JP2011086785A - 光透過性電磁波シールド材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド材 - Google Patents

光透過性電磁波シールド材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド材 Download PDF

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Abstract

【課題】均一な厚さ及び線幅を有し、高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド層をより効率的に形成する光透過性電磁波シールド材の製造方法を提供する。
【解決手段】アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層120が一方の表面上に形成された透明基材110の表面処理層120上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層130を形成する工程、表面処理層120及びパターン状の樹脂層130を有する透明基材110に、めっき触媒化合物溶液を接触させることにより、樹脂層130上にめっき触媒層を形成し、パターン状のめっき触媒層140を設ける工程、及び無電解めっき及び/又は電解めっきすることにより、めっき触媒層140上に金属導電層を形成し、パターン状の金属導電層150を設ける工程、を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はプラズマディスプレーパネル(PDP)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓材料(例えば貼着用フィルム)等として有用な光透過性電磁波シールド材及びその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、及びCRTディスプレイは、近年、大画面表示が主流となり、次世代の大画面表示デバイスとしてPDPが一般的になってきている。しかしながら、PDPでは画像表示のため発光部に高周波パルス放電を行っており、不要な電磁波を輻射する恐れがある。
そこで、PDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性および光透過性を有する光透過性電磁波シールド材が開発され、実用に供されている。このような光透過性電磁波シールド材はまた、電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、光透過性電磁波シールド材は、例えば、透明基材の一方の面に、金属線や導電性繊維を編み状にした導電メッシュ、銅箔等の層を網状にエッチング加工して開口部を設けもの、又は導電性粉末を含む導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等の金属導電層を設けたものが使用される。この導電性のメッシュ部分によって電磁波がシールドされ、開口部によって光の透過が確保される。
このような電磁波シールド層において、優れた光透過性と電磁波シールド性を両立させるには、メッシュ状の導電層を用い、極めて線幅を細くし、非常に微細な高精細パターンとする必要がある。
特許文献1では、透明基材の表面にパラジウム等を含む無電解めっき触媒粒子及びバインダ樹脂を含む印刷ペーストをメッシュ状に印刷することにより印刷パターン層を形成し、この印刷パターン層上に無電解めっきすることにより金属導電層を形成する方法が開示されている。
特開平11−170420号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、めっき金属の析出が不均一であり、均一な厚さや線幅を有する電磁波シールド層を形成するのが困難であった。特に、めっき金属の厚み分布のばらつきは、製品の外観不良及び電気抵抗のムラを発生し易く、電気抵抗のムラは電磁波シールド性の低下を引き起こすため問題であった。
従来の方法では印刷パターン層中に触媒粒子が分散されているため、印刷パターン層表面に微小な触媒粒子を均一に露出させるのは非常に難しく、このため印刷パターン層表面にめっき金属の未析出部分や過剰析出部分が生じると考えられた。そこで、本発明者らは、特願2009−172683号(未公開)において、アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層が形成された透明基材を用い、表面処理層上にパターン状に印刷された触媒粒子を含まない樹脂層を形成し、樹脂層の表面上にめっき用触媒を選択的に吸着させる方法により、厚さや線幅が均一であり、電気抵抗のムラのない微細なパターンを有し、高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド層が形成された光透過性電磁波シールド材の製造方法を見出している。しかしながら、この方法においても、更に、効率的に電磁波シールド層を形成するために、めっき用触媒を樹脂層に十分に吸着させる更なる改良が望まれている。
従って、本発明の目的は、上述の未公開特許出願に係わる光透過性電磁波シールド材の製造方法において、めっき触媒を樹脂層に十分に吸着させ、より効率的に高精度な電磁波シールド層を形成するように改良された製造方法を提供することにある。
また、本発明の更なる目的は、その方法により製造され、均一な厚さ及び線幅を有し、高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド層が形成された光透過性電磁波シールド材を提供することにある。
上記目的は、
アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層が一方の表面上に形成された透明基材の当該表面処理層上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層を形成する工程、前記表面処理層及びパターン状の樹脂層を有する透明基材に、めっき触媒化合物溶液を接触させることにより、前記樹脂層上にめっき触媒層を形成し、パターン状のめっき触媒層を設ける工程、及び無電解めっき及び/又は電解めっきすることにより、前記めっき触媒層上に金属導電層を形成し、パターン状の金属導電層を設ける工程、を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法によって達成される。
アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層には、めっき触媒化合物が吸着せず、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物からなるパターン状の樹脂層の表面には、めっき触媒化合物が吸着し易くなるので、パターン状の樹脂層表面に、めっき触媒化合物を選択的に効率良く十分に吸着させ、十分な厚さを有するめっき触媒層を形成できる。これにより、無電解めっき処理後、電解めっき処理を行う方法や、無電開めっき処理を行わずに、めっき触媒層を導体化後、電解めっき処理を行う方法によって、より効率的に均一な厚さ及び線幅を有する金属導電層を形成し、電磁波シールド性が高い光透過性電磁波シールド材を製造することができる。
本発明に係る光透過性電磁波シールド材の製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記金属導電層を設ける工程が、前記めっき触媒層を導体化することにより、導体化皮膜層を形成する工程、及び電解めっきすることにより、前記導体化皮膜層上に金属導電層を形成し、パターン状の金属導電層を設ける工程である。
無電解めっき処理には、「無電解めっき液の管理が困難である」、「無電解めっきの廃液処理コストが多大である」、「無電解めっき処理時間が長い」等の生産性向上を図る上で問題がある。従って、本発明においては、無電解めっき処理を行わずに、めっき触媒層を導体化後、電解めっき処理を行う工程を含む製造方法が好ましい。
(2)前記カチオン性基が、
下記式(I):
Figure 2011086785
[上式中、R1からR4は同一でも異なっていても良く、水素、直鎖状又は分枝状の炭素原子数1〜30個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基を示し(但し、R1からR4のいずれか1個以上は水素以外の基である)、又はR1からR4の2個の基は炭素数2〜6個の環構造を形成しても良く、R1からR4のいずれか1個以上で他の基に結合していても良く;X-はアニオンを表す。]
