JP5459482B2 - 送光光学系、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法 - Google Patents

送光光学系、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、送光光学系、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に好適な照明光学系に関するものである。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ(またはマイクロフライアイレンズ)を介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源を形成する。二次光源からの光束は、コンデンサーレンズにより集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。
マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ上に結像し、感光性基板としてのウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスク上に設けられる回路パターンの高密度化に伴い、露光光(照明光)の短波長化、投影光学系の高開口数化、高感度レジストの開発などが盛んである。一般に、露光装置において高スループットを維持することは生産性の観点から重要である。
露光装置において、光源からの光によりマスクを照明する照明光学系では、例えばArFエキシマレーザ光源から射出された光束の光路を90度折り曲げるための光路折曲げ手段として、反射ミラーや全反射45度プリズム(直角プリズム)を用いることが多い。しかしながら、反射ミラーや全反射45度プリズムでは、入射光束のエネルギ量、エネルギ密度、照射時間などに依存して、反射膜や光学材料が劣化し易い。
また、反射ミラーや全反射45度プリズムでは、光学面(反射面、入射面、射出面など)への物質の付着、光学面の光化学反応による損傷等に起因して、すなわち光学面の「曇り」という現象に起因して反射率などが低下し易い。いわゆる「曇り」に起因する反射率などの低下は、入射光束のエネルギ量、エネルギ密度、照射時間などに依存して発生し易い。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、反射ミラーや全反射45度プリズムのような反射部材の光学特性を安定的に維持することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、反射ミラーや全反射45度プリズムのような反射部材の光学特性を安定的に維持することのできる照明光学系を用いて、高スループットな露光を安定的に行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、光源からの光束を所定面上の特定領域まで送光する送光光学系において、
前記光源と前記所定面との間の光路中に配置されて、入射光束を第1光束と第2光束とに分割する光束分割部材と、
前記光束分割部材と前記所定面との間の光路中に配置された少なくとも1つの反射部材と、
前記少なくとも1つの反射部材と前記所定面との間の光路中に配置されて、前記第1光束を前記特定領域内の第1領域へ導き且つ前記第2光束を前記特定領域内の第2領域へ導く導光部材とを備えていることを特徴とする送光光学系を提供する。
本発明の第2形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
第1形態の送光光学系を備え、前記特定領域は前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された回折光学素子の有効回折光学面であることを特徴とする照明光学系を提供する。
本発明の第3形態では、所定のパターンを照明するための第2形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第4形態では、第3形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記パターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記パターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
本発明の照明光学系では、送光光学系中の照明光路を複線化することにより、送光光学系中の反射部材に入射する光束のエネルギ密度を約1/2に低減しつつ、回折光学素子の有効回折光学面に所望の断面および照度を有する光束を入射させることができる。したがって、本発明では、従来技術に比して、反射膜や光学材料が劣化し難く、且つ「曇り」に起因する反射率などの低下も発生し難い。
こうして、本発明では、反射ミラーや全反射45度プリズムのような反射部材の光学特性を安定的に維持することのできる照明光学系を実現することができる。その結果、本発明の露光装置では、反射ミラーや全反射45度プリズムのような反射部材の光学特性を安定的に維持することのできる照明光学系を用いて、高スループットな露光を安定的に行うことができ、ひいては良好なデバイスを高スループットで製造することができる。
