JP2011088839A - 精製アピゲニン含有抽出物の製造方法 - Google Patents

精製アピゲニン含有抽出物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アピゲニンを従来に比して高純度で含有する精製アピゲニン含有抽出物を収率よく得ることの可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】有機溶媒濃度が10〜45質量%である有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に接触させて、アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンを合成吸着剤に吸着させる吸着工程、及び合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて、合成吸着剤からアピゲニンを溶出させる溶出工程を含む、精製アピゲニン含有抽出物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、精製アピゲニン含有抽出物の製造方法に関する。
アピゲニンは、キク科植物、ジンチョウゲ科植物、イネ科植物、ヒノキ科植物、ムクロジ科植物、イワヒバ科植物、シソ科植物等の植物に含まれるフラボノイドの一種であり、ウレアーゼ活性阻害作用(特許文献1)、抗酸化作用(特許文献2)及びメラニン生成促進作用(特許文献3)等を有するため、化粧品、医薬品及び医薬部外品の成分として有用である。
アピゲニン等のポリフェノール類は植物から抽出により得ることができる。例えば、植物原料を水やアルカリ水溶液で抽出処理を行い、得られた抽出液を吸着剤処理し、該吸着剤を含水エタノールで接触処理してポリフェノール類を溶出させる方法が知られている(特許文献4)。
しかしながら、医薬部外品原料規格に記載のローマカミツレのブチレングリコール溶液及びプロピレングリコール溶液など(非特許文献1)、市販のアピゲニン含有抽出物はアピゲニン含有量が50ppm程度であり、当該抽出物の不揮発分中の純度は高々1%程度に過ぎない。
特開2004−91338号公報 特開2005−289880号公報 特開平9−263534号公報 特開2000−256345号公報
医薬部外品原料規格p.1834
このように、従来の製造方法においては、アピゲニン含有抽出物の高純度化に限界があった。そのため、アピゲニンを高純度で含有するアピゲニン含有抽出物を高収率で得ることの可能な製造方法の創製が望まれていた。
したがって、本発明の課題は、アピゲニンを従来に比して高純度で含有する精製アピゲニン含有抽出物を収率よく得ることの可能な製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、アピゲニン含有抽出物中のアピゲニン純度を向上させるべく検討した結果、特定の有機溶媒濃度の有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に接触させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を通液してアピゲニンを溶出させることにより、アピゲニンを従来に比して高純度でかつ高収率で回収できることを見出した。
すなわち、本発明は、有機溶媒濃度が10〜45質量%である有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に接触させて、上記アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンを上記合成吸着剤に吸着させる吸着工程、及び上記合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて、上記合成吸着剤から上記アピゲニンを溶出させる溶出工程を含む、精製アピゲニン含有抽出物の製造方法を提供するものである。
本発明はまた、上記製造方法により得られた精製アピゲニン含有抽出物を提供するものである。
本発明によれば、アピゲニンを従来に比して高純度で含有する精製アピゲニン含有抽出物を収率よく回収することができる。本発明の製造方法は、簡便な操作で効率よく行うことができるため、製造に要する労力及びコストを大幅に軽減することが可能であり、工業的規模での生産に適するものである。
また、本発明の精製アピゲニン含有抽出物は、アピゲニンを従来に比して高純度で含有するため、化粧品、医薬品及び医薬部外品の用途に極めて有用である。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
本明細書において「アピゲニン」とは、フラボン類に属するフラボノイドの一種であり、「アピゲニン濃度」は後掲の実施例の記載の方法より定量することができる。
本明細書において「アピゲニン含有抽出物」とは、アピゲニン含有植物から得られた抽出物をいう。
本明細書において「平均粒子径」とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定したものをいう。具体的には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により合成吸着剤の粒度分布を個数基準で作成して得られたメディアン径(d50)を平均粒子径としたものである。また、「最大粒子径」及び「最小粒子径」とは、上記装置で測定された各粒子径の頻度(%)のうち、頻度(%)が0.1%となる粒子径の最小値を最大粒子径(dmax)とし、頻度(%)が0.1%となる粒子径の最大値を最小粒子径(dmin)と定義する。そして、最大粒子径と最小粒子径との差「dmax−dmin」を「Δd」と定義する。
次に、本発明の精製アピゲニン含有抽出物の製造方法について説明する。
本発明の精製アピゲニン含有抽出物の製造方法は、上記のとおり、吸着工程と、溶出工程とを含むことを特徴とするものである。
〔準備工程〕
本発明においては、吸着工程及び溶出工程に先立ち、有機溶媒濃度が10〜45質量%である有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を準備する。アピゲニン含有抽出物は、アピゲニン含有植物を後掲の抽出工程により取得しても、市販品を使用してもよい。