で表されるカチオン性基である。
(3)前記カチオン性基を有する化合物が、カチオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はカチオン性界面活性剤である。
(4)前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。
(5)前記アニオン性基が、−COOM、−SO3M、−OSO3M、及び−PO32(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す)よりなる群から選択される少なくとも一種である。
(6)前記アニオン性基を有する化合物が、アニオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はアニオン性界面活性剤である。
(7)前記アニオン性基を有するバインダ樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び酢酸ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である。
(8)前記アニオン性界面活性剤が、α−オレフィンスルホン酸塩である。
(9)前記めっき触媒化合物溶液が、貴金属化合物を含む水溶液である。
(10)前記貴金属化合物が、パラジウム化合物である。
(11)前記導体化を、めっき触媒層に金属化合物、還元性化合物、及び金属水酸化物を含む水溶液からなる導体化液を接触させることで行う。
(12)前記導体化を、めっき触媒層にパラジウム化合物、アミン化合物及び還元性化合物を含む水溶液からなる導体化液を接触させることで行う。
また、上記目的は、透明基材、前記透明基材の一方の表面上に形成された表面処理層、前記表面処理層上に形成されたパターン状の樹脂層、前記樹脂層上に形成されたパターン状のめっき触媒層、及び前記めっき触媒層上に形成されたパターン状の金属導電層を有し、前記表面処理層が、アニオン性基を有する化合物を含み、且つ前記樹脂層が、カチオン性基を有する化合物を含むことを特徴とする光透過性電磁波シールド材によっても達成される。
このような層を有する光透過性電磁波シールド材であれば、樹脂層上にめっき触媒化合物が十分に吸着し、均一な厚さ及び線幅を有する金属導電層が形成された、電磁波シールド性が高い光透過性電磁波シールド材であるといえる。
本発明に係る光透過性電磁波シールド材の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記カチオン性基が、
下記式(I):
Figure 2011086785
[上式中、R1からR4は同一でも異なっていても良く、水素、直鎖状又は分枝状の炭素原子数1〜30個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基を示し(但し、R1からR4のいずれか1個以上は水素以外の基である)、又はR1からR4の2個の基は炭素数2〜6個の環構造を形成しても良く、R1からR4のいずれか1個以上で他の基に結合していても良く;X-はアニオンを表す。]
で表されるカチオン性基である。
(2)前記カチオン性基を有する化合物が、カチオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はカチオン性界面活性剤である。
(3)前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。
(4)前記アニオン性基が、−COOM、−SO3M、−OSO3M、及び−PO32(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す)よりなる群から選択される少なくとも一種である。
(5)前記アニオン性基を有する化合物が、アニオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はアニオン性界面活性剤である。
(6)前記アニオン性基を有するバインダ樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び酢酸ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である。
(7)前記アニオン性界面活性剤が、α−オレフィンスルホン酸塩である。
本発明の方法によれば、パターン状の樹脂層表面上に、選択的にめっき触媒化合物がより効率良く十分に吸着するので、めっき金属をより均一に析出させることができる。これにより線幅や厚さが均一であり、微細なパターンを有する金属導電層を形成することができ、電磁波シールド性が高く、光透過性、外観性、及び視認性に優れた光透過性電磁波シールド材を製造することができる。
また、本発明の光透過性電磁波シールド材は、本発明の製造方法により、均一な厚さ及び線幅で金属導電層が形成され、電磁波シールド性が高く、光透過性、外観性、及び視認性に優れた光透過性電磁波シールド材であるといえる。
図1は、本発明の光透過性電磁波シールド材の代表的な製造方法の各工程を説明した概略断面図である。 図2は、本発明の光透過性電磁波シールド材の好適態様の各工程を説明した概略断面図である。
以下に図面を参照しながら本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法について、詳細に説明する。図1は本発明の光透過性電磁波シールド材の代表的な製造方法を説明する概略断面図である。
本発明の方法では、まず、アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層120が少なくとも一方の表面上に形成された透明基材110の表面処理層120上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層130を形成する工程(A)を実施する。
次に、表面処理層120及びパターン状の樹脂層130を有する透明基材110に、めっき触媒化合物溶液を接触させることにより、前記樹脂層130上にめっき触媒層を形成し、パターン状のめっき触媒層140を設ける工程(B)を実施する。めっき触媒化合物溶液として、パラジウム塩化合物等の貴金属化合物及びスズ塩化合物などを含む溶液を用いた場合、溶液中で貴金属化合物及びスズ塩化合物は[PdSn3Cl10+nx-や[PdSn3Cl]4-等のマイナスの電荷を有する錯体を形成する。一方、透明基材110上には、アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層120が形成され、樹脂層130は、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物から形成されている。従って、表面処理層120及びパターン状の樹脂層130を有する透明基材110上にめっき触媒化合物溶液を接触させた際に、上記錯体が表面処理層120上にはマイナス電荷の反発により吸着しない。そして、樹脂層130に含まれるカチオン性基を有する化合物のプラス荷電により、上記錯体は樹脂層130上にのみ効率的にイオン的に吸着される。以上によりパラジウム化合物等のめっき触媒化合物からなるめっき触媒層140が樹脂層130上のみに選択的に形成される。
次に、無電解めっき及び/又は電解めっきすることにより、めっき触媒層140上にパターン状の金属導電層150を形成する工程(C)を実施する。めっき触媒層140は、無電解めっきや電解めっきにより、めっきムラなく、めっき金属を均一に析出させることが可能となる。
このような本発明の方法によれば、めっき触媒化合物が樹脂層130上に十分に吸着するため、十分な厚さを有するめっき触媒層140を形成することができる。これにより、めっき触媒層140上に、均一な厚さや線幅を有する金属導電層150をより短時間で形成することができる。また、樹脂層130がパラジウム粒子などの触媒粒子を含んでいないことから、印刷時の設計度が向上し、より微細なパターンを有する樹脂層130をほぼ設計通りの寸法で形成することができる。したがって、このような樹脂層130を用いることにより、より微細なパターンを有する金属導電層150の形成も可能となる。
以下に、本発明の方法を工程ごとに詳細に説明する。
本発明の方法では、初めに、アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層が一方の表面上に形成された透明基材の前記表面処理層上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層を形成する工程(A)を実施する。
[表面処理層]
表面処理層は、アニオン性基を有する化合物を含む。本発明において、アニオン性基とは、アニオンを有する官能基、又は解離によってアニオンを生じる官能基を意味する。
