JP2011075192A - 蓄熱器 - Google Patents

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研一 三井
Katsuhisa Ota
勝久 太田
Zensuke Tatsumi
善亮 辰己
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Abstract

【課題】熱供給時間が長く蓄熱時間が短い蓄熱器を提供すること。
【解決手段】蓄熱体2における熱交換面の面積を、面積可変手段3によって変化させることで、蓄熱時には流体との接触面積を大きくして蓄熱時間を短くし、保温または保冷時には流体との接触面積を小さくして熱供給時間を長くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体や気体を保温および/または保冷可能な蓄熱器に関する。
水や油などの液体や空気などの気体(すなわち流体)を保温および/または保冷するための蓄熱器としては、従来から種々のものが知られている。例えば特許文献1には、車両用のエンジンオイルを保温するための蓄熱器が紹介されている。
特許文献1に紹介されている蓄熱器は、熱伝導率の高い材料(例えば鉄、アルミニウム等)を含み、車両用のオイルパン内に配設され、エンジンオイルに曝されている。この蓄熱器は、エンジンオイルが高温の場合にエンジンオイルから熱を受け取って蓄え、この熱をエンジンオイルが低温の場合にエンジンオイルに供給する。したがって、特許文献1における蓄熱器は、エンジンオイルの温度を安定させる機能を持つ。
蓄熱器に用いられる蓄熱材としては潜熱蓄熱材や顕熱蓄熱材が知られている。これらの蓄熱材を用いた蓄熱器の保温時間および/または保冷時間(以下、熱供給時間と呼ぶ)を長くするためには、蓄熱材の量を増大させるのが有効だと考えられる。しかしこの場合には、蓄熱材に蓄熱するのに要する時間(以下、蓄熱時間と呼ぶ)が長い問題がある。また、蓄熱器全体が大型化して、蓄熱器を配設するために広いスペースが必要になる問題もある。
特開平8−99575号公報
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、熱供給時間を長くできかつ蓄熱時間を短くできる蓄熱器を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の蓄熱器は、
流体に接触して該流体と熱交換する蓄熱器であって、
前記流体に接触する熱交換面を内部および/または外部に持つ容器体と、該容器体に封入されている蓄熱材と、を持つ蓄熱体と、
温度に依存して第1状態と第2状態との間を状態変化し、該第1状態から該第2状態に状態変化する際に該熱交換面の面積を拡げ、該第2状態から該第1状態に状態変化する際に該熱交換面の面積を狭める面積可変手段と、を持つことを特徴とする。
本発明の蓄熱器は、下記の(1)〜(7)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(7)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記蓄熱材は、相変化により発熱・吸熱する潜熱蓄熱材であり、
前記面積可変手段は、前記流体の温度が前記蓄熱材の転移点よりも低い第1の温度から該転移点よりも高い第2の温度に変化すると前記第1状態から前記第2状態に状態変化し、前記流体の温度が該第2の温度から該第1の温度に変化すると前記第2状態から前記第1状態に状態変化する。
(2)前記蓄熱材は、相変化により発熱・吸熱する潜熱蓄熱材であり、
前記面積可変手段は、前記流体の温度が前記蓄熱材の転移点よりも高い第2の温度から該転移点よりも低い第1の温度に変化すると前記第1状態から前記第2状態に状態変化し、前記流体の温度が該第1の温度から該第2の温度に変化すると前記第2状態から前記第1状態に状態変化する。
(3)前記面積可変手段は、前記容器体の少なくとも一部を覆うカバー体と、該カバー体を駆動する駆動体と、を持ち、
該駆動体は、前記面積可変手段が前記第1状態から前記第2状態に状態変化する際に該カバー体を前記容器体から離れる方向に駆動し、前記面積可変手段が前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該カバー体を前記容器体に近づく方向に駆動する。
(4)前記容器体は、前記容器体の内部に形成され前記容器体の外部に開口する通路を持ち、
前記熱交換面は少なくとも該通路の表面を含み、
前記面積可変手段は、前記第1状態から前記2状態に状態変化する際に該通路を開き、前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該通路を閉じる。
