JP2011075595A - 露光装置、露光方法、およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 例えばロール・ツー・ロールで搬送される帯状の感光性基板への走査露光にかかるスループットの向上を達成する。
【解決手段】 本発明の露光装置は、感光性を有する基板(SH)を走査方向(Y方向)に沿って移動させる移動機構(SC)と、マスク(M)を保持し、基板の走査方向への移動に対応して、走査方向に沿って往復移動するステージ機構(MS)と、ステージ機構に保持されたマスク上に照明領域(IR)を形成する照明光学系(IL)と、照明領域内のパターンの走査方向に倒立した第1投影像を基板上の第1結像領域(ER1)に形成する第1結像系、及び照明領域内のパターンの走査方向に正立した第2投影像を第1結像領域から走査方向に間隔を隔てた第2結像領域(ER2)に形成する第2結像系を有する投影光学系(PL)と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の露光装置は、感光性を有する基板(SH)を走査方向(Y方向)に沿って移動させる移動機構(SC)と、マスク(M)を保持し、基板の走査方向への移動に対応して、走査方向に沿って往復移動するステージ機構(MS)と、ステージ機構に保持されたマスク上に照明領域(IR)を形成する照明光学系(IL)と、照明領域内のパターンの走査方向に倒立した第1投影像を基板上の第1結像領域(ER1)に形成する第1結像系、及び照明領域内のパターンの走査方向に正立した第2投影像を第1結像領域から走査方向に間隔を隔てた第2結像領域(ER2)に形成する第2結像系を有する投影光学系(PL)と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、感光性を有する基板にパターンを転写する走査型の露光装置に関する。
パソコン、テレビ等の表示素子として、液晶表示パネルが多用されている。最近では、フレキシブルな高分子シート(感光性基板)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法でパターニングすることにより表示パネルを製造する方法が考案されている。このフォトリソグラフィ工程において用いられる露光装置として、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)で搬送される帯状の感光性基板にマスクのパターンを転写する露光装置(以下、ロール・ツー・ロール型の露光装置という)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ロール・ツー・ロール型の露光装置では、帯状の感光性基板へのパターンの転写にかかるスループットの向上を図ることが求められている。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、例えばロール・ツー・ロールで搬送される帯状の感光性基板への走査露光にかかるスループットの向上を達成することのできる露光装置、露光方法およびデバイス製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様にかかる露光装置は、感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光装置であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に照明領域を形成する照明光学系と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成する第1結像系、及び前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする。
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に照明領域を形成する照明光学系と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成する第1結像系、及び前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様にかかる露光装置は、感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光装置であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する照明光学系と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成する第1結像系、及び前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする。
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する照明光学系と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成する第1結像系、及び前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかる露光方法は、感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光方法であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に照明領域を形成する工程と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成することと、前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする。
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に照明領域を形成する工程と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成することと、前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第4の態様にかかる露光方法は、感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光方法であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する工程と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成することと、前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする。
