JP2011090094A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続通紙時の初期における明部電位変動を減少させることにより、濃度変動の少ない安定した画像が得られる電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】硬化性材料を含有する塗料を被塗布体に塗布する塗布工程、該被塗布体上に形成された塗布膜を硬化する硬化工程、および該硬化工程後に該塗布膜を加熱する加熱工程を経て製造される電子写真感光体の製造方法において、該硬化工程と該加熱工程との間に該塗布膜を粗面化する粗面化工程を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、コピー機やレーザープリンタ等に使用される電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、生産性が高く、安価に作成できる有機光導電性物質を用いた電子写真感光体が広く用いられるようになってきた。特に、有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と、光導電性ポリマーや低分子の電荷輸送材料を含有した電荷輸送層を積層した機能分離型感光体の開発により、従来の有機電子写真感光体の課題とされていた感度や、耐久性に改善がなされてきており、これが電子写真感光体の主流となってきている。
一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性等を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナーによる現像、被転写体への転写、残トナーのクリーニングの如く、電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が求められる。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、転写効率や滑り性の低下、更には感度劣化、帯電能の低下、電気特性の劣化に対する耐久性が要求される。
一般に、有機電子写真感光体の構成は薄い樹脂層であり、樹脂材料の特性が重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが実用化されているが、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではない。特に感光体の高耐久化を図る上では、前記樹脂の被膜強度は十分に高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の摩耗が起こるという課題があった。
更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対する要求から、感光体に対して電荷輸送材料のような低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量物質の可塑剤的な作用により、膜強度が低下し、一層繰り返し使用時の表面層の摩耗が課題となっている。また電子写真感光体を長期にわたって保存する際に、前述の低分子量成分が析出してしまい、相分離するといった課題も発生している。
これらの課題を解決する手段として、硬化性樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが提案されている(特許文献1参照)。電荷輸送層用の樹脂に硬化性樹脂を用い電荷輸送層を硬化、架橋することによって、機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性は大きく向上する。しかしながら、硬化性樹脂を用いても、低分子量成分はあくまでも結着樹脂中において可塑剤として作用するので、先に述べたような析出や層分離の課題は根本的な解決にはなっていない。また、有機電荷輸送物質と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては、電荷輸送能は樹脂に対する依存度が大きく、例えば耐削れ性を高めるために硬度が十分に高い硬化性樹脂を用いた場合では電荷輸送能が十分ではなく、繰り返し使用時に残留電位の上昇が見られる等、両者を満足させるまでには至っていない。
一方、電荷移動層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷移動材の炭素−炭素二重結合と熱あるいは光のエネルギーによって反応させて電荷移動層硬化膜を形成した電子写真感光体が開示されている(特許文献2及び特許文献3参照)。しかし、電荷移動材はポリマー主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除出来ないため機械的強度が十分ではない。
また電荷移動能の向上のために電荷移動材の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり十分な機械的強度を確保することが出来ない。更には重合時に必要とされる開始剤類の電子写真特性への影響も懸念される。
また、別の解決手段として、熱可塑性高分子主鎖中に電荷輸送能を有する基を導入し電荷輸送層を形成させた電子写真感光体が開示されている(特許文献4参照)。従来の分子分散型の電荷輸送層と比較して、析出や層分離に対しては効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性樹脂であり、その機械的強度には限界があり、樹脂の溶解性等を含めたハンドリングや生産性の面で十分であるとは言い難い。
また、高い機械的強度と電荷輸送能の両立を達成するために、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を電子線照射により重合、硬化させることにより形成された表面層を有する感光体が開示されている(特許文献5参照)。
しかしながら、電子線照射により形成された表面層は電荷輸送機能が硬化により阻害され、感度において不具合を発生する課題が生じている。例としては、電子写真装置で連続通紙を行なった際、初期数十枚での明部電位変動が著しく、初期数十枚で数十ボルトも変動するといった現象が発生し、その結果、初期数十枚のコピー画像において濃度変化が発生するといった課題があった。これは耐久による変動と異なり、画像形成後短い時間で略回復するために、小部数のコピーを繰り返すごとに濃度変化を起こすといった課題があった。
特開平2−127652号公報 特開平5−216249号公報 特開平7−72640号公報 特開平8−248649号公報 特開2005−049579号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、常に安定した電子写真特性、非常に優れた耐久性を有する電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
