JP2011088976A - インクジェット記録用インク組成物の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物の製造方法 Download PDF

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田 基 城 増
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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインクジェット記録用インク組成物が得られる、インク組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】顔料と、顔料を分散させる分散剤と、ポリマーと、水とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物を製造する方法であって、少なくとも顔料と顔料を分散させる分散剤と水とを混合液状態で分散処理に付して顔料分散液を調製し、ポリマーの加熱処理を行い、前記顔料分散液に前記加熱処理されたポリマーを添加する、ことを含む。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、インクジェット記録用インク組成物の製造方法に関し、より詳細には、保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインクジェット記録用インク組成物が得られる、インク組成物の製造方法に関する。
背景技術
インクジェット記録インク用の着色剤として、その耐水性や耐光性等の堅牢性に優れることから、顔料が利用されている。顔料は水への溶解性が劣るため、界面活性剤や高分子等の分散剤をインク中に添加して顔料の分散安定性を向上させている。分散剤としては、疎水性部と親水性部とを併せ持つような樹脂、例えばスチレン−アクリル共重合体樹脂等が一般的に用いられている。
また、インクジェット記録に用いられるインクは、滲みがないこと、乾燥性がよいこと、様々な記録媒体に均一に印字できること、多色系の印字において隣り合う色が混じり合わないことなどの種々の印字品質が求められる。そして、これら印字品質の向上のために、インク中には、通常、種々の添加剤が加えられている。例えば、記録媒体への浸透性を向上させて滲みを低減させるために、インク中に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類を添加したり(米国特許第5,156,675号:特許文献1)、アセチレングリコール系界面活性剤を添加したり(米国特許第5,183,502号:特許文献2)、あるいはその両方を添加することが行われている(米国特許第5,196,056号:特許文献3)。
しかしながら、顔料分散剤が添加されたインクにおいて、上記のような界面活性剤やグリコールエーテル類がインク中に存在すると、顔料から分散樹脂の吸脱着が起こりやすくなり、インクの保存安定性が不十分となる場合があった。また、顔料から脱離した分散剤がインク中に残存すると、インク粘度の上昇を招き、インクの吐出安定性や目詰まり回復性が不十分となる場合があった。
また、従来から、分散樹脂を含む顔料分散体に加熱処理を施すことや塩基性物質を加えて加熱する技術等が開発され、このような加熱処理されて得られた顔料分散液がインク組成物に利用されているが、インク組成物を長期間放置すると粘度が変化し、吐出安定性に影響を及ぼすことがある。特に、顔料を高濃度で用いたインク組成物は、上記の傾向が顕著である。
米国特許第5156675号明細書 米国特許第5183502号明細書 米国特許第5196056号明細書 特開2000−345093号公報 特開2003−64292号公報 特開2003−26972号公報 特開2003−253178号公報 特表2003−535949号公報
本発明者らは、今般、顔料と顔料を分散させる分散剤とを含む顔料分散液中に、熱処理した特定のポリマーを添加することにより、インクの保存安定性が向上し、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインク組成物を製造することができる、との知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
従って本発明の目的は、保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインクジェット記録用インク組成物が得られる、インク組成物の製造方法を提供することである。
そして、本発明による方法は、顔料と、顔料を分散させる分散剤と、ポリマーと、水とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物を製造する方法であって、
少なくとも顔料と顔料を分散させる分散剤と水とを混合液状態で分散処理に付して顔料分散液を調製し、
ポリマーの加熱処理を行い、
前記顔料分散液に前記加熱処理されたポリマーを添加する、ことを含んでなるものである。
本発明によれば、保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインクジェット記録用インク組成物の製造方法を提供することができる。特に、本発明の方法により得られたインク組成物は、顔料含有量が高い場合であっても低粘度を実現できる。
発明の具体的説明
本発明による方法は、(1)少なくとも顔料と顔料を分散させる分散剤と水とを混合液状態で分散処理に付して顔料分散液を調製する工程、(2)ポリマーの加熱処理を行う工程、および(3)前記顔料分散液に前記加熱処理されたポリマーを添加してインク組成物を調製する工程、の3つの工程を含む。以下、各工程について説明する。
<顔料分散液調製工程>
顔料分散液は、少なくとも顔料と顔料を分散させる分散剤と水とを混合し、その混合液を分散処理に付すことにより調製することができる。混合および分散処理は、従来公知の方法を適用することができる。例えば、顔料と分散剤と水とを、適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製することができる。分散処理においては、必要に応じて、有機溶剤を添加して混練してもよい。本工程によって、上記分散剤が顔料の表面にしっかりと定着する。
得られた顔料分散液は、メンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、粗大粒子を除去しておくことが好ましい。
本発明においては、後述するポリマーの加熱処理と同様に、顔料分散液を調製する際に、加熱処理された分散剤を用いることが好ましい。また、顔料分散液を調製した後に、顔料分散剤を加熱処理してもよい。ポリマーだけでなく、分散剤あるいは分散剤を含む顔料分散液を予め加熱処理しておくことにより、より一層、保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインク組成物を製造することができる。