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する工程と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成することと、前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第5の態様にかかるデバイス製造方法は、本発明の第1の態様または第2の態様にかかる露光装置を用いて、前記パターンを前記基板に露光する露光工程と、
前記パターンが露光された前記基板を前記パターンに基づいて加工する加工工程と、
を含むことを特徴とする。
前記パターンが露光された前記基板を前記パターンに基づいて加工する加工工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の露光装置では、マスクの走査方向に沿った往復移動を複数回に亘って繰り返すことにより、投影光学系の直下において所定の向きに継続的に移動する基板上に、マスクのパターンの第1投影像が転写された領域と第2投影像が転写された領域とが交互に連続形成される。その結果、本発明の露光装置では、例えばロール・ツー・ロールで搬送される帯状の感光性基板への走査露光にかかるスループットを向上させることができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。第1実施形態では、図1に示すように、投影光学系PLに対してマスクMおよび帯状のシートSHを相対移動させつつマスクMのパターンをシートSHに投影露光(転写)するロール・ツー・ロール型の露光装置に対して本発明を適用している。図1では、感光性基板としてのシートSHの転写面(感光面;被露光面)の法線方向にZ軸を、シートSHの転写面に平行な面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、シートSHの転写面に平行な面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸を設定している。
第1実施形態の露光装置は、マスクMのパターン領域を照明する照明光学系ILと、パターンを有するマスクMを保持して移動するマスクステージMSと、マスクMのパターンの像をシートSH上に形成する投影光学系PLと、シートSHをロール・ツー・ロールの方式にしたがって移動させる(搬送する)移動機構SCと、マスクステージMSおよび移動機構SCを駆動する駆動制御系DRと、駆動制御系DR等の動作を統括的に制御する主制御系CRとを備えている。シートSHは、フォトレジスト(感光材料)が塗布されたフレキシブルな(可撓性をもった)帯状の高分子シートである。
照明光学系ILには、光源LSから露光用の照明光(露光光)が供給される。露光光として、例えば、超高圧水銀ランプの射出光から選択されたi線(波長365nm)の光、YAGレーザの3倍高調波(波長355nm)よりなるパルス光、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などを用いることができる。照明光学系ILは、光の入射順に、コリメータレンズ20、フライアイレンズ21、コンデンサー光学系22、可変視野絞りとしてのマスクブラインド23、照明結像光学系24(24a,24b)などを備えている。
光源LSから射出された光は、照明光学系ILを介して、マスクM上に照明領域IRを照明する。照明領域IRは、X方向に沿って細長く延びる所定の外形形状を有する。マスクMの照明領域IRからの光は、投影光学系PLを介して、第1結像領域ER1に照明領域IR内のパターンの像(第1投影像)を形成し、第1結像領域ER1からY方向に間隔を隔てた第2結像領域ER2に照明領域IR内のパターンの像(第2投影像)を形成する。投影光学系PLは、パターンの第1投影像が形成されるべき第1結像領域ER1およびパターンの第2投影像が形成されるべき第2結像領域ER2をシートSH上に形成する。
投影光学系PLは、マスクM側およびシートSH側にテレセントリックであり、マスクM側からシートSH側へ拡大倍率を有する。結像領域ER1,ER2の形状は、照明領域IRの形状を投影光学系PLの投影倍率βで拡大した形状である。以下、説明の理解を容易にするために、照明領域IRはX方向に沿って細長く延びる矩形状の領域であるものとする。この場合、第1結像領域ER1および第2結像領域ER2は、照明領域IRと同様に、X方向に沿って細長く延びる矩形状の領域になる。ただし、照明領域IRの形状、ひいては結像領域ER1,ER2の形状は、照明光学系IL中のマスクブラインド23の可変開口部(光透過部)の形状に応じて可変的に設定される。
マスクMは、マスクホルダ(不図示)を介して、マスクステージMS上に吸着保持されている。マスクステージMS上には、周知の構成を有するマスク側レーザ干渉計(不図示)が配置されている。マスク側レーザ干渉計は、マスクステージMSのX方向の位置、Y方向の位置、およびZ軸廻りの回転角を計測し、計測結果を主制御系CRに供給する。主制御系CRは、その計測値に基づいて、駆動制御系DRを介して、マスクステージMSのX方向の位置、走査方向としてのY方向の位置および速度、並びにZ軸廻りの回転角を制御する。
シートSHは、一連のロールを備えた周知の構成を有する移動機構SCの作用により、所定の経路に沿って搬送される。具体的に、移動機構SCは、投影光学系PLの直下においてシートSHを−Y方向の向きに移動させる。−Y方向の向きに移動するシートSH上には、第1結像領域ER1および第2結像領域ER2が形成される。走査露光時には、マスクステージMSが走査方向であるY方向に沿って速度V/βで往復移動するのに対応して、移動機構SCはシートSHを投影光学系PLの直下において−Y方向の向きに速度Vで移動させる。
図2は、第1実施形態にかかる投影光学系の構成を概略的に示す図である。図2において、マスクM(不図示)は、そのパターン領域が投影光学系PLの物体面OBJにほぼ一致するように配置されている。シートSH(不図示)は、その表面(感光面)が投影光学系PLの像面IMGにほぼ一致するような軌道に沿って搬送される。投影光学系PLは、反射屈折光学系としての第1中間結像光学系G11と、反射屈折光学系としての第2中間結像光学系G12と、屈折光学系としての共通結像光学系G2とを備えている。
第1中間結像光学系G11は、マスクMのパターン領域において照明領域IRにより照明されたパターンの第1中間像を形成する。第2中間結像光学系G12は、照明領域IRにより照明されたパターンの第2中間像を形成する。共通結像光学系G2は、第1中間像からの光に基づいてシートSH上の第1結像領域ER1にパターンの第1投影像を形成し、第2中間像からの光に基づいてシートSH上の第2結像領域ER2にパターンの第2投影像を形成する。
投影光学系PLは、照明領域IRの直下に固定的に配置された偏光ビームスプリッター1と、照明領域IRと偏光ビームスプリッター1との間の光路中に選択的に挿入可能な一対の偏光子2aおよび2bとを備えている。第1偏光子2aは、光路中に挿入されたときに、入射光から偏光ビームスプリッター1の偏光分割面に対するP偏光を生成する。第2偏光子2bは、光路中に挿入されたときに、入射光から偏光ビームスプリッター1の偏光分割面に対するS偏光を生成する。
