JP2013180650A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転条件が変化しても車室内の空調を行うために消費される電力が増加してしまうことを抑制可能に構成された車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車室内の暖房を行う暖房手段である熱媒体回路40に配置された電気ヒータ42に供給される電力の上限値を、予め定められた基準電力KDから冷凍サイクル30の圧縮機31が消費している電力を減算した値とする。これによれば、車両用空調装置の運転条件によらず、圧縮機31にて消費される電力と熱媒体回路40にて消費される電力との合計値を基準電力KD以下とすることができので、車室内の空調を行うために消費される電力が基準電力KDを超えて増加してしまうことを抑制できる。
【選択図】図9

Description

本発明は、電力を消費して車室内の空調を行う車両用空調装置に関する。
従来、特許文献1に、電気自動車に適用され、バッテリに蓄えられた電力を消費して車室内の空調を行う車両用空調装置が開示されている。より具体的には、この特許文献1の車両用空調装置は、電動圧縮機を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル、および、車室内へ送風される送風空気を加熱して車室内の暖房を行う暖房手段としての電気ヒータを備えて構成されている。
さらに、特許文献1の車両用空調装置には節電スイッチが設けられており、この節電スイッチが投入された際に、非投入時よりも電動圧縮機の冷媒吐出能力を低減させ、車室内の空調を行うために消費される電力を低減させている。これにより、バッテリから走行用電動モータに供給される電力の減少を抑制し、電気自動車の走行距離(航続距離)が短くなってしまうことを抑制している。
特許第2857953号公報
ところで、特許文献1の車両用空調装置のように冷凍サイクルおよび暖房手段(電気ヒータ)の双方を備える構成では、暖房運転時や除湿暖房運転時等に冷凍サイクルおよび電気ヒータの双方を同時に作動させることがある。このように冷凍サイクルおよび電気ヒータを同時に作動させる運転条件では、冷凍サイクルのみを作動させる運転条件に対して、車室内の空調を行うために消費される電力が増加してしまう。
さらに、比較的外気温の低い冬季の暖房運転時や除湿暖房運転時には車室内の暖房感が優先されるため、節電スイッチが投入されにくくなる。従って、比較的外気温の低い冬季に冷凍サイクルおよび電気ヒータを同時に作動させる運転条件では、特許文献1の車両用空調装置を用いても、車室内の空調を行うために消費される電力を低減できなくなってしまうことがある。
上記点に鑑み、本発明は、運転条件が変化しても車室内の空調を行うために消費される電力が増加してしまうことを抑制可能に構成された車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する電動圧縮機(31)を有し、車室内へ送風される送風空気の温度を調整する冷凍サイクル(30)と、電力を供給されることによって車室内の暖房を行う暖房手段(40、47)と、暖房手段(40、47)に供給される電力を制御する暖房電力制御手段(50b)とを備え、
暖房電力制御手段(50b)は、予め定められた基準電力(KD)から電動圧縮機(31)が消費している電力を減算した値を、暖房手段(40、47)に供給される電力の上限値とする車両用空調装置を特徴としている。
これによれば、基準電力(KD)から電動圧縮機(31)が消費している電力を減算した値が、暖房手段(40、47)に供給される電力の上限値となるので、車両用空調装置の運転条件によらず、電動圧縮機(31)が消費する電力と暖房手段(40、47)が消費する電力との合計値を、基準電力(KD)以下とすることができる。
ここで、電動圧縮機(31)が消費する電力と暖房手段(40、47)が消費する電力との合計値は、概ね車室内の空調を行うために消費される電力に相当する。従って、本請求項に記載の発明によれば、車両用空調装置の運転条件が変化しても車室内の空調を行うために消費される電力が基準電力(KD)を超えて増加してしまうことを抑制できる。
さらに、本請求項に記載の車両用空調装置を、同一の蓄電手段(V)から走行用電動モータ、電動圧縮機(31)および暖房手段(40、47)に電力を供給する車両に適用すれば、蓄電手段(V)から走行用電動モータに供給される電力が減少してしまうことを抑制して、走行距離が短くなってしまうことを抑制できる。
また、本請求項に記載の車両用空調装置を、内燃機関から車両走行用の駆動力および発電機駆動用の駆動力を得る車両に適用すれば、車両用空調装置を作動させる電力を発電するために消費される燃料の増加を抑制して、車両燃費の悪化を抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。 第1実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、エアミックス開度を決定するための制御特性図である。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、送風機の送風量を決定するためのフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、吸込口モードを決定するためのフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、吹出口モードを決定するための制御特性図である。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、圧縮機の回転数を決定するためのフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、電気ヒータの消費電力を決定するためのフローチャートである。 第1実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、水ポンプの作動状態を決定するためのフローチャートである。 第2実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。 第2実施形態のPTCヒータの回路図である。 第2実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、PTCヒータの作動本数を決定するためのフローチャートである。 第2実施形態の車両用空調装置の制御処理のうち、冷却水ポンプの作動状態を決定するためのフローチャートである。
(第1実施形態)
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、車両走行用の駆動力を走行用電動モータから得る電気自動車に適用されている。本実施形態の電気自動車では、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給される電力を蓄電手段であるバッテリVに充電し、車両走行時にバッテリVに蓄えられた電力を走行用電動モータへ供給して走行する。
さらに、この電気自動車では、バッテリVに蓄えられた電力を、後述する空調制御装置50を介して、車両用空調装置1の各種電動式構成機器へ供給することによって車両用空調装置1を作動させる。換言すると、本実施形態の車両用空調装置1は、バッテリVに蓄えられた電力を供給されることによって作動し、供給された電力を消費して車室内の空調を行う。なお、バッテリV1としては、リチウムイオン電池等を採用できる。
次に、図1、図2を用いて車両用空調装置1の詳細構成を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、室内空調ユニット10、冷凍サイクル30、熱媒体回路40および空調制御装置50等を備えている。
まず、室内空調ユニット10は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置され、その外殻を形成するケーシング11の内部に送風機12、冷凍サイクル30の蒸発器35、熱媒体回路40のヒータコア43、エアミックスドア19等を収容して構成されたものである。
