JP2011079008A - レールの矯正方法及び矯正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】断面内の強度に分布があっても、形状の矯正とともに残留応力を低減し、耐摩耗性と耐破壊性及び真直性に優れたレールを製造するための、レールの矯正方法および矯正装置を提供する。
【解決手段】レールを冷却した後、レールの長手方向に引張り力を付与し、全断面の70%以上が降伏した状態で、頭部を外側または内側とした長手方向に対して上下に垂直な方向の変位を与える曲げモーメントを付与するレールの矯正方法が提供される。これにより、形状の曲がりや反りが小さく、残留応力の非常に低い、耐摩耗性と耐破壊性に優れたレールが製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、残留応力が小さく、耐摩耗性、耐破壊性、真直性に優れたレールを製造するための、レールの矯正方法および矯正装置に関するものである。
一般に、レールは共析鋼に近い炭素を含有した耐摩耗性の高い鋼(炭素量:0.6〜0.7%)を用い、熱間圧延により製品形状にした後、放冷し、最後にローラー矯正により曲がりを低減して製造されている。
近年、鉄道車輌の高速化、高荷重化に伴い、レールに対する耐摩耗性の向上が要求されている。そのため、例えば、特許文献1に示すように共析炭素含有鋼(炭素量:0.7〜0.8%)を熱間圧延により製品形状にした直後、レール頭部を、オーステナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/secで加速冷却する熱処理により組織制御を行い、最後にローラー矯正により曲がりを低減して製造されている。
このように耐摩耗性が高まる一方、列車を支えるレールの安全性がますます重要となってきており、レールの耐用寿命の延命化として、上記の耐摩耗性と同様に耐破壊性の向上が強く要望されている。さらに、レールは真直性も重要な要素であり、現状ではローラー矯正することによりその真直性を確保している。
レールの耐破壊性を向上させるためには、レール材質の強化と合わせて、内部の残留応力の低減が効果的であることが分かっている。しかし、ローラー矯正によって耐破断性を阻害する長手方向残留応力分布が大きくなる場合がある。そこで、例えば、特許文献2には、ローラーのレール接触面圧が1200MPa以下となるように繰り返し曲げ塑性変形を付与しながら軽圧下でローラー矯正することにより残留応力を軽減する方法が提案されている。また、特許文献3には、圧延後の矯正工程で、レールの長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、10%以下の延伸率で圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中のレールに曲げモーメントを負荷する矯正方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載の矯正方法では、残留応力を完全に無害化するほどには低減できないことに加え、圧下量が少ないために矯正後に曲がりが残存しやすく生産性を低下させるという問題がある。また、特許文献3に記載の矯正方法では、圧延により断面全体を塑性変形させるとしているが、圧延では断面内の歪みを均一にすることは困難であり、残留応力を大きく低減することは困難である。
特公昭63−23244号公報 特開平7−185660号公報 特開2003−80316号公報 US4755238
これらの問題に対して、特許文献4にローラー矯正でない矯正方法として引張矯正法が開示されている。この技術は繰り返し曲げのような不均一な塑性変形が付与されるわけではないので、断面内の歪み分布や残留応力を低減する方法として有望であると考えられる。そこで、本願発明者らはこの技術に着目して、熱処理レールや非熱処理レールの残留応力低減と形状の改善方法をシミュレーションや実験により検討した。
図10にレールの応力−歪み曲線の一例として熱処理レールの各部位(図10中のA〜D)の応力(σ)−歪み(ε)曲線を示す。熱間圧延により製品形状にした後、頭部の耐摩耗性を高めるために、例えば、特許文献1のように頭部に対し熱処理を行い、冷却して製造された未矯正レールは、頭部から一定範囲の硬さが非常に高く、図10のように頭部の降伏応力および引張り強度も高くなっている。また、熱処理が施されていないレールについても、断面形状の上下非対称性や、肉厚の差などによって、レールの頭部と足部との間で降伏強度および引張強度の差が生じている。また、この状態ではレール内部に大きな残留応力が発生しており、曲がりも生じている。