更に本発明は、連続通紙時の初期における明部電位変動を減少させることにより、濃度変動の少ない安定した画像が得られる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性材料を含有する塗料を被塗布体に塗布する塗布工程と、該被塗布体上に形成された塗布膜を硬化する硬化工程と、該硬化工程後に該塗布膜を加熱する加熱工程の少なくとも三つの工程を経て製造される電子写真感光体の製造方法において、該硬化工程と該加熱工程の間に該塗布膜を粗面化する粗面化工程を行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、連続通紙時の初期における明部電位変動を減少させることにより、初期数十枚のコピー画像において発生する濃度変化を抑制し、濃度変動の少ない安定した画像が得られる電子写真感光体の製造方法を提供する。
本発明の粗面化手段の一例を示す概略図である。 本発明の粗面化手段の一例を示す概略図である。 本発明に係る電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、電子写真感光体の表面層の製造工程を有する。
本発明に係る電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する。
本発明においては、電荷輸送層上に硬化性材料を用いた表面層を形成する。表面層は以下4つの工程を行うことで、形成することが可能である。
・ 硬化性材料を含有する塗料を被塗布体に塗布する塗布工程
・ 該被塗布体上に形成された塗布膜を硬化する硬化工程
・ 該硬化された塗布膜を粗面化する粗面化工程
・ 該粗面化された塗布膜を加熱する加熱工程
従来の表面層の形成方法は、高い機械的強度と画像流れを防止するために、硬化性材料を含有する塗料を被塗布体上に塗布→硬化→加熱後に粗面化を行っている。検討を行った結果、硬化性材料を含有する塗料を被塗布体上に塗布→硬化→粗面化→加熱の順序で表面層を作製することにより、今まで課題とされていた初期の明部電位変動を良化することが可能となった。すなわち、電子写真装置で連続通紙を行なった際、初期数十枚で数十ボルトも明部電位が変動するといった現象を抑制し、その結果、初期数十枚のコピー画像においての濃度変化を抑えることが可能となった。これは、塗布膜を硬化後、加熱を行う前に粗面化を行うことにより、塗布膜が完全に硬化してしまう前に、電子写真感光体の表面層の表面積を増大させ、その後加熱を行うことにより、増えた表面積から塗布膜外部への塗布膜内部に含有されている不純物の脱離が促進されたため、電子写真特性を阻害する因子を除去することができたからではないかと推察している。このため、表面層中の電荷が移動しやすくなるために、キャリアトラップの影響が小さく、連続通紙時の初期の明部電位変動を減少することが可能となり、濃度変動の少ない安定した画像が得られると推測している。ここでいう不純物とは、硬化性材料である正孔輸送性化合物中に微量含有されている不純物により、硬化が抑制されて発生した未反応モノマーのことである。
表面層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両方であるので、塗布工程で用いられる硬化性材料を含有する塗料としては、電荷輸送材料及び重合性或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物を用いることができる。重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の材料が挙げられる。得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましく、さらには正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。
前記電荷輸送材料及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーとを含有する溶液を塗布後、重合硬化反応させる。これらの溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法があるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。
前記塗布工程で塗布された硬化性材料を含有する塗料は、放射線により重合硬化させることが可能であり、特に電子線で重合硬化させることが好ましい。放射線による重合硬化の最大の利点は、重合開始剤を必要とせず、これによる電子写真特性への影響を排除することができる点である。また、短時間で効率的な重合硬化反応であるがゆえに生産性も高く、さらには放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤などの遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいことが挙げられる。ただし、電荷輸送性を有する中心骨格の種類によっては重合硬化反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。この際使用する放射線とは電子線及びγ線である。電子線を使用する場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型が使用出来る。電子線を使用する場合に、本発明の電子写真感光体においては電気特性及び耐久性能を発現させる上で使用条件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は100kV以下が好ましく、最適には80kV以下である。また電子線の照射線量は1×10〜1×10Gyが好ましく、更に好ましくは1×10〜5×10Gyの範囲である。電子線の加速電圧が100kVを越えると電子写真感光体特性のダメージが増加する傾向にある。また、電子線の照射線量が1×10Gyよりも少ない場合には硬化が不十分となりやすく、照射線量が1×10Gyを超える場合には電気特性の劣化がおこりやすいので注意が必要である。
硬化が不十分な場合は、耐摩耗性の劣化となり、電気特性の劣化は、例えば、電子写真装置で連続通紙を行った時に、画像濃度の低下となって発現される。
照射時の雰囲気は、大気中、窒素およびヘリウムのような不活性ガス中、真空中のいずれでも構わないが、酸素によるラジカルの失活を抑制することができるため、不活性ガス中あるいは真空中が好ましい。
次に、粗面化工程として、電子写真感光体の表面を物理的に研磨することによって、表面形状をコントロールする方法を具体的に挙げる。
