JP2011086817A - 小型携帯電子機器の防水方法と、それによって得られる防水型小型携帯電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水型の小型携帯電子機器を設計するにあたり、液状物塗工型でシール材を形成することにより、防水性の優れたシール材を簡便かつ高精度に形成する方法を提供すること。
【解決手段】シール材原料組成物が液状〜ペースト状の硬化性樹脂組成物であることが特徴であり、小型携帯電子機器の筐体樹脂の必要部位にディスペンサー等の液状材料を吐出できる装置を用いて上記樹脂組成物を流し込みすることでシール材を設け、機器の組立て後に該シール材を硬化反応させることにより強固なシール材を形成させる。この方法により、製品筐体樹脂との密着性を格段に向上することが出来るため、固形パッキンやガスケットを面圧で押しつぶしてシールとする従来の方法に比べて、シール性能・信頼性を向上することができる。
【選択図】図3
【解決手段】シール材原料組成物が液状〜ペースト状の硬化性樹脂組成物であることが特徴であり、小型携帯電子機器の筐体樹脂の必要部位にディスペンサー等の液状材料を吐出できる装置を用いて上記樹脂組成物を流し込みすることでシール材を設け、機器の組立て後に該シール材を硬化反応させることにより強固なシール材を形成させる。この方法により、製品筐体樹脂との密着性を格段に向上することが出来るため、固形パッキンやガスケットを面圧で押しつぶしてシールとする従来の方法に比べて、シール性能・信頼性を向上することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、小型携帯電子機器の防水構造、特に防水用シール材、ならびにその形成方法に関する。
近年、携帯電話、モバイルパソコン、MP3プレイヤー、デジタルビデオレコーダー、デジタルカメラ等に代表される小型携帯電子機器は、処理速度の向上や記録容量の増大といった高性能化に加え、インターネットによる通信機能、ゲーム機能、音楽・画像ファイルの取り込み及び再生機能等、多機能化も急速に進んでいる。さらに、小型化、薄型化、軽量化といったより携帯しやすいものが開発され、屋外での使用頻度はますます高くなってきており、使用環境の変化に対応した筺体構造の改変や機能付与がより重要となってきている。
中でも、防水性は、上記に代表される小型携帯電子機器を野外にて使用する際、誤って水中に落としたり、雨や雪、霧などで濡れた場合、水や水蒸気がその内部に侵入することによる故障を防ぐためには特に重要な機能であり、その要求レベルも年々高まってきている。
小型携帯電子機器の防水性を評価する方法として、例えばJIS IPX7のように、該機器を一定の水圧下・一定の時間、すなわち水深1mに30分間暴露する静的な試験のみならず、IPX5のように一定量の水を局部的に当てる、すなわち2.5〜3m離れたノズルから毎分12.5リットルの水を3分間以上噴射する動的な試験もあり、要求特性は多岐にわたるため、防水機能の付与には筺体の構造のみならず、筺体分割部に挿入するパッキンやガスケット形状の最適化も含めて複合的に検討されている。例えば、異形断面のガスケットを用いた電子機器の筺体分割部を防水する技術としては、特許文献1のようなものが知られている。
ところが、特許文献1に代表される従来のパッキンやガスケットはゴム弾性を有する素材からなっており、その使用環境では一定の割合に圧縮された際の反発力を利用して、防水性等シール機能を発現しているが、筺体の構造上、例えば製品の薄型化や筺体の薄肉化によって、パッキン全周にわたって防水性を発現するために最低限必要な圧縮率や圧縮力を印加することが困難であったり、また、素材の劣化によって十分な反発力が得られなくなることで、防水性を維持できなくなるような問題があった。また、上記パッキンやガスケットを所定の位置に確実に組み込むためには、煩雑な手作業が必要不可欠であり、生産性向上の観点からも改善が求められている。
これに対し、必要な部位に硬化性液状樹脂組成物を塗工した後、前記組成物を硬化させることによりシール性能を発現する方法も広く用いられており、例えば、自動車部品のシール方法として特許文献2のようなものが知られている。
同様に、燃料電池用ガスケットの製造方法においても、例えば特許文献3のように、シール部の空隙部分にシール材料を含浸した後、シール対象物と一体化された状態で加硫する方法が知られている。
本方法は現場成形型液状ガスケットの中でもFormed−In−Place−Gasket(FIPG)と呼ばれており、前述の従来型パッキンやガスケットと比較して、組付時の生産性向上やコスト削減のみならず、硬化後のシール部材に外力からの圧縮力がかからないため、応力によるシール部材のクリープ現象やへたりが少なく長期信頼性に優れる等の利点がある。しかしながら、FIPGはその適応範囲において、塗工工程の精度要求が比較的緩やかな大型の自動車部品や電気機器に採用されるにとどまっており、小型携帯電子機器に代表される精密機器の微小な特定部を精度良くシールする分野への展開はなされていないのが現状である。
一方で、現場成形型液状ガスケットによる小型携帯電子機器用シール材の形成方法については、例えば3次元形状のシール部材形成工程において必要な部位に硬化性液状樹脂組成物を塗工、硬化させてから勘合させる技術、すなわちCured−In−Place Gasket(CIPG)が例えば特許文献4に開示されている。CIPGは前述の従来型パッキンやガスケットと比較して組付時の生産性改善の面でメリットはあるものの、そのシール機構そのものは従来型と同じく外力による圧縮を必須とするため、FIPGの最大の特徴であるシール部材のクリープ抑制の面では信頼性に劣るといった問題があった。
小型携帯電子機器のような小型で精密な部位を確実にシールするためのシール材形成方法として、硬化性液状組成物を必要な部位に塗工し、シール対象部材を該硬化性液状樹脂組成物を介して勘合した後に硬化させる方法はこれまで開示されていない。
現在市販されている防水型携帯電話、防水型デジタルカメラ、等としてそれらの課題による不都合が起こらないような対策を講じた製品についても、これらの製品の水の浸入に対する対策の方法は、製品筐体の溝に装着できる形状のゴム成形体を予め作成し、それを組立て時に製品筐体の溝に装着するものになっている。しかしこの方法では、製品筐体への溝にゴム成形体を装着する作業に大変な労力並びにコストが必要となり、改善が望まれていた。
本発明は、防水型の小型携帯電子機器を設計するにあたり、液状塗工型でシール材を形成することにより、簡便に防水性の優れたシール材を形成する方法を提供するものである。また該方法により、製品筐体樹脂との密着性を格段に向上することが出来るため、固形パッキンやガスケットを面圧で押しつぶしてシールとする方法に比べて、明らかにシール性能を向上することができる。
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段は以下の通りである。防水型小型携帯電子機器筐体のシール部材を設けたい箇所に対し、筐体はそれを挟み込む形で設計を行うが、その際、1対の筐体の一方を使用し、ディスペンサー等の液状の材料を吐出できる装置に据え置きし、その必要な部位に液状のシール材原料を塗布する。その後、1対の筐体のもう一方を、シール材を挟む形で組立てし、その後、未硬化の液状シール材を、その特性に応じた硬化方法で硬化させ、シール材を形成することにより、予め成形されたシール材を装着する方法に比べて、非常に簡便で、また筐体に対して強固に密着させることができ、防水性にも優れた防水型小型携帯電子機器を製造することができる。
