JP2011076860A - Ptfe絶縁電線・ケーブル及びその製造方法 - Google Patents

Ptfe絶縁電線・ケーブル及びその製造方法 Download PDF

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佳和 安川
Ryo Sakakibara
亮 榊原
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隆和 関
Yasuhiro Hase
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Abstract

【課題】高気孔率の優位性を保持したまま、加圧等による凹みや外傷を防止することができるPTFE絶縁電線・ケーブル、及びその製造方法を得ること。
【解決手段】PTFE樹脂粉末と造孔剤とを混合したPTFE混合体を円筒形に圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する工程、該プレ多孔部分の外周側にPTFE樹脂粉末を配置し、圧縮成形することでプレ充実部分を作成する工程、及び、を経て、上記プレ多孔部分の外周に上記プレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成する絶縁電線の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFEと記す)を絶縁体とした絶縁電線・ケーブル、及びその製造方法に関する。
PTFE多孔体は、耐熱性、耐薬品性に優れ、且つ比誘電率、エネルギー損失角などの電気特性に優れるため、電線被覆材、同軸ケーブルの誘電体、フィルタ、ガスケット、断熱材、分離膜、人工血管、カテーテル、培養器など多くの用途に使用されている。このようなPTFE多孔体の製造方法としては、PTFE粉末と結着剤との混合物を微粉砕した後、公知の方法にて成形し、この成形体を焼成する製造方法が広く知られている。また、PTFE多孔体の他の製造方法として、PTFE粉末と造孔剤との混合物をペースト押出により所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって気孔を設ける製造方法が広く知られている。
例えば、特許文献1には、造孔剤として作用する液状潤滑剤を含むPTFEを成形した後、延伸した状態で加熱することで多孔体を製造する方法が開示されている。また、従来技術として、PTFEと造孔剤として作用する液状潤滑剤を混和して成形した後、この液状潤滑剤を除去することで多孔体を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、PTFE粉末に造孔剤として作用する発泡剤及び液状潤滑剤を加えた混和物を所定形状に成形し、この混和物を加熱して発泡させることで無数の微細気孔を形成した後、延伸をすることで多孔体を製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、PTFE粉末と、造孔剤として作用する細孔形成剤、膨張剤、及び、潤滑油とを混合して冷間押出し、上記潤滑油の蒸発と、上記細孔形成剤及び上記膨張剤の昇華または分解と、PTFEの焼結とを順次行う製造方法が開示されている。また、特許文献4,5には、造孔剤を含有したPTFEを加熱焼成し、その際に造孔剤の作用によってPTFEを多孔化させることが開示されている。また、特許文献6には、造孔剤として作用する発泡剤を含むPTFEを押出成形した後、この発泡剤を除去することで多孔体を製造する方法が開示されている。
また、当該出願人より本願発明に関連する発明として特許文献7〜9が出願されている。
特公昭42−13560号公報:住友電気工業 特公昭57−30059号公報:日東工業 特開昭60−93709号公報:アビア・カーブル 特開平11−124458号公報:日本バルカー 特開2001−67944公報:日本バルカー 特表2004−500261公報:スリーエム 特開2005−336459公報:クラベ 特開2007−153967公報:クラベ 国際公開WO2008/035682公報:クラベ
上記した特許文献1〜6で開示されている造孔剤や、造孔剤として作用する液状潤滑剤、発泡剤、細孔形成剤、膨張剤、及び、潤滑油は、低粘度の液体若しくは粉体のものである。また、従来から広く一般的に使用されている造孔剤はナフサであり、これも低粘度の液体である。これらのような造孔剤を使用すると、以下のような問題が発生する。まず、造孔剤が低粘度の液体のみからなる場合には、低粘度の液体がPTFE粉末に所定量しか保持されず、過剰分は滲み出てしまうため、25%を越えるような気孔率の多孔体を製造することは困難である。しかも、このような多孔体を完全焼成したような場合には、気孔が潰れて気孔がほとんど残らないという問題がある。次に、造孔剤が特許文献1〜6に記載されたような粉体の場合には、粉体粒子が継粉状になり易いことにより、気孔が粗大になってしまうため、肌理の細かい多孔体を製造することができない。このような粗大な気孔が存在していると、多孔体に曲げなどの外力が加わった際に、気孔部分で応力集中が発生し割れや切れが発生するというように、機械的強度が低下してしまう。