜約95度と非常に広い。また同時に、可変焦点距離レンズ系11、12、13においては、ズーム比が33.72倍〜33.80倍として示されているように、約30倍〜約40倍と非常に高い。
すなわち可変焦点距離レンズ系11、12、13においては、広角端状態におけるFナンバーが2.8程度のズームレンズに最適であり、広角端状態における画角が約75度〜約95度と非常に広く、且つズーム比が約30倍〜約40倍と非常に高くすることができた。
<3.撮像装置及びデジタルスチルカメラ>
[3−1.撮像装置の構成]
次に、本発明の撮像装置について説明する。この撮像装置は、本発明の可変焦点距離レンズ系1(又は11、12、13)と、当該可変焦点距離レンズ系1によって形成された光学像を電気的信号に変換するための例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等でなる撮像素子とを具えている。
この可変焦点距離レンズ系1(図1)は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1、負屈折力を有する第2レンズ群G2、正屈折力を有する第3レンズ群G3、負屈折力を有する第4レンズ群G4、正屈折力を有する第5レンズ群G5を有している。
具体的に可変焦点距離レンズ系は、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化すると共に、第1レンズ群が一旦像側へ移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第4レンズ群は光軸方向へ可動であり、第5レンズ群が各レンズ群の移動に伴う像面位置の変動を補償するように移動する構成である。
なお可変焦点距離レンズ系は、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、例えば第3レンズ群よりも物体側で、当該第3レンズ群とは独立した状態で移動する。
この可変焦点距離レンズ系においては、負の屈折力を有する第4レンズ群を配置することによって、以下の[A]、[B]及び[C]の3つの効果を実現するようになされている。
[A]第1レンズ群乃至第3レンズ群による合成屈折力を正に強めてレンズ系全体を小型化することができる。
[B]レンズ系全体の屈折力配置を対称型に近づけて歪曲収差を良好に補正することができる。
[C]変倍作用を伴うレンズ群を増やして高倍率化に伴う光学性能の低下を防ぐことができる。
これに対して、正負正正の4群タイプのズームレンズでは、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力が弱く、レンズ全長の短縮化が難しかった。
これは、正負正正の4群タイプのズームレンズが、正負正の3群タイプのズームレンズにおける第3レンズ群を2つの正レンズ群に分割したものであって、それらの間隔を変化させることで、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を抑えることが目的だったからである。
この場合、正負正正の4群タイプのズームレンズでは、第3レンズ群と第4レンズ群との間の光線がほぼ平行光となるように構成することにより、2つの第3レンズ群及び第4レンズ群の間隔が変化した際に球面収差が変化せず、軸外収差だけが変化するようにできるのである。
実際上、可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群乃至第3レンズ群と、第5レンズ群との間に、負の屈折力を有する第4レンズ群を配置することにより、第1レンズ群乃至第3レンズ群による合成屈折力を強めることができ、その結果、第1レンズ群乃至第3レンズ群の相互間隔が短くなって、レンズ全長の短縮化を実現し得るようになされている。これにより可変焦点距離レンズ系では、上述した[A]の効果を得ることができる。
また可変焦点距離レンズ系では、正負正負正の第1レンズ群乃至第5レンズ群により構成され、第3レンズ群の近傍に開口絞りを配置することにより、開口絞りの物体側と像側とに対して少なくとも1つ以上の正レンズと負レンズとを配置することが可能となる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置が対称型に近づき、広角端状態で発生し易い負の歪曲収差を良好に補正することができる。これにより可変焦点距離レンズ系では、上述した[B]の効果を得ることができる。
ところで可変焦点距離レンズ系における各レンズ群の機能について説明する。一般的に、2つのレンズ群GA、GBの屈折力をφA、φBとして、それらの間隔をdとしたとき、合成屈折力φは、φ=φA+φB−φA・φB・dで示される。
レンズ群GA、GBの屈折力の符号が異なる場合、2つのレンズ群GA、GBの屈折力が互いに打ち消しあうため、合成屈折力φは、φA+φBが小さい値となり、φA・φBが残ることになる。これは、合成屈折力φに対するφA・φBの影響が大きいことを意味し、間隔dが変化した際に、合成屈折力φが変化しやすくなる。
逆に、レンズ群GA、GBの屈折力の符号が同じ場合、2つのレンズ群GA、GBの屈折力が互いに強め合うため、合成屈折力φは、φA+φBが大きい値となる。これは、合成屈折力φに対するφA+φBの影響が大きいことを意味し、間隔dが変化した際に、合成屈折力φの変化が小さくなる。
すなわち、互いに隣り合うレンズ群の屈折力が逆向きとなるような組み合わせを増やすことにより高い変倍比を実現することができる。従って可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正負正負正の第1レンズ群乃至第5レンズ群を配置することにより、上述した[C]の効果を得ることができる。