すなわち、一対の偏光子2aおよび2bは、偏光ビームスプリッター1への入射光の偏光方向を互いに直交する一対の方向の間で切り換える偏光切換部材を構成している。投影光学系PLでは、照明領域IRと偏光ビームスプリッター1との間の光路中に第1偏光子2aが挿入された状態において、照明領域IRからの光に基づいて第1偏光子2aにより生成されたP偏光の光は、偏光ビームスプリッター1を透過し、第1中間結像光学系G11へ導かれる。
第1中間結像光学系G11へ導かれたP偏光の光は、1/4波長板3aにより円偏光に変換された後、レンズ群L11を介して、凹面反射鏡CM11に入射する。凹面反射鏡CM11によって反射された光は、レンズ群L11を介して、平面反射鏡PM11に入射する。平面反射鏡PM11によって反射された光は、図2中破線で示す所定面IPの位置に、照明領域IRにより照明されたパターンの第1中間像を形成する。第1中間像からの光は、共通結像光学系G2の前側レンズ群L21および後側レンズ群L22を介して、シートSH上の第1結像領域ER1にパターンの第1投影像を形成する。
一方、照明領域IRと偏光ビームスプリッター1との間の光路中に第2偏光子2bが挿入された状態では、照明領域IRからの光に基づいて第2偏光子2bにより生成されたS偏光の光は、偏光ビームスプリッター1により反射され、第2中間結像光学系G12へ導かれる。第2中間結像光学系G12へ導かれたS偏光の光は、1/4波長板3baにより円偏光に変換された後、レンズ群L12を介して、凹面反射鏡CM12に入射する。凹面反射鏡CM12によって反射された光は、レンズ群L12を介して、平面反射鏡PM12に入射する。平面反射鏡PM12によって反射された光は、レンズ群L12を介して、凹面反射鏡CM12に再入射する。
こうして、平面反射鏡PM12の位置またはその近傍に、照明領域IRにより照明されたパターンの一次中間像が形成される。凹面反射鏡CM12によって反射された光は、レンズ群L12を介して、1/4波長板3baに再入射する。1/4波長板3baによりP偏光に変換された光は、偏光ビームスプリッター1を透過し、1/4波長板3bbにより円偏光に変換された後、照明領域IRにより照明されたパターンの二次中間像(第2中間像)を所定面IPの位置に形成する。第2中間像からの光は、共通結像光学系G2の前側レンズ群L21および後側レンズ群L22を介して、シートSH上の第2結像領域ER2にパターンの第2投影像を形成する。
一対の結像領域ER1およびER2は、図3に示すように、走査方向であるY方向に間隔を隔てて形成される。具体的に、結像領域ER1,ER2は、照明領域IRを投影光学系PLの投影倍率βで拡大した形状、すなわちX方向に沿って細長く延びる矩形状の外形形状を有し、且つ互いに同じ大きさを有する。図3において、参照符号AX2は共通結像光学系G2の光軸を示し、破線の円EF2は共通結像光学系G2の射出側視野を示している。
第1結像領域ER1に形成される第1投影像は、照明領域IR内のパターンのY方向(走査方向)に倒立した像である。換言すれば、第1投影像は、マスクパターンをZ軸廻りに180度回転させた姿勢で形成される。第2結像領域ER2に形成される第2投影像は、照明領域IR内のパターンのY方向に正立した像である。その結果、第1投影像と第2投影像とは、互いに同じ大きさを有するが、Y方向に関して互いに逆向きである。
このように、投影光学系PLにおいて、第1中間結像光学系G11と共通結像光学系G2とは、照明領域IR内のパターンの走査方向に倒立した第1投影像をシートSH上の第1結像領域ER1に形成する第1結像系を構成している。第2中間結像光学系G12と共通結像光学系G2とは、照明領域IR内のパターンの走査方向に正立した第2投影像をシートSH上の第2結像領域ER2に形成する第2結像系を構成している。共通結像光学系G2は、第1結像系(G11,G2)と第2結像系(G12,G2)とに共通の光学系である。また、第1結像系(G11,G2)と第2結像系(G12,G2)とは、互いに共軸の光学部材(L21,L22)を有する。
また、投影光学系PLにおいて、偏光ビームスプリッター1と一対の偏光子2a,2bとは、照明領域IRからの光の光路を第1中間結像光学系G11へ向かう光路と第2中間結像光学系G12へ向かう光路との間で切り換える光路選択部を構成している。また、別の観点によれば、偏光ビームスプリッター1と一対の偏光子2a,2bとは、マスクステージMSのY方向に沿った往復移動における移動の向き(+Y方向の向き、または−Y方向の向き)に対応して、照明領域IRからの光を第1結像領域ER1又は第2結像領域ER2に選択的に供給する選択供給部を構成している。
以下、図4および図5を参照して、第1実施形態における走査露光の動作を説明する。図4および図5を参照すると、マスクM(不図示)上には、例えば表示パネルの回路パターンが形成された矩形状のパターン領域PAが設けられている。走査露光に際して、シートSHは投影光学系PLの直下において−Y方向の向きに一定の速度で搬送され、マスクMはシートSHの移動に対応してY方向に沿って一定の速度で往復移動する。シートSH上には、マスクMのパターン領域PAを投影光学系PLの投影倍率βで拡大した矩形状のショット領域SR1,SR2が間隔を隔てて順次形成される。
図4および図5では、投影光学系PLの2回結像型の第1結像系(G11,G2)を介してマスクMのパターンが転写されるショット領域または転写されたショット領域を参照符号SR1で表している。また、3回結像型の第2結像系(G12,G2)を介してマスクMのパターンが転写されるショット領域または転写されたショット領域を参照符号SR2で表している。ショット領域SR1とショット領域SR2とは、シートSHの長手方向に沿って交互に形成される。
第1実施形態では、ショット領域SR1への走査露光に際して、投影光学系PLの照明領域IRと偏光ビームスプリッター1との間の光路中に第1偏光子2aが挿入される。その結果、第1結像領域ER1には第1結像系(G11,G2)を介してパターンの倒立像が形成されるが、第2結像領域ER2にはパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、照明領域IRがパターン領域PAの+Y方向側の端部に位置する始動位置(図4(a)を参照)から−Y方向側の端部に位置する終了位置(図4(b)を参照)に達するまで、パターン領域PAが照明領域IRによって走査されるように、マスクM(ひいてはマスクステージMS)を+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に対応して、第1結像領域ER1がショット領域SR1の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図4(a)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図4(b)を参照)に達するまで、ショット領域SR1が第1結像領域ER1によって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMとは逆向きに移動する。こうして、ショット領域SR1には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光(転写)される。