化合物におけるアニオン性基としては、−COOM、−SO3M、−OSO3M、及び−PO32(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す)が好ましい。前記式におけるMは、カチオンを示し、具体的には、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子;バリウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属原子;アンモニウム(NH4 +)、アルカノールアミンなどのアミン類が好ましく挙げられる。なかでも、Mは、水素原子、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンであるのが好ましい。このようなアニオン性基は、触媒化合物溶液と接触することによりM+イオンの解離が容易に生じ、マイナスの電荷を有する錯体の吸着を防止することができる。
なかでも、アニオン性基としては、−COONa、−COOH、−SO3Na、−SO3Hが好ましく挙げられる。これらのアニオン性基は、めっき触媒層を形成する工程において、マイナスの電荷を有する錯体が表面処理層に吸着するのをより高く防止することができる。
表面処理層は、バインダ樹脂を少なくとも含み、その他、必要に応じて界面活性剤などの成分を含む。アニオン性基を有する化合物として、バインダ樹脂及び界面活性剤のうち少なくとも一方がアニオン性基を有するのが好ましい。
バインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び酢酸ビニル樹脂が好ましく挙げられる。これらは一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。また、これらのバインダ樹脂として、ヒドロキシル基やアミノ基などの活性水素を含む基を有するバインダ樹脂を用いて、表面処理層において、前記バインダ樹脂を少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートなどの硬化剤により硬化させてもよい。
アニオン性基を有するバインダ樹脂を用いた場合、バインダ樹脂におけるアニオン性基の含有量は、0.1〜2mmol/g、特に0.8〜1.2mmol/gであるのが好ましい。
バインダ樹脂の数平均分子量は、5,000〜40,000、特に10,000〜35,000であるのが好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸およびその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩系;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩系などが挙げられる。これらは一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。なかでも、α−オレフィンスルホン酸塩、特にα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(オレフィンの炭素原子数2〜18、特に14〜16)が好ましく用いられる。
アニオン性界面活性剤におけるアニオン性基の量は、0.1〜2.0mmol/g、特に0.8〜1.2mmol/gであるのが好ましい。
表面処理層におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、バインダ樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部、特に0.1〜5質量部であるのが好ましい。
表面処理層において、バインダ樹脂及び界面活性剤のうち少なくとも一方がアニオン性基を有していればよい。マイナスの電荷を有する錯体の吸着をより高く防止できることから、アニオン性界面活性剤を少なくとも用いるのが好ましく、アニオン性基を有するバインダ樹脂及びアニオン性界面活性剤の双方を用いるのが特に好ましい。なお、アニオン性界面活性剤を用いた場合には、バインダ樹脂はアニオン性基を有していなくともよい。また、アニオン性基を有するバインダ樹脂を用いた場合には、界面活性剤としてカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤などのアニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を用いてもよい他、界面活性剤を使用しなくてもよい。
表面処理層の表面におけるアニオン性基の量は、0.1〜2.0mmol/cm2、特に0.8〜1.2mmol/cm2であるのが好ましい。アニオン性基の量が前記範囲内であれば、表面処理層上にめっき触媒層が形成されるのを抑制することができる。なお、
表面処理層の表面とは、表面処理層の露出面から深さ20nmに至る領域を意味する。表面処理層の表面におけるアニオン性基の量は、FTIR(フーリエ変換赤外分光分析装置)、XPS(X線光電子分光分析装置)などにより分析することができる。
表面処理層は、ワックスを含んでいるのが好ましい。ワックスを用いることにより、表面処理層の表面平滑性を向上させて、樹脂層や金属導電層の厚さや線幅の均一性を向上させることができる。表面処理層を形成する際に、ワックスはワックスエマルジョンとして用いるのがよい。ワックスエマルジョンとは、ワックスが微細な粒子として水または水溶性の分散媒中に分散したワックス成分を指す。
ワックスとしては、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、アクリル系ワックス、脂肪酸系ワックスなどが用いられる。ワックスの分子量は、1000〜10000、特に1500〜6000であるのが好ましい。
表面処理層におけるワックスの含有量は、バインダ樹脂100質量部に対して、2〜10質量部、特に3〜8質量部であるのが好ましい。
透明基材上に表面処理層を形成するには、バインダ樹脂の他、必要に応じて、界面活性剤、ワックスなどの各成分を、水や有機溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなど)などの溶剤中に溶解又は分散させ、得られた樹脂組成物を透明基材上に塗布する方法などが用いられる。
塗布方法は、グラビアコーター、リバースロールコーター、リバースキスコーター、エアーナイフコーター、バーコーター等の方法が用いられる。また、塗布以外にも、樹脂組成物中に透明基材を浸漬させることにより透明基材上に表面処理層を形成することもできる。透明基材上に塗布された樹脂組成物は、80〜150℃、特に80〜120℃の温度で加熱乾燥させるのが好ましい。乾燥時間は、1〜10分程度であればよい。
表面処理層は、透明基材の金属導電層を形成する面上に少なくとも形成すればよいが、透明基材の金属導電層が形成される面とは反対側の面上にもさらに形成されていてもよい。透明基材の金属導電層が形成される面とは反対側の面上に表面処理層が形成されると、透明基材の裏面側にめっき触媒層や金属導電層が形成されるのを防止することができる。
また、表面処理層を有する透明基材は、市販されている製品を直接用いることもできる。市販品としては、例えば、東洋紡績株式会社製の製品名A8300、A1300などを用いることができる。
表面処理層の厚さは、50〜150nm、特に65〜95nmであるのが好ましい。
表面処理層が形成される透明基材としては、透明性および可とう性を備え、その後の処理に耐えるものであれば特に制限はない。透明基材の材質としては、例えば、ガラス、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる、これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。また、基材は、これらの材質からなるシート、フィルム、または板として用いられる。
透明基材の厚さは、通常は、使用時の形態や必要とされる機械的強度に応じて、0.05〜5mmの範囲内で適宜設定される。
[樹脂層形成工程]
本発明の方法では、上述した表面処理層上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層を形成する。これにより、貴金属化合物及びスズ塩化合物などにより形成されたマイナスの電荷を有する錯体を樹脂層にイオン的に吸着させることができる。
カチオン性基とは、カチオンを有する官能基、又は解離によってカチオンを生じる官能基を意味する。