次に、可変焦点距離レンズ系における収差補正機能について説明する。広角端状態では画角が広いために第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束が光軸から離れている。このため可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群と第2レンズ群とを近接して配置することにより、第1レンズ群を通過する軸外光束が広がり過ぎないようになされている。
また可変焦点距離レンズ系では、広角端状態から望遠端状態へ向かって、レンズ位置状態が変化する際に、画角が狭まり、第2レンズ群と開口絞りとの距離が近づくため、第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束が光軸に近づく。
従って可変焦点距離レンズ系では、このような第1レンズ群と第2レンズ群とを通過する軸外光束の高さの変化を利用して、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正し得るようになされている。
また可変焦点距離レンズ系では、開口絞りよりも像側に、第4レンズ群及び第5レンズ群を配置し、レンズ位置状態が変化する際、開口絞りと第4レンズ群、第5レンズ群との距離が変化する。その結果、可変焦点距離レンズ系では、第4レンズ群と第5レンズ群とを通過する軸外光束の高さが変化して、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正し得るようになされている。
次に、条件式を用いた可変焦点距離レンズ系の特徴について具体的に説明する。実際上、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(1)を満足するように構成されている。
(1)0.95<f13T/ft<1.4
但し、
f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
とする。
この条件式(1)は、望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離f13Tを規定し、第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成屈折力を強めたことに起因して上述した[A]の効果を得るためのものである。
この可変焦点距離レンズ系では、ズーム比を高めながらレンズ全長を短くするために、条件式(1)の最大値が従来よりも小さくなっていることが特徴である。
この条件式(1)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまい、本発明の趣旨に反してしまう。
この条件式(1)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態における第4レンズ群による拡大率が大きくなり、レンズ位置状態の変化に伴う軸上収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
また、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(2)を満足するように構成されている。
(2)0.08<f2/f4<0.3
但し、
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f4 :第4レンズ群の焦点距離
とする。
この条件式(2)は、第2レンズ群と第4レンズ群との屈折力比を規定し、開口絞りを挟んだ前後の屈折力配置を対称型に近づけたことに起因して上述した[B]の効果を得るためのものである。
この条件式(2)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第4レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第2レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第1レンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れて、第1レンズ群のレンズ径が大型化してしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で画面周縁部に発生する軸外収差を良好に補正することが難しく、充分なる小型化を図ることができない。
また、この条件式(2)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に第4レンズ群の負の屈折力が弱まり、広角端状態において第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づく。
この結果、可変焦点距離レンズ系では、広角端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さと望遠端状態で第2レンズ群を通過する軸外光束の高さとの通過範囲に差が無くなるため、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動と軸上収差の変動とをバランス良く補正することが困難になってしまう。
さらに、可変焦点距離レンズ系では、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が増大し、第4レンズ群と第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、第2レンズ群は像側へ移動し、第3レンズ群は物体側へ移動し、第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが第3レンズ群の近傍に配置され、以下の条件式(3)を満足するように構成されている。