本発明の電子写真感光体の製造に用いる粗面化手段として、研磨シートを含む研磨機の一例を図1に示す。研磨シートは、基材上に研磨砥粒が結着樹脂に分散された層が設けられたシートである。研磨シート11は中空の軸αに巻かれており、軸αにシートが送られる方向と逆方向に、研磨シート11に張力が与えられるようモータ(不図示)が配置されている。研磨シート11は矢印方向に送られ、ガイドローラ12−1、12−2を介してバックアップローラ13を通り、研磨後のシートはガイドローラ12−3、12−4を介してモータ(不図示)により巻き取り手段15に巻き取られる。研磨は、基本的に未使用の研磨シート11が電子写真感光体表面に常時圧接され、電子写真感光体表面を粗面化することで行われる。研磨シート11は基本的には絶縁性であるので、シートの接する部位はアースに接地されたもの、又は導電性を有するものを用いることが好ましい。
研磨シート11の送りスピードは10mm/min以上500mm/min以下の範囲が好ましい。送り量が少なければ電子写真感光体表面を研磨した研磨シートが再度電子写真感光体表面に接触することとなり、電子写真感光体表面への深傷の発生、表面溝のムラ、研磨シート表面の結着樹脂の付着等を生じる場合があり好ましくない。
電子写真感光体14は、研磨シート11を介してバックアップローラ13と対向した位置に置かれる。この際、研磨シート11の基材側からバックアップローラ13が所望の設定値でバックアップローラ13に所定時間押し当てられ、電子写真感光体表面が粗面化される。電子写真感光体の回転方向は、研磨シート11の送られる方向と同一、対向、又は研磨途中で回転方向を変更してもよい。
バックアップローラの電子写真感光体に対する押し当て圧は、研磨砥粒の種類及び粒径、研磨シートに分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの基材厚、砥粒シートの結着樹脂膜厚、バックアップローラ13の硬度、電子写真感光体の表面を構成する表面層の硬度により最適値は異なる。そして、0.005N/m以上15N/m以下の範囲であれば、本発明における3次元表面粗さの算術平均粗さSaを満たす電子写真感光体表面形状が達成される。なお、本発明における電子写真感光体表面形状は、例えば粗面化手段として研磨シートを用いる場合は、研磨シートの送りスピード、パックアップローラの押し当て圧、研磨砥粒の粒径、形状、研磨シート11に分散される研磨砥粒の番手、研磨シート11の結着樹脂膜厚、基材厚等を適宜選択することにより調整できる。
研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化珪素、炭化タングステン、チタンカーバイト及び酸化珪素が挙げられる。研磨砥粒の平均粒径は好ましくは0.01μm以上50μm以下であり、より好ましくは1μm以上15μm以下である。粒径が小さいと、本発明において好適な表面形状が得られない。
研磨シートの結着樹脂に分散される研磨砥粒の番手は研磨砥粒の粒径と相関があり、番手数が小さい方が研磨砥粒の平均粒径が大きく、そのため、電子写真感光体表面に傷を生じさせることとなる。本発明において研磨シートに分散される研磨砥粒の番手の範囲は、500以上6000以下が好ましく、より好ましくは1500以上4000以下が好ましい。
本発明において、研磨シートとしては、例えば、以下に挙げる市販のものを用いることができる。
レフライト(株)製 MAXIMA、MAXIMA Tタイプ
(株)KOVAX製 ラピカ
住友3M(株)製 マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム
三共理化学(株)製 ミラーフィルム、ラップングフィルム
日本ミクロコーティング(株)製 ミポックス
また、本発明においては、所望の形状の電子写真感光体表面が得られるように、複数回にわたり粗面化工程を行うことも可能である。その際は、番手の粗い研磨砥粒が分散される研磨シートから番手の細かい研磨砥粒が分散される研磨シート、また逆に番手の細かい研磨砥粒が分散される研磨シートから番手の粗い研磨砥粒が分散される研磨シートの順のどちらから行ってもよい。前者の場合は、電子写真感光体表面に粗い溝の表面に更に細かい溝を重畳させることが可能となり、後者の場合は、研磨溝のムラを低減させることが可能となる。
バックアップローラ13は、電子写真感光体表面に所望の形状を形成させる手段として有効な手段である。研磨シート11の張力のみで研磨することも可能であり、図2のようにバックアップローラ13を介さずに研磨シート11の張力のみで電子写真感光体表面形状を形成させる方法で研磨してもよい。
電子写真感光体の表面層の硬度が高い場合(主に硬化性樹脂を用いた場合)、研磨シートの張力のみでは電子写真感光体表面に接する圧が低いため、本発明が特定する電子写真感光体表面形状を達成できるように、バックアップローラを用いる方が良い。図2に研磨シート11の張力のみで電子写真感光体表面を研磨する場合の一例を示す。図1と異なる点はバックアップローラ13が無く、電子写真感光体14の表面に形成される表面形状の制御は、主に研磨シート11に分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの電子写真感光体14への押し当て圧、研磨時間で決定される。
粗面化後の塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaを0.027μm以上0.1μm以下とすることで、本発明に好適な電子写真感光体表面形状を得ることが可能である。
算術平均粗さSaの値が0.027μmより小さい場合は、感光体表面層の表面積が粗面化する前とほとんど変わらないため、内部に含有されている不純物の脱離が不十分であり、電子写真特性の向上に効果的でない。また、Saの値が0.1μmより大きい場合は、ポチのような画像欠陥が発生してしまうことがある。
次に、粗面化工程で粗面化された塗布膜を加熱工程で加熱を行う。この時、塗布層が加熱により完全に硬化する前に、電子写真感光体表面層の増えた表面積から、内部に含有されている不純物を外部へ脱離することが促進される。このことより、電子写真感光体の電子写真特性が向上することが可能となったと考えられる。
加熱工程での加熱温度は90℃以上130℃以下が好ましい。加熱温度が90℃より低い場合、感光体表面層中の不純物の脱離が低い。また、加熱温度が130℃より高い場合、電荷発生材料が高温により劣化してしまい、電子写真特性が低下しまうこと場合がある。
表面層の膜厚は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることがより好ましい。
以下、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する。
本発明の電子写真感光体を製造する場合、導電性支持体としてはアルミニウム、ステンレスなどの金属や合金、紙、プラスチックが用いられるが、その形状は円筒状シリンダーまたはフィルムが適用される電子写真装置に応じて適宜に選択することができる。また非導電性支持体上に導電層を蒸着法やその他の方法で、別に設けることにより導電性支持体として用いてもよい。