本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 図1の送光光学系の内部構成を概略的に示す図である。 第1変形例にかかる送光光学系の内部構成を概略的に示す図である。 第2変形例にかかる送光光学系の要部構成を概略的に示す図である。 半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。 液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1 光源
3 検出部
4 制御部
5 送光光学系
6 ビーム形状可変部
7 マイクロフライアイレンズ(フライアイレンズ)
8 コンデンサー光学系
9 マスクブラインド(照明視野絞り)
10 結像光学系
61 回折光学素子
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1として、たとえば約193nmの波長を有する光を供給するArFエキシマレーザ光源または約248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源を備えている。
光源1から射出されたほぼ平行な光束は、必要に応じて所定の矩形状の断面を有する光束に整形された後、ビームスプリッター2に入射する。ビームスプリッター2で反射されて照明光路の外部へ取り出された光束は、光源1から供給される光束の位置および角度を検出する検出部3に入射する。検出部3で検出された光束の位置情報および角度情報は、制御部4に供給される。制御部4は、後述するように、検出部3の出力に基づいて、送光光学系5中の反射部材の姿勢を制御する。検出部3と制御部4とを備える光束追尾装置については周知であり、その内部構成の説明を省略する。
一方、ビームスプリッター2を透過して照明光路に沿って導かれた光束は、送光光学系5に入射する。送光光学系5の内部構成および作用については後述する。送光光学系5を経た光束は、ビーム形状可変部6を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)7に入射する。送光光学系5は、入射光束を後段のビーム形状可変部6へ導くとともに、ビーム形状可変部6へ入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。
ビーム形状可変部6は、回折光学素子61、変倍光学系(不図示)などを含み、マイクロフライアイレンズ7の入射面に形成される照野の大きさおよび形状を、ひいてはマイクロフライアイレンズ7の後側焦点面に形成される実質的な面光源の大きさおよび形状を変化させる機能を有する。回折光学素子61は、入射光束の光束断面形状を異なる光束断面形状に変換する光学素子である。一般に、回折光学素子は、基板に露光光(照明光)の波長程度のピッチを有する段差を形成することによって構成され、入射ビームを所望の角度に回折する作用を有する。
マイクロフライアイレンズ7は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。なお、マイクロフライアイレンズ7に代えて、回折光学素子や角柱状のロッド型インテグレータのようなオプティカルインテグレータを用いることもできる。
マイクロフライアイレンズ7に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、光束が入射した各微小レンズの後側焦点面には光源がそれぞれ形成される。こうして、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面には、多数の光源からなる実質的な面光源(以下、「二次光源」という)が形成される。マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面(照明瞳)に形成された二次光源(瞳輝度分布)からの光束は、コンデンサー光学系8を介した後、マスクブラインド9を重畳的に照明する。
なお、マイクロフライアイレンズ7の後側または前側に開口絞りを配置して光束を制限することも可能である。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド9には、マイクロフライアイレンズ7を構成する各微小レンズの形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド9の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系10の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスク(レチクル)Mを重畳的に照明する。
すなわち、結像光学系10は、マスクブラインド9の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。マスクMを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面内においてウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