また、粉体の造孔剤を多量に混合させた場合には、押出成形をする際、管壁抵抗が大きくなることから押出機内部の圧力が高くなるため、押出成形性が非常に悪くなる。そのため、長尺の成形体とすることが非常に困難である。また、特許文献1〜6には発泡剤や膨張剤といった類のガス発生物質を使用することが記載されているが、このような場合、発生したガスはその場に止まることなく抜けていってしまうことになるため、実質的には気孔の形成に寄与することにならない。また、発泡剤や膨張剤の場合、残渣が残るものが多く、このような場合には、残渣が電気特性に悪影響を与えることになってしまう。次に、造孔剤が低粘度の液体と粉体を混合したものである場合には、上記の造孔剤が粉体の場合や、造孔剤が低粘度の液体である場合と同様の問題が生じる。即ち、粉体粒子の抜けた部分が気孔になるので気孔が粗大になってしまうとともに、液体の粘度が低いために粉体粒子を分散した状態で保持することができず粉体粒子が継粉状になり易いことにより、更に気孔が粗大になってしまうため、肌理の細かい多孔体を製造することができない。また、低粘度の液体の造孔剤を多量に混合すると、過剰分が滲み出てしまう。また、粉体の造孔剤を多量に混合すると、押出成形をする際、管壁抵抗が大きくなることから押出機内部の圧力が高くなるため、押出成形性が悪くなる。そのため、長尺の成形体とすることが非常に困難である。
このような課題を解決するために、当該出願人は種々研究を重ねて特許文献7〜9に記載されるPTFE多孔体を開発するに至った。そして、このPTFE多孔体を高発泡率のものとして、絶縁電線の絶縁体に適用して、軽量な絶縁電線を得ることができ、また、同軸ケーブルの誘電体に適用して、実行比誘電率が低く、信号の遅延時間が小さい同軸ケーブルを得ることができた。しかし、このPTFE多孔体は、高気孔率にすることができるが故、柔軟なものとなり、加圧等による凹みや外傷を受けやすいものであった。そのため、絶縁電線とした場合には、加圧等を受け難い用途などに適用範囲が制約されてしまう場合があった。また、この絶縁電線の外周に金属線編組による外部導体を形成し同軸ケーブルとして使用する際には、金属線がPTFE多孔体からなる絶縁体に食い込んでしまわないように編組する条件を厳密に制御する必要があった。
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、高気孔率の優位性を保持したまま、加圧等による凹みや外傷を防止することができるPTFE絶縁電線・ケーブル、及びその製造方法を得ることにある。
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による絶縁電線の製造方法は、PTFE樹脂粉末と造孔剤とを混合したPTFE混合体を円筒形に圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する工程、該プレ多孔部分の外周側にPTFE樹脂粉末を配置し、圧縮成形することでプレ充実部分を作成する工程、及び、を経て、上記プレ多孔部分の外周に上記プレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成するものである。
また、請求項2記載の絶縁電線の製造方法は、PTFE樹脂粉末を円筒形に圧縮成形することでプレ充実部分を作成する工程、該プレ充実部分の内周側にPTFE樹脂粉末と造孔剤とを混合したPTFE混合体を配置し、圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する工程、を経て、上記プレ多孔部分の外周に上記プレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成するものである。
また、請求項3記載の絶縁電線の製造方法は、内側にPTFE樹脂粉末と造孔剤とを混合したPTFE混合体、外側にPTFE樹脂粉末を配置する工程と、これらを一括して円筒形に圧縮成形することで内側にプレ多孔部分、外側にプレ充実部分を形成してプレ成形体とする工程と、を経た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成するものである。
また、請求項4記載の絶縁電線の製造方法は、上記プレ充実部分を構成するPTFE樹脂粉末の平均二次粒径が、100μm以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の絶縁電線の製造方法は、上記プレ充実部分を構成するPTFE樹脂粉末が、二次粒径30μm以下の粉体を主体とすることを特徴とするものである。
また、請求項6記載の絶縁電線は、中心導体の周上に、PTFE樹脂からなる絶縁体が形成されてなる絶縁電線であって、上記絶縁体は、多孔構造のPTFE樹脂からなる多孔部分で構成された内層と、充実構造のPTFE樹脂からなる充実部分で構成された外層とからなり、上記充実部分の樹脂部と上記多孔部分の樹脂部とが連続していることを特徴とするものである。
また、請求項7記載の絶縁電線は、上記PTFE樹脂が完全焼成していることを特徴とするものである。