(抽出工程)
本工程は、アピゲニン含有植物を抽出して原料アピゲニン含有抽出物を得る工程である。
抽出に使用する「アピゲニン含有植物」としては、アピゲニンを含有すれば植物の種類は特に限定されないが、例えば、キク科植物、ジンチョウゲ科植物、イネ科植物、ヒノキ科植物、ムクロジ科植物、イワヒバ科植物、シソ科植物が例示される。
キク科植物としては、例えば、カミツレ(Matricaria recutita L.)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis L.)、ダリア(Dahlia pinnata)が例示され、カミツレはジャーマン・カモミール、ジャーマン・カミツレとも称される。また、ジンチョウゲ科植物としては、例えばフジモドキ(Daphne genkwa)が例示され、イネ科植物としては、例えばコウリョウ(Sorghum nervosum Bess)が例示される。更に、ヒノキ科植物としては、例えばイブキ(Sabina chinensis (L.)Antone)が例示され、ムクロジ科植物としては、例えばムクロジ(Sapindus mukorossi Gaertn)が例示され、イワヒバ科植物としては、例えばイワヒバ(Selaginella tamariscina (Beauv.)Spring)が例示される。更にまた、シソ科植物としては、例えば、シソ(Perilla frutescens Britton var. acuta Kudo)が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、アピゲニンの抽出効率の点から、キク科植物が好ましく、カミツレ、ローマカミツレがより好ましく、ローマカミツレが特に好ましい。
抽出に使用するアピゲニン含有植物の部位は特に限定されず、植物の種類に応じて適宜選択することが可能であるが、例えば、全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、果皮、菌核、樹脂が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、カミツレ及びローマカミツレの場合、花、蕾が好適に使用されるが、花冠等の特定部位のみを使用してもよい。更に、抽出する際には、これらをそのまま使用しても、粉砕、切断、乾燥等の前処理を行ってもよい。
抽出方法としては、当該技術分野において通常適用される方法であれば特に限定されないが、例えば、アピゲニン含有植物を水、有機溶媒、又は有機溶媒水溶液で抽出する方法が例示される。
有機溶媒としては植物からアピゲニンを抽出できれば特に限定されず、極性溶媒でも、非極性溶媒であってもよい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、石油エーテル等の炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、アルコール、ケトン、エステル等の水溶性有機溶媒が好ましく、アルコール、特にエタノールが好ましい。
抽出に有機溶媒水溶液を用いる場合の有機溶媒濃度は、アピゲニンの抽出効率の観点から、その下限が46質量%、更に48質量%、特に50質量%であることが好ましい。他方、上限は、吸着工程前に行う後掲の濃度調整工程における粘調性析出物の発生抑制の観点から、99.5質量%、更に90質量%、より更に80質量%、より更に70質量%、特に60質量%であることが好ましい。
また、水としては、例えば、水道水、精製水、イオン交換水が例示される。
抽出条件は使用する植物の種類や部位により適宜選択することが可能であるが、抽出倍率(溶媒質量/植物質量)は通常10〜40であり、抽出時間は通常1日〜1ヶ月であり、抽出温度は通常5〜80℃である。
アピゲニン含有抽出物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体が例示される。
(濃度調整工程)
本工程は、必要に応じ、吸着工程で使用するアピゲニン含有抽出物に含まれる有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度を10〜45質量%に調整する工程である。このように濃度調整することにより、アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンを合成吸着剤に効率よく吸着させることができる。
例えば、アピゲニン含有抽出物に含まれる有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が45質量%を超える場合、アピゲニン含有抽出物から有機溶媒を除去して有機溶媒濃度を上記範囲内に低減する方法、あるいは水又は有機溶媒水溶液で希釈して有機溶媒濃度を上記範囲内に調整する方法が例示される。なお、有機溶媒を除去する方法としては、例えば、蒸留、減圧蒸留、精留、薄膜蒸留、膜濃縮が例示される。また、希釈する際に使用する水及び有機溶媒水溶液としては、上記と同様のものが例示される。
また、市販のアピゲニン含有抽出物を使用し、それが有機溶媒を含まない場合には、所望の有機溶媒水溶液を用いて有機溶媒濃度が上記範囲内となるようにアピゲニン含有抽出物を希釈すればよい。さらに、後掲の吸着工程において、アピゲニン含有抽出物中の有機溶媒とは異なる有機溶媒を使用する場合には、所望の有機溶媒に置換し濃度調整することができる。
一般には、合成吸着剤への通液量の低減化が可能な濃縮により濃度調整する方が生産効率の観点から有利であると考えられる。しかしながら、意外なことに、水又は有機溶媒水溶液で希釈して濃度調整する方がアピゲニン含有抽出物の純度、色相、及び回収率をより一層向上させることが可能であることが見出された。
有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物中の有機溶媒濃度は、アピゲニンの純度及び回収率の向上、並びに色相の改善の観点から、その下限が10質量%、更に15質量%、より更に20質量%、より更に25質量%、特に30質量%であることが好ましく、他方上限が45質量%、更に44質量%、より更に43質量%、より更に42質量%、特に41質量%であることが好ましい。