加熱処理は、分散を劣化させないこと、および粘度低下の抑制に対する効率化の観点から、50〜100℃で、2〜72時間行うことが好ましい。例えば、温度60〜80℃(好適には65〜70℃)の条件で加熱する場合には、加熱時間を10〜48時間、特に15〜24時間とすることが好ましい。また、温度80〜100℃(好適には95〜100℃)の条件で加熱する場合には、加熱時間を2〜15時間、特に5〜7時間とすることが好ましい。
<ポリマー加熱処理工程>
本発明においては、顔料分散液を調製した後に、顔料分散液中に加熱処理された特定のポリマーを添加することによりインク組成物を製造するものである。特定のポリマーを加熱処理したものを顔料分散液に添加することにより、保存安定性に優れ、かつ吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるインク組成物を製造することができる。特に、顔料の含有量が高いインク組成物を製造した場合であっても、低粘度を実現でき、吐出安定性や目詰まり回復性に優れるものとすることができる。
ポリマーの加熱処理は、ポリマー自体を劣化させないこと、および粘度低下の抑制に対する効率化の観点から、50〜100℃で、2〜72時間行うことが好ましい。例えば、温度60〜80℃、好ましくは65〜70℃の条件で加熱する場合には、加熱時間を10〜48時間、特に15〜24時間とすることが好ましい。また、80〜100℃、好ましくは95〜100℃の条件で加熱する場合には、加熱時間を2〜15時間、特に5〜7時間とすることが好ましい。
また、ポリマーを水中に分散または溶解させたものを、上記と同様の条件にて加熱処理してもよい。
<ポリマー添加工程>
上記で得られた顔料分散液中に、加熱処理されたポリマーを添加することによりインク組成物を製造する。ポリマーの添加は、加熱処理されたポリマーを水中に分散または溶解させたものを顔料分散液に添加してもよい。また、ポリマーを分散または溶解させた水中には、従来のインク組成物に含まれる添加剤等が含有されていてもよい。
以下、インク組成物を構成する各成分について説明する。
<ポリマー>
顔料分散液に添加されるポリマーは、50質量%以上のベンジルアクリレートと、15質量%以下の(メタ)アクリル酸とが共重合されたものである。ベンジルアクリレートが50質量%以上であることにより、定着性が向上する。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、15質量%以下の(メタ)アクリル酸との重合が好ましいが、15質量%以下であることにより、インクジェットインクの普通紙での発色性が向上する。より好ましい範囲は10質量%以下である。
(メタ)アクリル酸としては、メタクリル酸よりもアクリル酸を用いることが、定着性の観点からより好ましい。また、(メタ)アクリル酸としては、メタクリル酸およびアクリル酸の混合物を用いることがより好ましい。
このポリマーの酸価は、50〜200mgKOH/gの範囲にあることが必要である。50mgKOH/g未満の酸価では分散が不安定になる。さらに、200mgKOH/gを超える酸価では普通紙での発色性が低下してくる。より好ましい酸価は55mgKOH/g〜180mgKOH/gである。なお、本明細書中、酸価とは、ポリマー1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を意味する。ポリマーの酸価は、ポリマーを構成するモノマー成分の比率を調整することにより適宜調整することができる。
また、上記のポリマーは、重量平均分子量が、20,000〜120,000の範囲である必要がある。重量平均分子量が20,000未満であると、インクジェットインクとしての長期保存安定性、熱安定性および定着性が悪化する傾向にあり、120,000を超えると、インクジェットインクとしての粘度が高くなり、分散安定性が悪くなる傾向があり、さらに吐出安定性が低下する傾向がある。重量平均分子量の好ましい範囲は、22,000〜119,000である。
また、本発明においては、ポリマーの重量平均分子量と数平均分子量との比が1〜3の範囲であることが好ましい。この範囲内のポリマーを用いることより、より一層、インク組成物の長期保存安定性および吐出安定性を向上させることができる。より好ましい比は、1.5〜2.6である。なお、本明細書中、重量平均分子量および数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値を示す。
上記のポリマーの重合の方法としては、溶媒として、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、グリコールエーテル系溶媒を用いることができる。しかし、水系の顔料分散であるため、後に前記溶媒は除去可能なものであることが要求される。このような溶媒としては、次のものを用いることができる。即ち、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。また、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。また、グリコールエーテル系溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
ポリマーを重合させるためのラジカル重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物等、過硫酸カリ、過硫酸ソーダなどを用いることができるがそれらに限定されず、ラジカル重合可能なものであれば上述以外の開始剤を用いることもできる。ラジカル重合開始剤の使用量は、重合の際に使用されるモノマーに対し、0.01モル%以上5モル%以下が好ましい。前述の重合の温度は、特に、制約されるものではないが、通常、30〜100℃の範囲であり、好ましくは、40〜90℃の範囲である。重合の温度が余りに低いときは、モノマーの重合に長時間要する必要が生じ、場合によっては重合率が低下して多量のモノマーが残存するおそれがある。
<顔料分散剤>
顔料を分散させるための分散剤としては、従来のインク組成物に一般的に用いられる高分子樹脂を用いることができ、具体的には、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂が挙げられる。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などをあげることができる。
疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸またはアクリル酸のエステルと、を反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン−アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩であってもよい。
これら共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、顔料100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、一層好ましくは10〜35質量部である。
本発明の態様においては、顔料分散剤として、8〜98質量%のシクロヘキシルアクリレートおよび/またはベンジルアクリレートと、1〜31のメタクリル酸と、1〜25のアクリル酸とを主成分として共重合された、10〜200mgKOH/gの酸価を有する樹脂を用いる。このような顔料分散剤と上記ポリマーと組み合わせて用いることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止性の他、吐出安定性、目詰まり防止性、発色安定性や銀塩に匹敵する高画質を実現することができる。
シクロヘキシルアクリレートおよび/またはベンジルアクリレートの含有量としては、インクジェット記録用インクに用いられる顔料、水性媒体等の種類や組み合わせ等により適宜設定できるが、好ましくは30〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%である。
メタクリル酸の含有量としては、好ましくは3〜25質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。アクリル酸の含有量としては、好ましくは2〜23質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
上記の分散樹脂の酸価は、好ましくは20〜150mgKOH/gであり、より好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満であると、顔料分散が困難となり安定性も悪くなり、一方、200mgKOH/gを超えると、親水性が強くなり耐候性や普通紙に対するOD値(光学濃度)が低下する。
上記分散樹脂は、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが20質量%以下で重合されていることが好ましい。好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を併用されてもよい。上記長鎖アルキル基としては、例えば、炭素数10〜18の直鎖状のアルキル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数12〜18のアルキル基である。
また、上記分散樹脂は、さらにアミノ基を有する(メタ)アクリレートが20質量%以下で重合されていることが好ましい。好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、モルフォリノエチルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を併用されてもよい。
また、上記分散樹脂は、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートが20質量%以下で重合されていることが好ましい。好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を併用されてもよい。
また、上記分散樹脂は、重量平均分子量が、5,000〜150,000であることが好ましい。より好ましくは5,000〜100,000である。重量平均分子量が5,000未満であると、インクジェットインクとしての定着性が悪くなる場合があり、一方、150,000を超えると、インクジェットインクとしての粘度が高くなり、さらに安定性が低下するおそれがある。
また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、2〜8であることが好ましいが、例えば、重量平均分子量5,000のものと重量平均分子量100,000のものが併用されてもよく、2種以上のものが併用されてもよい。
上記分散剤の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知方法により行うことができる。例えば、重合させる際のモノマーの添加方法としては、反応初期に一括して仕込んでもよく、少なくとも1つを連続又は断続的に反応系中に添加してもよい。また、重合は、ラジカル重合開始剤および/または触媒の存在下で行なわれることが好ましい。
重合の際に使用される溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、グリコールエーテル系が好ましい。
上記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
上記グリコールエーテル系としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート等の有機過酸化物;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスブチレート、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物等が好ましい。
上記ラジカル重合開始剤の使用量としては、重合の際に使用されるモノマーに対し、0.01モル%以上5モル%以下が好ましい。
上記重合の温度は、特に、制約されるものではないが、通常、30〜100℃の範囲であり、好ましくは、40〜90℃の範囲である。重合の温度が余りに低いときは、モノマーの重合率が低下するおそれがある。
本発明においては、顔料分散剤として、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、又はスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、およびスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂からなる群から選択される共重合体樹脂(以下、単に共重合樹脂という場合がある。)と、ウレタン樹脂とを用いる。このような顔料分散剤と上記ポリマーと組み合わせて用いることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止性の他、吐出安定性、目詰まり防止性、発色安定性や銀塩に匹敵する高画質を実現することができる。
共重合樹脂とウレタン樹脂との重量比は、1/2〜2/1であることが好ましく、1/1.5〜1.5/1であることがより好ましい。この範囲で両樹脂を添加することにより、より一層優れた光沢性、及びブロンズ防止性を有する画像を形成することができるとともに、インクの保存安定性を維持することができる。