マスクM(ひいてはマスクステージMS)は、ショット領域SR1への走査露光の終了位置を過ぎた直後に減速し始め、やがて停止する。次いで、マスクMは−Y方向への移動を開始し、やがて走査露光に必要な所要の速度に達するとともにショット領域SR2への走査露光の始動位置(図4(c)を参照)に達する。マスクMがショット領域SR1への走査露光の終了位置を過ぎてからショット領域SR2への走査露光の始動位置に達するまでの間に、第1偏光子2aが光路から退避し、第2偏光子2bが光路中に挿入される。
その結果、第2結像領域ER2には第2結像系(G12,G2)を介してパターンの正立像が形成されるが、第1結像領域ER1にはパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、照明領域IRがパターン領域PAの−Y方向側の端部に位置する始動位置(図4(c)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図5(a)を参照)に達するまで、パターン領域PAが照明領域IRによって走査されるように、マスクMを−Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの−Y方向への移動に対応して、第2結像領域ER2がショット領域SR2の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図4(c)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図5(a)を参照)に達するまで、ショット領域SR2が第2結像領域ER2によって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMと同じ向きに移動する。こうして、ショット領域SR2には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光される。
マスクMは、ショット領域SR2への走査露光の終了位置を過ぎた直後に減速し始め、やがて停止する。次いで、マスクMは+Y方向への移動を開始し、やがて走査露光に必要な所要の速度に達するとともに次のショット領域SR1への走査露光の始動位置(図5(b)を参照)に達する。マスクMがショット領域SR2への走査露光の終了位置を過ぎてから次のショット領域SR1への走査露光の始動位置に達するまでの間に、第2偏光子2bが光路から退避し、第1偏光子2aが光路中に挿入される。
その結果、第1結像領域ER1にはパターンの倒立像が形成されるが、第2結像領域ER2にはパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、照明領域IRがパターン領域PAの+Y方向側の端部に位置する始動位置(図5(b)を参照)から−Y方向側の端部に位置する終了位置(図5(c)を参照)に達するまで、パターン領域PAが照明領域IRによって走査されるように、マスクMを+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に対応して、第1結像領域ER1がショット領域SR1の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図5(b)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図5(c)を参照)に達するまで、ショット領域SR1が第1結像領域ER1によって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMとは逆向きに移動する。こうして、次のショット領域SR1には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光される。
以上のように、第1実施形態の露光装置では、マスクMのY方向に沿った往復移動を複数回に亘って繰り返すことにより、投影光学系PLの直下において−Y方向の向きに継続的に移動するシートSH上に、マスクMのパターンの第1投影像が転写されたショット領域SR1と第2投影像が転写されたショット領域SR2とが交互に連続形成される。すなわち、第1実施形態の露光装置では、ロール・ツー・ロールで搬送される帯状のシートSHへの走査露光にかかるスループットを向上させることができる。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、投影光学系PLに対してマスクMおよびシートSHを相対移動させつつマスクMのパターンをシートSHに投影露光するロール・ツー・ロール型の露光装置に対して本発明を適用している。また、図6では、シートSHの転写面の法線方向にZ軸を、シートSHの転写面に平行な面内において図6の紙面に平行な方向にY軸を、シートSHの転写面に平行な面内において図6の紙面に垂直な方向にX軸を設定している。
第2実施形態は、第1実施形態と類似の構成を有する。しかしながら、第2実施形態では、照明光学系ILが間隔を隔てた一対の照明領域IR1,IR2を形成する点、および投影光学系PLが第1照明領域IR内のパターンの投影像または第2照明領域IR2内のパターンの投影像を1つの結像領域ERに形成する点が、第1実施形態と相違している。図6では、図1の第1実施形態における要素と同様の機能を有する構成要素に、図1と同じ参照符号を付している。以下、第1実施形態との相違点に着目し、第2実施形態の構成および作用を説明する。
第2実施形態において、照明光学系ILが形成する一対の照明領域IR1およびIR2は、図7に示すように、走査方向であるY方向に間隔を隔てている。具体的に、照明領域IR1,IR2は、結像領域ERを投影光学系PLの投影倍率βの逆数1/βで縮小した形状、すなわちX方向に沿って細長く延びる矩形状の外形形状を有し、且つ互いに同じ大きさを有する。図7において、参照符号AX1は第1中間結像光学系G11の光軸(ひいては照明光学系ILの光軸)を示し、破線の円EFは投影光学系PLの入射側視野を示している。
第2実施形態にかかる投影光学系PLは、図8に示すように、反射屈折光学系としての第1中間結像光学系G11と、屈折光学系としての第2中間結像光学系G12と、屈折光学系としての共通結像光学系G2とを備えている。第1中間結像光学系G11は、マスクMのパターン領域において第1照明領域IR1により照明されたパターンの第1中間像を形成する。第2中間結像光学系G12は、第2照明領域IRにより照明されたパターンの第2中間像を形成する。共通結像光学系G2は、第1中間像からの光に基づいてシートSH上の結像領域ERにパターンの第1投影像を形成し、第2中間像からの光に基づいて結像領域ERにパターンの第2投影像を形成する。