有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物中のアピゲニン濃度は、アピゲニンの純度及び回収率の向上の観点から、その下限が0.01質量%、更に0.015質量%、より更に0.02質量%、特に0.025質量%であることが好ましく、他方上限が0.2質量%、0.15質量%、更に0.1質量%、特に0.05質量%であることが好ましい。
〔吸着工程〕
本工程は、有機溶媒濃度が上記範囲内に調整された有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に接触させて、該アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンを合成吸着剤に吸着させる工程である。
本工程で使用する合成吸着剤としては、疎水性であることが好ましく、またイオン交換能が1meq/g未満であるものが好ましい。合成吸着剤は、一般に不溶性の三次元架橋構造を有するポリマーから構成されるが、その母体としてはスチレン系、メタクリル系、アクリル系、ポリビニル系が好ましく、中でも、アピゲニンと夾雑物との分離の観点から、スチレン系、特にスチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
合成吸着剤としては、公知の方法により製造したものを使用しても、次の市販品を使用してもよい。市販の合成吸着剤として、例えば、アンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンHP20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP−850、SP−825、SP−700、SP−70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製)等のスチレン系;セパビーズSP205、SP206、SP207(三菱化学社製)等の芳香環に臭素原子を導入して吸着能を高めた置換スチレン系;ダイヤイオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製)等のメタクリル系;アンバーライトXAD761(ロームアンドハース社製)等のフェノール系;アンバーライトXAD7HP(ロームアンドハース社製)等のアクリル系;TOYOPEARL、HW-40C(東ソー社製)等のポリビニル系;SEPHADEX、LH−20(ファルマシア社製)等のデキストラン系が例示される。
合成吸着剤の粒子形状は、球形、不均一形状等のいずれの形状であってもよいが、分離効率の観点から、球形が好ましい。
平均粒子径(d50)は、純度及び色相の向上という観点からは大きいものが好ましい。一方、収率の向上という観点からは小さいものが好ましい。かかる観点から、平均粒子径(d50)の下限は100μm、更に150μm、より更に200μm、特に250μmであることが好ましく、他方上限は700μm、更に600μm、より更に500μm、特に400μmであることが好ましい。
また、最大粒子径(dmax)と最小粒子径(dmin)との差(Δd)は、上記と同様の観点から、その下限が30μm、更に40μm、より更に50μm、特に60μmであることが好ましく、他方上限が900μm、更に850μm、より更に700μm、より更に600μm、より更に500μm、特に400μmであることが好ましい。
更に、平均粒子径(d50)に対する、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)の比(Δd/d50)は平均粒子径で規格化された粒度の幅、すなわち粒径の分散度を表す。収率の向上という観点より、かかる値は2以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1以下が更に好ましく、0.8以下が特に好ましい。かかる値が小さいほどシャープな分布を表すため下限は特に定められるものではないが、製造コスト等の兼ね合いで適宜選択することができ、例えば0.01以上である。
このような性状を有する合成吸着剤は公知の方法により製造してもよいが、例えば、市販の合成吸着剤を篩にかけて所望の平均粒子径及び粒度分布を有するものを採取してもよい。
なお、吸着工程前においては、合成吸着剤中の不純物の除去、アピゲニンの吸着能の向上の観点から、合成吸着剤を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、例えば、次の方法が例示される。先ず、通液速度(空間速度、以下「SV」という)が0.5〜10[h-1]であり、かつ合成吸着剤の全容量に対する通液倍数(以下「BV」という)が2〜10[L/L]である有機溶媒水溶液を合成吸着剤が充填されたカラムに通液して合成吸着剤中の不純物を除去する。次いで、SVが0.5〜10[h-1]であり、かつBVが2〜10[L/L]である水をカラムに通液してカラム内の有機溶媒を水に置換する方法が例示される。有機溶媒としては、例えば、水溶性有機溶媒が好ましく、中でもアルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒水溶液中の有機溶媒の濃度の下限は85質量%、特に90質量%が好ましい。なお、有機溶媒の濃度の上限は、99質量%、特に98質量%であることが好ましい。
吸着工程においては、アピゲニン含有抽出物に合成吸着剤を添加し撹拌して吸着させた後、ろ過操作により合成吸着剤を回収するバッチ方法、あるいは合成吸着剤を充填したカラムを用いて連続的に吸着処理を行なうカラム方法を採用することができるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。
合成吸着剤の使用量としては、アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンの全質量と、合成吸着剤の全容量との比が0.05〜15g/L、更に0.2〜10g/L、特に0.4〜5g/Lとなる量を選択することが、夾雑物の除去効率、アピゲニンの純度及び回収率向上、樹脂の耐久性の観点から好ましい。
アピゲニン含有抽出物を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する条件としては、SVが0.5〜10[h-1]であり、かつBVが0.5〜20[L/L]、更にSVが1.0〜5.0[h-1]であり、かつBVが1〜10[L/L]であることが好ましい。このような通液速度及び通液量であると、アピゲニンを合成吸着剤に十分吸着させることができる。
