JP2011088600A - 車両用空調装置 - Google Patents

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浩之 林
Yoshinori Isshi
好則 一志
Yoshinobu Yanagimachi
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Abstract

【課題】プレ空調を実行可能な車両用空調装置において、車両に乗り込んだ際の乗員の快適性を向上させる。
【解決手段】プレ空調を行う際の運転モードとして、送風機12および圧縮機31それぞれを作動させるプレ空調運転モードと、送風機12を作動させるとともに圧縮機31の作動を禁止するプレ送風運転モードとを有し、空調制御装置50にて当該運転モードを決定する。空調制御装置50は、プレ空調を実行する際の運転モードを、空調使用許可電力が所定の基準電力より大きい場合にプレ空調運転モードに決定し、空調使用許可電力が所定の基準電力以下である場合にプレ送風運転モードに決定する。さらに、空調制御装置50は、プレ送風運転モードに決定した場合、内外気切替箱20を外気モードに切り替えて、車室外空気を車室内に導入することで、車室内を換気する。
【選択図】図6

Description

本発明は、乗員が車両に乗り込む前に車室内の空調を開始するプレ空調を実行可能に構成された車両用空調装置に関する。
従来、特許文献1に、乗員が車両に乗り込む前に車室内の空調を開始するプレ空調を行う車両用空調装置が開示されている。この特許文献1の車両用空調装置では、車室内送風空気の温度を調整するための冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮して吐出する圧縮機として、バッテリから電力を供給されて作動する電動圧縮機を採用している。
そして、プレ空調時にバッテリの蓄電残量に応じて、電動圧縮機の冷媒吐出能力(具体的には、回転数)の上限値を設定し、この上限値を超えない範囲で電動圧縮機を作動させている。これにより、ある程度の空調能力を発揮させつつ電動圧縮機の消費電力を低減して、乗員の快適性とバッテリの消費電力の低減を図っている。
特開2007−76544号公報
しかしながら、特許文献1の空調装置では、バッテリの蓄電残量の低下に伴って電動圧縮機の冷媒吐出能力を低下させているため、バッテリの蓄電残量の低下に伴って車室内の空調を充分に行うことができなくなる。しかも、バッテリの蓄電残量が所定残量よりも低下すると電動圧縮機を停止させてしまうため、車室内空調を行うことができない(特許文献1の図6参照)。従って、特許文献1の空調装置では、バッテリの蓄電残量の低下等によって車室内の空調に使用可能な電力が制限されるような場合、圧縮機を充分に作動させることができず、充分なプレ空調を行うことができなくなる。その結果、車両に乗り込んだ際の乗員の快適性が悪化するおそれがある。
上記点に鑑みて、本発明は、プレ空調を実行可能な車両用空調装置において、車両に乗り込んだ際の乗員の快適性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電力を供給されることによって車室内へ空気を送風する送風機(12)と、送風機(12)に車室外空気を吸入させる外気モードおよび車室内空気を吸入させる内気モードを切り替える内外気切替手段(20)と、電力を供給されることによって冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(31)を含んで構成されて送風機(12)にて送風された送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル(30)と、を備え、乗員が車両に乗り込む前に車室内の空調を開始するプレ空調を実行可能な車両用空調装置であって、プレ空調を行う際の運転モードとして、送風機(12)を作動させるとともに圧縮機(31)を作動させるプレ空調運転モード、および、送風機(12)を作動させるとともに圧縮機(31)の作動を禁止するプレ送風運転モードを有し、車両全体での使用可能電力のうち車室内の空調用に使用が許可された空調使用許可電力が所定の基準電力より大きい場合に、運転モードをプレ空調運転モードに決定し、空調使用許可電力が基準電力以下の場合に、運転モードをプレ送風運転モードに決定する運転モード決定手段(50d)を備え、運転モード決定手段(50d)は、プレ送風運転モード時に内外気切替手段(20)を外気モードへ切り替えることを特徴とする。
これによれば、空調使用許可電力が所定の基準電力より大きいときには、プレ空調を行う際の運転モードをプレ空調運転モードに決定して、圧縮機(31)および送風機(12)それぞれを作動させることで、充分に車室内温度を低下させることができる。
一方、空調使用許可電力が基準電力以下のときには、プレ空調を行う際の運転モードをプレ送風運転モードに決定して、圧縮機(31)の作動を禁止するとともに、送風機(12)を作動させることで、車室内に車室外空気を取り入れて車室内温度(Tr)を低下させることができる。
従って、プレ空調を行う際に、圧縮機(31)を充分に作動できるだけの空調使用許可電力を確保できない場合には、車室内に車室外空気を取り入れることで、車室内温度(Tr)を低下させることができる。
その結果、プレ空調を行う際に車室内の空調に使用可能な電力が制限される車両であっても、乗員が乗り込んだ際の快適性を向上させることができる。加えて、プレ空調運転モードおよびプレ送風運転モードのいずれか一方を実行して車室内温度(Tr)を低下させることで、乗員が乗り込んだ後に行う空調時のエネルギ消費を低減することができ、ひいては、燃費の向上も図ることができる。
ここで、一般に、車室内の空調負荷が高い場合には、車室内の空調負荷が低い場合に比べて、送風機(12)および圧縮機(31)における消費電力が増えることとなる。そのため、車室内の空調負荷が高い場合に空調使用許可電力が充分に確保できないときには、送風機(12)および圧縮機(31)を充分に作動させることができない場合がある。
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、基準電力は、車室内の空調負荷が大きくなるに伴い、大きい値に設定されることを特徴とする。
これにより、車室内の空調負荷が大きいときには、圧縮機(31)を充分に作動できるだけの空調使用許可電力を確保できない場合であっても、車室内に車室外空気を取り入れることで、車室内温度(Tr)を低下させることができる。一方、車室内の空調負荷が小さいときには、圧縮機(31)を作動させることで、冷凍サイクル(30)にて温度調整された空気を車室内に吹き出すことができるので、車室内温度(Tr)をより低下させることができる。従って、車両に乗員が乗り込んだ際の快適性をより効果的に向上させることができる。
具体的には、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、車室内の空調負荷は、車室内温度(Tr)、車室内温度(Tr)と外気温(Tam)との温度差、および日射量(Ts)のいずれか1つであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、運転モード決定手段(50d)は、プレ空調運転モード時に、内外気切替手段(20)を内気モードへ切り替えることを特徴とする。
これによれば、冷凍サイクル(30)によって温度調整された送風空気を車室内に循環送風させることができ、より一層、車室内温度(Tr)を低下させることができる。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、運転モード決定手段(50d)は、運転モードをプレ送風運転モードに決定した場合であっても、その後に空調使用許可電力が基準電力より大きくなったときには、運転モードをプレ空調運転モードに決定することを特徴とする。
これによると、プレ空調開始時に運転モードをプレ送風運転モードに決定したとしても、その後の空調使用許可電力の増大に応じて、プレ空調運転モードに変更されるので、より適切に車室内温度(Tr)を低下させることができる。
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、送風機(12)および圧縮機(31)を、車両外部の電源からの電力が供給可能な構成としてもよい。これにより、例えば、車両外部の電源から電力が供給されることでプレ空調を行うことが可能な電動自動車等に適用することで、車両に乗員が乗り込んだ際の快適性を向上させることができる。
ここで、プレ空調を行なう際の運転モードをプレ空調運転モードにて、冷凍サイクル(30)を作動させたとしても、空調使用許可電力が制限されていると、車室内温度(Tr)を所望の温度まで低下させることができなくなってしまう場合がある。この場合、プレ空調運転モードよりも車室外空気を車室内に導入するプレ送風運転モードにてプレ空調を行う方が車室内温度(Tr)を低下させることができることもある。
そのため、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、運転モード決定手段(50d)は、運転モードをプレ空調運転モードに決定した場合であっても、プレ空調を開始してから所定時間経過後における冷凍サイクル(30)の蒸発器(13)における冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも高い場合には、運転モードをプレ送風運転モードに決定することを特徴とする。
このように、冷凍サイクル(30)の蒸発器(13)における冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも高い場合には、プレ空調運転モードからプレ送風運転モードに変更することで、車室内温度(Tr)をより効果的に低下させることができる。
また、請求項8に記載の発明では、電力を供給されることによって車室内へ空気を送風する送風機(12)と、送風機(12)に車室外空気を吸入させる外気モードおよび車室内空気を吸入させる内気モードを切り替える内外気切替手段(20)と、電力を供給されることによって冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(31)を含んで構成されて送風機(12)にて送風された送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル(30)と、を備え、乗員が車両に乗り込む前に車室内の空調を開始するプレ空調を実行可能な車両用空調装置であって、プレ空調を行う際の運転モードとして、送風機(12)を作動させるとともに冷凍サイクル(30)の圧縮機(31)を作動させるプレ空調運転モード、および、送風機(12)を作動させるとともに圧縮機(31)の作動を禁止するプレ送風運転モードを有し、プレ空調の開始時に運転モードをプレ空調運転モードに決定する運転モード決定手段(50d)を備え、運転モード決定手段(50d)は、プレ空調を開始してから所定時間経過後における冷凍サイクル(30)における蒸発器(13)の冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも低い場合には、運転モードをプレ送風運転モードに決定するとともに、内外気切替手段(20)を外気モードへ切り替えることを特徴とする。
