JP2011087574A - 抗体可変領域をコードするdna - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な感染症治療薬として使用可能なポリペプチドを提供すること。
【解決手段】Staphylococcus aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA、当該DNAを含有する組換えDNA、当該組換えDNAを含有するベクター、当該組換えDNA又はベクターを含有する形質転換体、当該形質転換体を培養し、該培養物からS.aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドを採取する工程を含む、ポリペプチドの製造方法、前記DNAにコードされるポリペプチド。
【選択図】なし

Description

本発明は、感染症治療に有用な機能性抗体の可変領域をコードするDNAに関する。更に詳しくは、Staphylococcus aureus(S.aureus)のMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNAに関する。本発明は、また、当該抗体の可変領域を含有するポリペプチドの工業的な製造方法に関する。
原核生物のプラスミドの中には、宿主でのプラスミドを維持するためにプラスミドが脱落した宿主を殺すpost−segregation killing(PSK)の機能を有するものが報告されている。これらのプラスミドにはトキシン−アンチトキシン系(以下、TA系と記載する。また、TAモジュール、TA複合体、アディクションモジュールと称されていることがある)をコードする遺伝子が存在している。アンチトキシンは細胞内でトキシンと結合して複合体を形成することによってトキシンを不活化しているが、アンチトキシンはトキシンに比べて細胞内で不安定であり、アンチトキシンがプロテアーゼにより分解されることによってより安定なトキシンが活性化される(非特許文献1)。
このようなTA系のひとつとして多数のバクテリアのクロモソームに存在するMazE−MazF系がある。井上らは、トキシンであるMazF(ChpAK)はリボソーム非依存的に特定の塩基配列を認識してmRNAを切断するエンドリボヌクレアーゼであることを証明している。MazFは、大腸菌、Deinococcus radiodurans(DR0662)、Mycobacterium bovis BCG(Mb2014c)、Mycobacterium tuberculosis、S.aureusなどでホモログが見つかっている(非特許文献2)。
S.aureusのMazFは、UACAUの塩基配列を認識してmRNAを切断するエンドリボヌクレアーゼであることが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、S.aureusのMazFを認識し、MazE−MazFの相互作用を阻害する抗体は知られていない。
ネイチャー・レビューズ・マイクロバイオロジー(Nature Reviews Microbiology)、第3巻、第371〜382頁(2005) ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)、第189巻、第8871〜8879頁(2007) ジャーナル・オブ・バクテリオロジー、第191巻、第3248〜3255頁(2009)
近年、多剤耐性菌の出現は医療現場の大きな問題となっており、特定の細胞機能を標的とした新規な感染症治療薬の開発が望まれている。
したがって、本発明は上記のような問題を解決し、新規な感染症治療薬として使用可能なポリペプチドを提供すべくなされたものである。
本発明者らは、S.aureusのMazFに特異的に結合する抗体を検索したところ、それらの中に、MazFのエンドリボヌクレアーゼ活性を保持したまま、MazEとの複合体形成を阻害する機能性抗体を見出し、当該抗体の活性断片及びこれらをコードするDNAは、S.aureusのMazFを認識する抗体の製造に有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明を概説すれば、
[1]Staphylococcus aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA、
[2]重鎖可変領域をコードする塩基配列中に配列表の配列番号11、12及び13で示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含み、軽鎖可変領域をコードする塩基配列中に配列表の配列番号14、15及び16で示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含む[1]記載のDNA、
[3]配列表の配列番号8、10に示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含む[2]記載のDNA、
[4]配列番号8又は配列番号10に示されるアミノ酸に、1〜数個の欠失、置換、挿入、転置又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、S.aureusのMazFに結合してMazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA、
[5]配列番号7又は配列番号9に示される塩基配列を有するDNAの相補鎖に厳密な条件においてハイブリダイズ可能なDNAであって、かつ、S.aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA、
[6][1]〜[5]いずれか1項に記載のDNAを含有する組換えDNA、
[7][6]記載の組換えDNAを含有するベクター、
[8][6]記載の組換えDNA又は[7]記載のベクターを含有する形質転換体、
[9][8]記載の形質転換体を培養し、該培養物からS.aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドを採取する工程を含む、ポリペプチドの製造方法、