ケーシング11は、ある程度の弾性を有し強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されており、その内部に車室内へ送風される送風空気の空気通路を形成している。このケーシング11の送風空気流れ最上流側には、ケーシング11内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替装置20が配置されている。
内外気切替装置20には、ケーシング11内に内気を導入させる内気導入口21および外気を導入させる外気導入口22が設けられている。さらに、内外気切替装置20の内部には、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整して、ケーシング11内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる風量割合変更手段としての内外気切替ドア23が配置されている。
内外気切替ドア23は、内外気切替ドア23用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
なお、内外気切替ドア23によって切り替えられる吸込口モードとしては、具体的に、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉としてケーシング11内へ内気を導入する内気モード、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開としてケーシング11内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
内外気切替装置20の空気流れ下流側には、内外気切替装置20を介してケーシング11内に吸入された空気を車室内へ向けて送風する送風手段であるの送風機12(ブロア)が配置されている。この送風機12は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から電動モータに出力される制御電圧によって回転数(送風能力)が制御される。
送風機12の空気流れ下流側には、蒸発器35が配置されている。蒸発器35は、圧縮機31、凝縮器32、気液分離器33および膨張弁34等とともに蒸気圧縮式の冷凍サイクル30を構成しており、その内部を流通する冷媒と送風機12から送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する機能を果たす。
ここで、冷凍サイクル30の詳細構成について説明する。圧縮機31は、車室外(具体的には、ボンネット内)に配置され、冷凍サイクル30において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。さらに、本実施形態の圧縮機31は、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構31aを電動モータ31bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。
電動モータ31bは、インバータ61から出力される交流電圧によって作動する交流モータであり、インバータ61は、空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を電動モータ31bへ出力する。従って、圧縮機31の回転数(冷媒吐出能力)は、インバータ61から出力される交流電圧の周波数によって制御される。
凝縮器32は、車室外(具体的には、ボンネット内)に配置され、その内部を流通する冷媒と、室外送風機である送風ファン32aから送風された車室外空気(外気)とを熱交換させて放熱させることにより、圧縮機31吐出冷媒を凝縮させる放熱用熱交換器である。送風ファン32aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器33は、凝縮器32にて凝縮された冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、その下流側に液相冷媒を流出させる受液器(レシーバ)である。膨張弁34は、気液分離器33から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。本実施形態では、膨張弁34として、蒸発器35出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように機械的機構によって絞り開度を調整する温度式膨張弁を採用している。
蒸発器35は、膨張弁34にて減圧された冷媒と送風空気とを熱交換させて蒸発させ、冷媒に吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。これにより、蒸発器35は、車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たし、冷凍サイクル30は、車室内へ送風される送風空気の温度を調整する温度調整手段として機能する。
ケーシング11内の蒸発器35の空気流れ下流側には、蒸発器35通過後の空気を流す加熱用冷風通路13、冷風バイパス通路14といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路13および冷風バイパス通路14から流出した空気を混合させる混合空間(エアミックス空間)15が形成されている。
この加熱用冷風通路13には、蒸発器35通過後の空気を加熱するためのヒータコア43が配置されている。ヒータコア43は、熱媒体(具体的には、エチレングリコール水溶液)を循環させる熱媒体回路40を構成するものであり、その内部を流通する熱媒体と蒸発器35通過後の送風空気とを熱交換させて、蒸発器35通過後の送風空気を加熱する機能を果たす。
ここで、熱媒体回路40の詳細構成について説明する。熱媒体回路40は、水ポンプ41、電気ヒータ42、ヒータコア43を環状に接続することによって構成されている。水ポンプ41は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(熱媒体循環流量)が制御される電動ポンプであり、水ポンプ41を作動させると熱媒体は、水ポンプ41→電気ヒータ42→ヒータコア43→水ポンプ41の順に循環する。
電気ヒータ42は、水ポンプ41から圧送された熱媒体を加熱する加熱手段であって、具体的には、PTCヒータやニクロム線等を採用することができる。また、電気ヒータ42は、空調制御装置50から供給される制御電圧によって発熱量(熱媒体の加熱能力)が制御される。本実施形態では、後述するように制御電圧のデューティ比制御によって電気ヒータ42の発熱量を可変させている。
これにより、ヒータコア43は、電気ヒータ42にて加熱された熱媒体と蒸発器35通過後の送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する機能を果たし、熱媒体回路40は、全体として電力を供給されることによって車室内の暖房を行う暖房手段として機能する。
冷風バイパス通路14は、蒸発器35通過後の空気を、ヒータコア43を通過させることなく、混合空間15へ導くための空気通路である。従って、混合空間15にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路13を通過する空気および冷風バイパス通路14を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、蒸発器35の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路13および冷風バイパス通路14の入口側に、加熱用冷風通路13および冷風バイパス通路14へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア19を配置している。従って、エアミックスドア19は、混合空間15内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。