本発明は従来の技術と異なり、シール材原料の性状が液状〜ペースト状であることが特徴であり、小型携帯電子機器の筐体の必要部位に、該液状樹脂組成物として流し込みすることでシール材を設け、機器の組立て後に該シール材を硬化反応させることにより強固なシール材を形成するという画期的な方法を成し遂げたものである。
この技術はこれまで自動車部品に使用されるパッキン、ガスケット類においてはその生産性の高さ、コストの安さ、シール性能の信頼性から主流とも言えるものであるが、これらを小型携帯電子機器の筐体のような精密機器に対して適用した例はなく、発明者らはここに着目し、シール材組成物の性状と塗工方法を研究に努めた結果、前記発明に至ったものである。
即ち本発明は、
(1)
小型携帯電子機器筐体に硬化性液状樹脂組成物を塗工し、組立後に前記硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする小型携帯電子機器の防水シール方法、
(2)
硬化性液状樹脂組成物の硬化形式が(I)湿分硬化型、(II)紫外線硬化型、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(3)
硬化性液状樹脂組成物が内径0.1〜1mmを有するニードルまたはノズルから、線状または点状に押出塗工されることを特徴とする(1)または(2)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(4)
硬化性液状樹脂組成物が、(A)1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、(B)1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、から選ばれる少なくとも1種、および(C)硬化触媒、を必須成分として含有する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(5)
重合体(A)の主鎖が、(a−1)飽和炭化水素系重合体、(a−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(a−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(a−4)液状シリコーン系重合体、(a−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(4)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(6)
重合体(B)の主鎖が、(b−1)飽和炭化水素系重合体、(b−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(b−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(b−4)液状シリコーン系重合体、(b−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(4)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(7)
硬化触媒(C)が、(c−1)湿分硬化型縮合触媒および/または(c−2)光重合型触媒であることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(8)
硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度が1〜1,500Pa・sであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(9)
硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比が1.1〜4.0であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(10)
硬化性液状樹脂組成物の硬化後の筐体に対する剥離モードが界面剥離であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(11)
(1)〜(10)のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯電子機器、
(12)
(1)〜(11)のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯通信用電子機器、
に関する。
(1)
小型携帯電子機器筐体に硬化性液状樹脂組成物を塗工し、組立後に前記硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする小型携帯電子機器の防水シール方法、
(2)
硬化性液状樹脂組成物の硬化形式が(I)湿分硬化型、(II)紫外線硬化型、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(3)
硬化性液状樹脂組成物が内径0.1〜1mmを有するニードルまたはノズルから、線状または点状に押出塗工されることを特徴とする(1)または(2)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(4)
硬化性液状樹脂組成物が、(A)1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、(B)1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、から選ばれる少なくとも1種、および(C)硬化触媒、を必須成分として含有する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(5)
重合体(A)の主鎖が、(a−1)飽和炭化水素系重合体、(a−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(a−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(a−4)液状シリコーン系重合体、(a−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(4)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(6)
重合体(B)の主鎖が、(b−1)飽和炭化水素系重合体、(b−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(b−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(b−4)液状シリコーン系重合体、(b−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(4)に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(7)