投影光学系PLは、一対の照明領域IR1,IR2の直下に配置された偏光子4と、第1中間結像光学系G11から共通結像光学系G2へ至る光路中(ひいては第2中間結像光学系G12から共通結像光学系G2へ至る光路中)に配置された偏光ビームスプリッター5とを備えている。偏光子4は、第1照明領域IR1から入射した光に基づいて、あるいは第2照明領域IR2から入射した光に基づいて、偏光ビームスプリッター5の偏光分割面に対するS偏光を生成する。
投影光学系PLでは、第1照明領域IR1からの光に基づいて偏光子4により生成されたS偏光の光が、偏光ビームスプリッター5に入射することなく、第1中間結像光学系G11へ導かれる。第1中間結像光学系G11へ導かれたS偏光の光は、レンズ群L11を介して、凹面反射鏡CM11に入射する。凹面反射鏡CM11によって反射された光は、レンズ群L11を介して、偏光ビームスプリッター5に入射する。偏光ビームスプリッター5によって反射されたS偏光の光は、図8中破線で示す所定面IPの位置に、第1照明領域IR1により照明されたパターンの第1中間像を形成する。
第1中間像からの光は、1/4波長板6により円偏光に変換された後、共通結像光学系G2の前側レンズ群L21および後側レンズ群L22を介して、シートSH上の結像領域ERにパターンの第1投影像を形成する。すなわち、第1照明領域IR1からの光は、偏光子4、第1中間結像光学系G11、および偏光ビームスプリッター5を経て、共通結像光学系G2へ導かれる。
一方、第2照明領域IR2からの光に基づいて偏光子4により生成されたS偏光の光は、偏光ビームスプリッター5により反射され、第2中間結像光学系G12へ導かれる。第2中間結像光学系G12へ導かれたS偏光の光は、1/4波長板7により円偏光に変換された後、一対のレンズ群L12aおよびL12bを介して、平面反射鏡PM12に入射する。平面反射鏡PM12によって反射された光は、一対のレンズ群L12bおよびL12aに入射する。こうして、平面反射鏡PM12の位置またはその近傍に、第2照明領域IR2により照明されたパターンの一次中間像が形成される。
一対のレンズ群L12bおよびL12aを経た光は、1/4波長板7によりP偏光に変換され、偏光ビームスプリッター5を透過した後、第2照明領域IR2により照明されたパターンの二次中間像(第2中間像)を所定面IPの位置に形成する。第2中間像からの光は、1/4波長板6により円偏光に変換された後、共通結像光学系G2の前側レンズ群L21および後側レンズ群L22を介して、シートSH上の結像領域ERにパターンの第2投影像を形成する。すなわち、第2照明領域IR2からの光は、偏光子4、偏光ビームスプリッター5、第2中間結像光学系G12、および偏光ビームスプリッター5を経て、共通結像光学系G2へ導かれる。
投影光学系PLは、第1照明領域IR1から第1中間結像光学系G11を経て共通結像光学系G2へ導かれる第1の光又は第2照明領域IR2から第2中間結像光学系G12を経て共通結像光学系G2へ導かれる第2の光を選択的に遮断する遮光部として、例えば偏光子4とレンズ群L11との間の光路に対して挿脱可能な第1シャッター8aと、一対のレンズ群L12aとL12bとの間の光路に対して挿脱可能な第2シャッター8bとを備えている。
結像領域ERに形成される第1投影像は、第1照明領域IR1内のパターンのY方向(走査方向)に倒立した像である。結像領域ERに形成される第2投影像は、第2照明領域IR2内のパターンのY方向に正立した像である。その結果、第1投影像と第2投影像とは、互いに同じ大きさを有するが、Y方向に関して互いに逆向きである。投影光学系PLにおいて、第1中間結像光学系G11と共通結像光学系G2とは、第1照明領域IR1内のパターンの走査方向に倒立した第1投影像をシートSH上の結像領域ERに形成する第1結像系を構成している。
第2中間結像光学系G12と共通結像光学系G2とは、第2照明領域IR2内のパターンの走査方向に正立した第2投影像をシートSH上の結像領域ERに形成する第2結像系を構成している。共通結像光学系G2は第1結像系(G11,G2)と第2結像系(G12,G2)とに共通の光学系であり、第1結像系(G11,G2)と第2結像系(G12,G2)とは互いに共軸の光学部材(L21,L22)を有する。
投影光学系PLにおいて、偏光子4と偏光ビームスプリッター5とは、第1照明領域IR1から第1中間結像光学系G11を経て共通結像光学系G2へ導かれる第1の光の第1光路と、第2照明領域IR2から第2中間結像光学系G12を経て共通結像光学系G2へ導かれる第2の光の第2光路とを合成する合成部を構成している。遮光部としての一対のシャッター8a,8bは、マスクステージMSのY方向に沿った往復移動における移動の向き(+Y方向の向き、または−Y方向の向き)に対応して、結像領域ERに第1照明領域IR1からの光又は第2照明領域IR2からの光を選択的に供給する選択供給部を構成している。
以下、図9および図10を参照して、第2実施形態における走査露光の動作を説明する。図9および図10を参照すると、マスクM(不図示)上には、例えば表示パネルの回路パターンが形成された矩形状のパターン領域PAが設けられている。走査露光に際して、シートSHは投影光学系PLの直下において−Y方向の向きに一定の速度で搬送され、マスクMはシートSHの移動に対応してY方向に沿って一定の速度で往復移動する。シートSH上には、マスクMのパターン領域PAを投影光学系PLの投影倍率βで拡大した矩形状のショット領域SR1,SR2が間隔を隔てて順次形成される。
図9および図10では、投影光学系PLの2回結像型の第1結像系(G11,G2)を介してマスクMのパターンが転写されるショット領域または転写されたショット領域を参照符号SR1で表している。また、3回結像型の第2結像系(G12,G2)を介してマスクMのパターンが転写されるショット領域または転写されたショット領域を参照符号SR2で表している。ショット領域SR1とショット領域SR2とは、シートSHの長手方向に沿って交互に形成される。
第2実施形態では、ショット領域SR1への走査露光に際して、一対のレンズ群L12aとL12bとの間の光路中に第2シャッター8bが挿入される。その結果、結像領域ERには第1照明領域IR1内のパターンの倒立像が形成されるが、第2照明領域IR2内のパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、第1照明領域IR1がパターン領域PAの+Y方向側の端部に位置する始動位置(図9(a)を参照)から−Y方向側の端部に位置する終了位置(図9(b)を参照)に達するまで、パターン領域PAが第1照明領域IR1によって走査されるように、マスクM(ひいてはマスクステージMS)を+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に対応して、結像領域ERがショット領域SR1の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図9(a)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図9(b)を参照)に達するまで、ショット領域SR1が結像領域ERによって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMとは逆向きに移動する。こうして、ショット領域SR1には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光(転写)される。