〔洗浄工程〕
アピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に通液した後、合成吸着剤を水又は有機溶媒水溶液で洗浄してもよい。合成吸着剤の洗浄に使用する水としては、上記と同様のものが例示される。有機溶媒としては、上記と同様のものが例示されるが、水溶性有機溶媒が好ましく、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒の濃度は、夾雑物除去の観点から、その下限が10質量%、更に15質量%、特に20質量%であること好ましく、他方上限が50質量%、更に45質量%、特に40質量%であること好ましい。有機溶媒の濃度は、吸着工程の有機溶媒水溶液濃度と同じ濃度が特に好ましい。洗浄の回数は1回、又は複数回行ってもよく、複数回行う場合、有機溶媒濃度が上記範囲内であれば、異なる濃度の有機溶媒を使用してもよい。
この洗浄工程における通液条件としては、好ましくはSVが0.5〜10[h-1]であり、かつBVが1〜10[L/L]であり、更に好ましくはSVが1〜5[h-1]であり、かつBVが1.5〜8[L/L]であり、特に好ましくはSVが1.5〜3[h-1]であり、かつBVが2〜5[L/L]である。これにより、合成吸着剤に付着した夾雑物を効率よく除去することができる。
〔溶出工程〕
溶出工程は、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて、合成吸着剤からアピゲニンを溶出させる工程である。
本工程で使用する有機溶媒水溶液中の有機溶媒としては、上記と同様の水溶性有機溶媒が好ましく、中でも、アピゲニンの純度及び回収率の向上の観点から、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒水溶液中の水溶性有機溶媒の濃度は、同様の観点から、その下限が50質量%、更に55質量%、特に60質量%であることが好ましく、他方上限が95質量%、更に90質量%、より更に85質量%、特に80質量%であることが好ましい。
有機溶媒水溶液の通液条件としては、好ましくはSVが0.5〜10[h-1]であり、かつBVが1〜10[L/L]であり、更に好ましくはSVが1〜5[h-1]であり、かつBVが1.5〜8[L/L]であり、特に好ましくはSVが1.5〜3[h-1]であり、かつBVが2〜5[L/L]である。これにより、アピゲニンを高収率で回収するとともに、夾雑物を低減化して純度のより高い精製アピゲニン含有抽出物を得ることができる。
なお、本発明においては、溶出工程を1回又は複数回行うことができる。溶出工程を1回行う場合には、より純度の高い精製アピゲニン含有抽出物を回収することができる。一方、溶出工程を複数回行う場合には、各溶出工程で得られた溶出液を混合することで、精製アピゲニン含有抽出物を高収率で回収することができる。溶出工程を複数回行う場合、各溶出工程で使用する有機溶媒水溶液の濃度は、有機溶媒水溶液の疎水性を順次高めることが好ましい。例えば、第1及び第2の溶出工程を順次行う場合、第2の溶出工程で使用する有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、第1の溶出工程よりも高い濃度のものがアピゲニンの回収率向上の観点から好ましい。各溶出工程における有機溶媒濃度の差の下限は1質量%、更に3質量%、特に5質量%であることが好ましく、他方上限は20質量%、18質量%、15質量%であることが好ましい。
精製アピゲニン含有抽出物の形態として溶液が好ましい場合には、溶出工程により得られた溶出液を濃縮又は希釈してもよく、また粉体が望ましい場合には、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法により粉体化してもよい。
このようにして、本発明の精製アピゲニン含有抽出物を得ることができる。得られた精製アピゲニン含有抽出物はアピゲニンを好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.003〜0.03質量%、特に0.006〜0.02質量%という濃度で含有することができる。また、アピゲニンの純度は好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜55質量%、特に32〜50質量%とすることができる。また、アピゲニンを70質量%以上、特に80質量%以上という高収率で回収することが可能である。なお、アピゲニンの純度は、後掲の実施例に記載の方法により定量することが可能である。
また、本発明の精製アピゲニン含有抽出物は、色相にも優れている。具体的には、アピゲニン濃度を0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈したときの450nmにおける吸光度を0.1以下、更に0.06以下、より更に0.05以下、特に0.04以下とすることができる。なお、吸光度の下限は0.001であることが好ましい。なお、色相の測定方法は、後掲の実施例に記載のとおりである。
1.アピゲニンの濃度測定
試料をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(EzChrom Elite、日立製作所製)を用い、カラム(Shimpach VP ODSカラム、4.6mmφ×150mm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法で分析した。移動相A液は0.05%リン酸を含有する蒸留水溶液、B液はメタノール溶液とし、試料注入量は10μL、流量は1.0mL/min、UV検出器波長は380nmの条件で行った。あらかじめ試薬のアピゲニンを用いて検量線を作成し、クロマトグラムの面積より試料中のアピゲニン濃度を定量した。
2.アピゲニンの純度測定
試料約8gを105℃の電気恒温乾燥機で6時間乾燥して得られた固形分の質量を測定し、当該固形分の質量と、上記試料8g中のアピゲニンの質量とから下式(A)より求めた。
Figure 2011088839
3.色相(OD450)の測定
