JP2011076856A - コイン形電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電により負極の体積が減少し、正極の体積が増大した場合でも、内部短絡を引き起こさないためには、リチウム厚みと封口板との寸法の間に設計上の制約が生じていた。
【解決手段】電池ケース13内に正極10とリチウム金属からなる負極11をセパレータ12を介して対向配置した発電要素を電解液とともに収納し、上記負極11と導通される封口板14をガスケット15を介して電池ケース13の開口部に封着してなるコイン形電池において、前記正極10の外周部と封口板14との間に放電による正極の膨張時に正極と封口板との導通を阻止する絶縁部16を設けたことを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は各種携帯用電子機器などに用いられるコイン形電池に関するものである。
コイン形電池はボタン型電池、偏平電池とも称され、小型薄型である特徴を活かして腕時計やキーレスエントリーなど小型化が要求される場合や、OA機器やFA機器などのメモリーバックアップなど長期間の使用が要求される場合に広く用いられている。さらに各種のメータや測定機用電源にも採用され、その用途は拡大の一途にある。近年では自動車、産業機器などのより厳しい環境下で使用することが要望され、それと共に、さらなる高性能化のための改良が進められている。
コイン形電池は、電池ケース内に正極と負極とをセパレータを介して対向配置し、電解液を充填した後、ガスケットを介して電池ケースの開口部を封口板でカシメ封口して形成されている。(例えば特許文献1参照)
特開2002−518547号公報
このようなコイン形電池では使用時の放電に伴って負極が徐々に消失するとともに、正極が徐々に膨張する。これに伴いセパレータも封口板側に近づき、放電末期では正極がセパレータを介して負極側の封口板の内面と近接対向する。この際、セパレータの先端が負極側の封口板の内面の封口部の折曲げ部よりも上昇してしまうと正極の外周部と負極側の封口板の内面の折曲げ分が短絡してしまう恐れがある。一方、セパレータの先端はガスケットの底面以上伸ばすと封口の際にガスケットと電池ケースとの間に噛み込み、漏液経路となる場合があるため容易には伸ばせない。
本発明は、放電により負極が消失し正極が膨張した場合でも、内部短絡を引き起こさない高信頼性のコイン形電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のコイン形電池は、電池ケース内に正極とリチウム金属からなる負極をセパレータを介して対向配置した発電要素を電解液とともに収納し、上記負極と導通される封口板をガスケットを介して電池ケースの開口部に封着してなるコイン形電池において、前記正極の外周部と封口板との間に放電による正極の膨張時に正極と封口板との導通を阻止する絶縁部を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、電池ケース内に正極とリチウム金属からなる負極をセパレータを介して対向配置した発電要素を電解液とともに収納し、上記負極と導通される封口板をガスケットを介して電池ケースの開口部に封着してなるコイン形電池において、正極の外周部と封口板との間に絶縁部が設けられたことにより、放電による正極の膨張時に正極と封口板とが短絡しない高信頼性を確保しながら、設計自由度の高いコイン形電池を提供することができる。
本発明の一実施の形態であるコイン形電池の構成を模式的に示す半断面図 絶縁部としてセパレータの外周部を延長し先端を内側にカールさせた構成を模式的に示す半断面図 絶縁部としてセパレータの外周部を延長し延ばした部分を蛇腹状にした構成を模式的に示す半断面図 絶縁部としてガスケットの一端を延長した構成を模式的に示す半断面図 絶縁部として封口板の内面に絶縁体を設けた構成を模式的に示す半断面図 絶縁部として正極の外周面に絶縁体を設けた構成を模式的に示す半断面図 本発明における実施例と比較例の放電電圧のカーブを示す図
本発明による第1の発明は、正極の外周部と封口板との間に放電による正極の膨張時に正極と封口板との導通を阻止する絶縁部を設けたことを特徴とするコイン形電池である。この構成により放電による正極の膨張時に正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第2の発明は、前記絶縁部を正極と負極の間に介在させるセパレータの外周部を延長し電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばしたものとしたことを特徴とする。この構成により、封口の際にセパレータが電池ケースとガスケットとの間に噛み込むことがなく、漏液経路を作らないため耐漏液性能を維持したまま、放電により負極が消耗し正極が膨張した際にも内底面側に折り曲げて伸ばしたセパレータの外周部が伸びながら正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第3の発明は、第2の発明において、前記セパレータの電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばした部分の先端を内側にカールさせたことを特徴とする。