[10][1]〜[5]いずれか1項に記載のDNAにコードされるポリペプチド、
である。
本発明により、トキシン又はアンチトキシンに特異的に結合し、かつトキシン−アンチトキシン間の相互作用を阻害することにより、トキシン−アンチトキシン複合体形成を妨害し、もって細菌の増殖を抑制もしくは細菌を死滅させる効果を発揮する抗体又は当該抗体の可変領域を含む断片あるいはそれらをコードする遺伝子を有効成分とする細菌感染症の予防・治療剤が提供される。
本発明の実施例2に係る細菌TA系の相互作用阻害を示す図である。 本発明の実施例2に係るMazFのリボヌクレアーゼ活性を示す図である。 本発明の実施例3に係る細菌TA系の相互作用阻害を示す図である。 本発明の実施例3に係る細菌TA系の相互作用阻害を示す図である。
本発明において、「抗体」とは免疫原(抗原)を特異的に認識し結合する免疫グロブリン及び抗原結合部位を含むその断片を意味する。抗原結合部位を含むその断片としては、重鎖(H鎖、Heavy chain)、軽鎖(L鎖、Light chain)、Fab、F(ab’)、可変領域(V、V)又は定常領域などを単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。一般的に重鎖には、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖及びε鎖の5種類があり、軽鎖にはλ鎖とκ鎖の2種類が存在する。これらの分子の組み合わせによって、サブクラスがIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの各抗体分子が形成される。本発明において使用する抗体としては、ヒト、あるいはマウスのような非ヒト動物由来のモノクローナル抗体、キメラ抗体を含むヒト化抗体、完全ヒト抗体、ポリクローナル抗体、多価抗体(例えば、バイバレント抗体)、マルチ特異性抗体(例えば、バイスペシフィック抗体)又は1本鎖抗体(単鎖抗体、scFv)、更にラクダやラマの持つH鎖のみからなる抗体から開発されたナノ抗体(Nanobody)やサメのIgNARなどの抗体様分子などが例示される。
本発明において、「抗体の可変領域」とは抗体のポリペプチド鎖内で極めて多様な配列を示す領域を意味し、V領域とも呼ばれる。可変領域は、4つのフレーム領域及び超可変領域である3つの抗原相補性決定領域(CDR:Complementarity−determining region)から構成される。重鎖及び軽鎖とも、4つのフレームワーク配列の間に3つのCDRが挿入された配置を有している。
本発明において、「MazF」及び「MazE」とは、それぞれ大腸菌が有しているタンパク質性毒素(トキシン)であるMazFタンパク質、及び抗毒素(アンチトキシン)であるMazEタンパク質、並びにこれらのホモログを意味する。細菌細胞内でMazFはMazEと安定なTA複合体を形成し、そのためにMazFは細胞に対して毒性を発揮することがないが、細胞に対する様々なストレスに応答して、不安定なMazEがプロテアーゼによって分解を受けるとMazFがその毒性を発揮して、DNA複製やタンパク質合成を制御する。本明細書ではS.aureus由来のMazF及びMazEのホモログをそれぞれMazF(S.aureus)、MazE(S.aureus)と記載する。
(1)本発明の抗体の可変領域をコードするDNA
本発明の抗体の可変領域をコードするDNAは、MazF(S.aureus)に結合し、当該タンパク質のMazE(S.aureus)との相互作用を阻害する抗体である抗MazF(S.aureus)抗体の可変領域をコードするDNAである。前記抗体として、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fが例示される。抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの重鎖の可変領域をコードするDNAは配列番号7に示される塩基配列を含み、配列番号8に示されるアミノ酸配列をコードする。軽鎖の可変領域をコードするDNAは配列番号9に示される塩基配列を含み、配列番号10に示されるアミノ酸配列をコードする。
ここで、MazF(S.aureus)とMazE(S.aureus)との相互作用を阻害するとは、MazE(S.aureus)との結合によって阻害されているMazF(S.aureus)のエンドリボヌクレアーゼ活性を回復させることを意味し、必ずしもMazF(S.aureus)−MazE(S.aureus)複合体を解離させることを意味しない。
また、Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th.ed.U.S.Department of Health and Human Services(1987)あるいは/及び、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、第196巻、第901頁(1987)を参照することにより、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの抗体活性を決定する可変領域の相補性決定領域(CDR1〜CDR3)の配列を同定することができる。抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの重鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号11に、重鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号12に、重鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号13に、軽鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号14に、軽鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号15に、軽鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号16にそれぞれ示す。これらのCDRをコードする塩基配列を含むDNAも本発明の抗体可変領域をコードするDNAに含まれる。