これによれば、プレ空調運転モードにてプレ空調を開始してから所定時間経過後における冷凍サイクル(30)における蒸発器(13)の冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも高い場合には、プレ空調運転モードからプレ送風運転モードに変更することで、車室内に車室外空気を取り入れて車室内温度(Tr)を低下させることができる。
一方、上述の所定時間経過後の冷凍サイクル(30)の蒸発器(13)における冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも低い場合には、プレ空調運転モードによるプレ空調を継続することで、冷凍サイクル(30)によって温度調整された送風空気を取り入れて車室内温度(Tr)を低下させることができる。従って、車両に乗員が乗り込んだ際の快適性を向上させることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。 第1実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。 第1実施形態のPTCヒータの回路図である。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 第2実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。 第3実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。 第4実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。
(第1実施形態)
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図であり、図2は、車両用空調装置1の電気制御部の構成を示すブロック図である。本実施形態の車両用空調装置1は、エンジン(内燃機関)EGおよび走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車に搭載されている。
本実施形態のハイブリッド車両は、車両の走行負荷等に応じてエンジンEGを作動あるいは停止させて、エンジンEGおよび走行用電動モータの双方から駆動力を得て走行する走行状態や、エンジンEGを停止させて走行用電動モータのみから駆動力を得て走行する走行状態等を切り替えることができる。これにより、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対して車両燃費を向上させている。
また、このようなエンジンEGの作動あるいは停止といったエンジンEGの作動は、後述するエンジン制御装置70によって制御される。さらに、本実施形態のエンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機80を作動させるためにも用いられる。
そして、発電機80にて発電された電力はバッテリ81に蓄えることができ、バッテリ81に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置1を構成する各構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
なお、本実施形態では、上述のハイブリッド車両として、車両外部の電源(商用電源)からの電力が供給可能に構成され、当該電力の供給によって、バッテリ81を充電可能な車両、いわゆるプラグインハイブリッド車両としている。本実施形態では、送風機12や圧縮機31等の空調機器をバッテリ81の他にも商用電源からの電力が供給されることで作動可能な構成としている。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の詳細構成を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、図1に示す室内空調ユニット10、冷凍サイクル30、図2に示す空調制御装置50等を備えている。また、この車両用空調装置1は、乗員が車両に乗り込む前に車室内の温度を低下させるための空調(冷房)を開始するプレ空調を実行可能に構成されている。
まず、室内空調ユニット10は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング11内に送風機12、蒸発器13、ヒータコア14、PTCヒータ15等を収容したものである。
ケーシング11は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング11内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替箱20が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱20には、ケーシング11内に内気を導入させる内気導入口21および外気を導入させる外気導入口22が形成されている。さらに、内外気切替箱20の内部には、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整して、ケーシング11内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア23が配置されている。
従って、内外気切替ドア23は、ケーシング11内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる吸込口モードを切り替える風量割合変更手段を構成する。より具体的には、内外気切替ドア23は、内外気切替ドア23用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、後述する空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吸込口モードとしては、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉としてケーシング11内へ内気を導入する内気モード、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開としてケーシング11内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風手段である送風機12(ブロア)が配置されている。この送風機12は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。従って、この電動モータは、送風機12の送風能力変更手段を構成している。
送風機12の空気流れ下流側には、蒸発器13が配置されている。蒸発器13は、その内部を流通する冷媒と送風機12から送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する冷却用熱交換器として機能するものである。具体的には、蒸発器13は、圧縮機31、凝縮器32、気液分離器33および膨張弁34等とともに、蒸気圧縮式の冷凍サイクル30を構成している。
圧縮機31は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル30において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構31aを電動モータ31bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ31bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。
また、インバータ61は、後述する空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この回転数制御によって、圧縮機31の冷媒吐出能力が変更される。従って、電動モータ31bは、圧縮機31の吐出能力変更手段を構成している。
凝縮器32は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン35から送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮機31吐出冷媒を凝縮させるものである。送風ファン35は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器33は、凝縮器32にて凝縮された冷媒を気液分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、液相冷媒のみを下流側に流すものである。膨張弁34は、気液分離器33から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器13は、膨張弁34にて減圧膨張された冷媒を蒸発させて、冷媒に吸熱作用を発揮させるものである。これにより、蒸発器13は、送風空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する。
また、ケーシング11内において、蒸発器13の空気流れ下流側には、蒸発器13通過後の空気を流す加熱用冷風通路16、冷風バイパス通路17といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17から流出した空気を混合させる混合空間18が形成されている。
加熱用冷風通路16には、蒸発器13通過後の空気を加熱するためのヒータコア14およびPTCヒータ15が、送風空気流れ方向に向かってこの順に配置されている。ヒータコア14は、エンジンEGを冷却するエンジン冷却水(以下、単に冷却水という。)と蒸発器13通過後の送風空気とを熱交換させて、蒸発器13通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。
具体的には、ヒータコア14とエンジンEGは、冷却水流路41によって接続されて、ヒータコア14とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。そして、この冷却水回路40には、冷却水を循環させるための電動ウォータポンプ42が配置されている。この電動ウォータポンプ42は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