本発明においては導電性支持体の上には、バリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。
下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、基体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ、ゼラチンが挙げられる。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1μm〜2μmが好ましい。
更に、本発明においては、支持体と感光層、あるいは支持体と下引き層の間に、支持体の欠陥の被覆や過干渉光を用いたときに生じる干渉縞の防止を目的として、導電層を設けることも好ましい。導電層としては、導電性粒子を分散した樹脂層を設けることができ、膜厚は5μm以上30μm以下であることが好ましい。
本発明において電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε、X型の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アンスアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及びアモルファスシリコンが挙げられる。
電荷発生層は前記の電荷発生物質を質量比で0.3〜4倍量の結着剤樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルを用いてよく分散し、分散液を塗布、乾燥して形成されるか、または前記電荷発生物質の蒸着膜や、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下、特に0.1μm〜2μmの範囲であることが好ましい。
前記結着樹脂としては、例えばスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンのようなビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。前記溶剤には、公知の各種有機溶剤が用いられる。
本発明において電荷輸送層に用いる電荷輸送物質としては以下のものがあげられる。
電荷輸送物質は電子輸送物質と正孔輸送物質に大別される。電子輸送物質としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタンのような電子吸引性物質やこれらの電子吸引性物質を高分子化したものが挙げられる。
正孔輸送物質としては、ピレン及びアントラセンのような多環芳香族化合物;カルバゾール系、インドール系、イミダゾール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系及びトリアゾール系化合物のような複素環化合物;p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン及びN,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾールのようなヒドラゾン系化合物;α−フェニル−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン及び5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,b]シクロヘプテンのようなスチリル系化合物;ベンジジン系化合物;トリアリールメタン系化合物;トリフェニルアミン系化合物;及び、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセン)が挙げられる。
これらの有機電荷輸送物質の他にアモルファスシリコン及び硫化カドミウムのような無機材料も用いることができる。また、これらの電荷輸送物質は単独で用いても二種以上組み合わせても良く、また本発明は上記化合物に限定されるものでなく、上記以外の化合物を使用することも可能である。
電荷輸送層は前記電荷輸送物質と一般的な成膜性のある樹脂、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂を溶媒に溶解することによって得られた溶解液を塗布、乾燥し形成することが好ましい。
電荷輸送層の電荷輸送物質と結着剤樹脂との混合割合、溶媒、またこの溶解液を塗布する方法などについて述べる。
電荷輸送物質と結着剤樹脂との混合割合は質量比で2:1〜1:4程度が好ましく、またその溶媒としてはトルエン、キシレン及びモノクロルベンゼンのような芳香族系溶媒のほか、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランのようなエーテル類、溶質によってはケトン類、飽和炭化水素類も使用可能である。
この溶解液を塗布する方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法が挙げられる。電子写真感光体を効率よく大量生産するには浸漬コーティング法が最良であり、本発明においても浸漬コーティングは好ましい方法である。電荷輸送層塗布後は加熱乾燥を行い電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
表面層については前述したとおりである。
本発明の電子写真感光体の各層には必要に応じて各種添加剤を添加することができる。該添加剤とは酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤やハロゲン化合物のような劣化防止剤や、テトラフルオロエチレン樹脂及びフッ化カーボンのような潤滑剤、単官能あるいは多官能の連鎖重合性官能基を有する重合性モノマー等の硬化性付与剤、熱可塑性樹脂、公知の電荷輸送化合物及び公知の電荷発生物質が挙げられる。
図3に、本発明に係る電子写真感光体を組み入れた電子写真装置の一例の概略構成を示す。図3において、1は電子写真感光体、2は軸、3は帯電手段、4は露光光、5は現像手段、6は転写手段、7は転写材、8は定着手段、9はクリーニング手段、10は前露光光を示す。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版のような電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<実施例1>
直径30mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、以下の成分からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調製した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.6部