アピゲニン濃度が0.01質量%になるように試料をイオン交換水で希釈し、それを光路長10mmの角型プラスチックセルに入れて分光光度計(UVmini 1240、島津製作所製)により450nmにおける吸光度を測定した。
4.合成吸着剤の粒子径の測定
合成吸着剤の粒子径測定には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(LS 13 320、BECKMAN COULTER)を用いた。そして、本装置により粒子分布を個数基準で作成し、平均粒子径(d50)、最大粒子径(dmax)及び最小粒子径(dmin)を求めた。
製造例1
ローマカミツレ(Anthemis nobilis L.)の花408.1gを50質量%エタノール水溶液8161gに浸漬して25℃にて7日間抽出し、その後2号ろ紙によるろ過を行い、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」を得た。このアピゲニン含有抽出物中のアピゲニン濃度は0.034質量%であり、アピゲニン純度は2.4%であり、色相は0.245であった。
実施例1
製造例1で得られた「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」401gを、一旦減圧濃縮によりエタノールを除去して78gにした後、99質量%エタノール溶液を19.6g添加して、130.3gの「アピゲニン濃度調整液」を得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.105%、アピゲニン純度は2.5%、色相(OD450)は0.549、エタノール濃度は40質量%であった。
合成吸着剤HP−20(三菱化学(株)製)の袋を開封し、平らな容器に均等に合成吸着剤を分散した後、2日間自然乾燥した。本合成吸着剤は、平均粒子径(d50)が550μm、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が830μm、Δd/d50が1.51であった。
本合成材吸着剤55mLを、ステンレスカラム(内径22mm×高さ145mm、容積55mL)に充填した。次いで、カラムに充填された合成吸着剤を、通液速度(SV)=1.5(h-1)、通液倍数(BV)=10(L/L)の条件で92質量%エタノール水溶液を通液後、通液速度(SV)=1.5(h-1)、通液倍数(BV)=10(L/L)の条件で水を通液して洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」34.9g(38.0mL、通液倍数(BV)=0.69L/L、アピゲニン質量は0.037g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.67g/L)を、通液速度(SV)=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で40質量%エタノール水溶液242g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度がSV=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液233g(264mL)を通液して、『精製アピゲニン含有抽出物1(以下、「精製物1」という)』229.7gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度がSV=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液220g(264mL)を通液して、『精製アピゲニン含有抽出物2(以下、精製物2という)』221.7gを回収した。
「精製物1」中のアピゲニン濃度は0.012質量%。アピゲニン純度は32%、色相(OD450)は0.058であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は75%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.006質量%。アピゲニン純度は25%、色相(OD450)は0.064であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は77%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
実施例2
製造例1で得られた「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」150gに、イオン交換水195.2g添加して、345gの「アピゲニン濃度調整液」得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.015質量%、アピゲニン純度は2.6%、色相(OD450)は0.183、エタノール濃度は20質量%であった。
合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)の袋を開封し、平らな容器に均等に合成吸着剤を分散させた後、2日間自然乾燥した。次いで、425μmの篩下の回収物を180μmの篩にかけ、180μmの篩上の粒子のみを回収した。この回収した合成吸着剤は、平均粒子径(d50)が333μm、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が216μm、Δd/d50が0.65であった。
次いで、採取された合成吸着剤55mLを、実施例1と同様のステンレスカラムに充填し、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」258.1g(270.0mL、通液倍数(BV)=4.91L/L、アピゲニン質量は0.039g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.71g/L)を通液速度(SV)=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で20質量%エタノール水溶液258.1g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、洗浄工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で40質量%エタノール水溶液242g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液233g(264mL)を通液して、「精製物1」228.4gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液220g(264mL)を通液して、「精製物2」220.9gを回収した。