また、請求項8記載の同軸ケーブルは、上記の絶縁電線と、上記絶縁電線の絶縁体の周上に形成された外部導体とからなることを特徴とするものである。
また、請求項9記載の同軸ケーブルは、上記外部導体が、金属素線の編組からなることを特徴とする請求項8記載の。
また、請求項10記載の同軸ケーブルは、上記外部導体が、金属パイプからなることを特徴とするものである。
また、請求項11記載の同軸ケーブルは、上記外部導体が、コルゲート加工を施した金属パイプからなることを特徴とするものである。
本発明で得られる絶縁電線・ケーブルは、絶縁体について、中心導体の周囲を高気孔率の気孔部分としたまま、外周を硬い充実部分とすることができる。
中心導体の周囲を高気孔率とすることにより、以下のような効果を得ることができる。まず、絶縁体全体としての比重を小さくすることができるため、軽量化の要求に対応することができる。また、本発明を通信ケーブルとして使用する際には、絶縁体は誘電体として機能することになるが、気孔部分の実効比誘電率(ε)は、PTFEの比誘電率(ε)と気孔率(V)により、
ε=ε 1−V
の式によって導かれる。そのため、高気孔率とすることにより、実効比誘電率を低くすることができる。そして、信号の遅延時間(τ)は気孔部分の実効比誘電率(ε)により、
τ=3.33561√ε(ns/m)
の式によって導かれることから、高気孔率とすることで信号の遅延時間を小さくすることができる。
また、絶縁体の外周は上記のように硬い充実部分となるため、加圧等による凹みや外傷を防止することができる。
また、本発明による製造方法によれば、プレ充実部分を構成するPTFE樹脂とプレ多孔部分を構成するPTFE樹脂の少なくとも一方が粉末の状態で圧縮成形されることになる。これにより、得られる絶縁電線・ケーブルの絶縁体は、充実部分の樹脂部と上記多孔部分の樹脂部とが連続するようになり、充実部分と多孔部分の間に界面が存在しなくなる。そのため、充実部分と多孔部分が剥離するようなことはない。また、通常の押出成形などの方法により成形できるため、生産性にも優れる。また、通常のPTFE多孔体の場合、特に気孔率を高くした際には、焼成をすると収縮が起こるため、気孔率が減少するとともに、寸法精度も悪くなってしまう。これに対して、本発明の絶縁体においては、多孔部分の樹脂部と充実部分の樹脂部とが連続しているため、充実部分によって多孔部分が拘束され、多孔部分の収縮を抑えることができる。
本発明の実施例を表す図で、絶縁電線の構成を示す一部切欠斜視図図である。 本発明による実施例を表わす図で、同軸ケーブルの構成を示す一部切欠き斜視図である。 本発明による実施例の他の形態を表わす図で、同軸ケーブルの構成を示す一部切欠き斜視図である。 本発明の実施例による絶縁体について長手方向にカットした面について、100倍に拡大した写真である。 本発明の実施例による絶縁体について長手方向にカットした面について、2000倍に拡大した写真である。 本発明の実施例による絶縁体の結晶融解曲線である。
PTFE粉末としては、例えば、乳化重合によって得られたファインパウダーや懸濁重合によって得られたモールディングパウダーが挙げられる。これらの内、繊維化しやすく、それにより得られる成形体の強度が向上するファインパウダーが好ましい。一般的なPTFEファインパウダーは、平均粒径約0.2μmの一次粒子が凝集してなる平均粒径約600μmの二次粒子からなるものである。PTFE混合体中のPTFE粉末の含有割合が40%を下回る場合、PTFE同士の結合が弱く、成形中および焼成後に素材が裂けやすくなる傾向がある。そのため、平均二次粒径が100μm以下のPTFE粉末を用いることにより、PTFEの結合点を増やし、機械的強度を向上させることで、より裂け難くすることができる。特に、押出成形をする場合は、長手方向は繊維化して成形上十分な強度を有するが、横方向に対しては繊維間の結合が弱く、ペースト成形中および焼成後に素材が裂けやすくなる傾向がある。このように、ファインパウダーによる繊維化と、平均二次粒径100μm以下にすることによって、結合点の増加との相乗効果により、多孔部分の機械的強度は格段に向上することができる。更に、PTFE粉末が二次粒径30μm以下の粉体を主体としていれば、例え、粗大なPTFE粉末が存在したとしても、その周囲を二次粒径の細かい粉体が取り囲み、PTFE粉末同士の結合点は増加することになる。そのため、これによっても多孔部分の機械的強度は格段に向上することになる。なお、ここでいう「PTFE粉末が二次粒径30μm以下の粉体を主体とする」とは、PTFE粉末全体の中で、二次粒径30μm以下の粉体の個数が過半数を超える程度であることを示す。
本発明において、PTFE混合体を得る際にPTFE粉末と混合される造孔剤は、容易にPTFE混合体から除去できるものであれば特に限定はない。造孔剤を除去する方法としては、設備の簡便さから加熱により造孔剤を気化や熱分解させることが好ましいが、減圧により造孔剤を気化させてもよい。また、溶媒や蒸気等により造孔剤を抽出させてもよい。