(3)0.06<Δ3/ft<0.22
但し、
ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
とする。
この条件式(3)は、レンズ位置状態の変化に伴う第3レンズ群の移動量Δ3と、望遠端状態における焦点距離ftとの比を規定するものであり、上述した[C]の効果を得るためのものである。
ここで条件式(3)の分母であるftは、ズーム比(ft/fw)をZとしたとき、ft=fw・Zとして表記することができる。そして、この条件式(3)では、分母のftをfw・Zに置き換え、そのfwを無次元化(正規化)することによって、Δ3/Zを規定するものであるともいえる。
この条件式(3)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は第3レンズ群の移動量が大きくなって、当該第3レンズ群と像面との距離が大きく変化し、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変動が大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態において第5レンズ群を通過する軸外光束が光軸から大きく離れて、画面周縁部に発生するコマ収差を良好に補正することが難しくなってしまう。
逆に、この条件式(3)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系はレンズ位置状態に拘わらず、第3レンズ群が同じような位置に留まり、広角端状態と望遠端状態とにおいて第2レンズ群の横倍率が大きく変化するようになる。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正することができず、充分なる高性能化を図ることが困難になってしまう。
ところで可変焦点距離レンズ系においては、広角端状態と望遠端状態とにおける第2レンズ群の横倍率を適切に設定することにより、小型化や高性能化を図ることが可能であり、特に、条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.35<β2w・β2t<0.6
但し、
β2w :広角端状態における第2レンズ群の横倍率
β2t :望遠端状態における第2レンズ群の横倍率
とする。
この条件式(4)は、第2レンズ群の横倍率を規定するものであり、可変焦点距離レンズ系は、この条件式(4)を満足することにより、所定の光学性能を得ながらレンズ径の小型化を図ることができるようになされている。
この条件式(4)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は、広角端状態において第5レンズ群の位置が大きく像側へ寄った場所に位置して像面に近づき、望遠端状態において像面から離れ、特に広角端状態で画面周縁部に向かう光束が第5レンズ群により強く屈折されてしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、画面周縁部の収差が大きく発生して、所定の光学性能を得ることができなくなってしまう。
逆に、この条件式(4)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は、望遠端状態において第5レンズ群の位置が大きく像側へ寄った場所に位置して像面から離れ、望遠端状態において像面に近づき、レンズ位置状態の変化に伴う射出瞳位置の変化が非常に大きくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、特に望遠端状態において、画面周縁部に向かう光束がオンチップレンズによりケラレてしまうため、一段と周辺光量を増やさざるを得ず、レンズ径の小型化を図ることが困難になってしまう。
ところで可変焦点距離レンズ系では、被写体位置が変化する際、第5レンズ群を光軸方向へ移動させることが望ましく、条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.45<β5t<0.7
但し、
β5t :望遠端状態における第5レンズ群の横倍率
とする。
この可変焦点距離レンズ系では、フォーカス調整用に用いられる第5レンズ群がレンズ系の最も像側に配置されているため、当該第5レンズ群を介して軸上光束と軸外光束とが離れて通過する。これにより可変焦点距離レンズ系では、被写体位置が変化する際、第5レンズ群を移動させたときに生じる軸外収差の変動を補正し易く、被写体距離に拘わらず高い光学性能を得ることができる。
ここで、この条件式(5)は、望遠端状態における第5レンズ群の横倍率を規定するものである。条件式(5)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は被写体位置の変化に伴う第5レンズ群の移動量が大きくなる。
このため可変焦点距離レンズ系では、所定の被写体に対する第5レンズ群のレンズ移動量が大きくなり、その仕事量も大きくなってしまう。その結果、可変焦点距離レンズ系では、動作スピードが早くならず、ユーザに違和感を与えたり、或は駆動系が大型化して鏡筒サイズの大型化を引き起こしてしまう。
一方、条件式(5)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態において第1レンズ群乃至第4レンズ群の合成屈折力が弱まるため、望遠端状態におけるレンズ全長が長くなって大型化してしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、望遠端状態におけるレンズ全長を一段と短縮化するため、条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.3<f1/ft<0.5