上記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸又はアクリル酸のエステルと、を反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン−アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩であってもよい。
上記ウレタン樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、ウレタン結合及び/又はアミド結合と、酸性基と、を有する樹脂であることが好ましい。
ウレタン樹脂とは、ジイソシアネート化合物と、ジオール化合物と、を反応して得られる重合体を含む樹脂である。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらの変性物が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエステル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
前記ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましい。
顔料の固形分と、顔料以外の固形分と、の重量比(前者/後者)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、100/20〜100/80であることが好ましい。
共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、一層好ましくは10〜35質量部である。
ウレタン樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部であり、一層好ましくは10〜35質量部である。
共重合樹脂およびウレタン樹脂の合計量は、顔料100質量部に対して、90質量部以下(さらに好ましくは70質量部以下)となるように用いられることが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに光沢性に一層優れたカラー画像を形成できる点で好ましい。
共重合樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは50〜320であり、一層好ましくは100〜250である。
ウレタン樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは10〜300であり、一層好ましくは20〜100である。
共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは2,000〜30,000であり、より好ましくは2,000〜20,000である。
ウレタン樹脂の架橋前の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは100〜200,000であり、より好ましくは1000〜50,000である。
共重合樹脂のガラス転移温度(Tg;JIS K6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは30℃以上であり、一層好ましくは50〜130℃である。
ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg;JIS K6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは−50〜200℃であり、一層好ましくは−50〜100℃である。
共重合樹脂は、インク組成物中または顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合とがあり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下がより好ましく、特に0.1μm以下であることが一層好ましい。
ウレタン樹脂は、インク組成物中または顔料分散液中において微粒子状に分散している場合と、顔料に吸着している場合と、があり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、ウレタン樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下がより好ましく、特に0.1μm以下であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(Microtrac Inc.社)を使用して測定することができる。
さらに、本発明においては、グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂、又はオキサゾリン基を有する樹脂が、架橋剤として添加されていることが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から特に好ましい。
前記架橋剤は、分散性の一層向上の観点からは、カルボキシル基と反応する樹脂(カルボキシル基攻撃型の樹脂)であることが好ましい。例えば、分子中にカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド系、分子中にオキサゾリン基を有するオキサゾリン系、アジリジン系等が挙げられる。
架橋剤の添加量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の総カルボキシ基に対して、ゲル分率が20%以上、より好ましくは35%以上であることが好ましい。
また、前記架橋剤の添加量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、有効固形分重量比(すなわち、架橋剤の量/共重合樹脂とウレタン樹脂との合計量)が、好ましくは0.5/100〜50/100となる量であり、一層好ましくは0.5/100〜40/100となる量である。
架橋剤と反応した前記ウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、及びインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、10,000以上であることが好ましく、30,000以上であることが一層好ましい。
また、本発明においては、上記した高分子分散剤以外にも、分散剤として界面活性剤を用いてもよい。このような界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記した界面活性剤はインク組成物に添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは言うまでもない。
<顔料>
顔料分散液を調製する際に添加される顔料としては、黒色インク用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が特に好ましいが、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を用いることもできる。