このようなレールに対し、この残留応力を低減させるために、特許文献4のような引張り矯正法を適用し、レールの両端から引張り力を加えて全断面を降伏させた後、引張り力を除荷すると、頭部の強度が高い熱処理レールでは、弾性回復量の差に起因して図11のように頭部を内にした大きな曲がりが発生することが明らかとなった。また、熱処理を施さなかったレールについても、必ずしも頭部を内側ではないが、大きな曲がりが発生することがあった。
そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、断面内の強度に分布があっても、形状の矯正とともに残留応力を低減し、耐摩耗性、耐破壊性及び真直性に優れたレールの製造方法および装置を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明者らは以下の知見を見出した。図9(a)〜(c)はレールの代表部位の応力−歪み曲線を示す。これらの図でx切片の差分はレールの曲がり発生の要因となる歪み差を示す。
図9(a)のように応力−歪み曲線が断面内でほぼ均一な場合、全断面が降伏状態となる一定の引張り歪みε0を与えると、矯正前に残留応力の分布や曲がりが生じていても断面内の各部にはほぼ一定の長手方向応力が作用するため、この状態から除荷をすると各部の残留歪みはほぼ一定となり曲がりはほとんど生じない。しかし、熱処理レールでは、断面内の応力−歪み曲線が不均一であり、引張り歪みε0を与えたときに図9(b)のように強度の高い部位と強度の低い部位との間で大きな応力差が発生し、除荷後に大きな曲がりが生じる。そこで、図9(c)に示すように塑性変形をさせた状態で、断面内の強度に分布に応じて曲げを付加することにより除荷後にも曲がりが発生せず、高精度かつ高効率に形状の矯正と残留応力の低減を行えるとの知見を得た。
そこで、本発明は上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)熱間圧延、冷却および矯正を施すことにより製品とするレールを製造する場合のレールの矯正方法において、レールを冷却した後、レールの長手方向に引張り力を付与し、全断面の70%以上が降伏した状態で、レールの頭部が外側または内側となる曲げモーメントを付与することを特徴とするレールの矯正方法。
(2)単独または複数の支点によりレールの高さ方向に変位を与えて曲げモーメントを付与することを特徴とする前記(1)に記載のレールの矯正方法。
(3)前記支点を可動式とすることを特徴とする前記(2)に記載のレールの矯正方法。
(4)レールの長手方向にわたり一定曲率となるレールの高さ方向の変位を与えて曲げモーメントを付与することを特徴とする前記(1)に記載のレールの矯正方法。
(5)レールの長手方向の両端部近傍において頭側または足側から支点で支持することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(6)さらに、レール断面内において高さ方向に垂直な方向に対して曲げモーメントを付与することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(7)レールのクランプ部をレールの高さ方向の平面内において回転自在とすることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(8)引張り力と曲げ力を同時に除荷することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(9)予め引張り試験により得られたレールの断面内強度データに基づき、付与する曲げモーメントを設定することを特徴する前記(1)〜(8)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(10)一旦引張り歪みのみ付加して除荷後にクランプ部に生じるモーメントに基づき押し込み量を決定し、再度、同一の引張歪みを付与した状態で、決定した押し込み量により曲げモーメントを付与することを特徴する前記(1)〜(8)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(11)引張り歪みを0.2%〜3%とすることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載のレールの矯正方法。
(12)熱間圧延及び冷却を施したレールに矯正を施すレールの矯正装置において、レールの長手方向に全断面の70%以上が降伏をする引張り力を付与する張力付与装置と、
引張り力を保持した状態でレールの頭部が外側または内側となる曲げモーメントを付与するモーメント付与装置を有することを特徴とするレールの矯正装置。