PTCヒータ15は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア14通過後の空気を加熱する電気ヒータである。
より具体的には、このPTCヒータ15は、図3に示すように、複数(本実施形態では、3本)のPTCヒータ15a、15b、15cから構成されている。なお、図3は、本実施形態のPTCヒータ15の電気的接続態様を示す回路図である。
図3に示すように、各PTCヒータ15a、15b、15cの正極側はバッテリ81側に接続され、負極側は各PTCヒータ15a、15b、15cが有する各スイッチ素子SW1、SW2、SW3を介して、グランド側へ接続されている。各スイッチ素子SW1、SW2、SW3は、各PTCヒータ15a、15b、15cが有する各PTC素子h1、h2、h3の通電状態(ON状態)と非通電状態(OFF状態)とを切り替えるものである。
さらに、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、独立して制御される。従って、空調制御装置50は、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の通電状態と非通電状態とを独立に切り替えることによって、各PTCヒータ15a、15b、15cのうち、通電状態となり加熱能力を発揮するものを切り替えて、PTCヒータ15全体としての加熱能力を変化させることができる。
一方、冷風バイパス通路17は、蒸発器13通過後の空気を、ヒータコア14およびPTCヒータ15を通過させることなく、混合空間18に導くための空気通路である。従って、混合空間18にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路16を通過する空気および冷風バイパス通路17を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、蒸発器13の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17の入口側に、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア19を配置している。
従って、エアミックスドア19は、混合空間18内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。より具体的には、エアミックスドア19は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動され、この電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング11の送風空気流れ最下流部には、混合空間18から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口24〜26が配置されている。この吹出口24〜26としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口24、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口25、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口26が設けられている。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、およびデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出すフットデフロスタモードがある。
さらに、乗員が後述する操作パネル60のスイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50およびエンジン制御装置70は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
エンジン制御装置70の出力側には、エンジンEGを構成する各種エンジン構成機器等が接続されている。具体的には、エンジンEGを始動させるスタータ、エンジンEGに燃料を供給する燃料噴射弁(インジェクタ)の駆動回路(いずれも図示せず)等が接続されている。
また、エンジン制御装置70の入力側には、バッテリ81の端子間電圧VBを検出する電圧計、アクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ(いずれも図示せず)等の種々のエンジン制御用のセンサ群が接続されている。
空調制御装置50の出力側には、送風機12、圧縮機31の電動モータ31b用のインバータ61、送風ファン35、各種電動アクチュエータ62、63、64、第1〜第3PTCヒータ15a、15b、15c、電動ウォータポンプ42等が接続されている。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、圧縮機31吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ54(吐出温度検出手段)、圧縮機31吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEを検出する蒸発器温度センサ56(蒸発器温度検出手段)、エンジンEGから流出した冷却水の冷却水温度Twを検出する冷却水温度センサ58等の種々の空調制御用のセンサ群の検出信号が接続されている。
ここで、本実施形態の蒸発器温度センサ56は、具体的に蒸発器13の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ56として、蒸発器13のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、蒸発器13を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。なお、冷媒蒸発温度TEは、蒸発器13の熱交換フィン温度、蒸発器13のその他の部位の温度、蒸発器13を流通する冷媒自体の温度を意味するだけでなく、蒸発器13を通過直後の送風空気の吹出空気温度を意味している。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除するオートスイッチ、吸込口モードを切り替える吸込口モードスイッチ、吹出口モードを切り替える吹出口モードスイッチ、送風機12の風量設定スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷凍サイクルの省動力化を優先させる省動力化要求信号を出力するエコノミースイッチ等が設けられている。
また、空調制御装置50は、乗員が携帯する無線端末82(リモコン)からの信号を受信するリモコン信号受信部50aを有している。無線端末82は、乗員が前述のプレ空調を行うことの要求信号を出力するものである。従って、乗員は車両から離れた場所からプレ空調のために車両用空調装置1を始動させることができる。なお、無線端末82には、プレ空調のスタートスイッチ82aが設けられている。
そして、空調制御装置50は、無線端末82からのプレ空調を行うことの要求信号を検出すると、プレ空調の運転モードとしてプレ空調運転モードおよびプレ送風運転モードのいずれか一方を実行するように構成されている。なお、空調制御装置50が、本発明のプレ空調を実行する実行手段を構成するとともに、プレ空調の運転モードを決定する運転モード決定手段を構成している。
ここで、プレ空調運転モードとは、送風機12、冷凍サイクル30およびPTCヒータ15を作動させた状態で、送風空気の温度調整を行って車室内の空調を行う運転モードである。なお、プレ空調運転モードでは、PTCヒータ15を常時作動させる必要はなく、必要に応じてPTCヒータ15を作動させるか否かを決定すればよい。換言すると、プレ空調運転モードは、少なくとも送風機12および圧縮機31を作動させる運転モードである。
一方、プレ送風運転モードとは、冷凍サイクル30を作動させることなく、送風機12を作動させた状態で、送風空気の温度調整を行って車室内の空調を行う運転モードである。換言すると、圧縮機31の作動を禁止して、少なくとも送風機12を作動させる運転モードである。
さらに、空調制御装置50は、エンジンEGの作動を制御するエンジン制御装置70に電気的接続されており、空調制御装置50およびエンジン制御装置70は互いに電気的に通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号や操作信号等に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50がエンジン制御装置70へエンジンEGの作動要求指令を出力することによって、エンジンEGを作動させることができる。
また、空調制御装置50およびエンジン制御装置70それぞれは、車両外部の電源からの供給電力等に応じて、車両における各種電装機器に配分する電力の決定等を行うバッテリ制御装置90に電気的に接続されている。本実施形態では、空調制御装置50にバッテリ制御装置90から出力される出力信号(空調用に使用を許可する空調使用許可電力を示すデータ等)が入力される。
ここで、空調使用許可電力は、「車両全体で使用可能な電力(車両使用可能電力)のうち空調用に使用が許可された電力」である。本実施形態のように商用電源からの電力が供給可能に構成された車両(プラグインハイブリッド車両や電気自動車)における空調使用許可電力は、基本的には、電源の電力供給能力が高いほど大きくなるように決定される。
具体的には、本実施形態の空調使用許可電力は、車両外部の商用電源から供給される電力にてプレ空調を行う場合、商用電源からの電力を車両で使用可能とするための電圧変換器の変換効率を車両使用可能電力に乗じた上で、さらに、空調機器以外の電装機器(例えば、操作パネル60、各種制御装置50、70、90、図示しない12Vバッテリ等)で使用する電力(200〜500W)を減算して算出している。例えば、車両使用可能電力が1100W程度(商用電源100V)、電圧変換器の変換効率が80%、および車両における空調機器以外の電装機器で使用する電力が350Wの場合、空調使用許可電力は530W(=1100W×0.8−350W)となる。なお、本実施形態では、バッテリ制御装置90が空調使用許可電力を算出する空調使用許可電力算出手段を構成している。
また、空調制御装置50は、上述した各種空調機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、本実施形態では、特に、圧縮機31の電動モータ31bに接続されたインバータ61から出力される交流電圧の周波数を制御して、圧縮機31の冷媒吐出能力を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を吐出能力制御手段50bとし、送風手段である送風機12の作動を制御して、送風機12の送風能力を制御する構成を送風能力制御手段50cとする。また、空調制御装置50におけるプレ空調を行う際の運転モードを決定する構成を運転モード決定手段50dとする。もちろん、吐出能力制御手段50b等を空調制御装置50に対して別体で構成してもよい。