カラーインク用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、155、180、185、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できるこのように、色剤としては種々の顔料を用いることができる。
本発明の態様においては、上記ポリマーとC.I.ピグメントレッド170とを組み合わせて用いることが好ましい。上記ポリマーとC.I.ピグメントレッド170とを組合せることにより、より一層保存安定性、吐出安定性および目詰まり回復性を向上することができる。
また、本発明の別の態様においては、上記ポリマーとC.I.ピグメントグリーン36とを組み合わせて用いることが好ましい。上記ポリマーとC.I.ピグメントグリーン36とを組合せることにより、より一層保存安定性、吐出安定性および目詰まり回復性を向上することができる。
インク組成物中の顔料の含有量は、0.5〜30質量%が好ましい。これ以下の含有量では、印字濃度が確保できなくなり、またこれ以上の含有量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
顔料は、分散剤とともに混合および分散される前に、未処理若しくは混練処理によって顔料粒径を微細化しかつ均一化しておいてもよい。その際、顔料にアルカリ性化合物を加えて中和処理を行うことが好ましい。上記の共重合樹脂を添加した後、ビーズミル又は衝突型ジェット粉砕機を用いて、顔料を分散させる分散工程と、さらに場合によってはウレタン樹脂および架橋剤を添加し、架橋処理する後処理工程と、を含むことが好ましい。
前処理工程の後、分散工程の前に、顔料にアルカリ性化合物を加えて中和処理を行うことが好ましい。
分散工程は、上述のようにビーズミル又は衝突型ジェット粉砕機により分散処理することが好ましい。ビーズミルは、微細化可能タイプ又は通常タイプのいずれでもよい。分散処理条件を適宜調整して、上記共重合樹脂が上記の好ましい粒径となるまで分散処理を行う。分散処理においては、必要に応じて、有機溶剤を添加して混練してもよい。本工程によって、上記共重合樹脂が顔料の表面にしっかりと定着する。
分散工程の後に、イオン交換処理や限外処理による不純物除去工程を経て、その後に後処理工程をすることが好ましい。イオン交換処理によって、カチオン、アニオンといったイオン性物質(2価の金属イオン等)を除去することができ、限外処理によって、不純物溶解物質(顔料合成時の残留物質、分散液組成中の過剰成分、有機顔料に吸着していない樹脂、コンタミ成分等)を除去することができる。イオン交換処理は、公知のイオン交換樹脂を用いる。限外処理は、公知の限外ろ過膜を用い、通常タイプ又は2倍能力アップタイプのいずれでもよい。
後処理工程では、ウレタン樹脂及び架橋剤を添加して架橋反応を行わせることにより、上記共重合樹脂とウレタン樹脂とが、架橋剤によって架橋され、顔料の表面を被覆し(カプセル化)、経時安定性向上、低粘度化、密着性向上を促し、顔料分散液 を安定化させる。
<水およびその他の成分>
本発明の製造方法により得られるインク組成物は、主溶媒として水を含む。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビまたはバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
インク組成物には、pH調整剤が含まれていてもよい。pH調整剤は、ポリマーの添加の際またはポリマーを添加した後に、添加されてよい。pH調整剤の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等が挙げられ、より好ましくはトリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
本発明においては、インク組成物のpHが8.0〜11となるように調製される。このような範囲にインク組成物のpHを調整することにより、より優れた光沢感を実現できる。インク組成物を上記の範囲のpHにするには、上記のpH調整剤を用いることにより、好適に調整することができる。
また、インク組成物には、水と相溶性を有し、かつインク組成物に含まれる顔料、顔料分散剤、上記のポリマー、さらには上記のpH調整剤や後記する種々の成分を安定に溶解または分散させて保持する水溶性有機溶媒を含むことが好ましい。水溶性有機溶媒は、顔料分散液を調製する工程において添加されてもよく、ポリマーの添加の際またはポリマーを添加した後に、添加されてよい。
水溶性有機溶媒の好ましい例としては、水との溶解性の低いグリコールエーテル類や他の成分の溶解性を向上させ、さらに記録媒体(例えば紙)に対する浸透性を向上させ、またノズルの目詰まりを防止する機能が期待できるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明においては、上記した水溶性有機溶媒の中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、またはトリエチレングリコールモノヘキシルエーテルがより好ましい。上記のポリマーおよび高分子分散剤と、これらグリコールエーテル類とを併用することにより、にじみがより低減でき、印刷品質が向上する。
また、本発明においては、記録ヘッドのノズル前面におけるインクの乾燥を抑えるために、水溶性有機溶媒としてグリコール類を添加することができ、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
また、本発明においては、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを含んでなることが好ましい。上記のポリマーおよび高分子分散剤と、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールとを併用することにより、記録媒体として光沢紙を用いた場合に光沢性が向上し、普通紙を用いた場合であっても発色性が向上する。
さらに、同様な目的で、糖類を用いることもできる。その例としては、単糖類および多糖類が挙げられ、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。その添加量は適宜決定されてよいが、0.05質量%以上30質量%以下が好ましい。上記範囲にあることで、インク組成物がヘッドの先端で乾燥しても、この目詰まりを回復させることが容易にでき、また安定な印字が可能なインク組成物の粘度を容易に実現することができる。本発明の好ましい態様によれば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースのより好ましい添加量は3〜20質量%である。なお、アルギン酸およびその塩、セルロース類の添加はインク組成物の粘度を高くする傾向があるため、その添加量には留意が必要である。