図2は、図1の送光光学系の内部構成を概略的に示す図である。本実施形態の送光光学系5では、図2に示すように、照明光路に沿って入射した光束Lが、一対のひし形プリズム51aおよび51bの作用により、第1光束L1と第2光束L2とに波面分割される。すなわち、第1光束L1および第2光束L2が光束Lから同時に生成される。ひし形プリズム51aを経た第1光束L1は、シリンドリカルレンズ群52aの作用により、その断面が図2の紙面に沿って拡大された後、全反射45度プリズム(以下、「直角プリズム」という)53aに入射する。
同様に、ひし形プリズム51bを経た第2光束L2は、シリンドリカルレンズ群52bの作用により、その断面が図2の紙面に沿って拡大された後、直角プリズム53bに入射する。以下、説明の理解を容易にするために、光束L1およびL2の断面がシリンドリカルレンズ群52aおよび52bにより図2の紙面に沿って2倍に拡大されるものとする。この場合、直角プリズム53aおよび53bに入射する光束L1およびL2のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度の1/2に低減される。
直角プリズム53aに入射した第1光束L1は、90度偏向されて射出された後、直角プリズム54aに入射する。直角プリズム54aに入射した第1光束L1は、90度偏向されて射出された後、シリンドリカルレンズ群55aに入射する。同様に、直角プリズム53bに入射した第2光束L2は、90度偏向されて射出された後、直角プリズム54bに入射する。直角プリズム54bに入射した第2光束L2は、90度偏向されて射出された後、シリンドリカルレンズ群55bに入射する。
シリンドリカルレンズ群55aに入射した第1光束L1は、その断面が図2の紙面に沿って例えば1/2に縮小された後、ひし形プリズム56aに入射する。シリンドリカルレンズ群55bに入射した第2光束L2も、その断面が図2の紙面に沿って同じく1/2に縮小された後、ひし形プリズム56bに入射する。その結果、ひし形プリズム56aおよび56bに入射する光束L1およびL2のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lとほぼ同じエネルギ密度に戻る。
ひし形プリズム56aから射出された第1光束L1は、回折光学素子61の入射面の第1領域61aへ導かれる。一方、ひし形プリズム56bから射出された第2光束L2は、回折光学素子61の入射面において第1領域61aと図2中鉛直方向に沿って隣接する第2領域61bへ導かれる。第1領域61aおよび第2領域61bは、回折光学素子61の有効回折光学面61cの範囲内にある。
こうして、回折光学素子61には、送光光学系5への入射光束Lと同じ断面を有し且つほぼ同じエネルギ密度(照度)を有する光束(L1,L2)が入射する。ただし、送光光学系5中に配置されて光路折曲げ手段として機能する4つの直角プリズム53a,53b,54a,54bに入射する光束L1,L2のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減されている。
ちなみに、従来技術にしたがって、送光光学系5への入射光束Lを2つの直角プリズムを介して回折光学素子61へ導く場合、2つの直角プリズムに入射する光束のエネルギ密度は送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度とほぼ同じである。逆に言えば、従来技術において、直角プリズムに入射する光束のエネルギ密度を送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減するには、例えば整形光学系の作用により直角プリズムへの入射光束の断面を拡大する必要がある。その場合、直角プリズムが大型化し、その製造が極めて困難になってしまう。
本実施形態では、送光光学系5中の照明光路を複線化することにより、送光光学系5中の直角プリズム53a,53b,54a,54bに入射する光束L1,L2のエネルギ密度を約1/2に低減しつつ、回折光学素子61に所望の断面および照度を有する光束を入射させることができる。したがって、本実施形態では、従来技術に比して、反射部材としての直角プリズム53a,53b,54a,54bを形成する光学材料が劣化し難く、且つ「曇り」に起因する反射率などの低下も発生し難い。
こうして、本実施形態では、直角プリズム53a,53b,54a,54bの反射特性を安定的に維持することのできる照明光学系(2,5〜10)を実現することができる。その結果、本実施形態の露光装置では、直角プリズム53a,53b,54a,54bの反射特性を安定的に維持することのできる照明光学系(2,5〜10)を用いて、高スループットな露光を安定的に行うことができる。
また、前述したように、本実施形態の露光装置では、光束追尾装置中の検出部3が光源1から供給される光束の位置および角度を随時検出し、制御部4は検出部3の出力に基づいて送光光学系5中の直角プリズム53a,53b,54a,54bの姿勢を制御する。こうして、送光光学系5は、入射光束Lを後段のビーム形状可変部6中の回折光学素子61へ導くとともに、回折光学素子61へ入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正することができる。