(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
このようにして調製した導電層用塗料をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、温度140℃のオーブンで1時間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの樹脂層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した溶液を、上述の樹脂層の上に浸漬塗布し、温度100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.60μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.4°及び28.2°(ブラッグ角2θ±0.2°))に強いピークを有するもの)
下記構造式(1)のカリックスアレーン化合物 0.2部
Figure 2011090094
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
これを浸漬コーティング法で塗布し、温度80℃のオーブンで15分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.170μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をモノクロルベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、温度90℃のオーブンで1時間加熱乾燥することにより、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式(2)の正孔輸送性化合物 120部
Figure 2011090094
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
次に以下の方法で表面層の形成を行った。
塗布工程:
下記式(3)で示される構造を有する化合物(重合性官能基を有する正孔輸送性化合物)30部
Figure 2011090094
を、1−プロパノール35部および1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)35部の混合溶媒に溶解させた後、これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の0.5μmメンブレンフィルターで加圧濾過することによって、表面層用塗布液を調製した。この表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布した後、被塗布体を100℃で5分間保持して溶媒を蒸発させ、形成された塗布膜を風乾させた。
硬化工程:
上記被塗布体に、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で電子線(加速電圧80kV、線量1.5×10Gy)を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(電子線の被照射体)の温度が120℃になる条件で90秒間硬化処理を行い、被塗布体上に形成された塗布膜の硬化を行った。
粗面化工程:
次に図2に示されるような粗面化手段により、以下に示す条件で、上記で硬化された塗布膜の表面の粗面化を行った。
研磨シ−ト:品名:GC#2000(レフライト社(株)製)
研磨砥粒:SiC(平均粒径:7μm)
研磨シート送りスピード:300mm/sec
押し当て圧:7.5N/m
処理時間:120秒
粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.03μmであった。粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは、本発明においては、非接触3次元表面測定機(商品名:マイクロマップ557N、(株)菱化システム製)を用いて測定された。この測定機は、高精度レーザー顕微鏡であり、観察している面内の面粗さを3次元化することができる。以下に、測定方法の具体例を示す。
上記、マイクロマップの光学顕微鏡部に5倍の二光束干渉対物レンズを装着し粗面化後の電子写真感光体をレンズ下に固定し、表面形状画像をWaveモードでCCDカメラを用いて干渉像を垂直走査させて電子写真感光体表面の3次元画像を得た。得られた画像の範囲は1.6mm×1.2mmである。得られた画像を、上記測定機に付随している粒子解析ソフトを用い、処理を行い、3次元表面粗さの算術平均粗さSaを測定した。
また、3次元表面粗さの算術平均粗さSaを導出する計算式は次のとおりである。
3次元表面粗さの算術平均粗さ
Sa=1/Lx・Ly∬|f(x、y)|dx、dy
(Lx:x方向測定長、Ly:y方向測定長)
加熱工程:
上記粗面化された塗布膜を、大気中で110℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱乾燥処理を行うことによって、膜厚が5μmの硬化性材料を用いた表面層を形成した。
上記のように作製した電子写真感光体の評価は、キヤノン製デジタル複写機iR4570(電子写真感光体に接触配置された帯電部材から直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して電子写真感光体を帯電させるAC/DC帯電方式)を下記のように改造した複写機を使用して行なった:感光体を任意のスピードで回転させ、一次帯電、像露光、前露光のみ行えるようにした;クリーニングブレードははずした;一次帯電のAC電圧は、電圧が2000VP−P、周波数は一定に2000Hzに設定した;プロセススピードを180mm/sec〜350mm/secまで任意のスピードで回転可能にした;転写紙を通紙しなくても良いように各種センサーをOFFに、転写帯電をOFFに、そして機内が昇温しないように定着器をOFFにセットした;および像露光光量を任意の光量に調整可能にした。この改造複写機に感光体を装着し、常温低湿下(温度23℃、湿度5%RH)において感光体のプロセススピードを310mm/secになるように設定し、そのときの暗部電位が−700V、明部電位が−200Vになるように一次帯電のDC電圧と像露光量を調整した。ベタ黒をA4コピー紙100枚に連続的にコピーした。1枚目の明部電位と100枚目の明部電位を比較した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は20Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例2>