より具体的には、エアミックスドア19は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動される回転軸と、その一端側に回転軸が連結された板状のドア本体部を有して構成される、いわゆる片持ちドアで構成されている。また、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング11の送風空気流れ最下流部には、混合空間15から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口24〜26が配置されている。この吹出口24〜26としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口24、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口25、および、車両前面窓ガラスW内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口26が設けられている。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、および、デフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出すフットデフモードがある。
さらに、乗員が後述する操作パネル60の吹出口モードの切替スイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口26を全開してデフロスタ吹出口26から車両前面窓ガラスW内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
次に、図2を用いて本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種電動式構成機器の作動を制御する。
空調制御装置50の出力側には、送風機12、圧縮機31の電動モータ31b用のインバータ61、送風ファン32a、各種電動アクチュエータ62、63、64、水ポンプ41、電気ヒータ42等が接続されている。
本実施形態の車両用空調装置1では、これらの電動式構成機器のうち、冷凍サイクル30の圧縮機31および熱媒体回路40の電気ヒータ42が消費する電力が大きく、圧縮機31が消費する電力と電気ヒータ42が消費する電力との合計値は、概ね車室内の空調を行うために消費される電力に相当する。
一方、空調制御装置50の入力側には、バッテリVの他に、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、蒸発器35からの吹出空気温度(蒸発器温度)TEを検出する蒸発器温度センサ54、ヒータコア43へ流入する熱媒体温度TWを検出する熱媒体温度センサ55等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
なお、本実施形態の蒸発器温度センサ54は、具体的に蒸発器35の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ54として、蒸発器35のその他の部位の温度を検出する温度検出手段や蒸発器35を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。
また、本実施形態の熱媒体温度センサ55は、具体的にヒータコア43へ流入する熱媒体が流れる配管の表面温度を検出している。もちろん、ヒータコア43へ流入する熱媒体自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60が接続され、この操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、オートスイッチ、吸込口モードの切替スイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、送風機12の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチ、エコノミースイッチ等が設けられている。
なお、オートスイッチは、車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除するスイッチである。車室内温度設定スイッチは、乗員の操作によって車室内目標温度Tsetを設定する目標温度設定手段である。エコノミースイッチは、乗員の操作によって車室内の空調を行うために消費される電力を低減させることを要求する省電力化要求手段である。
ここで、空調制御装置50は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
例えば、本実施形態では、空調制御装置50のうち、圧縮機31の電動モータ31bに接続されたインバータ61から出力される交流電圧の周波数を制御して、圧縮機31の冷媒吐出能力を制御する構成が圧縮機制御手段50aを構成し、暖房手段である熱媒体回路40を構成する電気ヒータ42に供給される電力を制御して、熱媒体回路40の暖房能力を制御する構成が暖房電力制御手段50bを構成している。
次に、図3〜図10を用いて、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。なお、各フローチャートに示された各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現手段を構成している。
図3に示す制御フローは、本実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとして実行される制御処理であり、この制御フローは、空調制御装置50および車両用空調装置1を構成する各電動式構成機器にバッテリVから電力が供給された状態で、操作パネル60に設けられた作動スイッチが投入されるとスタートする。
まず、図3のステップS1では、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値が維持されるものもある。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。ステップS2にて読み込まれる具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内目標温度Tset、吸込口モードや吹出口モードの切替スイッチの設定信号、風量設定スイッチの設定信号等がある。
次に、ステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜55の検出信号を読み込む。
次に、ステップS4では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、以下の数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
なお、目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置1が生じさせる必要のある熱量に相当するもので、車両用空調装置1に要求される空調熱負荷と表現することもできる。
続くステップS5〜S13では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。まず、ステップS5では、エアミックスドア19の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ54によって検出された吹出空気温度TE、熱媒体温度センサ55によって検出された熱媒体温度TWに基づいて算出する。
具体的には、ステップS5では、以下数式F2により仮のエアミックス開度SWddを算出する。
SWdd={TAO−(TE+2)}/{MAX(10、TW−(TE+2))}×100(%)…(F2)