但し、
f1 :第1レンズ群の焦点距離
とする。
この条件式(6)は、第1レンズ群の焦点距離を規定するものである。この条件式(6)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態におけるレンズ全長が短縮できず、更なる小型化を図ることが出来なくなってしまう。
逆に、条件式(6)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は望遠端状態において、第1レンズ群を通過する軸外光束が光軸から離れてレンズ系全体の大型化を引き起こしてしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴う第1レンズ群の移動量を適切に設定することにより、レンズ径の小型化と高性能化とを両立し、更なる高性能化を図ることができ、このとき条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.03<Δ1/ft<0.2
但し、
Δ1 :広角端状態と望遠端状態とにおける第1レンズ群の変化量(像面から物体側へ向かう方向を正とする)
とする。
この条件式(7)は、レンズ位置状態の変化に伴う第1レンズ群の移動量を規定するものである。ここで条件式(7)の分母であるftは、ズーム比(ft/fw)をZとしたとき、ft=fw・Zとして表記することができる。そして、この条件式(7)では、分母のftをfw・Zに置き換え、そのfwを無次元化(正規化)することによって、Δ1/Zを規定するものであるともいえる。
この条件式(7)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系は広角端状態におけるレンズ全長が短くなり、第2レンズ群の負の屈折力が強まると同時に、第1レンズ群及び第2レンズ群を通過する軸外光束が光軸に近づくことになる。その結果、可変焦点距離レンズ系では、レンズ位置状態の変化に伴って発生する軸外収差の変動を良好に補正することが困難になってしまう。
逆に、この条件式(7)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は広角端状態におけるレンズ全長が長くなる。このとき可変焦点距離レンズ系では、広角端状態におけるレンズ全長が長くなると、沈胴状態から広角端状態までの第1レンズ群の移動量が大きくなって、沈胴状態から広角端状態へ遷移するまでに必要な鏡筒の回転量が増えると共に、広角端状態から望遠端状態までの回転角度が小さくなってしまう。
その結果、可変焦点距離レンズ系では、各レンズ群を移動させるカムの傾斜角度が大きくなり過ぎてしまって、鏡筒を構成することができなくなってしまう。可変焦点距離レンズ系では、鏡筒径を広げることによってカムの傾斜角度を小さくすることも可能であるが、鏡筒径が大型化して携行時のカメラサイズが大型化してしまう。
さらに可変焦点距離レンズ系では、非常に高いズーム倍率であっても、望遠端状態におけるレンズ全長を短縮して小型化するため、条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.7<TLt/ft<0.9
但し、
TLt :望遠端状態におけるレンズ全長
とする。
この条件式(8)は、望遠端状態におけるレンズ全長を規定するものである。この条件式(8)の上限値を上回った場合、可変焦点距離レンズ系はカメラサイズが大型化して携行性を損ねてしまうため、本発明の趣旨に反してしまう。これは、望遠端状態におけるレンズ全長が長くなってしまうことに起因し、本発明のズームタイプによる小型化を図る効果が失われてしまうからである。
逆に、この条件式(8)の下限値を下回った場合、可変焦点距離レンズ系は製造時に安定した光学性能が得られなくなってしまう。これは、望遠端状態におけるレンズ全長が極端に短くなることに起因し、製造時に発生する微小なる偏芯によっても光学性能が異著しく低下してしまうからである。
なお、本発明の可変焦点距離レンズ系では、高い光学性能と小型化との両立を図るため、各レンズ群を下記のように構成することが望ましい。
可変焦点距離レンズ系においては、更なる高性能化を図るため、第1レンズ群が物体側から順に、負レンズ及び正レンズによる接合レンズと、その像側に配置される2枚の正レンズとによって構成されることが望ましい。
第1レンズ群は特に望遠端状態において軸上光束が広い光束径で入射するため、負の球面収差が発生し易い。また第1レンズ群は軸外光束が光軸から離れて入射するため、軸外収差の発生が起こりやすい。
この可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群の最も物体側に負レンズ及び正レンズによる接合レンズを配置することにより、負の球面収差、及び、軸上色収差を良好に補正するようになされている。
なお可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群における接合レンズの像側に配置された2枚の正レンズが主に画角の変化に伴うコマ収差の変動を良好に補正しており、各レンズの機能を分けることにより、一段と高い光学性能を実現し得るようになされている。
因みに、可変焦点距離レンズ系では、更なる高性能化を図るために、第1レンズ群中の接合レンズを負レンズと正レンズとの2枚に分離された状態で構成することが望ましい。
また可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群において発生する諸収差を良好に補正し、一段と高い光学性能を得るために、当該第2レンズ群を第1部分群と第2部分群との2つの部分群により構成することが望ましい。