「精製物1」中のアピゲニン濃度は0.013%。アピゲニン純度が40%、色相(OD450)は0.026であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は74%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.007質量%。アピゲニン純度は38%、色相(OD450)は0.031であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は80%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
実施例3
製造例1で得られた「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」500gに、イオン交換水75.7g添加して、576gの「アピゲニン濃度調整液」得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.031質量%、アピゲニン純度は2.6%、色相(OD450)は0.228、エタノール濃度は40質量%であった。
合成吸着剤としてHP−20を用い、これを実施例1と同様のカラムに充填した後、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」123.5g(134.8mL、通液倍数(BV)=2.45L/L、アピゲニン重量は0.038g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.69g/L)を通液速度(SV)=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で40質量%エタノール水溶液242g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液233g(264mL)を通液して、「精製物1」228.3gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液220g(264mL)を通液して、「精製物2」221.2gを回収した。
「精製物1」中のアピゲニン濃度は0.014質量%。アピゲニン純度は44%、色相(OD450)は0.013であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は83%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.007質量%。アピゲニン純度は45%、色相(OD450)は0.019であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は84%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
実施例4
実施例3と同様な方法で得た「アピゲニン濃度調整液」を使用した。各成分の分析値は、実施例3と同様であった。
合成吸着剤として実施例2と同様の方法により採取したSP−70を用い、これを実施例1と同様のカラムに充填した後、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」123.5g(134.8mL、通液倍数(BV)=2.45L/L、アピゲニン重量は0.038g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.69g/L)を通液速度SV=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、実施例3と同様の方法でエタノール水溶液をカラムに通液し、「精製物1」232.3g、「精製物2」226.6gを回収した。
得られた「精製物1」は、アピゲニン濃度は0.014質量%であり、アピゲニン純度は39%であり、色相(OD450)は0.019であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は84%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.007質量%。アピゲニン純度は40%、色相(OD450)は0.032であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は89%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
実施例5
実施例3と同様な方法で得た「アピゲニン濃度調整液」を使用した。各成分の分析値は、実施例3と同様であった。
合成吸着剤として、SP−70(三菱化学(株)製)の粒度分布が異なるもの(SP−70Sと呼ぶ)を用いた。本合成吸着剤は、平均粒子径(d50)が305μm、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が83μm、Δd/d50が0.27であった。
合成吸着剤SP−70S 55mLを、実施例1と同様のステンレスカラムに充填した後、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」123.5g(134.8mL、通液倍数(BV)=2.45L/L、アピゲニン質量は0.038g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.69g/L)を通液速度SV=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、実施例3と同様の方法でエタノール水溶液をカラムに通液し、「精製物1」232.0g、「精製物2」224.8gを回収した。