(5)前記容器体は2以上の容器分体からなり、
前記熱交換面は少なくとも該容器分体の表面のうち他の該容器分体に隣接する面を含み、
前記面積可変手段は、前記第1状態から前記2状態に状態変化する際に該容器分体を互いに離れる方向に駆動し、前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該容器分体を互いに近づく方向に駆動する。
(6)前記カバー体の熱伝導率は、前記容器体の熱伝導率よりも小さい。
(7)前記面積可変手段は、バイメタル、形状記憶合金、ワックスサーモエレメントから選ばれる少なくとも一種を含む。
本発明の蓄熱器は、蓄熱体と流体とを接触させ、流体の温度が高い時に、流体の熱を蓄熱体に蓄熱する。そして、流体の温度が低い時に、蓄熱体が蓄熱している熱を流体に供給することで、流体を保温する。または、流体の温度が低い時に、流体の熱を蓄熱体に蓄熱する。そして、流体の温度が高い時に、蓄熱体が蓄熱している熱を流体に供給することで、流体を保冷する。
流体と蓄熱体とが熱平衡するまでの時間は、蓄熱体の体積あたりの熱交換面の面積が大きければ大きいほど短く、蓄熱体の体積あたりの熱交換面の面積が小さければ小さいほど長い。すなわち、同じ大きさの蓄熱体であれば、熱交換面の面積が大きいほど熱供給時間が短くなり、熱交換面の面積が小さいほど熱供給時間が長くなる。また、同じ大きさの蓄熱体であれば、熱交換面の面積が大きいほど蓄熱時間が短くなり、熱交換面の面積が小さいほど蓄熱時間が長くなる。
本発明の蓄熱器における面積可変手段は、温度に依存して状態変化する。そして、この状態変化に伴って、容器体における熱交換面の面積(すなわち蓄熱体と流体との接触面積を変化させる。このため、本発明の蓄熱器によると、熱供給時には熱交換面の面積を狭めて熱供給時間を長くし、蓄熱時には熱交換面の面積を拡げて蓄熱時間を短くすることができる。よって、本発明の蓄熱器によると、熱供給時間を長くしかつ蓄熱時間を短くすることができる。
上記(1)を備える本発明の蓄熱器によると、蓄熱材によって流体を保温できる。また、蓄熱材として潜熱蓄熱材を用いることで、優れた保温効果を得ることができる。
上記(2)を備える本発明の蓄熱器によると、蓄熱材によって流体を保冷できる。また、蓄熱材として潜熱蓄熱材を用いることで、優れた保冷効果を得ることができる。
上記(3)〜(5)の何れかを備える本発明の蓄熱器は、単純な構造であり、かつ、熱交換面の面積を信頼性高く変化させ得る。
上記(6)を備える本発明の蓄熱材によると、蓄熱材の熱を流体に供給する際に、カバー部の断熱効果で蓄熱材の熱が流体に奪われ難くなる。また、蓄熱材の熱を流体に供給する際に蓄熱材の熱が流体に奪われ難ければ、蓄熱材の熱を流体に供給する時間も長くなる。このため、上記(6)を備える本発明の蓄熱器によると、熱供給時間をさらに長くできる。
上記(7)を備える本発明の蓄熱器によると、信頼性高く動作する面積可変手段を単純な構造にできる。
実施例1の蓄熱器を模式的に表す分解斜視図である。 実施例1の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例1の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例2の蓄熱器を模式的に表す斜視図である。 実施例2の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例2の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例3の蓄熱器を模式的に表す分解斜視図である。 実施例3の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例3の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例4の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。 実施例4の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図である。
本発明の蓄熱器における蓄熱材としては、熱容量の大きな潜熱蓄熱材を用いるのが好ましい。なお、潜熱蓄熱材は顕熱蓄熱材に比べて大きな熱量を蓄熱できる。このため、蓄熱材として潜熱蓄熱材を用いる場合には、熱供給時間をより長くできる利点がある。また、流体を高温で保温したり、低温で保冷したりできる利点もある。
潜熱蓄熱材は、相変化(例えば固体−液体間の相変化等)に伴って熱エネルギを放出または吸収する。潜熱蓄熱材が相変化する温度(転移点)は潜熱蓄熱材の種類によって種々に異なる。このため、蓄熱材として潜熱蓄熱材を用いる場合には、蓄熱器の用途に応じた転移点を持つ潜熱蓄熱材を選択すれば良い。潜熱蓄熱材としては、例えば、各種の水和塩、パラフィン類、有機物などが好ましく用いられる。
