JP2011086798A - 有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホール輸送層形成工程において基板に及ぶエネルギーを軽減することにより、構成要素の劣化を防止し、長期にわたって良好な発光特性を発揮することが期待できる有機EL素子を提供することを目的とする。
【解決手段】TFT基板1に、陽極2、ITO層3、ホール注入層4a、ホール輸送層(IL)4b、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、封止層9を順次積層することで有機EL素子10a〜10cを作製する。発光層6はバンク5で区画した領域に配設する。IL4bは、熱硬化性材料もしくは光硬化性材料を、キシレン溶媒に対する残膜率が20%以上70%以下になるように、未反応の架橋性置換基を残存させて硬化させることで形成する。
【選択図】図2
【解決手段】TFT基板1に、陽極2、ITO層3、ホール注入層4a、ホール輸送層(IL)4b、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、封止層9を順次積層することで有機EL素子10a〜10cを作製する。発光層6はバンク5で区画した領域に配設する。IL4bは、熱硬化性材料もしくは光硬化性材料を、キシレン溶媒に対する残膜率が20%以上70%以下になるように、未反応の架橋性置換基を残存させて硬化させることで形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、電気的発光素子である有機電界発光素子(以下「有機EL素子」と称する)に関し、特にホール輸送層の改良技術に関する。
近年、有機半導体を用いた各種機能素子の研究開発が進められている。代表的な機能素子として有機EL素子がある。
有機EL素子は電流駆動型の発光素子であり、陽極及び陰極とからなる電極対の間に、有機材料を含んでなる有機層を設けた構成を有する。有機層は、通常は発光層に対し、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等を積層して構成される。駆動には前記電極対に電圧印加し、陽極から注入されるホールと、陰極から注入される電子とが発光層で再結合して発生する電界発光現象を利用する。有機EL素子は自己発光を行うため視認性が高く、かつ、完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子や光源としての利用が注目されている。
有機EL素子は電流駆動型の発光素子であり、陽極及び陰極とからなる電極対の間に、有機材料を含んでなる有機層を設けた構成を有する。有機層は、通常は発光層に対し、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等を積層して構成される。駆動には前記電極対に電圧印加し、陽極から注入されるホールと、陰極から注入される電子とが発光層で再結合して発生する電界発光現象を利用する。有機EL素子は自己発光を行うため視認性が高く、かつ、完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子や光源としての利用が注目されている。
有機EL素子は、発光層の材料種により大きく2つの型に分類される。第一に、主として低分子材料を用い、これを蒸着法などの真空プロセスで成膜してなる蒸着型有機EL素子である。第二に、高分子の機能層材料や薄膜形成性の良い低分子を用い、これをインクジェット法やグラビア印刷法等のウェットプロセスで成膜してなる塗布型有機EL素子である。
最近では、このような有機EL素子を複数にわたり配設されてなる有機ELパネルが携帯電話用ディスプレイや小型テレビ等として実用化され始めている。
ここで、従来の塗布型有機EL素子では、以下のような課題が存在する。
第一の課題として、ホール輸送層形成工程において基板がダメージを受けるという課題がある。ホール輸送層は通常、熱硬化性又は光硬化性の有機分子を含む材料で構成される。この場合、基板に前記材料を塗布した後、基板側に熱または光(特に波長の短い紫外線)のエネルギーを加え、前記有機分子を架橋重合させる。このとき基板に加えるエネルギーによって、基板上に配設されているホール注入層等の構成要素に負荷が及び、これを劣化させるおそれがある。これは有機EL素子の各構成要素の正常な機能を損ない、発光特性を低下させてしまうほか、有機EL素子の寿命を短くする原因となるので、是非とも解決すべき課題である。
第一の課題として、ホール輸送層形成工程において基板がダメージを受けるという課題がある。ホール輸送層は通常、熱硬化性又は光硬化性の有機分子を含む材料で構成される。この場合、基板に前記材料を塗布した後、基板側に熱または光(特に波長の短い紫外線)のエネルギーを加え、前記有機分子を架橋重合させる。このとき基板に加えるエネルギーによって、基板上に配設されているホール注入層等の構成要素に負荷が及び、これを劣化させるおそれがある。これは有機EL素子の各構成要素の正常な機能を損ない、発光特性を低下させてしまうほか、有機EL素子の寿命を短くする原因となるので、是非とも解決すべき課題である。
第二の課題として、有機EL素子の発光効率をさらに向上させることが望まれている。有機EL素子の発光効率を向上させることは、当該有機EL素子を発光装置として使用する場合に重要であるほか、有機EL素子を複数にわたり配設して有機ELパネルを構成する場合、優れた画像表示性能を低電圧駆動で発揮させる点で重要となる。
これに対し、ホール輸送層材料への重合開始剤の添加量を増やしてホール輸送層を形成する方法が開発されている。この方法では、主に触媒によって架橋反応を促進させるため、基板に与えるエネルギーが比較的少なく、基板のダメージをある程度軽減することはできる。しかしながら、有機EL素子の発光特性を向上させる対策にはなり難い。また、重合開始剤が大量にホール輸送層中に含まれてしまうので、ホール輸送上の障害となり、ホール輸送性能を低下させる原因にもなりうる。
これに対し、ホール輸送層材料への重合開始剤の添加量を増やしてホール輸送層を形成する方法が開発されている。この方法では、主に触媒によって架橋反応を促進させるため、基板に与えるエネルギーが比較的少なく、基板のダメージをある程度軽減することはできる。しかしながら、有機EL素子の発光特性を向上させる対策にはなり難い。また、重合開始剤が大量にホール輸送層中に含まれてしまうので、ホール輸送上の障害となり、ホール輸送性能を低下させる原因にもなりうる。