硬化触媒(C)が、(c−1)湿分硬化型縮合触媒および/または(c−2)光重合型触媒であることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(8)
硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度が1〜1,500Pa・sであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(9)
硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比が1.1〜4.0であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(10)
硬化性液状樹脂組成物の硬化後の筐体に対する剥離モードが界面剥離であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法、
(11)
(1)〜(10)のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯電子機器、
(12)
(1)〜(11)のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯通信用電子機器、
に関する。
本発明は、防水型の小型携帯電子機器を設計するにあたり、液状塗工型でシール材を形成することにより、簡便に防水性の優れたシール材を形成する方法を提供するものである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の小型携帯電子機器の防水シール方法は、該小型携帯電子機器筐体の特定箇所に硬化性液状樹脂組成物を塗工し、組立後に前記硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする。
硬化性液状樹脂組成物は、その硬化形式が(I)湿分硬化型、または(II)紫外線硬化型、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とし、下記(A)もしくは(B)成分と(C)成分を含有する。
(A)1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する有機重合体
(B)1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体
(C)硬化触媒
(A)1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する有機重合体
(B)1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体
(C)硬化触媒
前記の防水シール方法は、前記硬化性液状樹脂組成物を、上記(A)〜(C)成分、さらに必要に応じて使用する各種添加剤や、充填剤をプラネタリーミキサーや2軸ディスパなどの回転式ミキサーや、ニーダー、バンパリーミキサー、ロールなどの装置を使用して混合して得る、いわゆる混合工程と、さらに、混合工程で得られた該硬化性液状樹脂組成物を、対象とする小型携帯電子機器筐体の特定部位に塗工し、前記筐体を組み立て後、所定の形式で硬化させる、いわゆる組立−硬化工程、とからなる。
組立−硬化工程の中でも、本発明の硬化性液状樹脂組成物を小型携帯電子機器の筐体の特定部位に塗工する方法としては、特に限定されず、例えば、該組成物を吐出するためのディスペンスユニットを塗工用ロボット等に取り付け、該組成物を吐出しながら、ロボットアームをあらかじめプラグラムした軌跡に走査する方法、上記筐体を2次元または3次元に可動するステージに取り付け、ディスペンスユニット位置を固定のまま、上記ステージをプログラム制御で移動させる方法、ディスペンスユニット、可動ステージを同時にプログラム制御しながら移動させる方法などが挙げられる。
さらに上記ディスペンスユニットの形式は、特に限定されず、例えば吐出用ニードルまたはノズルを有する円筒状の容器に該組成物を充填せしめ、圧縮気体やプランジャを用いて上記吐出用ニードルまたはノズルから圧送する方法、該組成物を別容器に充填し、上記ニードルまたはノズルをチューブ、パイプ等を介して接続、ギヤポンプを用いて輸送・吐出する方法、上記別容器に充填された該組成物を圧縮気体やプランジャで圧縮することで輸送・吐出する方法などが挙げられる。
吐出された上記硬化性液状樹脂組成物の断面は通常、円状〜半円状となるが、本発明の塗工方法においては、特に限定されず、該液状樹脂組成物の粘度やチクソ性に代表されるレオロジー特性、ニードルまたはノズルの先端形状、ニードルまたはノズルの被塗工部位からの高さ、ディスペンスユニットの吐出条件、ロボットアームや可動ステージの移動速度等を変えることで、上部がフラットな円〜半円状、台形、長方形、正方形状等、任意の断面形状に塗工することもできる。また、ディスペンスユニットからの上記硬化性液状樹脂組成物の吐出プログラムを断続的にオン―オフ制御することで、上記硬化性液状樹脂組成物を線状から点状の任意の形状で塗工することもできる。
上記の吐出用ニードルまたはノズルの先端の断面形状と大きさは特に限定されないが、断面形状は円形または正方形が好ましく、円形が特に好ましい。ニードルまたはノズル先端の断面の大きさは、内径1.5mm以下が好ましく、さらには0.1mm〜1.0mmが特に好ましい。内径が0.1mmよりも小さくなると、上記硬化性液状樹脂組成物の吐出が著しく困難となり生産性に大きく影響を与えるだけでなく、吐出量のばらつきも大きくなり、実用に供さない。また、内径が1.5mmよりも大きくなると吐出そのものはより安定する傾向ではあるが、筐体のシール部位の全体に対して占める寸法が大きくなりすぎるため、小型携帯電子機器には好ましくない。
小型携帯電子機器の筺体や被シール部の材質または材料は、特に制限されない。例えば、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABSアロイ系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および、それらの無機フィラー、ガラス繊維強化樹脂などのプラスチック材、ガラス材、金属材等を用いることができる。
また、上記筐体や被シール部の形状も特に制限されず、例えば、図1〜3のように一方の筐体外周に溝、他方の筐体外周には溝と勘合するように突起を設け、溝部に硬化性液状樹脂組成物を塗工し、筐体組み立て時に他方の突起で該組成物を圧縮、硬化させる形式、図4のように突起のみを上下に勘合するように両筐体に設け、一方の筐体に硬化性液状組成物を塗工し、他方を勘合、硬化させる形式、図5のように平面同士を勘合させる形状で、両筐体の間に硬化性液状樹脂組成物を介在させ、硬化させる形式が挙げられる。さらに、筐体の組付・固定方式は特に限定されず、例えばネジで両筐体を固定する方法、筐体にスナップ等のはめ込み構造を設け、ネジなしで固定する方法、両者を組み合わせる方法などが挙げられる。また、上記硬化物のみで固定する方法でも良い。