マスクM(ひいてはマスクステージMS)は、ショット領域SR1への走査露光の終了位置を過ぎた直後に減速し始め、やがて停止する。次いで、マスクMは−Y方向への移動を開始し、やがて走査露光に必要な所要の速度に達するとともにショット領域SR2への走査露光の始動位置(図9(c)を参照)に達する。マスクMがショット領域SR1への走査露光の終了位置を過ぎてからショット領域SR2への走査露光の始動位置に達するまでの間に、第2シャッター8bが光路から退避し、偏光子4とレンズ群L11との間の光路中に第1シャッター8aが挿入される。
その結果、結像領域ERには第2照明領域IR2内のパターンの正立像が形成されるが、第1照明領域IR1内のパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、第2照明領域IR2がパターン領域PAの−Y方向側の端部に位置する始動位置(図9(c)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図10(a)を参照)に達するまで、パターン領域PAが第2照明領域IR2によって走査されるように、マスクMを−Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの−Y方向への移動に対応して、結像領域ERがショット領域SR2の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図9(c)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図10(a)を参照)に達するまで、ショット領域SR2が結像領域ERによって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMと同じ向きに移動する。こうして、ショット領域SR2には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光される。
マスクMは、ショット領域SR2への走査露光の終了位置を過ぎた直後に減速し始め、やがて停止する。次いで、マスクMは+Y方向への移動を開始し、やがて走査露光に必要な所要の速度に達するとともに次のショット領域SR1への走査露光の始動位置(図10(b)を参照)に達する。マスクMがショット領域SR2への走査露光の終了位置を過ぎてから次のショット領域SR1への走査露光の始動位置に達するまでの間に、第1シャッター8aが光路から退避し、第2シャッター8bが光路中に挿入される。
その結果、結像領域ERには第1照明領域IR1内のパターンの倒立像が形成されるが、第2照明領域IR2内のパターンの像が形成されない状態になる。この状態で、第1照明領域IR1がパターン領域PAの+Y方向側の端部に位置する始動位置(図10(b)を参照)から−Y方向側の端部に位置する終了位置(図10(c)を参照)に達するまで、パターン領域PAが第1照明領域IR1によって走査されるように、マスクMを+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に対応して、結像領域ERがショット領域SR1の−Y方向側の端部に位置する始動位置(図10(b)を参照)から+Y方向側の端部に位置する終了位置(図10(c)を参照)に達するまで、ショット領域SR1が結像領域ERによって走査されるように、シートSHが−Y方向へ、すなわちマスクMとは逆向きに移動する。こうして、次のショット領域SR1には、マスクMのパターン領域PA内のパターンが走査露光される。
以上のように、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、マスクMのY方向に沿った往復移動を複数回に亘って繰り返すことにより、投影光学系PLの直下において−Y方向の向きに継続的に移動するシートSH上に、マスクMのパターンの第1投影像が転写されたショット領域SR1と第2投影像が転写されたショット領域SR2とが交互に連続形成される。すなわち、第2実施形態の露光装置においても、ロール・ツー・ロールで搬送される帯状のシートSHへの走査露光にかかるスループットを向上させることができる。
なお、第1実施形態では、偏光ビームスプリッター1と一対の偏光子2a,2bとにより、マスクステージMSの往復移動における移動の向きに対応して、照明領域IRからの光を第1結像領域ER1又は第2結像領域ER2に選択的に供給する選択供給部を構成している。しかしながら、これに限定されることなく、第1実施形態における選択供給部の具体的な構成については様々な形態が可能である。一例として、偏光ビームスプリッター1に代えて偏光特性を有しない通常のビームスプリッターを配置し、このビームスプリッターを経た光を第1中間結像光学系G11の光路中において第1シャッター(例えば第2実施形態における第1シャッター8aに対応)により選択的に遮り、ビームスプリッターを経た光を第2中間結像光学系G12の光路中において第2シャッター(例えば第2実施形態における第2シャッター8bに対応)により選択的に遮る構成も可能である。
また、第2実施形態では、光路に対して挿脱自在な一対のシャッター8a,8bにより、マスクステージMSのY方向に沿った往復移動における移動の向きに対応して、結像領域ERに第1照明領域IR1からの光又は第2照明領域IR2からの光を選択的に供給する選択供給部を構成している。しかしながら、これに限定されることなく、第2実施形態における選択供給部の具体的な構成についても様々な形態が可能である。
また、第2実施形態では、投影光学系PLが一対のシャッター8a,8bからなる選択供給部を備えているが、これに限定されることなく、照明光学系ILが選択供給部を備える構成も可能である。一例として、照明光学系ILの光路中に配置されて開口部を開閉するシャッターの作用により、あるいは照明光学系ILの光路に対して挿脱自在なシャッターの作用により、第1照明領域IR1又は第2照明領域IR2を選択的に形成し、ひいては結像領域ERに第1照明領域IR1からの光又は第2照明領域IR2からの光を選択的に供給する構成が可能である。
また、上述の各実施形態では、拡大倍率を有する投影光学系PLに本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、例えば等倍の投影光学系または縮小倍率を有する投影光学系に対しても同様に本発明を適用することができる。