加熱工程の加熱温度を120℃とした以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は20Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例3>
加熱工程の加熱温度を130℃とした以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は25Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例4>
加熱工程の加熱温度を135℃とした以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は40Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、安定した電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例5>
加熱工程の加熱温度を90℃とした以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例6>
加熱工程の加熱温度を80℃とした以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は40Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、安定した電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例7>
粗面化工程のバックアップローラの押し当て圧を5N/mとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.029μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は25Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例8>
粗面化工程の研磨シートを以下のものとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.029μmであった。
研磨シ−ト:品名:GC#3000(レフライト社(株)製)
研磨砥粒:SiC(平均粒径:5μm)
作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は25Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例9>
粗面化工程の研磨シート送りスピードを100mm/minとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.027μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例10>
粗面化工程のバックアップローラの押し当て圧を2N/mとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.027μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例11>
粗面化工程の研磨シートを以下のものとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.027μmであった。
研磨シ−ト:品名:GC#4000(レフライト社(株)製)
研磨砥粒:SiC(平均粒径:3μm)
作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例12>
粗面化工程の研磨シート送りスピードを10mm/minとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.025μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は40Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、安定した電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例13>
粗面化工程のバックアップローラの押し当て圧を10N/mとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.05μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は20Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例14>
粗面化工程の研磨シート送りスピードを400mm/minとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.07μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は20Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例15>
粗面化工程の研磨シート送りスピードを400mm/min、バックアップローラの押し当て圧を12N/mとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.09μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は25Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示している。結果は表1に示した。
<実施例16>
粗面化工程の研磨シート送りスピードを500mm/minとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.10μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例17>
粗面化工程のバックアップローラの押し当て圧を15N/mとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.10μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例18>
粗面化工程の研磨シートを以下のものとした以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.10μmであった。
研磨シ−ト:品名:GC#1500(レフライト社(株)製)
研磨砥粒:SiC(平均粒径:9μm)
作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は30Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、非常に安定した良好な電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<実施例19>