このように、ホール輸送層形成工程時に基板に及ぶダメージを抑制するとともに、有機EL素子の発光特性の向上を図ることは未だ十分に実現されていると言い難い。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、ホール輸送層の形成工程において基板に及ぶエネルギーを軽減することにより、構成要素の劣化を防止し、長期にわたって良好な発光特性を発揮することが期待できる有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、ホール輸送層の形成工程において基板に及ぶエネルギーを軽減することにより、構成要素の劣化を防止し、長期にわたって良好な発光特性を発揮することが期待できる有機EL素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様である有機EL素子は、電極対の間に有機層が介設されてなる有機EL素子であって、有機層は、少なくとも発光層と、ホール輸送層の積層構造からなり、ホール輸送層は、架橋性置換基を有する有機分子が架橋重合してなるネットワークポリマーで構成され、前記ネットワークポリマー中において、前記架橋性置換基の一部が未反応で残存している構成とした。
上記構成を有する本発明の一態様に係る有機EL素子では、有機分子の架橋構造によってホール輸送層を構成するとともに、当該層中に架橋性置換基が一部未反応で残存するように調整している。このホール輸送層はその形成工程において、全ての有機分子の架橋性置換基を完全に架橋させなくても構成できるため、その分、当該工程で基板に与える熱や光等のエネルギーが少なくて済む。従って、当該工程でホール輸送層等の基板上の各構成要素が劣化する問題を抑制できる。
また、ホール輸送層中に残存する未反応の架橋性置換基は、駆動時に発光層等の有機層を通過するキャリアのバランスを良好にする役割を有し、有機層中に存在する余分なキャリアによる有機材料の酸化または還元による劣化反応を抑制できると考えられる。本発明はこの効果によっても、素子の長寿命化を図ることができる。
また、このように未反応の架橋性置換基が残存することにより有機層内のキャリアバランスが良好になることで、当該キャリアが消光中心となって作用するのを防止できる。このため、有機EL素子の発光効率を向上させることが期待できる。
また、このように未反応の架橋性置換基が残存することにより有機層内のキャリアバランスが良好になることで、当該キャリアが消光中心となって作用するのを防止できる。このため、有機EL素子の発光効率を向上させることが期待できる。
<実施の態様>
本発明の一態様である有機EL素子は、電極対の間に有機層が介設されてなる有機EL素子であって、有機層は、少なくとも発光層と、ホール輸送層の積層構造からなり、ホール輸送層は、架橋性置換基を有する有機分子が架橋重合してなるネットワークポリマーで構成され、前記ネットワークポリマー中において、前記架橋性置換基の一部が未反応で残存している構成とした。
本発明の一態様である有機EL素子は、電極対の間に有機層が介設されてなる有機EL素子であって、有機層は、少なくとも発光層と、ホール輸送層の積層構造からなり、ホール輸送層は、架橋性置換基を有する有機分子が架橋重合してなるネットワークポリマーで構成され、前記ネットワークポリマー中において、前記架橋性置換基の一部が未反応で残存している構成とした。
このように本発明の有機EL素子では、ホール輸送層を構成する有機分子の架橋重合からなるネットワークポリマー中において、架橋性置換基を一部未反応で残存させている。この構成は、ホール輸送層形成工程時に有機分子を架橋重合させるために基板側に与える熱や光(紫外線)等のエネルギーを、当該材料が完全硬化する強度に比べて少なく調整していることを示す。
本発明では、このようにホール輸送層形成工程時に基板側に与えるエネルギーを低減しているので、その分、基板がホール輸送層形成工程で受けるダメージを抑制でき、構成要素を劣化防止することができる。一方、ホール輸送層中に残存している架橋性置換基は、駆動時に発光層等の有機層を通過するキャリアバランスを良好にする役割を有するため、前記キャリアが原因となる有機材料の酸化劣化または還元劣化を誘発する不要な化学反応を防止する効果も期待できる。これらの各効果により、本発明では素子の長寿命化を図ることができる。さらに、このようにキャリアバランスが良好になることによって、当該キャリアが有機層中で消光中心として作用する問題も抑制でき、有機EL素子の発光効率の向上も期待できる。
また、別の態様として、前記ホール輸送層の好ましい架橋度としては、当該ホール輸送層をキシレン溶媒で洗浄処理する場合を想定するとき、洗浄処理前後の膜厚比として定義される残膜率が20%以上70%以下となる範囲とすることができる。さらに、本発明の別の態様として、前記残膜率が、30%以上60%以下となる範囲とすることが最も好適である。
本発明の別の態様として、前記有機分子には、光硬化性または熱硬化性を有するものを用いることもできる。
また、本発明の一態様は、電極対の間に、ホール輸送層及び発光層を積層して介設する有機EL素子の製造方法であって、ホール輸送層形成工程では、架橋性置換基を有する有機分子を架橋重合させて、ネットワークポリマーを構成するとともに、前記ネットワークポリマー中で架橋性置換基の一部を素子完成後まで未反応で残存させるように調整し、発光層構成工程では、前記形成したホール輸送層の上に溶液を塗布し、これを乾燥して発光層を形成する構成とすることもできる。これにより、上記本発明の有機EL素子を良好に製造することができる。
また、本発明の一態様は、電極対の間に、ホール輸送層及び発光層を積層して介設する有機EL素子の製造方法であって、ホール輸送層形成工程では、架橋性置換基を有する有機分子を架橋重合させて、ネットワークポリマーを構成するとともに、前記ネットワークポリマー中で架橋性置換基の一部を素子完成後まで未反応で残存させるように調整し、発光層構成工程では、前記形成したホール輸送層の上に溶液を塗布し、これを乾燥して発光層を形成する構成とすることもできる。これにより、上記本発明の有機EL素子を良好に製造することができる。
ここで本発明の別の態様として、ホール輸送層形成工程では、ホール輸送層をキシレン溶媒で洗浄処理する場合を想定するとき、当該洗浄処理前後の膜厚比として定義される残膜率が20%以上70%以下の範囲になるように、前記架橋性置換基を未反応で残存させることもできる。
また本発明の別の態様として、具体的に前記ホール輸送層形成工程では、熱硬化性の有機分子を用い、残膜率が20%以上70%以下になる範囲の温度で加熱処理することにより、前記有機分子を架橋させてホール輸送層を形成することもできる。
また本発明の別の態様として、具体的に前記ホール輸送層形成工程では、熱硬化性の有機分子を用い、残膜率が20%以上70%以下になる範囲の温度で加熱処理することにより、前記有機分子を架橋させてホール輸送層を形成することもできる。
<実施の形態>
(有機EL素子の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL素子及び有機ELパネルの構成を模式的に示す断面図である。