硬化性液状樹脂組成物は前述の硬化によって筐体に対して良好な密着性、接着性を有し、防水性能を発現する。また、本発明の防水シールを有する携帯小型電子機器に落下等による衝撃や、熱膨張等による筐体寸法の変化などに起因する、同筐体の被シール面に外力によるひずみが加わった場合においては、前記の密着性、接着性に加えて該硬化物に付与された柔軟性、ゴム弾性によって、効率よくひずみが緩和され良好な防水性能を維持することが可能となる。さらに、該硬化物の筐体に対する密着力、接着力、剥離モードは、特に限定されないが、例えば、小型携帯電子機器のメンテナンスや修理等のために分解される場合、筐体そのものや被シール部を破壊することなく簡易にシール部材を剥離、除去、交換できることが好ましい。中でも、該シール部材の筐体被シール部からの剥離、除去のしやすさの指標として、前記硬化物の筐体に対する剥離モードが挙げられる。本発明のシール部材の剥離モードは特に限定されないが、小型携帯電子機器のメンテナンスの簡略化の観点では、シール部材が筐体被シール部界面で剥離する、すなわち、界面剥離であることが好ましい。
本発明の硬化性液状樹脂組成物の硬化形式は(I)湿分硬化型、または(II)紫外線照射により硬化するものであるが、湿分硬化反応に関与する官能基としては、特に限定はないが、例えば水酸基、アミノ基、エポキシ基、アルケニル基、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基又は架橋性シリル基を挙げることができるが、架橋性シリル基が好ましい。重合体が架橋性シリル基を有する場合、通常、現場成形型液状ガスケットの接着性が高くなる。また、架橋性シリル基を有する重合体に接着付与剤等を添加することにより、さらに接着性を向上させることができる。
また、本発明の紫外線照射による硬化反応に関与する官能基としては特に制限されず、従来公知のものを広く用いることができるが、中でもアクリロイル基が好ましい。
本発明における重合体(A)および(B)の数平均分子量は1,000〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000である。数平均分子量が1,000未満のものでは、得られる硬化物の弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。数平均分子量は、各種の方法で測定可能であるが、通常、各重合体の末端基分析からの換算や、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定される。本発明で記す分子量は、GPCで測定した分子量を記すこととする。
本発明における(A)および(B)成分は、上記架橋性シリル基またはアクリロイル基が、重合体の主鎖末端あるいは側鎖にあってもよいし、また両方にあってもよい。とくに、架橋性シリル基またはアクリロイル基が主鎖末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
(A)成分および(B)成分である重合体の1分子中に存在する架橋性シリル基またはアクリロイル基の数は、特に限定されないが、1個を超え5個以下が好ましい。重合体(A)および(B)1分子中に存在する架橋性シリル基またはアクリロイル基の数が1個以下になると、硬化性組成物の硬化が不充分になる傾向があり、得られる硬化物は、網目構造が不完全なものとなり、良好な成形体が得られない傾向がある。また、重合体(A)および(B)1分子中に存在する架橋性シリル基またはアクリロイル基が多くなると、得られる硬化物の網目構造があまりに密となるため、成形体は硬く脆くなる傾向がある。特に、5個以上になるとその傾向は顕著となる。
本発明の架橋性シリル基としては、一般式(1):
−[Si(R1)2-b(Y)bO ]m−Si(R2)3-a(Y)a(1)
{式中、R1 、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’ は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}で表される基が挙げられる。
−[Si(R1)2-b(Y)bO ]m−Si(R2)3-a(Y)a(1)
{式中、R1 、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’ は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}で表される基が挙げられる。
加水分解性基としては、例えば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等の一般に使用されている基が挙げられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性シリル基を形成するケイ素原子は1 個以上であるが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
特に、一般式(2):
−Si(R2)3-c(Y)c (2)
(式中、R2、Y、aは前記と同じ。cは1,2,または3を示す。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
−Si(R2)3-c(Y)c (2)
(式中、R2、Y、aは前記と同じ。cは1,2,または3を示す。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
なお、特に限定はされないが、硬化性を考慮するとcは2個以上が好ましい。
このような架橋性シリル基を有するビニル系重合体は珪素原子1つあたり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性珪素基を有する重合体が用いられることが多いが、接着剤の用途等や低温で使用する場合等、特に非常に速い硬化速度を必要とする場合、その硬化速度は充分ではなく、また硬化後の柔軟性を出したい場合には、架橋密度を低下させる必要があり、そのため架橋密度が充分でないためにべたつき(表面タック)があることもあった。その際には、cが3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)であるのが好ましい。
このような架橋性シリル基を有するビニル系重合体は珪素原子1つあたり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性珪素基を有する重合体が用いられることが多いが、接着剤の用途等や低温で使用する場合等、特に非常に速い硬化速度を必要とする場合、その硬化速度は充分ではなく、また硬化後の柔軟性を出したい場合には、架橋密度を低下させる必要があり、そのため架橋密度が充分でないためにべたつき(表面タック)があることもあった。その際には、cが3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)であるのが好ましい。
また、cが3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)は2個のもの(例えばジメトキシ官能基)よりも硬化性が速いが、貯蔵安定性や力学物性(伸び等)に関しては2個のものの方が優れている場合がある。硬化性と物性バランスをとるために、2個のもの(例えばジメトキシ官能基)と3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)を併用してもよい。