この構成により、セパレータの先端がガスケット側に対向しないため、封口の際にセパレータが電池ケースとガスケットとの間に噛み込むことがなく、放電による正極の膨張時にはカール部分が伸びながら正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第4の発明は、第2の発明において、前記セパレータの電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばした部分を蛇腹状に構成したことを特徴とする。この構成により、セパレータの先端がガスケット側に対向しないため、封口の際にセパレータが電池ケースとガスケットとの間に噛み込むことがなく、放電による正極の膨張時には蛇腹部分が伸びながら正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第5の発明は、前記絶縁部を電池ケースと封口板間の封口に用いるガスケットの一端を延長した部分とすることを特徴とする。この構成により、放電により負極が消耗し正極が膨張しセパレータの先端が上昇しても、ガスケットの一端を延長した部分が正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第6の発明は、第5の発明において、前記ガスケットの一端を延長した部分をセパレータの外周部と封口板の内面との間に挟み込む構成としたことを特徴とする。この構成により、封口の際にガスケットが変形しても延長した部分が確実に正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第7の発明は、前記絶縁部を封口板の内面に設けた絶縁体としたことを特徴とする。この構成により、放電により負極が消耗し正極が膨張しセパレータの先端が上昇しても、封口板の内面に設けた絶縁体が正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第8の発明は、前記絶縁部を正極の外周面に設けた絶縁体としたことを特徴とする。放電により負極が消耗し正極が膨張しセパレータの先端が上昇しても、正極の外周面に設けた絶縁体が正極と封口板との間に介在するため、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
本発明による第9の発明は、第8の発明において、前記正極の外周面に設ける絶縁体を正極の膨張に追従する弾力性をもった材料で構成したことを特徴とする。この構成により、放電により正極が膨張しても、正極の外周面に設けた絶縁体が正極の膨張に追従し絶縁を保つため、放電により負極が消耗し正極が膨張しセパレータの先端が上昇しても、正極の外周面に設けた絶縁体が正極と封口板との間に介在し、正極と封口板とが短絡しない高信頼性のコイン形電池を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態の一つであるコイン形電池1の構成を模式的に示す半断面図である。コイン形電池1は、正極10、負極11、セパレータ12、正極側となる電池ケース13、負極側となる封口板14、ガスケット15および図示しない非水電解液を含むコイン形電池である。
正極10は、正極活物質、導電材および結着剤を含み、セパレータ12を介して負極11に対向するように設けられる。
正極活物質としてはリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、その中でも、フッ化黒鉛、金属酸化物などが好ましい。フッ化黒鉛としては、化学式CF(0.8≦x≦1.1)で表されるものが好ましい。フッ化黒鉛は、長期信頼性、安全性、高温安定性などの点で優れている。フッ化黒鉛は、石油コークス、人造黒鉛などをフッ素化して得られる。金属酸化物としては、二酸化マンガン、酸化銅などが挙げられる。正極活物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
導電材としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、人造黒鉛などの黒鉛類などを使用できる。導電材は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。結着剤としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性アクリロニトリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。結着剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
負極11は、リチウムまたはリチウム合金を含有し、セパレータ12を介して正極10
に対向するように設けられる。リチウム合金としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、Li−Al、Li−Sn、Li−NiSi、Li−Pbなどが挙げられる。
セパレータ12としては、コイン形電池の分野で常用されるものを使用でき、正極10と負極11とが短絡することを防止できるのであれば特に制限される訳ではなく、さらに非水電解液の浸透性に優れ、イオンの移動抵抗とならないことが望ましい。代表的な素材としてはポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンなどが挙げられ、形状としては不織布、微多孔フィルムなどが挙げられる。