当図に示される有機ELパネル100は、RGBのいずれかの色に対応する発光層6を有するトップエミッション型の有機EL素子10a〜10cをサブピクセルとし、当該3つのサブピクセルの組み合わせを1画素(ピクセル)として、各有機EL素子10a〜10cがマトリクス状に隣接配置されて構成されている。
(有機EL素子の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL素子及び有機ELパネルの構成を模式的に示す断面図である。
当図に示される有機ELパネル100は、RGBのいずれかの色に対応する発光層6を有するトップエミッション型の有機EL素子10a〜10cをサブピクセルとし、当該3つのサブピクセルの組み合わせを1画素(ピクセル)として、各有機EL素子10a〜10cがマトリクス状に隣接配置されて構成されている。
TFT基板1(以下、単に「基板1」と称する。)の片側主面には、第1電極2、ITO層3、ホール注入層4a、ホール輸送層(有機分子正孔輸送層、IL(インターレイヤー)とも言う。以下、「IL」と表記する。)4bが順次積層される。IL4bの上には発光層6またはバンク5が形成され、さらにこれらを覆うように電子注入層7、第2電極8、封止層9が順次積層されている。図に示す有機ELパネル100では、バンク5で区画された各領域に有機EL素子10a〜10cが形成されている。
基板1は有機ELパネル100におけるベース部分であり、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、又はアルミナ等の絶縁性材料のいずれかを用いて形成することができる。図示しないが、当該基板1の表面には公知のTFT(薄膜コンデンサ)がマトリクス状に形成され、絶縁材料(平坦膜)で覆われている。各々のTFT素子は第1電極2に接続される。
第1電極2は陽極であって、Ag(銀)の他、例えばAPC(銀、パラジウム、銀の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)、等を用いて形成することができる。有機EL素子10a〜10cをトップエミッション型とする場合は、光反射性材料を用いることが好適である。
ITO層3は、インジウムスズ酸化物で構成されており、第1電極2及びホール注入層4の間に介設され、各層間の接合性を良好にする機能を有する。
ホール注入層4aは、発光層6へのホール注入機能をなす層であって、例えば酸化モリブデンやモリブデン−タングステン酸化物で形成されている。
IL4bは、第1電極2から注入されたホールを発光層6側へ輸送する機能を有する。水に不溶性であり、発光層6の下地層としても用いられている。IL4bの材料としては、架橋性置換基が熱または光で架橋重合する熱硬化性材料または光(可視光及び紫外線等のいずれの波長光も含む)硬化性材料を用いることができる。具体的には、特許文献2等記載の公知材料が例示できる。すなわち、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体からなる群から選ばれる高分子化合物を例示できる。いずれの場合も、親水基を有さない高分子化合物を用いることが好ましい。なお、上記材料を公知の触媒を用いて硬化させた構成としてもよい。
ホール注入層4aは、発光層6へのホール注入機能をなす層であって、例えば酸化モリブデンやモリブデン−タングステン酸化物で形成されている。
IL4bは、第1電極2から注入されたホールを発光層6側へ輸送する機能を有する。水に不溶性であり、発光層6の下地層としても用いられている。IL4bの材料としては、架橋性置換基が熱または光で架橋重合する熱硬化性材料または光(可視光及び紫外線等のいずれの波長光も含む)硬化性材料を用いることができる。具体的には、特許文献2等記載の公知材料が例示できる。すなわち、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体からなる群から選ばれる高分子化合物を例示できる。いずれの場合も、親水基を有さない高分子化合物を用いることが好ましい。なお、上記材料を公知の触媒を用いて硬化させた構成としてもよい。
また、IL4bの膜厚は、用いる材料によって最適値が異なるので駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。但し、薄すぎるとピンホールが発生し易くなり、厚すぎると素子の駆動電圧が高くなる。適切な膜厚範囲を例示すれば、例えば1nm以上1μm以下の範囲が挙げられる。このうち好ましくは2nm以上500nm以下の範囲であり、さらに好ましくは5nm以上200nm以下の範囲が挙げられる。
ここでIL4bは、その特徴として、未反応の架橋性置換基が一定量(具体的には後述するようにキシレン溶媒に対する残膜率が20%以上70%以下の範囲となる架橋度で)残存するように構成されている。
IL4bの表面には、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなるバンク5が、一定の台形断面を持つストライプ構造または井桁構造をなすように、フォトリソグラフィー法等で形成される。
IL4bの表面には、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなるバンク5が、一定の台形断面を持つストライプ構造または井桁構造をなすように、フォトリソグラフィー法等で形成される。
各々のバンク5に区画されたホール注入層4の表面領域には、RGBのいずれかの色に対応する発光層6が形成される。
発光層6は、駆動時にキャリアの再結合による発光を行う部位であって、有機材料を含むように構成されている。その材料には公知材料を利用することが可能である。たとえば特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属鎖体、2−ビピリジン化合物の金属鎖体、シッフ塩とIII族金属との鎖体、オキシン金属鎖体、希土類鎖体等の蛍光物質等を挙げることができる。
発光層6は、駆動時にキャリアの再結合による発光を行う部位であって、有機材料を含むように構成されている。その材料には公知材料を利用することが可能である。たとえば特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属鎖体、2−ビピリジン化合物の金属鎖体、シッフ塩とIII族金属との鎖体、オキシン金属鎖体、希土類鎖体等の蛍光物質等を挙げることができる。
電子注入層7(陰極バッファ層とも称する。)は、第2電極8から注入された電子を発光層6へ輸送する機能を有する。その材料としては、例えばバリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、あるいはこれらの組み合わせを用いるのが好適である。
第2電極8は、例えばITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)等で構成される。有機EL素子1を図1のようにトップエミッション型にする場合は、光透過性材料を用いることが好適である。