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種硬化触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
このような硬化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫等の2価のスズ化合物類;モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のような、アミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール硬化触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール硬化触媒等が例示できる。
これらの硬化触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この硬化触媒の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有する重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部がより好ましい。シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり、作業性の点からも好ましくなくなる傾向がある。なお、特に限定はされないが、硬化性を制御するために錫系硬化触媒を用いるのが好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、硬化触媒の活性をより高めるために、一般式(3):
R3 aSi(OR4)4-a (3)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
R3 aSi(OR4)4-a (3)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(3)中のR3が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有する重合体100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部がより好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
本発明のアクリロイル基としては、一般式4:
−OC(O)C(R5)=CH2 (4)
{R5の具体例としては特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。}で表される基が挙げられる。
−OC(O)C(R5)=CH2 (4)
{R5の具体例としては特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。}で表される基が挙げられる。
本発明に用いられる光重合型触媒としては特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン
などのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
などのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
また、近赤外光重合開始剤として、近赤外光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成物の重合体100部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
本発明における(a−1)および(b−1)成分の飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主成分として重合させる、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、上記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させたりした後水素添加する、などの方法により得ることができるが、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができるなどの点から、イソブチレン系重合体、水添ポリブタジエン系重合体あるいは水添ポリイソプレン系重合体であるのが好ましい。(a−1)および(b−1)成分の骨格をなす飽和炭化水素系重合体に含まれる、炭素数2〜6のオレフィン系単量体および上記のジエン系単量体の割合は50重量%以上であり、70重量%以上であることが好ましい。
前記イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエ−テル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。このような共重合体成分の具体例としては、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、等が挙げられる。 特に好ましくは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されたものである。
前記水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に、他の単量体単位を含有させてもよい。
また、本発明中(a−1)および(b−1)成分として用いる飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレン、1,13−テトラデカジエン、1,9−デカジエン、1,7−オクタジエン、1,5−ヘキサジエンのようなポリエン化合物のごとき重合後二重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10重量%以下の範囲で含有させてもよい。
本発明の(a−2)および(b−2)成分のポリオキシアルキレン系重合体の骨格をなす重合体は、特に制限はなく、公知のものがあげられる。具体的には、重合体の主鎖骨格が、一般式(5)で示される繰り返し単位を有するものがあげられる。
一般式(5):
−R6−O− (5)
(式中、R6は2価のアルキレン基)
−R6−O− (5)
(式中、R6は2価のアルキレン基)
一般式(5)中に記載のR6としては、2価のアルキレン基ならば特に限定されず、このなかでも炭素数1〜14のアルキレン基が好ましく、2〜4の、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基がより好ましい。一般式(5)記載の繰り返し単位としては、特に限定されず、たとえば、−CH2O −、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH (C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなるものでも、複数の繰り返し単位を組み合わせたものでもよい。このなかでも、入手が容易なこと、作業性に優れることなどから、主な繰り返し単位として−CH2CH(CH3)O−からなる重合体が好ましい。また、重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン単位以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中に含まれるオキシアルキレン単位の総和の割合は、80重量%以上、特には90重量%以上が好ましい。