次に、図4〜図7により、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。図4は、本実施形態の車両用空調装置1の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両システムが停止している場合でも、バッテリ81から空調制御装置50に電力が供給されることによって実行される。なお、図4〜図7中の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、ステップS1では、プレ空調のスタートスイッチ82a、あるいは操作パネル60の車両用空調装置1の作動スイッチが投入(ON)されたか否かを判定する。そして、プレ空調のスタートスイッチ82a、あるいは車両用空調装置の作動スイッチが投入されるとステップS2へ進む。
ステップS2では、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値が維持されるものもある。
次に、ステップS3では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS4へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内設定温度Tset、オートスイッチによる設定信号(自動制御要求信号、自動制御解除信号)、吸込口モードスイッチの設定信号、エコノミースイッチの操作に応じて出力される省動力化要求信号がある。
ステップS4では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜58等の検出信号やバッテリ制御装置90の出力信号を読み込む。また、このステップS4では、エンジン制御装置70の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、およびエンジン制御装置70から出力される制御信号等の一部も、エンジン制御装置70から読み込んでいる。
次に、ステップS5では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチ60cによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度、Tamは外気センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
続くステップS6〜S13では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。まず、ステップS6では、エアミックスドア19の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された吹出空気温度TE、エアミックス前の温風温度TWDに基づいて算出する。
具体的には、目標開度SWは、次の数式F2−1により算出できる。
SW=[{TAO−(TE+2)}/{TWD−(TE+2)}]×100(%)…(F2−1)
ここで、エアミックス前の温風温度TWDとは、加熱用冷風通路16に配置された加熱手段(ヒータコア14、およびPTCヒータ15)の加熱能力に応じて決定される値であって、具体的には、次の数式F2−2により算出できる。
TWD=TW×0.8+TE×0.2+ΔTptc…(F2−2)
ここで、TWは冷却水温度センサ58によって検出された冷却水温度、ΔTptcは、PTCヒータ15の作動による吹出温上昇量、すなわち吹出口から車室内へ吹出される空調風の温度(吹出温)のうちPTCヒータ15の作動が寄与した温度上昇量である。
つまり数式F2−2では、エアミックス前の温風温度TWDを、ヒータコア14による吹出温上昇量(TW×0.8+TE×0.2)とPTCヒータ15の作動による吹出温上昇量ΔTptcとの合計値として求めている。
ヒータコア14による吹出温上昇量(TW×0.8+TE×0.2)における係数の「0.8」はヒータコア14の熱交換効率αの一例であり、「0.2」はヒータコア14からの吹出空気温度に対する蒸発器13における冷媒蒸発温度(蒸発器13を通過直後の吹出空気の温度)TEの寄与度βの一例である。
一方、PTCヒータ15の作動による吹出温上昇量ΔTptcは、PTCヒータ15の消費電力W(Kw)、空気密度ρ(kg/m3)、空気比熱Cp、PTCヒータ15を通過する風量であるPTC通過風量Va(m3/h)を用いて、数式F2−3により演算できる。
ΔTptc=W/ρ/Cp/Va×3600・・・(F2−3)
ここで、PTCヒータ15の消費電力Wとしては、PTCヒータ15の定格消費電力を、PTCヒータ15に流入する空気の温度と、PTC素子の温度特性とに基づいて補正した値を用いることができる。PTC通過風量Vaとしては、単純に送風機12により車室内に送風する空気の送風量(ブロワ風量)を用いるのではなく、数式F2−4により演算したもの、すなわち、ブロワ風量に対して、前回のステップS5で算出したエアミックス開度を考慮したものを用いる。
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア19の最大冷房位置であり、冷風バイパス通路17を全開し、加熱用冷風通路16を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア19の最大暖房位置であり、冷風バイパス通路17を全閉し、加熱用冷風通路16を全開する。
次のステップS7では、送風機12の送風能力(送風量)を決定する。具体的には、ステップS5にて決定された目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、送風機12の送風能力(具体的には、電動モータに印加するブロワモータ電圧)を決定する。
より詳細には、本実施形態の制御マップでは、TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)でブロワモータ電圧を最大値にして、送風機12の送風量Gaを最大風量に制御する。さらに、TAOが極低温域あるいは極高温域から中間温度域に向かうに伴って、ブロワモータ電圧を減少させて送風量を減少させる。
次のステップS8では、吸込口モード、すなわち内外気切替箱20の切替状態を決定する。このステップS8の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS21では、ステップS1にてプレ空調のスタートスイッチ82aが投入されていると判定されたプレ空調状態であるか否かを判定する。
ステップS21にて、プレ空調状態であると判定された場合には、ステップS22へ進み、後述する圧縮機31の冷媒吐出能力を決定する処理(ステップS10)にて決定される運転モードが、プレ空調運転モードであるかプレ送風運転モードであるかを判定する。
ステップS22にて、選択された運転モードがプレ空調運転モードであるとされた際には、ステップS23へ進み内外気切替箱20を内気モードとすることが決定されて、ステップS9へ進む。すなわち、プレ空調運転モード時には、内外気切替箱20を内気モードとすることで、車室内空気を循環送風する。
また、選択された運転モードがプレ送風運転モードであるとされた際には、ステップS24へ進み内外気切替箱20を外気モードとすることが決定されて、ステップS9へ進む。すなわち、プレ送風運転モード時には、内外気切替箱20を内気モードとすることで、車室内に車室外空気を導入する。
一方、ステップS21にて、プレ空調状態でないと判定された場合には、ステップS25へ進み、ステップS3で読み込んだオートスイッチによる設定信号が自動制御要求信号であるか自動制御解除信号であるかを判定する。ステップS25にて、オートスイッチによる設定信号が、自動制御要求信号であると判定された場合は、ステップS26へ進む。
ステップS26では、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、吸込口モードを決定する。具体的には、TAOが上昇過程にあるときは、TAO≧第1所定温度T1であれば外気モードとし、第1所定温度T1>TAO≧第2所定温度T2であれば内外気混入モードとし、第2所定温度T2>TAOであれば内気モードとする。
一方、TAOが下降過程にあるときは、第3所定温度T3≧TAOであれば内気モードとし、第3所定温度T3≧TAO>第2所定温度T2であれば内外気混入モードとし、TAO>第2所定温度T2であれば、外気モードとしてステップS9へ進む。なお、各所定温度には、T1>T2>T3の関係がある。また、各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
また、ステップS25にて、オートスイッチによる設定信号が、自動制御解除信号であると判定された場合は、ステップS27へ進む。ステップS27では、ステップS3で読み込んだ吸込口モードスイッチの設定信号に応じて、内気モードあるいは外気モードが決定されて、ステップS9へ進む。
図4に戻り、ステップS9では、吹出口モードを決定する。この吹出口モードも、TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。本実施形態では、TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて吹出口モードをフットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと順次切り替える。
従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択される。さらに、湿度センサの検出値から窓ガラスWに曇りが発生する可能性が高い場合には、フットデフロスタモードあるいはデフロスタモードを選択するようにしてもよい。
次のステップS10では、圧縮機31の冷媒吐出能力(具体的には、回転数[rpm])を決定する。このステップS10の詳細については、図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、図6のステップ31中に記載の圧縮機回転数の偏差Enと偏差変化率Edotとの関係図は、圧縮機31の回転数変化量Δf_Cを算出するためのファジー推論のルールの一例を示す図である。
まず、ステップS31では、ファジー推論に基づいて前回の圧縮機回転数fn−1に対する仮の回転数変化量Δf_Cを算出する。具体的には、ステップS4で決定したTAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEの目標冷媒蒸発温度TEOを決定する。なお、目標冷媒蒸発温度TEOは、蒸発器13が着霜(フロスト)しない範囲の温度に決定される。