なお、上述の実施形態では、光路折曲げ手段として直角プリズム53a,53b,54a,54bを用いているが、これに限定されることなく、例えば反射ミラーのような他の反射部材を用いることもできる。この場合も、反射ミラーに入射する光束のエネルギ密度が低減されるので、反射膜が劣化し難く、且つ「曇り」に起因する反射率などの低下も発生し難い。
また、上述の実施形態では、入射光束Lを第1光束L1と第2光束L2とに波面分割する波面分割部材として、一対のひし形プリズム51aおよび51bを用いている。また、シリンドリカルレンズ群55aを経た第1光束L1を回折光学素子61の第1領域61aへ導き且つシリンドリカルレンズ群55bを経た第2光束L2を回折光学素子61の第2領域61bへ導く導光部材として、一対のひし形プリズム56aおよび56bを用いている。しかしながら、これに限定されることなく、波面分割部材および導光部材の構成については様々な形態が可能である。
また、上述の実施形態では、一対のひし形プリズム51a,51bの直後に配置されて第1光束L1および第2光束L2の断面を拡大する光束拡大部材として、シリンドリカルレンズ群52aおよび52bを用いている。また、一対のひし形プリズム56a,56bの直前に配置されて第1光束L1および第2光束L2の断面を縮小する光束縮小部材として、シリンドリカルレンズ群55aおよび55bを用いている。しかしながら、これに限定されることなく、光束拡大部材および光束縮小部材の構成については様々な形態が可能である。
また、上述の実施形態では、ひし形プリズム56aから射出された第1光束L1が入射する第1領域61aと、ひし形プリズム56bから射出された第2光束L2が入射する第2領域61bとが互いに隣接している。しかしながら、これに限定されることなく、第1領域61aおよび第2領域61bについては、回折光学素子61の有効回折光学面61cの範囲内において様々な配置が可能である。
また、上述の実施形態では、送光光学系5への入射光束Lを第1光束L1と第2光束L2とに分割する光束分割部材として、一対のひし形プリズム51aおよび51bからなる波面分割部材を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、図3に示すように、送光光学系5への入射光束Lを互いに偏光状態の異なる第1光束L3と第2光束L4とに分割する偏光分割部材を用いる変形例も可能である。
図3に示す変形例では、送光光学系5への入射光束Lが、偏光分割部材としての偏光ビームスプリッター71により、P偏光の第1光束L3とS偏光の第2光束L4とに分割される。すなわち、偏光ビームスプリッター71により、第1光束L3および第2光束L4が光束Lから同時に生成される。以下、説明の理解を容易にするために、偏光ビームスプリッター71による偏光分割の結果、光束L3およびL4のエネルギ密度が送光光学系5への入射光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減されるものとする。
偏光ビームスプリッター71を透過した第1光束L3は、直角プリズム72aにより偏向され、1/2波長板73aを介してS偏光になり、偏光ビームスプリッター74に入射する。一方、偏光ビームスプリッター71で反射された第2光束L4は、直角プリズム72bにより偏向され、1/2波長板73bを介してP偏光になり、偏光ビームスプリッター74に入射する。S偏光状態の第1光束L3とP偏光状態の第2光束L4とは、導光部材としての偏光ビームスプリッター74を介して合成される。
偏光ビームスプリッター74を介して合成された光束L5は、回折光学素子61の有効回折光学面内の所定領域へ入射する。こうして、回折光学素子61には、送光光学系5への入射光束Lと同じ断面を有し且つほぼ同じエネルギ密度(照度)を有する合成光束L5が入射する。また、送光光学系5中の2つの直角プリズム72a,72bに入射する光束L3,L4のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減されている。
したがって、図3に示す変形例では、送光光学系5中の直角プリズム72a,72bに入射する光束L3,L4のエネルギ密度を約1/2に低減しつつ、回折光学素子61に所望の断面および照度を有する光束を入射させることができる。その結果、図3に示す変形例においても図2の実施形態と同様に、光路折曲げ手段としての直角プリズム72a,72bを形成する光学材料が劣化し難く、且つ「曇り」に起因する反射率などの低下も発生し難い。
あるいは、図4に示すように、ビームスプリッター81のような振幅分割部材を用いて、送光光学系5への入射光束Lを第1光束L6と第2光束L7とに振幅分割する変形例も可能である。図4に示す変形例では、入射光束Lの一部がビームスプリッター81を透過し、入射光束Lの一部がビームスプリッター81で反射される。すなわち、ビームスプリッター81により、第1光束L6および第2光束L7が光束Lから同時に生成される。以下、説明の理解を容易にするために、ビームスプリッター81を透過した第1光束L6、およびビームスプリッター81で反射された第2光束L7のエネルギ密度が、送光光学系5への入射光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減されるものとする。