造孔剤の種類としては、例えば、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸、安息香酸、ショウノウ、メントール、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アニリン、ナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸が好ましい。これらのようなジカルボン酸の粉末であれば、その原因については明確になっていないが、特に、肌理が細かく、且つ、寸法精度が良好な多孔部分を得ることができる。更に、管壁抵抗が大きくなることもないため、押出成形による成形もより良好なものとなる。また、プレ多孔部分から造孔剤を除去し多孔部分とする際に臭気が発生することがない。これらのジカルボン酸の中でも、フマル酸は、特に焼成時の収縮を抑える効果が大きいため好ましい。また、ジカルボン酸の中でも、空気中での加熱により気化する性質を有するもの(例えば、フマル酸、アジピン酸、コハク酸)であれば、加熱によって造孔剤を気化させて除去することが容易であるため、好ましい。造孔剤を気化させて除去する方法は、例えば、熱分解させて除去する方法に比べて、多孔部分中に残渣を残しにくく、残渣による電気諸特性への悪影響を防止することができる。このような空気中での加熱により気化する性質を有するジカルボン酸粉末として、例えば、沸点(又は昇華点)が300℃以下のもの(例えば、フマル酸、コハク酸)であれば、特別な装置を必要とせず、通常用いられる加熱炉などにより容易に造孔剤を除去することができるため、好ましい。また、ジカルボン酸粉末の沸点が300℃以下のものであれば、PTFEの焼成温度(例えば、370〜400℃)より低い温度で除去されるため、ジカルボン酸成分が焼成中に引火することを防ぐことができる。
また、造孔剤の平均粒径は100μm以下であることが好ましい。このような粒径であれば、気孔がより小さいものとなり、より肌理の細かい多孔部分を得ることができる。また、粒径のより小さな造孔剤を用いることにより、成形時のクラック、裂けを防止し成形性をより良くする効果も生じる。
上記PTFE粉末や造孔剤粉末は、粒径の大きな状態の粉体を粉砕して細粒化することにより製造できる。粉砕は、回転刃方式の混合機や粉砕機を用いて気相中で容易に行うことができる。粉砕方法は、気相中での粉砕に限定されるものではなく、溶液中での粉砕が可能な場合もある。例えば、フマル酸は水への溶解度が小さいので水中での回転刃による粉砕も可能である。しかし、溶液中での粉砕方法では、水との分離工程が生じるので、気相中での粉砕が好ましい。また、粉砕方法や粉砕に用いる設備のサイズ(処理量能力)は、特に限定されず、回転刃方式の他に、ボールミル、ジェットミル(気流粉砕)などを用いることができる。特にPTFE粉末は、細粒化の際に繊維化してしまうと、その後の、積層と圧縮の工程における繊維化の余地がなくなり、最終的な絶縁体の強度が充分なものにならなくなる恐れがある。そのため、PTFE粉末の細粒化は、繊維化が起こりにくいジェットミルにより行うことが好ましい。
本発明において、さらに、成形助剤を含むことが好ましい。この成形助剤としては、例えば、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル、灯油、軽油等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などの溶剤が挙げられ、これらの中でも、PTFEとの浸透性からナフサ、灯油、軽油等の石油系溶剤を使うことが好ましい。成形助剤を適量含むことにより、PTFE混合体の成形や加圧の際に割れが生じてしまうことを防止することができる。
特に、PTFE粉末に良好に保持させるために、動粘度2mm/s(40℃)以上の石油系溶剤を使うことが好ましい。このような成形助剤であれば、粉体の粒子間に一旦保持されれば、低粘度の成形助剤をそのまま造孔剤として使用したときよりも、所定形状に成形する際の圧力が加わった際に成形助剤のみが滲み出て、PTFE粉末と成形助剤とが分離するようなことは起こり難く、管壁抵抗を下げる潤滑効果を保持することになる。そのため、PTFE粉末と造孔剤との配合量の適応範囲が広く、また潤滑効果が高く成形性(絶縁体の外観)が良好となる。更に、PTFE粉末やジカルボン酸粉末による継粉の形成を効果的に防止することができ、気孔の大きさをより微細なものとすることができる。但し、PTFEを焼成させる場合、通常370〜400℃程度の温度で焼成させるが、焼成前に完全に溶剤が蒸発していることが好ましいため、成形助剤の沸点は300℃以下であることが好ましい。
PTFE混合体は、上記のような造孔剤とPTFE粉末とを、例えば、タンブラーなどで攪拌、混合して得ることができる。この際、造孔剤の混合量を変えることにより、気孔率を容易に制御することができる。尚、造孔剤として複数の成分を混合して使用する場合、予め造孔剤を構成する各成分を混合しておけば、造孔剤が均質となるため、より肌理の細かい多孔部分を作製することができ好ましいが、造孔剤を構成する各成分をPTFE粉末に別に加えた後、攪拌などによりこれらを一括して混合しても良い。