本発明においては、配列番号8又は配列番号10に示されるアミノ酸に、1〜数個の欠失、置換、挿入、転置又は付加されたアミノ酸配列をコードするDNAであって、かつ、MazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用を阻害するポリペプチドをコードするDNAをも含むものである。
本発明においては、更に配列番号7又は配列番号9に示される塩基配列を有するDNAの相補鎖に厳密な条件においてハイブリダイズ可能なDNAであって、かつ、MazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用を阻害するポリペプチドをコードするDNAをも含むものである。前記の「厳密な条件においてハイブリダイズ可能なDNA」は、例えば以下の方法により確認することができる。
まずDNAをニトロセルロースやナイロンの膜に、変性処理により固定する。この膜をあらかじめ適当な化合物で標識したプローブ(使用するプローブとしては、配列表の配列番号8又は配列番号9の塩基配列に相補的なDNA、又は当該DNAの配列の連続した12塩基以上からなるその一部を使用することができる)を含む溶液中で保温し、膜上のDNAとプローブとの間でハイブリッドを形成させる。
具体的には、例えばDNAを固定化した膜を、6×SSC、1%SDS、100μg/mLサケ精子DNA、5×デンハルツを含む溶液中、65℃で20時間、プローブとハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーション後、非特異的吸着を洗い流し、オートラジオグラフィー等によりプローブとハイブリッド形成したDNAを同定する。前記の洗浄について、例えば0.5%SDSを含む2×SSC中、37℃という条件が例示される。こうして得られたクローンは、本発明のDNAと高い相同性を有するDNAが保持されていると予想される。このクローンから得られたDNAは、例えば公知の方法によりその塩基配列を決定し、適当な宿主−ベクター系を使用してこのDNAがコードしているポリペプチドを発現させ、MazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−Maz(S.aureus)F間相互作用を阻害する活性を有するかどうかを調べることができる。
本発明のDNAがコードする抗体の可変領域のうち、ヒト以外の動物を免疫して得られた抗体由来のものについては、ヒトに投与する場合の免疫原性の軽減のために、当該抗体の可変領域(例えば配列番号8又は配列番号10のアミノ酸配列を有する領域)をヒト由来の定常領域に接合した「ヒト化キメラ抗体」を作成することができる(特開平7−194384号公報)。また、可変部領域の抗原性をアミノ酸置換・ヒト化によりヒトの抗原性に変換し、リガンド結合性は損なうことなく免疫原性を低下させることもできる(特開平8−280387公報)。更に、CDR部分(例えば配列番号11〜16のアミノ酸配列を有するフラグメント)のみをヒト由来の抗体(アクセプター)に移植する方法(再構成)によってヒト化抗体を製造することができる。CDRのみならずフレームワーク部分の一部のアミノ酸を、ドナーの由来の配列とすることによってより抗原性を低めつつ、元の抗体の反応性を維持したヒト化抗体を作成することもできる(特許2828340号公報、特開平11−4694号公報、特開平11−243955号公報)。これらの「ヒト化キメラ抗体」の可変領域をコードするDNAも本発明のDNAに含まれる。
更に、Fab、単鎖抗体(scFv)、単鎖抗体の二量体(Diabody)、単鎖抗体の三量体(Triabody)又はミニボディー(Minibody)などの抗体の可変領域を含む低分子化抗体をコードするDNAも本発明のDNAに含まれる。
(2)本発明のDNAを含有する組換えDNA、発現ベクター、組換え体、ポリペプチドの製造方法、本発明のDNAにコードされるポリペプチド
本発明のDNAは、後述のMazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドの製造に使用することを目的として、適切なプロモーターの下流に接続した組換えDNAとすることができる。プロモーターは使用しようとする宿主に応じたものを選択すればよい。更に、こうして得られた組換えDNAを挿入した発現ベクターを作製することもでき、本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドを発現させることができる。例えば大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等において発現できるような発現ベクターがすでに多数知られており、本発明に使用することができる。前記の発現ベクターは公知のベクター、例えば市販のベクターに本発明のDNAを挿入することでも作製してもよい。
次に、本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドを遺伝子工学的に製造する方法について説明する。まず前記のような本発明の組換えDNAや発現ベクターを適当な宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等に導入して作製された形質転換体を作製する。この形質転換体を培養することにより、MazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドを生産させることができる。本発明には、前記(1)に記載した本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドが含まれる。当該ポリペプチドとしては、本発明を特に限定するものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、双特異性抗体、Fab、単鎖抗体(scFv)、T−bodyやこれらの改変物が例示される。