また、このセパレータ12は周縁部に下方に突出する延長部12aが設けられ、この延長部12aによって正極10と封口板14の内面との短絡を防止している。
非水電解液は、溶質および非水溶媒を含有する。
溶質としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウム・ビスペンタフルオロエチルスルホン酸イミド(LiN(SO)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CFSO)、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CFSO)、過塩素酸リチウム(LiClO)などが挙げられる。溶質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
非水溶媒としても、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、γ−バレロラクトン(γ−VL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体などが挙げられる。非水溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
非水電解液における溶質濃度は特に制限されないが、好ましくは0.5〜1.5mol/Lである。溶質濃度が0.5mol/L未満では、室温での放電特性または長期保存後の放電特性が低下するおそれがある。溶質濃度が1.5mol/Lを超えると、−40℃程度の低温環境下では、非水電解液の粘度上昇およびイオン伝導度の低下が顕著になるおそれがある。
電池ケース13は、正極集電体および正極端子を兼ねる。封口板14は、負極集電体および負極端子を兼ねる。ガスケット15はリング状で、その断面はL字状に形成されており、主に、電池ケース13と封口板14とを絶縁する。電池ケース13、封口板14およびガスケット15は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用できる。電池ケース13および封口板14には、たとえば、ステンレス鋼製のものを使用できる。ガスケット15には、たとえば、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のものを使用できる。
そして、上記電池ケース13は、周縁部に上方への立上り部13aを有し、封口板14は周縁部に下方への立下り部14aを有するとともにその立下り部の中間部に外方への折曲げ部14bを有しており、この電池ケース13の立上り部13aと封口板14の折曲げ部14bを含む立下り部14aとガスケット15でカシメ封口されている。
本発明におけるコイン形電池1は、セパレータ12として、例えば図2のように外周部の延長部12aの先端を内側にカールしたもの、図3のように外周部の延長部12aの下部を蛇腹状に構成したもの、ガスケット15として、図4のように一端を延長した絶縁部15aを設け、この絶縁部15aの先端をセパレータ12の延長部12aと封口板15の内面との間に挟み込む構成としたもの、封口板14として、図5のように内面に絶縁体16が形成されたもの、正極10として、図6のように外周面に絶縁体17が形成されたものの内、少なくとも一つを用いる以外は、従来のコイン形電池と同様にして作製できる。
コイン形電池1は、たとえば、次のようにして作製できる。まず、正極10が電池ケース13の内面に接触するように電池ケース13内に収容し、その上にセパレータ12を載置する。さらに、非水電解液を注液し、正極10およびセパレータ12に非水電解液を含浸させる。一方、封口板14の内面に負極11を圧着し、次いで、封口板14の周縁部にガスケット15を装着した状態で、電池ケース13と封口板14とを組み合わせる。この時、セパレータ12の外周部の延長部12a、ガスケット15の一端を延長した絶縁部15a、封口板14の内面に絶縁体16が形成された部分、正極10の外周面に絶縁体17が形成された部分が、絶縁部として正極10と封口板14との間に介在する状態になる。さらに、電池ケース13の開口部を内側にかしめて封口することにより、コイン形電池1が得られる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
1)正極の作製
フッ化黒鉛(正極活物質)100重量部およびアセチレンブラック(導電材)10重量部を乾式混合し、得られた乾式混合物にメタノールを添加して混練した。この混練物に、スチレンブタジエンゴム(結着剤)5重量部を添加してさらに混練し、得られた混練物を乾燥および粉砕して、粉末状の正極合剤を調製した。この正極合剤を、直径17.0mmの円柱状金型に充填し、加圧成形してディスク状の正極を作製した。
2)負極の作製
負極活物質には、リチウム金属を用いた。リチウム金属の箔を打ち抜いてディスク状の負極とし、ガスケットを装着した封口板の内面に圧着した。
3)セパレータ
厚さ100μmのポリプロピレン製不織布を円形に打ち抜き、カップ状に成型してセパレータを作製した。カップ状セパレータの外周部は正極に被せた際に電池ケースの内底面側に折り曲げて延長部が形成されており、その先端を内側にカールするように絞られている。