(13)レールの高さ方向に変位を与えて曲げモーメントを付与する、単独または複数の支点を有することを特徴とする前記(12)に記載のレールの矯正装置。
(14)前記支点が可動式であることを特徴とする前記(13)に記載のレールの矯正装置。
(15)レールの長手方向にわたり一定曲率となるレールの高さ方向の変位を与え曲げモーメントを付与する機能を有することを特徴とする前記(12)に記載のレールの矯正装置。
(16)レールの長手方向の両端部近傍において頭側または足側から支点で支持する構造であることを特徴とする前記(12)〜(15)のいずれかに記載のレールの矯正装置。
(17)レール断面内において高さ方向に垂直な方向に対して曲げモーメントを付与する機能を有することを特徴とする前記(12)〜(16)のいずれかに記載のレールの矯正装置。
(18)前記モーメント付与装置が曲げモーメントを付与する際、レールのクランプ部をレールの高さ方向の平面内において回転自在とすることを特徴とする前記(12)〜(17)のいずれかに記載のレールの矯正装置。
本発明によれば、レールを製品形状に熱間圧延して冷却した後、レールの長手方向に引張り力を付与し全断面の70%以上が降伏をした状態で、頭部を外側または内側にする曲げモーメントを付与することによって、形状の曲がりや反りが小さく、残留応力の非常に低い、耐摩耗性と耐破壊性に優れたレールが製造できる。
本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 引張り矯正方法の説明図である。 本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 本発明によるクランプ部の構造の説明図である。 本発明によるレールの矯正方法の説明図である。 本発明によるレールの曲がり抑制方法の説明図である。 レールの応力−歪み曲線の一例の説明図である。 レールの引張り矯正後の曲がり発生状況の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明におけるレールの矯正方法について実施形態の一例の説明図である。ここでは、頭部を熱処理したレールのように、頭部の強度が足側に比べて高い場合を例にして説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる矯正装置1の側面図であり、矯正装置1は、クランプ5を介してレール2に引張り力を付加する張力付与装置としてのシリンダー動力部6、長手方向に対して垂直方向から曲げモーメントを付加するモーメント付与装置としての押込み機構8で構成されている。ここで、レール2の両端部2aは断面形状をわかりやすくするため、便宜上斜めに表示している(以下の図も同様)。
熱間圧延後冷却したレール2に対し、矯正装置1において、図1に示すようにその両端部2aをクランプ5により拘束する。この状態で、シリンダー動力部6によって、クランプ5を介してレール2の長手方向に引張り力を加え、全断面のうち70%以上の領域を塑性変形させる。このとき、レール2の断面内には応力−歪み曲線および矯正前の残留応力の分布に応じて長手方向応力の分布が生じており、この状態からすぐに引張り力を除荷すると、先に述べたように頭部3を内にした大きな曲がりが発生する。そのために引張り力を作用させた状態で、足部4の表面からローラー7を有する押し込み機構8でローラー7を支点としてレールの高さ方向に変位を与え、頭部3を外側にする曲げモーメントを付加する。この押し込み機構8をレール2に沿って長手方向に移動させることにより、全長にわたり適正な曲げモーメントを付与することができる。この後、曲げモーメントと引張り力を解放することによって、残留応力と曲がりが解消される。
ちなみに、この曲げモーメントの付加に関しては、引張り力により全断面のうち70%以上が降伏した状態で曲げモ-メントを付与するので、小さい曲げ荷重で大きな曲げを付与することができる。
ここで、レールの長手方向に引張り力を加えて全断面のうち70%以上の領域を塑性変形させるとしたが、全断面の70%以上の領域を塑性変形させれば、残留応力の低減には十分な効果がある。この場合、強度が低い領域が優先的に降伏するため、断面内の強度差による弾性回復量の差が小さくなる方向に向かうので、引張り状態で付与するレールの高さ方向の変位を少なくできる効果がある。また、全断面を塑性変形させた場合は、全体に塑性域が広がるので残留応力のほとんどが解消され、さらに大きい効果を得ることができる。したがって、好ましくは全断面を塑性変形させることが望ましい。