具体的に、第1部分群は像側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズで構成され、広角端状態では開口絞りから離れて配置されるため、画角の変化により通過する光線の高さが大きく変化し、その結果、軸外収差の補正に適している。
第2部分群は、少なくとも1枚の負レンズと1枚の正レンズとでなり、物体側から順に、両凹形状の負レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズとにより構成される。第2部分群では、この正レンズと負レンズとは接合レンズとすることにより構成の簡素化を図る、或は、その正レンズを正レンズと負レンズとの接合レンズによって構成することにより、更なる高性能化を図ることも可能である。
また第2部分群は、開口絞りの近くに配置されることから、主に、軸上収差を補正するようになされており、そのためタブレット構成かトリプレット構成とすることが望ましい。
この可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群を上述したような第1部分群と第2部分群との2つの部分群により構成することにより、収差補正上の役割分担を明確化して、良好なる結像性能を得るようになされている。
可変焦点距離レンズ系の第3レンズ群は、最も物体側に、物体側に凸面を向けた正レンズを配置することが望ましい。これにより可変焦点距離レンズ系は、レンズ全長の短縮化を図ることができる。
特に、第3レンズ群では、物体側から順に、第1正レンズ、負レンズ、第2正レンズの3枚を並べた、所謂トリプレット構成とすることにより、当該第3レンズ群の位置状態に拘わらず、高い光学性能を得ることができる。
また第3レンズ群では、第1正レンズと負レンズとを接合化することにより、当該第3レンズ群を2つのレンズブロックにより構成し得、その結果、製造時にも安定した光学性能を得ることができる。なお、第3レンズ群における最も物体側のレンズ面を非球面形状とすることにより、強い屈折力であっても、負の球面収差を良好に補正することが可能となる。
可変焦点距離レンズ系の第4レンズ群は、物体側から順に、第1負レンズ、正レンズ、第2負レンズの3枚を並べたトリプレット構成とすることが望ましい。その結果、可変焦点距離レンズ系では、第4レンズ群単独で発生する軸上収差と軸外収差とを補正することができるので、レンズ位置状態に拘わらず、更なる高性能化を図ることができる。
可変焦点距離レンズ系の第5レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正レンズ、像側に凹面を向けた負レンズによるタブレット構成とすることが望ましい。これにより可変焦点距離レンズ系では、軸外収差と軸上収差とを同時に補正することが可能となり、被写体位置が変化した際に発生する諸収差の変動を良好に補正し得るようになされている。因みに、第5レンズ群は、分散の比較的少ないガラスであれば、1枚で構成することも可能である。
また可変焦点距離レンズ系では、色収差の変動を一段と良好に抑えるため、第1レンズ群に異常分散性の高い硝材を用いることが望ましい。特に可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群を構成している接合レンズ中の正レンズを異常分散性の高い硝材とすることにより、望遠端状態で画面中心部において発生する2次分散を良好に補正し得るようになされている。
さらに可変焦点距離レンズ系では、第1レンズ群乃至第5レンズ群に関して非球面レンズを用いることにより、一段と高い光学性能を実現することが出来る。特に可変焦点距離レンズ系では、第2レンズ群に非球面レンズを用いることにより、広角端状態において発生する画角によるコマ収差の変動を良好に補正することも可能となる。なお可変焦点距離レンズ系では、複数の非球面を1つの光学系に用いることにより一段と高い光学性能が得られることは言うまでもない。
さらに可変焦点距離レンズ系においては、レンズ系を構成する第1レンズ群乃至第5レンズ群のうち、1つのレンズ群、若しくは、1つのレンズ群のうちの一部のレンズ成分を光軸にほぼ垂直な方向へシフトさせることにより、像面に対する像位置をシフトさせ得るようになされている。特に、可変焦点距離レンズ系においては、第3レンズ群を光軸にほぼ垂直な方向へシフトさせるようになされており、このとき収差変化が少なくすることができる。
実際上、このような像位置をシフト可能な可変焦点距離レンズ系では、カメラの倒れをブレ角度として検出することにより手ブレ情報を得る検出系、その手ブレ情報に基づいて手ブレを補正するのに必要なレンズ位置情報を算出する演算系、そのレンズ位置情報に従って1つのレンズをシフトさせる駆動系と組み合わせることが可能である。
これにより可変焦点距離レンズ系では、シャッターレリーズ時に発生する手ブレ等による像ブレをレンズシフトによって相殺又は緩和させる防振カメラとして機能させることができる。
なお可変焦点距離レンズ系では、レンズ系の像側に所謂モアレ縞の発生を防ぐためにローパスフィルタを配置したり、受光素子の分光感度特性に応じて赤外カットフィルタを配置することも勿論可能である。
[3−2.デジタルスチルカメラの構成]
図20に示すように、上述した撮像装置を搭載するデジタルスチルカメラ100は、撮像装置として撮像機能を担うカメラブロック15と、当該カメラブロック15により撮像された画像信号に対してアナログデジタル変換処理等の信号処理を行うカメラ信号処理部20とを有する。
またデジタルスチルカメラ100は、画像信号の記録再生処理等を行う画像処理部30と、撮影された画像等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)40と、メモリーカード51への書込/読出を行うリーダライタ50とを有する。