粗面化工程の研磨シートをGC#1500(レフライト社(株)製)とし、研磨シート送りスピードを500mm/min、バックアップローラの押し当て圧を15N/mた以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.12μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は40Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が少なく、安定した電子写真特性を示していた。結果は表1に示した。
<比較例1>
表面層作製工程を、塗布工程→硬化工程→粗面化工程とし、加熱工程を行わなかった以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.03μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は60Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が非常に大きく、非常に不安定な電子写真特性を示していた。これは、加熱工程を行わなかったために、塗布膜に含有されていた不純物の脱離が不十分であった。この不純物が、塗布膜中の電荷移動物質による電荷の移動を阻害してしまい不安定な電子写真特性を示したと推測される。結果は表1に示した。
<比較例2>
表面層作製工程を、塗布工程→硬化工程→加熱工程とし、粗面化工程を行わなかった以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、硬化工程後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.01μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は60Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が非常に大きく、非常に不安定な電子写真特性を示していた。これは、粗面化工程を行わなかったために、塗布膜の表面積が増えない状態で加熱を行った。このために、塗布膜内部に含有されている不純物の塗布膜外部への脱離が不十分であった。この不純物が、塗布膜中の電荷移動物質による電荷の移動を阻害してしまい不安定な電子写真特性を示したと推測される。結果は表1に示した。
<比較例3>
表面層作製工程を、塗布工程→硬化工程→加熱工程→粗面化工程とし、加熱工程を粗面化工程の前に行った以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.03μmであったが、硬化工程後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.01μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は60Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が非常に大きく、非常に不安定な電子写真特性を示していた。これは、加熱工程前に粗面化工程を行わなかったために、塗布膜の表面積が増えない状態で加熱を行った。このために、塗布膜内部に含有されている不純物の塗布膜外部への脱離が不十分であった。この不純物が、塗布膜中の電荷移動物質による電荷の移動を阻害してしまい不安定な電子写真特性を示したと推測される。結果は表1に示した。
<比較例4>
表面層作製工程を、塗布工程→硬化工程→加熱工程→粗面化工程→加熱工程とし、加熱工程を粗面化工程の前後に行った以外は実施例1と同様に感光体を作製したところ、硬化工程後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.01μm、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaは0.03μmであった。作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した結果、明部電位変動(1枚目と100枚目の差)は60Vであり、連続通紙時の初期における明部電位変動が非常に大きく、非常に不安定な電子写真特性を示していた。これは、加熱工程前に粗面化工程を行わなかったために、塗布膜の表面積が増えない状態で加熱を行った。このために、塗布膜内部に含有されている不純物の塗布膜外部への脱離が不十分であった。そして、粗面化工程後に再度加熱工程を行っても、塗布膜には不純物が含有されており、この不純物が、塗布膜中の電荷移動物質による電荷の移動を阻害してしまい不安定な電子写真特性を示したと推測される。結果は表1に示した。
Figure 2011090094
1 硬化工程後の塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSa値
2 硬化工程後/粗面化工程後の塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSa値
3 加熱工程/加熱工程時の加熱温度

Claims (5)

  1. 硬化性材料を含有する塗料を被塗布体に塗布する塗布工程と、
    該被塗布体上に形成された塗布膜を硬化する硬化工程と、
    該硬化工程後に該塗布膜を加熱する加熱工程の
    少なくとも三つの工程を経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
    該硬化工程と該加熱工程の間に該塗布膜を粗面化する粗面化工程をおこなうことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記粗面化工程が、基材上に研磨砥粒が分散された層を有する研磨シートを前記塗布膜の表面に圧接することによっておこなわれ、粗面化後の該塗布膜の3次元表面粗さの算術平均粗さSaを0.027μm以上0.1μm以下にすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記加熱工程の加熱温度が、90℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記硬化工程が、前記塗布膜に電子線を照射する事によっておこなわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記硬化性材料が正孔輸送性化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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