また、本発明においては、その浸透性を制御するため、界面活性剤が含まれてなることが好ましい。添加する界面活性剤は、インク組成物中の他の成分と相溶性のよいものが好ましい。また、浸透性が高く安定な界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の利用が好ましい。
両性界面活性剤の好ましい例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
非イオン界面活性剤の好ましい例としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられ、特に、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤はインク組成物に添加された場合、発泡性が少なく、また優れた消泡性機能を有するので好ましいで。アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは、インク組成物の全量に対して、0.01質量%以上3質量%以下であり、より好ましい上限値は2.0質量%であり、好ましい下限値は0.05質量%である。
本発明においては、上記した界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることで、さらににじみが低減し、印刷品質が向上する。本発明に用いるアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤は、2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールおよび2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2、4−ジメチル−5−デシン−4−オールおよび2、4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上が好ましい。これらアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤は、エアープロダクツ(英国)社のオルフィン104シリーズ、オルフィンE1010などのEシリーズ、日信化学製サーフィノール465あるいはサーフィノール61などとして入手可能である。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、高速印刷が可能となる。
また、本発明においては、1、2−アルキレングリコールとアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤、グリコールエーテルとアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤のように複数を用いることで、より滲みが低減する。
また、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐または防カビ剤、キレート化剤等が添加されてよい。pH緩衝剤の具体例としては、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等が挙げられる。
酸化防止剤または紫外線吸収剤の具体例としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類等、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が挙げられる。
防腐剤または防かび剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Avecia社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに制限されるものではない。
<顔料分散液の調製>
顔料としてC.I.ピグメントグリーン36を20質量部と、スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体(酸価160、重量平均分子量8000、ガラス転移温度75℃)を3質量部と、グリセリンを15質量部と、イソプロピルアルコールを4質量部とを加圧ニーダーに仕込み、室温で10時間混練し、顔料混練物を作製した。
次に、上記顔料混練物42質量部と、中和剤としてトリエタノールアミンを3質量部と、イオン交換水を55質量部とを攪拌機に仕込み、95℃で2時間過熱攪拌し、顔料分散前調整液を作製した。この顔料分散前調整液を微細化可能ビーズミル(50nmの有機顔料微粒子生成能力を有する)に逐次仕込み、3パス処理して、顔料分散後調整物を作製した。得られた顔料分散後調整物を水酸化ナトリウムで、PH8.5に調整し、25000Gで5分間遠心処理して、粗大粒子を除去し、顔料分散後再調整物を作製した。
次に、得られた分散後再調整物100質量部と、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、酸価50、トリエチルアミン中和)10質量部と、架橋剤として20%グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂(エポキシ当量200、酸価50、トリエチルアミン中和)8質量部とを、攪拌機に仕込み、90℃で5時間攪拌して、分散液中の樹脂を架橋させ、架橋済み調整物を得た。次いで、顔料固形分濃度が10%かつ、PH約9になるように、イオン交換水と水酸化カリウムで調整して顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液は、顔料100部に対してスチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体が約15部であり、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が約15部であった。
<ポリマーの調製>
攪拌装置、還流管、温度計および滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを200.0質量部フラスコ内に投入して攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを200.0質量部と、ベンジルアクリレートを483.0質量部と、メタクリル酸16.4質量部と、アクリル酸を13.9質量部と、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)を7.6質量部入れ、80℃で4時間かけてフラスコ中に滴下してモノマーを反応させた。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)を0.8質量部加え、さらに80℃で1時間反応させた。その後、減圧蒸留により、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。続いて、フラスコ内に、メチルエチルケトンを600.0質量部添加することにより、樹脂固形分50%のポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を採取し、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥させた後、得られたポリマーの酸価を測定したところ、55mgKOH/gであった。また、ポリマーの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比は1.92であった。