このようなカチオン性基として、好ましくは、第一級アミノ基(−NH2)、第二級アミノ基(−NHR1)、第三級アミノ基(−NR12)、第四級アンモニウム基([−NR123+)、アクリルアミド基(CH2=CHCONH−)、及びメタクリルアミド基(CH2=C(CH3)CONH−)が挙げられる。第二級アミノ基、第三級アミノ基におけるR1及びR2は、アルキル基又はアリール基であり、好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキル基又はアリール基である。第四級アンモニウム基におけるR1、R2、及びR3は水素又はアルキル基又はアリール基、又はR1、R2、及びR3のいずれか2個の基で環構造を形成しても良い。
カチオン性基は、下記式(I):
Figure 2011086785
[上式中、R1からR4は同一でも異なっていても良く、水素、直鎖状又は分枝状の炭素原子数1〜30個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基を示し(但し、R1からR4のいずれか1個以上は水素以外の基である)、又はR1からR4の2個の基は炭素数2〜6個の環構造を形成しても良く、R1からR4のいずれか1個以上で他の基に結合していても良く;X-はアニオンを表す。]
で表されるカチオン性基が好ましい。アニオンはどのようなものでも良い、例えば、F-、Cl-、Br-、I-等のハロゲンアニオン、リン酸アニオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、炭酸アニオン、カルボキシルアニオン等が挙げられる。
カチオン性基を有する化合物は、合成樹脂組成物に均一に混合できれば、どのようなものでも良い。合成樹脂の全部又は一部として、カチオン性基を有するバインダ樹脂を使用しても良く、カチオン性界面活性剤、カチオン性帯電防止剤、及びカチオン性塗料等のカチオン性化合物を、カチオン性基を有さないバインダ樹脂に配合しても良い。合成樹脂組成物に混合し易い点で、カチオン性基を有するバインダ樹脂及び/又はカチオン性界面活性剤が好ましい。
カチオン性基を含むバインダ樹脂の場合は、カチオン性基として、第一級アミノ基(−NH2)、第二級アミノ基(−NHR1)、第三級アミノ基(−NR12)、第四級アンモニウム基([−NR123+)、アクリルアミド基(CH2=CHCONH−)、及びメタクリルアミド基(CH2=C(CH3)CONH−)が好ましい。第二級アミノ基、第三級アミノ基におけるR1及びR2は、アルキル基、アルキレン基又はアリール基であり、好ましくは炭素原子数1〜30個、更に好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基である。第四級アンモニウム基におけるR1、R2、及びR3は水素又はアルキル基、アルキレン基又はアリール基、又はR1、R2、及びR3のいずれか2個の基で環構造を形成しても良い。カチオン性基は、好ましくは上記式(I)のカチオン性基である。
バインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく挙げられる。カチオン性基を含むバインダ樹脂は1種又は2種以上を混合して使用しても良い。
バインダ樹脂全体におけるカチオン性基の含有量は、0.1〜2.0mmol/g、特に0.8〜1.2mmol/gであるのが好ましい。
また、カチオン性界面活性剤の場合は、カチオン性基として第四級アンモニウム基を含むものが好ましく、上記式(I)のカチオン性基を含むものが好ましい。
カチオン性界面活性剤として、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化パルミチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ステアリルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を混合して使用してもよい。特に、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。
合成樹脂組成物におけるカチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物の含有量に特に制限は無い。但し、含有量が少な過ぎると、樹脂層にめっき触媒化合物が十分吸着されず、含有量が多過ぎると、合成樹脂組成物をパターン状に印刷する際に、表面処理層の非印刷部に極微量付着した合成樹脂組成物の影響で、樹脂層が形成されていない表面処理層上にもめっき触媒化合物の吸着する可能性がある。従って、カチオン性化合物の含有量は、合成樹脂組成物の質量を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、更に1〜10質量%が好ましい。
合成樹脂組成物に、カチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物を配合する場合、合成樹脂として、上記のカチオン性基を有するバインダ樹脂を用いるのが好ましい。これにより、樹脂層のカチオン性が高くなり、マイナスの電荷を有するめっき触媒化合物の錯体を吸着する効果を更に高めることができる。
また、合成樹脂は、マイナスの電荷を有するめっき触媒化合物の錯体の吸着を阻害する、アニオン性基を有していないのが好ましい。合成樹脂におけるアニオン性基の含有量は、0.1mmol/g以下、特に0.05mmol/g以下であるのが好ましい。
パターン状の樹脂層は、さらに分散剤を含むのが好ましい。分散剤を用いることにより、合成樹脂を高く分散させて樹脂層の硬度や表面平滑性を向上させ、これにより得られる金属導電層の厚さや線幅を均一にすることが可能となる。
分散剤としては、シリカ、アルミナ、チタニアなどの酸化物粒子、銀粉、銅粉などの金属粒子、活性炭、グラファイト、フラーレン、カーボンファイバなどの炭素粒子が挙げられる。なかでも、シリカ粒子を用いるのが好ましい。
シリカ粒子の平均粒子径は、10〜100nm、特に10〜30nmであるのが好ましい。シリカ粒子の比表面積は、100〜500m2/g、特に100〜300m2/gであるのが好ましい。このようなシリカ粒子は、パターン状の樹脂層の硬度や表面平滑性をさらに向上させることができる。
パターン状の樹脂層は、黒色着色剤を含んでいてもよい。黒色着色剤を含むことにより、光透過性電磁波シールド材の透明基材側に防眩性を付与することが可能となる。
黒色着色剤としては、黒色染料、黒色顔料、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、黒鉛、および活性炭などが好ましく挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。カーボンブラックの平均粒径は、好ましくは0.1〜1,000nm、特に好ましくは5〜500nmである。
パターン状の樹脂層における黒色着色剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、5〜30質量部、特に5〜15質量部とするのが好ましい。
パターン状の樹脂層を表面処理層上に形成するには、合成樹脂の他、必要に応じて、分散剤、及び黒色着色剤などの各成分を、有機溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなど)に溶解又は分散させ、得られた組成物を表面処理層上にパターン状に印刷する方法が用いられる。
印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等が挙げられ、これらの中でも、パターンの細線化が可能な点で、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷が特に好ましい。
表面処理層上に組成物を印刷した後、好ましくは80〜150℃、より好ましくは80〜120℃で加熱することにより乾燥させるのがよい。乾燥温度が80℃未満では溶媒の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、150℃を超えると化合物の熱分解が生じる恐れがある。乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
樹脂層は、上述の通りめっき触媒化合物の吸着を阻害するアニオン性基を含んでいないのが好ましい。従って、樹脂層表面におけるアニオン性基の量は、0.1mol/cm2以下、特に0.05mol/cm2以下であるのが好ましい。なお、樹脂層の表面とは、樹脂層の露出面から深さ20nmに至る領域を意味する。
樹脂層の表面におけるアニオン性基の量は、FTIR(フーリエ変換赤外分光分析装置)、XPS(X線光電子分光分析装置)などにより分析することができる。