得られた「精製物1」は、アピゲニン濃度が0.012質量%。アピゲニン純度が32%、色相(OD450)は0.037であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は87%であった。
「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.007質量%。アピゲニン純度は29%、色相(OD450)は0.050であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は95%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
実施例6
製造例1で得られた「アピゲニン含有抽出物」5700gに、イオン交換水847.4g添加して、6547gの「アピゲニン濃度調整液」得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.031質量%、アピゲニン純度は2.6%、色相(OD450)は0.228、エタノール濃度は40質量%であった。
合成吸着剤としてSP−70Sを用い、合成吸着剤2326mLを、ステンレスカラム(内径70mm×高さ685mm、容積2788mL)に充填したこと以外は、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」5685g(6200mL、通液倍数(BV)=2.67L/L、アピゲニン質量は1.76g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.76g/L)を通液速度(SV)=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で40質量%エタノール水溶液10240g(11165mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液9833g(11165mL)を通液して、「精製物1」9660gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液9290g(11165mL)を通液して、「精製物2」9440gを回収した。
得られた「精製物1」は、アピゲニン濃度が0.019質量%。アピゲニン純度が36%、色相(OD450)は0.040であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は98%であった。
「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.010質量%。アピゲニン純度は30%、色相(OD450)は0.044であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は100%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表1に示す。
比較例1
ローマカミツレの花20gを20質量%エタノール水溶液200gに浸漬して25℃にて7日間静置抽出した後、2号ろ紙でろ過を行い、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」を得た。得られた「アピゲニン抽出液」のアピゲニン濃度は0.003質量%、アピゲニン純度は0.14%、色相(OD450)は0.330であった。
本比較例における製造条件、アピゲニン含有抽出物の分析結果を表2に示す。
比較例2
ローマカミツレの花135gを50質量%エタノール水溶液1350gに浸漬して25℃にて7日間静置抽出した後、2号ろ紙でろ過を行い、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」を得た。得られた「アピゲニン含有抽出物」のアピゲニン濃度は0.053質量%、アピゲニン純度は2.1%、色相(OD450)は0.387であった。
本比較例における製造条件、アピゲニン含有抽出物の分析結果を表2に示す。
比較例3
ローマカミツレの花92gを50質量%エタノール水溶液1840gに浸漬して25℃にて7日間静置抽出した後、2号ろ紙でろ過を行い、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」を得た。得られた「アピゲニン含有抽出物」のアピゲニン濃度は0.034質量%、アピゲニン純度は2.4%、色相(OD450)は0.245であった。
次いで、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」621gを一旦減圧濃縮によりエタノールを除去して46.8gにした後、遠心分離(15℃、6000rpm、15分)にて固液分離を行い、「遠心分離の上清液」を回収した。得られた「遠心分離の上清液」のアピゲニン濃度は0.070質量%、アピゲニン純度は0.49%、色相(OD450)は0.230であった。また、「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」からのアピゲニンの回収率は14%であった。
本比較例における製造条件、アピゲニン含有抽出物の分析結果を表2に示す。
比較例4
製造例1で得られた「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」250gを一旦濃縮し、その濃縮液に6質量%のエタノール水溶液200g添加して、246gの「アピゲニン濃度調整液」得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.030質量%、アピゲニン純度は2.2%、色相(OD450)は0.249、エタノール濃度は5質量%であった。
次いで、合成吸着剤として実施例2と同様の方法により採取したSP−70を用い、これを実施例1と同様のカラムに充填した後、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」126.1g(127.6mL、通液倍数(BV)=2.32L/L、アピゲニン質量は0.038g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.69g/L)を通液速度SV=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で5質量%エタノール水溶液261g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液233g(264mL)を通液して、「精製物1」230.7gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液220g(264mL)を通液して、「精製物2」220.5gを回収した。