蓄熱材を封入するための容器体としては、熱伝導率の高い材料からなるものを用いるのが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレススチール(SUS)等が挙げられる。
容器体をカバー体で覆う場合には、カバー体の熱伝導率を容器体の熱伝導率よりも小さくすることで、流体−蓄熱体間をカバー体によって断熱できる。この場合、カバー体の少なくとも一部として、熱伝導率1.0W/mK以下の材料を用いることが好ましい。このような材料としては、6−ナイロン、6−6ナイロン、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)等が挙げられる。
本発明の蓄熱器における面積可変手段としては、温度に依存して2つの状態の間を状態変化するものを用いることができる。ここでいう状態変化とは、面積可変手段全体の変形だけでなく、面積可変手段の一部の変形を含む概念である。面積可変手段の一部のみが温度に依存して変形する場合であっても、この変形した部分と他の部分との相対的な状態(例えば位置関係など)が変化する。面積可変手段のなかで温度に依存して変形する部分(面積手段の一部または全体。以下、変形部と呼ぶ)としては、例えば、バイメタルや形状記憶合金、熱膨張率(体積膨張率や線膨張率)の大きな材料等を選択するのが好ましい。このうち熱膨張率の大きな材料としては、温度上昇により体積増大する(膨張)材料を選択しても良いし、温度上昇により体積減少する(収縮・負膨張)材料を用いても良い。温度上昇により体積増大する材料としては、水(水→水蒸気)、ワックス等が挙げられる。温度上昇により体積減少する材料としては、タングステン酸ジルコニウム、WO2006/011590号公報等に紹介されているペロフスカイト型マンガン窒化物結晶等が挙げられる。
以下、図面を基に本発明の蓄熱器を説明する。
(実施例1)
実施例1の蓄熱器は、自動車のオイルパン内部に配設され、エンジンオイルを保温する。実施例1の蓄熱器を模式的に表す分解斜視図を図1に示す。実施例1の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図を図2、3に示す。なお、図2および図3は実施例1の蓄熱器を径方向に切断した様子を表す。より詳しくは、図2に示す蓄熱器において、面積可変手段は第1状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は小さくなっている。図3に示す蓄熱器において、面積可変手段は第2状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は大きくなっている。
図1に示すように、実施例1の蓄熱器1は、蓄熱体2と、面積可変手段3と、を持つ。
蓄熱体2は、SUS製の容器体20と、水酸化バリウム8水和物(Ba(OH)・8HO)を材料とする蓄熱材25と、を持つ。容器体20は断面円形の箱状(軸方向の2端部が閉じられた円筒状)をなす外筒部21と、この外筒部21の内周面に一体化され外筒部21の内側に向けて突起するリブ部22とを持つ。リブ部22は外筒部21の軸方向(図1中前後方向)に沿って延在している。
蓄熱材25は容器体20の内部に封入されている。
面積可変手段3は、2つのカバー体30と、2つの駆動体35と、を持つ。各カバー体30は、それぞれ、カバー部31と、カバー部31に一体化されている2つのフランジ部32と、を持つ。カバー部31は、円筒を軸方向に沿って2分割した半割筒状をなす。詳しくは、カバー部31の断面形状は略半円弧状であり、2つのカバー部31を組み合わせてなる円筒の内径は、容器体20の外径とほぼ同じである。2つのカバー部31は、容器体20の外周面を覆っている。一方のフランジ部32は、カバー部31の外周面における周方向の一端部に一体化されている。他方のフランジ部32は、カバー部31の外周面における周方向の他端部に一体化されている。各フランジ部32は、カバー部31の軸方向に延在している。カバー体30は、PA66−GF30(ガラス繊維30%含有ポリアミド66樹脂)からなる。PA66−GF30の熱伝導率は、容器体20の熱伝導率および蓄熱材25の熱伝導率よりも小さい。このためカバー体30は、蓄熱体2の断熱材として機能する。
各駆動体35は、断面略V字の板状をなす。各駆動体35は、互いに隣接するフランジ部32の間に介在している。駆動体35の一端部は一方のフランジ部32に固定され、駆動体35の他端部は他方のフランジ部32に固定されている。各駆動体35はバイメタル製である。