さらに、この目標冷媒蒸発温度TEOと冷媒蒸発温度TEの偏差En(=TEO−TE)、および今回算出された偏差Enから前回算出された偏差En−1を減算した偏差変化率Edot(=En−(En−1))を用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールに基づいて、仮の回転数変化量Δf_C(rpm)を算出する。
次のステップS32では、プレ空調の開始時であるか否かを判定する。すなわち、ステップS1にてプレ空調のスタートスイッチ82aが投入されたことを読み込んだ後、一回目の運転モードや圧縮機31の回転数を決定する制御処理であるか否かを判定する。
ステップS32にて、プレ空調の開始時であると判定された場合には(S32:YES)、ステップS33に進む。ステップS33では、プレ空調を行う際の運転モードを、プレ空調運転モードおよびプレ送風運転モードから決定する。以下、本実施形態におけるプレ空調を行う際の運転モードの決定手法について説明する。
プレ空調を行う際に、圧縮機31を充分に作動させるだけの空調使用許可電力を確保できない場合に、圧縮機31を作動させるプレ空調運転モードに決定したとしても、車室内温度Trを充分に低下させることができない虞がある。
そのため、本実施形態では、プレ空調を行う際の運転モードを空調使用許可電力に応じて決定する。つまり、空調使用許可電力が基準電力以下である場合には、圧縮機31等を充分に作動させるだけの空調使用許可電力を確保できない虞があるため、プレ送風運転モードに決定する。一方、空調使用許可電力が基準電力を上回る場合には、プレ空調運転モードに決定する。なお、基準電力の基本設定は、車室内の空調を行う際に空調機器で必要とされる平均的な電力を標準的な基準として設定される。
ところで、空調負荷としての車室内温度Trが高い場合には、内外気切替箱20を内気モードとして冷凍サイクル30にて温度調整された送風空気を車室内に循環送風すると、車室内へ吸い込み空気の温度(車室内温度)が高いので、圧縮機31の消費電力が増大する場合がある。この場合、圧縮機31の消費動力の増大することで、圧縮機31を充分に作動させるだけの空調使用許可電力を確保することが困難となり、プレ空調運転モードにて充分に車室内温度Trを低下させることが困難となる状況が想定される。
このような理由から、本実施形態では、車室内温度Trに応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を変更している。なお、本実施形態では、運転モードの基準電力を、車室内温度Trが大きくなるに伴い、大きくなるように設定している。
具体的には、ステップS33では、ステップS4で読み込んだ車室内温度Tr、およびバッテリ制御装置90の出力信号(空調使用許可電力)に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、プレ空調を行う際の運転モードを決定する。なお、本実施形態の制御マップは、ステップS33中に記載の車室内温度Tr、空調使用許可電力、および各運転モードの関係図の通り、車室内温度Trに応じて設定される基準電力(図6のステップS33、S42中の太実線で示す基準ラインL1)と空調使用許可電力との関係から運転モードを決定する。
すなわち、空調使用許可電力が、車室内温度Trに応じて設定される基準電力(基準ラインL1)を上回った場合にプレ送風運転モードに決定し、当該基準電力以下の場合にプレ空調運転モードに決定する。
次のステップS34では、ステップS33で決定された運転モードがプレ空調運転モードであるか否かを判定する。ステップS34にてプレ空調運転モードと判定された場合には、ステップS35にて仮の回転数変化量Δf_PRE(rpm)を決定する。
具体的には、圧縮機31の消費電力が空調使用許可電力を超えないように、空調使用許可電力から圧縮機31の消費電力を減算した値に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、仮の回転数変化量Δf_PRE(rpm)を決定する。本実施形態の制御マップは、ステップS34中に記載の空調使用許可電力から圧縮機31の消費電力を減算した減算値と仮の回転数変化量Δf_PREとの関係図の通り、当該減算値の増加に伴って仮の回転数変化量Δf_PREが増加するように決定する。
ここで、圧縮機31の消費電力は、例えば、前回の圧縮機回転数fn−1、あるいは前回の圧縮機回転数fn−1にステップS31で決定した仮の回転数変化量Δf_Cを加算した仮の圧縮機回転数に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定することができる。
次のステップS36では、ステップS31で決定した仮の回転数変化量Δf_C、およびステップS35で決定した仮の回転数変化量Δf_PREのうち小さい方の値を今回の仮の回転数変化量Δfに決定する。つまり、蒸発器13の着霜や空調使用許可電力を超えてしまうことがないような値の回転数変化量Δfに決定する。
次のステップS37では、空調使用許可電力に応じて設定する仮の圧縮機回転数f(許可電力)を設定する。ステップS37では、ステップS33にてプレ空調運転モードが決定されているので、仮の圧縮機回転数f(許可電力)を「10000」に設定し、後述するステップS38に進む。なお、本実施形態の圧縮機31としては、実際の最高回転数が10000rpm以下となるものが採用されている。
次のステップS38では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値および仮の圧縮機回転数f(許可電力)のうち、小さい方の回転数を今回の圧縮機回転数fnとして設定する。なお、この圧縮機回転数fnの更新は、1秒毎の制御周期で実行される。
そのため、プレ空調の開始時において、ステップS33にてプレ空調運転モードが決定される場合、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。この場合、プレ空調の開始時には、冷凍サイクル30(圧縮機31)を作動させるので、冷凍サイクル30の蒸発器13等にて温度調整された送風空気を車室内に吹き出すことになる。
また、ステップS34にて、ステップS33で決定された運転モードがプレ送風運転モードと判定された場合には、ステップS39にて仮の圧縮機回転数f(許可電力)を「0」に設定する。なお、ステップS39では、ステップS31で決定された仮の回転数変化量Δf_Cを今回の回転数変化量Δfと決定して、ステップS38へ進む。
そして、ステップS38では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値および仮の圧縮機回転数f(許可電力)のうち、仮の圧縮機回転数f(許可電力)を今回の圧縮機回転数fnに決定(圧縮機31の回転数を0(rpm)に決定)する。この場合、プレ空調の開始時には、圧縮機31の作動を禁止して送風機12を作動させることで車室外空気を車室内に吹き出して車室内を換気することとなる。なお、プレ送風運転モードの際には、ステップS8にて内外気切替箱20が外気モードに設定される。
一方、ステップS32の判定処理の結果、プレ空調の開始時でないと判定された場合には(S32:NO)、ステップS40に進み、プレ空調中(プレ空調状態)であるか否かを判定する。すなわち、ステップS40では、ステップS1にてプレ空調のスタートスイッチ82aが投入されたことを読み込んだ後、二回目以降の運転モードや圧縮機31の回転数を決定するための制御処理であるか否かを判定する。
ステップS40の判定処理の結果、プレ空調中(プレ空調状態)でないと判定された場合(S40:NO)、ステップS41に進み、ステップS31で決定された仮の回転数変化量Δf_Cを今回の回転数変化量Δfに設定する。なお、ステップS41では、仮の圧縮機回転数f(許可電力)を「10000」に設定して、ステップS38へ進む。そして、ステップS38では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。
ステップS40の判定処理の結果、プレ空調中(プレ空調状態)であると判定された場合(S40:YES)、ステップS42に進み、ステップS33と同様に、車室内温度Tr、外気温Tam、およびバッテリ制御装置90の検出信号に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、プレ空調を行う際の運転モードを決定する。なお、本実施形態の制御マップは、ステップS33の処理にて用いる制御マップと同様であるため説明を省略する。
ステップS42にて、プレ空調中の運転モードを決定した後、ステップS43に進み、プレ送風運転モードからプレ空調運転モードへと切り替わったか否かを判定する。ステップS43にて、プレ送風運転モードからプレ空調運転モードへと切り替わったと判定された場合には(S43:YES)、ステップS35へ進み、上述のステップS35〜ステップS38までの処理を行う。
従って、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。この場合、プレ空調の開始時には、冷凍サイクル30(圧縮機31)を作動させるので、冷凍サイクル30の蒸発器13等にて温度調整された送風空気を車室内に吹き出すこととなる。
一方、ステップS43にてプレ送風運転モードからプレ空調運転モードへと切り替わっていないと判定された場合には(S43:NO)、ステップS44へ進み、プレ空調開始時に設定した仮の圧縮機回転数f(許可電力)を今回の仮の圧縮機回転数として保持する。つまり、プレ空調開始時において、ステップS37又はステップS39にて設定した仮の圧縮機回転数f(許可電力)を今回の仮の圧縮機回転数f(許可電力)に設定する。
次に、ステップS45では、ステップS35の処理と同様に、仮の回転数変化量Δf_PRE(rpm)を決定して、ステップS46に進む。そして、ステップS46にて、ステップS31で決定した仮の回転数変化量Δf_C、およびステップS45で決定した仮の回転数変化量Δf_PREのうち小さい方の値を今回の仮の回転数変化量Δfに決定して、ステップS38に進む。
なお、ステップS44にてプレ空調開始時に仮の圧縮機回転数f(許可電力)を「10000」とした場合には、ステップS38にて、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。この場合、プレ空調を行う際に、冷凍サイクル30(圧縮機31)を作動させるので、冷凍サイクル30の蒸発器13等にて温度調整された送風空気を車室内に吹き出すこととなる。
一方、プレ空調開始時に仮の圧縮機回転数f(許可電力)=0とした場合には、ステップS38にて、圧縮機31の回転数を0(rpm)に決定する。この場合、プレ空調を行う際に冷凍サイクル30を作動させないので、車室外空気を車室内に吹き出して車室内を換気することとなる。