第2電極8は、例えばITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)等で構成される。有機EL素子1を図1のようにトップエミッション型にする場合は、光透過性材料を用いることが好適である。
封止層9は、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成され、発光層6が水分や空気等に触れて劣化するのを抑制するために用いられる。当該封止層9も、有機EL素子をトップエミッション型にする場合は、光透過性材料で構成することが好適である。
(有機EL素子について)
以上の構成を有する有機ELパネル100では、各有機EL素子10a〜10cの構成要素であるIL4bが、未反応の架橋性置換基が一定量残存するように構成されている。
(有機EL素子について)
以上の構成を有する有機ELパネル100では、各有機EL素子10a〜10cの構成要素であるIL4bが、未反応の架橋性置換基が一定量残存するように構成されている。
図2は、IL4bの分子構造を模式的に示す図である。当図に示すように、IL4bを構成要素である有機分子は、機能性部位と架橋性置換基を有している。各有機分子は、互いの架橋性置換基で架橋部位を形成するように重合し、3次元のネットワークポリマーの化学構造をなしている。この化学構造中において、一部の有機分子は、未反応(すなわち未架橋重合)の架橋性置換基を残存させている。この未反応の架橋性置換基は、有機EL素子10a〜10c形成後も未架橋部位として残存する。
このような化学構造のIL4bは、製造工程において、基板側に熱硬化性材料あるいは光硬化性材料を塗布し、成分中の有機分子を架橋重合させて構成されているが、架橋重合を行う際に基板に与える熱エネルギーや光エネルギーの強度を、前記有機分子が完全に架橋重合しない程度に弱く設定している。すなわち前記有機分子に熱硬化性材料を用いる場合はベーク温度を低く、あるいは加熱時間を短く設定する。一方、前記有機分子に光硬化性材料を用いる場合は光照射強度を低く、あるいは光照射時間を短く設定する。このようにエネルギー強度を弱める調整を行うことで、IL形成時にすでに基板側に配設されているホール注入層4a等の基板上の各構成要素が、有機分子の架橋重合の際に前記エネルギーを受ける際のダメージを軽減され、劣化が防止される。これにより有機EL素子10a〜10cでは、構成要素が保たれ、その寿命を長期にわたって良好に維持できる。
ここで図3は、有機EL素子の駆動時における発光の様子を説明するための模式的なエネルギーダイヤグラムである。図4は、従来構成において、完全硬化(架橋)したILを用いた場合の問題を説明するためのダイヤグラムである。図5は、実施の形態の未反応の架橋性置換基が残存するIL4bを用いた場合の効果を説明するためのエネルギーダイヤグラムである。各図中、ITO層を「ITO」、ホール注入層を「HIL」、ILを「IL」、発光層を「EML」、電子注入層を「Ba」、陰極を「Al」で示している。
従来の有機EL素子の駆動時には、図3のように、陽極側からホール、陰極側から電子がそれぞれ各層内を移動し、発光層(EML)内において再結合する。これにより、発光層で発光が生じる。
ここで、従来の有機EL素子では例えば図4に示すエネルギーダイアグラムで表される素子の場合、発光層とILの界面付近に、発光層で発光に寄与せず、当該発光層を通過してILに達した過剰な電子が溜まる傾向がある。このように界面に溜まった過剰な電子はラジカルを形成し、ILを還元劣化させ、素子寿命を短縮させる原因になり、また、ILが劣化することでキャリア輸送効率が悪くなり、有機EL素子の発光特性を低下させる原因にもなると考えられる。
ここで、従来の有機EL素子では例えば図4に示すエネルギーダイアグラムで表される素子の場合、発光層とILの界面付近に、発光層で発光に寄与せず、当該発光層を通過してILに達した過剰な電子が溜まる傾向がある。このように界面に溜まった過剰な電子はラジカルを形成し、ILを還元劣化させ、素子寿命を短縮させる原因になり、また、ILが劣化することでキャリア輸送効率が悪くなり、有機EL素子の発光特性を低下させる原因にもなると考えられる。
これに対し、実施の形態の有機EL素子では例えば図5に示すエネルギーダイアグラムで表される素子の場合、IL中における未反応の架橋性置換基がEMLを通過してくる過剰なキャリア(電子)をトラップする。これにより、過剰な電子がラジカルとして作用することで、ILが還元劣化する問題が抑制されることとなる。また、ILの劣化が防止されることによって、IL本来のホール輸送機能が良好に発揮され、有機EL素子において優れた発光特性が発揮されると想定できる。
<有機EL素子の製造方法>
ここでは有機EL素子1の全体的な製造方法を説明する。
<有機EL素子の製造方法>
ここでは有機EL素子1の全体的な製造方法を説明する。
まず、基板本体にTFT配線を形成してなる基板1を用意する。これをスパッタ成膜装置のチャンバー内に載置する。そしてチャンバー内に所定のスパッタガスを導入し、反応性スパッタ法に基づき、厚み50nmのITOからなる陽極2を成膜する。
次に、ホール注入層4aを反応性スパッタ法で成膜する。具体的には、モリブデンやタングステン等の金属材料をスパッタ源(ターゲット)として用い、スパッタガスとしてアルゴンガス、反応性ガスとして酸素ガスをそれぞれチャンバー内に導入する。これにより、モリブデンやタングステンの酸化物からなるホール注入層4aが形成される。
次に、ホール注入層4aを反応性スパッタ法で成膜する。具体的には、モリブデンやタングステン等の金属材料をスパッタ源(ターゲット)として用い、スパッタガスとしてアルゴンガス、反応性ガスとして酸素ガスをそれぞれチャンバー内に導入する。これにより、モリブデンやタングステンの酸化物からなるホール注入層4aが形成される。
次に、IL4bを熱硬化性もしくは光硬化性の架橋材料を用いて形成する。硬化反応を促進するために触媒を用いてもよい。IL材料の形態に制限はないが、前記材料を溶媒に溶かした溶液を用いて成膜する方法が例示できる。
当該溶液に用いる溶媒としては、ホール輸送材料を溶解できるものであれば特に制限されない。例示すると、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を単独または組み合わせて用いることが挙げられる。
当該溶液に用いる溶媒としては、ホール輸送材料を溶解できるものであれば特に制限されない。例示すると、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を単独または組み合わせて用いることが挙げられる。
溶液の塗布方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法を用いることができる。このうちパターン形成が容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