実施例1の蓄熱器1は、自動車のオイルパン(図略)の内部に配設され、エンジンオイル(すなわち流体)に接触する。詳しくは、実施例の蓄熱器1における容器体20および面積可変手段3はエンジンオイルに直接接触する。容器体20の内部に封入されている蓄熱材25は容器体20を介してエンジンオイルに間接的に接触する。
蓄熱材25として用いられている水酸化バリウム8水和物の転移点(融点)は78.5℃であり、液体から固体への相変化によって発熱する。したがってこの蓄熱材25は、エンジンが起動しエンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも高い時には、液体状であり、エンジンオイルの熱を蓄熱する。そして、エンジンが停止しエンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも低くなると、固体状に相変化して発熱し、この熱をエンジンオイルに供給してエンジンオイルを保温する。このため実施例1の蓄熱器1によると、この蓄熱材25によってエンジンオイルを保温することができる。なお、この蓄熱材25の蓄熱量は266KJ/kgである。
各駆動体35は、オイルパン内部において、容器体20およびカバー体30とともにエンジンオイルに浸される。そして、バイメタルの内側、外側の金属材料の熱膨張率の差により、エンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点に近い温度(78℃近傍)よりも高い第2の温度であるときには、開き方向に変形する。また、各駆動体35は、エンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点に近い温度よりも低い第1の温度であるときには、閉じ方向に変形する。
実施例1の蓄熱器1の動作を以下に説明する。
エンジンが停止しておりエンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも低い第1の温度である時には、駆動体35は閉じ方向に変形しており、面積可変手段3は図2に示す第1状態にある。このとき2つのカバー部31は互いに近接するとともに蓄熱体2(詳しくは容器体20)に当接している。
エンジンが始動してエンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも高い第2の温度に達すると、駆動体35はV字の開き角度が大きくなる方向(開き方向)に変形する。したがってこのとき駆動体35は2つのカバー部31を、互いに離れる方向に駆動し、面積可変手段3は、図2に示す第1状態から図3に示す第2状態に状態変化する。
すると、図3に示すように、カバー体30と容器体20との間(すなわちカバー部31と蓄熱体2との間)には隙間(通路28)が生じる。したがってエンジンオイルは、通路28に流通して蓄熱体2に接触する。このときエンジンオイルの温度は蓄熱体2の温度(すなわち容器体20の温度および蓄熱材25の温度)よりも高いため、蓄熱材25はエンジンオイルから熱を供給される。エンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点を超え、蓄熱材25の温度が転移点を超えると、蓄熱材25は固体から液体に相変化して蓄熱する。このとき、図3に示すように、蓄熱体2は容器体20の外周面全体でエンジンオイルに接触する。したがってこのとき、容器体20の外周面全体が蓄熱体2の熱交換面となる。
エンジンが停止してエンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも低くなると、駆動体35は閉じ方向に変形し、面積可変手段3は図3に示す第2状態から図2に示す第1状態に状態変化する。このとき駆動体35は2つのカバー部31を互いに近づく方向に駆動する。すると、図2に示すように、カバー部31と容器体20との間の隙間(通路28)がなくなり、エンジンオイルと蓄熱体2とがカバー体30によって遮断され、蓄熱体2はカバー体30によって断熱される。蓄熱材25の温度が蓄熱材25の転移点よりも低くなると、蓄熱材25は徐々に凝固しながら発熱する。このため、蓄熱材25は蓄熱体2のうちカバー体30で覆われていない部分を介してエンジンオイルに徐々に熱を供給する。このため蓄熱器1は、エンジンオイルを保温する。
ところで、このとき蓄熱体2とエンジンオイルとはカバー体30によって遮断され、蓄熱体2とエンジンオイルとの接触面積は小さくなる。したがって、面積可変手段3が第2状態から第1状態に状態変化すると、蓄熱体2の熱交換面は狭まる。このため蓄熱体2の熱は緩やかにエンジンオイルに供給される。よって、蓄熱器1による熱供給時間は長く、エンジンが再始動するとエンジンオイルは蓄熱器1に保温された状態でエンジンに供給される。エンジン始動時に温かいエンジンオイルをエンジンに供給することで、エンジン始動時における暖機時間が短縮される。また、蓄熱体2が徐々に(緩やかに)凝固することで、蓄熱体2自体の温度低下が抑制され、蓄熱体2への蓄熱時間が短縮される。