ポリペプチドの発現は、後述の実施例1−(4)のような方法によりMazF(S.aureus)との結合や、実施例3のような方法によりMazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用の阻害活性を測定することにより確認できる。また、形質転換体から本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドを精製するには、通常のタンパク質精製の手法を用いることができる。例えば、培養菌体を破砕し、目的のポリペプチドが可溶化していればその上清を直接、もしくは適切な前処理(塩析や限外ろ過等)を施した後にアフィニティー、疎水、イオン交換、ゲル濾過等のクロマトグラフィーに供することによって目的のポリペプチドを得ることができる。ポリペプチドが培地中に分泌されている場合も同様に精製すればよい。
本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドは、MazF(S.aureus)に結合し、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドである。更に、MazFのリボヌクレアーゼ活性に影響を全く及ぼさないか、影響を及ぼすとしても50%程度まで、好ましくは20%程度までの阻害効果を示す抗体が本発明の抗体としては好ましい。抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fは、MazFのリボヌクレアーゼ活性を促進するため、S.aureus感染症の治療及び予防に極めて有用である。MazFのリボヌクレアーゼ活性は、例えば合成オリゴRNAあるいはDNA−RNAキメラオリゴヌクレオチドを基質として、文献[モレキュラー・セル(Molecular Cell)、第12巻、第913〜923頁(2003)、アナリティカル・バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第371巻、第173〜183頁(2007)]に記載された方法に従って測定することができる。また、MazFによる切断位置の5’側にリボヌクレオチド残基を含むDNA−RNAキメラオリゴヌクレオチドの5’末端を蛍光物質ROXで、3’末端を消光物質Eclipseでそれぞれ標識した合成基質を使用してMazFのリボヌクレアーゼ活性を高感度に測定する方法が国際公開第2007/109781号パンフレットに記載されている。更に、MazFの活性を、無細胞タンパク質合成系を用いて測定する方法がモレキュラー・セル、第12巻、第913〜923頁(2003)に記載されている。
MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用阻害活性は、以下の方法によって測定することができる。MazE(S.aureus)もしくはMazF(S.aureus)を容器に固相化し、BSAやミルクカゼインなどでブロッキングした後、MazE(S.aureus)を固相化した場合はタグ配列を付加したMazF(S.aureus)を、MazF(S.aureus)を固相化した場合はタグ配列を付加したMazE(S.aureus)を加える。室温あるいは37℃で適当な時間インキュベーションした後、容器を洗浄し、次いで容器表面に結合したMazE(S.aureus)あるいはMazF(S.aureus)をそれぞれに付加されたタグ配列に対する抗体を用いて検出する。この目的のために、MazF(S.aureus)とMazE(S.aureus)には精製用のタグ配列(例えばHisタグ配列)の他にそれぞれ異なるタグ配列、例えばMycタグ配列やHAタグ配列などを付加しておくことが望ましい。例えば、MazE(S.aureus)を固相化したプレートに本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドを添加してMazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用阻害活性を測定する場合、一定量のMazF(S.aureus)と濃度を変化させたポリペプチドの混合物を前記プレートにそれぞれ添加し、固相上のMazE(S.aureus)に結合するMazF(S.aureus)を検出することによって複合体形成阻害活性を測定する事ができる。逆に、濃度を変化させたMazF(S.aureus)と競合するポリペプチド量を抗マウス標識抗体などで検出定量することによっても、MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用阻害活性を測定する事ができる。更に、前記測定系のMazE(S.aureus)とMazF(S.aureus)を交換してもよい。
本発明のDNAにコードされる抗体の可変領域を含有するポリペプチドは、トキシンであるMazF(S.aureus)を活性化し、S.aureusの増殖抑制又はプログラム細胞死誘導などを引き起こす。したがって、当該ポリペプチドは、感染症治療剤として細菌感染、特にS.aureus感染症の治療において有用であり、場合により細菌の感染予防にも使用できる。当該ポリペプチドは、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、そのまま、あるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、注射剤、坐剤又は徐放剤等の医薬製剤として安全に投与することができる。
本発明の抗体の可変領域をコードするDNAを発現可能な形態で含む組換えDNAを有効成分として含有する感染症治療剤は、前記組換えDNAを含むネーキッド型、ベクター型等の核酸として含有させた任意の剤形とすることができる。ここで、ネーキッド型とは前記組換えDNAの発現システムの他に核酸自体の自己複製機能や粒子(ファージ又はウイルス)への組み込み機能を有しない核酸を指す。ベクター型の感染症治療剤に使用できるベクターは、遺伝子の安定性、細菌への遺伝子導入効率により適宜選択すればよく、具体的にはプラスミドベクター、ウイルスベクター、又はファージベクターである。