塗布後の溶液は、熱硬化性材料を用いた場合には加熱処理を行い、光硬化性材料を用いた場合には光照射(紫外線照射)処理を行うことで、架橋重合させる。この重合を促進させる目的で、特開2003−73666号公報に記載されているように、AIBN等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ここで図6は、機能性部位を主体とし、これに架橋性部位(置換基)が複数結合してなるIL材料の有機分子を重合させる際の様子を模式的に示す図である。当図のように、有機分子は通常、光や熱、あるいはこれに加えて触媒の作用により、互いの架橋性部位(置換基)において架橋し、機能性部位が3次元に広がるネットワークポリマーを形成する。しかしながら、本実施の形態では、この図のようにすべての架橋性部位(置換基)を架橋させるのではなく、図2に示すように、一部を未反応のまま残存させておくことが重要となる。
ここで図6は、機能性部位を主体とし、これに架橋性部位(置換基)が複数結合してなるIL材料の有機分子を重合させる際の様子を模式的に示す図である。当図のように、有機分子は通常、光や熱、あるいはこれに加えて触媒の作用により、互いの架橋性部位(置換基)において架橋し、機能性部位が3次元に広がるネットワークポリマーを形成する。しかしながら、本実施の形態では、この図のようにすべての架橋性部位(置換基)を架橋させるのではなく、図2に示すように、一部を未反応のまま残存させておくことが重要となる。
このような調整としては、熱硬化性材料を用いる場合には、架橋性置換基が完全硬化するベーク温度よりも低い温度(例えば完全硬化温度が200℃である場合は、150℃〜170℃)で加熱処理する。この場合、さらに完全硬化する加熱時間よりも短い時間で加熱処理を行うことも有効である。一方、光硬化材料を用いた場合には、架橋性置換基が完全硬化する強度よりも低い強度で、光照射(紫外線照射)処理する。この場合も、完全硬化させる場合の照射時間よりも短い時間で照射するように設定することが有効である。そして、いずれの処理を行う場合も、キシレン溶媒に対する残膜率が20%以上70%以下となる範囲で未反応の架橋性置換基が残存するように調整する。
以上の処理を行い、溶媒が完全に揮発するとIL4bが形成される。
次に、バンクをフォトリソグラフィー法に基づいて形成する。まずバンク材料として、感光性レジスト、もしくはフッ素系レジストを用意する。このバンク材料をIL4b上に一様に塗布し、その上にフォトレジストを一様に塗布する。所定形状の開口部(形成すべきバンクのパターン)を持つマスクを重ねる。そして、マスクの上から感光させ、レジストパターンを形成する。その後は、余分なバンク材料及び未硬化のフォトレジストを水系もしくは非水系エッチング液(剥離剤)で洗い出す。これによりバンク材料のパターニングが完了する。その後、パターニングされたバンク材料の上のフォトレジスト(レジスト残渣)を純水で洗浄して除去する。以上でバンク5が完成する。
次に、バンクをフォトリソグラフィー法に基づいて形成する。まずバンク材料として、感光性レジスト、もしくはフッ素系レジストを用意する。このバンク材料をIL4b上に一様に塗布し、その上にフォトレジストを一様に塗布する。所定形状の開口部(形成すべきバンクのパターン)を持つマスクを重ねる。そして、マスクの上から感光させ、レジストパターンを形成する。その後は、余分なバンク材料及び未硬化のフォトレジストを水系もしくは非水系エッチング液(剥離剤)で洗い出す。これによりバンク材料のパターニングが完了する。その後、パターニングされたバンク材料の上のフォトレジスト(レジスト残渣)を純水で洗浄して除去する。以上でバンク5が完成する。
なお、バンク5の形成工程では、さらに発光層の材料に対するバンクの接触角を調節するために、バンク5の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理するか、プラズマ処理を施してもよい。
次に、バンク5で区画されたIL4bの表面に、インクジェット装置を用いたウェットプロセスにより、発光層材料を溶媒に分散されてなるインクを塗布する。塗布後、これを乾燥させることで発光層6が形成される。
次に、バンク5で区画されたIL4bの表面に、インクジェット装置を用いたウェットプロセスにより、発光層材料を溶媒に分散されてなるインクを塗布する。塗布後、これを乾燥させることで発光層6が形成される。
なお、発光層6のインク中の溶媒がIL4bに触れると、IL4bの未反応で残存する架橋性置換基を有する前記有機分子が溶媒に溶出する場合がある。しかしながら、当該溶出量は後述する実施例で用いたキシレン溶媒に比べて微量であるため、IL4bの残膜性に及ぼす影響は小さいと考えられる。また、前記インクの粘性を高めることによって、IL4bの溶出をさらに抑えることができる。
続いて、発光層6の表面に、(バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、あるいはこれらの組み合わせ材料)を用いて真空蒸着法により成膜を行う。これにより電子注入層7が形成される。
次に、ITO、IZO等の材料を用い、真空蒸着法で成膜する。これにより陰極8が形成される。
次に、ITO、IZO等の材料を用い、真空蒸着法で成膜する。これにより陰極8が形成される。
続いて陰極8の表面に、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料を真空蒸着法で成膜し、封止層9を形成する。
以上の工程を経ることにより全ての有機EL素子10a〜10cが形成され、有機ELパネル100が完成する。
<効果確認実験>
次に、本発明の効果を確認すべく、以下に示す各実験を行った。
(実施例1の有機EL素子の作製)
まず、実施例1として、基板に熱硬化性のホール輸送材料からなる層のみを形成してなるデバイスを作製し、ベーク温度と残膜率の関係について調べた。
以上の工程を経ることにより全ての有機EL素子10a〜10cが形成され、有機ELパネル100が完成する。
<効果確認実験>
次に、本発明の効果を確認すべく、以下に示す各実験を行った。
(実施例1の有機EL素子の作製)
まず、実施例1として、基板に熱硬化性のホール輸送材料からなる層のみを形成してなるデバイスを作製し、ベーク温度と残膜率の関係について調べた。
30mm×30mm×0.7mmのガラス基板を純水で超音波洗浄し、アルカリ洗浄液(セミコクリーン株式会社製「セミコクリーン56」で15分間超音波洗浄した。さらに流水で15分間超音波洗浄したのち、乾燥させた。その後、2−プロパノールで15分間超音波洗浄を行い、UV−オゾン装置で洗浄した。その後、所定のホール輸送材料(ここではトリフェニルアミン系化合物材料を使用。完全硬化温度約200℃)と溶媒を含む溶液をスピンコートした。