特に、多孔部分が55%を超える高気孔率となるように、ペースト押出をする場合には、素材の機械的強度(裂けやすさ)の面から、PTFE粉末はもちろんのこと、造孔剤についても、平均粒径100μm以下の微粉末を用いることが好ましい。PTFE粉末の細粒化は必ずしもPTFE粉末単独で行う必要はなく、PTFE粉末及び造孔剤の混合と、PTFE粉末の細粒化とを、1つの工程で同時に行うことができる。この混合と細粒化とを兼ねた処理は、回転刃式の粉砕機、混合機などを用いて気相中で容易に行うことができる。
上記したPTFE粉末、造孔剤、必要に応じて成形助剤により、充実部分を得るためのプレ充実部分、及び、多孔部分を得るためのプレ多孔部分が作成される。プレ充実部分は、上記したPTFE粉末に、必要に応じて成形助剤を加え、例えば、金型成形や圧延成形などにより、所定形状に圧縮して成形される。プレ多孔部分は、上記したようにPTFE粉末と、造孔剤と、必要に応じて成形助剤を混合してPTFE混合体とした後、このPTFE混合体について、例えば、金型成形や圧延成形などにより、所定形状に圧縮して成形される。ここで、プレ充実部分とプレ多孔部分を圧縮成形する際は、プレ充実部分を構成するPTFEとプレ多孔部分を構成するPTFEの少なくとも一方が、粉末の状態で圧縮成形されることになる。具体的には、例えば、PTFE混合体を円筒形に圧縮成形することでプレ多孔部分を形成し、このプレ多孔部分の外周側にPTFE粉末を配置し、圧縮成形することでプレ充実部分を作成する方法、PTFE粉末を円筒形に圧縮成形することでプレ充実部分を作成し、このプレ充実部分の内周側にPTFE混合体を配置し、圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する方法、仕切り板等を使用して、内側にPTFE混合体、外側にPTFE粉末を配置し、これらを一括して円筒形に圧縮成形することで内側にプレ多孔部分、外側にプレ充実部分を形成する方法が挙げられる。このようにして、プレ充実部分とプレ多孔部分とからなるプレ成形体が得られる。そして、このプレ成形体は、中心導体の外周に押出被覆される。ここで、上記特許文献5のように、予め圧縮成型したプレ充実部分に、予め圧縮成型したプレ多孔部分を嵌着したものによって絶縁体を得る場合、充実部分と多孔部分の境界部には界面が生じ、充実部分と多孔部分との間に剥離が生じる可能性がある。しかし、上記のように、プレ充実部分を構成するPTFEとプレ多孔部分を構成するPTFEの少なくとも一方が、粉末の状態で圧縮成形したプレ成形体によって得られる絶縁体は、充実部分と多孔部分とが連続しており、充実部分と多孔部分の間に界面が存在していないため、充実部分と多孔部分との間に剥離が生じることはない。
この中心導体の外周に押出被覆されたプレ成形体について、造孔剤を除去することにより、プレ多孔部分に気孔が設けられて絶縁体となり、本発明による絶縁電線が製造される。造孔剤を除去する方法としては、設備の簡便さから加熱により造孔剤を気化させること好ましいが、減圧により造孔剤を気化させてもよい。また、溶媒や蒸気等により造孔剤を溶出させてもよい。気化の形態としては、昇華するもの、液化を経て蒸発するものがあるが、液化する場合、PTFE混合体表面に液膜を形成することがあることから、加熱速度が速すぎると内部の気化した造孔剤が抜けずにPTFE混合体自体を膨らめることがある。そのため、気化させて除去する場合には、造孔剤としては、液化せず昇華するフマル酸などを使用することが好ましい。溶媒などで抽出する場合の溶媒としては、造孔剤を溶解するものであれば限定されないが、水はPTFEに浸入し難く造孔剤を抽出し難いので、PTFEに浸透しやすいエタノール等のアルコール、ジエチルエーテル等のエーテル、アセトンやメチルエチルケトン等のケトンなどといった有機系の溶媒が好ましい。ただし、溶媒による抽出の場合には、抽出工程に時間を要するので、加熱による昇華が最も好ましい。
加熱により造孔剤を除去する際は、造孔剤の気化に伴う圧力が発生するため、充実部分の強度が弱いと、充実部分に爆ぜが発生してしまう。そのため、充実部分の強度を向上することが必要になる。その方法としては、プレ充実部分を構成するPTFE粉末として、ファインパウダーを使用するとともに、PTFE粉末の粒径を制御することが挙げられる。特に、PTFE粉末の平均二次粒径を100μm以下とすることが好ましく、更に、PTFE粉末が二次粒径30μm以下の粉体を主体としていることが好ましい。これにより、PTFE粉末同士の接点が増え、且つ、PTFE粉末が繊維化するため、充実部分の強度が向上し、充実部分の爆ぜを防止することができる。また、プレ充実部分を構成するPTFE粉末やプレ多孔部分を構成するPTFE粉末の粒径が細かければ、PTFE粉末と造孔剤や成形助剤との混合も均一となるため、局所的な過熱が発生し難く、造孔剤や成形助剤の突沸などに起因した爆ぜも防止することができる。