実施例1の蓄熱器1においては、カバー体30の熱伝導率が容器体20の熱伝導率よりも小さいため、カバー体30は低温時(すなわち蓄熱材25によってエンジンオイルに熱を供給するとき)に蓄熱体2を断熱する。このため、蓄熱器1による熱供給時間はより長くなる。
なお、容器体20のリブ部22は、容器体20を補強する機能と、容器体20の内部と表面との間で熱を伝達する機能とを併せ持つ。このため、容器体20の中心部に位置している蓄熱材25と、容器体20の外周部に位置している蓄熱材25との温度差を低減できる。よって、実施例1の蓄熱器1は、蓄熱材25全体で流体の熱を効率良く蓄熱でき、かつ、蓄熱材25全体で流体に熱を供給できる。
(実施例2)
実施例2の蓄熱器は、カバー体を持たないことと、容器体および面積可変手段の形状以外は実施例1の蓄熱器と同じものである。実施例2の蓄熱器を模式的に表す斜視図を図4に示す。実施例2の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図を図5、6に示す。なお、図5および図6は実施例2の蓄熱器を軸方向の端部から見た様子を表す。より詳しくは、図5に示す蓄熱器において、面積可変手段は第1状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は小さくなっている。図6に示す蓄熱器において、面積可変手段は第2状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は大きくなっている。
図4に示すように、実施例2の蓄熱器1における容器体20は、円筒状をなす外筒部21と、外筒部21よりも小径の円筒状をなし外筒部21の内部に配置されている内筒部23と、を持つ2重筒状をなす。内筒部23の内部は、容器体20の外部に開口する通路28となる。内筒部23と外筒部21との隙間には、蓄熱材25が封入されている。内筒部23と外筒部21との隙間には、容器体20の軸方向に延在し内筒部23と外筒部21とに一体化されているリブ部22が所定間隔で4個形成されている。なお、容器体20の軸方向の2端面においては、内筒部23と外筒部21との隙間は閉じられている。
容器体20の軸方向の2端面には、それぞれ、一つずつの面積可変手段3が取り付けられている。各面積可変手段3は、軸状の枢支体40と、板状の蓋体41と、渦巻きばね状の駆動体35とを持つ。枢支体40の一端は、容器体20の端面に固定されている。蓋体41には貫通孔が形成されており、枢支体40の他端はこの貫通孔に挿通されている。したがって、蓋体41は枢支体40に枢支され、容器体20に対して揺動可能である。駆動体35の中心側端部は枢支体40に固定され、駆動体35の外周側端部は蓋体41に固定されている。
駆動体35は、形状記憶合金(チタンとニッケルとの合金)製であり、エンジンオイルの温度が蓄熱材25の転移点よりも低い第1温度になると、巻きとり方向(駆動体35の半径が小さくなる方向)に変形する(図5)。このとき蓋体41は、内筒部23の端部を覆い、容器体20の通路28を閉じる。この状態が面積可変手段3の第1状態である。
駆動体35は、エンジンオイルの温度が第2温度になると伸び方向(駆動体35の半径が大きくなる方向)に変形する(図6)。このとき蓋体41は、駆動体35の変形に伴って揺動し、通路28を開く。この状態が面積可変手段3の第2状態である。
面積可変手段3が第1状態にあり、容器体20の通路28が閉じられている時には、エンジンオイルは容器体20の外周面(外筒部21の外周面)および端面にのみ接触する。容器体20の通路28が開かれると、エンジンオイルは通路28に流通する。このため、この時エンジンオイルは容器体20の外周面、端面および通路28(内筒部23の内周面)に接触する。したがって、実施例2の蓄熱器1における熱交換面の面積は、面積可変手段3が第1状態から第2状態に状態変化する際に拡げられ、面積可変手段3が第2状態から第1状態に状態変化する際に狭められる。よって、実施例2の蓄熱器1によっても、熱供給時間を長くでき、かつ、蓄熱時間を短くできる。
(実施例3)