なお、数式F2の{MAX(10、TW−(TE+2))}とは、10およびTW−(TE+2)のうち大きい方の値を意味している。
そして、上記数式F2にて算出された仮のエアミックス開度SWddに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、エアミックス開度SWを決定してステップS6へ進む。この制御マップでは、図4の制御特性図に示すように、仮のエアミックス開度SWddに対するエアミックス開度SWの値を非線形的に決定する。
これは、前述の如く、本実施形態では、エアミックスドア19として片持ちドアを採用しているために、エアミックス開度SWの変化に対する実際の送風空気の流れ方向から見た冷風バイパス通路14の開口面積および加熱用冷風通路13の開口面積の変化が非線形的な関係となるからである。
なお、SW=0%は、エアミックスドア19の最大冷房位置であり、冷風バイパス通路14を全開し、加熱用冷風通路13を全閉する。これに対し、SW=100%は、エアミックスドア19の最大暖房位置であり、冷風バイパス通路14を全閉し、加熱用冷風通路13を全開する。
次に、ステップS6では、送風機12により送風される空気の目標送風量を決定する。具体的には、送風機12の電動モータに印加するブロワモータ電圧を決定する。このステップ6の詳細については、図5を用いて説明する。まず、ステップS601では、操作パネル60のオートスイッチが投入されているか否かが判定される。
ステップS601にてオートスイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS602へ進み、操作パネル60の風量設定スイッチによって設定された乗員の所望の風量となるブロワモータ電圧が決定されて、ステップS7へ進む。具体的には、本実施形態の風量設定スイッチは、Lo→M1→M2→M3→Hiの5段階の風量を設定することができ、それぞれ4V→6V→8V→10V→12Vの順にブロワモータ電圧が高くなるように決定される。
一方、ステップS601にてオートスイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS603へ進み、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、ステップS4で決定された目標吹出温度TAOに基づいて第1仮ブロワレベルf(TAO)を決定する。換言すると、空調熱負荷に基づいて送風機12の稼働率(送風能力)の上限値を決定する。
より具体的には、図5のステップS603に記載された制御特性図に示すように、TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)で第1仮ブロワレベルf(TAO)を最大値にして、送風機12の風量を最大風量付近に制御する。また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じて第1仮ブロワレベルf(TAO)を低下させて、送風機12の風量を減少させる。
さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じて第1仮ブロワレベルf(TAO)を低下させて、送風機12の風量を減少させる。また、TAOが所定の中間温度域内に入ると、第1仮ブロワレベルf(TAO)を最小値にして送風機12の風量を最小値にする。
また、図5の制御ステップS603の制御特性図では、操作パネル60のエコノミースイッチが投入されていない場合の制御特性を太実線で示し、エコノミースイッチが投入されている場合の制御特性を太破線で示している。この制御特性図から明らかなように、エコノミースイッチが投入されている場合には、投入されていない場合よりも、第1仮ブロワレベルf(TAO)が低い値に設定される。
続くステップS604では、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、熱媒体温度TWに基づいて第2仮ブロワレベルf(TW)を決定する。換言すると、熱媒体温度TWに基づいて送風機12の稼働率(送風能力)の上限値を決定する。
より詳細には、図5のステップS604に記載された制御特性図に示すように、熱媒体温度TWが上昇過程にある場合であって、熱媒体温度TWが予め定めた第1基準温度Tk1(本実施形態では40℃)より低い低温領域では第2仮ブロワレベルf(TW)を0レベルに決定し、送風機12の作動を停止させる。
これにより、ヒータコア43を流通する熱媒体の温度が第1基準温度Tk1より低く、ヒータコア43にて送風空気を加熱することができない場合に、送風機12の作動を停止させることができる。従って、充分に加熱されていない送風空気が乗員に吹き出されて乗員の暖房フィーリングが悪化することを抑制できる。
さらに、熱媒体温度TWが上昇過程にある場合であって、熱媒体温度TWが第1基準温度Tk1以上になった場合には、熱媒体温度TWの上昇に伴ってブロワレベルが上昇するように、第2仮ブロワレベルf(TW)を決定する。そして、熱媒体温度TWが第2基準温度Tk2(本実施形態では70℃)以上になると、第2仮ブロワレベルf(TW)を最大値(例えば30レベル)に設定する。
一方、熱媒体温度TWが下降過程にある場合には、熱媒体温度TWが第3基準温度Tk3(本実施形態では65℃)以下になると、熱媒体温度TWの低下に伴い徐々に第2仮ブロワレベルf(TW)を低下させる。そして、熱媒体温度TWが第4基準温度Tk4(本実施形態では36℃)より低く、第5基準温度Tk5(本実施形態では29℃)以上の範囲では、第2仮ブロワレベルf(TW)を極小値(例えば1レベル)に設定する。
そして、熱媒体温度TWが第5基準温度Tk5を下回っているとき、第2仮ブロワレベルf(TW)を0レベルに設定し、送風機12の作動を停止させる。なお、各基準温度には、Tk2>Tk3>Tk1>Tk4>Tk5の関係がある。また、第2基準温度Tk2と第3基準温度Tk3との温度差、第1基準温度Tk1と第4基準温度Tk4との温度差等は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
続くステップS605では、後述するステップS8で決定された吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフモードのいずれかであるか否かを判定する。ステップS605にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフモードのいずれかであると判定された場合は、ステップS606へ進む。
ステップS606では、ステップS603にて決定された第1仮ブロワレベルf(TAO)と、ステップS604にて決定された第2仮ブロワレベルf(TW)とを比較して小さい方の値をブロワレベルに決定して、ステップS607へ進む。ステップS607では、ステップS606にて決定されたブロワレベルに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照してブロワモータ電圧を決定して、ステップS7へ進む。
具体的には、ステップS607では、ブロワレベルが1レベルを下回っている場合には、ブロワモータ電圧を0Vに設定し、ブロワレベルが1レベルの場合はブロワ電圧を3Vとする。さらに、ブロワレベルが1レベル以上になる場合には、ブロワレベルの上昇とともにブロワ電圧を上昇させ、ブロワレベルが30レベルより高くなると、ブロワ電圧を最大電圧(12V)に設定する。
一方、ステップS605にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフモードのいずれでもないと判定された場合は、ステップS608へ進む。ステップS608では、ステップS603にて決定された第1仮ブロワレベルf(TAO)をブロワレベルと決定して、ステップS609へ進む。
ここで、ステップS605にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフモードのいずれでもないと判定された場合は、車室内の暖房が行われていないことを意味している。従って、ステップS608では、熱媒体温度TWが低い時に乗員の暖房フィーリングが悪化してしまうことを抑制するために決定される第2仮ブロワレベルf(TW)を用いることなく、空調熱負荷に基づいて決定される第1仮ブロワレベルf(TAO)を用いてブロワレベルを決定している。