本発明の抗体の可変領域をコードするDNAを有効成分とする細菌感染症治療剤に用いられるベクターとして、ファージベクター又はファージミドベクターが好適に用いられる。これらのファージベクターあるいはファージミドベクターに本発明の抗体の可変領域をコードするDNAを挿入することによって、効率よく目的の細菌内に導入し、本発明の抗体の可変領域をコードするDNAを目的細菌内で発現させることができる。本発明で用いられるファージは特に限定されるものではないが、例えばブドウ球菌(Staphylococci)に感染するPhage K[ジャーナル・オブ・バクテリオロジー、第186巻、第2862頁(2004)]などを含めて多数のバクテリオファージが報告されており、これらのファージあるいはファージミドベクターを標的の細菌に合わせて適宜用いることができる。
以下に実施例により、更に詳細に本発明を説明するが、本発明は実施例の範囲内に限定されるものではない。
参考例1 S.aureusのMazF[MazF(S.aureus)]及びMazE[MazE(S.aureus)]の発現、精製
MazF(S.aureus)及びMazE(S.aureus)の発現プラスミドベクターの構築とタンパク質発現・精製は以下のようにして行った。ジャーナル・オブ・バクテリオロジー、第189巻、第8871〜8879頁(2007)の記載を参考にして、MazF(S.aureus)をコードする遺伝子を含むDNA(配列番号1)を合成し、これを制限酵素Nde I及びBamH Iで消化した。このDNAをpET28a(Novagen)ベクターの制限酵素サイトNde I−BamH I間にクローニングしたMazF(S.aureus)発現プラスミドベクター、pET28mazFsaを構築した。また、MazE(S.aureus)をコードする遺伝子を含むDNA(配列番号2)を合成し、これを制限酵素Nco I及びBamH Iで消化した。このDNAをpET28a(ノバジェン社製)ベクターの制限酵素サイトNco I−BamH I間にクローニングしたMazE(S.aureus)発現プラスミドベクター、pHisPrS2MazEsaを構築した。pHisPrS2MazEsaは、そのN末端側からヒスチジン(His)タグ、Myxococcus xanthusのプロテインSのN末端ポリペプチドが2つ(国際公開第2007/109697号パンフレット)、MazE(S.aureus)が順に並んだ形のキメラタンパク質の発現ベクターである。
これら2種類のプラスミドベクターでそれぞれ大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、得られた形質転換体を3LのLB培地中でJar培養した。OD600nmが0.5付近になった時点で終濃度1mMになるようにIPTGを添加して発現を誘導し、引き続き4時間培養を続けた。得られた菌体を400mMのNaCl及び10mMのイミダゾールを含むPBSに懸濁後、超音波処理して無細胞抽出液を調製し、これからHis Trap HP(GEヘルスケア社製)を用いてMazF(S.aureus)とMazE(S.aureus)を精製した。
実施例1 抗MazF(S.aureus)抗体
(1)抗MazF(S.aureus)抗体の作製
参考例1で調製したMazF(S.aureus)を1mg/mLの抗原溶液とした。この抗原溶液をBALB/cマウス4匹に投与し、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第182巻(1990)及びモノクローナル アンタイボディーズ:プリンシプル アンド プラクティス(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)アカデミックプレス(1996)に記載の方法に従って、抗血清及びハイブリドーマを得た。この抗血清又はハイブリドーマ培養上清について、参考例1で調製したMazF(S.aureus)を定法に従って固相化した96−ウェル マイクロプレート[MazF(S.aureus)固相化プレート]を用いてELISAを行うことによってMazF(S.aureus)に特異的に結合する抗体を選択した。このモノクローナル抗体を抗MazF(S.aureus)抗体7B−7F、当該抗体を産生するハイブリドーマ細胞を7B−7F、とそれぞれ命名した。
このようにして、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fを取得した。
(2)抗MazF(S.aureus)抗体7B−7FをコードするDNAの遺伝子配列決定方法
実施例1−(1)で得られた抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの重鎖、並びに軽鎖の可変領域の遺伝子配列を決定するため、ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(Journal of Immunological Methods)、第178巻、第241−251貢(1995)を参照し、前記両鎖のcDNAのクローニングを実施した。SMART(商標) RACE cDNA Amplification Kit(クロンテック社製)及び表1に記載する抗体の重鎖、軽鎖それぞれの定常領域をコードする塩基配列に特異的なプライマーを用いることによって重鎖、軽鎖をコードするDNAそれぞれの完全な可変領域の配列を決定した。下記実施例1−(3)に具体的な操作手順を示す。
Figure 2011087574
(3)抗MazF(S.aureus)抗体7B−7FをコードするDNAの遺伝子配列決定
ハイブリドーマ細胞7B−7Fの10mL培養分の細胞を300μLのRNAprotect Cell Reagent(キアゲン社製)に懸濁した後、遠心分離し上清を完全に取り除いた。沈殿として回収した細胞を600μLのRNeasy Plus Mini kit(キアゲン社製)添付のBuffer RLT Plusに懸濁し溶解させ、QIAshredder spin column(キアゲン社製)に通した後、RNeasy Plus Mini kit(キアゲン社製)を用いて、当該キットのマニュアルに従いトータルRNAの抽出を行った。
