JP2011080906A - バランス修正用加工データの演算装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】除去対象部は、回転中心から半径方向外端までの距離が方位によって異なる。仮加工方位および仮加工深さと、このデータで仮に除去加工した場合に除去されるアンバランスを示す仮除去アンバランスデータとを対応付けて、複数組の該加工データと該仮除去アンバランスデータとを記憶する記憶部21と、回転体について測定された測定アンバランスデータに最も近い仮除去アンバランスデータと、当該仮除去アンバランスデータの周辺にある1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータとを、記憶部21内のデータの中から抽出するデータ抽出部23と、抽出した複数の仮除去アンバランスデータに基づいて、測定アンバランスデータが示すアンバランスを除去するための実加工方位と実加工深さを算出する加工データ算出部25と、を備える。
【選択図】図3
Description
前記除去対象部は、回転中心から半径方向外端までの距離が方位によって異なり、
記憶部、データ抽出部、および加工データ算出部を備え、
記憶部は、参照データを記憶し、参照データは、仮加工方位および仮加工深さと、該仮加工方位および仮加工深さに従って除去対象部を仮に除去加工した場合に除去される仮除去アンバランス量および該仮除去アンバランス量の方位とからなる仮除去アンバランスデータとを互いに対応付けたものを1組として、複数組の仮加工方位および仮加工深さと仮除去アンバランスデータからなり、
前記回転体について測定された測定アンバランスデータに最も近い仮除去アンバランスデータと、当該仮除去アンバランスデータの周辺にある1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータとを、参照データから抽出するデータ抽出部と、
抽出した前記複数の仮除去アンバランスデータが対応する複数の仮加工方位および仮加工深さに基づいて、測定アンバランスデータが示すアンバランスを除去するための実加工方位と実加工深さを算出する加工データ算出部と、を備える、ことを特徴とするバランス修正用加工データの演算装置が提供される。
図2と図3に基づいて、回転機械のバランス修正装置10を説明する。図3は、図2のIII−III矢視図である。バランス修正装置10は、支持体3、加速度センサ5、角度センサ7、演算器9、および加工装置11を備える。
本発明の実施形態によるバランス修正用加工データの演算装置20は、回転体13の除去対象部13a(例えば6角ナット)の実加工方位(実切削方位)と実加工深さ(実切削深さ)を算出する装置である。本発明では、除去対象部13aは、回転中心(即ち、前記軸C。以下同様)から半径方向外端までの距離が方位によって異なる。演算装置20は、記憶部21、データ抽出部23、および加工データ算出部25を備える。
演算装置20は、後述する手順で、実加工方位および実加工深さの算出を行うためのプログラムを記憶している。また、演算装置20は、そのプログラムを実行させる機能を有している。
測定アンバランスデータVUBを、次式(1)により複素数で表す。
VUB = MUB(cosφUB+isinφUB) ・・・(1)
ここで、iは、虚数単位であり、MUBは、測定アンバランス量であり、φUBは、該測定アンバランス量の方位(即ち、アンバランスが存在する方位)である。この方位は、回転中心周りの位置を示す0〜360度の角度である。
測定アンバランス量MUBの次元は、回転体13におけるアンバランスの質量を、当該質量の重心と回転中心との距離に乗算したものである。
図4は、記憶部21が記憶する加工データと仮除去アンバランスデータを表すデータテーブル(即ち、参照データ)である。図4のデータテーブルは、n行のデータからなる。加工データ(仮加工方位、仮加工深さ、および半径方向位置R)と仮除去アンバランスデータとは、上述のように互いに対応付けられているが、図4では、同じデータ番号の行の各値同士が対応付けられている。
仮除去アンバランスデータVm,pを、次式(2)により複素数で表す。
Vm,p=Mm,p(cosφm,p+isinφm,p) ・・・(2)
ここで、iは虚数単位である。
データ抽出部23は、次の|Vm,p−VUB|が最も小さいVm,pと、当該Vm,pの周辺にある1つまたは2つ以上のVm,pとを記憶部21内のデータから抽出する。なお、VUBは、上式(1)の測定アンバランスデータである。
|Vm,p−VUB|
=|Mm,p(cosφm,p+isinφm,p)
−MUB(cosφUB+isinφUB)|
=|Mm,pcosφm,p−MUBcosφUB
+i(Mm,psinφm,p−MUBsinφUB)|
={(Mm,pcosφm,p−MUBcosφUB)2