樹脂層が有するパターン形状は、所望する金属導電層が得られるように適宜決定すればよいが、ストライプ状及びメッシュ状(格子状を含む)、特にメッシュ状であるのが好ましい。
樹脂層におけるメッシュパターンの形状には特に制限はなく、例えば四角形の開口部が形成された格子状や、円形、六角形、三角形又は楕円形の開口部が形成されたパンチングメタル状などが挙げられる。また、開口部は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。
メッシュ状の樹脂層の線幅は、一般に25μm以下、好ましくは5〜20μmで、特に5〜15μmを有する。線のピッチは300μm以下が好ましい。また、開口率は70〜95%であることが好ましく、特に70〜85%である。なお、開口率とは、樹脂層の投影面積における開口部分が占める割合をいう。
樹脂層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、角形(4角形、6角形)など任意の形状とすることができるが、一般に角形であり、特に正方形であることが好ましい。
樹脂層の厚さは、100〜1000nm、特に200〜500nmであるのが好ましい。このような厚さを有する樹脂層は、表面に十分な量のめっき触媒を吸着させることができる。
[めっき触媒層形成工程]
本発明の方法では、次に、表面処理層及びパターン状の樹脂層を有する透明基材に、めっき触媒化合物溶液を接触させることにより、前記樹脂層上にパターン状のめっき触媒層を形成する工程(B)を実施する。
めっき触媒化合物溶液は、従来公知のめっき触媒化合物溶液を使用することができる。例えば、貴金属化合物、スズ塩化合物及び酸を含む水溶液を使用できる。このような成分を含む水溶液中では、貴金属イオンとスズイオンとがマイナスの電荷を有する錯体を形成し、パターン状の樹脂層上のみに選択的に吸着することができる。
スズ塩化合物に代えて、二塩化硫黄などの硫黄化合物、又は塩化第一銅若しくは塩化第二銅など銅化合物などを用いることができ、貴金属イオンと硫黄イオン又は銅イオンとがマイナスの電荷を有する錯体を形成し、スズ塩化合物を用いた場合と同様の効果が得られる。
貴金属化合物としては、塩化白金塩などの白金化合物;塩化金塩などの金化合物;塩化パラジウム、硫酸パラジウムなどのパラジウム化合物;及び硝酸銀、硫酸銀などの銀化合物などが挙げられる。なかでも、パターン状の樹脂層へ強く吸着できる錯体を形成できることから、パラジウム化合物、特に塩化パラジウムを用いるのが好ましい。
めっき触媒化合物溶液における貴金属化合物の含有量は、50〜500mg/リットル、特に100〜300mg/リットルであるのが好ましい。貴金属化合物の含有量が前記範囲内であれば、マイナスの電荷を有する錯体を十分に形成することができる。
スズ塩化合物としては、塩化第一スズ、及び硫酸第一スズが挙げられる。なかでも、パターン状の樹脂層へ強く吸着できる錯体を形成できることから、塩化第一スズを用いるのが好ましい。
めっき触媒化合物溶液におけるスズ塩化合物の含有量は、貴金属化合物の20〜50質量倍とするのが好ましい。スズ塩化合物の含有量は、10〜50g/リットル、特に10〜20g/リットルであるのが好ましい。
酸としては、塩酸、及び硫酸が好ましく挙げられる。めっき触媒化合物溶液における酸の含有量は、0.5〜3モル/リットル、特に1.0〜3モル/リットルであるのが好ましい。
また、スズ塩化合物を含まない、貴金属化合物を含む水溶液も使用できる。より導体化し易い点でスズ塩化合物を含まない方が好ましい。この場合、貴金属化合物としては、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[Pd(NH34]Cl2、PdCl2・2KCl、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム化合物、[Pt(NH34]Cl2、PtCl4等の白金化合物、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、フッ化銀、亜硝酸銀、塩化銀、臭化銀、プロピオン酸銀、酒石酸銀、メチルエチル酢酸銀、トリメチル酢酸銀、炭酸銀、シュウ酸銀等の銀化合物等が挙げられる。特に、触媒活性が高いパラジウム化合物が好ましい。
貴金属化合物の含有量は、50〜500mg/リットル、特に100〜300mg/リットルであるのが好ましい。また、貴金属化合物を含む水溶液は、貴金属を金属イオンとして含有する溶液でも、0価パラジウム化合物粒子等の金属錯体粒子のコロイドとして含有する溶液でも良い。なお、酸、アンモニア水、カリウム塩、ナトリウム塩等を含有させることで溶解度や分散性を上げることもできる。コロイドの場合は分散安定化のために有機ポリマー等を含有させても良い。特に触媒活性が高く、吸着性が良好な0価パラジウム化合物粒子のコロイド溶液が好ましい。
表面処理層及びパターン状の樹脂層を有する透明基材にめっき触媒化合物溶液を接触させる方法としては、透明基材上に形成された表面処理層及び樹脂層上にめっき触媒化合物溶液を噴霧する方法、表面処理層及び樹脂層が形成された透明基材をめっき触媒化合物溶液中に浸漬する方法などを用いることができる。接触させる際のめっき触媒化合物溶液の温度は、10〜50℃、特に25〜45℃であるのが好ましい。また、接触時間は、0.5〜10分程度行えばよい。
また、上述した通り、透明基材の金属導電層が形成される面とは反対側の面上に表面処理層が形成されていれば、めっき触媒化合物溶液の噴霧、浸漬により透明基材の裏面側にめっき触媒層が形成されるのを防止することができる。
樹脂層にめっき触媒化合物溶液を接触させた後は、表面処理層及び樹脂層が形成された透明基材を水洗するのが好ましい。水洗を行うことにより、表面処理層上に接触しているめっき触媒化合物溶液を除去できる他、貴金属化合物及びスズ塩化合物が加水分解し、マイナスの電荷を有する錯体の形成及び樹脂層への吸着をより促進させることができる。
水洗に用いられる水は、水道水の他、脱イオン処理した水、ハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩等)等によって殺菌された水を使用することができる。水洗に用いられる水の温度は、0〜50℃、特に30〜50℃であるのが好ましい。水洗時間は、5秒〜2分であればよい。
樹脂層に、上述した通り、めっき触媒化合物溶液を接触させた後、好ましくは水洗を行うことにより、パラジウム金属などの貴金属からなるめっき触媒層を形成することができる。めっき触媒層の厚さは、好ましくは10〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。このような厚さを有するめっき触媒層であれば、十分な量のめっき触媒を含み、電気抵抗が低いことから、めっき処理を行うことにより、均一な厚さや線幅を有する電磁波シールド層を短時間で形成することができる。
[金属導電層形成工程]
本発明の方法では、次に、めっき触媒層上に、無電解めっき及び/又は電解めっきすることにより、前記めっき触媒層上にパターン状の金属導電層を形成する工程(C)を実施する。金属導電層形成工程としては、従来既知の無電解めっき及び/又は電解めっき処理方法が適用できる。例えば、初めに無電解めっき処理を行った後に、電解めっき処理をさらに行う方法や、無電解めっきを行わずに、めっき触媒層を導体化後、電解めっき処理を行う方法等が適用できる。
無電解めっき処理には、「無電解めっき液の管理が困難である」、「無電解めっきの廃液処理コストが多大である」、「無電解めっき処理時間が長い」等の生産性向上を図る上で問題がある。従って、本発明においては、無電解めっき処理を行わずに、めっき触媒層を導体化後、電解めっき処理を行う工程を含む製造方法が好ましい。
図2に、本発明の光透過性電磁波シールド材の製造方法の好適態様として、上記のめっき触媒層を導体化後、電解めっき処理を行う工程を含む製造方法を説明する概略断面図を示す。パターン状の樹脂層130を形成する工程(A)、パターン状のめっき触媒層140を設ける工程(B)については、上述の通りである。
この方法においては、次に、めっき触媒層140を導体化することにより、導体化皮膜層145を形成する工程(C1)を実施する。導体化工程(C1)は、めっき触媒層140に、例えば、金属化合物、還元性化合物、及び金属水酸化物を含む導体化液を接触させることにより実施できる。本発明においては、上述の(A)、(B)の工程により、めっき触媒化合物が樹脂層130の表面に均一な厚さで十分に吸着し、めっき触媒層140が十分な厚さで形成されているので、無電解めっき処理を行わずに、めっき触媒化合物を金属化するとともに樹脂層130表面に更に導体化液から金属を析出させて、直接、電解めっきが行える程度の導電性を有する導体化皮膜層145を形成することができる。