(a−2)および(b−2)成分の重合体の主鎖骨格は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、また、その混合物でもよい。この中でも良好な弾性を得るため、直鎖状の重合体を50重量%以上含有することが好ましい。
本発明の(a−3)および(b−3)成分のポリ(メタ)アクリル系重合体の骨格を成す重合体は、特に制限はないが、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される重合体であることが好ましい。ここで「主として」とは、主鎖を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)および(b−3)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。
本発明の(a−4)および(b−4)成分の液状シリコーン系重合体の骨格をなす重合体は、特に制限はなく、公知のものがあげられる。
このような液状シリコーン系重合体(a−4)および(b−4)の分子構造としては、例えば、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状重合体が挙げられる。液状シリコーン系重合体(a−4)および(b−4)の分子構造は通常は直鎖状であるが、環状、分岐鎖状、三次元網状でもよい。架橋性シリル基、およびアクリロイル基は分子鎖末端もしくは側鎖のいずれか、さらにはそれらの両方に存在していてもよいが、硬化後の機械的特性の点から少なくとも分子鎖両末端に存在することが好ましい。この架橋性シリル基、およびアクリロイル基は1種類のみでもよく、2種類以上混在していてもよい。
本発明の(a−5)および(b−5)成分の液状ポリウレタン系重合体の骨格をなす重合体は、特に制限はなく、公知のものがあげられる。
このような液状ポリウレタン系重合体(a−5)および(b−5)の分子構造としては、例えば、ポリイソシアネートおよび活性水素含有化合物を構成成分とし、両者が(チオ)ウレタン結合またはウレア結合によって重合体化されたものがあげられる。
ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、例えば脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。より具体的には、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1 2−ブチレンジイソシアネート、2,3− ブチレンジイソジアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル) シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等、ポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)、または、これらのポリイソシアネートを化学的に変性したもの、これらのイソシアネート化合物とポリオール等の反応物を挙げることができ、これらのポリイソシアネート類を2種以上用いてもよい。
また、活性水素含有化合物としては、特に制限はなく、例えばポリエーテルポリオールもしくはポリエステルポリオール、ポリアミン、ポリチオール等を挙げることができる。より具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,3−エタンジチオール、(±)−ジチオトレイトール、ジチオエリトリトール、3,4−ジメルカプトトルエンなどを挙げることができ、これら活性水素含有化合物を2種以上用いても良い。
液状ポリウレタン系重合体(a−5)および(b−5)の分子構造は通常は直鎖状であるが、環状、分岐鎖状、三次元網状でもよい。架橋性シリル基、およびアクリロイル基は分子鎖末端もしくは側鎖のいずれか、さらにはそれらの両方に存在していてもよいが、硬化後の機械的特性の点から少なくとも分子鎖両末端に存在することが好ましい。この架橋性シリル基、およびアクリロイル基は1種類のみでもよく、2種類以上混在していてもよい。
また、本発明の(A)〜(C)成分を含む硬化性液状樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、各種充填剤、接着付与剤、チクソ性付与剤、シランカップリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤、シリコン化合物等を適宜添加してもよい。
本発明の硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度は1〜2,000Pa・sが好ましく、より好ましくは1〜1,500Pa・sである。粘度が1,500Pa・sを超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。
本発明の硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比は1.05〜5.0が好ましく、より好ましくは1.1〜4.0である。粘度比が1.1より低くなると、吐出された硬化性液状樹脂組成物の断面形状を保持するのが極めて難しくなり、逆に粘度比が4.0より高くなると、吐出された硬化性液状樹脂組成物の高さを一定にすることが困難となる。
該シール方法が適応される小型携帯電子機器は、特に制限されない。例えば、携帯通信機器(例えば携帯電話機、PDA端末等)、携帯型パーソナルコンピューター、デジタル時計、携帯型ラジオ、携帯型テレビ、デジタルカメラ、携帯デジタルビデオレコーダー、携帯型CDプレーヤー、MDプレイヤー、DVDプレーヤー、MP3プレーヤー、デジタルレコーダーなどの携帯型の録音・録画再生装置などが上げられる。
次に実施例により本発明の硬化性組成物、及びその架橋ゴムを具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(製造例1)
攪拌機付耐圧ガラス製反応容器に、末端がアリール基である数平均分子量9,400 のポリプロピレンオキシド500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換し、これに対して白金ビニル触媒40μl( 白金換算で5重量%のイソプロパノール溶液)を加え、撹拌しながらDMS( ジメトキシメチルシラン)9.8g をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃ で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去して架橋性シリル基を有する重合体(A−1)を得た。