ポリマー溶液を、70℃で20時間加熱処理することにより、ポリマー1を得た。また、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸および重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)の各配合量を、下記表1の組成に従って変更した以外は上記と同様にして、ポリマー2〜40を調製した。
Figure 2011088976
<インク組成物の調製>
上記のようにして得られたポリマー溶液(固形分50%)および各顔料分散体を用い、下記表2に示した組成に従って、全量が100質量部となるように各成分を加え、2時間攪拌した。その後、孔径約1.2μmのメンブランフィルター(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過することにより、実施例1〜40ならびに比較例1および2のインク組成物を得た。なお、表中のDEGmBEとはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示し、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示し、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示し、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示し、BEPDは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを示す。また、表中の数字は全て重量基準とした配合比率を示す。
Figure 2011088976
Figure 2011088976
Figure 2011088976
Figure 2011088976
Figure 2011088976
<保存安定性の評価>
得られた各インク組成物の調製直後の粘度(初期粘度)およびインク組成物を70℃の環境下に2週間静置した後の粘度を、ローリングボール式粘度計(AMVn、アントンパール社製)を用いて測定した。
測定結果から、2週間静置後の粘度(mPa/s)/初期粘度(mPa/s)の値を算出した。評価結果は下記の表3に示される通りであった。
<吐出安定性の評価>
インクジェットプリンター(PM930c、セイコーエプソン株式会社製)を用いて、35℃で湿度35%RHの雰囲気下において、A4版のXerox P(商品名、富士ゼロックス株式会社製)に、マイクロソフトワード文書(文字サイズ11、標準、MSPゴシック)を4000字/頁の割合で、500頁印刷を行った。評価基準は以下の通りとした。
AA:全く印字乱れがない
A:1カ所の印字乱れがある
B:2〜3カ所の印字乱れがある
C:4〜5カ所の印字乱れがある
D:6カ所以上の印字乱れがある
評価結果は下記の表3に示される通りであった。
<目詰まり回復性の評価>
インクジェットプリンター(EM930c、セイコーエプソン株式会社製)を用いて10分間連続して印刷し、全てのノズルから正常にインクが吐出していることを確認した後、インクカートリッジを取り外し、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で、50℃の環境下に3ヶ月間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価した。
A:3回以下のクリーニング操作で初期と同等に回復
B:4〜5回のクリーニング操作で初期と同等に回復
C:10回以下のクリーニング操作で初期と同等に回復
D:クリーニング操作を行っても全てのノズルで目詰まりし、吐出しない
評価結果は下記の表3に示される通りであった。
Figure 2011088976

Claims (10)

  1. 顔料と、顔料を分散させる分散剤と、ポリマーと、水とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物を製造する方法であって、
    少なくとも顔料と顔料を分散させる分散剤と水とを混合液状態で分散処理に付して顔料分散液を調製し、
    ポリマーの加熱処理を行い、
    前記顔料分散液に前記加熱処理されたポリマーを添加する、ことを含んでなる、方法。
  2. 前記分散剤を加熱処理する工程をさらに含んでなり、前記顔料と前記熱処理された分散剤と前記水とを混合液状態で分散処理に付して顔料分散液を調製する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記顔料分散液を加熱処理した後、前記加熱処理されたポリマーを添加する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポリマーが、モノマー構成成分として、50質量%以上のベンジルアクリレートと、15質量%以下の(メタ)アクリル酸とを少なくとも含んでなり、その酸価が、50〜200mgKOH/gの範囲にあり、その重量平均分子量が、20,000〜120,000である、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記ポリマーの加熱処理が、50〜100℃で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記分散剤が、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、およびスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂からなる群から選択される共重合体樹脂と、ウレタン樹脂とを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記分散剤の加熱処理が50〜100℃で行われる、請求項2に記載の方法。
  8. 前記顔料分散液の熱処理が50〜100℃で行われる、請求項3に記載の方法。
  9. 前記分散剤の共重合樹脂とウレタン樹脂との重量比が、1/2〜2/1である、請求項6に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により得られたインクジェット記録用インク組成物。
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