このように、本実施形態の制御ステップS10では、プレ空調の開始時において、運転モードがプレ空調運転モードに決定された場合は、ステップS36で設定した回転数変化量Δfに基づいて今回の圧縮機回転数を決定し、プレ送風運転モードに決定された場合は、圧縮機31の回転数を「0」に決定する。そして、プレ空調の開始後において、プレ送風運転モードからプレ空調運転モードに切り替わった場合には、ステップS36で設定した回転数変化量Δfに基づいて圧縮機31の回転数を決定する。
図4に戻り、ステップS11では、PTCヒータ15の作動本数を決定する。PTCヒータ15の作動本数は、エアミックス開度SWおよび冷却水温度Twに応じて決定される。ここで、エアミックス開度SWが小さくなることは、加熱用冷風通路16にて送風空気を加熱する必要性が少なくなることを意味している。従って、エアミックス開度SWが小さくなるに伴ってPTCヒータ15を作動させる必要性も少なくなる。
そこで、本実施形態では、まず、エアミックス開度SWが予め定めた基準開度(本実施形態では、40%)より小さい場合は、PTCヒータ15を作動させる必要は無いものとして、PTCヒータ15の作動状態を非通電(OFF)に決定する。一方、エアミックス開度SWが予め定めた基準開度以上であれば、PTCヒータ15を作動させる必要があるものとして、PTCヒータ15の作動状態を通電(ON)に決定する。
次に、PTCヒータ15の作動状態が通電(ON)に決定された場合は、冷却水温度Twに基づいて、予め定めた制御マップを参照して、PTCヒータ15の作動本数を決定する。具体的には、冷却水温度Twの低下に伴って、PTCヒータ15の作動本数を増加させる。
次のステップS12では、空調制御装置50からエンジン制御装置70へ出力される要求信号を決定する。つまり、ステップS11では、エンジンEGの作動要求信号(エンジンON要求)を出力するか否かを決定する。
ここで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、走行時に常時エンジンを作動させているので冷却水も常時高温となる。従って、通常の車両では冷却水をヒータコア14に流通させることで十分な暖房性能を発揮することができる。
これに対して、本実施形態のハイブリッド車両では、バッテリ81の蓄電残量に余裕があれば、走行用電動モータのみから走行用の駆動力を得て走行することができる。このため、高い暖房性能が必要な場合であっても、エンジンEGの停止頻度が高くなると冷却水温度が40℃程度となってしまい、ヒータコア14にて十分な暖房性能が発揮できなくなる。
そこで、本実施形態では、高い暖房性能が必要にもかかわらず冷却水温度Twが予め定めた基準冷却水温度よりも低いときは、冷却水温度Twを所定温度以上に維持するため、空調制御装置50からエンジン制御装置70に対して、エンジンEGを作動するように作動要求信号を出力している。
なお、このような作動要求信号の出力は、車両走行用の駆動源としてエンジンEGを作動させる必要の無い場合であってもエンジンEGを作動させることになるので、燃費を悪化させる要因となる。このため、作動要求信号を出力する頻度は極力低減させることが望ましい。
従って、本実施形態では、プレ空調時には、空調制御装置50からエンジン制御装置70に対して、エンジンEGの作動要求信号を出力することを禁止している。さらに、例えば、エコノミースイッチによって省動力化要求信号が出力されている場合には、エンジンEGの作動要求信号を出力する頻度を低下させるようにしてもよい。
次のステップ13では、ヒータコア14とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる電動ウォータポンプ42を作動させるか否かを決定する。このステップS13の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS51では、冷却水温度Twが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。
ステップS51にて、冷却水温度Twが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS54へ進み、電動ウォータポンプ42を停止(OFF)させることを決定する。その理由は、冷却水温度Twが吹出空気温度TE以下となっている場合に冷却水をヒータコア14へ流すと、ヒータコア14を流れる冷却水が蒸発器13通過後の空気を冷却してしまうことになるため、かえって吹出口からの吹出空気温度を低くしてしまうからである。
一方、ステップS51にて、冷却水温度Twが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS52へ進む。ステップS52では、送風機12が作動しているか否かが判定される。ステップS52にて、送風機12が作動していないと判定された場合は、ステップS54に進み、省動力化のために電動ウォータポンプ42を停止(OFF)させることを決定する。
一方、ステップS52にて送風機12が作動していると判定された場合は、ステップS53へ進み、電動ウォータポンプ42を作動(ON)させることを決定する。これにより、電動ウォータポンプ42が作動して、冷却水が冷媒回路内を循環するので、ヒータコア14を流れる冷却水とヒータコア14を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
また、本実施形態では、プレ空調時にプレ送風運転モードが選択されている場合は、電動ウォータポンプ42を停止(OFF)させている。なお、プレ空調時であっても、前回、車両を停止してからの経過時間が短い場合は、エンジンEGおよび冷却水回路40を構成する各機器の熱容量によって、冷却水温度Twが吹出空気温度TEより高い場合もある。従って、プレ空調運転モードでは、図7と同様の制御を行うことができる。
図4に戻り、ステップS14では、上述のステップS6〜S13で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器12、61、35、62、63、64、15a、15b、15c、42やエンジン制御装置70に対して制御信号および制御電圧が出力される。
これにより、例えば、空調制御装置50の吐出能力制御手段50bからインバータ61に対して制御信号が出力され、送風能力制御手段50cから送風機12の電動モータに対して制御電圧(ブロア電圧V)が出力される。さらに、空調制御装置50からエンジン制御装置70に対して、エンジンの作動要求信号が出力されれば、走行条件によってエンジンEGが停止している場合であっても、エンジンEGが作動する。
次のステップS15では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。
なお、本実施形態は制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、送風機12から送風された送風空気が、蒸発器13にて冷却される。そして蒸発器13にて冷却された冷風は、エアミックスドア19の開度に応じて、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17へ流入する。
加熱用冷風通路16へ流入した冷風は、ヒータコア14およびPTCヒータ15を通過する際に加熱されて、混合空間18にて冷風バイパス通路17を通過した冷風と混合される。そして、混合空間18にて温度調整された空調風が、混合空間18から各吹出口を介して車室内に吹き出される。
この車室内に吹き出される空調風によって車室内の内気温Trが外気温Tamより低く冷やされる場合には、車室内の冷房が実現されており、一方、内気温Trが外気温Tamより高く加熱される場合には、車室内の暖房が実現されることになる。
さらに、本実施形態では、プレ空調を行う際に、空調使用許可電力が基準電力を上回る場合には、運転モードをプレ空調運転モードに決定する。プレ空調運転モードでは、圧縮機31および送風機12それぞれを作動させるので、充分に車室内温度を低下させることができる。また、プレ空調運転モードでは、内外気切替箱20を内気モードに設定するので、冷凍サイクル30によって温度調整された送風空気を車室内に循環送風させることができ、より一層、車室内温度を低下させることができる。
一方、プレ空調を行う際に、空調使用許可電力が基準電力以下の場合には、プレ空調を行う際の運転モードをプレ送風運転モードに決定する。プレ送風運転モードでは、圧縮機31の作動を禁止するとともに、送風機12を作動させ、さらに内外気切替箱20を外気モードに設定するので、車室内に車室外空気を取り入れて車室内温度Trを低下させることができる。
従って、プレ空調を行う際に、車両外部の商用電源からの電力にて圧縮機31を充分に作動できるだけの空調使用許可電力を確保できない場合であっても、車室内に車室外空気を取り入れることで、車室内温度Trを低下させることができる。
その結果、例えば、商用電源から供給される電力によってプレ空調を行うことが可能な電動自動車等に適用することで、車両に乗員が乗り込んだ際の快適性を向上させることができる。加えて、プレ空調運転モードおよびプレ送風運転モードのいずれか一方を実行して車室内温度を低下させることで、乗員が乗り込んだ後に行う空調時のエネルギ消費を低減することができ、ひいては、燃費の向上も図ることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を、車室内温度Trが大きくなるにつれて、大きくしている。
これにより、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を車室内温度Trに応じて変更することで、プレ空調を行う際の運転モードが、車室内温度Trが大きい程プレ送風運転モードとなりやすくなり、車室内温度Trが小さい程プレ空調運転モードとなりやすくなる。
従って、車室内温度Trが高いときには、圧縮機31を充分に作動できるだけの空調使用許可電力を確保できない場合であっても、内外気切替箱20を外気モードに切り替えて車室内に車室外空気を取り入れることで、車室内温度Trを低下させることができる。
一方、車室内温度Trが低いときには、圧縮機(31)を作動させることで、冷凍サイクル(30)にて温度調整された空気を車室内に吹き出すことができるので、車室内温度Trをより低下させることができる。その結果、車両に乗員が乗り込んだ際の快適性をより効果的に向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図8に基づいて説明する。ここで、図8は、図4におけるステップS10の処理の要部を示すフローチャートである。なお、上記第1実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。このことは、以下の実施形態でも同様である。