攪拌機付耐圧ガラス製反応容器に、末端がアリール基である数平均分子量9,400 のポリプロピレンオキシド500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換し、これに対して白金ビニル触媒40μl( 白金換算で5重量%のイソプロパノール溶液)を加え、撹拌しながらDMS( ジメトキシメチルシラン)9.8g をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃ で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去して架橋性シリル基を有する重合体(A−1)を得た。
(製造例2)
(1)重合工程
表1の原料(及びその量)に従い、アクリル酸エステルの重合を行った。アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。重合反応溶媒としてアセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤(2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)又はα−ブロモ酪酸エチル(EBB))を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残り80%のアクリル酸エステルモノマーを逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながらしながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は着色していた。
(2)精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。上記重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えて加熱処理し、ろ過した。またろ液に対して吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、濾過して清澄液を得た。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(3)アクリロイル基導入工程
重合体を重合体に対して約100重量部のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体に対して約100重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体B−1、及びB−2を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
(1)重合工程
表1の原料(及びその量)に従い、アクリル酸エステルの重合を行った。アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。重合反応溶媒としてアセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤(2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)又はα−ブロモ酪酸エチル(EBB))を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残り80%のアクリル酸エステルモノマーを逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながらしながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は着色していた。
(2)精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。上記重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えて加熱処理し、ろ過した。またろ液に対して吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、濾過して清澄液を得た。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(3)アクリロイル基導入工程
重合体を重合体に対して約100重量部のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体に対して約100重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体B−1、及びB−2を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
(製造例3)
105℃ に加熱した下記単量体混合物のトルエン溶液に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行ない、溶剤を減圧下留去してビニル系共重合体(D)を得た。
105℃ に加熱した下記単量体混合物のトルエン溶液に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行ない、溶剤を減圧下留去してビニル系共重合体(D)を得た。
メチルメタクリレート72.9重量部、ブチルアクリレート6.5重量部、ステアリルメタクリレート14.6重量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン6重量部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル):3.0重量部
(実施例1)
製造例1で得られた重合体A−1を60g、製造例3で得られた重合体Dを40g、CCR(白石工業製)を90g、アクトコールP−23K(武田薬品製)75g、ディスパロン308(楠本化成製)3g、IRGANOX245(チバ・ジャパン製)2g、SILQUEST A−171(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル製)2g、ネオスタン U−220H(日東化成製)2gを加え、硬化性液状樹脂組成物−1を得た。
製造例1で得られた重合体A−1を60g、製造例3で得られた重合体Dを40g、CCR(白石工業製)を90g、アクトコールP−23K(武田薬品製)75g、ディスパロン308(楠本化成製)3g、IRGANOX245(チバ・ジャパン製)2g、SILQUEST A−171(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル製)2g、ネオスタン U−220H(日東化成製)2gを加え、硬化性液状樹脂組成物−1を得た。
硬化性液状樹脂組成物−1の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度は275Pa・s、毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比は2.6であった。
得られた硬化性液状樹脂組成物−1は内径0.33mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、図1に示された形状のポリカーボネート樹脂製 筐体1の溝部に塗工し、図2に示された形状のポリカーボネート樹脂製 筐体2を図3のように組付、勘合し、23℃、50%RHにて72時間静置の上、防水試験を実施した。防水試験には簡易型防水試験器S−480S(セイコー製)を用いて、23℃、5分間所定の圧力下に水没させた後、パッキン内側への水の浸入の有無を目視にて判定した。結果を表2に記す。