図2は、レールをクランプして引張り矯正する方法の説明図である。クランプ5では、例えば図2のように製品のレール2の形状に合わせた2つのブロック9や、4つのブロックで上下方向、左右方向から挟持する。
図2のようなクランプの場合、両端をしっかりつかむので長手方向の途中に支点を設けないで曲げモーメントを付与することが可能である。このような曲げモーメントの付与でも残留応力と曲がりは解消できる。
図3に、図1とは別の本発明によるレールの矯正方法の実施形態を示す。図3のように押し込み機構8をレール2の長手方向に複数配置し、それぞれの押し込み機構8によるレールの高さ方向の変位を制御することにより自由度の高い曲げモーメントの付与が可能となる。その場合、レール2の長手方向に対する押し込み機構8の位置を固定して変位を与えてもよいし、押し込み機構8をレール2の長手方向に移動してもよい。また、複数配置した押し込み機構8の間隔を一定に保ちながら移動してもよいし、間隔を変化させてもよい。さらには、固定式のものと移動式のものを組み合わせたり、2つの押し込み機構8をそれぞれレールの両端から中央に向けて対称に移動させたりするなど、制御目的に応じて選択すればよく、押し込み機構8の数や移動方法については限定されるものではない。
図4に、図1および3とは別の本発明によるレールの矯正方法の実施形態を示す。長尺のレールを矯正する場合には、図4のようにレール2に沿って一体で移動するフレーム10内に複数のローラー7a〜7dを配置し、曲げモーメントを加えながらレール2の長手方向に移動する方法もある。この場合、レール2の端部の拘束条件や長手方向の移動に応じて、少なくとも3個のローラーを使用して頭部を外側にする曲げモーメントを加えることにより、押し込み機構8の押し込み量を大きくすることなく、全長にわたり効果的に曲げモーメントを付加できる。なお、フレーム10に配置するローラーの数は3個以上であれば限定されるものでない。
図5に、図1、3および4とは別の本発明によるレールの矯正方法の実施形態を示す。図5に示す本発明の実施形態では、押し込み機構11によりレール2の全長にわたって同時に一定の曲率でレールの高さ方向に曲げを加えることにより、容易に矯正後の形状の真直性を高めることができる。この場合、押し込み部はローラーである必要はなく、一定の曲率を付与できる構造であればこれに限定されない。さらには、引張り力と曲げ力を同時に除荷することで少ない曲げ量で曲がりを抑制できる。
一般的には、矯正後の曲がりを測定し、その結果により押し込み量の再調整を行うが、より効率的に精度良い矯正を行うために、予め熱処理後のレールの材料試験により得られた強度分布データに基づき曲げモーメントの設定を決定すればよい。すなわち、断面内の各部位から試験片を採取し、それぞれの応力−歪み曲線を測定して、目標の引張り歪みを付加した場合の応力分布を得る。この応力分布から引張り力を除荷した後の残留歪み分布を求め、この分布から発生する曲がりの曲率を予測する。そしてこの曲率を打ち消すように曲げモーメントを設定すればよい。
また、矯正装置1により一度レールの長手方向に引張り力のみを付加した後引張り力を除荷し、そのときにクランプ5に発生する曲げモーメントを検出し、この曲げモーメントに基づき押し込み機構8の変位量を決定する。そして、再度同一の引張り歪みを付加した状態で、決定した変位量を押し込み機構8により付与することもできる。
図6に、図1、3、4および5とは別の本発明によるレールの矯正方法の実施形態を示し、図7にさらに別の実施形態のクランプ部の詳細図を示す。図7のように曲げモーメントを作用させる際にレール2の端部2aにモーメントが発生しないように、クランプ部をレールの高さ方向の平面内において回転自在としてもよい。これは特に図4や図5に示された形態の装置と組み合わせると、中央や端部近傍で曲げモーメントが課題となることが回避できる点で好ましい。また、図6のようにレール2の長手方向両端部2aの近傍を頭側から支点12により支持することで、引張り機構のクランプ5やシリンダー動力部6にレールの高さ方向の力が作用しないようにでき、引張り機構の構造を簡素化できる。
図8にレールの高さ方向の曲げモーメント付与に加え、高さ方向と直行する方向(以下、左右方向とも言う)にも曲げモーメントを付与する矯正装置を有する本発明の実施形態を示す。この実施形態では、上下ローラー7とは別に左右にローラー13を配置し、これによりレール2の左右方向からも曲げモーメントを加えられるようになっている。
左右の曲がりはレールが左右対称であるので引張歪みを付与することによってほぼ解消する。しかし、このように左右方向に曲げモーメントを付与することによって、さらに左右の真直度が向上する。なお、このような左右曲げの矯正は頭部を外側または内側に曲げる(以下、上下曲げとも言う)矯正を行うことを前提とするものである。