図8に示すように、本実施形態では、ステップS10におけるプレ空調を行う際の運転モードの決定方法が第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態では、車室内温度Trに応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を変更している。これに対して、本実施形態では、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を車室内温度Trから外気温Tamを減算した減算値(以下、単に内外温度差という。)に応じて変更している。
理由としては、外気温Tamに比べて車室内温度Trが高い場合には、車室外空気が車室内空気よりも温度が低いので、車室外空気を車室内に取り込むことで、車室内温度Trを確実に低下させることができるからである。ここで、本実施形態では、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を内外温度差が大きくなるに伴い、大きくなるように設定している。なお、本実施形態では、内外温度差が本発明の空調負荷に相当している。
具体的には、ステップS33およびステップS42では、ステップS4で読み込んだ車室内温度Tr、外気温Tam、およびバッテリ制御装置90からの出力信号(空調使用許可電力)に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、プレ空調を行う際の運転モードを決定する。なお、本実施形態の制御マップは、ステップS33およびステップS42中に記載の空調使用許可電力および内外温度差と各運転モードの関係図の通り、内外温度差によって設定される基準電力(図8のステップS33、S42中の太実線で示す基準ラインL2)と空調使用許可電力との関係から運転モードを決定する。
すなわち、空調使用許可電力が、内外温度差に応じて設定される基準電力(基準ラインL2)を上回った場合に、プレ送風運転モードに決定し、当該基準電力以下の場合にプレ空調運転モードに決定する。
このように、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を内外温度差に応じて変更することで、プレ空調を行う際の運転モードが、内外温度差が大きい程プレ送風運転モードとなりやすくなり、内外温度差が小さい程プレ空調運転モードとなりやすくなる。これにより、プレ送風運転モードに設定した際に、車室内空気よりも低温である車室外空気を車室内に導入することで、車室内温度Trを確実に低下させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9に基づいて説明する。ここで、図9は、図4におけるステップS10の処理の要部を示すフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態では、ステップS10におけるプレ空調を行う際の運転モードの決定方法が第1、第2実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態では、車室内温度Trに応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を変更し、第2実施形態では、内外温度差に応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を変更している。これに対して、本実施形態では、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を車室内の日射量Tsに応じて変更している。
ここで、車室内の日射量Tsが大きい場合には、外気温Tamに対して相対的に車室内温度Trが上昇し、車室内温度Trが高温となりやすくなる。すなわち、車室内の日射量Tsが大きい場合には、冷凍サイクル30にて温度調整された送風空気を車室内に循環送風すると、圧縮機31の消費電力が増大するおそれがあり、プレ空調運転モードにて充分に車室内温度Trを低下させることが困難となる状況が想定される。
このような理由から、本実施形態では、車室内の日射量Tsに応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を変更している。ここで、本実施形態では、運転モードの基準電力を、車室内の日射量Tsが大きくなるに伴い、大きくなるように設定している。
具体的には、ステップS33およびステップS42では、ステップS4で読み込んだ車室内の日射量Ts、およびバッテリ制御装置90からの出力信号(空調使用許可電力)に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、プレ空調を行う際の運転モードを決定する。なお、本実施形態の制御マップは、ステップS33およびステップS42中に記載の空調使用許可電力および日射量Tsと各運転モードの関係図の通り、日射量Tsによって設定される基準電力(図9のステップS33、S42中の太実線で示す基準ラインL3)と空調使用許可電力との関係から運転モードを決定する。
すなわち、空調使用許可電力が、日射量Tsに応じて設定される基準電力(基準ラインL3)を上回った場合に、プレ送風運転モードに決定し、当該基準電力以下の場合にプレ空調運転モードに決定する。
このように、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を日射量Tsに応じて変更することで、プレ空調を行う際の運転モードが、日射量Tsが大きい程プレ送風運転モードとなりやすくなり、日射量Tsが小さい程プレ空調運転モードとなりやすくなる。
従って、本実施形態の車両用空調装置1のように、プレ空調を行う際の運転モードを決定するための基準電力を、日射量Tsが大きくなるにつれて、大きくすることによって、第1実施形態で説明した車両用空調装置と同等の効果を奏することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図10に基づいて説明する。ここで、図10は、図4におけるステップS10の処理の要部を示すフローチャートである。
プレ空調を行なう際の運転モードをプレ空調運転モードにて、冷凍サイクル30を作動させたとしても、空調使用許可電力が制限されていると、車室内温度Trを所望の温度まで低下させることができなくなってしまう場合がある。この場合、プレ空調運転モードよりも車室外空気を車室内に導入するプレ送風運転モードにてプレ空調を行う方が車室内温度Trを低下させることができることもある。
そこで、本実施形態では、上記点を考慮して、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEと外気温Tamとの関係に基づいて、プレ空調を行う際の運転モードを決定している。本実施形態のステップS10の詳細について以下に述べる。
図10に示すように、本実施形態では、ステップS10において、まず、ステップS61では、ファジー推論に基づいて前回の圧縮機回転数fn−1に対する仮の回転数変化量Δf_Cを算出する。なお、具体的な処理内容は、第1実施形態で説明したステップS31の処理内容と同様であるため、その説明を省略する。
次のステップS62では、プレ空調中であるか否かを判定する。すなわち、ステップS1にてプレ空調のスタートスイッチ82aが投入されたことを読み込んだ後の処理であるか否かを判定する。
ステップS62の判定処理の結果、プレ空調中と判定された場合には(S62:YES)、ステップS63に進む。ステップS63では、プレ空調を開始してから所定時間(本実施形態では5分)経過したか否かを判定する。
ステップS63の判定処理の結果、プレ空調を開始してから所定時間経過していないと判定された場合には(S63:NO)、ステップS64にて、プレ空調を行う際の運転モードをプレ空調運転モードに決定し、ステップS65に進む。つまり、プレ空調を行う際の運転モードは、プレ空調を開始してから所定時間経過するまではプレ空調運転モードに決定されることとなる。
次に、ステップS65では、圧縮機31の消費電力が空調使用許可電力を超えないように、仮の回転数変化量Δf_PREを決定し、ステップS66に進む。なお、当該仮の回転数変化量Δf_PREでの処理内容は、第1実施形態で説明したステップS35の処理内容と同様であるため、その説明を省略する。
次のステップS66では、ステップS61で決定した仮の回転数変化量Δf_C、およびステップS65で決定した仮の回転数変化量Δf_PREのうち小さい方の値を今回の仮の回転数変化量Δfに決定する。つまり、蒸発器13の凍結や空調使用許可電力を超えてしまうことがないような値の回転数変化量Δfに決定する。
次のステップS67では、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEに応じて設定する仮の圧縮機回転数f(TE)を設定する。ステップS67では、ステップS33にてプレ空調運転モードが決定されているので、仮の圧縮機回転数f(TE)を「10000」に設定し、後述するステップS68に進む。なお、本実施形態の圧縮機31としては、実際の最高回転数が10000rpm以下となるものが採用されている。
次のステップS68では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値および仮の圧縮機回転数f(TE)のうち、小さい方の回転数を今回の圧縮機回転数fnとして設定する。
そのため、プレ空調を開始してから所定時間が経過するまでは、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。この場合、プレ空調の開始時には、冷凍サイクル30(圧縮機31)を作動させるので、冷凍サイクル30の蒸発器13等にて温度調整された送風空気を車室内に吹き出すことになる。
一方、ステップS63の判定処理の結果、プレ空調を開始してから所定時間経過していると判定された場合には(S63:YES)、ステップS69にて、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamより高いか否かを判定する。
ステップS69の判定処理の結果、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamより低いと判定された場合には(S69:NO)、プレ送風運転モードに設定した場合に比べて、プレ空調運転モードに設定した方が、車室内温度Trを低下させることができる。そのため、ステップS64に進み、運転モードをプレ空調運転モードに決定する。
蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamより高いと判定された場合には(S69:YES)、プレ空調運転モードに設定した場合に比べて、プレ送風運転モードに設定した方が、車室内温度Trを低下させることができる。そのため、ステップS70に進み、運転モードをプレ送風運転モードに決定する。