硬化後の硬化性液状樹脂組成物−1の上記ポリカーボネート樹脂製筐体との剥離モードは界面剥離であった。
(実施例2)
製造例2で得られた重合体B−1を33g、B−2を67g、アエロジルRY−200S(日本アエロジル製)10g、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業製)15g、触媒としてDAROCUR1173(チバ・ジャパン製)0.33g、IRGACURE819(チバ・ジャパン製)0.17gを加え、硬化性液状樹脂組成物−2を得た。
製造例2で得られた重合体B−1を33g、B−2を67g、アエロジルRY−200S(日本アエロジル製)10g、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業製)15g、触媒としてDAROCUR1173(チバ・ジャパン製)0.33g、IRGACURE819(チバ・ジャパン製)0.17gを加え、硬化性液状樹脂組成物−2を得た。
硬化性液状樹脂組成物−2の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度は80Pa・s、毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比は2.2であった。
得られた硬化性液状樹脂組成物−2、図1と2にそれぞれ示されたポリカーボネート樹脂製 筐体1、2を、実施例1に記載の方法にて塗工、組付け、勘合し、積算光量15,000mJ/cm2の紫外線を照射の後、防水試験を実施した。防水試験も実施例1に記載の方法で実施、結果を表2に記す。
硬化後の硬化性液状樹脂組成物−2の上記ポリカーボネート樹脂製筐体との剥離モードは界面剥離であった。
(比較例1)
硬化性液状樹脂組成物−1を内径0.33mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、ポリカーボネート樹脂製筐体1に塗工の後、23℃、50%RHにて72時間静置して筐体−ガスケット複合体1を得た。得られた複合体1とポリカーボネート樹脂製 筐体2を勘合し、防水試験を実施した。結果を表2に記す。
硬化性液状樹脂組成物−1を内径0.33mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、ポリカーボネート樹脂製筐体1に塗工の後、23℃、50%RHにて72時間静置して筐体−ガスケット複合体1を得た。得られた複合体1とポリカーボネート樹脂製 筐体2を勘合し、防水試験を実施した。結果を表2に記す。
(比較例2)
硬化性液状樹脂組成物−2を内径0.33mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、ポリカーボネート樹脂製筐体1に塗工の後、積算光量15,000mJ/cm2の紫外線を照射して筐体−ガスケット複合体2を得た。得られた複合体2とポリカーボネート樹脂製 筐体2を勘合し、勘合して防水試験を実施した。結果を表2に記す。
硬化性液状樹脂組成物−2を内径0.33mmのニードルを吐出用ニードルとして備えたディスペンサーロボットを用いて、ポリカーボネート樹脂製筐体1に塗工の後、積算光量15,000mJ/cm2の紫外線を照射して筐体−ガスケット複合体2を得た。得られた複合体2とポリカーボネート樹脂製 筐体2を勘合し、勘合して防水試験を実施した。結果を表2に記す。
Claims (12)
- 小型携帯電子機器筐体に硬化性液状樹脂組成物を塗工し、組立後に硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物の硬化形式が(I)湿分硬化型、(II)紫外線硬化型、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物が、内径0.1〜1mmを有するニードルまたはノズルから、線状または点状に押出塗工されることを特徴とする請求項1または2に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物が、(A)1分子中に少なくとも平均1個を超える架橋性シリル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、(B)1分子中に少なくとも平均1個を超えるアクリロイル基を有する数平均分子量1,000〜50,000である有機重合体、から選ばれる少なくとも1種、および(C)硬化触媒、を必須成分として含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 重合体(A)の主鎖が、(a−1)飽和炭化水素系重合体、(a−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(a−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(a−4)液状シリコーン系重合体、(a−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 重合体(B)の主鎖が、(b−1)飽和炭化水素系重合体、(b−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(b−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、(b−4)液状シリコーン系重合体、(b−5)液状ウレタン系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化触媒(C)が、(c−1)湿分硬化型縮合触媒および/または(c−2)光重合型触媒であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分10回転の粘度が1〜1,500Pa・sであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物の23℃におけるB型回転粘度計での毎分2.5回転と毎分10回転の粘度比が1.1〜4.0であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 硬化性液状樹脂組成物の硬化後の筐体に対する剥離モードが界面剥離であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の小型携帯電子機器の防水シール方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯電子機器。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の防水シール方法によって得られた防水用シールを備えた小型携帯通信用電子機器。
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JP2009239472A JP2011086817A (ja) | 2009-10-16 | 2009-10-16 | 小型携帯電子機器の防水方法と、それによって得られる防水型小型携帯電子機器 |
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