ビームスプリッター81を透過した第1光束L6は、直角プリズム82aおよび83aにより順次偏向された後、シリンドリカルレンズ群84aに入射する。一方、ビームスプリッター81で反射された第2光束L7は、直角プリズム82bにより偏向された後、シリンドリカルレンズ群84bに入射する。シリンドリカルレンズ群84aに入射した第1光束L6は、その断面が図4の紙面に沿って例えば1/2に縮小された後、回折光学素子61(図4では不図示)の有効回折光学面内の第1領域へ入射する。
シリンドリカルレンズ群84bに入射した第2光束L7も、その断面が図4の紙面に沿って同じく1/2に縮小された後、回折光学素子61の有効回折光学面内において図4中鉛直方向に沿って第1領域から間隔を隔てた第2領域へ入射する。その結果、回折光学素子61に入射する光束L6およびL7のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lとほぼ同じエネルギ密度に戻る。
なお、必要に応じて、回折光学素子61の直前において光束L6の光路および光束L7の光路のうちの少なくとも一方の光路中に光束を平行移動させる光学部材を付設することにより、第1光束L6が入射する第1領域と第2光束L7が入射する第2領域とを図4中鉛直方向に沿って隣接させることもできる。
こうして、回折光学素子61には、送光光学系5への入射光束Lと同じ断面積を有し且つほぼ同じエネルギ密度(照度)を有する光束(L6,L7)が入射する。また、送光光学系5中の3つの直角プリズム82a,82b,83aに入射する光束L6,L7のエネルギ密度は、送光光学系5に入射する光束Lのエネルギ密度の約1/2に低減されている。すなわち、図4に示す変形例においても、送光光学系5中の直角プリズム82a,82b,83aに入射する光束L6,L7のエネルギ密度を約1/2に低減しつつ、回折光学素子61に所望の断面および照度を有する光束を入射させることができる。
なお、上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットに開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。なお、パターン面が横置きの場合であっても可変パターン形成装置を用いても良い。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開番号WO99/49504号公報に開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。
また、上述の実施形態において、米国特許公開第2006/0203214号公報、米国特許公開第2006/0170901号公報、および米国特許公開第2007/0146676号公報に開示される偏光照明方法を適用しても良い。ここで、米国特許公開第2006/0203214号公報に開示される偏光制御部、米国特許公開第2006/0170901号公報および米国特許公開第2007/0146676号公報に開示される偏光状態切換部は、導光部材と特定領域に配置され得る回折光学素子との間に配置することができる。
また、上述の実施形態においては、送光光学系中の複数の照明光路を同時に用いたが、複数の照明光路のうちの1つのみを用いてもよい。この場合、光束分割部材として、入射光束を複数の光束に時分割するための光路切換ミラーを用い、ある特定の時間では光源からの光束を1つの照明光路へ導き、その特定の時間の経過後に光路切換ミラーを用いて光源からの光束を別の照明光路へ導く。この構成では、複数の照明光路のうちの照明光が通過しない光路中に配置される光学部材を、送光を止めることなく交換することが可能となる。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図5は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図5に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。
ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
図6は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図6に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。
ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。
ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態では、光源からの光束を回折光学素子の有効回折光学面まで送光する送光光学系に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、一般に、光源からの光束を所定面上の特定領域まで送光する送光光学系に対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系や被加工面に光照射を行うレーザ加工装置、レーザアニール装置などに対して本発明を適用することもできる。

Claims (12)

  1. 光源からの光束を所定面上の特定領域まで送光する送光光学系において、
    前記光源と前記所定面との間の光路中に配置されて、入射光束を第1光束と第2光束とに分割する光束分割部材と、
