JP2011076024A - 共焦点顕微鏡 - Google Patents
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【解決手段】本発明の共焦点顕微鏡1は、蛍光観察するための共焦点顕微鏡1であって、励起光を出射するレーザー発光器2と、レーザー発光器2からのレーザー光の試料4への照射位置を所定方向に移動可能なポリゴンミラー16と、ポリゴンミラー16によるレーザー光の移動方向に対応した方向に沿って長手方向が配置されたスリット28と、試料4に照射されたレーザー光の反射光をカットして蛍光を選択する蛍光フィルタ24と、蛍光フィルタ24によって選択されスリット28を通った蛍光を受光する光電子増倍管6と、を備える。
【選択図】図1
Description
また、照射位置において反射光に含まれていた蛍光は、減衰しながら且つ走査手段により第2の所定方向に移動しながらスリットを通過して受光素子に到達して受光されるので、ある箇所における励起光の照射後の蛍光の発光量の経時変化を計測することが可能となる。この受光量の経時変化から、放射線の種類の特定が可能になる。
また、走査手段によって励起光の試料上の照射位置を第1の所定方向に移動させながら蛍光の情報を得ることができるので、短時間で放射性物質あるいは放射化物質の存在場所及びその蛍光観察を行うことができる。
このように構成された本発明においては、スリットの長手方向に垂直な方向の寸法が適切に設定されているので、長手方向の寸法を長くして直線状の領域について蛍光の測定を可能にしながら、従来の共焦点顕微鏡と同様に焦点以外の領域からのノイズを効果的にカットすることができ、クリアな画像が得られる。
このように構成された本発明においては、走査手段が回転ミラーである場合には、回転ミラーを回転させることにより、連続的に一方向に励起光の照射方向を移動させることができる。したがって、簡単な構造で励起光の照射位置を変更することができる。
また、走査手段が揺動ミラーである場合には、揺動ミラーを揺動させることにより、往復方向に励起光の照射位置を移動させることができる。走査手段が揺動ミラーであるので、回転ミラーに比べてコンパクトに構成することが可能となるから、設置に必要なスペースを小さくすることができる。
このように、走査手段によって試料上を走査する場合、停止することなく連続して試料の照射位置を変更させながら試料の蛍光観察を行うことができるから、短時間で蛍光観察を行うことができる。
このように構成された本発明においては、移動手段が更に設けられているので、走査手段によって試料上における励起光の照射位置を第1の所定方向に移動させることができる上に、移動手段によってこの方向と直交する方向にも移動させることが可能となる。したがって、試料の蛍光観察を二次元にわたって行うことができるから、共焦点顕微鏡の操作性が向上する。
また、走査手段によって励起光の試料上の照射位置を第1の所定方向に移動させながら蛍光の情報を得ることができるので、短時間で放射性物質あるいは放射化物質の存在場所及びその蛍光観察を行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態による共焦点顕微鏡の全体構成を示す概略図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による共焦点顕微鏡1は、レーザー光を出射するレーザー発光器2と、試料4から発せられた蛍光を受光する受光素子としての光電子増倍管6と、レーザー発光器2からのレーザー光を試料4に照射すると共に、試料4からの蛍光を光電子増倍管6に導く光学系8と、試料4を載置するための載置台10と、を備える。
光学系8は、レーザー発光器2から試料4までのレーザーの経路に沿って配置された、コリメータレンズ12と、ビームスプリッタ14と、ポリゴンミラー16と、走査レンズ18と、反射ミラー20と、を備える。
ポリゴンミラー16は、レーザー光の進行方向に対して垂直な方向に回転可能な回転ミラーであり、ビームスプリッタ14からのレーザー光を所定方向に反射する。このポリゴンミラー16の回転によって、レーザー光の試料4への照射位置が第1の所定方向に沿って移動するとともに、試料4からの反射光及び蛍光の照射方向が第2の所定方向に沿って移動することとなるので、このポリゴンミラー16は、本発明の走査手段として機能する。本実施形態では、レーザー光を試料4に向かって反射する面と試料4からの反射光及び蛍光を光電子増倍管6へ向けて反射する面が共通であるので、第1の所定方向及び第2の所定方向はともに、ポリゴンミラー16の回転方向に一致する方向である。このポリゴンミラー16は、一定速度で回転可能であり、本実施形態では、12000rpmで回転するように設定されている。
蛍光フィルタ24は、試料4からの反射光のうち、所定の波長以上の光のみを透過させることによって、レーザー光をカットし蛍光のみを透過させるものである。