「精製物1」中のアピゲニン濃度は0.007質量%。アピゲニン純度は3.6%、色相(OD450)は0.249であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は45%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」中のアピゲニン濃度は0.005質量%。アピゲニン純度は4.0%、色相(OD450)は0.216であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は56%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表2に示す。
比較例5
製造例1で得られた「エタノール水溶液を含むアピゲニン含有抽出物」250gを一旦濃縮し、その濃縮液に85.0質量%のエタノール水溶液116.9g添加して、236gの「アピゲニン濃度調整液」得た。得られた「アピゲニン濃度調整液」のアピゲニン濃度は0.031質量%、アピゲニン純度は2.1%、色相(OD450)は0.312、エタノール濃度は50質量%であった。
次いで、合成吸着剤として実施例2と同様の方法により採取したSP−70を用い、これを実施例1と同様のカラムに充填した後、実施例1と同様の操作により合成吸着剤を洗浄した。
次いで、「アピゲニン濃度調整液」112.7g(125.4mL、通液倍数(BV)=2.28L/L、アピゲニン質量は0.035g、アピゲニンの全質量と合成吸着剤の全容量との比は0.64g/L)を通液速度SV=2.4(h-1)でカラムに通液し、その透過液を廃棄した。
吸着後、洗浄工程として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で50質量%エタノール水溶液237g(264mL)を通液して、その透過液を廃棄した。
次いで、溶出工程1として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で60質量%エタノール水溶液233g(264mL)を通液して、「精製物1」226.4gを回収した。
次いで、溶出工程2として、通液速度(SV)=2.4(h-1)、通液倍数(BV)=4.8(L/L)の条件で70質量%エタノール水溶液220g(264mL)を通液して、「精製物2」219.2gを回収した。
「精製物1」中のアピゲニン濃度は0.006質量%。アピゲニン純度は30%、色相(OD450)は0.028であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は41%であった。
また、「精製物1」と「精製物2」とを混合した「混合精製物」のアピゲニン濃度は0.003質量%。アピゲニン純度は24%、色相(OD450)は0.035であった。また、「アピゲニン濃度調整液」からのアピゲニンの回収率は42%であった。
本実施例における製造条件、精製アピゲニン含有抽出物の分析結果を表2に示す。
Figure 2011088839
Figure 2011088839
表1及び2から明らかなように、所定の有機溶媒濃度を有する有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に通液した後、合成吸着剤に吸着されたアピゲニンを有機溶媒水溶液で溶出することにより、アピゲニンを高純度で含有する精製アピゲニン含有抽出物が高収率で得られることが確認された。

Claims (8)

  1. 有機溶媒濃度が10〜45質量%である有機溶媒水溶液を含むアピゲニン含有抽出物を合成吸着剤に接触させて、前記アピゲニン含有抽出物中のアピゲニンを前記合成吸着剤に吸着させる吸着工程、及び
    前記合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて、前記合成吸着剤から前記アピゲニンを溶出させる溶出工程
    を含む、精製アピゲニン含有抽出物の製造方法。
  2. 前記アピゲニン含有抽出物中のアピゲニン濃度が0.01〜0.2質量%である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記アピゲニン含有抽出物は、有機溶媒濃度が46〜99.5質量%である有機溶媒水溶液を用いてアピゲニン含有植物から抽出した原料アピゲニン含有抽出物を、水又は有機溶媒水溶液で希釈して有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度を10〜45質量%に調整したものである、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 吸着工程後かつ溶出工程前において、前記合成吸着剤を有機溶媒水溶液で洗浄する洗浄工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記溶出工程において使用する前記有機溶媒水溶液の有機溶媒濃度が50〜95質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記合成吸着剤の平均粒子径(d50)が100〜700μmであり、かつ最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が30〜900μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記合成吸着剤の平均粒子径(d50)に対する、最大粒子径と最小粒子径の差(Δd)の比(Δd/d50)が2以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた精製アピゲニン含有抽出物。
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