実施例3の蓄熱器は、容器体の端面形状および面積可変手段の形状以外は実施例2の蓄熱器と同じものである。実施例3の蓄熱器を模式的に表す分解斜視図を図7に示す。実施例3の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図を図8、9に示す。なお、図8および図9は実施例3の蓄熱器を軸方向に切断した様子を表す。より詳しくは、図8に示す蓄熱器において、面積可変手段は第1状態であり、蓄熱体2における熱交換面の面積は小さくなっている。図9に示す蓄熱器において、面積可変手段は第2状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は大きくなっている。
図7〜図9に示すように、実施例3の蓄熱器1における容器体20は、実施例2の蓄熱器1における容器体20と同様に、外筒部21と内筒部23とを持つ2重筒状をなす。容器体20の軸方向の2端面においては、内筒部23と外筒部21の隙間は閉じられている。さらに、この端面において、内筒部23の外側周縁部分は環状に陥没している。この陥没している部分を可変支持部24と呼ぶ。
図7に示すように、容器体20の軸方向の2端面には、それぞれ、一つずつの面積可変手段3が取り付けられている。各面積可変手段3は、板状の蓋体41と、4つの駆動体35とを持つ。各駆動体35は、ゴム製であり有底の蛇腹状をなす保持部38と、保持部38に封入されている体積可変部(図略)とからなる。体積可変部としては、ワックス材料を用いたワックスサーモエレメントを用いた。体積可変部の体積は、第2温度の時に、第1温度の時に比べて5mm程度増大する。したがって、体積可変部を封入している保持部38は体積可変部の体積の増減に伴って伸縮し、駆動体35の長さはエンジンオイルが第1温度になると短くなり、エンジンオイルが第2温度になると長くなる。各駆動体35の軸方向の一端部は、容器体20の可変支持部24に固定されている。各駆動体35の軸方向の他端部は、蓋体41に固定されている。このため蓋体41は、エンジンオイルが第1温度になると内筒部23の内部(通路28)を閉じ(図8)、エンジンオイルが第2温度になると通路28を開く(図9)。したがって、実施例3の蓄熱器1における熱交換面の面積は、面積可変手段3が第1状態から第2状態に状態変化する際に拡げられ、面積可変手段3が第2状態から第1状態に状態変化する際に狭められる。よって、実施例3の蓄熱器1によっても、熱供給時間を長くでき、かつ、蓄熱時間を短くできる。
(実施例4)
実施例4の蓄熱器は、カバー体を持たないことと、容器体の形状および面積可変手段の形状以外は実施例1の蓄熱器と同じものである。実施例4の蓄熱器の動作を模式的に表す説明図を図10、11に示す。なお、図10および図11は実施例4の蓄熱器を径方向に切断した様子を表す。より詳しくは、図10に示す蓄熱器において、面積可変手段は第1状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は小さくなっている。図11に示す蓄熱器において、面積可変手段は第2状態であり、蓄熱体における熱交換面の面積は大きくなっている。
図10、11に示すように、実施例4の蓄熱器1における容器体20は、4つの容器分体60からなる。各容器分体60は、円筒を軸方向に沿って4分割した有底筒状(断面1/4円の有底筒状)をなす。この容器体20における熱交換面は、各容器分体60の表面全体である。詳しくは、各容器分体60は、湾曲板状の周壁部61と、平板状の内壁部62と、周壁部61の両端部近傍にそれぞれ形成されているフランジ部63とを持つ。
実施例4の蓄熱器1は、4つの面積可変手段3を持つ。各面積可変手段3は、形状記憶合金(チタンとニッケルとの合金)製であり、コイル状をなす。各面積可変手段3は、第1温度で圧縮方向に変形し、第2温度で伸長方向に変形する。
各面積可変手段3は、それぞれ、隣接する容器分体60の互いに隣接するフランジ部63の間に介在している。詳しくは、面積可変手段3の一端部は一方のフランジ部63に固定され、面積可変手段3の他端部は他方のフランジ部63に固定されている。したがって、エンジンオイルの温度が第2温度になると、面積可変手段3が伸長し第2状態に状態変化して、隣接する容器分体60同士が互いに離れる方向に移動して容器体20の熱交換面の面積が拡げられる(図11)。このため、隣接する容器分体60同士の隙間(通路28)にエンジンオイルが流通して、各容器分体60に封入されている蓄熱材25が蓄熱する。
また、エンジンオイルの温度が第1温度になると、面積可変手段3が圧縮し第1状態に状態変化して、隣接する容器分体60同士が互いに近づく方向に移動する(図10)。このため、隣接する容器分体60同士の隙間(通路28)がなくなり、容器体20の熱交換面の面積が狭められる。よって、実施例4の蓄熱器1によっても、熱供給時間を長くでき、かつ、蓄熱時間を短くできる。