+(Mm,psinφm,p−MUBsinφUB)2}1/2
まず、データ抽出部23は、k個のデータテーブルの中から|Vm,p−VUB|が一番小さくなるデータ番号mとテーブル番号pを特定する。ここでは、m=α、p=βで、|Vm,p−VUB|が一番小さくなるとして、データ抽出部23は、β番目のデータテーブルにおけるデータ番号αの仮除去アンバランスデータVα,βをVUBに一番近いとして抽出する。
次に、データ抽出部23は、βを固定して、αに関してVα,βに隣接するデータを抽出する。即ち、データ抽出部23は、β番目のデータテーブルの中から、データ番号α−1の仮除去アンバランスデータVα−1,βと、データ番号α+1の仮除去アンバランスデータVα+1,βとを抽出する。
同様に、データ抽出部23は、αを固定して、βに関してVα,βに隣接するデータを抽出する。即ち、データ抽出部23は、β−1番目のデータテーブルにおけるデータ番号αのデータVα,β−1と、β+1番目のデータテーブルにおけるデータ番号αのデータVα,β+1とを抽出する。
このように、データ抽出部23は、5つの仮除去アンバランスデータVα,β、Vα−1,β、Vα+1,β、Vα,β−1、Vα,β+1を抽出する。
横軸がアンバランス量Mであり、縦軸が方位φである2次元平面を考える。この2次元平面を図6に示す。図6において、1段階目の処理により抽出された5つの量Vα,β、Vα−1,β、Vα+1,β、Vα,β−1、Vα,β+1とVUBの位置を示す。図6の2次元平面において、以下のように、VUBを囲む4つのVm,pを特定する。
まず、図6のように、1段階目の処理によりVUBに一番近いとして抽出されたVα,βの位置から、1段階目の処理により抽出された他の4つのVα−1,β、Vα+1,β、Vα,β−1、Vα,β+1の位置までそれぞれ延びる4つのベクトルを分割ベクトルD(D1,D2,D3,D4)として定める。
その後、Vα,βの位置を一端として延び、4つの分割ベクトルDをそれぞれ含む4つの半直線HL(HL1,HL2,HL3,HL4)を考える。データ抽出部23は、これら4つの半直線の中から、VUBの位置を含む領域を挟む隣接する2つの半直線を特定する。図6の例では、特定された隣接する2つの半直線HL3,HL4で挟まれる領域を斜線で示している。データ抽出部23は、このような隣接する2つの半直線を特定したら、これら2つの半直線で挟まれる領域内にあって、かつ、Vα,βとαが1つだけ異なりβが1つだけ異なる新たなVm,pを、上述したk個のデータテーブルから抽出する。図6の例では、この新たなVm,pは、Vα+1,β−1である。
次いで、データ抽出部23は、図6の2次元平面上でVUBを囲む4つのVm,pとして、Vα,β、Vα,β−1、Vα+1,β、Vα+1,β−1を特定する。即ち、Vα,βと、上述のように特定した隣接する2つの半直線にそれぞれ含まれる分割ベクトルDが示す2つのデータVm,p(図6の例では、Vα,β−1とVα+1,β)と、上述のように抽出した新たなVm,p(図6の例では、Vα+1,β−1)とを、VUBが示す位置を囲む4つの位置を示すVm,pとして特定する。これらVUBを囲む4つのVm,pが、データ抽出部23により、VUBに最も近いVm,p、および当該Vm,pの周辺にある3つのVm,pであるとして抽出される複数の仮除去アンバランスデータである。
加工データ算出部25は、データ抽出部23が抽出したVUBに最も近いVm,p、および当該Vm,pの周辺にある1つまたは2つ以上のVm,p(図6の例では、Vα,β、Vα,β−1、Vα+1,β、Vα+1,β−1)を、これらに対応する加工データに変換する写像関数を算出する。写像関数は、この例では、図6の2次元平面上の点(Mm,p,φm,p)を、横軸が仮加工深さApであり縦軸が仮加工方位θmである2次元平面上の点(Ap,θm)に移す線形写像である(ただし、本発明によると、写像関数は、線形写像に限定されず、線形写像以外のものであってもよい)。この線形写像を次式(3)、(4)で表す。
Ap=a11Mm,p+a12φm,p+b1 ・・・(3)
θm=a21Mm,p+a22φm,p+b2 ・・・(4)
ここで、a11,a12,a21,a22,b1,b2は定数である。また、式(3)、(4)において、Mm,p、φm,pは、データ抽出部23が上述のように抽出したVUBに最も近い仮除去アンバランスデータVm,p、または、当該仮除去アンバランスデータVm,pの周辺にある1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータVm,pであり、Ap、θmは、これら複数の仮除去アンバランスデータに対応付けられた参照データ内の仮加工深さと仮加工方位である。