上記基板を複数用意し、予め150、160、170、180、200℃のいずれかに設定しておいたホットプレート(コーニング社製)に載せ、30分間ベーキングを行った。同一のベーキング温度で2つずつのサンプルを作製し、実施例1の有機EL素子1−1〜1−10を得た。
ベーキング後は各有機EL素子1−1〜1−10を室温まで冷却した。この状態で段差計を使用し、各有機EL素子1−1〜1−10の膜厚測定を行った(リンス前の膜厚(A)の測定)。
ベーキング後は各有機EL素子1−1〜1−10を室温まで冷却した。この状態で段差計を使用し、各有機EL素子1−1〜1−10の膜厚測定を行った(リンス前の膜厚(A)の測定)。
次に、各有機EL素子1−1〜1−10をそれぞれスピンコーターにセットし、基板上からキシレン溶媒を滴下し、3000rpm、30秒の条件でスピンコートを実施した。その後、予め130℃に設定しておいたホットプレート(コーニング社製)に載せ、10分間ベーキングを行った。ベーキングの後は有機EL素子1−1〜1−10を室温まで冷却した。この状態で、再び段差計を使用して膜厚の測定を行った(リンス前の膜厚(B)の測定)。
この測定結果に基づき、実施例1の各有機EL素子1−1〜1−10における残膜率を次の式(1)に基づいて算出した。
残膜率(%)=リンス後の膜厚(B)/リンス前の膜厚(A)×100・・・(1)
ここで、ILは残膜率が高いほど架橋度が進んでおり、キシレン溶媒に溶けにくいことが分かっている。従って、残膜率が高いほど、IL中の未反応の架橋性置換基が少ないことを示す。
残膜率(%)=リンス後の膜厚(B)/リンス前の膜厚(A)×100・・・(1)
ここで、ILは残膜率が高いほど架橋度が進んでおり、キシレン溶媒に溶けにくいことが分かっている。従って、残膜率が高いほど、IL中の未反応の架橋性置換基が少ないことを示す。
各有機EL素子1−1〜1−10の膜厚値と残膜率を表1に示す。
表1及び図7に示す結果を見ると、ベーク温度の上昇に伴って残膜率が上昇しているのが確認できる。すなわち、200℃でIL材料を完全硬化させたサンプル1−9、1−10では、残膜率はほぼ100%であり、リンス時に膜は溶出していない。
これに対し、サンプル1−9、1−10と同じ加熱時間で、150℃〜170℃の温度で緩やかな加熱処理を行った場合、残膜率は20%台〜50%台を示している。この結果はベーク温度と重合度(架橋度)が比例関係にあることを示している。
(実施例2の有機EL素子の作製)
次に、実施例2として、IL材料に熱硬化性材料を用い、図8の模式断面図に示すように、陽極(ITO)/ホール注入層(PEDOT)/IL/発光層/陰極バッファ層(Ba)/陰極(Al)の積層構造を持つデバイス(ボトムエミッション型)を作製した。
これに対し、サンプル1−9、1−10と同じ加熱時間で、150℃〜170℃の温度で緩やかな加熱処理を行った場合、残膜率は20%台〜50%台を示している。この結果はベーク温度と重合度(架橋度)が比例関係にあることを示している。
(実施例2の有機EL素子の作製)
次に、実施例2として、IL材料に熱硬化性材料を用い、図8の模式断面図に示すように、陽極(ITO)/ホール注入層(PEDOT)/IL/発光層/陰極バッファ層(Ba)/陰極(Al)の積層構造を持つデバイス(ボトムエミッション型)を作製した。
30mm×30mm×0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を50nm製膜した基板にパターニングを行い、透明電極(陽極)を設けた。この透明支持基板を純水及びイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次に、当該透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron
P Al 4083)を1000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、180℃にて10分間乾燥し、膜厚60nmのホール注入層を設けた。
次に、当該透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron
P Al 4083)を1000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、180℃にて10分間乾燥し、膜厚60nmのホール注入層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、ホール注入層上に、IL材料として、50mgのポリマーA(芳香族系高分子化合物)をキシレンに溶解した溶液を5000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により製膜した。この基板を複数用意した。この各基板を図9に示すように、140、150、160、180、200、220℃のいずれかの温度に加熱したホットプレート上で30分間乾燥し、膜厚20nmのILを形成した。
このIL層上に、100mgのポリマーB(芳香族系高分子化合物)をキシレンに溶解した溶液を3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により製膜した。これを130℃で10分間乾燥し、膜厚約75nmの発光層とした。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、タングステン製の2つの抵抗加熱ボートに20mgのBaまたはAlを入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、タングステン製の2つの抵抗加熱ボートに20mgのBaまたはAlを入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
真空槽を4×10−4Paまで減圧し、陰極バッファ層としてBa(膜厚5nm)、及び陰極としてAl(膜厚100nm)を順次蒸着し、有機EL素子1−1を作製した。
ILのホットプレート上の加熱を表2に示した条件に変えた以外は同様の方法で実施例2の有機EL素子1−2〜1−6を作製した。
この各有機EL素子1−2〜1−6について、実施例1と同様に残膜率を測定した。各有機EL素子1−2〜1−6の残膜率とデバイス効率、寿命を表2に示す。
ILのホットプレート上の加熱を表2に示した条件に変えた以外は同様の方法で実施例2の有機EL素子1−2〜1−6を作製した。
この各有機EL素子1−2〜1−6について、実施例1と同様に残膜率を測定した。各有機EL素子1−2〜1−6の残膜率とデバイス効率、寿命を表2に示す。
なお、表2中のデバイス効率と寿命の各欄は、素子1−1のデバイス効率と寿命をそれぞれ100として規格した値を記載した。