更に加えてデジタルスチルカメラ100は、当該カメラ全体を制御するCPU(Central Processing Unit)60と、ユーザによる操作入力のための入力部70と、カメラブロック15内のレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部80とを有するようになされている。
カメラブロック15は、可変焦点距離レンズ系1(又は11、12、13)を含む光学系と、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等でなる撮像素子16とが組み合わされた構成を有している。
カメラ信号処理部20は、撮像素子16からの出力信号に対するデジタル信号への変換処理、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換処理等の信号処理を行うようになされている。
画像処理部30は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や、解像度等のデータ仕様の変換処理等を行うようになされている。
メモリーカード51は、着脱自在な半導体メモリから構成されている。リーダライタ50は、画像処理部30によって符号化された画像データをメモリーカード51に書き込み、またメモリーカード51に記録された画像データを読み出すようになされている。
CPU60は、デジタルスチルカメラ100内の各回路ブロックを統括的に制御するようになされており、入力部70からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御するようになされている。
入力部70は、例えば、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等により構成され、ユーザによる操作に応じた指示入力信号をCPU60へ出力する。
レンズ駆動制御部80は、CPU60からの制御信号に基づいて、可変焦点距離レンズ系1(又は11、12、13)内のレンズを駆動する図示しないモータ等を制御するようになされている。
次に、デジタルスチルカメラ100の動作を簡単に説明する。デジタルスチルカメラ100では、撮影の待機状態のとき、CPU60による制御の下で、カメラブロック15により撮像された画像信号をカメラ信号処理部20を介してLCD40へ出力し、カメラスルー画像として表示するようになされている。
またデジタルスチルカメラ100は、入力部70からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU60がレンズ駆動制御部80に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部80の制御に基づいて可変焦点距離レンズ系1内の所定のレンズを移動する。
そしてデジタルスチルカメラ100は、入力部70からの指示入力信号によりカメラブロック15の図示しないシャッタが切られると、撮像された画像信号をカメラ信号処理部20から画像処理部30へ出力する。
画像処理部30では、カメラ信号処理部20から供給された画像信号に対して所定の圧縮符号化した後、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換し、これをリーダライタ50を介してメモリーカード51に書込むようになされている。
なおフォーカシングは、例えばシャッタレリーズボタンが半押し、或は記録のために全押しされた場合に、CPU60からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部80が可変焦点距離レンズ系1(又は11、12、13)を駆動制御することにより行われる。
またメモリーカード51に記録された画像データを再生する場合、CPU60が入力部70に対する操作に応じてリーダライタ50によりメモリーカード51から画像データを読み出し、画像処理部30により伸張復号化処理した後、これをLCD40へ出力する。
LCD40では、画像処理部30により伸張復号化処理された画像データに基づいて再生画像を表示するようになされている。
因みに、この実施の形態では、本発明の撮像装置をデジタルスチルカメラに適用するようにした場合について説明したが、例えば、デジタルビデオカメラといった他の撮像装置等に適用することも可能である。
<4.他の実施の形態>
その他、上述した実施の形態及び第1数値実施例乃至第3数値実施例において示した各部の具体的な形状や構造並びに数値は、本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって、本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
また上述の実施の形態においては、各レンズ群のレンズ径を小型化して、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好に補正するため、開口絞りSを第3レンズ群G3近傍で、当該第3レンズ群G3よりも物体側に配置するようにした場合について述べた。
しかしながら、本発明はこれに限らず、開口絞りSを第3レンズ群G3近傍で、当該第3レンズ群G3よりも像側に配置するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、開口絞りが第3レンズ群の近傍の物体側に配置され、第3レンズ群と一体的に移動するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、開口絞りを第3レンズ群とは別に駆動することにより別体的に移動するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、撮像装置を例えばデジタルスチルカメラ100に搭載する場合を一例として示したが、撮像装置を搭載する対象としては、これに限られるものではなく、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、カメラが搭載されたパーソナルコンピュータ、カメラが組み込まれたPDA等のその他種々の電子機器に広く適用することができる。