また、上述の各実施形態では、可撓性を有する帯状の感光性基板への走査露光を行う露光装置に本発明を適用している。しかしながら、可撓性を有する帯状の形態に限定されることなく、一般に、感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光装置に対して本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
上述の実施形態にかかる露光装置を用いて、半導体デバイス、液晶デバイスなどを製造することができる。図11は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図11に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の露光装置を用い、マスクMに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハの表面に生成されたレジストパターンをウェハ加工用のマスクとし、ウェハの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層(転写パターン層)であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。このようにステップS46,S48では、ステップS44によってパターンが転写されたウェハが処理される。なお、ステップS44では、上述の実施形態の露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハを感光性基板としてパターンの転写を行う。
図12は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図12に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、感光性基板としてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、このパターンが転写された感光性基板を処理する処理工程とが含まれている。また、この感光性基板を処理する処理工程には、パターンが転写された感光性基板の現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層(転写パターン層)を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。なお、この加工工程におけるガラス基板の表面の加工には、ガラス基板の表面をエッチングすること、またはガラス基板の表面に所定の材料を蒸着もしくは塗布すること等が含まれる。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイスまたは液晶デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
LS 光源
IL 照明光学系
IR,IR1,IR2 照明領域
ER,ER1,ER2 結像領域
M マスク
MS マスクステージ
PL 投影光学系
G11,G12 中間結像光学系
G2 共通結像光学系
SH 帯状のシート
SC 移動機構
DR 駆動制御系
CR 主制御系
IL 照明光学系
IR,IR1,IR2 照明領域
ER,ER1,ER2 結像領域
M マスク
MS マスクステージ
PL 投影光学系
G11,G12 中間結像光学系
G2 共通結像光学系
SH 帯状のシート
SC 移動機構
DR 駆動制御系
CR 主制御系
Claims (23)
- 感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光装置であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に照明領域を形成する照明光学系と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成する第1結像系、及び前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。 - 前記投影光学系は、前記ステージ機構の前記往復移動における移動の向きに対応して、前記照明領域からの光を前記第1結像領域又は前記第2結像領域に選択的に供給する選択供給部を有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記第1結像系と前記第2結像系とは、互いに共軸の光学部材を有することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
- 前記第1結像系は、前記照明領域からの光に基づいて前記パターンの第1中間像を形成する第1中間結像光学系と、前記第2結像系と共通の光学系であって前記第1中間像からの光に基づいて前記第1投影像を形成する共通結像光学系とを有し、
前記第2結像系は、前記照明領域からの光に基づいて前記パターンの第2中間像を形成する第2中間結像光学系と、前記第2中間像からの光に基づいて前記第2投影像を形成する前記共通結像光学系とを有することを特徴とする請求項3に記載の露光装置。 - 前記選択供給部は、前記照明領域からの光の光路を前記第1中間結像光学系へ向かう光路と前記第2中間結像光学系へ向かう光路との間で切り換える光路選択部を有することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記光路選択部は、偏光ビームスプリッターと、該偏光ビームスプリッターへの入射光の偏光方向を互いに直交する一対の方向の間で切り換える偏光切換部材とを有することを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
- 前記偏光切換部材は、前記照明領域と前記偏光ビームスプリッターとの間の光路中に挿入されて前記偏光ビームスプリッターの偏光分割面に対するP偏光を生成する第1偏光子と、前記光路中に挿入されて前記偏光分割面に対するS偏光を生成する第2偏光子とを、前記光路中に選択的に挿入可能に有することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
- 前記選択供給部は、ビームスプリッターと、該ビームスプリッターを経た光を前記第1中間結像光学系の光路中において選択的に遮る第1シャッターと、該ビームスプリッターを経た光を前記第2中間結像光学系の光路中において選択的に遮る第2シャッターとを有することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光装置であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる移動機構と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動するステージ機構と、