4)非水電解液の調製
γ−ブチロラクトンにホウフッ化リチウムを1mol/Lの比率で溶解させたものを用いた。
5)電池の組み立て
負極が圧着された封口板の上に、カップ状セパレータの先端が封口板の開口部を向くように被せ、その上に負極と正極とが対向するように正極を載置した後、非水電解液を封口板内に注液し、正極とセパレータに非水電解液を含浸させた。次に、電池ケースを封口板に装着し、電池ケースの周縁端部を封口板に装着されたガスケットにかしめ、本発明のコイン形電池(直径24.5mm、厚さ5.0mm)を作製した。電池のサイズは、直径24.5mm、高さ5.0mmである。上記組立工程は、露点−40℃以下のドライエア中で行った。
(実施例2)
カップ状のセパレータの電池ケースの内底面側に折り曲げて延長された外周部の先端を内側にカールするように絞る代わりに蛇腹状に構成した以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形電池を作製した。
(実施例3)
カップ状のセパレータの外周部が電池ケースの内底面側に折り曲げて延長されておらず、封口に用いるガスケットの一端を延長した絶縁部を設けた以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形電池を作製した。
(実施例4)
カップ状のセパレータの外周部が電池ケースの内底面側に折り曲げて延長されておらず、封口板の内面に絶縁体を設けた以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形電池を作製した。
(実施例5)
カップ状のセパレータの外周部が電池ケースの内底面側に折り曲げて延長されておらず、正極の外周面に絶縁体を設けた以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形電池を作製した。
(比較例1)
カップ状セパレータの外周部が電池ケースの内底面側に折り曲げて延長されていないこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形電池を作製した。
実施例1〜5および比較例1で得られたコイン形電池について、試験温度20℃で15kΩ放電試験を行った。放電電圧のカーブを図7に示す。
図7から分かるように、本発明の実施例1〜5のコイン形電池においては末期まで正常に放電されている。
一方、比較例1では放電途中で電圧降下が起こる結果となった。
これは本発明の実施例1〜5においては、放電により正極が膨張しても、放電中常に正極の外周部と封口板との間に絶縁体が介在するため、正極と封口板とが短絡せず、正常に放電が行われるのに対し、比較例1では放電末期に負極が消失し正極が膨張した際に、正極の外周面と負極封口板の内面が短絡したものと考えられる。
本発明によれば、電池ケース内に正極とリチウム金属からなる負極をセパレータを介して対向配置した発電要素を電解液とともに収納し、上記負極と導通される封口板をガスケットを介して電池ケースの開口部に封着してなるコイン形電池において、前記正極の外周部と封口板との間に放電による正極の膨張時に正極と封口板とが短絡しない信頼性の高い
コイン形電池を提供することができ、産業上有用である。
1 コイン形電池
10 正極
11 負極
12 セパレータ
12a セパレータ外周部の延長部
13 電池ケース
13a 電池ケース立上り部
14 封口板
14a 封口板立下り部
14b 封口板折曲げ部
15 ガスケット
15a ガスケットの一端を延長した絶縁部
16 絶縁体
17 絶縁体

Claims (9)

  1. 電池ケース内に正極とリチウム金属からなる負極をセパレータを介して対向配置した発電要素を電解液とともに収納し、上記負極と導通される封口板をガスケットを介して電池ケースの開口部に封着してなるコイン形電池において、前記正極の外周部と封口板との間に放電による正極の膨張時に正極と封口板との導通を阻止する絶縁部を設けたことを特徴とするコイン形電池。
  2. 前記絶縁部を正極と負極の間に介在させるセパレータの外周部を延長し電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばしたものとする請求項1記載のコイン形電池。
  3. 前記セパレータの電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばした部分の先端を内側にカールさせた請求項2記載のコイン形電池。
  4. 前記セパレータの電池ケースの内底面側に折り曲げて伸ばした部分を蛇腹状に構成した請求項2記載のコイン形電池。
  5. 前記絶縁部を電池ケースと封口板間の封口に用いるガスケットの一端を延長した絶縁片とする請求項1記載のコイン形電池。
  6. 前記ガスケットの一端を延長した部分をセパレータの外周部と封口板の内面との間に挟み込む構成とした請求項5記載のコイン形電池。
  7. 前記絶縁部を封口板の内面に設けた絶縁体とした請求項1記載のコイン形電池。
  8. 前記絶縁部を正極の外周面に設けた絶縁体とした請求項1記載のコイン形電池。
  9. 前記正極の外周面に設ける絶縁体を正極の膨張に追従する弾力性をもった材料で構成した請求項8記載のコイン形電池。
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