    前記光束分割部材と前記所定面との間の光路中に配置された少なくとも1つの反射部材と、
    前記少なくとも1つの反射部材と前記所定面との間の光路中に配置されて、前記第1光束を前記特定領域内の第1領域へ導き且つ前記第2光束を前記特定領域内の第2領域へ導く導光部材とを備え
    前記光束分割部材は、前記入射光束を前記第1光束と前記第2光束とに波面分割する波面分割部材を有し、
    前記波面分割部材と前記少なくとも1つの反射部材との間の光路中に配置されて、前記第1光束および前記第2光束の断面を拡大する光束拡大部材をさらに備えていることを特徴とする送光光学系。
  2. 前記導光部材と前記少なくとも1つの反射部材との間の光路中に配置されて、前記第1光束および前記第2光束の断面を縮小する光束縮小部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の送光光学系。
  3. 前記導光部材は、前記第2光束を前記第1領域と隣接する前記第2領域へ導くことを特徴とする請求項1または2に記載の送光光学系。
  4. 光源からの光束を所定面上の特定領域まで送光する送光光学系において、
    前記光源と前記所定面との間の光路中に配置されて、入射光束を第1光束と第2光束とに分割する光束分割部材と、
    前記光束分割部材と前記所定面との間の光路中に配置された少なくとも1つの反射部材と、
    前記少なくとも1つの反射部材と前記所定面との間の光路中に配置されて、前記第1光束を前記特定領域内の第1領域へ導き且つ前記第2光束を前記特定領域内の第2領域へ導く導光部材とを備え、
    前記光束分割部材は、前記入射光束を前記第1光束と前記第2光束とに振幅分割する振幅分割部材を有し、
    前記振幅分割部材は、前記入射光束の一部を透過させて前記第1光束を生成し且つ前記入射光束の一部を反射して前記第2光束を生成するビームスプリッターを有し、
    前記導光部材と前記少なくとも1つの反射部材との間の光路中に配置されて、前記第1光束および前記第2光束の断面を縮小する光束縮小部材をさらに備えていることを特徴とする送光光学系。
  5. 光源からの光束を所定面上の特定領域まで送光する送光光学系において、
    前記光源と前記所定面との間の光路中に配置されて、入射光束を第1光束と第2光束とに分割する光束分割部材と、
    前記光束分割部材と前記所定面との間の光路中に配置された少なくとも1つの反射部材と、
    前記少なくとも1つの反射部材と前記所定面との間の光路中に配置されて、前記第1光束を前記特定領域内の第1領域へ導き且つ前記第2光束を前記特定領域内の第2領域へ導く導光部材とを備え、
    前記光束分割部材は、前記入射光束を互いに偏光状態の異なる前記第1光束と前記第2光束とに分割する偏光分割部材を有し、
    前記導光部材は、前記第1光束と前記第2光束とを合成する偏光ビームスプリッターを有することを特徴とする送光光学系。
  6. 入射光束の光束断面形状を異なる光束断面形状に変換する回折光学素子と共に用いられ、
    前記特定領域は、前記回折光学素子の有効回折光学面であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の送光光学系。
  7. 前記光源から供給される光束の位置および角度のうちの少なくとも一方を検出する検出部と、該検出部の出力に基づいて前記少なくとも1つの反射部材の姿勢を制御する制御部とを備えている光束追尾装置と組み合わせて使用されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の送光光学系。
  8. 前記光束分割部材は、前記入射光束から前記第1光束と前記第2光束とを同時に生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の送光光学系。
  9. 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の送光光学系を備え、前記特定領域は前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された回折光学素子の有効回折光学面であることを特徴とする照明光学系
  10. 前記回折光学素子は、前記送光光学系からの光束に基づいて所定形状の瞳輝度分布を形成することを特徴とする請求項9に記載の照明光学系
  11. 所定のパターンを照明するための請求項9または10に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置
  12. 請求項11に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
    前記パターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記パターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
    前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法
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