次に、電解めっきすることにより、導体化皮膜層145上にパターン状の金属導電層150を形成する工程(C2)を実施する。本発明においては、上記(C1)の工程により導体化皮膜層145が、樹脂層130の表面上に均一に形成されているので、電解めっきにより、めっきムラなく、めっき金属を均一に析出させることが可能となる。
以下に金属導電層形成工程の各工程を説明する。
(無電解めっき工程)
めっき金属は、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。
無電解めっきにおけるめっき金属としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、白金、銅、チタン、コバルト、鉛等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる金属導電層が得られることから、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムが好ましく用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される金属導電層は、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。
無電解めっきは、無電解めっき浴を用いて常法に従って常温または加温下で行うことができる。即ち、めっき金属塩、キレート剤、pH調整剤、還元剤などを基本組成として含むめっき液を建浴したものにめっき基材を浸漬して行うか、構成めっき液を2液以上と分けて添加方式でめっき処理を施すなど適宜選択すれば良い。
無電解めっきとして一例を挙げると、Cuからなる電磁波シールド層を形成する場合、硫酸銅等の水溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に12.5〜13に調整した溶液に、めっき触媒層などを有する透明基材を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採用することができる。
無電解めっきをする際に、めっきされる基板を揺動、回転させたり、その近傍を空気撹拌させたりしてもよい。上述の通り、無電解めっきを行った後に、金属導電層の電気抵抗を低下させるために、電解めっき処理をさらに行うのが好ましい。
(導体化工程)
本発明の方法では、電解めっき処理によりめっき触媒層上に金属導電層を形成することもできる。上述の通り、無電解めっき処理を行わずに、電解めっきを行う場合は、めっき触媒層を導体化することにより、導体化皮膜層を形成する工程(図2(C1))を実施する。
導体化工程は、めっき触媒層に導体化液を接触させることにより実施できる。これにより、めっき触媒化合物を金属化するとともに樹脂層表面に更に導体化液から金属を析出させて、直接、電解めっきが行える程度の導電性を有する導体化皮膜層を形成することができる。
導体化液は、例えば、金属化合物、還元性化合物、及び金属水酸化物を含む水溶液である。金属化合物としては、銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物として具体的には、硫酸銅、塩化銅、炭酸銅、酸化銅、及び水酸化銅が好ましい。なかでも、めっき処理時にめっき触媒層の金属析出性能を向上させることができることから、硫酸銅が特に好ましい。導体化液における銅化合物の含有量は、銅換算で、0.1〜5g/リットル、特に0.8〜1.2g/リットルであるのが好ましい。
還元性化合物としては、塩化第一錫、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、蟻酸あるいはその塩類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール、ブドウ糖、グルコース、ソルビット、セルロース、ショ糖、マンニット、グルコノラクトンなどの還元性糖類などが挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどが挙げられる。導体化液における金属水酸化物の含有量は、10〜80g/リットル、特に30〜50g/リットルであるのが好ましい。
導体化液は、錯化剤をさらに含むのが好ましい。錯化剤としては、ヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、アラントインなどのヒダントイン類;クエン酸、酒石酸、コハク酸及びこれらの塩類などの有機カルボン酸類などを挙げることができる。導体化液における錯化剤の含有量は、2〜50g/リットル、特に10〜40g/リットルであるのが好ましい。
導体化液のpHは、10.0〜14.0、特に11.55〜13.5であるのが好ましい。導体化液の温度は、20〜70℃、特に40〜60℃であるのが好ましい。めっき触媒層と導体化液との接触時間は、30秒〜20分、特に3〜10分であるのが好ましい。
また、導体化液として、パラジウム化合物、アミン化合物及び還元性化合物を含む水溶液を使用することができる。パラジウムは銅より酸化され難く、より導電性の高い導体化皮膜層を形成できるため、パラジウム化合物を含む導体化液が好ましい。
パラジウム化合物としては、例えば、酸化パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウムナトリウム、塩化パラジウムカリウム、塩化パラジウムアンモニウム、硫酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムクロライド等が挙げられる。パラジウム化合物の導体化液中の濃度は0.0001〜0.01mol/Lの範囲が好ましく、更に0.0005〜0.002mol/Lが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン等のモノアミン類、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン類、エチレンジアミン四酢酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ニトリロ三酢酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、グリシン、イミノジ酢酸等が挙げられる。アミン化合物の濃度は、0.0001〜0.1mol/Lが好ましく、更に0.001〜0.02mol/Lが好ましい。これにより、パラジウムの錯体が安定的に形成される。
還元性化合物としては、例えば、次亜リン酸及びその塩、水素化ホウ素及びその塩、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン類等が挙げられる。還元性化合物は、パラジウムイオンに対する還元剤として働き、その濃度は0.01〜1mol/Lが好ましく、更に0.05〜0.5mol/Lが好ましい。
この場合、導体化液のpHはpH8以下が好ましく、更にpH6〜8の範囲が好ましい。処理温度は、20〜80℃の範囲が好ましく、特に40〜80℃が好ましい。処理時間は0.5〜20分が好ましく、更に3〜10分が好ましい。
めっき触媒層と導体化液とを接触させる方法としては、めっき触媒層が形成された透明基材を導体化液に浸漬する方法が好ましく用いられる。この他にも、透明基材上に形成されためっき触媒層上に導体化液を噴霧する方法を用いてもよい。
(電解めっき工程)
本発明においては、上述の通り、無電解めっきを行った後、又はめっき触媒層の導体化の後に、電解めっきすることにより金属導電層を形成し、高い導電性を有するパターン状の金属導電層を設ける工程(図2(C2))を実施することができる。
電解めっきにおけるめっき金属としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、白金、銅、チタン、コバルト、鉛等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる金属導電層が得られることから、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムが好ましく用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される金属導電層は、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。
電解めっきは、電解めっき浴を用いて常法に従って行うことができる。