図2は、蛍光フィルタ24の波長に対する透過率の関係を示す。この図2の線Aに示すように蛍光フィルタ24は、所定波長以上の光を透過するように構成されている。ここで、本実施形態では、蛍光フィルタ24の透過最小波長は、図2の線Bで示すレーザー光の波長よりも大きく設定されている。また、図2の線Cで示すように、試料4からの蛍光の波長範囲は、通常、レーザー光の波長よりも長いので、蛍光フィルタ24の透過最小波長は、この、試料4からの蛍光の波長範囲の下限よりも小さく設定される。このような設定により、蛍光フィルタ24は、試料4からの反射光のうち、レーザー光の反射光を透過せず、蛍光のみを透過するようになっている。以上のように、蛍光フィルタ24の透過最小波長の範囲は、試料4の種類、即ち試料4からの蛍光の波長範囲や使用するレーザー光の波長等を勘案して適宜設定する。
また、スリット28の長さ(長手方向の寸法)は、蛍光寿命に対応して発生するレーザー光の反射光及び蛍光の、ポリゴンミラー16の回転によってスリット28の位置で移動する範囲に応じて、即ち、レーザー光の反射光及び蛍光のスリット28上での最大移動範囲よりも大きく設定されることが好ましい。本実施形態では、反射光の移動範囲は載置台10上で2mm程度であるので、スリット28の長さを10mm程度に設定している。スリット28は、例えばステンレス鋼をレーザー加工することによって形成される。
載置台10は、反射ミラー20で反射されたレーザー光の照射方向に垂直で且つポリゴンミラー16の回転によるレーザー光の照射位置の移動方向Dに直交する方向(Y方向)に、試料4を移動可能に構成された移動手段としての移動機構11(図ではローラのみを表示)を有する。
なお、移動機構は、試料4の深さ方向を含んだ3次元の蛍光情報を得るために、試料4の厚み方向に沿った方向(Z方向)にも移動可能に構成し、試料4を2方向(YZ方向)に移動させるように構成してもよい。
本実施形態では、試料4として、輝尽性発光体あるいは蛍光物質を採用する。この試料4にレーザー光を照射すると、当該照射部分に放射線情報が蓄積されている場合、レーザー光の照射により、試料4は蛍光を発生する。本実施形態では、その蛍光の分布、強度、経時変化等を測定することによって、放射線の種類の特定や、蓄積された放射線情報の位置及びその強さ等を測定するために、共焦点顕微鏡1を用いる。
図4において、まず、試料4を載置台10に固定し、レーザー発光器2からレーザー光を出射する。レーザー光は、コリメータレンズ12によって平行光としてビームスプリッタ14に入射し、このビームスプリッタ14で反射されてポリゴンミラー16に入射する。入射したレーザー光は、ポリゴンミラー16で反射され、試料4上の第1の照射位置PAに結像される。
以上のように、レーザー光の照射を受けたときに発せられた蛍光は、受光部30において常に受光位置P1点で受光される。
一方、PA点からの蛍光をP2点で受光しているとき、レーザー光はPB点を照射しているが、本実施形態ではPB点には放射線が蓄積されていないため、照射位置PB点からは蛍光が発せられない。したがって、図6(B)に示すように、照射位置PB点に対応する受光部30における受光位置P1点においては、蛍光が検出されない。よって、図6(B)において受光部30が受光する受光量G2は、照射位置PA点からの蛍光の強度E2と等しい。
また、異なる照射位置において発せられる蛍光は、ポリゴンミラー16の同一反射面で反射されて検出器に入力する場合と、異なる面で反射されて検出器に入力する場合があるが、計測上は区別をする必要はない。
図7は、本実施形態による共焦点顕微鏡1を用いて蛍光観察した際の蛍光の受光結果の表示方法を示す図である。
まず、照射位置PA点における蛍光の受光量G1を、第1の記録点として図7に示すように記録する。そして、ポリゴンミラー16が所定角度θ回転して照射位置が射位置PB点に移動した場合における蛍光の受光量G2を、第2の記録点として、第1の記録点から所定距離H’離れた位置に記録する。以下、同様にして、照射位置を移動した後の蛍光の受光量Gを所定距離H’毎に記録する。
ここで、所定距離H’は、照射位置PA点と照射位置PB点との間の距離H(図5参照)に対応して設定される。この照射位置PAと照射位置PBとの間の距離Hは、ポリゴンミラー16の回転角度、ひいては回転時間及びサンプリング周期に関係し、即ち蛍光の受光量Gのサンプリング時間に関係している。したがって、この図7の表示は、蛍光強度の経時変化をも表す。この図7のような記録を解析することにより、試料4における蛍光強度の経時変化を知ることができ、その増減の傾向から放射線の種類の特定が可能となる。
スリット28が、ポリゴンミラー16の回転による試料4からの反射光及び蛍光の移動方向に沿って形成されているので、ポリゴンミラー16の回転によってレーザー光を移動させて連続走査することによって、試料4上に存在する蛍光の情報が得られる。すなわち、蛍光の所在位置が検出でき、検出した各蛍光の蛍光強度の経時変化も測定できることから、放射線の種類の特定が可能になる。また、従来では、蛍光の経時変化を測定するためには、1つの測定箇所について停止したまま所定時間が経過するまで測定しなければならず、実際には膨大な時間がかかってしまい、現実的でなかった。これに対して、本実施形態の共焦点顕微鏡1によれば、ポリゴンミラー16によって試料4の照射位置を移動させながら蛍光の経時変化の測定を行うことができるので、従来と比較して格段に高速に蛍光の経時変化を測定することができる。