尚、本発明の絶縁体は、200℃程度の加熱処理などにより造孔剤を除去し、その後に焼成を行わず、未焼成PTFEの絶縁体として使用しても良い。また、造孔剤を除去した後、更に370℃以上の焼成を行い、完全焼成PTFEの絶縁体として使用しても良い。また、焼成温度を調節することで未焼成と完全焼成が混在した半焼成PTFEの絶縁体としても良い。焼成の状態については、示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解曲線によって確認することができる。「未焼成状態」の場合は340℃付近に1箇所だけピークが観察され、「完全焼成状態」の場合は320℃付近に1箇所だけピークが観察され、「半焼成状態」の場合は340℃付近にピークが観察されると同時にその手前の320℃付近にも別のピークが観察される。これらの他に、国際特許公開WO04/086416に記載されたような、「微焼成状態」という状態があり、上記した「未焼成状態」と「半焼成状態」との中間の状態を示している。そして、これを区分けする目安になるのが、320℃付近におけるピークの有無である。つまり、この320℃付近におけるピークが明確に観察されるまで焼成が進行すると「半焼成状態」となってしまい、「微焼成状態」とは、そのようなピークが観察されるに至る手前の焼成状態を意味するものである。この焼成の状態については、国際特許公開WO04/086416の他、上記特許文献8、9にも詳しい記載があるので参照することができる。
焼成をした場合、PTFEは半溶融状態となるため、程度の大小はあるが多孔部分の気孔は減少し気孔率が低下することになる。この気孔率が低下する度合いは焼成の進行に従い大きくなる。そのため、焼成前の気孔率は、焼成後の気孔率よりも更に大きくしておく必要があるが、これには造孔剤を過剰気味に添加する必要がある。
上記のようにして得られた絶縁体は、多孔部分の気孔状態を制御することも可能であり、例えば、気孔率5%以上40%未満では独立気孔を主体とし、気孔率40%以上50%未満では独立気孔と連続気孔をともに有し、気孔率50%以上では連続気孔を主体とする、というような気孔状態とすることができる。勿論、造孔剤の粒径や混合量を適宜設定することで、気孔率50%未満でも連続気孔を主体とした多孔部分とすることが可能である。また、造孔剤の混合量を増加させることにより、例えば気孔率80%以上の多孔部分を得ることも可能である。また、長尺の絶縁体を押出成形によって製造した場合、多孔部分の気孔形状は長手方向に配向したものとなる。このような気孔形状であれば、長手方向の引張強度が高いため長尺品であっても切断され難く、クラックが入り難いため曲げに対しても強いものとなり、取扱いが容易である。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
(実施例1)
まず、PTFE粉末をジェットミルにて粉砕する。このPTFE粉末について、任意の部分を抽出して走査型電子顕微鏡を用いて拡大した写真を撮影し、各粉末の定方向径を算術平均して、平均二次粒径を求めた。これによると、本実施例のPTFE粉末の平均二次粒径は、34μmであった。また、この拡大した写真により二次粒径30μm以下の粉体が個数換算で全体の60%を超えていることが確認された。このPTFE粉末と成形助剤(ナフサ、軽油及びナフテン系溶剤の混合物)と造孔剤としてのフマル酸を、PTFE粉末58重量%、成形助剤15重量%、造孔剤27重量%になるように混合し、PTFE混合体を得た。これを金型に入れ圧縮成形して円筒形のプレ多孔部分とした。次いで、ジェットミルにて粉砕を行わないPTFE粉末(平均二次粒子径500μm)85重量%、成形助剤15重量%になるように混合し、円筒形に圧縮成形したプレ多孔部分の外周に配置して、この成形助剤を混合したPTFE粉末を圧縮成形する方法で、プレ多孔部分の外周にプレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た。このプレ成形体について、銀メッキ軟銅線(外径1.1mm)からなる中心導体の外周に、ペースト押出成形機(シリンダー径60mm)にてペースト押出成形した。さらにPTFEの融点以下の温度で加熱処理して造孔剤を気化させて除去し、さらに同一工程にてPTFEの融点以上の温度で加熱処理をしてPTFE樹脂を焼成した。このようにして、中心導体1の外周に、絶縁体2(多孔部分2aの外周に充実部分2bが形成)が被覆された絶縁電線10を製造した。この絶縁電線10は、外径3.513mmであった。また、充実部分2bの肉厚は約100μmであった。こうして得られた絶縁体2の重量とその体積を測定し、PTFE充実体の比重(2.155g/cm3)から下記式により平均気孔率を算出した。
「気孔率=(PTFE充実体の比重−試料の比重)/(PTFE充実体の比重)×100%」
(実施例2)
実施例1において、プレ多孔体の外周に形成するPTFE粉末として、ジェットミルにて粉砕した平均二次粒径約34μmのPTFE粉末を用いることに替えて、ジェットミル粉砕を施さない平均二次粒径約500μmのPTFE粉末を用いて同様にして絶縁電線を製造した。絶縁電線の外径は、3.618mm、充実部分2bの肉厚は約100μmであった。
(比較例1)
全てが上記多孔部分2aから構成された絶縁体を有する絶縁電線を比較例1とした。尚、比較例1及に係る絶縁電線の外径の寸法は、3.14mmである。また、多孔部分の製造方法は、実施例1に記載した通りである。