回収したトータルRNAの0.5μgを鋳型とし、逆転写反応のプライマーとして抗体の重鎖、軽鎖の定常領域にそれぞれ特異的なプライマーRCGN142B(配列番号3)又はHRCK136B(配列番号4)を12pmol及び200Unit/mL PrimeScript(登録商標) Reverse Transcriptase(タカラバイオ社製)を使用し、SMART(商標) RACE cDNA Amplification Kitのマニュアルに従って、SMARTオリゴと呼ばれるオリゴヌクレオチドが連結した逆転写反応産物を調製した。
得られた逆転写反応産物2.5μL、2倍濃度のPrimeSTAR(登録商標) Max DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を25μL、SMARTオリゴにアニールするUniversal Primer A Mixを5μL及び抗体の重鎖、軽鎖の定常領域にそれぞれ特異的なプライマーRCGN118(配列番号5)又はRCKN127(配列番号6)10pmolを含む溶液を全量50μLに調製した。調製した溶液を98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で5秒を1サイクルとする反応を30サイクル行いPCR産物とした。
TaKaRa BKL Kit(タカラバイオ社製)を用い、得られたPCR産物の5’末端をリン酸化し、HincIIで切断したpUC118(タカラバイオ社製)に挿入した。得られた組換えDNAを用いて大腸菌JM109を形質転換し、形質転換体より抗体をコードする遺伝子を含むプラスミドを取得した。
M13 Primer M4(タカラバイオ社製)とM13 Primer RV(タカラバイオ社製)の2種類のプライマーを用いて、サンガー法の原理で得られたプラスミド内の抗体をコードする遺伝子配列情報を取得した。その重鎖可変領域の塩基配列を配列番号7に、当該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を8に示す。また、軽鎖可変領域の塩基配列を配列番号9に、当該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を10に示す。更に、重鎖可変領域中のCDR1、CDR2、CDR3をそれぞれ配列番号11、配列番号12、配列番号13に示す。同様に、軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2、CDR3をそれぞれ配列番号14、配列番号15、配列番号16に示す。
(4)組換えファージの製造
配列番号7の塩基配列及びマウス抗体定常領域CH1領域の塩基配列を有する遺伝子と、配列番号9の塩基配列及びマウス抗体定常領域CL領域の塩基配列を有する遺伝子を、pCANTAB5E(GEヘルスケア社製)を基に作製したファージミドベクターのLacプロモーターの下流に作動可能になるように挿入し、発現用ファージミドベクターを作製した。この発現用ファージミドベクターとM13KO7ヘルパーファージを用いて抗MazF(S.aureus)抗体7B−7FのFabフラグメントを提示したファージを作製した。
実施例1と同様に作製したMazF(S.aureus)固相化プレートを0.1%のTween20(シグマ社製)及び1%のBSA(シグマ社製)を含むPBS溶液でブロッキングした。作製したファージをMazF固相化プレートに添加し室温、60分間インキュベーションし、その後プレートを、0.1%のTween20を含むPBS溶液で洗浄した。その後、0.5μg/mLのHRP標識抗M13ファージ抗体(GEヘルスケア社製)を添加し室温、60分間反応させ、0.1% Tween20を含むPBS溶液で洗浄した後、基質である3,3’,5,5’−Tetramethylbenzidine(TMB、シグマ社製)を添加して発色させ、1Nの硫酸を等量加えて反応を停止させた。その後、450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
陰性のコントロールとして調製した大腸菌由来のMazF、Mycobacterium tuberculosis由来のMazFホモログを固相化したプレートで同様の操作を行ったところ、MazF(S.aureus)固相化プレートでのみ結合活性が確認された。このことより、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの組換えFabフラグメントは、MazF(S.aureus)に対して特異的結合活性を示すことが確認された。
実施例2
(1)抗体によるMazE−MazF相互作用阻害の高感度測定方法
MazFのリボヌクレアーゼ活性を高感度に測定するため、蛍光物質と消光物質で標識されたキメラオリゴヌクレオチドを用いた活性測定系を以下の文献を参考にして構築した。
国際公開第2007/109781号パンフレット
アナリティカル・バイオケミストリー、第371巻、第173〜183頁(2007)
モレキュラー・マイクロバイオロジー(Molecular Microbiology)、第69巻、第559〜569頁(2008)
ジャーナル・オブ・バクテリオロジー、Published online ahead of print on 27 February 2009
このアッセイ系では、MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性によって二重標識キメラオリゴヌクレオチドが切断される結果、蛍光物質と消光物質の距離が離れ蛍光が生じる。活性測定系にMazF(S.aureus)とともにMazE(S.aureus)が共存する場合は、両者間で複合体が形成されるためにMazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性は抑制され基質は分解されないが、反応系にMazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用を阻害する抗体が共存する場合は複合体の解離もしくは不安定化が起こり、MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性が発揮される結果、基質が分解されて蛍光強度が観測される。
MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性測定用基質として、上記文献を参考にして表2に記載する二重標識キメラオリゴヌクレオチド基質を用いた。表2において、rUはリボヌクレオチド(ウラシル)を表す。
Figure 2011087574
(2)MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用に対する抗MazF(S.aureus)抗体の影響
実施例2−(1)の方法を用いた抗体によるMazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用阻害活性の測定は以下のようにして行った。
蛍光測定用マイクロプレートを用いて、参考例1で調製した0.5μMのMazF(S.aureus)10μLと、抗体溶液25μL(25pmol)を混合して37℃で15分間反応させた後、参考例1で調製した0.5μMのMazE(S.aureus)を5μL加えて4℃で60分間反応させた。その後、基質溶液、10μLを加えて37℃で90分間反応させ、励起波長:485nm;蛍光波長:535nmでの蛍光強度を蛍光プレートリーダーで測定した。基質溶液の組成は312.5nMの基質、16.75U/mLのRNaseインヒビター及び2.5倍濃度のcomplete,EDTA−freeプロテアーゼインヒビターカクテルを含む50mM Tris−塩酸バッファーpH7.5である。
抗体溶液として、実施例1で作成した抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fを使用した結果を図1に示す。図1中、基質、抗体溶液、MazF(S.aureus)及びMazE(S.aureus)を混合した結果を黒丸で示す。コントロールとしては抗体溶液の代わりに10mM Tris−塩酸バッファーpH7.5を使用し、白三角で示す。
コントロール溶液を添加した場合、蛍光強度の増加は見られず、MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性はMazE(S.aureus)によって抑制されたままであるのに対し、モノクローナル抗体7B−7Fを添加した場合、MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性によって基質が分解され反応時間とともに蛍光強度が増加した。
同様にして、基質及びMazF(S.aureus)を混合した場合(白丸)、基質、MazF(S.aureus)及び抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fを混合した場合(黒丸)、基質及び抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fを混合した場合(白三角)を比較した結果を図2に示す。図2から明らかなように、MazF(S.aureus)を単独で加えた場合に比べて、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fを加えた場合、MazF(S.aureus)のリボヌクレアーゼ活性が増強し、蛍光強度が増加した。
実施例3 MazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用に対する抗MazF(S.aureus)抗体の影響
抗体によるMazE(S.aureus)−MazF(S.aureus)相互作用阻害活性の測定は抗原固相化プレートを用いた競合アッセイ法でも行った。96ウェル マイクロプレート(ヌンク社製)の各ウェルに、参考例1のMazE(S.aureus)又はMazF(S.aureus)をそれぞれ2μg/mLの濃度で50μL添加して固相化した。固相化は4℃で14時間行った。
まず、固相化したMazF(S.aureus)に相互作用するMazE(S.aureus)に対して、実施例1で調製した抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの濃度を変化させて添加する競合アッセイを行った。MazF(S.aureus)固相化プレートを0.1%のTween20及び1%のBSA(シグマ社製)を含むPBS溶液でブロッキングした。0〜1250ngの抗体と2ngのMazE(S.aureus)を含む混合液50μLをMazF固相化プレートに添加し、更に4℃、60分間インキュベーションし、その後プレートを、0.1%Tween20を含むPBS溶液で洗浄した。固相プレート上に結合しているMazE(S.aureus)を検出するために、MazEに付加したProteinSに対する抗体を用いた。HRP標識抗ProteinS抗体の反応は濃度0.2μg/mLの抗体溶液を50μL加えて室温、60分間反応させた。0.1%Tween20を含むPBS溶液で洗浄した後、基質である3,3’,5,5’−Tetramethylbenzidine(TMB、シグマ社製)を50μL添加して発色させ、1Nの硫酸を等量加えて反応を停止させた。その後、450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
結果を図3に示す。図3から明らかなように、抗MazF(S.aureus)抗体7B−7Fの濃度に依存してプレートに固相化したMazF(S.aureus)に結合するMazE(S.aureus)量が減少した。
次に、MazE(S.aureus)の濃度を変化させて添加する競合アッセイを行った。MazF(S.aureus)固相化プレートを0.1%のTween20及び1%のBSAを含むPBS溶液でブロッキングを行った。25ngの抗体と0〜5μgのMazE(S.aureus)を含む混合液50μLを、MazF(S.aureus)固相化プレートに添加し、更に4℃、60分間インキュベーションし、その後プレートを、0.1%Tween20を含むPBS溶液で洗浄した。固相プレート上に結合している抗体は、0.1μg/mLのHRP標識抗マウスIgG抗体を50μL添加して検出した。2次抗体の反応は室温、60分間である。0.1%Tween20を含むPBS溶液でプレートを洗浄した後、TMBを50μL添加して発色させ、1Nの硫酸を等量加えて反応を停止させた。その後、450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