加工データ算出部25は、上式(3)、(4)の定数a11,a12,a21,a22,b1,b2を次のように算出する。図6の例では、Vα,β=(Mα,β,φα,β)を上式(3)、(4)に適用すると、(Aβ,θα)に変換され、Vα,β−1=(Mα,β−1,φα,β−1)を上式(3)、(4)に適用すると、(Aβ−1,θα)に変換され、Vα+1,β=(Mα+1,β,φα+1,β)を上式(3)、(4)に適用すると、(Aβ,θα+1)に変換され、Vα+1,β−1=(Mα+1,β−1,φα+1,β−1)を上式(3)、(4)に適用すると、(Aβ−1,θα+1)に変換されるa11,a12,a21,a22,b1,b2を最小二乗法で求める。具体的には,次の値Sが最小となるa11,a12,a21,a22,b1,b2を算出する。
S={Aβ−(a11Mα,β+a12φα,β+b1)}2
+{θα−(a21Mα,β+a22φα,β+b2)}2
+{Aβ−1−(a11Mα,β−1+a12φα,β−1+b1)}2
+{θα−(a21Mα,β−1+a22φα,β−1+b2)}2
+{Aβ−(a11Mα+1,β+a12φα+1,β+b1)}2
+{θα+1−(a21Mα+1,β+a22φα+1,β+b2)}2
+{Aβ−1−(a11Mα+1,β−1+a12φα+1,β−1+b1)}2
+{θα+1−(a21Mα+1,β−1+a22φα+1,β−1+b2)}2
A=a11MUB+a12φUB+b1 ・・・(5)
θ=a21MUB+a22φUB+b2 ・・・(6)
(加工制御)
演算装置20は、算出した上述の式(5)、(6)の実加工深さAおよび実加工方位θを、加工装置11の位置制御部11cに出力する。位置制御部11cは、入力された実加工深さAおよび実加工方位θに基づいて、加工部11aが、該実加工方位θおよび半径方向位置Rに位置決めされた状態で、上述の基準軸方向位置から実加工深さAだけ軸方向に移動するように駆動機構11bを制御する。これにより、実加工方位θにおいて、除去対象部13aが軸方向に実加工深さAだけ除去加工される。
演算装置20が算出して出力した除去対象部13aにおける実加工方位θと、加工部11aの方位とを一致させる制御は、次の第1および第2の手法のいずれかで行ってよい。
第1の手法では、加工部11aの位置が、図2のY軸方向およびZ軸方向において一定である場合に、演算装置20が出力する実加工方位θに基づいて、回転機構14が、除去対象部13aにおける当該実加工方位θを、加工部11aの既知の方位に一致させるように回転体13を上述のように回転させる。その後、回転機構14は、加工部11aによる除去加工中に回転体13が回転しないように、回転体13の回転方向位置を一定に保持することで、実加工方位θと加工部11aの方位とが一致した状態を維持する。
第2の手法では、演算装置20が出力する実加工方位θに基づいて、位置制御部11cが、除去対象部13aにおける当該実加工方位θに、加工部11の方位を一致させるように、加工部11aを移動させる制御を駆動機構11bに対し行う。なお、このような位置決めの制御時から加工部11aによる除去加工が終了するまで、回転機構14は、回転体13の他端部を把持して回転体13が回転しないように回転体13の回転方向位置を一定に維持する。
図7は、除去加工後の除去対象部13aを示す。図7の左側は、図3の部分拡大図であり除去対象部13aを示し、図7の右側は、図7の左側のX−X矢視図である。具体的には、図7は、除去加工で、加工装置11により、除去対象部13aの実加工方位θにおいて、軸方向基準位置S(基準面S)から実加工深さAだけ除去加工した場合を示す。なお、図7において、符号41は、除去加工で除去加工された部分を示す。図7の例では、実加工方位θは、6角ナットの頂点に一致しているが、一致していなくてもよい。
上述した本発明の実施形態によるバランス修正用加工データの演算装置20では、測定アンバランスデータに最も近い仮除去アンバランスデータと、当該仮除去アンバランスデータの周辺にある1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータとを抽出し、抽出したこれら複数の仮除去アンバランスデータが対応する複数の仮加工方位および仮加工深さに基づいて、実加工方位と実加工深さを算出するので、実加工方位と実加工深さを高精度に算出できる。特に、好ましい一例では、図6の2次元平面上において、測定アンバランスデータVUBの位置を囲める、VUBにできるだけ近い4つのVm,pと、これらVm,pに対応する加工データAp,θmとに基づいて、写像関数(例えば、上式(3)、(4)の線形写像)を算出し、この写像関数にVUBを適用することで、実加工方位と実加工深さを算出するので、実加工方位θと実加工深さAを高精度に算出できる。言い換えると、大域的な近似式ではなく、VUB近傍での局所的な近似式(写像関数)を使用することで、実加工方位と実加工深さの算出精度を向上させることができる。