なお、本実施形態の光電子倍増管6の受光部6は、試料4の複数箇所における蛍光の情報を合計した状態で受光する。したがって、もし仮にポリゴンミラー16の一面の回転で試料4を走査する領域において放射線が蓄積された箇所が複数存在するとすれば、受光部30においては、これら複数箇所における蛍光の情報を重畳した形で得ることとなる。しかしながら、試料4において放射線が蓄積された領域は、複数の箇所が密集して存在するとよりはむしろ、特定の一箇所の領域に存在するのが一般的である。したがって、本実施形態のように、複数箇所における蛍光の情報を合計した値を使用して蛍光の経時変化を測定しても、複数箇所の放射線が重畳されることはまれである。
よって、本実施形態では、試料4上のある一点の蛍光の経時変化を時系列で測定することができる。また、これにより、本実施形態では、連続走査して得られた計測値を解析することにより、簡易且つ安価な方法で試料4上の特定の一点における放射線の種類やその蓄積量を知ることができる。
また、上記の所定距離H’は、計測間隔(測定時間間隔)にも相関があるため、この記録方法により、蛍光の経時変化を容易に知ることができる。
共焦点顕微鏡は、上述の実施形態のように放射線の蓄積状態を測定するものに限らず、蛍光観察を行う任意の測定に適用できる。例えば、DNAチップ、タンパク質の動態、光化学反応、量子ドットなどを測定するのに使用でき、生物学、化学、製薬学、材料学などの分野に応用可能である。
走査手段は、上記実施形態では、ポリゴンミラーを用いていたが、これに限らず、発光器からの光を所定の一方向に連続的または断続的に移動させることができるものであれば、その構造は任意である。したがって、走査手段は、例えばガルバノミラーのような揺動ミラー等であってもよい。
スリットの寸法は、発光器の種類、スポット径、走査手段の速度や移動機構の移動速度等に応じて、良好な蛍光強度の情報が得られるように適宜設定すれば良く、上述の寸法範囲に限定されない。
2 レーザー発光器
4 試料
6 光電子増倍管
16 ポリゴンミラー
24 蛍光フィルタ
28 スリット
30 受光部
Claims (8)
- 放射性物質で構成される試料に照射することにより蛍光を発光させるための励起光を出射する発光器と、
前記試料上における前記励起光の照射位置を第1の所定方向に移動させるとともに、移動前の照射位置から発光された蛍光の照射方向を第2の所定方向に移動させることが可能な走査手段と、
反射光をカットして蛍光を選択する蛍光選択手段と、
前記蛍光選択手段によって選択された蛍光を受光する受光素子と、を備えた蛍光観察するための共焦点顕微鏡であって、
前記走査手段と前記受光素子との間に設けられ、長手方向が前記第2の所定方向に対応した方向に沿って延び、前記蛍光を通過させるスリットを備える、
ことを特徴とする共焦点顕微鏡。 - 前記スリットは、前記長手方向に垂直な方向の寸法が、前記発光器からの励起光のスポット径の1倍から20倍である、
請求項1に記載の共焦点顕微鏡。 - 前記走査手段は、前記発光器からの励起光を反射するとともに、励起光の照射方向に垂直な軸を中心に回転する回転ミラーまたは前記軸を中心に揺動する揺動ミラーである、
請求項1又は2に記載の共焦点顕微鏡。 - 前記試料上における前記励起光の照射位置を、前記第1の所定方向と直交する方向に移動させることが可能な移動手段を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。 - 前記発光器は、励起光としてレーザー光を出射するレーザー発光器である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡を用いて蛍光観察をするための蛍光の測定方法であって、
前記試料の所定位置に励起光を照射する第1のステップと、
前記蛍光選択手段によって、前記試料において前記励起光の照射位置から反射された励起光の反射光をカットして前記励起光の照射位置からの蛍光及び過去に発光された蛍光を選択する第2のステップと、
前記蛍光選択手段によって選択された蛍光を前記スリットを通して前記受光素子で受光する第3のステップと、
前記走査手段によって前記試料の照射位置を前記第1の所定方向に沿って移動させるとともに移動前の照射位置から発光された蛍光の照射方向を前記第2の所定方向に移動させながら、所定時間間隔毎に前記第1のステップから前記第3のステップを繰り返すことにより、前記受光素子で受光した蛍光の受光量を、所定時間間隔に対応した蛍光の測定値として測定する第4のステップと、を備える、
ことを特徴とする蛍光の測定方法。 - 前記第4のステップにおいて測定された所定時間間隔の受光量の測定値を、前記走査手段による照射位置の移動量に対応した距離だけ互いに間隔をあけて表示する第5のステップを更に有する、
請求項6に記載の蛍光の測定方法。 - 前記試料への前記励起光の照射位置を前記第1の所定方向と直交する方向に移動させる第6のステップを更に有し、前記第6のステップにおいて照射位置を移動させた後、前記第1のステップから第4のステップを繰り返す、
請求項5又は6に記載の蛍光の測定方法。
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