以上は、頭側の強度が足側に比べて高いレールを矯正する場合について説明したが、足側の強度が高い場合には引張り力を除荷すると頭を外側にする曲がりが生じるため、前述とは逆方向の曲げモーメントを加えればよい。また、熱処理レールに限定されるものではなく、断面内で強度に分布があるレールであれば広く適用することができる。
ここで、レールの長手方向に付与する引張歪みは全断面の70%以上が降伏する歪みとする。材質によっても異なるが、長手方向の全体の平均で概ね0.2〜0.35%以上の引張り歪みを付与すると、全断面の70%以上が降伏することになる。ただし、歪みが3%を超えると断面形状の変化が大きくなる上、長手方向の強度や寸法のわずかなばらつきでも形状が乱れやすくなるために好ましくない。
以上述べた矯正は、冷却後、切断せずそのままの長さで行っても、長さを切断した後に行ってもよく、生産スペースや要求する生産性、歩留などを勘案して決定すればよい。また、引張り矯正時のレールの姿勢、矯正装置の詳細な構造はこれに限定されるものではなく、同様の機能を有する引張り矯正方法および装置であればよい。説明では省略したが、長手方向に垂直な方向に変位を与えるローラーには、レール形状に適合したカリバー(溝)を付与してももちろんよい。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
熱間圧延で製品形状にした後、熱処理により製造した共析鋼レールを対象として、図1に示す装置を用いて、冷却後に本発明の矯正を実施した。製品の長さは25mであり、レールの頭頂部と足部とで225MPa程度の引張強度差があるものであった。このレールの両端をブロック9によりクランプし、レールの長手方向に1.0%の引張り歪みを加え、断面全体を塑性変形させた。続いてその状態のまま、レールの頭部が外側となる曲げモーメントを加えるため、移動ローラーによって足側から長手方向に対して垂直な方向の変位を与えた。このとき、ローラーは、レール両端での押し込み量を0とし、長手方向の中央部で押し込み量が最大の780mmになるように、レールの長手方向の端からレールに沿って移動した。そして最後に引張り力を除荷した。
この結果、レールの長手方向の曲がりの曲率は1.9×10-7/mmと非常に小さくなり、真直性に優れたレールが製造できた。また、熱処理後に発生していた残留応力も大きく低減し、残留応力は全断面にわたり50MPa以下となった。
また、全断面のほぼ70%が降伏状態となる引張り歪み0.35%を付与した場合には、残留応力の最大値は90MPaに増大したが、最大の押し込み量は380mm程度と減少した。
なお、引張り力のみを付加して矯正した場合には、除荷後に頭部を内側にする曲率3.1×10-6/mmの曲がりが発生した。また、従来の一般的なローラー矯正で同程度の曲率まで曲がりを低減した場合、最大200MPa程度の残留応力が生じた。
次に、150mの長さのレールの矯正を図4に示した本発明の実施形態で行った場合について説明する。このレールは共析鋼の成分であり、熱間圧延で製品形状にした後、頭部を熱処理により硬化させており、レールの頭頂部と足部とで200MPa程度の引張強度差があるものであった。このレールの両端をブロック5によりクランプし、レールの長手方向に0.5%の引張り歪みを加え、断面全体を塑性変形させた。続いてその状態のまま、上下それぞれ2個のローラーを組み込んだフレーム10を、レールの一方の端から反対の端まで、固定されたガイド上をレールに沿って移動させた。その際、4つのローラーを押し込み機構により上下させてレールの頭部が外側となる曲げを加えた。
この結果、レールの長手方向の曲がりの曲率は2.0×10-7/mmと非常に小さくなり、これにより両端部を除き長手方向全長にわたり残留応力が全断面で50MPa以下となり、真直性に優れたレールが製造できた。
さらに、熱間圧延で製品形状にした後、放冷した製造した亜共析鋼レールを対象として、図5に示す装置を用いて、本発明の矯正を実施した。製品長さは25mであり、レールの頭頂部と足部とで50MPa程度の引張強度差があるものであった。このレールの両端をブロックによりクランプし、レールの長手方向に1.0%の引張り歪みを加え、断面全体を塑性変形させた。続いてその状態のまま、レールの頭部が外側となる曲げモーメントを加えるため、全体を押し込み機構11によって足側から長手方向に対して垂直な方向の変位を与えた。付与した変位は全体的に円弧であり、最大で80mm程度であった。
この結果、レールの長手方向の曲がりの曲率は1.5×10-7/mmと小さくなり、これにより両端部を除き長手方向全長にわたり残留応力全断面にわたり20MPa以下となり、真直性に優れたレールが製造できた。