1、11、12、13……可変焦点距離レンズ系、16……撮像素子、15……カメラブロック、30……画像処理部、40……LCD、50……リーダライタ、51……メモリーカード、60……CPU、70……入力部、80……レンズ駆動制御部。

Claims (7)

  1. 物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、上記第1レンズ群と上記第2レンズ群との空気間隔が増大し、上記第2レンズ群と上記第3レンズ群との空気間隔が減少し、上記第3レンズ群と上記第4レンズ群との空気間隔が増大し、上記第4レンズ群と上記第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、上記第2レンズ群は像側へ移動し、上記第3レンズ群は物体側へ移動し、上記第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが上記第3レンズ群の近傍に配置され、
    以下の条件式(1)乃至(3)を満足するように構成された可変焦点距離レンズ系。
    (1)0.95<f13T/ft<1.4
    (2)0.08<f2/f4<0.3
    (3)0.06<Δ3/ft<0.22
    但し、
    f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
    ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
    f2 :第2レンズ群の焦点距離
    f4 :第4レンズ群の焦点距離
    Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
    とする。
  2. 上記可変焦点距離レンズ系において、
    以下の条件式(4)を満足する
    請求項1に記載の可変焦点距離レンズ系。
    (4)0.35<β2w・β2t<0.6
    但し、
    β2w :広角端状態における第2レンズ群の横倍率
    β2t :望遠端状態における第2レンズ群の横倍率
    とする。
  3. 上記可変焦点距離レンズ系において、
    被写体位置が変化する際に上記第5レンズ群が光軸方向へ移動して、以下の条件式(5)を満足する
    請求項1乃至2に記載の可変焦点距離レンズ系。
    (5)0.45<β5t<0.7
    但し、
    β5t :望遠端状態における第5レンズ群の横倍率
    とする。
  4. 上記可変焦点距離レンズ系において、以下の条件式(6)を満足する
    請求項1乃至3に記載の可変焦点距離レンズ系。
    (6)0.3<f1/ft<0.5
    但し、
    f1 :第1レンズ群の焦点距離
    とする。
  5. 上記可変焦点距離レンズ系において、以下の条件式(7)を満足する
    請求項4に記載の可変焦点距離レンズ系。
    (7)0.03<Δ1/ft<0.2
    但し、
    Δ1 :広角端状態と望遠端状態とにおける第1レンズ群の変化量(像面から物体側へ向かう方向を正とする)
    とする。
  6. 上記可変焦点距離レンズ系において、以下の条件式(8)を満足する
    請求項1乃至5に記載の可変焦点距離レンズ系。
    (8)0.7<TLt/ft<0.9
    但し、
    TLt :望遠端状態におけるレンズ全長
    とする。
  7. 可変焦点距離レンズ系と、当該可変焦点距離レンズ系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを具え、
    上記可変焦点距離レンズ系は、
    物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群、負屈折力を有する第2レンズ群、正屈折力を有する第3レンズ群、負屈折力を有する第4レンズ群、正屈折力を有する第5レンズ群を配置し、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際、上記第1レンズ群と上記第2レンズ群との空気間隔が増大し、上記第2レンズ群と上記第3レンズ群との空気間隔が減少し、上記第3レンズ群と上記第4レンズ群との空気間隔が増大し、上記第4レンズ群と上記第5レンズ群との空気間隔が変化するように各レンズ群が移動して、上記第2レンズ群は像側へ移動し、上記第3レンズ群は物体側へ移動し、上記第1レンズ群が広角端状態に比べて望遠端状態で物体側に位置すると共に、開口絞りが上記第3レンズ群の近傍に配置され、
    以下の条件式(1)乃至(3)を満足するように構成された撮像装置。
    (1)0.95<f13T/ft<1.4
    (2)0.08<f2/f4<0.3
    (3)0.06<Δ3/ft<0.22
    但し、
    f13T:望遠端状態における第1レンズ群乃至第3レンズ群の合成焦点距離
    ft :望遠端状態におけるレンズ系全体の焦点距離
    f2 :第2レンズ群の焦点距離
    f4 :第4レンズ群の焦点距離
    Δ3 :広角端状態から望遠端状態までの第3レンズ群の移動量
    とする。
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