ステップS609では、ステップS607と全く同様に、ステップS608にて決定されたブロワレベルに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照してブロワモータ電圧を決定して、ステップS7へ進む。
次に、ステップS7では、吸込口モード、すなわち内外気切替装置20の切替状態を決定する。このステップS7の詳細については、図6を用いて説明する。まず、ステップS701では、操作パネル60のオートスイッチが投入されているか否かが判定される。
ステップS701にてオートスイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS702へ進み、操作パネル60の切替スイッチによって設定された乗員の所望の吸込口モードとなるように、内外気切替装置20の切替状態が決定されて、ステップS8へ進む。
具体的には、本実施形態の吹出口モードの切替スイッチでは、外気導入率を0%(すなわち、内気モード)とするRECまたは外気導入率を100%(すなわち、外気モード)とするFRSに切り替え設定することができる。
一方、ステップS701にてオートスイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS703へ進み、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、ステップS4で決定された目標吹出温度TAOに基づいて吸込口モードを決定し、ステップS8へ進む。
具体的には、TAOが上昇過程にあるときは、TAO≧第1所定温度Tm1であれば外気モードとし、第1所定温度Tm1>TAO≧第2所定温度Tm2であれば内外気混入モードとし、第2所定温度Tm2>TAOであれば内気モードとする。
一方、TAOが下降過程にあるときは、第3所定温度Tm3≧TAOであれば内気モードとし、第3所定温度Tm3≧TAO>第2所定温度Tm2であれば内外気混入モードとし、TAO>第2所定温度Tm2であれば、外気モードとする。なお、各所定温度には、Tm3<Tm2<Tm1の関係があり、各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
次に、ステップS8では、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して吹出口モードを決定し、ステップS9へ進む。
具体的には、図7の制御特性図に示すように、TAOが上昇過程にあるときは、TAO≦第1所定温度Tn1(本実施形態では30℃)であればフェイスモードに決定し、第1所定温度Tn1<TAO≦第2所定温度Tn2(本実施形態では40℃)であればバイレベルモードに決定し、第2所定温度Tn2<TAOであればフットモードに決定する。
一方、TAOが下降過程にあるときは、第3所定温度Tn3(本実施形態では38℃)≦TAOであればフットモードに決定し、第4所定温度Tn4(本実施形態では28℃)≦TAO<第3所定温度Tn3であればバイレベル入モードに決定し、TAO<第4所定温度Tn4であればフェイスモードに決定する。なお、各所定温度には、Tn4<Tn1<Tn3<Tn2の関係があり、各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
次に、ステップS9では、圧縮機31の冷媒吐出能力(具体的には、圧縮機31の回転数)を決定する。ここで、圧縮機31の基本的な回転数の決定手法を説明する。例えば、本実施形態では、ステップS4で決定したTAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、蒸発器35からの吹出空気温度TEの目標吹出温度TEOを決定する。
そして、この目標吹出温度TEOと吹出空気温度TEの偏差Pn(Pn=TEO−TE)と、今回算出された偏差Pnから前回算出された偏差Pn−1を減算した偏差変化率Pdot(Pdot=Pn−(Pn−1))とを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づくファジー推論によって、前回の圧縮機回転数fn−1に対する回転数変化量Δf_Cを求める。
このステップS9の詳細については、図8を用いて説明する。まず、ステップS901では、回転数変化量Δf_Cを求める。図8のステップS901には、ルールとして用いるファジールール表を記載している。このルール表では、上述の偏差Pnと偏差変化率Pdotに基づいて蒸発器35の着霜が防止されるようにΔf_Cが決定される。
続くステップS902では、操作パネル60のエコノミースイッチが投入されているか否かが判定される。ステップS902にてエコノミースイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS903へ進み、圧縮機31の回転数の上限値(MAX回転数)を10000rpmに設定して、ステップS905へ進む。
一方、ステップS902にてエコノミースイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS904へ進み、圧縮機31の回転数の上限値(MAX回転数)を7000rpmに設定して、ステップS905へ進む。つまり、エコノミースイッチが投入されている場合は、投入されていない場合よりも圧縮機31の回転数の上限値を低下させて車室内の空調を行うために消費される電力を低減させている。
ステップS905では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δf_Cを加えた値と、ステップS903あるいはS904で決定されたMAX回転数とを比較して小さい方の値を、今回の圧縮機回転数fnと決定して、ステップS10へ進む。なお、ステップS905における圧縮機回転数fnの決定は、制御周期τ毎に行われるものではなく、所定の制御間隔(本実施形態では1秒)毎に行われる。
ステップ10では、熱媒体回路40の電気ヒータ42への供給電力が決定される。このステップS10の詳細については、図9を用いて説明する。まず、ステップS1001では、ヒータコア43へ流入する熱媒体の目標温度(以下、要求水温という)TWOを決定する。
具体的には、ステップS1001では、以下数式F3により、要求水温TWOを算出する。
TWO=min(TAO、70)(℃)…(F3)
なお、数式F3の{min(TAO、70)}とは、目標吹出温度TAOおよび70のうち小さい方の値を意味している。
続くステップS1002では、ステップS9にて説明した圧縮機31の回転数変化量Δf_Cの決定手法と同様に、メンバシップ関数とルールとに基づくファジー推論によって、予め定めた所定時間前(本実施形態では、4秒前)の供給電力IHOn(4秒前)に対する供給電力変化量ΔfHdを決定する。
具体的には、要求水温TWOと熱媒体温度TWとの偏差En(En=TWO−TW)、今回算出された偏差Enから4秒前の偏差En(4秒前)を減算した偏差変化率Edot(Edot=En−En(4秒前))、および、図9のステップS1002に記載されたファジールール表を用いて、4秒前の電気ヒータ42への供給電力IHOn(4秒前)に対する供給電力変化量ΔfHdを決定する。
続くステップS1003では、4秒前の電気ヒータ42への供給電力IHOn(4秒前)に対してステップS1002にて決定したΔfHdを加算した値を、仮の電気ヒータ42への供給電力IHOndとして、ステップS1004へ進む。ステップS1004では、基準電力KDから圧縮機31が消費している電力(圧縮機消費電力)を減算した値を、ヒータ使用許可電力としてステップS1005へ進む。
ステップS1005では、ステップS1003にて決定された仮の電気ヒータ42への供給電力IHOndとステップS1004にて決定されたヒータ使用許可電力とを比較して小さい方の値を、電気ヒータ42への供給電力IHOnに決定して、ステップS1006へ進む。