本発明の実施例1,2および比較例1に係る平均気孔率は、表1に示した通りである。実施例1,2においては、外側の充実部分により多孔部分の収縮が抑えられ、高い平均気孔率を示していることが判る。一方、比較例1は多孔部分の収縮が起こり、平均気孔率の減少が確認された。尚、実施例1の絶縁体は、押出成形直後や焼成後も表面にしわやクラックの発生がなく、外観が良好であった。ただし、実施例2の絶縁体については一部分であるが充実部分2gにクラックが発生した。
接着性の測定として、多孔部分2aから充実部分2bに遷移する部分に、剃刀にて30mmのスリットを入れ、多孔部分2aの端部と充実部分2bの端部をそれぞれ把持して引き離すことで両部分の剥離強度を測定した。
接着性について、本発明の実施例1〜2は、多孔部分2aと充実部分2bが完全に一体化しており、引き離しの力によって多孔部分2aを把持していた箇所が破壊してしまい、剥離強度が測定できなかった。
次いで、実施例1による絶縁電線について、図2に示すように同軸ケーブルとした。まず、上記した通り、中心導体1の外周に絶縁体2を形成して絶縁電線10とする。この絶縁電線10の絶縁体2の外周に素線径0.12mmのスズメッキ軟銅線による編組によって外部導体4を形成する。そして、さらに溶融したスズ槽に浸してスズコート(図示しない)を施し、セミフレキ同軸ケーブルと称されるタイプの同軸ケーブル20を構成した。
実施例1の同軸ケーブルについて、以下に示す特性評価試験を行った。その結果を表2に示す。
(実効比誘電率)
ネットワークアナライザーにて計測した遅延時間から次の計算式を使い算出した。計測条件は、周波数2GHz、温度20℃とした。
τ=3.33561√εe
τ:信号の遅延時間(ns/m)
εe:誘電体の実効比誘電率
(伝送特性)
測定温度20℃にて、1GHZ〜18GHZにおける減衰量(dB/m)を測定した。併せて、2GHzにおける遅延時間(ns/m)を測定した。
(特性インピーダンス)
TDR法によって測定した実測値と、計算式ZO=60/√ε×1n{(D+1.5dW)/d}により算出した計算値とを比較することにより評価した。ここで、ZOは特性インピーダンス、Dはコア外径(mm)、dWは編組素線径(mm)、εは遅延時間から算出した誘電体の実効比誘電率である。
本実施例1では、絶縁体外側の充実部分により、外部導体形成前後の絶縁体径をほとんど変えずに外部導体を形成できることが確認できた。これに対して、比較例1は、外部導体形成時の圧力により絶縁体に凹みが生じ、外部導体形成前の絶縁体径が3.14mmから2.95mmに変化していた。また、本実施例1による同軸ケーブルの絶縁体は、外側の充実部分により多孔部分の収縮が抑えられることから、絶縁体のすべてが多孔部分の場合よりも高い気孔率が得られる。そのため、本実施例1の同軸ケーブルは、絶縁体のすべてが多孔部分である比較例1の同軸ケーブルよりも、遅延時間の短いものが得られた。
実施例1の絶縁体をナイフでカットした面について、走査型電子顕微鏡で観察し、気孔状態を確認した。図4は実施例1における絶縁体について長手方向にカットした面を100倍に拡大した写真、図5は実施例1による絶縁体について長手方向にカットした面を2000倍に拡大した写真を示す。写真の上部が多孔部分、下部が充実部分であるが、何れの写真においても、多孔部分の樹脂部と充実部分の樹脂部とが連続しており、充実部分と多孔部分との間に界面というべきものが存在していないことがわかる。
また、実施例1〜3によるサンプル片について、JIS K7122プラスチックの転移熱測定方法により示差走査熱量測定(DSC)を実施し、それによって得られた結晶融解曲線において、吸熱ピークを確認した。このDSCによれば、何れのサンプル片も、完全焼成PTFEに特徴的な320〜330℃付近のピークが見られていることから、完全焼成PTFEとなっていることが確認できた。図6に代表して実施例1の結晶融解曲線を示す。
例えば、本発明においては、造孔剤の配合量により、多孔部分の気孔率を容易に制御することができる。そのため、上記実施例のような気孔率の範囲のものだけでなく、例えば、気孔率が5%、10%、20%、30%といった比較的低気孔率のもの、60%、70%、80%といった比較的高気孔率のものなど、適宜作り分けることができる。
また、本発明によれば、結着剤や他のフッ素樹脂等を含まない、実質的にPTFEのみからなるPTFE多孔体を得ることができる。従って、結着剤や他のフッ素樹脂等により、伝送特性や特性インピーダンスなどに悪影響が出ることがないため、同軸ケーブルをはじめとした電気的用途に対しても非常に有用なものとなる。
また、上記の実施例では、絶縁電線の誘電体の外周にスズメッキ軟銅線の編組被覆による外部導体を形成し、溶融したスズ槽に浸してスズコートを施したセミフレキ同軸ケーブルの例を示したが、同軸ケーブルとして他の形態のものとしてもよい。例えば、図3に示す同軸ケーブル20のように、絶縁体2の外周に、アルミニウム−ポリエチレンテレフタレート(PET)複合テープを縦添えしてテープ層3を形成し、その外周に編組被覆などの外部導体4を形成しても良いし、最外層として外部導体4の外周にフッ素樹脂(例えば、FEP、ETFEなど)のシース5を押出成形してもよい。外部導体4としては、編組被覆の他に、例えば、金属箔の巻回、金属線の横巻、金属パイプなども考えられ、またこの金属パイプからなる外部導体にはコルゲート加工を施しても良い。