硫酸銅めっき液としては、例えば、硫酸銅100〜250g/リットル、硫酸20〜120g/リットル、及び塩素イオン20〜70ppmを含有する水溶液に、公知の光沢剤を添加しためっき浴を使用できる。硫酸銅めっきの条件は、通常と同様で良く、例えば、液温25℃、電流密度3A/dm2程度でめっきを行い、所定の膜厚までめっきを行えばよい。
めっき触媒層上に、無電解めっき又は電解めっきにより形成された金属導電層は、樹脂層と同じパターン形状を有する。したがって、金属導電層のパターン形状は、ストライプ状及びメッシュ状(格子状を含む)、特にメッシュ状であるのが好ましい。これらのパターンを有する金属導電層は、パターン形成部分により導電性(電磁波シールド性)を確保でき、開口部によって光の透過を確保できる。
メッシュ状の金属導電層の線幅は、一般に25μm以下、好ましくは5〜20μmで、特に10〜20μmを有する。線のピッチは300μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に70〜85%である。なお、開口率とは、電磁波シールド層の投影面積における開口部分が占める割合をいう。
金属導電層の厚さは、1〜200μm、特に3〜10μmであるのが好ましい。金属導電層の厚さが、薄すぎると十分な電磁波シールド性が得られない恐れがあり、厚すぎると十分な光透過性が得られない恐れがある。
[黒化処理]
本発明の方法では、金属導電層を黒化処理し、金属導電層の表面の少なくとも一部に黒化処理層を形成する工程をさらに実施するのが好ましい。黒化処理により、光透過性電磁波シールド材の金属導電層側に防眩性を付与することが可能となる。
黒化処理は、ニッケル及び亜鉛の合金、又はニッケル及びスズの合金を電気めっきすることにより行われるのが好ましい。これらの合金からなる黒化処理層は、黒色度合い及び導電性に優れる。
ニッケルと亜鉛又はスズとの合金からなる黒化処理層おけるニッケルに対する亜鉛又はスズの質量比(Ni:Zn又はSn)は、0.4〜1.4、特に0.2〜1.2とするのが好ましい。前記合金からなる黒化処理層の厚さは、0.001〜1μm、特に0.01〜0.1μmとするのが好ましい。
また、黒化処理は、金属導電層の金属の酸化処理又は硫化処理によって行うこともできる。特に酸化処理は、より優れた防眩効果を得ることができ、さらに廃液処理の簡易性及び環境安全性の点からも好ましい。
黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
黒化処理層の厚さは、特に制限されないが、0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmとするのがよい。前記厚さが、0.01μm未満であると、光の防眩効果が充分でない恐れがあり、1μmを超えると、斜視した際の見かけ上の開口率が低下する恐れがある。
本発明の方法により形成された光透過性電磁波シールド材は、透明基材の少なくとも一方の面全面上にアニオン性基を有する化合物を含む表面処理層を有し、前記表面処理層上に合成樹脂を含むパターン状の樹脂層、パターン状のめっき触媒層、及びパターン状の金属導電層をこの順で有する。各層の詳細な構成については上述した通りである。
本発明の光透過性電磁波シールド材は、金属導電層が均一な厚さや線幅を有することから、優れた光透過性及び電磁波シールド性を有する。金属導電層の表面抵抗率は、3Ω/□以下、特に1Ω/□以下とすることができる。また、光透過性電磁波シールド材の全光線透過率は、75%以上、特に80〜90%とすることができる。なお、光透過性電磁波シールド材の全光線透過率の測定は、全自動直読ヘイズコンピューター HGM−2DP(スガ試験機株式会社製)等を用いて、光透過性電磁波シールド材の厚み方向の全光線透過率を測定することにより行われる。
光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面、又は、施設や家屋の透明ガラス面や透明パネル面に好適に適用される。光透過性電磁波シールド材は、高い光透過性及び電磁波シールド性を有しているので、前述したディスプレイ装置のディスプレイ用フィルタ、特にプラズマディスプレイ用フィルタに好適に用いられる。
ディスプレイ用フィルタとしては、本発明の光透過性電磁波シールド材をそのまま使用することができるが、例えばガラス板等の透明基板に接着剤層などを介して貼り合わせる等することによっても得ることができる。このようなディスプレイ用フィルタでは、金属導電層の開口部は、接着剤層により埋められる。
また、電子ディスプレイ用フィルタは、透明基板、電磁波シールド層、及び接着剤層の他、さらに反射防止層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層などを有していてもよい。これらの各層の積層の順序は、目的に応じて決定される。また、ディスプレイ用フィルタには、電磁波シールド機能を高めるために、PDP本体のアース電極と接続するための電極を設けてもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
(1)樹脂層の形成
まず、表面処理層(厚さ85nm)を両面全面上に有するPETフィルム(厚さ100μm;製品名A8300 東洋紡績株式会社製)を用意した。表面処理層は、バインダ樹脂として−SO3Na基を有するポリエステル樹脂(−SO3Na基含有量1.0mmol/g、数平均分子量25,000)100質量部、アニオン性界面活性剤(α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、−SO3Na基含有量1.0mmol/g)5質量部、ポリエチレン系エマルジョンワックス剤5質量部を含む。また、表面処理層の表面における−SO3Na基の量は、1.0mmol/cm2であった。
次に、ポリエステル樹脂(カチオン性基含有量1.0mmol/g、数平均分子量20,000;東洋紡績株式会社製 VYLON(登録商標)67CX);43質量%、分散剤(シリカ粒子;AEROSIL(登録商標)200 日本アエロジル株式会社製);5質量%、カーボンブラック;2質量%、シクロヘキサノン50質量%、及びカチオン性界面活性剤として、塩化ベンザルコニウム(日光ケミカルズ社製 CA−101);1質量%を十分に混合して、樹脂層形成用組成物を調製した。樹脂層形成用組成物を、一方の表面処理層上に、メッシュ状にグラビア印刷した後、100℃、5分間乾燥させた。これにより、PETフィルム上にメッシュ状の樹脂層(厚さ0.5μm、線幅15μm、開口部の形状:1辺が140μmの正方形状、開口率77%)を得た。
(2)めっき触媒層の形成
次いで、パラジウム化合物を含む水溶液からなるめっき触媒化合物溶液(40℃)に樹脂層が形成されたPETフィルムを1分間浸漬した後、水洗を行い、めっき触媒層(厚さ30nm)を形成した。
(3)導体化皮膜層の形成
次いで、パラジウム化合物を含む導体化液(50℃)にめっき触媒層が形成されたPETフィルムを10分間浸漬した後、水洗した。これにより、樹脂層上にパラジウム金属からなるメッシュ状の導体化皮膜層(厚さ200nm)を形成した。
(4)金属導電層の形成
導体化皮膜層を有するPETフィルムをカソードとして用い、電解めっき装置(ハルセル用直流電源(10A2型);株式会社山本鍍金試験器製)により、下記の電解めっき液、電解めっき条件で電解めっき処理を行った。また、アノードとしては、白金コートチタン板を使用した。電解めっき処理により、めっき触媒層表面に銅からなる金属導電層(厚さ4μm、開口部の形状:1辺が140μmの正方形状、開口率77%)を有する光透過性電磁波シールド材を得た。
電解めっき液(A)
2O:800ml
CuSO4・5H2O:81.1g
2SO4(96.0wt%):160ml
HCl(36.0wt%):0.1ml
HNO3(70.0wt%):300ml
電解めっき条件
めっき液温度:45℃
印加電圧:3V
カソード電流密度:1A/dm2
処理時間:1分間
(実施例2)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤として、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(日光ケミカルズ社製 CA−2150)を用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。光透過性電磁波シールド材が有する金属導電層は、厚さが0.5μmであり、1辺が140μmの正方形状の開口部を有し、開口率が77%であった。
(比較例1)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤に代えて、アニオン性界面活性剤として、POE(3)トリデシルエーテル酢酸(日光ケミカルズ社製 ETC−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。金属導電層は形成できなかった。