結果を図4に示す。図4から明らかなように、プレートに固相化したMazF(S.aureus)に結合する抗MazF(S.aureus)モノクローナル抗体7B−7Fは、添加したMazE(S.aureus)量に依存して減少した。
本発明により、MazF(S.aureus)に特異的に結合し、かつMazF−MazEの相互作用を阻害することにより、病原性細菌の増殖を抑制もしくは細菌を死滅させる効果を発揮する抗体の可変領域をコードするDNAが提供される。
SEQ ID NO:1: Nucleic acid sequence containing MazF (S.aureus).
SEQ ID NO:2: Nucleic acid sequence containing MazE (S.aureus).
SEQ ID NO:3: Primer RCGN142B
SEQ ID NO:4: Primer HRCK136B
SEQ ID NO:5: Primer RCGN118
SEQ ID NO:6: Primer RCKN127
SEQ ID NO:7: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F heavy chain variable region.
SEQ ID NO:8: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F heavy chain variable region.
SEQ ID NO:9: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F light chain variable region.
SEQ ID NO:10: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F light chain variable region.
SEQ ID NO:11: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F heavy chain CDR1.
SEQ ID NO:12: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F heavy chain CDR2.
SEQ ID NO:13: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F heavy chain CDR3.
SEQ ID NO:14: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F light chain CDR1.
SEQ ID NO:15: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F light chain CDR2.
SEQ ID NO:16: Anti-MazF(S.aureus) antibody 7B-7F light chain CDR3.
SEQ ID NO:17: Substrate for MazF ribonuclease assay. nucleotides 6 is ribonucleotides-other nucleotides are deoxyribonucleotides.

Claims (10)

  1. Staphylococcus aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA。
  2. 重鎖可変領域をコードする塩基配列中に配列表の配列番号11、12及び13で示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含み、軽鎖可変領域をコードする塩基配列中に配列表の配列番号14、15及び16で示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含む請求項1記載のDNA。
  3. 配列表の配列番号8、10に示されるアミノ酸配列のそれぞれをコードする塩基配列を含む請求項2記載のDNA。
  4. 配列番号8又は配列番号10に示されるアミノ酸に、1〜数個の欠失、置換、挿入、転置又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、S.aureusのMazFに結合してMazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA。
  5. 配列番号7又は配列番号9に示される塩基配列を有するDNAの相補鎖に厳密な条件においてハイブリダイズ可能なDNAであって、かつ、S.aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域をコードするDNA。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のDNAを含有する組換えDNA。
  7. 請求項6記載の組換えDNAを含有するベクター。
  8. 請求項6記載の組換えDNA又は請求項7記載のベクターを含有する形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養し、該培養物からS.aureusのMazFに結合し、MazE−MazF間相互作用を阻害する抗体の可変領域を含有するポリペプチドを採取する工程を含む、ポリペプチドの製造方法。
  10. 請求項1〜5いずれか1項に記載のDNAにコードされるポリペプチド。
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