ここで、基準電力KDについて説明する。基準電力KDは、車両用空調装置1がバッテリVに蓄えられた電力を消費することによって、走行用電動モータに供給される電力が低減して車両の走行距離が短くなってしまうことを抑制できるように定められた値である。より具体的には、基準電力KDは、バッテリVの蓄電残量SOCの低下に伴って、低い値となるように定められた値である。
前述の如く、圧縮機31が消費する電力と電気ヒータ42が消費する電力の合計値は、概ね車室内の空調を行うために消費される電力に相当する。これに対して、基準電力KDは、圧縮機消費電力とヒータ使用許可電力との合計値であるから、概ね車室内の空調を行うために消費することのできる電力の上限値を意味する値となる。従って、基準電力KDは、空調使用許可電力と表現することもできる。
ステップS1006では、ステップS1005にて決定された供給電力IHOnに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、制御電圧のデューティ比を決定する。本実施形態では、具体的に、図9のステップS1006に記載された制御特性図に示すように、供給電力IHOn(W)の増加に伴って、デューティ比(%)を上昇させるように決定して、ステップS11へ進む。
次に、ステップS11では、熱媒体回路40の水ポンプ41の作動状態を決定する。このステップS11の詳細については、図10を用いて説明する。まず、ステップS1101では、熱媒体温度TWが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。
ステップS1101にて、熱媒体温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS1104へ進み、水ポンプ41を停止(OFF)させる。その理由は、熱媒体温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合に熱媒体をヒータコア43へ流すと、ヒータコア43を流れる冷却水が蒸発器35通過後の空気を冷却して、かえって吹出口からの吹出空気温度を低くしてしまうからである。
一方、ステップS1101にて、熱媒体温度TWが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS1102へ進む。ステップS1102では、送風機12が作動しているか否かが判定される。ステップS1102にて、送風機12が作動していないと判定された場合は、ステップS1104へ進み、省動力化のために水ポンプ41を停止(OFF)させる。
一方、ステップS1102にて送風機12が作動していると判定された場合は、ステップS1103へ進み、水ポンプ41を作動(ON)させる。これにより、水ポンプ41が作動して、熱媒体が熱媒体回路40を循環するので、ヒータコア43内を流れる熱媒体とヒータコア43を通過する送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS12では、上述のステップS5〜S11で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器12、32a、61、62、63、64、41、42に対して制御信号および制御電圧が出力される。続くステップS13では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期τを250ms程度としている。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、送風機12から送風された送風空気が、蒸発器35にて冷却される。そして蒸発器35にて冷却された冷風は、エアミックスドア19の開度に応じて、加熱用冷風通路13および冷風バイパス通路14へ流入する。
加熱用冷風通路13へ流入した冷風は、ヒータコア43を通過する際に加熱されて、混合空間15にて冷風バイパス通路14を通過した冷風と混合される。そして、混合空間15にて温度調整された空調風が、混合空間15から各吹出口を介して車室内に吹き出される。
この車室内に吹き出される空調風によって車室内の内気温Trが外気温Tamより低く冷やされる場合には、車室内の冷房が実現され、一方、内気温Trが外気温Tamより高く加熱される場合には、車室内の暖房が実現される。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、制御ステップS1004、S1005にて説明したように、基準電力KDから圧縮機消費電力を減算した値をヒータ使用許可電力とし、このヒータ使用許可電力を電気ヒータ42への供給電力IHOnの上限値としている。従って、車両用空調装置1の運転条件によらず、圧縮機31が消費する電力と電気ヒータ42が消費する電力の合計値を、基準電力KD以下とすることができる。
ここで、前述の如く、圧縮機31が消費する電力と電気ヒータ42が消費する電力の合計値は、概ね車室内の空調を行うために消費される電力に相当する。従って、本実施形態の車両用空調装置1によれば、運転条件が変化しても車室内の空調を行うために消費される電力が基準電力KD(空調使用許可電力)を超えてしまうことを抑制できる。その結果、バッテリVから走行用電動モータに供給される電力が減少してしまうことを抑制して、電気自動車の走行距離(航続距離)が短くなってしまうことを抑制できる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、制御ステップS8にて圧縮機31の回転数を決定した後に、制御ステップS10にて基準電力KDから圧縮機消費電力を減算した値をヒータ使用許可電力としている。このことは、冷凍サイクル10による送風空気の冷却を熱媒体回路40による送風空気の加熱に優先させていることを意味する。
従って、例えば除湿暖房を行う際に、乗員の暖房フィーリングを向上させることよりも送風空気の除湿を優先させることができる。従って、車両前面窓ガラスWの防曇性能を確保して、車両走行時の安全性を向上できる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、バッテリVの蓄電残量SOCの低下に伴って、基準電力KDが低い値となるように定められているので、バッテリVの蓄電残量SOCの低下に伴って、車室内の空調を行うために消費される電力を低減させることができる。従って、バッテリVに蓄えられた電力を車室内空調に優先して車両走行に使用することができ、電気自動車の走行距離が短くなってしまうことをより一層効果的に抑制できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図11に示す車両用空調装置1’を、内燃機関であるエンジンEGおよび走行用電動モータの双方から車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用した例を説明する。なお、図11では、第1実施形態と同一もしくは均等部分に同一の符号を付している。このことは以下の図面においても同様である。
まず、本実施形態のハイブリッド車両は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給される電力をバッテリVに充電することができる、いわゆるプラグインハイブリッド車両として構成されている。さらに、プラグインハイブリッド車両では、車両走行中にエンジンEGから出力される駆動力によって発電機80を作動させ、発電機80が発電した電力をバッテリVに蓄えることもできる。
また、プラグインハイブリッド車両では、バッテリVの蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときには、主に走行用電動モータの駆動力によって走行するEV運転モードに切り替え、蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっているときに、主にエンジンEGの駆動力によって走行するHV運転モードに切り替える。