本発明によれば、高気孔率の優位性を保持したまま、加圧等による凹みや外傷を防止することができる絶縁電線・ケーブル、及びこれらの製造方法を得ることが可能である。このような絶縁電線・ケーブルは、耐熱性、耐薬品性等の特性に優れているため、過酷な環境下で使用可能である。また、絶縁体の気孔率をより高くすることができ、比誘電率、エネルギー損失角、遅延時間などの電気特性・伝送特性が優れており、編組等の外部導体形成時に絶縁体外径をほとんど変えることがないことから、その製造安定性が優れているため、同軸ケーブルなどの通信ケーブルとしても好適に使用することができる。
1 中心導体
2 絶縁体
2a 多孔部分
2b 充実部分
3 テープ層
4 外部導体
5 シース
10 絶縁電線

Claims (11)

  1. ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末と造孔剤とを混合したポリテトラフルオロエチレン混合体を円筒形に圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する工程、該プレ多孔部分の外周側にポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を配置し、圧縮成形することでプレ充実部分を作成する工程、及び、を経て、上記プレ多孔部分の外周に上記プレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成する絶縁電線の製造方法。
  2. ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を円筒形に圧縮成形することでプレ充実部分を作成する工程、該プレ充実部分の内周側にポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末と造孔剤とを混合したポリテトラフルオロエチレン混合体を配置し、圧縮成形することでプレ多孔部分を形成する工程、を経て、上記プレ多孔部分の外周に上記プレ充実部分が配置されたプレ成形体を得た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成する絶縁電線の製造方法。
  3. 内側にポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末と造孔剤とを混合したポリテトラフルオロエチレン混合体、外側にポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を配置する工程と、これらを一括して円筒形に圧縮成形することで内側にプレ多孔部分、外側にプレ充実部分を形成してプレ成形体とする工程と、を経た後、中心導体の外周に上記プレ成形体を押出被覆する工程と、上記造孔剤を除去する工程と、焼成する工程によって、中心導体の周上に、多孔構造の多孔部分で構成された内層と充実構造の充実部分で構成された外層とからなる絶縁体を形成する絶縁電線の製造方法。
  4. 上記プレ充実部分を構成するポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の平均二次粒径が、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3記載の絶縁電線の製造方法。
  5. 上記プレ充実部分を構成するポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末が、二次粒径30μm以下の粉体を主体とすることを特徴とする請求項1〜請求項4記載の絶縁電線の製造方法。
  6. 中心導体の周上に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる絶縁体が形成されてなる絶縁電線であって、上記絶縁体は、多孔構造のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる多孔部分で構成された内層と、充実構造のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる充実部分で構成された外層とからなり、上記充実部分の樹脂部と上記多孔部分の樹脂部とが連続していることを特徴とする絶縁電線。
  7. 上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂が完全焼成している請求項6記載の絶縁電線。
  8. 請求項6または請求項7記載の絶縁電線と、上記絶縁電線の絶縁体の周上に形成された外部導体とからなることを特徴とする同軸ケーブル。
  9. 上記外部導体が、金属素線の編組からなることを特徴とする請求項8記載の同軸ケーブル。
  10. 上記外部導体が、金属パイプからなることを特徴とする請求項8記載の同軸ケーブル。
  11. 上記外部導体が、コルゲート加工を施した金属パイプからなることを特徴とする請求項10記載の同軸ケーブル。
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