図8を用いて、回転機械が過給機である場合を説明する。図8において、過給機の回転体13は、図8に示すように、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼31と、タービン翼31と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼33と、一端部にタービン翼31が結合され他端部にコンプレッサ翼33が結合される回転軸35と、を有する。また、過給機は、回転体13を回転可能に支持する静止側部材37を有する。図8の例では、静止側部材37は、回転体13(回転軸35)を回転可能に支持する軸受37a,37bが内部に組み込まれる軸受ハウジングである。また、過給機は、タービン翼31を内部に収容するタービンハウジング41と、コンプレッサ翼33を内部に収容するコンプレッサハウジング(図8では取り外されている)と、を備える。タービンハウジング41には、タービン翼31を回転駆動する流体を流す流路(スクロール)が形成されている。タービンハウジング41は、支持体3の内部に取り付けられる。タービン翼31を駆動する流体をタービンハウジング41の前記流路へ供給でき、タービン翼31を駆動した当該流体を支持体3の外部へ排出できるように支持体3が構成されている。
また、除去対象部13aが、回転軸C周りに関して回転対称性を持たない非多角形部や非対称部であっても、除去対象部13aのCADデータさえあれば、360度分の参照データを予め作成することで、本発明を実施できる。
9 演算器、10 バランス修正装置、11 加工装置、
11a 加工部,11b 駆動機構、11c 位置制御部、
13 回転体、13a 除去対象部、
20 バランス修正用加工データの演算装置、
21 記憶部、23 データ抽出部、25 加工データ算出部
Claims (3)
- 回転体の除去対象部を除去加工して回転体のバランスを修正するために、除去加工すべき該除去対象部の実加工方位と実加工深さを算出するバランス修正用加工データの演算装置であって、
前記除去対象部は、回転中心から半径方向外端までの距離が方位によって異なり、
記憶部、データ抽出部、および加工データ算出部を備え、
記憶部は、参照データを記憶し、参照データは、仮加工方位および仮加工深さと、該仮加工方位および仮加工深さに従って除去対象部を仮に除去加工した場合に除去される仮除去アンバランス量および該仮除去アンバランス量の方位とからなる仮除去アンバランスデータとを互いに対応付けたものを1組として、複数組の仮加工方位および仮加工深さと仮除去アンバランスデータからなり、
前記回転体について測定された測定アンバランスデータに最も近い仮除去アンバランスデータと、当該仮除去アンバランスデータの周辺にある1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータとを、参照データから抽出するデータ抽出部と、
抽出した前記複数の仮除去アンバランスデータが対応する複数の仮加工方位および仮加工深さに基づいて、測定アンバランスデータが示すアンバランスを除去するための実加工方位と実加工深さを算出する加工データ算出部と、を備える、ことを特徴とするバランス修正用加工データの演算装置。 - 前記測定アンバランスデータは、アンバランスの大きさを示す測定アンバランス量と、該測定アンバランス量の方位とを含み、
前記データ抽出部は、測定アンバランス量に最も近い仮除去アンバランス量と、測定アンバランス量の方位に最も近い仮除去アンバランス量の方位とを有する仮除去アンバランスデータを測定アンバランスデータに最も近い仮除去アンバランスデータとして参照データから抽出し、当該仮除去アンバランスデータと仮除去アンバランス量および方位が近い1つまたは2つ以上の仮除去アンバランスデータを前記周辺にあるとして参照データから抽出する、ことを特徴とする請求項1に記載のバランス修正用加工データの演算装置。 - 前記加工データ算出部は、抽出した前記複数の仮除去アンバランスデータを、これら仮除去アンバランスデータにそれぞれ対応する仮加工方位および仮加工深さに変換する写像関数を生成し、前記測定アンバランスデータを該写像関数に適用することで実加工方位と実加工深さを算出する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のバランス修正用加工データの演算装置。
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JP2009019948A (ja) * | 2007-07-11 | 2009-01-29 | Ihi Corp | 回転体の回転バランス修正装置及び方法 |
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