前記ステージ機構に保持された前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する照明光学系と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成する第1結像系、及び前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成する第2結像系を有する投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。 - 前記投影光学系及び前記照明光学系の少なくとも一方は、前記ステージ機構の前記往復移動における移動の向きに対応して、前記結像領域に前記第1照明領域からの光又は前記第2照明領域からの光を選択的に供給する選択供給部を有することを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
- 前記第1結像系と前記第2結像系とは、互いに共軸の光学部材を有することを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
- 前記第1結像系は、前記第1照明領域からの光に基づいて前記パターンの第1中間像を形成する第1中間結像光学系と、前記第2結像系と共通の光学系であって前記第1中間像からの光に基づいて前記第1投影像を形成する共通結像光学系とを有し、
前記第2結像系は、前記第2照明領域からの光に基づいて前記パターンの第2中間像を形成する第2中間結像光学系と、前記第2中間像からの光に基づいて前記第2投影像を形成する前記共通結像光学系とを有することを特徴とする請求項11に記載の露光装置。 - 前記投影光学系は、前記第1照明領域から前記第1中間結像光学系を経て前記共通結像光学系へ導かれる第1の光の第1光路と、前記第2照明領域から前記第2中間結像光学系を経て前記共通結像光学系へ導かれる第2の光の第2光路とを合成する合成部を有し、
前記選択供給部は、前記第1の光又は前記第2の光を選択的に遮断する遮光部を有することを特徴とする請求項12に記載の露光装置。 - 前記合成部は、前記第1中間結像光学系から前記共通結像光学系へ至る光路中に配置された偏光ビームスプリッターと、前記第1照明領域と前記第1中間結像光学系との間の光路中に配置されて前記偏光ビームスプリッターの偏光分割面に対してS偏光の光を生成する偏光子とを有し、
前記第1照明領域からの光は、前記偏光子、前記第1中間結像光学系、および前記偏光ビームスプリッターを経て前記共通結像光学系へ導かれ、
前記第2照明領域からの光は、前記偏光子、前記偏光ビームスプリッター、前記第2中間結像光学系、および前記偏光ビームスプリッターを経て前記共通結像光学系へ導かれることを特徴とする請求項13に記載の露光装置。 - 前記基板は可撓性をもった帯状のシートの形態を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記第1投影像と前記第2投影像とは互いに同じ大きさを有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記共通結像光学系は屈折光学系であることを特徴とする請求項4乃至8および請求項12乃至14のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記第1中間結像光学系および前記第2中間結像光学系のうちの少なくとも一方は反射屈折光学系であることを特徴とする請求項4乃至8および請求項12乃至14のいずれか1項に記載の露光装置。
- 感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光方法であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に照明領域を形成する工程と、
前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の第1結像領域に形成することと、前記照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記第1結像領域から前記走査方向に間隔を隔てた第2結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする露光方法。 - 感光性を有する基板にマスクのパターンを露光する露光方法であって、
前記基板を走査方向に沿って移動させる工程と、
前記マスクを保持し、前記基板の前記走査方向への移動に対応して、前記走査方向に沿って往復移動させる工程と、
前記マスク上に前記走査方向に間隔を隔てた第1照明領域および第2照明領域を形成する工程と、
前記第1照明領域内の前記パターンの前記走査方向に倒立した第1投影像を前記基板上の結像領域に形成することと、前記第2照明領域内の前記パターンの前記走査方向に正立した第2投影像を前記結像領域に形成することとを、前記往復移動における前記基板の移動の向きに対応して選択的に行う工程と、を含むことを特徴とする露光方法。 - 前記基板として、可撓性をもった帯状のシートを用いることを特徴とする請求項19または20に記載の露光方法。
- 前記第1投影像と前記第2投影像として互いに同じ大きさを有する像を形成することを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の露光方法。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載の露光装置を用いて、前記パターンを前記基板に露光する露光工程と、
前記パターンが露光された前記基板を前記パターンに基づいて加工する加工工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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JP2009223724A JP2011075595A (ja) | 2009-09-29 | 2009-09-29 | 露光装置、露光方法、およびデバイス製造方法 |
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WO2013080996A1 (ja) * | 2011-11-30 | 2013-06-06 | 株式会社オーク製作所 | 反射屈折型投影光学系およびそれを備えた投影露光装置 |
WO2022009456A1 (ja) * | 2020-07-06 | 2022-01-13 | 株式会社 ベアック | 露光装置 |
-
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JP2013114175A (ja) * | 2011-11-30 | 2013-06-10 | Orc Manufacturing Co Ltd | 反射屈折型投影光学系およびそれを備えた投影露光装置 |
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