そして、EV運転モードとHV運転モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対してエンジンEGの燃料消費量を抑制して、車両燃費を向上させている。
次に、本実施形態の車両用空調装置1’は、第1実施形態と同様に、バッテリVに蓄えられた電力を供給されることによって作動し、供給された電力を消費して車室内の空調を行う。さらに、本実施形態の車両用空調装置1’は、第1実施形態と同様の室内空調ユニット10、冷凍サイクル30および空調制御装置50等を備えて構成されている。
より詳細には、本実施形態の室内空調ユニット10は、ケーシング11の内部に、第1実施形態と同様の送風機12、蒸発器35、エアミックスドア19に加えて、ヒータコア46、PTCヒータ47等を収容して構成されたものである。
ヒータコア46は、加熱用冷風通路13に配置されており、エンジンEGの冷却水(具体的には、エチレングリコール水溶液)を循環させる冷却水回路44を構成するものであり、その内部を流通する冷却水と蒸発器35通過後の送風空気とを熱交換させて、蒸発器35通過後の送風空気を加熱する機能を果たす。
前述の如く、本実施形態の車両用空調装置1’は、ハイブリッド車両に適用されているので、エンジンEGが作動している時には、エンジンEGの廃熱を車室内暖房に利用できる。そこで、本実施形態ではエンジンEGとヒータコア46を冷却水配管によって接続して、エンジンEGの冷却水を循環させる冷却水回路44を構成している。
この冷却水回路44には、冷却水を循環させるための冷却水ポンプ45が配置されている。冷却水ポンプ45は、第1実施形態の水ポンプ41と全く同様の電動式の水ポンプである。さらに、本実施形態の熱媒体温度センサ55は、ヒータコア46へ流入する冷却水温度TWを検出する。
ところで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、走行時に常時エンジンを作動させているので、ヒータコア46へ流入する冷却水の温度も常時高温となる。従って、通常の車両では冷却水をヒータコア46に流通させることで送風空気を充分に加熱して、充分な車室内暖房を行うことができる。
これに対して、本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、車両走行用の駆動力を走行用電動モータからも得ることができるので、エンジンEGの作動を停止させることがある。このため、車両用空調装置1’にて車室内の暖房を行う際に、ヒータコア46へ流入する冷却水の温度が暖房用の熱源として充分な温度まで上昇していない場合がある。
そこで、本実施形態の車両用空調装置1’では、加熱用冷風通路13のヒータコア46の空気流れ下流側にPTCヒータ47を配置している。PTCヒータ47は、電力を供給されることによってヒータコア46通過後の送風空気を加熱して車室内の暖房を行う暖房手段である。
より具体的には、このPTCヒータ47は、図12に示すように、複数(本実施形態では、3本)のPTCヒータ47a、47b、47cから構成されている。各PTCヒータ47a、47b、47cの正極側はバッテリV側に接続され、負極側は各PTCヒータ47a、47b、47cが有する各スイッチ素子SW1、SW2、SW3を介して、グランド側へ接続されている。
各スイッチ素子SW1、SW2、SW3は、各PTCヒータ47a、47b、47cが有する各PTC素子h1、h2、h3の通電状態(ON状態)と非通電状態(OFF状態)とを切り替えるものである。さらに、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、独立して制御される。
従って、空調制御装置50は、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の通電状態と非通電状態とを独立に切り替えることによって、各PTCヒータ47a、47b、47cのうち、通電状態となり加熱能力を発揮するものを切り替えて、PTCヒータ47全体としての加熱能力を変化させることができる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1’の基本的作動は第1実施形態と同様であるものの、暖房手段としてPTCヒータ47を採用して、熱媒体回路40を廃止したことにより、第1実施形態の図3に示すメインルーチンのうち、制御ステップS10およびS11が、それぞれ制御ステップS10’およびS11’に変更されている。
制御ステップS10’では、PTCヒータ47の作動本数が決定される。この制御ステップS10’の詳細については、図13を用いて説明する。まず、ステップS1007では、冷却水温度TWが目標吹出温度TAOより低くなっているか否かを判定する。
ステップS1007にて、冷却水温度TWが目標吹出温度TAOより低くなっている場合は、冷却水を熱源として送風空気を目標吹出温度TAOとなるまで昇温させることができないので、ステップS1008へ進み、仮のPTCヒータ作動本数POnd1を3本としてステップS1010へ進む。
一方、冷却水温度TWが目標吹出温度TAO以上となっている場合は、冷却水を熱源として送風空気を目標吹出温度TAOとなるまで昇温させることができるので、ステップS1009へ進み、仮のPTCヒータ作動本数POnd1を0本としてステップS1010へ進む。
ステップS1010では、基準電力KDから圧縮機31が消費している電力(圧縮機消費電力)を減算した値を、ヒータ使用許可電力としてステップS1011へ進む。ステップS1011では、ステップS1011にて決定されたヒータ使用許可電力に基づいて、予め定めた制御マップを参照して、ヒータ使用許可電力の範囲で作動可能なPTCヒータ作動本数POnd2を決定する。
具体的には、制御ステップS1011に記載された制御特性図に示すように、ヒータ使用許可電力が上昇過程にあるときは、ヒータ使用許可電力≦第1所定温度To1であればPOnd2を0本とし、第1所定温度To1<ヒータ使用許可電力≦第2所定温度To2であればPOnd2を1本とし、第2所定温度To2<ヒータ使用許可電力≦第3所定温度To3であればPOnd2を2本とし、第3所定温度To3<ヒータ使用許可電力であればPOnd2を3本とする。
一方、ヒータ使用許可電力が下降過程にあるときは、第4所定温度To4≦ヒータ使用許可電力であればPOnd2を3本とし、第5所定温度To5≦ヒータ使用許可電力<第4所定温度To4であればPOnd2を2本とし、第6所定温度To6≦ヒータ使用許可電力<第5所定温度To5であればPOnd2を1本とし、ヒータ使用許可電力<第6所定温度To6であればPOnd2を0本とする。
なお、各所定温度には、To6<To1<To5<To2<To4<To3の関係があり、To6とTo1との温度差、To5とTo2との温度差、To4とTo3との温度差等は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
続くステップS1012では、ステップS1008あるいはS1009で決定された仮のPTCヒータ作動本数POnd1と、ステップS1011で決定されたヒータ使用許可電力の範囲で作動可能なPTCヒータ作動本数POnd2とを比較して小さい方の値を、PTCヒータの作動本数POnとして決定して、ステップS11’へ進む。
ステップS11’では、冷却水回路44の冷却水ポンプ45の作動状態を決定する。このステップS11’の詳細については、図14を用いて説明する。まず、ステップS1111では、熱媒体温度TWが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。ステップS1111にて、熱媒体温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS1114へ進み、冷却水ポンプ45を停止(OFF)させる。
一方、ステップS1111にて、熱媒体温度TWが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS1112へ進む。ステップS1112では、送風機12が作動しているか否かが判定される。ステップS1112にて、送風機12が作動していないと判定された場合は、ステップS1114へ進み、冷却水ポンプ45を停止(OFF)させる。