ここで、デバイス効率の求め方は以下の通りとした。デバイスに電圧を印加させたとき、電流密度が10mA/cm2になる電圧値における輝度および電流値を測定し、電流効率cd/Aを算出し、これをデバイス効率とした。輝度測定には大塚電子株式会社製高感度分光放射輝度計HS−100を用いた。
ここで、デバイス効率の求め方は以下の通りとした。デバイスに電圧を印加させたとき、電流密度が10mA/cm2になる電圧値における輝度および電流値を測定し、電流効率cd/Aを算出し、これをデバイス効率とした。輝度測定には大塚電子株式会社製高感度分光放射輝度計HS−100を用いた。
また、デバイス寿命の求め方としては、デバイスの輝度が8000cd/m2になるように電圧を印加し、輝度が4000cd/m2になるまでの時間をデバイス寿命とした。
表2及び図10に示される結果を見ると、実施例2では、ベーク温度がほぼ150℃〜170℃の範囲(素子1−2〜1−5)において、素子寿命と効率がともに向上することが確認できる。特に、ベーク温度が160℃付近である素子1−2では、素子寿命及び効率がともに最も高くなっている。具体的には、素子1−1に比べて素子1−2の寿命は5.5倍、効率も1.5倍にそれぞれ達していることが確認できる。
ここで、ベーク温度が150℃〜170℃の範囲では、前述の図7に示されるように、キシレン溶媒を用いた場合のILの残膜率はほぼ20%以上70%以下に留まっている。この範囲のうち、ベーク温度が160℃付近の残膜率としては、30%以上60%以下の範囲である。ここで実施例1、2に用いたIL材料の有機分子は、200℃付近で完全硬化する熱硬化性材料であるが、150℃〜170℃のやや低いベーク温度において、残膜率が20%以上70%以下の未硬化状態の構成としてILを形成した場合、有機EL素子として優れた特性が発揮されることが分かる。このような結果が得られた理由は、未反応で残存する架橋性置換基が有機層内のキャリアのバランスを良好にする機能を有するため、発光効率の向上が達成されたことが考えられる。上記結果から、キシレン溶媒を用いた場合の望ましい残膜率としては20%以上70%以下、より望ましくは30%以上60%以下と言える。
なお、ベーク温度が130℃〜140℃程度の範囲では、架橋性置換基はほとんど架橋重合しておらず、未反応のままで残存している。このように極端に架橋性置換基が未反応で残存していると、リンス時にキシレン溶媒中に比較的大量に溶出したり、クエンチャー(失活剤)として作用してしまうので、性能劣化を起こす原因となることが考えられる。反対にベーク温度が比較的高温である190℃〜220℃の範囲では、ホール注入層のPEDOTが拡散することによる性能低下がみられるようになる。従って、ベーク温度は低すぎず、且つ高すぎないように、適度な範囲に設定することが重要である。
ここで、実施例1、2の残膜率の測定において使用したキシレン溶媒は、当該実験を行うための溶媒であって、実際の有機EL素子の製造工程で使用される溶媒ではない。すなわち、実際の製造工程では、前述したようにIL4bの上に発光層材料を分散させてなるインク(EMLインク)が塗布される。しかしながら、EMLインクに対するILの溶解度はキシレン溶媒よりも低いため、実施例1、2と同様の実験をキシレン溶媒の代わりにEMLインクを用いて行った場合には図7に示す結果よりも残膜率が高くなる。図11は、実施例2におけるILを、実際に発光層(EML)材料を分散させたインクでリンスした場合の残膜率(割合で図示している)を示すグラフである。当図に示すように、ベーク温度が150℃〜170℃の範囲における残膜率はほぼ65%以上80%以下に留まり、160℃付近でも70%程度まで確保されていることが確認できる。従って、上記のように未反応の架橋性置換基を残存させるように所定のベーク温度範囲(150℃〜170℃)でILを形成しても、発光層形成工程以後においてILの膜厚は十分に残存するものと考えられる。
(実施例3の有機EL素子の作製)
次に、実施例3として、実施例2と同様の構成(図8)でIL材料に紫外線硬化材料を用いた点のみが異なるデバイス(ボトムエミッション型)を作製した。
(実施例3の有機EL素子の作製)
次に、実施例3として、実施例2と同様の構成(図8)でIL材料に紫外線硬化材料を用いた点のみが異なるデバイス(ボトムエミッション型)を作製した。
陽極として30mm×30mm×0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を50nm製膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板を純水及びイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を1000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、180℃にて10分間乾燥し、膜厚60nmのホール注入層を設けた。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を1000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、180℃にて10分間乾燥し、膜厚60nmのホール注入層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、ホール注入層上に50mgの紫外線硬化樹脂ポリマーA(芳香族高分子系化合物)をキシレンに溶解してなる溶液を、5000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により滴下した。この基板を複数枚用意した。
次に、上記各基板に対して、図12に示すように、UVランプ(ウシオ電機製低圧水銀UVランプ)を60、120、300、480、600、840秒間のいずれかの時間にわたって照射し、ポリマーAを架橋重合させることにより、膜厚20nmのILを設けた。
次に、上記各基板に対して、図12に示すように、UVランプ(ウシオ電機製低圧水銀UVランプ)を60、120、300、480、600、840秒間のいずれかの時間にわたって照射し、ポリマーAを架橋重合させることにより、膜厚20nmのILを設けた。
このIL層上に、100mgのポリマーB(芳香族高分子系化合物)をキシレンに溶解した溶液を3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により滴下した。これを130℃で10分間乾燥し、膜厚約75nmの発光層とした。
続いて、基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、タングステン製抵抗加熱ボートにBaを20mg、また別のボートにAlを入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