(比較例2)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤に代えて、アニオン性界面活性剤として、ココアンホ酢酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製 AM−101)を10質量%用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。金属導電層は形成できなかった。
(比較例3)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤に代えて、アニオン性界面活性剤として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(日光ケミカルズ社製 AM−301)を用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。金属導電層は形成できなかった。
(比較例4)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤に代えて、アニオン性界面活性剤として、POE(4.2)ラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製 BL−4.2)を用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。金属導電層は形成できなかった。
(比較例5)
実施例1のメッシュ状の樹脂層の形成において、カチオン性界面活性剤に代えて、非極性界面活性剤として、ラウリン酸PEG−10(日光ケミカルズ社製 MYL−10)を用いた以外は、実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。金属導電層は形成できなかった。
(評価方法)
(1)めっき析出性
めっきの析出により樹脂層上に金属導電層が形成されているかを目視にて評価した。良好に析出している場合を「○」、析出しているが均一性が低く、ムラがある場合を「△」、全く又はほとんど析出していない場合を「×」とした。
(結果)
実施例1及び2、比較例1〜5の評価結果を表1に示す。
Figure 2011086785
表1に示したように、カチオン性界面活性剤の添加によって、良好なめっき析出性及び選択めっき性が得られ、高精度の光透過性電磁波シールド材が得られた。界面活性剤であっても、カチオン性基を有する化合物以外のものでは効果が認められなかった。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
110 透明基材、
120 表面処理層、
130 パターン状の樹脂層、
140 パターン状のめっき触媒層、
145 パターン状の導体化皮膜層
150 パターン状の金属導電層。

Claims (13)

  1. アニオン性基を有する化合物を含む表面処理層が一方の表面上に形成された透明基材の当該表面処理層上に、カチオン性基を有する化合物を含む合成樹脂組成物をパターン状に印刷することにより、パターン状の樹脂層を形成する工程、
    前記表面処理層及びパターン状の樹脂層を有する透明基材に、めっき触媒化合物溶液を接触させることにより、前記樹脂層上にめっき触媒層を形成し、パターン状のめっき触媒層を設ける工程、及び
    無電解めっき及び/又は電解めっきすることにより、前記めっき触媒層上に金属導電層を形成し、パターン状の金属導電層を設ける工程、
    を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  2. 前記金属導電層を設ける工程が、前記めっき触媒層を導体化することにより、導体化皮膜層を形成する工程、及び
    電解めっきすることにより、前記導体化皮膜層上に金属導電層を形成し、パターン状の金属導電層を設ける工程である請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  3. 前記カチオン性基が、
    下記式(I):
    Figure 2011086785
    [上式中、R1からR4は同一でも異なっていても良く、水素、直鎖状又は分枝状の炭素原子数1〜30個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基を示し(但し、R1からR4のいずれか1個以上は水素以外の基である)、又はR1からR4の2個の基は炭素数2〜6個の環構造を形成しても良く、R1からR4のいずれか1個以上で他の基に結合していても良く;X-はアニオンを表す。]
    で表されるカチオン性基である請求項1又は2に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  4. 前記カチオン性基を有する化合物が、カチオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はカチオン性界面活性剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  5. 前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項4に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  6. 前記アニオン性基が、−COOM、−SO3M、−OSO3M、及び−PO32(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す)よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  7. 前記めっき触媒化合物溶液が、貴金属化合物を含む水溶液である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  8. 前記貴金属化合物が、パラジウム化合物である請求項7に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  9. 透明基材、前記透明基材の一方の表面上に形成された表面処理層、前記表面処理層上に形成されたパターン状の樹脂層、前記樹脂層上に形成されたパターン状のめっき触媒層、及び前記めっき触媒層上に形成されたパターン状の金属導電層を有し、
    前記表面処理層が、アニオン性基を有する化合物を含み、且つ
    前記樹脂層が、カチオン性基を有する化合物を含むことを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
  10. 前記カチオン性基が、
    下記式(I):
    Figure 2011086785
    [上式中、R1からR4は同一でも異なっていても良く、水素、直鎖状又は分枝状の炭素原子数1〜30個のアルキル基、アルキレン基又はアリール基を示し(但し、R1からR4のいずれか1個以上は水素以外の基である)、又はR1からR4の2個の基は炭素数2〜6個の環構造を形成しても良く、R1からR4のいずれか1個以上で他の基に結合していても良く;X-はアニオンを表す。]
    で表されるカチオン性基である請求項9に記載の光透過性電磁波シールド材。
  11. 前記カチオン性基を有する化合物が、カチオン性基を有するバインダ樹脂、及び/又はカチオン性界面活性剤である請求項9又は10に記載の光透過性電磁波シールド材。
  12. 前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項11に記載の光透過性電磁波シールド材。
  13. 前記アニオン性基が、−COOM、−SO3M、−OSO3M、及び−PO32(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を示す)よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項9〜12のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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KR101401850B1 (ko) * 2013-07-15 2014-05-29 유한회사 아이엘에스 전자파 차단용 조성물

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