なお、実施例1〜4の蓄熱器1は、何れも流体としてのエンジンオイルを保温したが、本発明の蓄熱器1は、各種の流体を保冷しても良い。例えば、蓄熱材25として例えば水などの常温未満の転移点を持ち、固体から液体への相変化により吸熱する潜熱蓄熱材25を用いても良い。この場合、面積可変手段3は、高温時(第1の温度の時)に第1状態に状態変化して蓄熱体2の熱交換面の面積を狭め、低温時(第2の温度の時)に第2状態に状態変化して蓄熱体2の熱交換面の面積を拡げれば良い。流体の温度が低い場合には、蓄熱材25と流体との接触面積が大きくなり、蓄熱材25は凝固しつつ発熱する。そして、流体の温度が高い場合には、蓄熱材25と流体との接触面積が小さくなり、蓄熱材25は徐々に溶融しつつ吸熱して流体を徐々に保冷する。したがって本発明の蓄熱器1は、この場合にも、熱供給時間を長くでき、かつ、蓄熱時間を短くできる。
本発明の蓄熱器は、エンジンオイルの保温用蓄熱器や、エンジン冷却水の保温用蓄熱器、トルコン(トルクコンバータ)オイルの保温用蓄熱器等、流体に熱量の比較的小さい熱を長時間供給するための蓄熱器として好ましく使用できる。また、本発明の蓄熱器は例えばバスタブや床暖房装置、太陽熱温水器、夜間湯沸かし器、鍋等の調理器具等に一体化し、これらの装置を保温する用途に供しても良い。
1:蓄熱器 2:蓄熱体 3:面積可変手段
20:容器体 25:蓄熱材 30:カバー体
35:駆動体 28:通路

Claims (8)

  1. 流体に接触して該流体と熱交換する蓄熱器であって、
    前記流体に接触する熱交換面を内部および/または外部に持つ容器体と、該容器体に封入されている蓄熱材と、を持つ蓄熱体と、
    温度に依存して第1状態と第2状態との間を状態変化し、該第1状態から該第2状態に状態変化する際に該熱交換面の面積を拡げ、該第2状態から該第1状態に状態変化する際に該熱交換面の面積を狭める面積可変手段と、を持つことを特徴とする蓄熱器。
  2. 前記蓄熱材は、相変化により発熱・吸熱する潜熱蓄熱材であり、
    前記面積可変手段は、前記流体の温度が前記蓄熱材の転移点よりも低い第1の温度から該転移点よりも高い第2の温度に変化すると前記第1状態から前記第2状態に状態変化し、前記流体の温度が該第2の温度から該第1の温度に変化すると前記第2状態から前記第1状態に状態変化する請求項1に記載の蓄熱器。
  3. 前記蓄熱材は、相変化により発熱・吸熱する潜熱蓄熱材であり、
    前記面積可変手段は、前記流体の温度が前記蓄熱材の転移点よりも高い第2の温度から該転移点よりも低い第1の温度に変化すると前記第1状態から前記第2状態に状態変化し、前記流体の温度が該第1の温度から該第2の温度に変化すると前記第2状態から前記第1状態に状態変化する請求項1に記載の蓄熱器。
  4. 前記面積可変手段は、前記容器体の少なくとも一部を覆うカバー体と、該カバー体を駆動する駆動体と、を持ち、
    該駆動体は、前記面積可変手段が前記第1状態から前記第2状態に状態変化する際に該カバー体を前記容器体から離れる方向に駆動し、前記面積可変手段が前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該カバー体を前記容器体に近づく方向に駆動する請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の蓄熱器。
  5. 前記容器体は、前記容器体の内部に形成され前記容器体の外部に開口する通路を持ち、
    前記熱交換面は少なくとも該通路の表面を含み、
    前記面積可変手段は、前記第1状態から前記2状態に状態変化する際に該通路を開き、前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該通路を閉じる請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の蓄熱器。
  6. 前記容器体は2以上の容器分体からなり、
    前記熱交換面は少なくとも該容器分体の表面のうち他の該容器分体に隣接する面を含み、
    前記面積可変手段は、前記第1状態から前記2状態に状態変化する際に該容器分体を互いに離れる方向に駆動し、前記第2状態から前記1状態に状態変化する際に該容器分体を互いに近づく方向に駆動する請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の蓄熱器。
  7. 前記カバー体の熱伝導率は、前記容器体の熱伝導率よりも小さい請求項4に記載の蓄熱器。
  8. 前記面積可変手段は、バイメタル、形状記憶合金、ワックスサーモエレメントから選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜請求項7の何れか一つに記載の蓄熱器。
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