続いて、基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、タングステン製抵抗加熱ボートにBaを20mg、また別のボートにAlを入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
真空槽を4×10−4Paまで減圧し、陰極バッファ層としてバリウム5nm及び陰極としてアルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。これにより実施例3の有機EL素子2−1〜2−6を得た。
この実施例3の各素子について、実施例1と同様に残膜率を測定した。その結果を表3に示す。
この実施例3の各素子について、実施例1と同様に残膜率を測定した。その結果を表3に示す。
表3に示される結果を見ると、残膜率が28%以上82%以下の範囲の素子2−2〜2−5のデバイス効率は、完全硬化したILを備えるサンプル素子2−1と同等以上である。また、前記各素子では、寿命がサンプル素子2−1より飛躍的に伸びていることも確認できる。このような結果から、紫外線硬化材料の有機分子でILを構成する場合であっても、架橋性置換基の所定量を未反応で残存させると、実施例2と同様に有機EL素子の寿命が延びるとともに、優れた発光特性が発揮されることが分かる。
以上の各実験により、従来技術に対する本発明の優位性が確認された。
<その他の事項>
上記した実施例2、3では、ボトムエミッション型のデバイスを作製したが、各デバイスの基本構造はトップエミッション型のデバイス(図1の有機EL素子10a〜10c)と差異はない。このため、トップエミッションまたはボトムエミッションのいずれの型式のデバイスに本発明を適用しても同様の性能が発揮されるものと言える。
<その他の事項>
上記した実施例2、3では、ボトムエミッション型のデバイスを作製したが、各デバイスの基本構造はトップエミッション型のデバイス(図1の有機EL素子10a〜10c)と差異はない。このため、トップエミッションまたはボトムエミッションのいずれの型式のデバイスに本発明を適用しても同様の性能が発揮されるものと言える。
本発明の有機EL素子は、携帯電話用のディスプレイやテレビなどの表示素子、各種光源などに利用可能である。いずれの用途においても、低輝度から光源用途等の高輝度まで幅広い輝度範囲で駆動される有機EL素子として適用できる。このような高性能により、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種ディスプレイ装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ、照明光源等として、幅広い利用が可能である。
1 TFT基板
2 陽極(第1電極)
3 ITO層
4a ホール注入層
4b ホール輸送層(IL)
5 バンク
6 発光層
7 電子注入層
8 陰極(第2電極)
9 封止層
10a〜10c 有機EL素子
100 有機ELパネル
2 陽極(第1電極)
3 ITO層
4a ホール注入層
4b ホール輸送層(IL)
5 バンク
6 発光層
7 電子注入層
8 陰極(第2電極)
9 封止層
10a〜10c 有機EL素子
100 有機ELパネル
Claims (7)
- 電極対の間に有機層が介設されてなる有機EL素子であって、
有機層は、少なくとも発光層と、ホール輸送層の積層構造からなり、
ホール輸送層は、架橋性置換基を有する有機分子が架橋重合してなるネットワークポリマーで構成され、前記ネットワークポリマー中において、前記架橋性置換基の一部が未反応で残存している
ことを特徴とする有機EL素子。 - 前記ホール輸送層の架橋度は、
当該ホール輸送層をキシレン溶媒で洗浄処理する場合を想定するとき、
洗浄処理前後の膜厚比として定義される残膜率が20%以上70%以下となる範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。 - 前記残膜率が、30%以上60%以下となる範囲である
ことを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子。 - 前記有機分子は光硬化性または熱硬化性を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子。 - 電極対の間に、ホール輸送層及び発光層を積層して介設する有機EL素子の製造方法であって、
ホール輸送層形成工程では、架橋性置換基を有する有機分子を架橋重合させて、ネットワークポリマーを構成するとともに、前記ネットワークポリマー中で架橋性置換基の一部を未反応で残存させるように調整し、
発光層構成工程では、架橋性置換基の一部が未反応で残存する前記ホール輸送層の上に溶液を塗布し、これを乾燥して発光層を形成する
ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。 - ホール輸送層形成工程では、ホール輸送層をキシレン溶媒で洗浄処理する場合を想定するとき、
当該洗浄処理前後の膜厚比として定義される残膜率が20%以上70%以下の範囲になるように、前記架橋性置換基を未反応で残存させる
ことを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子の製造方法。 - 前記ホール輸送層形成工程では、熱硬化性の有機分子を用い、
残膜率が20%以上70%以下になる範囲の温度で加熱処理することにより、前記有機分子を架橋させてホール輸送層を形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2508233A2 (en) | 2011-04-08 | 2012-10-10 | Nintendo Co., Ltd. | Information processing program, information processing apparatus, information processing system, and information processing method |
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2009
- 2009-10-16 JP JP2009239110A patent/JP2011086798A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2508233A2 (en) | 2011-04-08 | 2012-10-10 | Nintendo Co., Ltd. | Information processing program, information processing apparatus, information processing system, and information processing method |
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