また、ステップS70にて、運転モードをプレ送風運転モードに決定した後、ステップS71にて仮の圧縮機回転数f(TE)を「0」に設定する。なお、ステップS71では、ステップS61で決定された仮の回転数変化量Δf_Cを今回の回転数変化量Δfと決定して、ステップS68へ進む。
そして、ステップS68では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値および仮の圧縮機回転数f(TE)のうち、仮の圧縮機回転数f(TE)を今回の圧縮機回転数fnに決定(圧縮機31の回転数を0(rpm)に決定)する。この場合のプレ空調は、圧縮機31の作動を禁止して送風機12を作動させることで車室外空気を車室内に吹き出して車室内を換気することとなる。
また、ステップS62の判定処理の結果、プレ空調中(プレ空調状態)でないと判定された場合(S62:NO)、ステップS72に進み、ステップS61で決定された仮の回転数変化量Δf_Cを今回の回転数変化量Δfに設定する。なお、ステップS72では、仮の圧縮機回転数f(TE)を「10000」に設定して、ステップS68へ進む。そして、ステップS68では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加算した値を今回の圧縮機回転数fnに決定する。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置1によれば、プレ空調をプレ空調運転モードで開始し、所定時間経過後の蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamよりも低い場合にプレ送風運転モードに決定して、プレ空調を行う際の運転モードを切り替える。
これにより、冷凍サイクル30の蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamよりも高い場合には、プレ空調運転モードからプレ送風運転モードに変更することで、車室内温度Trをより効果的に低下させることができる。
ところで、本実施形態で示した「プレ空調開始してから所定時間経過後における蒸発器13における冷媒蒸発温度TEと外気温度Tamとの関係に応じてプレ空調を行う際の運転モードを決定する」といった処理を第1〜第3実施形態に適宜採用してもよい。
例えば、第1〜第3実施形態で示す車両用空調装置1において、プレ空調を開始してから所定時間経過後であって、かつ、プレ空調を行う際の運転モードがプレ空調運転モードに決定された後、蒸発器13における冷媒蒸発温度TEが外気温Tamよりも高いか否かの判定処理を行ない、当該判定処理にて冷媒蒸発温度TEが外気温Tamよりも高いと判定された場合には、強制的にプレ送風運転モードに切り替えるようにしてもよい。これによれば、第1〜第3実施形態で示す車両用空調装置1においても、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、本発明をハイブリッド車両のうち、車両外部の商用電源からの電力供給によってバッテリ81を充電可能なプラグインハイブリッド車両としているが、本発明の適用はこれに限定されない。
例えば、車両外部の外部電源に限らず、バッテリ81を充電するための発電機を搭載する車両に本発明を適用してもよいし、車両外部の商用電源にてバッテリ81を充電しないハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。なお、商用電源から電力供給を行わない車両(例えば、ハイブリッド車両や電池交換式の電気自動車)に本発明を適用する場合、空調使用許可電力は、基本的には、バッテリ80に蓄電残量(車両使用可能電力)が多いほど、大きくなるように決定することができる。但し、空調機器を除く電装機器における消費電力が大きい場合には、その分小さくなるように補正すればよい。
(2)上述の各実施形態では、バッテリ制御装置90が空調使用許可電力を算出する構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、バッテリ制御装置90からの出力信号(車両全体で使用可能な電力、バッテリ80の蓄電残量、空調機器以外の電装機器にて使用する電力に関するデータ等)に基づいて、空調制御装置50にて空調使用許可電力を算出する構成としてもよい。この場合には、空調制御装置50が空調使用許可電力を算出する空調使用許可電力算出手段を構成することとなる。
(3)上述の各実施形態では、本発明をハイブリッド車両に適用した例を説明しているが、本発明の適用はこれに限定されず、電気自動車等に適用してもよい。また、上述の実施形態では、加熱手段としてPTCヒータ15を採用した例を説明したが、加熱手段はこれに限定されない。電力を供給することによって発熱する加熱手段であれば、抵抗加熱方式、誘電加熱方式等のヒータを採用することができる。
(4)上述の各実施形態では、本発明の車両用空調装置1を、ハイブリッド車両のうちエンジンEGおよび走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能な、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両に適用した例を説明しているが、本発明の車両用空調装置の適用はこれに限定されない。
例えば、エンジンEGを発電機80の駆動源として用い、発電された電力をバッテリ81に蓄え、さらに、バッテリ81に蓄えられた電力を供給されることによって作動する走行用電動モータから駆動力を得て走行する、いわゆるシリアル型のハイブリッド車両に適用してもよい。
12 送風機
13 蒸発器
20 内外気切替箱(内外気切替手段)
30 冷凍サイクル
31 圧縮機
50 空調制御装置
50d 運転モード決定手段
81 バッテリ
Tr 車室内温度
Tam 外気温
Ts 日射量
TE 冷媒蒸発温度

Claims (8)

  1. 電力を供給されることによって車室内へ空気を送風する送風機(12)と、
    前記送風機(12)に車室外空気を吸入させる外気モードおよび車室内空気を吸入させる内気モードを切り替える内外気切替手段(20)と、
    電力を供給されることによって冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(31)を含んで構成されて前記送風機(12)にて送風された送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル(30)と、を備え、
    乗員が車両に乗り込む前に前記車室内の空調を開始するプレ空調を実行可能な車両用空調装置であって、
    前記プレ空調を行う際の運転モードとして、前記送風機(12)を作動させるとともに前記圧縮機(31)を作動させるプレ空調運転モード、および、前記送風機(12)を作動させるとともに前記圧縮機(31)の作動を禁止するプレ送風運転モードを有し、
    車両全体での使用可能電力のうち前記車室内の空調用に使用が許可された空調使用許可電力が所定の基準電力より大きい場合に、前記運転モードを前記プレ空調運転モードに決定し、前記空調使用許可電力が前記基準電力以下の場合に、前記運転モードを前記プレ送風運転モードに決定する運転モード決定手段(50d)を備え、
    前記運転モード決定手段(50d)は、前記プレ送風運転モード時に前記内外気切替手段(20)を外気モードへ切り替えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記基準電力は、前記車室内の空調負荷が大きくなるに伴い、大きい値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記車室内の空調負荷は、車室内温度(Tr)、車室内温度(Tr)と外気温(Tam)との温度差、および日射量(Ts)のいずれか1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記運転モード決定手段(50d)は、前記プレ空調運転モード時に、前記内外気切替手段(20)を内気モードへ切り替えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記運転モード決定手段(50d)は、前記運転モードを前記プレ送風運転モードに決定した場合であっても、その後に前記空調使用許可電力が前記基準電力より大きくなったときには、前記運転モードを前記プレ空調運転モードに決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記送風機(12)および前記圧縮機(31)は、車両外部の電源からの電力が供給可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記運転モード決定手段(50d)は、前記運転モードを前記プレ空調運転モードに決定した場合であっても、前記プレ空調を開始してから所定時間経過後における前記冷凍サイクル(30)の蒸発器(13)における冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも高い場合には、前記運転モードを前記プレ送風運転モードに決定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 電力を供給されることによって車室内へ空気を送風する送風機(12)と、
    前記送風機(12)に車室外空気を吸入させる外気モードおよび車室内空気を吸入させる内気モードを切り替える内外気切替手段(20)と、
    電力を供給されることによって冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(31)を含んで構成されて前記送風機(12)にて送風された送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル(30)と、を備え、
    乗員が車両に乗り込む前に前記車室内の空調を開始するプレ空調を実行可能な車両用空調装置であって、
    前記プレ空調を行う際の運転モードとして、前記送風機(12)を作動させるとともに前記冷凍サイクル(30)の圧縮機(31)を作動させるプレ空調運転モード、および、前記送風機(12)を作動させるとともに前記圧縮機(31)の作動を禁止するプレ送風運転モードを有し、
    前記プレ空調の開始時に前記運転モードを前記プレ空調運転モードに決定する運転モード決定手段(50d)を備え、
    前記運転モード決定手段(50d)は、前記プレ空調を開始してから所定時間経過後における前記冷凍サイクル(30)の蒸発器(13)における冷媒蒸発温度(TE)が外気温(Tam)よりも低い場合には、前記運転モードを前記プレ送風運転モードに決定するとともに、前記内外気切替手段(20)を外気モードへ切り替えることを特徴とする車両用空調装置。
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