一方、ステップS1112にて送風機12が作動していると判定された場合は、ステップS1103へ進み、冷却水ポンプ45を作動(ON)させる。これにより、冷却水ポンプ45が作動して、冷却水が冷却水回路44を循環するので、ヒータコア46内を流れる冷却水とヒータコア46を通過する送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。その他の作動は第1実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1’は、以上の如く作動するので、第1実施形態と同様に車室内の空調を実現することができるとともに、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
つまり、本実施形態では、制御ステップS1010〜S1012にて説明したように、基準電力KDから圧縮機消費電力を減算した値をヒータ使用許可電力とし、このヒータ使用許可電力の範囲で作動可能なPTCヒータ作動本数POnd2を、実際のPTCヒータの作動本数POnの上限値としている。
従って、車両用空調装置1’の運転条件によらず、圧縮機31が消費する電力とPTCヒータ47が消費する電力の合計値を基準電力KD以下とすることができる。つまり、概ね車室内の空調を行うために消費される電力が基準電力KD(空調使用許可電力)を超えてしまうことを抑制できる。
その結果、前述したEV走行モード時には、バッテリVから走行用電動モータに供給される電力が減少してしまうことを抑制して、走行距離(航続距離)が短くなってしまうことを抑制できる。また、HV走行モード時には、発電機80を駆動するための燃料消費量の増加を抑制して、車両燃費の悪化を抑制できる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、
以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、暖房手段として車室内へ向けて送風される送風空気を加熱すものを採用した例を説明したが、暖房手段はこれに限定されない。例えば、暖房手段として、電力を供給されることによって乗員が触れる箇所の温度を上昇させて車室内の暖房を行う手段を採用してもよい。
このような手段としては、例えは、電気ヒータでシートを加熱するシートヒータや、電気ヒータでステアリングを加熱するステアリングヒータ等がある。さらに、暖房手段は、複数の手段で構成されていてもよい。例えば、第1実施形態の車両用空調装置1にシートヒータを組み合わせてもよい。
この場合は、熱媒体回路40(具体的には、電気ヒータ42)が消費する電力とシートヒータが消費する電力の合計値が、基準電力KDから電動圧縮機の消費電力を減算した値以下となるように、暖房電力制御手段50bが電気ヒータ42およびシートヒータに供給する電力を制御すればよい。
(2)上述の実施形態では、バッテリVの蓄電残量SOCの低下に伴って低い値となるように定められた基準電力KDを採用した例を説明したが、基準電力KDは、これに限定されない。例えば、基準電力KDを予め定めた一定値としてもよいし、バッテリVの温度の低下に伴って低い値となるように定められた値であってもよい。
ここで、電気自動車等に搭載されるバッテリV(例えば、リチウムイオン電池)は、その温度が低下すると入出力特性が悪化するため、温度低下に伴って放電できる電力が低下する。従って、バッテリVの温度の低下に伴って基準電力KDを低い値とすることで、バッテリVに蓄えられた電力を車室内空調に優先して車両走行に使用することができ、電気自動車の走行距離が短くなってしまうことをより一層効果的に抑制できる。
(3)上述の実施形態では、基準電力KDから圧縮機31が消費している電力を減算した値をヒータ使用許可電力としているが、ヒータ使用許可電力を算出する際に、基準電力KDから圧縮機31が消費している電力のみならず、その他の電動式構成機器の消費している電力を減算してもよい。
例えば、基準電力KDから圧縮機31が消費している電力のみならず、送風機12が消費している電力や水ポンプ41あるいは冷却水ポンプ45が消費している電力を減算してヒータ使用許可電力を算出してもよい。これによれば、車室内の空調を行うために消費される電力が増加してしまうことをより一層効果的に抑制できる。
(4)本発明に係る車両用空調装置の適用は、電気自動車やハイブリッド車両に限定されない。例えば、内燃機関から車両走行用の駆動力および発電機駆動用の駆動力を得る車両に本発明の車両用空調装置を適用してもよい。これによれば、車両用空調装置を作動させるために必要な電力を発電するための燃料消費量の増加を抑制できるので、車両燃費の悪化を抑制できる。
(5)上述の第2実施形態では、冷却水温度TWが低くなっていてもPTCヒータ47を作動させることで送風空気を加熱することができる。従って、例えば、図5の制御ステップS604に記載した制御特性図を、PTCヒータの作動本数が多くなるに伴って第2仮ブロワレベルf(TW)を増加させるように決定してもよい。
また、上述の第2実施形態では、PTCヒータの作動本数を変化させることで送風空気の加熱能力(暖房手段の暖房能力)を変化させているが、PTCヒータを採用した場合の加熱能力の変化はこれに限定されない。例えば、第1実施形態と同様に、デューティ比制御によってPTCヒータへ供給される電力を変化させてもよい。
より具体的には、複数本のPTCヒータの一部を通電あるいは非通電とした状態で、残りのPTCヒータへ供給される電力をデューティ比制御すれば、PTCヒータ47全体として連続的に発熱量(加熱能力)を変化させることができる。
(6)上述の実施形態では、冷凍サイクル30として、蒸発器35にて送風空気を冷却する構成のものを採用しているが、冷凍サイクル30の構成はこれに限定されない。例えば、圧縮機吐出冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する室内凝縮器を備え、蒸発器35にて送風空気を冷却する冷媒流路と室内凝縮器にて送風空気を加熱する冷媒流路とを切り替え可能に構成されたものを採用してもよい。
30 冷凍サイクル
31 圧縮機
40 熱媒体回路
47 PTCヒータ
50b 暖房電力制御手段

Claims (4)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する電動圧縮機(31)を有し、車室内へ送風される送風空気の温度を調整する冷凍サイクル(30)と、
    電力を供給されることによって車室内の暖房を行う暖房手段(40、47)と、
    前記暖房手段(40、47)に供給される電力を制御する暖房電力制御手段(50b)とを備え、
    前記暖房電力制御手段(50b)は、予め定められた基準電力(KD)から前記電動圧縮機(31)が消費している電力を減算した値を、前記暖房手段(40、47)に供給される電力の上限値とすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記電動圧縮機(31)および前記暖房手段(40、47)には、電力を蓄える蓄電手段(V)から電力が供給され、
    前記蓄電手段(V)には、少なくとも車両走行用の駆動力を出力する走行用電動モータに供給される電力が蓄えられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記基準電力(KD)は、前記蓄電手段(V)の蓄電残量の低下に伴って低い値となるように定められた値であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記基準電力(KD)は、前記蓄電手段(V)の温度の低下に伴って低い値となるように定められた値であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
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