本発明は、残留応力が小さく、耐摩耗性、耐破壊性、真直性に優れたレールを製造するための、レールの矯正方法および矯正装置に適用される。
1・・・矯正装置
2・・・レール
2a・・・レールの長手方向端部
3・・・レールの頭部
4・・・レールの足部
5・・・クランプ
6・・・シリンダー動力部
7・・・ローラー
8・・・押し込み機構
9・・・ブロック
10・・・フレーム
11・・・押し込み機構
12・・・支点
13・・・左右曲げローラー

Claims (18)

  1. 熱間圧延、冷却および矯正を施すことによりレールを製造する場合のレールの矯正方法において、レールを冷却した後、レールの長手方向に引張り力を付与し、全断面の70%以上が降伏した状態で、レールの頭部が外側または内側となる曲げモーメントを付与することを特徴とするレールの矯正方法。
  2. 単独または複数の支点によりレールの高さ方向に変位を与えて曲げモーメントを付与することを特徴とする請求項1に記載のレールの矯正方法。
  3. 前記支点を可動式とすることを特徴とする請求項2に記載のレールの矯正方法。
  4. レールの長手方向にわたり一定曲率となるレールの高さ方向の変位を与えて曲げモーメントを付与することを特徴とする請求項1に記載のレールの矯正方法。
  5. レールの長手方向の両端部近傍において頭側または足側から支点で支持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  6. さらに、レール断面内において高さ方向に垂直な方向に対して曲げモーメントを付与することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  7. レールのクランプ部をレールの高さ方向の平面内において回転自在とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  8. 引張り力と曲げ力を同時に除荷することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  9. 予め引張り試験により得られたレールの断面内強度データに基づき、付与する曲げモーメントを設定することを特徴する請求項1〜8のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  10. 一旦引張り歪みのみ付加して除荷後にクランプ部に生じるモーメントに基づき押し込み量を決定し、再度、同一の引張歪みを付与した状態で、決定した押し込み量により曲げモーメントを付与することを特徴する請求項1〜8のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  11. 引張り歪みを0.2%〜3%とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のレールの矯正方法。
  12. 熱間圧延及び冷却を施したレールに矯正を施すレールの矯正装置において、レールの長手方向に全断面の70%以上が降伏をする引張り力を付与する張力付与装置と、
    引張り力を保持した状態でレールの頭部が外側または内側となる曲げモーメントを付与するモーメント付与装置を有することを特徴とするレールの矯正装置。
  13. レールの高さ方向に変位を与えて曲げモーメントを付与する、単独または複数の支点を有することを特徴とする請求項12に記載のレールの矯正装置。
  14. 前記支点が可動式であることを特徴とする請求項13に記載のレールの矯正装置。
  15. レールの長手方向にわたり一定曲率となるレールの高さ方向の変位を与え曲げモーメントを付与する機能を有することを特徴とする請求項12に記載のレールの矯正装置。
  16. レールの長手方向の両端部近傍において頭側または足側から支点で支持する構造であることを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載のレールの矯正装置。
  17. レール断面内において高さ方向に垂直な方向に対して曲げモーメントを付与する機能を有することを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載のレールの矯正装置。
  18. 前記モーメント付与装置が曲げモーメントを付与する際、レールのクランプ部をレールの高さ方向の平面内において回転自在とすることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載のレールの矯正装置。
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